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第4章 過去の成功を捨て続ける―「真の変数」の話

「変数」は放っておくとどんどん増えていく前章では、「変数」を説明しました。

主に「変数」のメリットを紹介しましたが、本章ではデメリットを絡めながら、さらに深い話をしていきます。

変数を考えるときに、もっとも気をつけないといけないのは、「変数は放っておくと増える」という点です。

どういうことでしょうか。

仕事を覚えていく過程で、押さえておかないといけないポイントは増えます。

前章で述べたように、自分で見つけ出したり、社内から教えてもらったり、本やネットで学んだりして、仮説を変数に変えていくでしょう。

その結果、どういうことになるかというと、「すべてが大事だ」という考えに陥るのです。

変数が増えるということは、考えることが増えるということです。

目標の話を思い出してください。

日常的に頭の中でパッと出てくる目標は、「5つ」が限度だと話しました。

変数も同じです。

KPIが多すぎたり、社内の変数が多かったりすると、余計なことを考える時間が増えてしまうのです。

そこで必要なのが、「変数を捨てる」という考え方です。

「やらないこと」を先に決めるある有名な投資家は、「やりたいこと」をまず 10個書くそうです。

そして、 10個を書き切ったら、その中で上位の3つを「今すぐやるべきこと」にし、残りの7つを「やらないこと」にします。

3つの「 To Doリスト」と、7つの「 Not To Doリスト」が出来上がります。

ここで重要なのは、やりたいことの中で「7つを捨てる」ということのほうです。

そうすることによって、最重要事項である上位3つに集中できるからです。

そこまで絞って、ようやくやり遂げることができます。

変数も同じです。

「新規顧客も既存顧客も大事で、アポを入れたりケアをしたり、経費削減をしたり、若手育成もして……」と、重要なことが多すぎると、全体のパフォーマンスは落ちます。

そうならないためには、変数を減らすことが重要です。

変数を減らす「2つのアプローチ」変数を減らすためには、2つのことが考えられます。

1つ目が、個人として「他に変数がないかを考え、前例を手放すこと」。

2つ目は、チームとして上司やリーダーから「それは変数ではない、と指示をすること」。

前者は、優秀なプレーヤーなら無意識にやっていることかもしれません。

過去にうまくいった成功法則も、環境や時代が変わると通用しなくなります。

そのことに自覚的であれば、「他に方法はないだろうか」「もっと効率的にできないだろうか」と、自分に厳しくすることができます。

自分がやってきたことを疑う。

これは、言うは易しで、なかなかできることではありません。

これまでのやり方でうまくいっているならば、それを手放すことなんて簡単にはできないでしょう。

それを可能にするためには、「数字」に注目します。

同じ方法なのに、思った以上に成果が出ないことがあると思います。

そのとき、「売上が上がっていない」「利益に影響していない」という事実を受け止めることができると、変数だと考えていた要素が変数でないことに気づけます。

そうです。

変数を手放すためにも、「数値化の鬼」になることが有効なのです。

つねに数字を基に考えるようにしましょう。

「KPIを変える」という手段自分の行ないを自分で観察するためには、数字を見るしかありません。

そのために、上司やリーダーがいます。

週ごとや月ごとに目標を確認する作業は、このためにあります。

「P(計画)」を立てて、それを達成するために「 D(行動)」を実行した。

しかし、成果を出せなかったのだとしたら、「 KPI」を見直さないといけません。

それをちゃんと指摘する存在であることが、上司やリーダーの存在意義なのです。

また、大きな目標を達成している場合も、達成目標を徐々に上げていくべきです。

それによって、今までの成功法則にとらわれない考えをさせることができます。

現状維持を許さず、つねに成長させる機会を与えます。

マイナス評価を取り入れるよう推奨したことも同じ理由でしたね。

そうやって、つねに危機意識を持たせ、「変数を見直さざるを得ない」という環境をつくり出します。

組織マネジメントでは、「心理的安全性」という考えが持て囃されています。

その考えでも、「仕事の基準が高くないと生ぬるい組織になる」という条件がついています。

