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第2章「細胞記憶」を癒せば、問題は消える

第2章「細胞記憶」を癒せば、問題は消える人生で何かうまくいっていないことがあるのはすぐにわかる。

痛みや不安を嫌でも自覚してしまうからだ。

もしかしたら歯が痛いのかもしれないし、10代の息子が夜中になってもまだ家に帰ってこないので、ずっと眠れずにいるのかもしれない。

ここで難しいのは、そういった問題の根源を探り、ただ症状を消すのではなく、問題を根源から取り除くことだ。

人間は、現在の状況が問題のすべてだと考える傾向があるが、その認識はたいてい間違っている。

問題の根源をどうにかするのではなく、ただ外側の状況を変えることにエネルギーを注いでいると、かえってストレスが増えてしまうのだ!ここ50年ほどの間、特に最近の15年間で、痛みや不安といった症状の正体が科学的な研究によって明らかになってきた。

症状の原因は、あなたの身体でもなければ、あなたを取り巻く環境でもない。

あなたの無意識や潜在意識の中に眠っている見えない問題が、本当の原因だ。

科学者たちは、その問題を「細胞記憶」と呼んでいる。

細胞記憶とはいったいどういうものなのか。

実のところ、普通の記憶とほぼ同じものだ。

わざわざ「細胞」という言葉を頭につけているのは、記憶は頭の中にあるものだという先入観があるからにすぎない。

しかし最新の研究によって、記憶は身体中のすべての細胞に保存されていることが明らかになった。

とはいえ、名前は違っても記憶は記憶なので、本書ではシンプルな「記憶」という言葉を使うことにする。

また、それと同じ意味で「スピリチュアル・ハート」という言葉を使っている。

「細胞記憶」も「記憶」も「スピリチュアル・ハート」も、または「潜在意識」も「無意識」も、すべてだいたい同じような意味だ。

どれも「記憶が保存されている場所」であり、また人生のあらゆる問題が生まれる場所でもある。

2004年9月12日、「ダラス・モーニングニュース」紙に、ある医学の発見についての記事が掲載された。

テキサス州ダラスにあるサウスウェスタン大学の医学部で行われていた研究が完了し、人間の記憶についての新事実が明らかになった。

記憶は脳だけでなく、身体中の細胞にも保存されているというのだ。

さらにその研究によると、その「細胞記憶」があらゆる身体の不調や病気の原因になっている。

新聞にはハーバード大学のエリック・ネスラー医師へのインタビューも掲載されていた(注1)。

この記事は、世界中の新聞に再掲載された。

そして2004年10月、「ダラス・モーニングニュース」紙はこの発見をさらに詳しく伝えた。

今度の記事の見出しは「細胞は忘れる」だ。

ここで記事の一部を引用しよう。

少し長くなるが、ぜひ読んでもらいたい。

最新の研究によると、自然界に存在するすべての生き物が、脳の力に頼らずに細胞や臓器に記憶を保存しているという。

どうやらこの細胞記憶が、健康な人生と死を分けるカギになっているようだ。

ガンの原因は、いい細胞記憶が悪い細胞記憶に置き換わったことにあるのかもしれない。

心のトラウマ、依存症、うつ病なども、すべて細胞の中にある異常な記憶のせいで悪化しているのかもしれない。

年をとってから現れる病気は、迷子になっていた記憶が加齢とともに細胞に組み込まれるからかもしれない。

脳に保存されている本物の記憶さえ、どうやら細胞に組み込まれた記憶に頼っているようだ。

今後の研究課題は、細胞が記憶を獲得するメカニズムを解明し、病気を根本から治療する方法を探ることだ。

「病気の治癒に向けて画期的な一歩を踏み出したと言えるだろう」とエリック・ネスラー医師は言う。

ネスラー医師によると、現在の治療法は絆創膏を貼ることと大差はないという。

ただ症状に対処するだけで、根本から治療しているわけではないからだ。

「この発見によって、異常な状態を根本から正常に戻す方法が見つかるかもしれない」と同医師は言う(注2)。

記事はこれに続けて、ネスラー医師をはじめ、スーザン・リンドキスト博士、ノーベル賞科学者のエリック・カンデル博士などの細胞生物学者たちによる発見を紹介している。

その発見によると、細胞の中には、ある特定の遺伝子を使うための信号を出す化学マーカーがあるという。

ネズミを使った実験によると、母ネズミに体をなめてもらった子ネズミは、恐怖の感情を司る遺伝子の化学マーカーが変化し、生涯にわたって恐怖を感じることが少なくなったという。

