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第 4章「読んだら忘れない」精神科医の読書術

目次

■実際に、どうやって読んでいくのか?記憶に残る読書術の「 HOW TO」

ここまで、「読んだら忘れない読書術」3つの原則と、2つのキーワードをお伝えしてきました。いよいよこの章からは、記憶に残り、さらに自分にとって役に立つ本当の読書をするための「 HOW TO」について紹介します。

読み進めていくうちに、早く読書をしたい気持ちになっていくでしょう。

【精神科医の読書術超実践編 1】 ■目的地を把握する〜「パラパラ読書術」 まず、全体を把握してゴールと読み方を決める

まず、新しい本を手にしたら、最初に何をするべきなのか? 本を読むスピードが遅い人は、「はじめに」「まえがき」の最初の 1文字から順に読み始めるという場合が多いでしょう。

一方で、本を読むのが速い人は、全体をパラパラと見通して、まず全体を把握してから読み始めるという人が多いはずです。

なぜ、最初にパラパラ読みをするのか? そこには、3つの目的があります。

  • ①全体を把握する
  • ②本を読む目的を設定する
  • ③「速読」か「精読」かを決める

つまり、本を読み始める前に、ゴール(目的地)と行く方法(読み方)を決めるというわけです。

例えばあなたが、新宿から横浜・中華街まで電車を使って行こうとする場合、どうしますか? 多くの人はネットで「乗換検索」をして、最短の行き方の目星をつけてから出かけるはずです。

少なくとも、改札口に着くまでには、行き方を決めているでしょう。

JRの改札を通ってから、おもむろに「乗換検索」をして、「なんだ、 JRより地下鉄のほうが早かったじゃないか」と気づいて後悔する人は、少ないと思います。

目的地に行く場合、行き方を決めてから行動する人がほとんどなのに、読書の場合はなぜか、行き当たりばったり。改札口を通過してから、あるいは電車に乗ってしまってから、行き方を考えたり、行き方を変更したりするのです。

自分の目的地がわかっている場合は、そこへの行き方と最短コースを事前に調べてから出発したほうが、早く目的地に到達することができます。

読書の場合も同じです。まず、本を本格的に読み始める前に、目次に目を通し、全体をパラパラと見通して、全体を把握します。次に、その本を読む目的を決めます。

その本から何を学びたいか、その本から何を知りたいかを定めるということです。

3番目に、「速読」で読むか、「精読」で読むかを決めます。本の内容の濃さ、密度、引用文献の多さ、翻訳かどうか、などを分析すると、その本を「速読」で読めるのか、あるいは一字一句「精読」でしっかりと読まないといけないのかを見極めることができます。

その本を何日で読むかも決めて、目標設定をします。今日 1日で読み切るのか、 2日、または 3日で読むのか。

こうして、本を開いたらパラパラと全体を見通して、「目的地」と「行き方」を最初に決めてしまうのが、「パラパラ読書術」です。

このパラパラ読みをすることで、本を読む速さもアップし、その本からの学習効果も高まるという、一石二鳥の効果が得られるのです。

【精神科医の読書術超実践編 2】 ■知りたい部分を先に読んでしまう〜「ワープ読書術」 本は最初から一字一句読む必要はない

本は最初から一字一句読まなければいけない。本を読むのが遅い人は、たいていそうした先入観に支配されています。

しかし、「本は最初から一字一句読まなければいけない」なんてルール、誰が決めたのでしょう。

本は、「学び」や「気づき」を得るために読むものです。ですから、「学び」や「気づき」を得るために最適な読み方をすれば良いのです。

実用書と呼ばれる本の多くは、最初から一字一句読む必要はありません。なぜならば、それらは何かの方法やノウハウについて書かれた本ですから、最も重要なのは「方法」の部分なのです。

しかし、実際の書籍には「根拠」「裏付け」「実例」なども、ページ数の多くを占めています。そこで、「方法」の部分に最速でたどりつくコツをお伝えします。

まず、「この本で一番知りたいことは何か」を考えます。そして、その知りたい部分を先に読んでしまう。

まず本を開いたら、目次を見て、一番知りたいことが書かれている部分が何章にあるのか目星をつけて、その「結論」が書かれていそうなところに、いきなりワープします。

そのページを読んでさらに知りたいと感じたところ、深掘りしたいところ、疑問に感じたところがあれば、再度目次などで目星をつけて、そのページにワープして読んでいきます。

