DAY4ずっと話していたくなる会話美人に
27話さず、うなずく。みんなに好かれる聞き上手会話を学ぶ章なのに、「話さず……」とは奇妙な項目ですよね。でも、本当に会話が上手な人は、「聞き出すのが上手な人」なのです。実際に、女性アナウンサーが番組内で自主的に話題の中心になって話すことはあまりありません。アナウンサーの仕事は、報道番組であれば正確な情報を伝えることであり、バラエティ番組であれば、ゲストの方に気持ちよく話をしていただき番組全体が滞りなく進行するように見守る、という脇役の仕事だからです。その中でも、最も腕が試される仕事のひとつにインタビューがあります。インタビューは、限られた時間でいかに相手の懐に入り本音を引き出せるかが勝負。アナウンサーにとって最もやりがいのある、そしてむずかしい仕事の一つです。私はこのインタビューの仕事が大好きです。中でも思い出に残っているのは、100名余りの女性起業家を中心とした第一線で活躍する方々にインタビューをするという企画を担当したときのことです。お忙しい方ばかりなので、20分~30分と限られた時間内でどれだけ多くの言葉を引き出せるか、の真剣勝負です。あせって質問攻めにしてしまって、信頼を得られず玉砕したことも数知れず。でも、いろいろなお話が聞けて、本当に幸せな時間でした。会話上手は聞き出し上手「よいインタビュアーは、一言もしゃべらずに相手の本音を聞き出せる」これは、私のアナウンサー生活の中で最も怖かった上司であるNHKの男性アナウンサーの言葉です。その上司は、「本当に相手の話を聞きたいと思っているときは、しゃべらなくても目で訴え、会話することができる。話を真剣に聞いてくれる安心感と信頼感は相手の心を開かせ、素直な気持ちを引き出せる」と教えてくれました。怖いけれど芯のある上司で、彼の教えが私の原点になっています。ビジネスウーマンとして著名な林文子さんにお話を伺ったときのことです。林さんは、外資系自動車メーカーでトップセールスウーマンとして社長に上りつめ、現在は横浜市長としてご活躍されているバイタリティあふれる方です。営業方法も勢いある攻めの手法で行っているのではと思い、セールスの秘訣を伺うと「秘訣なんてないですよ、ただ私はお客様の立場になって話を聞いてきただけです」とのこと。セールスというと、いかに自社製品のよさをアピールして購入してもらうかを考えると思うのですが、林さんは「ひたすら相手の方の話を聞くことで信頼関係を築き、その結果として商品を買っていただけたのです」とおっしゃっていました。現在も横浜市長として、横浜市民のみなさんと対話を繰り返し信頼関係を築きながら街づくりにご尽力されていることと思います。「まず相手の話を聞く」そんな心の余裕を持つことこそ、高い好感度の秘密ではないでしょうか。では、そんな〝好かれる聞き上手〟になるためのポイントをご紹介します。うなずき、あいづちを打つ話をしている相手の目を見て、話の合間に「うなずき」を入れましょう。また、相手の話にあいづちを打つことで「真剣にあなたの話を聞いていますよ」というメッセージを伝えましょう。身を乗り出して聞く人間は正直なもので、興味のある話を聞くときは自然と身を乗り出します。反対に、興味がない話を聞く際は、椅子の背もたれに寄りかかりながら聞くなど、自然と相手と一定の距離を保つようになります。少し身を乗り出して前かがみで話を聞くと、話を熱心に聞いているというメッセージを相手に伝えることができます。メモを取る商談や打ち合わせの際、メモを取りながら話すと、話を聞く真剣度がより強く伝わります。初対面のお客さまの要望を伺う際などは、メモを取りながらお話を聞くと、「きちんと話を聞き、要望を実現するために努力してくれる信頼できるビジネスパーソン」という印象を与えることができるのです。デートの会話や雑談では、もちろんメモする必要はありません。真剣すぎて、相手がびっくりしてしまいますね(笑)。人の話をきちんと聞ける「聞き上手」の人は、相手の気持ちを理解してから話すので、自然と「話し上手」になり仕事や人生の幅が広がっていきます。
28「私は」でなく「あなたは」で、会話のキャッチボールを発声の基本を学んだら、次は「会話」の中身です。話し上手は聞き上手であるということは前項でお話ししましたが、ずっと聞いているだけでは会話にはなりませんよね。会話はキャッチボールです。相手の話を聞き、自分の意見や考えをきちんと述べるための会話術をお伝えしましょう。気づくと自分ばかりしゃべっていたということが多い方は、「私は~」ではなく、「あなたはどう思う?」を増やしましょう。また、会話の中では、聞かれたら聞き返すのが会話上手のマナーです。次のページでは、具体例を見ながら学習しましょう。