つまり幼少期に母親の愛を受けると、一生続く脳のプログラムが作られるということだ(注3)。

愛は恐怖の解毒剤になるということ、そして愛も恐怖も細胞レベルの感情であるということが、科学的に証明されたのだ。

また、外側からの影響によって、何の問題もない細胞が「洗脳」されるということも明らかになった。

「正常な細胞が再プログラムされることで、異常な成長をするようになる」と、先ほどの記事にも書かれている(注4)。

細胞記憶の力については、臓器移植を受けた人の体験談などから知っている人もいるかもしれない。

たとえば、クレア・シルヴィアの例が有名だろう。

彼女は自分の体験を『記憶する心臓』(角川書店)という本にも書いている。

シルヴィアは1988年、イェール・ニューヘイブン病院で心臓と肺の移植手術を受けた。

その後、自分の性格が大きく変わったことに気づく。

ダンサー兼振付師で、健康には特に気を使っていたのに、なぜか突然ケンタッキー・フライドチキンが無性に食べたくなったのだ。

それに、手術前は鮮やかな赤やオレンジの服を好んで着ていたが、手術後はなぜか青や緑が好きになった。

それに性格が攻撃的になった。

以前の彼女なら考えられないことだ。

いろいろと調べてみた結果、どうやら彼女の新しい性格は、臓器提供者の性格だったようだ。

この現象は、細胞記憶で説明できるだろう(注5)。

ウィスコンシン大学の研究者、ブルース・リプトン博士は、筋肉が衰える理由を探るために、筋肉細胞のクローンを作っていた。

そのとき博士は、個々の筋肉細胞が、自分を取り巻く環境をどう「解釈」するかによって、反応したり、変化したりすることを突き止めた。

実際の環境ではなく、自分の解釈のほうに影響を受けるのだ。

博士はさらに研究を重ね、人間も同じだということを発見した。

私たちもまた、実際の環境ではなく、その環境をどう解釈するかということから影響を受け、反応したり、変化したりする。

この「解釈」を別の言葉にするなら、「思い込み」になるだろう(注6)。

リプトン博士によると、ほぼすべての健康問題は、潜在意識の中にある間違った思い込みから生まれている。

私自身も、この分野の研究についていろいろ調べてみた。

その結果、リプトン博士の「潜在意識の思い込み」は、ネスラー医師の「細胞記憶」とまったく同じものだと確信するようになった。

この地球上に暮らすすべての人が、細胞記憶の影響を受けている。

病気の人や、人生がうまくいっていない人だけではない。

細胞記憶(または潜在意識の思い込み)は、いずれ必ず外側の現象として現れる。

ニューヨーク大学医学部のジョン・サーノ博士は、精神身体学の分野で画期的な発見をした。

精神身体学とは、身体の不調と精神の関係を探る学問で、博士が主に研究していたのは腰痛だ(注7)。

サーノ博士によると、大人になってからの慢性的な痛みや病気は、悪い細胞記憶が原因になっている。

だからまず記憶を癒やせば、慢性的な痛みも自然に消えるという。

ストレスへの反応を決める「樽効果」世界的に有名な小児アレルギー専門医のドリス・ラップ医師は、もう何年も前になるが、子供たちを助けるために、医学の主流派をあえて飛び出す選択をした。

現在、世界中の多くの人たちが、ラップ医師のおかげで人生が変わったと感謝している。

ベストセラーになった『子供のアレルギーを発見する(IsThisYourChild?)』(日本では未訳)という本の中で、ラップ医師は「樽効果」という考え方を紹介している(注8)。