このように何回かワープを繰り返していくと、その本で一番知りたい部分の要旨がわかります。ここまで 5分かかりません。

先述したように、最初の 5分は記憶に残りやすいので、「 5分・ 5分の法則」によって、本の最も重要な部分が忘れにくくなるのです。

まず、ワクワクするような自分の知的好奇心を先に満たす。ドーパミンの分泌を促すので、やはり記憶に残りやすくなります。

だいたいのアウトラインをつかんだところで、はじめて最初のページに戻り、そこから読み始めていきます。読み逃していた重要な事実がないか、見ていくわけです。

既に全体のアウトラインをつかんでいることによって論旨が見えているので、最初から一字一句読むのに比べて、圧倒的に読むスピードが速くなっています。

どこか目的地に行く場合、事前に地図で調べてだいたいどの辺か目星をつけてから行くと、迷わずに早く到着できます。それと同じで、最初に「目的地」をだいたい把握しておきます。

そうすることで、何倍も早く目的のページに到達することができるのです。

一般的な本を最初から順番に、例えば 2時間かけて読んでいくと、自分が最も知りたい部分に到達するまでに 1時間以上はかかってしまうでしょう。

1日の読書時間が少ない人や読むのが遅い人は、一番知りたいことに到着するのは、読み始めた次の日になってしまうかもしれません。

それでは、本を読むモチベーションも、気づきに対する吸収力も低下してしまうのです。

もちろん、最初から一字一句読んでいかないと内容の理解にてこずる骨太な本もありますが、その場合でも、目次を見て「ここ読みたい!」「ここおもしろそう!」という知的好奇心が刺激される場合は、すぐにそのページにワープしてしまってもいいのです。

あるいは本を買ったときに、「この本から何を学びたいか」が明確になっている場合は、いきなり「目的地」にワープするような読み方、「ワープ読書術」がお勧めです。

【精神科医の読書術超実践編 3】 ■自分にとって少し難しいくらいがいい〜「ギリギリ読書術」 ギリギリの難しさが学びを最大化する

本を読む場合、「ゆっくり、じっくり時間をかけて読む」のと「速く読む」のとでは、どちらが記憶に残り、学びの効果が大きいでしょうか? 本を読み慣れていない人は「じっくり時間をかけて読めば、学びの効果は大きい」と思っているかもしれませんが、それは間違いです。

人間の脳は、「自分の能力よりも少し難しい課題」に取り組んでいるときに、最も活性化します。

それは、「自分の能力よりも少し難しい課題」に取り組んでいるときには、ドーパミンという脳内物質が出ていて、ドーパミンが分泌されると集中力がアップし、記憶力も強化されるから。

つまり、記憶に残りやすく、学びの効果を最大化できる、というわけです。課題が簡単すぎたり、難しすぎたりする場合は、ドーパミンは出ません。

例えば、テレビゲームをする場合、何の試行錯誤もなく簡単にクリアできるゲームはやっていても全くおもしろくないでしょう。

一方で、難しすぎて、何度やっても全く次のステージに進めない。そんな難しすぎるゲームも楽しくありません。

二、三度失敗して、要領をつかめば何とか次のステージに進める。そんな「ギリギリの難易度」が、最も楽しいはずです。

なぜならば、そういう「ギリギリの難易度」のときに、ドーパミンが分泌しやすいからです。

本を読む場合は、2つの難易度を設定することができます。「本の内容」と「本を読むスピード」です。「本の内容」の難易度は買った瞬間に決まりますが、「本を読むスピード」は自分で調整できます。

1つ目の「本の内容」の難易度については、自分のステージに合った本でありながら、自分の実力よりも少しだけ難しい本を選ぶようにすると、学びの効果が最大化します。

簡単すぎても、難しすぎても、得られるものは少なくなります。そうはいっても、タイトルや表紙にひかれて、自分の読書レベルと比べて簡単な本を買ってしまうことがあります。