悪い例Aさん「お久しぶり、元気?」Bさん「はい、元気です。最近は健康のために水泳しているんですよ。この間は新しい水着を買ってね、フィットネスクラブにも入ったんですよ。ほら、あの最近話題のところ…」Aさん「へえ~…」Bさん「それから、食事にも気を遣い始めて、マクロビオティックというのを始めてね…」Bさんは自分の話ばかりで、会話のキャッチボールになりません。よい例Aさん「お久しぶり、元気?」Bさん「はい、元気です。最近は健康のために水泳をやっているんですよ、Aさんはどうですか?何かスポーツをしているんですか?」Aさん「最近テニスを始めたんです。水泳もいいですね、どこに通っているんですか?」Bさん「会社の近くの○○クラブです。今度一緒に体験レッスンにいらっしゃいませんか?」よい例では、お互いを思いやりながらの会話が進んでいます。こうしてキャッチボールできることが、会話上手への大きなステップです。営業の仕事などではいかに上手に話すかが大事なポイントと思われがちですが、実際にトップセールスマンに伺うと「話すより聞くこと」が大事だそうです。仕事だけではなく、彼やお友だちとの会話でも、「問いかけて返す」という、キャッチボール会話を心がけてみてくださいね。
29相手の言葉を繰り返す、会話美人の上級テク〝あなたの話を熱心に聞いていますよ〟という気持ちを表す有効な方法として「うなずき」について説明しました。声に出さなくても、目やうなずきで伝えると、相手との距離がぐんと近くなり、好感度がアップします。そして少し身を乗り出して話を聞くと、さらに熱心さが伝わり、相手もどんどん話しやすくなります。さて、この項目では、さらに上級者向けの「あなたのお話とても熱心に聞いていますオーラ」を出すためのテクニック「話のキーワードを反復する」についてお伝えします。例Aさんが恋人ができたことを親友のBさんに報告しているシーンAさん「とうとう彼ができたの」Bさん「彼ができたの!おめでとう。それで、どんな人なの?」Aさん「すごく優しくてね、特に彼の笑顔が好きなのよ」Bさん「そうなんだ、笑顔が好きなのね」Aさん「そう、笑ったときの目がとても優しいの」Bさん「目が優しいのね。優しい目をした男性って素敵だよね」Aさん「そうなのよ!」この会話では、Aさんが特に話したいと思われるポイントをBさんが上手に反復することでAさんの気持ちを盛り上げ、会話をはずませています。Aさんは、自分の話したいポイントを相手が繰り返してくれることで、「きちんと話を聞いてくれているんだ」と無意識のうちに安心してリラックスして本音を話すことができるようになるのです。ただし、このテクニックはちょっぴり上級者向け。会話のキャッチボールのたびに使ってしまうと、しつこい印象になってしまったり、軽薄なイメージになってしまいます。ですが、仕事で初対面の方との商談の席や、初めてのデートのときなど、まだ緊張感のある相手との会話を盛り上げるために、最初の数分の会話に意識的に入れてみると効果的です。会話の途中で数回使うようにすると、ピリリとスパイスの効いた聞き上手の会話美人になれますよ。ぜひ、チャレンジしてみましょう。
30TPOをわきまえたさり気ない会話美人のコツ前項でも触れましたが、アナウンサーの仕事の一つに、インタビューがあります。聞きたいことは山積!でも時間はたったの10分!!そんなとき、あなたならどんな会話から始めますか?インタビューでは相手の核心に迫ることが大切ですが、実は、インタビュー時間の3分の1は本題以外の話をしています。趣味やニュースなどさまざまな「話の引き出し」を使って、相手の興味ある分野を探ります。そして、初対面で警戒心たっぷりの相手と共通の話題を見つけ、笑ったり驚いたりしながら話し合うことで、相手の心の中に入っていくのです。一見遠回りにも感じる、もどかしいこの時間がとても大切で、ここで成功したときはとてもいいインタビューになるのですが、共通の話題探しに失敗して相手の警戒心を解くことができなかったときは、本音を聞き出せずインタビューは失敗に終わります。あるインタビューの仕事で、私は大変興味深い体験をしたことがあります。日本を代表する総合商社の社長へのインタビューでした。