人生で経験するストレスは、すべて心の中にある樽に保存されていると考えてみよう。

樽が満杯になっていないなら、新しいストレスが入ってきても大丈夫だ。

誰かに怒られたり、何かが思い通りにいかなかったりしても、肉体も精神も適切に対処することができる。

しかし樽が満杯になると、ほんの小さなストレスでも我慢できなくなってしまう──これが樽効果の仕組みだ。

たとえば、前の日にピーナッツを食べて、特に何事もなかったとしよう。

それなのに今日になったら、一つ食べただけでアレルギー反応が出てしまった。

昨日は大丈夫だったのに、これはいったいどういうことだろう?答えは、「ピーナッツは原因であって原因でない」、となる。

たしかにアレルギー反応を引き起こしたのはピーナッツだ。

とはいえ、ストレスの樽がまだ満杯になっていなかったら、アレルギー反応は出なかっただろう。

本当の原因は、ピーナッツではなく、ストレスだ(もっと正確に言えば、心の中にあるストレスの「種」だ)。

昨日と今日で違うのは、あなたのストレスのレベルだけだ。

この樽効果という考え方は、肉体と精神の両方に当てはまる。

子供のいる人なら、実際に経験があるだろう。

たとえば2歳の子供に、もう遊びをやめておうちに帰りましょうと言ったとしよう。

水曜日には素直に言うことを聞いたのに、日曜日になったら猛烈に嫌がってかんしゃくを起こす。

他の条件はすべて同じだ。

同じ時間に、同じ公園で、かけた言葉もまったく同じ。

子供の反応は、自分の中にあるストレスのレベルで決まる。

ストレスの樽が満杯になると、その子の中では、公園を去ることがまるで命にかかわる脅威のように解釈されるのだ。

つまり人間は、ストレスの樽が満杯の状態では正常に機能しない仕組みになっている。

それなのに樽を満杯のままにしていると、心身にさまざまな問題が起こることになるのだ。

また、脅威を感じたときに分泌されるアドレナリンの量は、ストレスの大きさによって決まっている。

ストレスが大きければ分泌量も多く、ストレスが小さければ少ない。

そしてアドレナリンが多いほど、細胞の記憶がいつまでも鮮明に残ることになる。

人間の精神は、つねに経験に優先順位をつけている。

最優先されるのは、やはり命にかかわる経験だ。

そして優先順位を決める基準は、記憶の中でも恐怖をベースにした記憶になる。

これを読めば、嫌なことばかり覚えている理由がよくわかるだろう。

潜在意識が、役に立たないプログラムに占領されている状態だ。

ストレスだらけの記憶が、今この瞬間も、あなたの人生をむしばんでいる。

ストレスの樽には、なんと前の世代の記憶も詰まっている。

穏やかな子供時代を送り、大きなトラウマを経験しないで生きてきた人も、どういうわけか自分にまったく自信がなかったり、抑うつ状態だったり、健康問題を抱えていたり、依存症に苦しんでいたりする。

