「伸び悩む人」に共通する考え方第 1章では、「仕事ができる人」について述べました。
基本的に人は、時間差こそあれ、右肩上がりに成長するものです。
しかし、その先に「伸び悩み」の天井が現れます。
伸び悩む人は、なぜ伸び悩むのか。
それが本章のテーマです。
識学では、「すべての人は成長する」という考え方が根底にあります。
そのためには、個人差が生まれないように環境を整えたり、上司ガチャのようなことが起こらないような仕組みを徹底する必要があります。
条件さえ整えば、あとは個人の力を全員に発揮してもらう。
そのための考え方です。
「成長を諦めた人」の既得権益私たちの考えを企業に導入すると、必ず「反発」がきます。
それは、頑張り続けることをしなくなった人たちが「既得権益」を持っているからです。
これは、部活動に例えるとわかりやすいと思います。
地方大会で万年 1回戦負け。
優勝することはもちろん、練習試合で勝つことすらも、誰も考えていない部活にいるとしましょう。
そんな中で、ある日、転校生が現れて「来年こそは優勝を目指そう!」ということを言い出したら、どんな雰囲気になるでしょうか。
「いやいや、俺たちには無理だよ」「いいじゃん、楽しく練習できればそれで」そんな意見が飛び交うのが目に浮かぶでしょう。
もちろん、部活であれば、それでもいいと思います。
しかし、会社の場合は違います。
メンバー全員が成長する方向に頑張っていかないと、会社の存続の危機に関わります。
現状維持では「沈む」時代特に大企業や有名企業、あるいは新卒から同じ会社で長年働き続けている場合だと、まさか自分の会社が潰れるなんて考えもしないかもしれません。
しかし、そんな時代は、とうに終わりました。
路頭に迷うリスクは、誰にだってあるのです。
むしろ、若い人は、最初に入社した会社で死ぬまで働き続けるなんて、そちらのほうが幻想だと思っていることでしょう。
どれだけ安定した業界だろうと、関係ありません。
立っているだけで沈んでいくのが、今の日本の現状です。
上を目指してもがいて、限られたパイを奪い合ってやっと、現状維持ができるような状況です。
その危険性にうすうす気づいているなら、いち早く成長への意識を再起動させないといけません。
その合図は、誰かが出してくれるわけではなく、自分で動き始めるしかないのです。
まず、その大前提を押さえておくようにして、ここに潜む問題を「数値化」を元に明らかにしていきましょう。
「確率のワナ」に注意しよう社会人 1年目でも、転職して 1年目でも、「入社してからずっとやる気のない人」は滅多にいません。
みんな、やる気に満ち溢れて、ワクワクして入社してきます。
今の会社の人たちを見回してみてください。
40代や 50代で社内でも何をやっているかわからない人がいるかもしれませんが、彼らだって同じです。
成長することを信じていたのに、どこかでボタンが掛け違い、何かのタイミングで「伸び悩む人」になっていってしまったのです。
これを、個人のやる気の問題にするのは簡単です。
「自己責任だ」と言ってしまうのは誰にでもできる。
しかし、識学を扱う私から見ると、どうも「仕組み」の問題に思えて仕方ないのです。
いわゆる「働かないおじさん」問題も、「数値化」によって言い表すことができます。
前章の「行動量」を無にしてしまうもの、その正体とはいったい何でしょうか。
「失敗」が怖くなってしまう数値化のクセ「プレーヤーは、とにかく数をこなすことを考えるべきだ」第 1章でそのように説明しました。
そこから 20代後半、 30代、 40代にかけて、今度はどんな考え方の変化がおとずれるでしょうか。
仕事には徐々に慣れていきます。
すると、「今年も去年と同じことの繰り返しだな」と感じるタイミングがやってきます。
さらに毎年、新卒などで新しく入社してくる若手が増えていきます。
彼らの中には、「あの先輩を追い越したい」という思いがあるはずです。
その目を気にしてしまうと、「失敗する姿を見せたくない」という感情が出てくるでしょう。
そこでやってしまうのが、「確率」の考えなのです。
行動量を増やすために足し算や掛け算をしていた人が、今度は「割り算」をします。