そういう場合は、「本を読むスピード」で調整すれば、難易度が上がります。普通は 1冊読むのに 2時間かかるとするならば、 1時間 45分くらいで読み終えるように、いつもより速いペースで読んでみる。

私の場合は、電車の中で読む場合が多いので、「降りるまでに 1章読み終えよう」というタイムプレッシャーをかけます。

そうすると、漫然と読んでいるときに比べて、「ほど良い緊張感」が生まれます。先述したようにドーパミンというのは、「目標設定する」ことで分泌されます。

「降りるまでに 1章読み終えよう」という目標設定によって分泌され、さらに「適切な難易度」にその目標を設定することで、よりたくさん分泌されるというわけです。

小説を読む場合は、自分にとって最も心地良いスピードで、「楽しむ」ということを第一に読むのがいいと思いますが、ビジネス書や実用書を読む場合は、適度にタイムプレッシャーをかけて、「ギリギリ」の難易度に調整することで、記憶と学びを最大化できるのです。

【精神科医の読書術超実践編 4】 ■幸福感に包まれて記憶力も高まる〜「ワクワク読書術」 ワクワクして読むと 30年以上鮮明に記憶できる

先日仲間 4人で飲んでいたとき、『北斗の拳』(武論尊作、原哲夫画、集英社)の話になり、物凄く盛り上がりました。全員が自分の好きなキャラや好きな場面などを、物凄いディテールで雄弁に語るのです。50歳前後の大人たちが(笑)。

『北斗の拳』が流行り始めたのは私が大学生の頃ですから、約 30年も前の話です。『北斗の拳』に限らず、昔読んだ漫画の話をすると、ほとんどの人が非常に細かいところまで記憶しているものです。

ビジネス書の場合は、 1年前に読んだ本の内容ですらおぼろげなのに、漫画の場合は 30年前に読んだものでも、ストーリーの細部まで記憶しています。

それも、数十巻分の内容を全て詳細に覚えているのです。

この違いは、どこにあるのでしょう? それは、漫画を読むときはワクワクするからです。『北斗の拳』の場合、「週刊少年ジャンプ」の発売日には駅の売店や書店に人が殺到したものです。

「次の号が読みたくてしかたがない」と、読者は発売日を指折り数えて待っていました。待っている間も期待感でワクワク、読んでいるときはもちろんおもしろくてワクワクする。

こんな「ワクワク感」に包まれているときに分泌されている脳内物質が、幸福物質のドーパミンです。ドーパミンが分泌されると満足感、充実感、幸福感に包まれ、またその幸福感を再体験したいので同じものを欲求するようになります。

漫画であれば、「次号が読みたい!」と思ってしまう。

ドーパミンは、私たちのモチベーションを高めてくれる重要な物質であり、かつドーパミンが分泌されると記憶力も高まるのです。幸福な瞬間をより多く記憶できれば、私たちは幸せに生きることができます。

幸福物質であるドーパミンが記憶を促進するというのは、人間が幸福に生きるために組まれたプログラムともいえます。このドーパミンの記憶力増強効果を利用する。

つまり、ドーパミンを分泌させながらワクワクと読書をすると、 30年たっても忘れないほど、しっかりと記憶できるということなのです。

【精神科医の読書術超実践編 5】 ■ワクワクする本を、ワクワクしている間に一気に読む〜「鉄は熱いうちに打て読書術」「おもしろそう」と思ったら一気に読みなさい

私たちは書店に行って「この本おもしろそう!」と興味がわいた本を発見すると、それをレジに持って行って購入します。

その瞬間、「おもしろそう!」「どんなことが書いてあるんだろう」と、興味、関心、好奇心が高まり、ワクワク感に包まれているはずです。

このように興味、関心、好奇心が高まったときに、ドーパミンは出ています。しかし、忙しくて本を読む時間がなかった。1週間たって、改めて読もうと思っても、あまりワクワクしない。

「まあ、いいか」と結局読むことはなかった、という経験をしたことはありませんか? 1週間後には、もう興味、関心が失われている、つまりドーパミンが出ていないのです。これではせっかく興味がわいたのに、もったいないですね。