私のクライアントの中にも、このカテゴリーに入る人がたくさんいた。

そして原因を探っていくと、何世代も前に経験したトラウマの存在が明らかになる。

つまり、あなたに影響を与えている記憶は、あなた自身の記憶でさえないかもしれないということだ。

世代を超えた記憶があるからこそ、ある家系に同じ思考や感情、パターンがくり返されたりするのだろう。

しかし、たとえ原因が前の世代にあっても、現在苦しんでいる人からストレスを取り除けば、その人を癒やすことができる。

私のクライアントで、問題の原因は100年以上も前の出来事だったことを突き止めた人がいる。

彼女の家族の歴史を探ってみたところ、南北戦争のさなかに、彼女の曾祖母が目の前で夫と3人の息子を敵軍に殺され、自宅も焼失したという経験をしていたことがわかった。

その女性の苦痛と悲しみはいかばかりのものだっただろうか。

生涯にわたって大きなストレスを抱え、健康にも影響があったに違いない。

彼女はそのストレスの記憶と、記憶が生み出す症状を、子孫たちにも受け渡した。

たとえ長い年月が流れ、そんな出来事がすっかり忘れ去られても、記憶はしっかりと受け継がれる。

しかし、このストレスを癒やす方法がないわけではない。

原因となっている過去の記憶がはっきりすれば、ストレスを根本から取り除くことができる。

その方法についてはパート3で説明しよう。

ここまで紹介したような専門家たちの研究を比べてみると、みな同じことを言っているのがわかるだろう。

あらゆる問題の原因は、潜在意識(または細胞記憶)にあるのだ。

過去の記憶と関連するような何かが起こると、それが引き金となって、身体がストレス反応を起こすことになる。

「細胞記憶」はどうやって問題を引き起こすのか人間の身体は7×10の27乗個の原子でできている。

あなたの身体にあるそのすべての原子は、あなたの思考から影響を受けている。

何か新しいことを考えるたびに、脳の中では新しい神経の通り道が作られる。

ある出来事が、いつも同じ感情や思考を引き起こすというのは、その出来事を最初に経験したときに神経の通り道が確立されたからだ。

この神経の通り道が作り出すネットワークが、あなたの細胞記憶だ。

同じことを経験するたびに、同じ記憶が呼び起こされる。

ここでの問題は、ほとんどの反応が自動的に引き起こされるということだ。

これまでの人生でいいお手本に恵まれ、健全に成長してきた人は、おそらく現在はとてもいい人生を送っているだろう。

しかし、過去に経験した大きなトラウマがまだ癒えていない人は(自分自身のトラウマであっても、前の世代のトラウマであっても)、細胞記憶が引き起こすネガティブな経験にずっと悩まされているはずだ。

