第4章「正解のない問い」を数値化する思考法
アサンプションベース思考■「知らんがな」に対する向き合い方■アサンプションベースとは何か~AIにできない計算をしよう~■ざっくり数字で答えればいい■「正解のないゲーム」という発想を持てるかアサンプションベース思考実践トレーニング■「定義」→「直感的な仮定」→「計算」~アサンプションベース思考ゲームその1~「最近利用したその店は儲かっているか?」~アサンプションベース思考ゲームその2~「社内の雰囲気が良くなった」をどう数値化する?~アサンプションベース思考ゲームその3~あなたひとりが1年間働いたことの経済効果はいくらか?数字で語れないものを提供するためには、数字で語らなければならないおわりに
アサンプションベース思考「知らんがな」に対する向き合い方突然ですが、次の問いに答えてみてください。
人間の頭皮に生えている髪の毛の本数はざっくりどれくらいでしょう?「知らんがな」と心の中でつぶやいた方も多いことでしょう。
あるいはすぐにGoogleで調べようとした方もいるかもしれません。
実はこのような問いを前にしたときの反応で、ビジネスで成果を出せる人物かどうかがわかってしまいます。
いま、この瞬間にくしゃみをした人は世界中でざっくりどれくらい?いまあなたが並んでいるその行列、並ぶ時間はざっくりどれくらい?今夜、生ビールを飲む日本人はざっくりどれくらい?いま、あなたが乗っている電車の総乗客数はざっくりどれくらい?あなたが1年間仕事をしたことによる経済効果はざっくりどれくらい?思わず「知らんがな」と言いたくなるような「ざっくりどれくらい?」という問い。
これらに共通していることは、正解がないということです。
例えば「くしゃみ」の問題。
仮に何らかの方法でざっくり数値を弾き出せたとして、それが正しいかどうかを知る術はありません。
全世界を網羅するくしゃみ探知機(?)でも開発しない限りは。
しかし、ビジネスではそんな問いに対して答えを作れたほうがいいこともあります。
例えば先ほどの「あなたが1年間仕事をしたことによる経済効果はざっくりどれくらい?」に数字で答えられたら、ちょっとカッコいいとは思いませんか。
自分の価値を数字で語れるということは、本書で目指してきた「数字で考えられる人物」であることの何よりの証明です。
もう少し身近な例でお伝えするなら、例えば新規事業を立ち上げるとき。
初年度の売上高、3年目の売上高、5年目の売上高、どのような成長曲線を描くのか、誰も答えを知りません。
つまり「知らんがな」です。
しかしその事業を始めるにあたっては「ざっくりどれくらい?」に答える数値計画を用意することが求められます。
そんなときに必要なものは、想定や仮定といった人間の直感に頼った思考です。
ファクトベースの限界。
論理思考によるアプローチの限界。
ここから私たちはその限界を突破します。
アサンプションベースとは何か~AIにできない計算をしよう~第1章でお伝えしたように、「数字で考える」には2種類あります。
ファクトベースとアサンプションベース。
第2章と第3章でファクトベースの仕事術について本質と技術をお伝えしてきました。
いよいよ最終章。
あらためてこの言葉の定義から始めます。
アサンプションベースで考えるとは、「仮定」を出発点にして考えること。
手元にファクト(事実)がないなら、「仮定」で仕事を進めるしかありません。
ファクトベースだけでなく、アサンプションベースで考えることを推奨する理由をもう少し深く説明します。
そのためのわかりやすい素材が人工知能(AI/artificialintelligence)です。
Wikipediaによる人工知能の説明を見てみましょう。
この内容が世界共通の定義ではありませんが、誰でも知っている共通の辞書からの引用という意味で使います。
「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computerscience)の一分野」を指す語。
「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術」、または、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」ともされる。
(Wikipediaより)専門的な用語が並んでいますが、なんとなく理解できるでしょう。
ただ、私ならこの一言で定義してしまうでしょう。
子どもでもわかる定義です。
「極めて優秀な計算機」さて、この「極めて優秀な計算機」をもっと身近なものに置き換えてみます。
あなたの机の上に置いてある電卓。
これこそ計算機です。