達成率、契約率、成功率など、「%(率)」にこだわるようになります。
これが、非常に厄介な数字なのです。
「確率では勝ってる」という自己評価成約率 80%の人と、成約率 50%の人がいるとします。
どちらのほうがすごいと思いますか?おそらく、前者のほうを選ぶかもしれません。
しかし、それが誤解の始まりです。
成約率 80%の人が、 10件中 8件の契約を取ってきていたとしましょう。
一方で、成約率 50%の人は、 50件中 25件を取っていたとします。
いかがでしょうか。
これでも、前者のほうが優秀だと思うでしょうか。
この場合は、後者のほうが評価されなくてはいけません。
いくら「確率では勝ってる」と言っても、 8件と 25件では、その差が 3倍です。
こうした誤解を生む数値化によって安心してしまう中堅プレーヤーが、ものすごく多くいます。
量をこなすと、次は、質にこだわるのは当然でしょう。
そのこと自体は問題ではありません。
しかし、「量」よりも「質」が上回り、「質を上げること」が目的になってしまうことは大問題です。
あくまで「行動量ファースト」であり、それをキープしたまま「確率も上げていく」というのが正しい順番です。
この順番を間違えてしまうのが、「働かないおじさん」への第一歩なのです。
出世しておかないと「評論家」になってしまうこれは、ものづくりの場でも同じことが起こります。
若手の頃はたくさん量をこなしていた人が、急に数をこなすことをやめるケースがあります。
それは、先ほども書いたように、「失敗すること」が恥ずかしくなってくるからです。
たくさん数をこなしていると、そのうち、どんな仕事でもカンどころがわかってきます。
すると、「これは失敗するな」というアンテナが反応することが増えます。
「あれはやめたほうがいい」「このパターンは失敗する」など、失敗に対する情報がより集まるようになります。
その先に待っているのは、「評論家」です。
若手や上司のやることに対して、「どうせうまくいかない」「あのパターンはダメだ」というふうに、評論家のポジションを取るようになってしまいます。
人間の脳は、「うまくいく可能性」より「失敗する可能性」のほうに重要度を高く
認識します。
1万円をもらえる喜びより、持っている 1万円を失う痛みのほうが大きいのです。
つまり、なんとなく仕事をやっている限り、「評論家にならざるを得ない」のです。
それを避けるために、プレーヤーは次のステージとして、出世をして管理職になります。
教える側に立ち、部下の結果に責任を持つ代わりに、「自分の行動量」を「チームの行動量」へとシフトしていきます。
しかし、出世できなかったとしたら、どうでしょう。
「評論家のようなプレーヤー」になるしかありません。
「働かないおじさん」は、こうやって生み出されるのです。
そうならないためには、確率の誘惑に打ち勝つことです。
確率のことばかりを考えない勇気を持ちましょう。
プレーヤーでいる限り、あなたが何歳であっても、重要なのは「行動量」です。
目標の「%」には気をつける経営者やマネジャーは、部下やプレーヤーが確率のワナに引っかからないように、目標設定をする必要があります。
「契約率『 50%』を目指す」というような目標を掲げたとしましょう。
すると、どんなことが起こるでしょう。
もし、 10件中 5件の契約が取れたとしたら、次の 11件目に臨まなくなります。
「ヘタに次の契約が失敗したら、 11分の 5で、 50%を切ってしまう……」と考えて、チャレンジすることが不利益になってしまうからです。
やらないほうがトクになってしまうのですが、こうなることは避けないといけません。
そもそも、「%」は悪用されたり、誤解を与えることが多い概念です。
「うちの塾は、合格率 90%以上です」 → ただし、 1人が複数校に合格しているものもカウントする「うちの会社は、利益が前年比 1000%で成長しています」 → ただし、昨年の利益は 1万円だけで、今年も 10万円足らず「私たちの会社は、東大卒が 50%です」 → ただし、 2人のうち 1人だけなど、計算の仕方によって印象を操作したいときに、「%」は便利です。
それを理解した上で、ダマされないようにすべきです。