識学の考え方は、「心理的安全性」と真逆だと言われることが多いのですが、ちゃんと理解をしてもらえれば、根底は同じです。

感情的な発言や罰で不安を煽るわけではなく、数値化によって意識を上げてもらう。

まったく同じことを言っています。

流行で新しく出てくる概念は、あくまでトレンドなので、それに振り回されず、本質的な考えを持つようにしましょう。

変数の中から「1つ」に絞り込む仕事の中で、何が「変数なのか」を探し続けよう。

もっと成果につながる KPIは何かを考え続けよう。

そういう話をしてきました。

KPIが増えるということは、個人にとっては考えるべきことが増えるということです。

そして、上司にとっては、管理するコストが増えるということでもあります。

マネジメントの「難易度」を上げるな紹介した「コンピテンシー評価」を思い出してください。

1人の人間を評価するときに、「積極性」「計画性」「実行力」「モチベーション」などの項目が 10個も 20個もありましたよね。

これがまさに「変数が多すぎる」という状態です。

変数が増えると、管理コストが増えます。

その結果、マネジメントの難易度が上がってしまいます。

なぜなら、結局のところ、部下のどの能力を上げればいいのかが曖昧になってしまうからです。

それに、「積極性」か「計画性」か「モチベーション」か、どの能力が成果につながったのかもわかりません。

「社員のモチベーションが上がったから会社の売上が上がった」「メンバー全員が積極的に働いたから、大きな利益を叩き出した」これらは、本書で何度も述べてきたように、数字で表せない価値観です。

識学の考えでは、それらを「変数に見せかけたもの」と見なします。

「社員のモチベーションが上がったから売上が上がった」という考えは、「納豆を食べ続けただけで健康になった」と言っているくらい、非科学的で個人の感想と同じことなのです。

百歩譲って、個人が勝手に思うのはいいでしょう。

しかし、会社として組織マネジメントをするときには、考えるべきことではありません。

とりあえず「真の変数」を1つ決めるここまでの内容を整理すると、目標にもっとも貢献する行動を「 KPI」とし、それが数値化された「目標のための目標」とするのでしたね。

ここでよくある勘違いが、「すべてを数字で管理して、すべての数字のことを考えるべきですか」という疑問です。

そうではありません。

変数を見つけ出す過程で、最終的には「1つに絞ること」を忘れないことが大事です。

それが、変数の中の変数、つまり「真の変数」です。

プレーヤーが「 PDCA」を回す上で、やるべきことはいくつもあるかもしれません。

ただ、「何が一番重要なのか」は見失わないことが大事です。

それが、「真の変数は何か?」という確認作業です。

これを忘れないようにします。

たとえば、料理を提供するときに、こだわるポイントはたくさんあります。

素材がいいのか、味付けがいいのか、火加減がいいのか、店内の雰囲気がいいのか……。

すべてにおいてこだわり抜くのは、もちろん当たり前です。

ただ、もっとも重要なポイントは必ず1つあるはずです。

少し素材が悪かったり、店内の雰囲気がよくなくても、「火加減さえ押さえておけばお客さんは満足してくれる」ということがわかっていれば、ブレません。

そして、目標につながる変数を1つ信じ切るのです。

そのまま信じて進んでいいかどうかは、後から「 C」「 A」のタイミングに考えればいい。

とりあえず、「真の変数」を1つ設定し、それの行動量を最大限、増やしてみましょう。

では、変数を絞るには、どうすればいいのか。

それについて説明していきましょう。

できるマネジャーは「変数」を減らす「変数」の話を、さらにマネジャー目線で語っていきましょう。

プレーヤーは、自分の「 PDCA」を回しながら日々の仕事をこなします。

それを管理するマネジャーは、どういう役割でしょうか。

まず、プレーヤーの「 P(目標)」を数値化して管理します。

その部下が新人や若手のときは、「 D(行動)」、つまり「 KPI」を日報やほうれんそうでチェックします。

部下がベテランに近づくにつれて、細かなチェックをやめて、月ごとや期ごとのチェックに変えていきます。

これらのチェックが、部下にとっての「 C(評価)」になります。

そこでマネジャーは、部下が「変数を間違っていないか」も確認します。

「それは変数ではない」というフィードバックたとえば、プレゼンの例を紹介しましたが、プレゼンの「伝え方」が変数なのに、「資料作成」にばかり時間をかけていることがわかったとします。

