MENU

第2章 教え上手な人の教え方

「教え上手、教え下手」あなたはどっち?「教える」とは、「自分」と「相手」という 2人の間で行われる行為です。当たり前ですが、自分ひとりであれば教えるという行為は発生しません。そこに「相手」がいるから、教えるという行為が生まれます。 ここに教えることの本質、「相手の立場に立つ」という考え方が隠れています。この本質こそ、教える側の私たちが押さえておくべきポイントであり、これを忘れると、いわゆる「教え下手」になってしまいます。 ちなみに、「教え下手」とはどういう人なのでしょうか。教えられたことがある人たちに、私は次のような問いを投げかけることがあります。「皆さんが出会ってきた“教え下手”ってどんな人でした?」 そうすると、こんな答えが返ってきます。 ●高圧的 ●威圧的 ●説明が早い ●声が小さい ●何を言いたいのかポイントが分からない ●教わる側の気持ちを分かってない ●説明が雑 ●専門用語を多用する ●一方的に話をして終わってしまう…… etc. 教える側として耳が痛い発言が続きます。「では逆に、皆さんが出会ってきた“教え上手”ってどんな人でした?」 と問いかけると、今度は次のような答えが返ってきます。 ●物腰が柔らかい ●説明が丁寧 ●ポイントが明確 ●こちらの気持ちを分かってくれる ●何が分かっていないかを把握した上で教えてくれる ●こちらの話も聞いてくれる…… etc. 当たり前と言ってしまえば当たり前ですが、教え上手の特徴として、教え下手の特徴と正反対の内容が並びます。 これまで私が関わってきた企業研修では、ほぼ全員の参加者が「教え上手」の特徴を挙げることができました。つまり、人は人生のどこかで「教え上手」と出会ってきているということが分かります。この「教え上手」は、いざ私たちが教える立場になったときのモデルとなってくれます。逆に「教え下手」は、「自分だったら、ああはならないようにしよう」という反面教師になってくれるでしょう。 そして最後に、次のような問いも投げかけています。「それでは、教え上手の特徴を一言で表現するとしたら何でしょう?」 この問いに対しては、答えが分からず戸惑う声を上げる人もいれば、すぐにひらめいて答えを書き出す人もいます。なかなか答えが思い浮かばない人に対しては、「教え下手にはなくて、教え上手にあるものって何でしょうか?」といったヒントを出してみます。色々な意見が出てくる中で、集約すると、次のような言葉が浮かび上がってきます。「教え上手」は「相手本位」な人である。 教え上手の特徴として挙げられていたポイントから考えると、次のようなことが言えると思います。 ●対等な立場で対応してくれる ●何が分かっていないかを把握した上で、的を射た説明をしてくれる ●こちらの気持ちを分かってくれる 教え上手には、相手と同じ目線から物事を考えようとする姿勢が見られます。こういう「相手本位」な姿勢は、「教え下手」にはありません。反対に、彼らの特徴を一言でいうと「自分本位」です。 ●教わる側の気持ちが分からない ●自分が教えたいこと、伝えられることだけ伝える ●相手のことなんてお構いなし 教わる側の立場になって物事が考えられないため、自分中心に物事を進めてしまいます。このような人が「教え下手」と言われてしまうのです。教える相手が 100人いたら 100通りの教え方 教え下手は「自分本位」ですから、相手のことが見えていない、自分を中心に物事を見ている、と言えます。 普段生活していると、自分基準で物事を考えてしまうというのは仕方のないことだと思います。でも、教えるときは、「相手の立場に立つ」ということを心掛けてください。この考え方が「自分本位な教え下手」にはないので、彼らは上手に教えることができないのです。 本章のはじめにも話しましたが、教えるという行為は、自分と相手の 2人の間に行われます。自分と相手は違う人であり、「相手の立場に立って考える」という認識が、教える際には必要不可欠になります。こういう当たり前のことを忘れて、つい自分本位になってしまうのが、教え下手なのです。 かくいう私たちもついついやってしまうのが「こんなことぐらい分かるだろう、知っているだろう、できるだろう」という思い込みです。いわば「自分と同じレベルで相手を見てしまう」という状況です。ある程度、仕事ができるようになり、教える側に立つと、つい忘れてしまうのが、自分が「できなかった頃の状態」です。 私たちも仕事初心者の頃は、知識も技術も経験もなく、不安だった状態があります。その状態を経て、今の立場にいるわけですが、自分ができるようになって