ですから、「おもしろそう!」と思って本を買ったなら、買った直後からすぐに読み始めることです。そして、その日のうちか、せいぜい次の日くらいまでに、ワクワクしている間に一気に読み終えてしまう。

そうすると、ワクワク感に包まれながら、つまりドーパミンが分泌された状態で本を読み切ることができますから、強烈に記憶に残すことができます。

「とりあえず本だけ買っておいて暇ができたら読もう」という人もいますが、そういう読み方では、記憶に残らないのです。

【精神科医の読書術超実践編 6】 ■著者に会いに行って勉強する〜「百聞は一会にしかず読書術」 著者に会いに行って、好きになる

本をたくさん読んでいくと、必ず好きな著者、お気に入りの著者ができるはずです。そんな「好きな著者」ができたなら、著者に会いに行って欲しいと思います。

例えばその著者が登壇するセミナーや講演会に参加するといいでしょう。新刊の発売直後は、多くの著者が「新刊発売記念講演会」などを開催しています。

小説家は別として、ビジネス書の作家の場合、多くの方が講演活動を行っています。

有名な著者の場合は参加費が高い場合もありますが、書店と提携して行われる場合などは、「本を購入すれば無料」という講演会もたくさんあります。

その著者の公式ホームページをチェックすれば、そうした講演会情報は、簡単に得られます。

ではなぜ、著者に直接会いに行くといいのでしょうか? それは、直接会うことによって、その人の書いた本の内容が、スポンジに水が染み込むように、自分の中に浸透するからです。

コミュニケーションには、「言語的コミュニケーション」と「非言語的コミュニケーション」があります。表情、視線、眼差し、姿勢、雰囲気、動作などは全て非言語的コミュニケーションに含まれます。

仮に、その人と言葉を交わさずとも、その人の前にいるだけで、非言語的な多くのメッセージを受けとることができるのです。言葉にはならない、言葉を超えた理解。心と心の対話……。

直接会うことで、そうした非言語的対話が可能になるのです。本で文字として書き切れなかった非言語的メッセージを受けとることで、本の内容を何倍も深く理解できるようになります。

そして、単に理解できるだけでなく、それは何倍も記憶に残ります。実際、私もよく著者仲間の出版記念講演会に参加しますが、講演で聞いた話は、 5年たっても忘れません。

「百聞は一見にしかず」ということわざがありますが、本を 100回読むよりも、著者に 1回会ったほうが、より生き生きとした、生の情報が得られるのです。

そして何より重要なのが、講演で話を聞くことで、すなわち著者と会うことで、実際に「著者の人となり」が理解できるということです。

「人となり」がわかると、なぜその著者がその本を書いたのか、あるいは、どういう「思い」でその本を書いたのか、といった本を読むだけではわからないことを、直感的に理解することができるのです。

会う前と比べて、その本の内容を圧倒的に深いレベルで理解し、自分のものにすることができます。いわば著者の生の声で本の解説をされるわけですから。そして、その著者をより「好き」になるはずです。

この「著者に会いに行って、好きになる」というのは、その後もその著者の本を読むたびに、記憶増強効果を発揮してくれるはずです。

なぜならば、「好き」「楽しい」は、脳を刺激し、記憶に残りやすくするからです。

おそらく、あなたも「大好きな著者」に関しては、その著者の本を全て議論できる水準で読み込んでいるのではないでしょうか? 「好きな著者」が「大好きな著者」になることで、その後もその著者の新刊を手にするたびに、よりワクワクする。

よりたくさんのドーパミンが出て、より楽しく、より記憶に残るようになるのです。

著者を自分のメンターにする

好きな著者に会いに行こうというのが、「百聞は一会にしかず読書術」です。

「それって、読書術じゃないじゃないか」というツッコミも入りそうですが、「読書」を「本を読む」ことだけに規定すると、学びの幅が物凄く狭くなってしまいます。「読書」というのは、インプットの入り口であり、その著者からの学びの入り口でもあります。

1冊おもしろい本を見つけたら、その著者の他の本を読んでみて、著者の経歴や人となりを知り、その人の考え方を全て吸収し、講演やセミナーに参加して、直接会って、直接学ぶのが、最高の学び、総合的な学びだと思います。