電卓はどう使うものか。
具体的な数値を入力し、計算を指示します。
すると一瞬で計算結果を表示してくれる。
これが計算機。
当たり前ですね。
ここで重要なのは、「人間が具体的な数値を入力しないと、この計算機はただの置き物にすぎない」ということです。
誰かがファクトを入力すれば、極めて素早く正確に答えを教えてくれます。
しかしそれは裏を返せばこういうことです。
①プログラミングされていない計算はできない②指示されたことしかできない③自分自身で何かをすることはない④正確に計算することを前提に存在するこう箇条書きにすると、①~③はまるで仕事のできない人のようです。
世の中は「AI」で騒ぎすぎです。
「AI」に仕事を奪われる?そんなことはあり得ません。
人間はいままで通り、人間らしく仕事をすればいい。
それは数字で考えるというテーマについても同じです。
そしてこの④「正確に計算することを前提に存在する」が、ここから私があなたにお伝えしていくことの軸になります。
ざっくり数字で答えればいい私の申し上げる「人間らしく」とはどういうことか。
少し補足します。
なぜ、やめたほうがいいとわかっているのに夜中にラーメンを食べてしまうのでしょう。
なぜ、間違いなく正論であっても、上司の考え方に賛同できないのでしょう。
なぜ、好きになってはいけない人を好きになってしまうのでしょう。
そもそも、人間は論理的ではありません。
直感的に生きています。
食べたいものは食べたい。
嫌なものは嫌。
好きなんだから仕方ない。
それが人間です。
加えて、人間は「正確」な生き物ではありません。
今日も自らの不注意による遅刻は世界のどこかで起こっています。
時速5kmで歩いてくださいと言われてピッタリその速度で歩ける人はおそらくいません。
発言と行動が一致しない人もたくさんいます。
人間は「正確」ではないのです。
直感で生きている。
そして正確でない。
それが人間だとするなら、「数字で考える」という行為も直感的でいいし、正確でなくていいのではないでしょうか。
計算機はできないけれど人間ならできる数値化。
それがアサンプションベースで数字を作っていく作業です。
ではいったいどのような場面でそれは威力を発揮するのか。
それは、規模を掴むために概算するときです。
実は、ビジネスでは「ざっくりどれくらい?」に答えられれば十分な場面ばかりです。
例えば、新規事業。
初年度の売上高を複雑な理論と高度な技術でシミュレーションした結果、「182,417,000円を見込む」という答えが出たとします。
極めて優秀な計算機の仕事です。
すごい。
しかし、すごいですが一方でとても〝不自然〟です。
どうなるか誰もわからない未来の数値を、なぜそんな細かい数値で結論づけられるのか。
実際にビジネスするのは、極めて正確な計算機ではなく、不正確な人間です。
「ざっくり2億円と見込む」のほうが自然ですし、とても人間的ではないでしょうか。
そして何より、ビジネスの情報としてそれで十分です。
「正解のないゲーム」という発想を持てるかここまでをまとめます。
私は企業研修などで必ずアサンプションベースのトレーニングを使います。
もうその理由を説明する必要はないでしょう。
そしてその際、必ず参加者に「Enjoyでいきましょう」と伝えます。
ファクトベースの仕事は手元に数字があります。
教えられた調理の仕方を実践すれば、とりあえず料理は完成します。
しかし、アサンプションベースになると途端に「難しい」「本当にこの仮定でいいのか?」と不安になってしまい、思考が止まってしまうのです。
「真面目すぎる」というのが私の感想。
気持ちはよくわかります。
でももったいないなと。
それではいつまでたってもアサンプションベースの思考は身につきません。
ですから私は、企業研修の場では(おかしな表現かもしれませんが)楽しむことを強要します。
正解かどうかなど気にしなくていい。
そもそも正解などありません。
だから間違えることもない。
ただの遊び。
単純に楽しめばいい。
子どもが楽しそうにゲームをしているように、あなたも数字と戯れればいいのだと。
先ほどの「人間の頭皮に生えている髪の毛の本数はざっくりどれくらい?」という問いも、これを難しいと思いながら真剣にやってもおそらく楽しくないでしょう。
ただの遊び。
ゲーム感覚で楽しめばいいのです。
実際にやってみましょう。
「人間の頭に生えている髪の毛の本数はざっくりどれくらい?」という問いを考える。
↓「髪の毛はどれくらいの密度で生えているか」という問いであると定義する。
↓「手の平全体」の面積にだいたい髪の毛が何本生えているかを考える。
↓「指の爪」の面積にだいたい髪の毛が何本生えているかを考える。
