はじめに
なぜ、あなたは目標を達成できたのですか?なぜ、他の多くの人は目標を達成できないのでしょうか?誰もが実現できるわけではない高い目標を達成した人に、この質問を投げかけたとしても、はっきりと納得のできる答えは得られないものです。
多くの人が考える答えは「才能があったからだ」というものです。つまり「人には生まれつき向き不向きがある」というわけです。しかし、この答えには科学的な裏付けが欠けています。
実際、これまでの多くの心理学の調査によっても、仕事や私生活で目標を達成した、いわゆる〝成功者〟と呼ばれる人たちには、共通する思考や行動のパターンがあることが明らかになっています。
つまり「才能が成功に導いた」のではなく、彼らは「ある種の思考や行動によって、自らを成功に導いている」のです。
本書では、こうした目標を達成できる人に共通する思考や行動を「9つの習慣」にまとめて紹介していきます。これまで多くの心理学者が、目標達成とそのためのモチベーションについて何千という研究を重ねてきました。
それらの研究によると、本書で「9つの習慣」として紹介する、ある種の思考や行動のパターンは、本人がまったく意識していない場合も多いのです。
しかし、「9つの習慣」が目標達成に最も寄与しているというのは、何十年にもわたる心理学の研究結果から明らかな事実です。「9つの習慣」の一つひとつは、驚くほどあたりまえのことに感じられるでしょう。
それに、それぞれを実行に移すことも、それほど難しくはありません。
しかし、「あたりまえで、簡単に実行できる」ことと「誰もがあたりまえに実行している」ことはイコールではありません。
「こんなことは知っているさ」─あなたは、本書を読んでそう思うかもしれません。「なるほどね」と思うこともあるでしょうし、「それは知らなかった」と気づきを得ることもあるはずです。
いずれにしろ「これまで目標達成のためにやってきたことは正しかったんだ」と再確認すること。そして「ここは間違っていたんだ」と気がつくこと。その両者から学ぶことがあるはずです。
最も大切なのは、本書で得る知識を、実際の行動に落とし込むこと─それを忘れずに本書を読み進めていけば、あなたが目標を達成する日も遠くはないはずです。
ハイディ・グラント・ハルバーソン
はじめに第1章目標に具体性を与える第1章のまとめ
第2章目標達成への行動計画をつくる第2章のまとめ
第3章目標までの距離を意識する第3章のまとめ
第4章現実的楽観主義者になる第4章のまとめ
第5章「成長すること」に集中する第5章のまとめ
第6章「やり抜く力」を持つ第6章のまとめ
第7章筋肉を鍛えるように意志力を鍛える第7章のまとめ
第8章自分を追い込まない第8章のまとめ
第9章「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する
第9章のまとめおわりに参考文献
第1章目標に具体性を与えるGetSpecific
目標について、私がいつも最初に教えること─それは「具体的にしなさい」ということです。例えば、「やせたい」と思うのならば、目標は「やせる」ではなく「5キロやせる」とするべきなのです。
なぜ、前者より後者の方が好ましい目標なのでしょうか。それは、後者の方が、求める成功の姿をはっきりと見せてくれるからです。
「自分が望んでいるものは何か」─これをはっきりとわかっている人は、そこに到達するまでやり抜くことができます。
具体的な目標を決めたら、そのために必要な行動は何かを具体的にすることも大切です。「いつまでに、何をするのか」を決めるのです。
具体的な目標は、やり抜く力を与えてくれる「できるだけ食べないようにする」あるいは「もっと睡眠時間を取るようにする」といった目標はあいまいすぎます。
睡眠時間を長くしたいなら、目標はこうするべきです。「平日の夜は、午後10時までにベッドで横になる」これなら自分が何をすべきなのかが、具体的になります。
実行できなかった日にも、それがはっきりとわかります。学生たちに人生の目標を聞くと、「仕事で結果を出したい」「健康的な食生活をしたい」といった返事が返ってきます。
そんな人に私は続けてこう質問します。
「どうなったら、目標を達成できたと言えるでしょうか?」「目標を達成したときのイメージを思い描くことができますか?」たいていの人は、こう質問されると答えられなくなってしまいます。
あるいは、困った顔をして、「そこまでは考えていなかった」という答えが返ってきます。まずは、具体的かつ詳細に、自分が達成したいことを考え抜くことが大事です。
目標が具体的でないから、ついつい「このくらいでいいや」などと自分を甘やかしたり、簡単に妥協してしまうのです。
目標達成のために「やるべきこと」を具体化する
目標を具体的かつ詳細にイメージできると、「何をやるべきか」が具体的なステップとして明らかになります。
例えば「母親との関係を良くする」という目標を掲げたとしましょう。しかしこのままでは、どうなったら目標が達成できたのかがわかりません。