あなたの脳は、細胞記憶を基準にしてどう反応するかを決めている。

ある状況に対処するとき、自分では一人の大人として理性的に対処していると思っているだろう。

自分の頭で考え、決断を下していると信じている。

しかし実際は、潜在意識が過去の記憶を探り、今、受けている刺激にいちばんマッチする記憶を引き出しているのだ。

研究によると、人間の知覚(視覚、嗅覚、触覚など)はほんの1秒で消えるという。

つまり、1秒たってから感じていることは、実際の知覚とはまったく関係がなく、記憶の銀行から引き出したものを感じているということだ(注9)。

昔から言われているように、「人は物事をありのままに見るのではなく、自分の解釈で見ている」ということだ(注10)。

潜在意識が見つけた記憶が幸せな記憶なら、目の前の刺激に対する反応もポジティブになる。

逆にそれがつらい記憶だったら、怒りや恐怖で反応することになる。

恐怖をベースにした記憶は、心にも身体にもネガティブな症状を引き起こす。

記憶の働きは携帯電話に似ていて、つねにメッセージを発したり受け取ったりしている。

記憶から送られてきた恐怖のシグナルを視床下部が受け取る

と、ストレス反応が引き起こされる。

そう、これがすべての問題の根源だ。

「戦うか、それとも逃げるか」反応が発動し、視床下部がコルチゾールなどのストレスホルモンを大量に分泌する。

すると人間の身体は苦痛と快楽のプログラミングに従って動くようになり、とにかく目の前の苦痛や恐怖からなんとしてでも逃れようとする。

脳の中では、理性的な思考を司る機能がシャットダウンされ、戦うか逃げるか以外の選択肢がまったく思いつかなくなる。

そのストレスが、すべての問題の原因だ。

病気になる、疲れる、頭が働かなくなる、ネガティブになる、失敗するなど、とにかくあらゆる種類のネガティブな症状を引き起こす。

これで仕組みがわかっただろうか?この仕組みは、顕在意識を使った意思決定や行動にとっても重要な意味を持っている。

人が何らかの行動を起こすとき、「それをしよう」と決断する直前に、脳内で大量の化学物質が分泌される。

その物質からの指令でどんな行動をとるかを決め、その瞬間にすでに身体の筋肉が動き出している──すべて、顕在意識が行動を決めるまでの、ほんの一瞬の出来事だ。

つまり、自分の意志で決めたと思っていても、実はあらかじめ存在するプログラムに従っていたということだ。

ここでの顕在意識の役割は、無意識や潜在意識がすでに決めていたことに対して、あとからもっともらしい理由をつけることだけだ。

「ナショナル・ジオグラフィック」誌は、この現象を「意図という幻想」と呼んでいる(注11)。

心配事のほとんどが起こらない理由ここであなたに質問をしたい。

あなたの頑固な思い込みは何だろう?アメリカは、世界でも有数の豊かで恵まれた国だ。

それなのに、多くのアメリカ人がお金の問題で大きなストレスを抱えている。

それは、周りと自分を比べているからだ。

お金の問題を抱えた人が相談に来ると、私はいつもこう質問する。

「住む家はありますか?食べるものはありますか?電気は来ていますか?」。

するとほぼ全員が「はい」と答える。

彼らはたいてい、絶対に起こらないことを心配している──それに、たとえ何か大きなものを失ったとしても、住む家と食べ物までなくなることはない。

彼らのストレスの源は、心の中にある恐怖のプログラミングだ。

そのプログラミングのせいで、他人と自分を比べ、特に命にかかわる危機ではないのに、大きなストレスを抱えることになる。

「苦痛と快楽のプログラミング」に抵抗できる人はめったにいない。

意志の力は役に立たない。

意志の力が働く前に、すでに引き金は引かれているからだ。

本当の治療とは記憶を癒やすこと記憶を癒やさなければ、本当の意味で癒やされることはない──これは、心の問題だけでなく、身体の問題にも当てはまる。

現在の状況で、何か気に入らないこと、満足できないことがあると、記憶の銀行の中から似たような経験と、その経験のためのプログラミングが引き出される。

言い換えると、恐怖をベースにした記憶を、何度も何度も再現しているということだ。

自分の人生でいつも同じパターンだと思うことがあるのなら、その根源には記憶がある。

恐怖をベースにしたプログラミングが、現在のあなたの状況を決めているのだ。

ここまで読んだ人なら、もう意志の力や一般的なセラピーに効果がない理由がよくわかっているだろう。

それは、問題の根源を解決しないからだ。

ハードディスクにすみ着いているコンピューターウィルスを見つけ、ウィルスを駆除してプログラムを組み直さなければならない。

そうすれば、もう恐怖のシグナルが送られてこなくなるので、免疫機能が正常になり、持っている力を発揮できるようになる。

そして恐怖が消えて、愛、喜び、平安に置き換わると、身体が本来の機能を取り戻し、あらゆるポジティブな症状が現れるようになる。

そのために必要なのは、言葉や意志の力ではない。

その目的のために特別にデザインされ、実際に効果が証明されたツールが必要になる(注12)。

記憶の嘘を見抜く細胞のマーカーを操作する方法については、まだ研究の段階だ。

しかし嬉しいことに、科学の新発見を待たなくても、記憶の再プログラミングは今すぐにでも可能なのだ。

でも、ちょっと待った。

過去にすでに起こってしまったことは、今さら変えられないのでは?特に、自分の体験ではなく、何世代も前に起こったことだったら、もうどうしようもないのではないか?潜在意識(または無意識)にとっては、過去も未来も存在しない。