そのための口グセとして、「この%は、何分の何ですか?」という確認が便利です。
相手から説明されないときは、何かしら隠しておきたい「意図」があると思って間違いないでしょう。
これは、「行動量」を確認する意味もあります。
分母が量を表しているからです。
ここでも心を鬼にして数字と向き合う必要がありますね。
組織と個人が「ブレーキ」を踏むとき経営でも同じことが起こります。
「前年比」という基準があります。
たとえば、昨年は 10億円の売上があったとしましょう。
そして、今年は「前年比 105%の売上を達成すること」が目標になったとします。
半年が経ち、予想よりも売上が順調にいき、 12億円の売上が達成できそうな予測が立ったとします。
すると、次のような誘惑が頭に浮かばないでしょうか。
「このままいけば、 12億円の売上が達成できる。
しかし、待てよ。
来年も前年比 105%の売上が目標になりそうだ。
そうであれば、来年の目標達成が苦しくならないように、今年の売上は 11億円くらいに抑えて余力を残そう」まさにこれが、「%」によって行動にブレーキを掛けてしまう瞬間です。
調子がいいときに 12億円の売上を達成したほうがいいに決まっているのに、翌年が大変になってしまうことを考えてしまって、 11億円に抑えてしまう。
本末転倒なことが起こるのです。
このご時世、来年や再来年も、同じように成長するとは限りません。
今の日本では、現状維持でさえ難しい企業も多い。
それなのに、「前年比」という計算にとらわれてしまい、目の前の成長を止めてしまうのです。
この誘惑は、個人でも組織でも、同様に起こりえます。
「このへんでセーブしておこう」「余裕を残しておこう」という判断は、すぐにクセになり、本気を出すことをしなくなります。
余力というのは、次の事業や新しいスキルに投資して、さらに大きくリターンを得るときに使う言葉です。
投資によって成長を生むための余力であって、節約のための余力ではありません。
これは詳しくは、第 5章で述べるのですが、長期的な視点が必要なのは覚えておきましょう。
「働かないおじさん」を生まないための仕組みづくりでは、「働かないおじさん」を生まないためには、どうすればいいのでしょうか。
個人の責任にするのではなく、仕組みとして解決できることを考えていきましょう。
あなたなら、どのような制度を取り入れますか。
ちょっと考えてみてください。
「インセンティブ制度を取り入れる」という答えが思い浮かんだかもしれません。
成果を出せば出すほど給料が上がるのであれば、全員やる気に満ち溢れるような気がします。
しかし、インセンティブ制度は、非常に要注意な考えなのです。
「インセンティブ制度」にも弊害があるインセンティブ制度を丸ごと否定しているのではなく、注意して扱う必要があるという話です。
インセンティブを取り入れると、社内で競争が生まれます。
そのこと自体は、活性化につながるので短期的なメリットではあります。
しかし、長期的にデメリットが存在します。
インセンティブ制度があると、全員が目先のことだけを考えるようになり、気持ちは期ごとに区切られ、帰属意識が少なくなります。
まず、インセンティブ制度だと、トップの経営者だけで全員の評価を下せるようになります。
社長、部長、一般社員という3つの階層があるとすると、真ん中に部長が存在する意味がなくなります。
この現象は、外資系の保険会社などに多く見られます。
営業のプレーヤーが数字をガンガンあげて、トップの経営者がそれに応じた給料を支払います。
すると、プレーヤーは経営者のことを見て仕事をするので、上司である部長との関係が機能しません。
こういうプレーヤーは、さらに稼げる環境があれば、すぐに転職をします。
組織全体に貢献するほうのインセンティブがまったく無いからです。
これは、芸能事務所を見てみればよいでしょう。
芸能事務所は、個人の集まりで、チームプレーがほとんどありません。
そうすると、看板タレントが偉くなります。
有名タレントが経営陣よりも発言権が高くなります。
「気に入らないことがあればいつでも辞めるからね」という力関係が生まれてしまうのです。