↓「指の爪」の面積を1cm×1cmの1と直感的に仮定する。
↓1mmの幅に2本生えていると直感的に仮定する。
↓1cm×1cmのスペースに20×20=400本生えている。
↓そのスペースが5本指で計30個あると直感的に仮定する。
↓指以外の面積が5本指の合計面積と同じと直感的に仮定する。
↓400×30×2=24,000本(「手の平全体」の面積に生えている髪の毛の本数)↓この「手の平全体」5個分が頭皮だと直感的に仮定する。
↓24,000本×5=120,000本だいたい12万本というのが私の結論。
あくまで私の遊び方をご紹介したに過ぎません。
ほかにも遊び方はたくさんあるはず。
あなたはこのテーマで、どのように数字と遊びますか。
もっと人間的に。
もっと直感的に。
童心に返り、子どもが遊ぶようにあなたも「数字で考える」を楽しんでください。
一般論ではありますが、何事も「楽しんでしまう」のが最強の上達法です。
ではいくつかゲームをご用意します。
アサンプションベース思考実践トレーニング「定義」→「直感的な仮定」→「計算」先ほどの髪の毛の本数に関する遊び。
難解な数学的理論はまったく使いませんでした。
そして、とても直感的な行為だったとは思いませんか。
例えば1mmの幅に2本生えているなんて仮定は、完全に私の直感です。
(頭皮の面積)=(手の平全体の面積)×5という発想もとても直感的です。
こう計算すれば正解が得られますと説明している学術書を私は見たことがありません。
いったい私はどのような発想で12万本という結論にいたったのか。
それを詳しく解説することで、あなたにもアサンプションベースの思考法が身につくようにご案内します。
あらためて、先ほどの行為は「知らんがな」を「12万本」という具体的な情報に変換した行為です。
定性的な言葉を定量的な言葉に変えた。
つまり言葉の変換です。
第1章で「数字とはコトバである」と説明し、かつアサンプションベースを「定性的→定量的」と表現したことを思い出してください。
では、「髪の毛問題」を振り返ります。
実際にした行為は、「定義」と「直感的な仮定」と「計算」の3つだけです。
先ほどの12万本という結論にいたるプロセスをもう一度確認してみてください。
注目して欲しいのは、私が「人間の頭皮に生えている髪の毛の本数はざっくりどれくらい?」という問いを「髪の毛はどれくらいの密度で生えているか、という問いでもある」と再定義した点です。
最初にその行為をすることによって、思考を進めることができました。
密度の問題と定義したから、小さい面積で考えたほうが捉えやすいという発想が必然的に生まれます。
「爪の面積」はいきなり空から降ってきたアイデアではなく、最初に自分で定義をしたから導けたものです。
もし違う定義をしていれば、当然ですが違うアプローチになったでしょう。
「また定義?」と思われるかもしれませんが、アサンプションベースの思考法でも大事なのは、「定義」なのです。
・定義・直感的な仮定・計算この3つを組み合わせるだけで、「正解のない問い」を数字で考えられるようになれます。
「知らんがな」を定量的な言葉に変えるには、次のような手順で考えていくことです。
「知らんがな」を数字で表現したい↓その問いを数値化できる概念で定義する↓直感的な仮定↓計算↓「知らんがな」が定量的な言葉になるではさっそく、あなたも実践してみましょう。
いくつかお題を出しますのでぜひ一緒に考えてみてください。
~アサンプションベース思考ゲームその1~「最近利用したその店は儲かっているか?」あなたがつい最近利用した小売店をひとつ思い出してください。
では、シンプルな問いです。
あなたはどう答えますか。
Qその店は果たして儲かっていますか?「知らんがな」と思ったでしょう。
でもだからこそ遊びに最適のテーマです。
問題を単純化するため、ある1日の収益を数字で捉えることとしましょう。
お気づきでしょうか。
いま私は「その問いを数値化できる概念で定義する」をしたのです。
さらにこれからすべきことを定義します。
1日の収益を計算するのですから、あなたがすることは大きく3つに分けられます。
・1日の売上高を計算する・1日のコストを計算する・最後にその2つを引き算するいまから何をするのか定義できました。
ではここからは「直感的な仮定」と「計算」の出番です。
ぜひチャレンジしてみてください。
私は自宅から近くのある定食屋をテーマに設定してみます。
比較的リーズナブルな価格設定。
とにかくランチタイムは店員が忙しそうにお客様の対応をし、食事のサーブが後手後手になっている感がある店です。
時間帯を3つに分類。