そのときに、「資料作成は変数ではない」「もっと目標達成に寄与する『 KPI』があるはずだ」ということを指摘しないといけません。

そうでないと、いつまで経っても頑張り方を間違ったままの状態になるからです。

営業の例も同じです。

アポの数が重要なことは押さえつつ、クライアントへの細かな連絡が目標達成には欠かせません。

その重要性に気づかせる必要があります。

「クライアントへの連絡は、どのくらいのペースでやるように設定していますか?」と問いかけ、考えさせましょう。

いずれの場合も、間違った努力をしているところは、「それは変数ではありません」ということを認知させることが重要です。

「そんなことをやっても意味ないよ」「なんでムダなことをやっているの?」などと、全否定するような言い方をする必要はありません。

目標と KPIにつながりがあることを認知させるようにすればいいのです。

そこまでやって、初めて部下に対してフィードバックをしたことになります。

変数だと信じているものや、過去には目標に寄与していた KPIも、時間が経ち、環境が変われば、通用しなくなります。

頑張っているのに目標の数字に反映されないのであれば、それは「変数」が「定数」になったと捉えるべきです。

プレーヤーもマネジャーも、この考え方は共通して持っておくようにしましょう。

「変えられないこと」を言い訳にさせないマネジャーは、「それは変数ではない」ということを伝えるのが大事だと言いました。

もう1つ、プレーヤーの成長を止めないために気をつけるべきことがあります。

それは、「他人への責任の押し付け」を生まないことです。

変数の考え方がないプレーヤーは、次のような言い訳をすることがあります。

「うちの会社は商品がよくない。

だから売れない」「私の担当エリアは場所が悪い。

他のエリアだったらもっと契約が取れた」「コロナ禍の影響があったから頑張れなかった」こうした言い訳は、「何が変数で、何が変数ではないか」を分けられていません。

他部署のせい。

与えられた環境のせい。

世の中の状況のせい。

いずれも、プレーヤーの権限では「変えられないもの」、つまり「定数」です。

それに原因を求めようとするのはムダな努力です。

もちろん、部下の立場から「情報提供」はされるべきです。

他社のリサーチをしたり、現状を分析したり、市況を読むことはするべきです。

しかし、それと自分の目標を関連づけるのは間違っています。

同じ条件下でも結果を出せる人がいるのであれば、それは個人の「 PDCA」で乗り越えるべきでしょう。

マネジャーができることは、部下を変数に向き合わせることです。

「それは全員が同じ条件ですよね」「その KPIは目標に関係ありますか」「数字にどれだけ反映していますか」と、確認する作業が必要です。

テキトーになあなあの関係で悩みを聞くのではなく、「数値化」という軸を持つようにしましょう。

「社内の変数」を減らしているかプレーヤーが仕事を進める上で、絶対に避けなければいけないことがあります。

それが、「上司や会社が変数になってしまうこと」です。

多くの企業では「人」が変数になることがあります。

「上司ガチャ」「新卒ガチャ」という言葉が生まれた背景には、いい上司に恵まれるか、いい配属がされるか、あるいはどちらもそうでないかで、部下の仕事の出来が決まってしまうことを物語っています。

社内の「偏り」に気づく識学の考え方では、社内の「人」による変数をなくすことを徹底します。

つまり、どんな人が上司であろうと、部下にとっては平等でフェアな職場づくり、チームづくりが必要だということです。

「どの上司に付けば成長できるのか」「どのチームに入れば自分にとって有利なのか」そういった変数によって個人の成績に明らかな偏りができるようでは、いい組織とは呼べません。

私は経営者の立場ですが、その偏りがないかどうかを常にチェックしています。

たとえば、 Aさんのチームが毎月 2000万円の売上を出しているとします。

それに比べて、 Bさんのチームは毎月 500万円の売上だとします。

同じ人数で与えられた条件も同じなのに、成果は 4倍も差がついている。

この現状を見て、「人」が変数になっている可能性を疑います。

そして、その変数を取り除くのですが、どういう方法があるでしょうか。

人の「バラツキ」を取り除く Aさんのチームがうまくいっているのであれば、そのやり方を Bさんのチームでも踏襲できるように、さらに上の上司が介入する必要があります。

もし、 Aさんと Bさんが部長なのであれば、 2人の上にいる本部長や役員が、「何が変数になっているか」を明らかにします。

そのとき、各部長の人間性や魅力ではなく、「ルール」や「仕組み」など、「人」が変数にならない部分にフォーカスします。

間違っても、 「Bさんも Aさんのようにリーダーシップを発揮して大きな声を出すように」 「Aさんはメンバー全員に対して親身に相談に乗っているから、 Bさんもメンバーをランチに誘いなさい」というような指導をしないことです。