こうなってしまうと、他の所属タレントにとってメリットもありません。
ということで、長期的に会社をよりよくしていきたいのなら、インセンティブ制度だけではうまくいかないのです。
「連続性」を評価しようインセンティブには、個人の給料だけでなく、そこに居続けるメリットが必要です。
たとえば、先ほどの保険営業の場合を考えてみます。
営業成績に応じて給料を決めるという条件であっても、調子のいい月もあれば、悪い月もあります。
すると、成績と給料が乱高下するようになってしまいます。
「今月は気合いを入れよう」「今月は調子が悪いから手を抜いて、来月は一気に頑張ろう」と、意識が 1ヶ月ごとに途切れるようになります。
株を損切りするときのように「諦めるクセ」がついてしまうんですよね。
その先にあるのが、「この会社ではもうダメだ」と早々に離職してしまうことです。
大事なのは、平常心で毎日、毎週、毎月の業務に取り組むことです。
つまり、「積み重ね」です。
とはいえ、いたずらに「長く働けばいい」わけではありません。
連続性も、行きすぎると弊害を生みます。
「完全な年齢給」というのが典型例です。
年齢によって給料が 100%決まる。
すると、若いときは安い給料で我慢して、歳を重ねてから元を取るような思考になります。
つまり、できるだけ会社にしがみつき、長く居ることがメリットになります。
長く居ることが「最大の目的」にすり替わってしまいます。
これによっても、「働かないおじさん」は生み出されます。
そうならないために評価の「連続性」が必要です。
継続していることを正しく評価に入れるようにします。
評価にゼロはない。
「プラスか、マイナスか」だでは、評価に「連続性」を持たせるには、どうすればいいのでしょうか。
メンバー全員が成長を目指し、「働かないおじさん」を 1人でも生み出さないためには、方法は1つです。
それは、「マイナス評価」を取り入れることです。
日本の多くの会社では、一度上がった給料が下がることはありません。
しかし、私たちの考えでは、これが成長を止める元凶だと思っています。
多くの企業では、評価制度は「加算方式」です。
現状維持の人は「 0点」、頑張った人にはその度合いに応じて「 1〜 4点」をプラスする。
そういう制度がほとんどでしょう。
ただ、現実には、評価には「良い」と「悪い」しかないと思うのです。
たとえば、おなかが空いたとしましょう。
たまたま入った定食屋が「おいしければ、また行く」「そうでなければ、もう行かない」と、2つしか選択肢はありません。
つまり、評価に「ゼロ」はなく、「プラスか、マイナスか」に分けないといけないのです。
そして、マイナス評価だった場合は、給料にも反映されるべきです。
この制度を取り入れると、「現状維持はヤバい」ということが個人にも認識できます。
「このままだとうちの会社はマズいよね……」そう思っていながら、自分たちの給料がそのままだとしたら、きっと危機感は訪れません。
だって、自分の生活は現状維持ができているのですから。
ゼロ評価がないと人はどう考えるのか評価にはゼロがない。
これを徹底しないと、「確率」と同じように、成長しない言い訳が成立します。
たとえば、次のように年に 4回の評価を部下に下すとします。
・1回目「結果が出たから『プラス 3』です」 ・2回目「未達だったので、『マイナス 2』です」 ・3回目「あと一息だったので『マイナス 1』です」 ・4回目「大きな成果を出したので『プラス 4』です」すると、 1年間でトータルは「プラス 4」という点数になります。
しかし、評価にゼロがあると思っている部下は、次のような誤解をします。
・1回目「今回は『プラス 3』だな」 ・2回目「全然ダメだったから『ゼロ』だ」 ・3回目「今回も良くなかったから『ゼロ』だな……」 ・4回目「よし、大きな成果が出たから『プラス 4』だ!」こうすると、トータルで「プラス 7」になります。
ここにお互いの意識のギャップが生じます。
「ダメだった =ゼロ」としてしまうと、ダメで当たり前であり、現状維持してもいい感覚になる。
これはとても危険な考えです。
マイナスの人にマイナス評価をつけて、「このままではマズい」ことを認識してもらいます。