忙しいランチタイムは客数が多く、夜の時間帯の客数はそれほど多くないものの、ビールやサイドメニューなどを楽しむお客様もいることから単価を高めに設定。
これらすべて著者の直感的な仮定です。
[11:00~13:00]客数1時間に20名の来店と仮定し20名×2時間=40名単価700円売上高700円×40名=28,000円[13:00~17:00]客数1時間に5名の来店と仮定し5名×4時間=20名単価700円売上高700円×20名=14,000円[17:00~22:00]客数1時間に10名の来店と仮定し10名×5時間=50名単価1,000円売上高1,000円×50名=50,000円1日の売上高=28,000+14,000+50,000=92,000円次に、コストの計算をしてみます。
先ほどと同じように仮定をベースにして計算していきます。
人件費と原価だけでもざっくりこのような金額と仮定します。
時給平均1,500円勤務時間平均8時間スタッフ数平均3.5名1,500円×8時間×3.5名=42,000円原価率40%原価=92,000円×0.4=36,800円42,000円+36,800円=78,800円実際はこれに賃料や光熱費なども当然加わります。
そう考えると、この店が1日の営業で儲けが出ているのかは極めて疑わしい。
もちろん実際にどうかはわかりません。
ただこの定食屋はつい最近、注文~食事~片付けまでのオペレーションをすべてお客様にやっていただく「セルフサービス」に切り替えました。
個人的にはなるほどとしっくりきたことを付け加えておきます。
さて、あなたの設定したその店はどうですか。
そしてもし今後その店に何か変化があったとしたら、その理由を考えてみてください。
レイアウトを変えた。
アルバイト従業員が増えた(減った)。
閉店した。
それらには必ず理由があるはずです。
~アサンプションベース思考ゲームその2~「社内の雰囲気が良くなった」をどう数値化する?少し難易度を上げたテーマです。
次の問いにあなたはどう答えますか。
Qあなたの職場は、雰囲気がいいですか?「もちろんいいですよ」と答えたあなたに質問です。
なぜいいと言えるのでしょうか。
「メッチャ悪いです!」と答えたあなたに質問です。
なぜ悪いと言えるのでしょうか。
「なんとも言えない」と答えたあなたに質問です。
なぜはっきり言えないのでしょうか。
「雰囲気がいい」とは極めて定性的な表現です。
いかにしてこれを定量的な表現に変換するか。
少し難易度が上がったと思いませんか。
しかし、このようなテーマにおいてもあなたがすることは変わりません。
アサンプションベースで考えるとは、「定義」「直感的な仮定」「計算」の3つをすることです。
まずは私が遊んでみます。
〈数値化できる概念で定義する〉雰囲気がいい職場はどんな「数量」が多いかを考えてみる。
例えば笑顔の量が多い職場ほど、雰囲気が良いと言えるかもしれない。
しかし、現実的に笑顔の回数をカウントするのは難しい。
そこでこのように定義する。
雰囲気の良さを表現する数値=社員が同僚に向けて発した「褒め言葉」の数↓〈直感的な仮定〉一般的に、ビジネスパーソンは勤務した1日でどれくらい同僚に褒め言葉を発するかを想像する。
褒めるのが下手な私はせいぜい1回程度だと仮定する。
仮にこの会社の従業員が100人いて、20人が誉め上手。
60人が普通。
残り20人が誉め下手だとし、このような数値を仮定する。
いずれも極めて個人的な直感によるもの。
誉め上手な人:1日に5回普通な人:1日に3回誉め下手な人:1日に1回↓〈計算〉この会社の1日に発生する「褒め言葉」の数は、誉め上手な人:5回×20人=100回普通な人:3回×60人=180回誉め下手な人:1回×20人=20回計300回この会社の現状の雰囲気=300極めて定性的な表現を定量的な表現に変換できました。
もしこの会社が半年に1回ずつこのような「褒め言葉」に関する意識調査を定点観測していけば、会社の雰囲気がだんだん良くなっている(悪くなっている)ことも数字で説明できます。
ビジネスシーンでは、この「雰囲気が良くなった」のようにとても定性的かつ使い勝手のいい便利な言葉があります。
「組織を活性化させました」「仕事の効率化を図りました」「正確に業務遂行するよう管理徹底しました」など。
このような表現はしょせん、とりあえず言っているだけです。
相手に伝わることもなければ、あなたの評価につながることもありません。
本書をここまでお読みいただいたあなたは、ぜひそんな場面で「活性化」「効率化」「管理徹底」といった言葉を、あえて定量的に表現することにチャレンジしていただきたいのです。