しまうと「できなかった頃の状態」を想像しにくくなるのです。大切なのは、目の前にいる相手の立場に立って考えるということです。 自分と相手は違います。しかもその「違い」は様々です。性格、年齢、性別、出身地、背景、価値観、国籍など、自分と全く同じ人はいないように、私たちが教える相手は様々です。仮に、教える相手が 100人いたとして、相手の違いに合わせて 100通りの教え方をするというのは難しいでしょう。でも、難しいだけで不可能ではありません。では、どうすればよいのでしょうか。 それは自分と相手は違うという違いを認めた上で「相手の立場に立つ」ということです。厳密に言えば、相手の立場に立つ「努力」をするということです。違う人間なのですから、本当の意味で「相手の立場に立つ」のは難しいでしょう。ただ、その努力はできます。相手がどんな人なのか、どんなことを考えているのか、現状の知識、技術はどのくらいなのか、どう教えれば相手にとって伝わりやすいのか、どうすれば相手の学習を手助けできるのかなど考えることはできます。 教える内容は同じでも、教えていく中で「こうしたほうがもっと伝わるかも」と、相手の立場に立った目線で微調整をしていくことが重要になります。 例えば、外部からかかってきた電話の出方について教えることになったとしましょう。電話に出たら、「お電話ありがとうございます。 A商事です」と言うことは教えたものの、言い間違えてしまう人がいるとします。 そのときに、「何事も経験。できるまでやらせる」といって、何も手を打たずに放っておいてはいけません。上手く話せないのは緊張してしまっているせいかもしれないと相手の状況を察し、何を話さなければいけないのかを明記したメモを用意し、慣れるまで手元に置いておくという方法で指導していくのが、本当の教え上手です。「相手の立場に立つ」ためには、相手と自分との違いを知る必要がありますが、どこが特に違うのでしょうか。 以下の3つの観点で考えると、相手との違いを把握しやすくなるので、ひとつずつ見ていきましょう。 ●レベル(度合) ●タイプ(性格) ●カルチャー(文化)教える前にすべきこと 相手のレベルとは「知識・技術の度合」のことです。 ●どのくらいの知識があるのか ●どのくらいの技術を持っているのか ●どのくらいのことができるのか 教わる側が、どの程度の知識や技量を持っているのか、教える側が把握していなければ、何を教えるべきか皆目見当もつきません。まず、その度合を把握することが必要です。そのためには、知るべきレベルを2つに分けて考えます。それは、相手の「現状」と「目標」のレベルです。 つまり教える目的は、「現状と目標の差を埋める」ということです。この本では「問題 =現状-目標」という考え方を基に、問題に対する解決策の1つとして「教える」という方法を突き詰めていきたいと思っています。 そのために、教える側がすべきことは、 ●現状のレベル把握 ●目標のレベル検討 です。まず、「現状レベルの把握」から見ていきましょう。