本を読むことに端を発し、著者と会い、リアルに学ぶというのは、「学び」として連続している。ですから、本をきっかけに著者と会うこともまた、読書の楽しみであり、読書術といっていいでしょう。

好きな本をたくさん読み、講演会に参加して著者に実際に会う中で、「自分もそうなりたい」「自分もこんな人になりたい」という敬意が生まれてくる。

そうなると、「好きな著者」からあなたの「メンター」になっているかもしれません。

「そうなりたい」という憧れや敬意を持ってメンターに何度も会うと、メンターの言葉や行動が自分に染み込んで、実際に自分もメンターに近づいていきます。それは心理学でいうところの「モデリング」です。

私たちは、「そうなりたいと思う人」に尊敬の念を抱きますが、それだけで、「モデリング」が、無意識のうちに発動します。

自分が尊敬する人の考え方や行動、その他全てを真似ることで、いつのまにか学んでしまう。これが「モデリング」です。

赤ちゃんが、お母さんやお父さんの言葉や動作、一挙手一投足を真似るのも、「モデリング」です。

尊敬する人の本を読むだけでも「モデリング」は起こりますが、実際に「会う」ことによって、その「モデリング」の効果は、何十倍にも高まるのです。

私のメンター、栗本薫さんに会いに行った!

私を読書好きに変えた本、栗本薫さんの『グイン・サーガ』シリーズとの出会いについては、第 1章でお話ししました。そのときから、栗本薫さんは私のメンターとなりました。

「自分もこんな文章を書けるようになりたい!」「自分も栗本薫さんのように、年に何冊も本を出せるようになりたい!」と。

『グイン・サーガ』には、毎回「あとがき」が書かれており、彼女の近況や赤裸々な思いが自己開示されていて、私はこれを大変楽しみにしていました。

また執筆や創作の秘密なども書かれていて、作家・栗本薫の仕事のスタイルや生き様までもが自分にインストールされていったわけです。

今、私が作家として本を出しているのは、栗本薫さんの影響なしでは考えられません。

「一度でいいから、栗本薫さんに直接会いたい!」とずっと思っていましたが、私は長年北海道に住んでいましたので、そのチャンスはありませんでした。

2004年から 3年間、アメリカシカゴに留学した私は、その後「作家になろう!」と一念発起し、 2007年に帰国してから、出版のチャンスが多い東京に住むようになりました。

私がアメリカから帰国した数ヶ月後のことです。

横浜で開催される世界 SF大会で、栗本薫さんのトークセッションがあるという情報を得たのです。

「何という絶好のチャンス、これは行くしかない!」ということで、会いに行きました。彼女が『グイン・サーガ』の作家として公の場に出ることは滅多にありません。そのトークセッションも、これほど大規模なものははじめてとのことでした。

最前列に座り、彼女の話に耳を傾けます。はじめてお会いした栗本薫さんは、私のイメージ通りの人でした。「あとがき」の栗本薫、そのものがそこに存在していました。「あとがき」で書かれていた語調そのままで、やさしく語りかける栗本薫さん。

『グイン・サーガ』の創作の秘密についてもたくさん聞けて、夢のような時間を過ごしました。トークセッション終了直後、 2ショット写真もとらせていただき、サインもいただき、言葉を交わすこともできました。

ちょうどその頃は、私が作家活動を本格的に始めようと思い立った時期でもありました。憧れの作家と出会い、言葉を交わしたことで「栗本薫さんのような作家になりたい」という思いをさらに圧倒的に強めたのでした。

それから、わずかに数ヶ月後のこと。彼女は膵臓癌となり、闘病生活に入ったことが、『グイン・サーガ』の「あとがき」で語られました。何という、衝撃。もう、『グイン・サーガ』は読めなくなるのか……。

それから 2年後に彼女は亡くなりましたが、横浜の世界 SF大会が彼女が最後に公の場に出た機会となったのでした。

あなたが尊敬するメンターに会えるチャンスがあるのなら、万難を排して会いに行きましょう。大物になればなるほど、会えるチャンスは滅多にあるものではありません。

私の栗本薫さんとの出会いのように、本当に「一生に一度のチャンス」ということもあり得ます。「会う」ための「絶好のチャンス」を逃してはいけません。

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