正解はないのですから、間違いもありません。
むしろ「面白いこと考えますね」「なるほど確かに」とポジティブな反応が期待できます。
あとは実践練習あるのみ。
私の提示する遊び方が正解ではありません。
ぜひあなたなりの遊び方を考えていただき、私にもシェアして欲しいと思います。
~アサンプションベース思考ゲームその3~あなたひとりが1年間働いたことの経済効果はいくらか?サッカーワールドカップの経済効果。
アイドルグループ「嵐」のコンサート1回の経済効果。
いずれもどれくらいの影響があるイベントなのかをお金で表現するものです。
プロ野球の世界でも、同様に考えられるでしょう。
有名選手が移籍すると、それまで所属していたチームには大きな影響があるはずです。
「あの選手が抜けるインパクトは大きい」と。
そのインパクトとはまさに経済効果のことを指します。
・集客にどれくらい影響が出るのか・チームとして年間でヒットが何本減るのか・それは得点が何点減ることを意味するのか・それは勝敗にどれくらいの影響があるのか・それは順位にどれくらいの影響があるのか・それは次年度の経営にどれくらいの影響があるのか球団も経営が必要です。
経営者はきっとこのような考えのもと、数字を使って「移籍というビジネス」をしているはずです。
ではあなたに思考ゲームをプレゼントします。
Qあなたひとりが1年間働いたことの経済効果はいくらですか「私の仕事は数値では語れるようなものじゃないんです」といったご意見はもちろんその通りです。
ですがここはあくまで思考のトレーニングと割り切っていただき、あなたの経済効果をざっくりでもいいので数字にしてみませんか。
どんな仕事も、必ず誰かの役に立っています。
それはつまり誰かに価値を提供していることにほかなりません。
ビジネスである以上、必ずその価値はお金に換算して表現できるはずなのです。
例えば、私のような研修講師という職種は、価値を数値化することがとても難しい仕事です。
テレビやマンションのような形あるものを売るようなはっきり成果が見える仕事ではないからです。
では、どう考えるか。
再び数学的手順で考えてみます。
〈数値化できる概念で定義する〉研修の経済効果を数値化できる概念で定義する。
研修とは、受講者のパフォーマンスを高めることが仕事であり、それができればその人が生み出す付加価値も増えるはず。
研修の経済効果=受講後の参加者が生み出す付加価値の増加分↓〈直感的な仮定〉ひとつだけファクトを使う。
我が国のひとりあたり付加価値(年間)およそ836万円参照:「日本の労働生産性の動向2018」(公益財団法人日本生産性本部)によるビジネスパーソンは年間200日勤務すると仮定「研修による教育効果=付加価値1%増」と仮定↓〈計算〉ひとりが1日に生み出す付加価値836万円÷200日=およそ4.2万円↓「研修による教育効果=付加価値1%増」の仮定より増加分の付加価値420円/日↓研修を30人が受講したとすれば、研修後は1日あたり420円×30人=12,600円/日研修の経済効果=1日あたり12,600円ずつ付加価値の増加このような数字が作れました。
もし研修の導入を検討している経営者なら、当然ながらその研修を投資として考えるはずです。
そして投資である以上、どんなストーリーで回収できるのかを気にします。
仮にこの研修を50万円で購入するとしたら、50万円÷12,600円=39.68単純計算ですが、わずか40日で回収できる投資であると判断することができます。
「いい研修ですのでぜひ導入してください!」とだけ主張しても、なかなか通りません。
ビジネスである以上、どれくらいの経済効果があるのかを数字で説明することはとても重要です。
これは私のような研修講師の仕事だけではなく、すべてのビジネスパーソンに言えることではないでしょうか。
実際、私もこのように数字で説明して研修をご導入いただくことが多いです。
大事なことなので繰り返します。
どんな仕事も必ず誰かの役に立っています。
それはつまり誰かに価値を提供していることにほかなりません。
必ずその価値はお金や数字に換算して表現できるはずなのです。
数字で語れないものを提供するためには、数字で語らなければならない私が用意した3つのゲーム、楽しく遊んでいただけたでしょうか。
アサンプションベースがあなたの武器になることを願っています。
第4章をまとめる意味で、ラストメッセージです。
私がいつもビジネスパーソンにお伝えしている言葉。
数百年後も残る名言になっていたらいいなと本気で思い、伝え続けている言葉です。
数字で語れないものを提供するためには、数字で語らなければならない例えば感動。