「言葉」「文字」「行動」でレベルを把握する 相手がどのくらいの「知識・技術」を持っているのか、その程度を測ります。方法としては、3つあります。 ●言葉にしてもらう ●文字にしてもらう ●行動してもらう 1つ目は、教える前に、相手がどのくらいの「知識・技術」を持っているのかを「言葉にしてもらう」です。 ●~について知っていることを教えてください。 ●前の職場ではどのようにやっていましたか? ●~のやり方を聞かせてください。 などの質問を通じて、相手の現状を知るのです。 ここで注意してもらいたいのは、聞き方です。「はい」「いいえ」で答えられるような質問をしてしまうと、相手がどの程度理解しているのか、レベルを知ることができません。具体的に聞き出すことによって、何をどこまで理解しているのか把握することができるので、質問は具体的に行います。 2つ目に、相手の「知識・技術」レベルを把握するために、「文字にして書いてもらう」という方法もあります。 ●準備したテストに回答してもらう ●あるテーマに関してレポートを書いてもらう ●知っていることやできることを書き出してもらう 上記のやり方で、相手の現状の「知識・技術」レベルを把握するのです。 いくら本人が「知識・技術を持っています」と、言ったり、書いたりしたとしても、実際にやってもらわないと、本当のところは分かりません。最終的に「行動してもらう」ことで、そして、その様子を観察することで、相手の現状を知ることができます。 これら3つの方法を通して、相手の現状レベルの把握をする際には、そのレベル(度合)を測るための自分なりのメジャー(物差し)を持っておくと良いでしょう。どのくらいの値なら良いのかという自分なりの基準です。 報告書の書き方を理解しているか確認するために、実際に報告書を作成してもらったとしても、どのレベルまで作成できていれば合格点といえるのか、基準がないと評価もできません。評価基準はもちろん、「 5段階評価」「 ABC」「優・良・可・不可」「点数」など、評価する対象によって評価方法も決めます。 次の表は、レベル把握のための一例として、「営業兼講師」ができる人材を育てるための「育成支援シート」です。その人に期待される「知識・技術・態度」を上司であるマネージャーと共に考えます。その際に、把握方法が「言葉」なのか「文字」なのか、あるいは「行動」なのか、はっきり明記しておくと、よりチェックしやすくなるでしょう。 その上で、それぞれの現状レベルを、本人に記入させた後、指導員から見たレベルを伝えます。大事なのは、自社に必要な人材にはどんな「知識・技術・態度」を持ってほしいのかを改めて書き出してみることです。ただ、あまりに多くなると教える側も教わる側も大変なので、厳選して少なめにまとめるのがコツです。

行動目標をレベル分けして目的地をはっきりさせる 相手の現状のレベル把握ができたなら、次はその人にどうなってほしいのか「目標のレベル検討」が必要になります。目標とは、少し幅広い意味で、相手にここまでたどり着いてほしいと願う到達状態を指します。もう少し細かくすると、「知識・技術・態度」それぞれに関して、「こうなってほしい」という状態で表現するのが、行動目標となります。 知識であれば、教えたことによって理解したかどうかは、外から判断できないので、「 ~について説明できる」といった行動目標になります。技術であれば、教わる相手に実際にやってもらうことが、「 ~ができる」という行動目標になります。態度は言動が外側に表れるので、「(今までできなかったのに) ~をできるようになる」という行動目標が立てられます。行動目標の例をまとめると以下のようになります。 ●知識 ~を説明できる、 ~に関するキーワードを言える ●技術 ~ができる、 ~を動かせる、 ~を使える ●態度 ~をするようになる、 ~をしなくなる 知識として、商品の説明ができるようになった。技術として、報告書が書けるようになった。態度として、朝、元気よく挨拶するようになった、と考えると分かりやすいかもしれません。 また、行動目標は厳密に3つに分けきれず、重なるようなものも出てくると思います。例えば「エクセルのマクロが使えるようになる」ためには、そのための知識(使う関数)と技術(実際の操作方法)が必要になり、知識と技術を分けることは難しくなります。そのときは「エクセルのマクロが使える」という目標をもう少し細かく分けて、「関数の知識を身につける」と「実際の操作する技術を身につける」というように、2つの目標にしてみてください。 これらの行動目標の現状レベルが、例えば「 2」であったと判断したときに、目標レベルを「 4」としたとします。客観的なテストや診断がないのであれば、このあたりの判断は教える皆さんの主観で結構です。例えば、職場の「できる先輩」が、ある技術に関するレベルが「 5」であると考えたとします。そこまではいけなくても、普通の「 3」以上になってほしいといった時に、「 4」という数字を設定するようなイメージです。 大事なのは、「現状のレベル把握」と「目標のレベル検討」という行動をとることです。多くの教え下手は、こういうことすら考えずに、一方的に持っている知識、技術を教えようとするため、「結局、何をどこまで教えたらいいんだっけ?」と、目的地が分からなくなり迷子になってしまうのです。 また、このように「メジャー(物差し)」で測ろうとすることで、「自分と相手は違う」ということを再認識しやすくなります。仮に、仕事に慣れている自分の現状レベルを「 4」としたならば、初めてその仕事をする相手には、自分と同じレベルを期待しないからです。「この仕事を長くやっている自分ですら、 4ぐらいだったら、新人さんは当然、このレベルじゃないよな」と冷静に考えるきっかけになるのです。 上記の例のように、相手の「現状レベル」が「 2」、「目標レベル」が「 4」だということを知ることが教えることの第一歩になります。「イラっ」としたら、4つのタイプで考えよう「自分と相手は違う」というのを、教えていて特に実感するのは、教える相手とのタイプ(性格)の違いでしょう。「自分だったら、こうするのに、何でこの人は……」とイラっとするとき、もしかするとその原因はお互いのタイプの違いにあるのかもしれません。 タイプ論には多くのものがあるのですが、この本では、教育コンサルタントの八尾芳樹先生らが開発された「 SPトランプによる4つのタイプ」という考え方を紹介します。この「 SPトランプによる4つのタイプ」では、教える相手のタイプ(性格)を大まかに把握するために、 2軸「能動的・受動的」「感覚的・論理的」で相手を観察します。 まず、その人が「能動的」か「受動的」か、を考えます。 主には、普段の言動から次のような特徴が見られれば、それぞれ「能動的」「受動的」と判断します。迷ったら、「どちらかというと ○ ○」で結構です。 【能動的 】 ●自分から話しかけてくる ●自分の意見を主張する ●積極的 【受動的 】 ●あまり自分の意見を言わない ●聞き役に回ることが多い ●消極的 次に、その人が「感覚的」か「論理的」か、を考えます。 【感覚的 】 ●感情を表に出す ●直感的 ●あまり深く考えているように見えない 【論理的 】 ●感情を抑える ●ビジネスライク ●理路整然と話す それら 2軸をあわせると、次の「4つのタイプ(性格)」が出てきます。