ですから、目標はこうするのです。「母と週に2回以上、ゆっくりと話をする時間を取る」こうすると、自分のやるべきこと、そして、どれだけやるべきなのかが明確になります。
これまでの数千もの心理学の研究結果から、わかっている事実があります。それは「目標を達成するには、その目標が具体的になっていなければならない」ということです。
仕事で結果を出したいなら「年収を()上げる」「()に昇進する」というように目標に具体性を与えなければなりません。
誰にでも、気が向かないとき、サボりたくなるとき、あきるとき、落ち込むときがあります。そんなときに、目標に具体性がないと、簡単に、楽な方へと流されてしまいます。
そうならないために、目標は具体的にする必要があるのです。目標が具体的なら、それが実現したときには、はっきりとわかります。反対に、実現できなかったときにも、何が原因かが、やはりはっきりとわかるのです。
メンタル・コントラストで成功確率を高める
「目標に具体性を与える」というのが、まず第一に大事なことでした。
次に大事なことは「目標達成のために何をすべきか」と同時に「目標達成への障害になるものは何か」を明確にすることです。
「私にとって成功とは何か」そして「成功への障害は何か」この2つを繰り返し心の中で考えることは、とても大事なことです。
この心の中の作業を、心理学では「メンタル・コントラスト」と呼びます。メンタル・コントラストは、目標をつかむ強い心構えを持つためにとても有効な方法です。
このテクニックの具体的方法は以下の通りです。
1目標を達成し、成功したときの「感情」をしっかりと味わう。
2心の中で、そのときに起きていることを明瞭にイメージする。
・周囲の様子はどうなっているでしょうか?・どんな声が聞こえてくるでしょうか?
3そこに至るまでの、障害を考える。
例えば「今より給料のいい業界トップの企業に就職する」という目標を持ったとしましょう。最初にするべきは、その企業から採用通知をもらった時に感じるうれしさや興奮を味わうことです。
次に、そのときの自分の姿や周囲の様子、友達や恋人や両親と一緒に喜んでいる姿をありありとイメージします。さらに、今のあなたと採用通知を受け取ったあなたの差(=コントラスト)を考えてみるのです。
メンタル・コントラストに取り組んでみると、例えば「私と同じ考えの応募者が何十人もいるかもしれない」といったことに思い至ります。そのことによって「この応募書類では弱い」と気づき「履歴書を書き直す」という行動ができるのです。
このように「目標を達成するために必要なことは何か」をしっかりと意識化し、具体的な行動に落とし込むことが重要です。
成功した自分を想像するのは楽しいことですが、それだけでは本当に成功をつかむことはできません。
メンタル・コントラストを実践することによって、「今自分に足りないものは何なのか」そして「何をすべきか」がはっきりと自覚できます。それによって、「望み」「願望」を、手の届く「現実」にできるのです。
私が仲間の心理学者と行った実験でも、入試勉強をしている15歳の学生から、管理職のビジネスパーソン、婚活中の独身男女、患者とのコミュニケーション・スキルを高めたい看護師に至るまで、結果は常に同じでした。
メンタル・コントラストを習慣的に活用することによって、意欲を高め、より良いプランニングをし、努力を積み重ねられるようになります。その結果、成功の確率を高めることができるのです。
成功を望むなら、成功をイメージすると同時に、そこまでの障害をイメージすること。そして、成功した自分と今の自分のコントラストを考えること。このことを忘れないでください。
第1章のまとめ
1目標を紙に書く。(例)目標:仕事で結果を出す。 目標:やせる。
2どうなったら「目標を達成した」と言えるかを考える。(例)達成基準:上司から部長昇進の辞令をもらう。達成基準:8号のジーンズをはけるようになる。
3目標を書き直す。(例)目標:部長に昇進する。目標:8号のジーンズをはく。
4メンタル・コントラストを活用する。「目標を達成して得られること」「そこに至るまでに考えられる障害」をそれぞれ2つずつあげる。(例)目標:部長に昇進する。得られること:①給料が高くなる。②会社の戦略に関わることができる。障害:①ライバルの同僚。②上司の考えが今ひとつ、つかめないこと。
5メンタル・コントラストを深める。書き出した「得られること」を味わってみる。次に、書き出した「障害」を見直す。
・それは本当に障害でしょうか?・なぜ障害になっているのでしょうか?
1~5のプロセスで、目標を達成する自信とやる気が高まると同時に、決意が固まるのを感じることができるはずです。さらに、具体的に何をやるべきかも明確になるでしょう。
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