本来、感動という尊いものそれ自体を数値で測ることなどできないと思います。
ときめき。
安らぎ。
愛。
それらもきっと同じ。
それ自体を数値で測ることなど、できないのです。
あなたの仕事はなんでしょうか。
建設業。
公務員。
フリーランス。
部長。
チームリーダー。
営業。
経理。
いいえ、そういうことではありません。
あなたは必ず誰かに「数字で語れないもの」を提供しているはずです。
直接的ではなかったとしても、必ず誰かに感動、ときめき、安らぎ、愛、そんな数字で語れないものをプレゼントしています。
あなたの仕事はなんでしょうか。
あなたの仕事は、数字で語れないものを誰かに提供することです。
そしてそれを提供し続けることです。
ではそのためには何が必要か。
私の答えは、人間らしく、人間にしかできない方法で、数字を作ることです。
もっと人間的に、もっと直感的に、「知らんがな」と思うことすらも数字で語れる人になることです。
機械にはできないことをすることです。
それは必ずあなたの仕事の何かを変えます。
それがきっと、数字で語れないものを誰かに提供することにつながります。
会ったこともない誰かの人生を豊かにします。
それが、私たちビジネスパーソンにとっての最大の喜びではないでしょうか。
人間を豊かにできるのは、人間だけです。
おわりに最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本書には私がプロフェッショナルとして自信を持ってお伝えできる本質を、「結局これだけでいいよね」と思っていただけるように必要なものだけを整理し、すべてお伝えしています。
もうこれ以上あなたにお伝えすることはありません。
どうか本書を信じて、数字で考える力を身につけてください。
筆を置く前に、ひとつだけ。
私は教育者です。
教育者とは人の成長に関与し、その人の人生を豊かにするために存在します。
まだ見ぬ読者を想像し、その人の人生が豊かになって欲しいと願い、私は本書を書きました。
一方、あなたはなぜ本書を手に取ったのでしょう。
数字に強くなりたいから?そうかもしれません。
でもその奥にもっと本質的な目的があるはずです。
あなたが本当に手に入れたいものは、おそらく「数字で考える力」ではありません。
あなたが本当に欲しいものは、ビジネスパーソンとしての「変化」ではありませんか。
その「変化」がビジネスパーソンとしての時間に豊かさをもたらし、それは人生をも輝かせることになる。
実はあなたが変えたいものは仕事の仕方ではなく人生。
だからあなたは本書を手に取った。
そうですよね。
私はあなたに読んで欲しくてこの本を書きました。
だから大丈夫。
きっと変われます。
感じたこと。
チャレンジしたこと。
豊かになったこと。
なんでも結構です。
本書を通じて起こった「変化」があれば、ぜひメッセージをください。
必ずお返事差し上げます。
待っています。
info@bmconsulting.jp2020年1月吉日深沢真太郎
【著者プロフィール】深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)ビジネス数学教育家。
数学的なビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、述べ1万人以上を指導してきた教育の第一人者。
日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。
理学修士(数学)。
予備校講師から外資系企業の管理職などを経てビジネス研修講師として独立。
大手企業をはじめプロ野球球団やトップアスリートの教育研修を手がける傍ら、SMBC、三菱UFJ、みずほ、早稲田大学、産業能率大学などと提携し講座に登壇。
ゼミ形式で学べる「ビジネス数学アカデミア」や指導者養成機関をプロデュースし、数字や論理思考に強いビジネスパーソンの育成に務める。
ラジオ番組のニュースコメンテーターやビジネス誌の記事監修などメディア出演も多数。
著作は国内外で30冊以上。
実用書のほか作家として小説も発表しており、多くのビジネスパーソンに読まれている。
BMコンサルティング株式会社代表取締役一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者国内唯一のビジネス数学エグゼクティブインストラクター★ビジネス数学.com~深沢真太郎オフィシャルウェブサイト~https://www.businessmathematics.com/
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