その認識の瞬間は、まさに「数値化の鬼」になってもらうのです。
別に、その人の人格や人間性がマイナスなわけではありません。
この先の成長を信じているからこそマイナス評価を与えられるのです。
マイナスの人の給料を下げるぶん、貢献してくれた人にはプラスの給料を与えることができます。
その原資にしたほうが、組織全体はうまくいきます。
経営者から見ても、極めて健全な状態だと思います。
「平均のウソ」にもダマされてはいけないさて、第 2章では主に「確率」「ゼロ評価」という数値化について見てきました。
数字のワナは他にもまだまだ多くあります。
その代表例として、本章の最後に「平均のワナ」についても紹介しておこうと思います。
「自分は平均より上だから安心だ」そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。
おそらく学生時代からのクセで、テストの平均点が割り出され、それより上か下かで判断してしまう考え方です。
これも、感情が絡んでしまう例のひとつです。
「平均だから大丈夫」という誘惑たとえば、3つのチームがそれぞれのエリアごとに営業をしているとします。
Aチーム → 売上 1000万円 Bチーム → 売上 600万円 Cチーム → 売上 200万円この場合、3つのチームの売上の合計は 1800万円となり、平均は 600万円となります。
では、 Bチームの売上の 600万円と、平均の 600万円は、同じ意味なのでしょうか。
Bチームは平均をクリアしているから安心してよいのでしょうか。
もしかすると、 Bチームの担当エリアは、競合が少ないのに人口密度が高く、他のチームに比べて有利な条件が揃っているかもしれません。
そういう状況なのに、「自分たちは平均をクリアしているから大丈夫だ」と思い込んでしまうと、 Bチームの成長が止まります。
確率と同様に、平均も机上の空論の数字でしかありません。
ダメな研究者は、自分の見たいデータだけを集めて恣意的に研究結果を操作すると言われます。
そのようなことを自分で許さないのが、「数値化の鬼」になるということです。
自分たちのやってきたことを「正しい」かどうか判断してくれるのは、あくまで他者からの評価です。
平均のような都合のいい数字を見るクセはやめるようにしましょう。
「数字の中身」にうるさい人になろう子どもと話していると、たまに「数字(事実)」に敏感でハッとすることがあります。
「宿題をちゃんとやりなさい」と親が言ったとします。
「ちゃんとって、どれくらい?何時間くらい?」そう子どもは言い返します。
生意気だと思った親は、「うるさい!」と叱りつけるかもしれません。
ただ、そうやって感情的に伝えたところで、子どもは自ら動くでしょうか。
あるいは、片づけをやっていなかった子どもに、「この間も言ったでしょ!」と叱ったとします。
すると、「この間っていつ?何月何日何時何分?」そう言って、言い返してくることもあります。
これは、じつはお互いの「認識のズレ」をなくそうとする行為です。
それに対して、分の悪い親は、曖昧な基準で叱りつけようとしています。
この「子どもの態度」は、じつは正しくて重要です。
なぜなら、優秀な経営者は、子どものように徹底的に数字を詰めるからです。
「前月から売上が 10%下がっているけど、何が原因として考えられる?」「人員を増やすよう要望が出ているが、その根拠はあるか。
それによる売上はいくら見込めるか」など、数字の中身を詰めて確認します。
一方で、経営陣が次のような会話をしていたとすると、どうでしょう。
経営者 「この事業の進捗はどうですか?」担当役員「順調です」経営者 「わかりました。
その調子で頑張ってください」
こんな甘いやりとりだけで報告を終える経営者の下で働きたいでしょうか。
上の立場になると、人の意見やアイデアを判断しなくてはいけなくなります。
そのときに、人の「好き嫌い」やアイデアの「良い悪い」など、主観で考えていると、非常にまずいです。
頭の中で一瞬でも、数字で考えることが大事です。
そして、疑問に思ったり、納得できないときは、数字を詰める。