それぞれのタイプの概要と、教える際の留意点を紹介します。「 SPトランプの4つのタイプ」で、私たち教える側が留意すべきは2つです。相手の「学習方法」と私たちの「指導傾向」です。自分と相手が同じタイプであれば、お互いの「学習に対する考え方」も似たものである可能性が高いと考えられます。

例えば、自分も相手も「ハート型」であり、お互い「まず体験することを好む」だとします。そうであれば、ハート型の「細かく指導せず、まずは体験させる」という「指導傾向」は、同じハート型の相手にとっても学びやすい「学習方法」になります。 ところが、自分と相手のタイプが違った場合、それぞれの「学習に対する考え方」も変わる可能性があります。例えば、「クラブ型」は「リスクが少なく」「納得いくまで時間をかけて」学びたい傾向があるとします。その相手に対して、例えば、教える側の「ハート型」が自分の指導傾向である「体験重視」で、「とりあえずやってみて」と説明もそこそこにやらせたとしたら、クラブ型の相手は戸惑ってしまうでしょう。「なぜ、この人は十分な説明もなく、いきなりやらせるのか」と不信感を抱かせてしまうかもしれません。 私たちはつい「自分が学んできたやり方」で教えがちです。「まず体験することを通じて学んできた」のであれば、その学習方法を、相手にも強要しがちです。「事前にじっくり情報収集してから動く」という学び方をしてきた人は、そのやり方を教える際にも使います。「自分はこうやって学んできたのだから」と、教える側として「良かれ」と思ってやってしまうのです。 しかし、それは相手が自分と同じタイプであれば有効なやり方なのですが、もし違った場合は、微調整が必要なのです。教えることの本質である「自分と相手は違う人」を思い返してください。皆が皆、自分と同じように学んできたとは限らないということです。相手のタイプを知ることで、相手に合った教え方ができる可能性が高まります。 ただ、あくまでこれらの「4つのタイプ」は、相手との違いを理解するための参考程度としてください。「あいつはハート型だから」「あの人は、クラブ型だから」と決め付けてしまうと、逆に見落とす点が出てきますし、決め付けられた相手も愉快な気分ではないでしょう。 お勧めしたいのは、相手に教えていて「何か上手くいかないとき」「相手に対してイラっとすることが多いとき」に、この4つのタイプを参照することです。そうすると「上手くいかない原因」や「イラっとする理由」が、自分と相手のタイプ(性格)の違いにあることに気づくことが多いからです。 実際に、私の企業研修を受講された方で、自分の部下と上手く折り合いがつかないと悩まれていた方が、この「4つのタイプ」を参考に教え方を変えたところ、関係が好転し、今まででは考えられないくらい上手くやっているという事例がありました。 最初から「この人は ○ ○タイプ」と決め付けるのではなく、自然体で接する中で違和感があったときに「この人は ○ ○タイプだから、こういう行動をとるんだな」「だったら、自分はこういう対応をしてみよう」と、微調整するツールとして役立ててもらえたらと思います。 IBMの調査で分かった文化の「4つの次元」 最後に、生まれ育った国によるカルチャー(文化)の違いについて触れます。私たちが教える相手は、日本人とは限りません。外国籍の方々を相手にすることも増えてきています。 そこでカルチャー(文化)の違いを理解するために、役立つ考え方として「4つの次元」を紹介します。これは世界中で仕事をしていた IBM社員に対して行われた調査をもとに作り出されたものです。国による文化の違いを分かりやすく表現していますので、教える際の参考にしてみてください。「4つの次元」は次のとおりです。 【権力の格差 】(小 ⇔ 大) その国に社会的不平等がどのくらいあるのかを見る指標です。権力が不平等に分布している状態を、その国の人たちがどの程度受け入れているのかを見ます。 【集団主義 対 個人主義 】 集団主義の国は、集団内の結びつきが強く、集団の利害が個人よりも優先されます。個人主義の国では、自分の利害を中心に考えます。 【女性らしさ 対 男性らしさ 】 この場合の「女性らしさ」とは、謙虚な態度を望ましいと考えることであり、「男性らしさ」とは、自己主張の強い態度を望ましいと考えることになります。「男性らしさ」を特徴とする社会では「性別役割」がはっきりと分かれていて、「女性らしさ」では、はっきりと分かれていません。 【不確実性の回避 】(弱 ⇔ 強) これはその国が、曖昧さに対してどのくらい寛容なのかを見る指標です。不確実な状況や未知の状況に対して、その国の人たちがどのくらい脅威を感じるのかを見ます。 これら「4つの次元」は、国ごとに違います。例えば、日本は「権力の格差」は中くらい、「集団主義」で「男性らしさ」の文化があり「不確実性の回避」は強い国であるという調査結果が出ています。つまり、皆だいたい平等で、それぞれの仲間を大事にし、男女の役割分担が明確で、曖昧さに不安を感じるというのが、日本文化だということです。私たち一人ひとりにどのくらい当てはまるかは分かりませんが、国全体の文化の傾向を知る意味では参考になると思います。 日本の例を参考に、私たちが教える相手として、いくつかの国々を取り上げてみましょう。調査された 53か国中の順位を次に示します。 例えば、マレーシアを見ると、「権力格差」が 1位で、「不確実性回避」が 46位です。おそらくマレーシアという国では、上下の関係が強くありそうで、かつ先のことは分からないと思っている人たちが多そうです。であるならば、あまり将来の目標や緻密な計画を示す必要はないかもしれません。それよりも、上の人が下の人に対して声をかけ、親しく話をする方が自国に比べると珍しい分、よりインパクトを与えることになるかもしれません。 実際、筆者がマレーシアにある日本企業を訪問し、現地スタッフとのやり取りをインタビューした際には、「(日本人の)社長が、末端の従業員の働きを誉めてくれることに驚いた」という声がありました。

中国がこの調査結果から抜けているのは残念ですが、中国独自で行った調査では、「長期的 対 短期的」という次元も中国においては出てきています。よく「中国 4000年の歴史」という言い方をしますが、そういう長期的な目線で物事を見ているというのは、中国の方にはもしかしたらあるのかもしれませんね。 ただ、これらもあくまで参考程度にとどめてください。「外国人だから、よく分からない」「そんな相手に教えるのは無理」と、すぐに諦めてしまう前に「4つの次元」という考え方を通して「そういう側面もあるんだな」と、教える際のヒントにしてもらえたらと思います。そして、まずは相手と色々話をしてみてください。違う国の人とはいえ、話してみると意外と共通点も見つかるかもしれません。

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次