「どんなほうれんそうをしているのか」「どんなマニュアルを共有しているのか」など、「事実」だけを共有し、条件を揃えるようにします。

「人」によるバラツキは、そうやって取り除いていきます。

会社にとっては、 Aさんのチームの売上を維持したまま、 Bさんのチームにも成長してもらい、「 5: 5」でパフォーマンスを出してもらったほうが全体の売上は最大化します。

会社全体で大きなマンモスの肉を狩りに行く意識が大事です。

限られたチームだけで成し遂げるよりは、もっと大きなチームで事をやり遂げたほうが、絶対に個人の実入りは大きくなります。

「カリスマ」への依存は危険な状態たとえば、今の流行のマネジメント法は、あまりに「人」を変数として捉えすぎています。

マネジャーに人間的な魅力を養わせ、リーダーシップを発揮してもらえば、現場は活性化すると思い込んでいます。

短期的に成果は出るかもしれませんが、やがて組織の中に分断が起こります。

組織内にカリスマを生み出すことで、それを頂点としたピラミッドが形成されてしまうからです。

それは、長期的に見れば、明らかに組織の弱体化を招きます。

1人のカリスマによって組織が成り立っているのであれば、それは「人が変数になっている」という危機的な状況です。

有名な起業家やリーダーが社内にいることと、その会社が優秀なことは、まったく別のものです。

会社のイメージとなる広報的な役割はあると思います。

ただ、それと社内の働きやすさや仕事の充実度は無関係です。

それを分けて考えるようにしましょう。

「環境のせい」にする経営者は経営者失格だ環境のせいにしていいのならば、経営者は次のようなことだって言えます。

「今の日本は成長していないから、会社の業績が低くてもしょうがないよね」

どうでしょう。

こんなことを言う経営者の下で働きたいでしょうか。

おそらく、日本全体の状況は横に置いて、社内では全員が成長を信じられる環境で働きたいでしょう。

たとえば、コロナの影響で訪問営業ができなくなっても、リモートツールを駆使して営業成績を維持した会社もあります。

手前味噌ですが、私たちの会社も、コロナによる影響は最小限に抑えました。

それは、コロナによる環境の変化を「変数だ」とは考えなかったからです。

コントロールできるもの、できないもの変数の概念がわかるということは、「自分ではコントロールできないこと」があることを認め、それについては考えないということです。

アドラー心理学では、「課題の分離」という概念があります。

自分にとっての課題と他人にとっての課題を分けるということ。

つまり、他者を変えようと努力するのではなく、自分の考えを変えるしかないということです。

「うちの商品は完璧ではない。

でも、売り方は変えられるはずだ」「自分が任されたエリアは都市部と比べて不利だ。

でも、開拓して業界シェアでトップを取れる可能性がある」「コロナ禍で訪問営業はできないけれど、ウェビナーなどの集客率は上がっている。

ここを攻めていこう」と、自分が「変えられるもの」に頭を切り替えることができるでしょう。

そうやって変数にフォーカスをすることも、「数値化の鬼」の考えと同じです。

少し自分に厳しくなってみる。

そうすると、コントロールできないこととは向き合わなくて済むので、結果的にラクになります。

それをクセづけましょう。

とにかく迷ったら「変数」で考える「売上が伸びない」などの大きな問題を考えるときも、「変数」の考え方を使います。

全体の売上を見て悩み、「一生懸命に働くように」と指示するだけでは、何も解決しません。

プロセスを分解しましたが、まずは「分ける」ことをやります。

新規顧客の売上が落ちているのか、それとも既存の顧客が離れているのか。

都心部での売上が落ちているのか、それとも地方での売上が落ちているのか。

そうやって、様々な角度から見て、細かく要素に分けるようにします。

分けて、分けて、さらに分ける新規顧客は一定なのに、既存顧客が落ちているのであれば、「客が離れないようにする」という問題にフォーカスする必要があります。

つまり、「既存顧客との関係づくり」が変数になります。

その現場でどのようなコミュニケーションがされているのか。

チームや部署によって偏りはないか。

クライアントの業種や規模によって変化はないか。

そうやって細かく分けていけば、解決の糸口が見えてくるはずです。

たとえば、場所ごとに分けてみて、関西エリアの売上が落ちているとしましょう。

大阪のライバル企業が重点的に営業をかけていることがわかったとします。

すると、「関西エリアに人材を増やすこと」などが解決の方法になるかもしれません。