どれだけの売上になるのか、いくらの利益を出せそうなのか。
それを、絶対に考えなくてはならないのです。
むしろそれをやらない人は、部下たちから人気を得るかもしれませんが、結果が出なければ人は離れていきます。
「自然の法則」を乗り越える 「2: 6: 2の法則」を聞いたことがあるでしょうか。
人が 1ヶ所に集まって放っておくと、「優秀:普通:無能」に分かれると言います。
たとえば、 NHKのテレビ番組「おかあさんといっしょ」を思い出してみてください。
あのエンディングでは、「 2: 6: 2の法則」が現れます。
2割の子は、お手本通り上手に踊っています。
6割の子は、なんとなく音楽に合わせて手足を動かして踊れているように見えます。
2割の子は、寝転がったり他のことをしたりして、まったく踊れていません。
これが示しているのは、集団を自然状態にしておくと、「 2: 6: 2」になるということです。
会社組織でも似たようなところがあり、「マネジメント不要」という組織にしてしまうと、この割合になってしまいます。
組織マネジメントをするということは、この「 2: 6: 2」の状態を「 10: 0: 0」に近づけていくことです。
改善の余地を全員に受け入れさせて、全メンバーが活躍することを目指します。
優秀な結果を出したら、評価につなげて表彰し、優秀な人の手法を、いち早く全体に取り入れるようにするのもマネジメントの役割です。
以上、第 2章では、あなたの行動を止めてしまう「数値化のワナ」について見てきました。
このワナにさえ注意して乗り越えれば、「仕事ができる人」へのゴールに、あと一歩で近づけます。
どうか忘れないようにしてほしいと思います。
2章の実践「数字のウソ」を見抜く 2章では、数字による「行動を止めるワナ」について説明しました。
「割合(%)」や「平均」などに潜む「数字のウソ」を見抜けるようになりましょう。
「今月は 100件のアポのうち、契約が 10件も獲得できた」という結果が出たとします。
ここで重要なのは、 1章でも述べたように、「 100件のアポを入れた」ということです。
しかし、ダメなプレーヤーは、 「私は今月、契約率が 10%だった。
他のメンバーは全員 5%を下回っている」というように、割合によって他者と比較をします。
「1ヶ月で 3件の契約獲得」が目標だった場合、次のような考え方をするようになってしまいます。
「私の契約率が 10%なので、来月に 3件の契約を取るには、アポは 30件くらいでいいかもしれない」と、このような行動制限をするようになるのです。
本来なら、アポを 100件入れられるキャパシティがあるのに、前月が好調だったことで、調子に乗ってしまっています。
前月にうまくいっていたことが、翌月も同じような確率でうまくいくとは限りません。
それに、この調子で行動量が減ると、うまくいく確率も徐々に下がってしまいます。
こうした行動制限を避ける方法は2つです。
「自分で自分の行動量をちゃんと見る」「上司が部下の行動量をマネジメントする」そのためには、それぞれが次のような確認をすることです。
「達成率が 10%だけど、その%の分母と分子はいくつだっけ?」それにより、「 100件のアポ」、つまり行動量が重要という事実がブレることはなくなります。
また、平均との比較も問題でしたね。
「平均の契約率は 5%だから、それより上の自分は大丈夫だ」こういった安心感も、行動を制約する要因になってしまいます。
成功率が上がっているときは、同時に「失敗が減っている」ということも意味します。
失敗を避けることで、少し難しそうな案件は早々に見切ってしまっていたり、ルーティンワークに陥っていたりする可能性があるのです。
そうではなく、 「これまでの方法で契約数は維持したまま、他の業界へのアプローチを増やしてみよう」 「契約数にとらわれず、 100件のアポを 110件にする方法を考えよう」と、行動量にフォーカスできるプレーヤーは、いつまでも成長し続けることができます。
自分を甘やかす「数値化」をしないように、気をつけましょう。
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