ただ現在があるだけだ。

すべては目の前にあり、生の体験として今この瞬間に起こっている。

たとえ過去の記憶でも、無意識にとっては現在のこととして認識されている。

そのため、今この瞬間に、その記憶にアクセスすることができる。

問題の根源である記憶を探し当て、癒やす方法については、パート3で詳しく説明しよう。

とりあえず今のところは、大まかな流れをつかんでもらいたい。

仕組みをきちんと理解してから実践に移ろう。

記憶を癒やす最初のステップは、その記憶を作った出来事の本当の姿を理解することだ。

恐怖を引き起こす記憶は、すべてもととなった出来事を間違って解釈して生まれている。

一つの例外もなく、すべてそうだ。

たとえば、ストレスや恐怖心の原因は母親の死だと思っていても、本当の原因は、母親が死んだら自分は立ち直れないという間違った思い込みにある。

ガンと診断されたことが原因だと思っていても、本当の原因は、ガンになったら人生は終わりだという間違った思い込みだ。

過去の出来事がトラウマと呼べるレベルのものかどうかは、ここでは関係ない。

大切なのは、記憶を癒やし、恐怖のシグナルが出ないようにすることだ。

過去のつらい記憶から作られた嘘を見抜いて取り除き、代わりに真実を手に入れる。

嘘を取り除けば、痛みもなくなる。

指に刺さったとげを抜くのと同じだ。

ここで一つはっきりさせておきたいことがある。

ある出来事の「すべての真実を理解する」といっても、できる範囲でかまわない。

つまり、その出来事にまつわるすべての事実を集める必要はないということだ。

たいていの人は、出来事の真実を探ることができない。

つらい記憶がよみがえり、「戦うか、それとも逃げるか」のショック状態になるからだ。

そもそも記憶のほとんどは無意識の中に保存されているので、見つけるのは容易ではない。

それでも、心配はいらない。

無意識の記憶を癒やす方法もおいおい説明していこう。

これもまた、意志の力が役に立たない理由の一つだ。

無意識の記憶を癒やすには、無意識に働きかけなくてはならないからだ。

このことについては第4章で詳しく説明する。

依存症も「細胞記憶」の問題である最後にもう一つ、依存症の話もしておきたい。

私の経験から言えば、人生で大きな問題を抱えている人は、一人の例外もなく、何らかの依存症になっているか、不健康な習慣がある。

私はかなり昔から、アルコール依存症とドラッグ依存症の自助グループの活動にかかわっていて、実際にこのプログラムのおかげで回復した人もたくさん見ている。

とはいえ、多くの研究や調査によると、こういった自助グループの治療で一度は回復しても、その90パーセントから99パーセントはまた元の依存症に戻ってしまうという。

その理由は、私が思うに、例の自己啓発の三つのステップを使って治療しているからだろう。

意志の力で依存症を克服することはできない。

なぜなら、依存症もまた、「苦痛と快楽のプログラミング」に支配されているからだ。

依存症の仕組みを説明しよう。

最初のきっかけは、心の中にある何らかの苦痛だ。

苦痛の中には、快楽がないという状態も含まれる(たとえば、退屈、何かが足りないという感覚など)。

この内面の苦痛が恐怖の反応を引き起こし、体内でコルチゾールとアドレナリンが分泌され、ネガティブな感情が次から次へと生まれてくる。

そこで苦痛と快楽のプログラミングが発動し、あらゆる手段を用いて、苦痛を避けて快楽を手に入れようとする。

そこで依存症が格好の手段になるのだ。

依存症を解決する方法も、他の問題と同じだ。

恐怖のプログラムを削除し、代わりに愛のプログラムを組み込めば、依存症は簡単に克服できる。

再発することもない。

愛の中に生きていると、体内ではまったく違うホルモンが分泌されるので、苦痛が消え、喜びが大きくなる。

言葉にできないようなすばらしい感覚だ。

これは、症状を抑えたり、行動を変えたりする治療法ではない。

問題の根源に直接働きかけている。

(注)1”MedicalSchoolBreakthrough,”DallasMorningNews,September12,2004.234SueGoetinckAmbrose,”ACellForgets,”TheDallasMorningNews,October20,2004,www.utsandiego.com/uniontrib/20041020/news_z1c20cell.html.5PaulPearsall,GaryE.Schwartz,andLindaG.Russek,”OrganTransplantsandCellularMemories,”Nexus12:3(April–May2005),www.paulpearsall.com/info/press/3.html.SeealsoClaireSylvia,AChangeofHeart(WarnerBooks,1997).Formoreanecdotesfromorgantransplantrecipientsandtheconnectiontocellularmemory,seePaulPearsall,TheHeart’sCode:TappingtheWisdomandPowerofOurHeartEnergy(BroadwayBooks,1998).6BruceLipton,”TheBiologyofPerception”(video),2005,www.youtube.com/watch?v=jjj0xVM4x1I.7JohnE.Sarno,HealingBackPain:TheMindBodyConnection(GrandCentralPublishing,1991),andTheDividedMind:TheEpidemicofMindbodyDisorders(HarperPerennial,2006).8DorisRapp,IsThisYourChild?(WilliamMorrow,1992),62–63.9YourBrain,AUser’sGuide:100ThingsYouNeverKnew,NationalGeographic,specialissue,2012,p.50.1011この言葉の出典は、ユダヤ教の聖典のタルムードから作家のアナイス・ニンまで実に幅広い。

しかし出典が何であれ、この言葉は今では科学的な事実と認められている。

12余談だが、情報や指導がないと次のステップへいけないという人も中にはいる。

キャリア、人間関係などでカウンセリングを受けるのはいいことだ──ただし、本人の中でその問題がウィルスに汚染されていなくて、ただ情報が必要な場合だけにかぎられる。

 

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