「重要なこと」から着手するそうやって「変数」を見つけると、「優先順位」をつけることができます。

売上が落ちたり、成績が落ちてきたりしたとき、冷静な判断ができなくなることがあります。

すると、手当たり次第に思いついた方法をやってみたり、過去の成功例を引っ張り出したり、急に現場の意見を集め始めたりします。

そうではなく、「数字」を探り出すのです。

店舗で客商売をしているのであれば、・来客数は何人なのか・単価はいくらなのか・リピート率は何%なのかなどの数字を洗い出してみます。

あるいは、現場での改善行動による売上の推移を見るのもいいでしょう。

本部に集まっているアンケートを集計して強みを見つけたり、逆に、クレームを集めて問題点を分析したりすることもできます。

分ける要素はいくらでもあるはずです。

そして、何が売上に影響しているかを「なぜ?」と問いながら考えます。

「この KPIが売上に直接関係している」という仮説を立てて、その 1点だけに狙いを絞ります。

仮説を立てたのなら、それを実行し、数字として成果が出ているのかを検証します。

あとは、本書でここまで書いたとおりで、現場のプレーヤーレベルで実行してもらうのです。

どんな大きな問題でも、細かく分けて一点集中することができるはずです。

本書では専門的なマーケティング手法やデータ分析の方法は紹介しません。

とはいえ、どんなマーケティング書でも、ここで述べた「変数」の考え方が根底にあるはずです。

ビジネスパーソンであれば、どんな職種や立場であろうとも、ぜひ身につけてほしいと思います。

以上、本書でもっとも重要な概念である「変数」について説明してきました。

第 1〜 3章の内容を順番に押さえながら、あなたの仕事の「変数」を見つけ、さらに過去の「変数」を疑い、捨て、新しく仮説を立てる……。

その繰り返しが、個人の成長を生みます。

それ以上でも以下でもありませんし、これ以上の近道も王道もありません。

ぜひ、「仕事ができる人」としてプレーヤー人生を乗り切ってください。

4章の実践「変数」を減らす 4章では、「変数」の重要性とワナについて触れて、「真の変数」を見つける方法を説明しました。

そのためには、「変数を減らす」というアプローチが大事なのでしたね。

たとえば、実践では、「リピーターを増やす」という目標を決めて、さまざまな施策を設定しました。

・顔と名前を覚えて接客する(名前を 1回は口にする)・ポイントカードや割引券を渡し、回収率を割り出す・新商品や他の商品も説明し、次回の来店で試してもらえる確率を上げるリピーターを獲得するための施策をすぐに実行することは大切です。

しかし、働いてるうちに「変数が増えてしまう」ということも起こります。

「店頭でチラシを配り、新規入店をうながす」 「働きやすい職場にするために、みんなでバーベキューに行く」売上が上がらずに何かテコ入れしないといけないと思うと、変数として設定した数字以外の改善行動もすぐに実践しがちです。

すると、スタッフたちは大いに迷い始めます。

やることが多くなり、すべてが中途半端になるでしょう。

そうではなく、「変数が何か」を明確にすることで、問題解決にフォーカスした行動を取ることができるのです。

あくまで目標は「 1ヶ月の売上 100万円」を達成することであり、そのための行動設定をする。

その軸がブレないように、 「『新商品への注力』は変数ではない」 「アルバイトを辞めさせないための『必要以上のケア』は変数ではない」と、変数ではないものを見極めることが大事です。

目の前の課題にいっぱいいっぱいだと、何が重要で、何が重要でないかの判断ができなくなります。

だからこそ、「これは変数だろうか?」という自問自答が有効なのです。

また、「リピーターを増やすこと」に注力した結果、それでも「売上が上がらない」「客単価も増えていない」ということがあるようなら、そこで潔く、「『リピーターを増やすこと』は、売上を上げるための変数ではなかった」と認めて、他の変数を探すことも重要です。

「駅前でチラシを配って認知度を上げる」 「ネットからの注文に時間がかかりすぎているので、即対応できるようにする」というように、他の変数を探さなくてはいけません。

試行錯誤を続けることが大事です。

「売上が下がってきたから、一生懸命に接客しよう」と、漠然としか考えられないようでは、何も解決しません。

変数は、つねに見つけ続けるものです。

これまでやってきたことにしがみつくのはやめて、失敗を受け入れて次の行動を変えられるようになりましょう。

 

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