相手は超一流企業の社長。場所は大手町にある本社の上層階の豪華な応接室。緊張がつのります。初対面で時間もない中、どうやって懐に入って本音を聞き出そうか悩んでいると、応接室の重厚な扉が開き、さっそうと社長が現れました。背が高くて目の鋭い怖そうな男性です。どうやって会話を始めようか模索しながら、ふと、社長の足元を見ると、ピカピカのブラウンの靴、ネクタイはフェラガモです。きっとおしゃれな方なのだろうと思い、「素敵なお靴ですね」と言うとコワモテのお顔がゆるみ、一気に笑顔に!!それから一気に打ち解け、会社の経営戦略やご自身のお考えについての深いお話をうかがうことができました。プライベートでも同じだと思います。出会いは、一期一会。出会ったことに感謝して、相手の方に興味を持ち「あなたについてもっとよく知りたい、一緒に楽しいひとときを過ごしたい」と思って会話したほうが、お互いに有意義な時間を過ごせるでしょう。初対面の相手と盛り上がれるコツでも、初対面の方といきなり盛り上がるのはむずかしいですよね。それでは、どうしたら〝TPOをわきまえた、さりげない会話美人〟になれるのでしょうか。その答えは、「会話の引き出し」を多く持つこと!趣味も、星座も血液型もわからない初対面の方ですから、こちらからたくさんのネタを出して、お互いの共通点を探り、見つけることがポイントです。では、その「会話の引き出し」を多くつくる方法をお伝えしましょう。一般的な話題まずは一般的な話題が便利です。たとえば、お天気やニュース性の高い話題など誰でも知っていて会話が続きそうな話題をストックします。毎朝、新聞を読んでおきましょう。興味のある話題次は、自分の興味のある話題ですね。野球が好きなら、好きなチーム、オリンピックの話題、メジャーリーグのことなど、野球に関連する話題を集めておきます。自分の好きな話なら、緊張して頭が真っ白になってしまっても、何とか言葉が出てくるはずです。体験談、特に失敗ネタ!相手との距離を縮めるには、何といっても自分の体験談です。自分で体験した話は具体性もあり、貴重な話のネタになります。特にちょっとした失敗談を楽しく話すと、場が和やかになり相手の心の垣根が取れやすくなりますよ。おすすめは「ノートを持ち歩き、思いついたネタを書き留めておくこと」です。書くことで頭が整理され記憶にも刻まれますので、すぐに話題が頭に浮かびます。では、せっかくストックしたネタを使うためにはどうしたらいいでしょう?・通勤途中に歩きながら、ひとりごとスピーチをする・今日の出来事を日記に書く・友人や家族に話をしてみる頭の中で考えたり、メモに残したことを、文章として話したり記録に残すことでネタが「自分のもの」になり、いざというときにスラスラと話せるようになります。アナウンサーは、目に留まったものを題材に即興で3分間話す練習をしたり、ノートを持ち歩いて情報を書き留めたりするのを習慣にしています。まずは「カタチ」から!少し視点を変えるだけで、身の回りにはネタがたくさんあることに気づくでしょう。
31飲めない人も知っておきたい大人の女性のお酒のルールアフターファイブで気になるのが「お酒のシチュエーション」です。お酒が入るとつい本音が出てしまって痛い失敗をしてしまった……なんてことがある方もいらっしゃると思います。友人同士なら笑い話ですみますが、接待や会社関係の方との食事となると、お酒の失敗が命取りになることも。マスコミはノリが体育会系なので、仕事後のお酒を介したコミュニケーションを大事にしている場合が多くあります。そんなわけで、アナウンサーも、番組の打ち上げや会食など仕事関係の食事会に行くことは多々あります。次の日、朝早い放送があっても乾杯だけはおつき合いするのがルール。ただし、顔がむくんだり寝坊したりしては大変ですので、次の日の仕事の具合を見てお酒の量を調整することは大切です。飲めなくても、乾杯だけは……お酒が飲めない人もいると思いますが、仕事関係の席での乾杯は周囲の方と同じ飲み物を頼むのが暗黙のルール。乾杯をするためのオーダーの際、みなさんがビールを頼んでいる中で「私はウーロン茶を」とひとりだけ別の飲み物を頼む方がいらっしゃいますね。ひとりだけ別の飲み物を頼むと時間がかかってなかなか乾杯ができなかったり、周りの雰囲気を壊してしまったりするので、避けたいところです。お酒が飲めない場合は、「乾杯だけご一緒させていただきます」とやんわりとお酒が飲めないことを伝えておき、乾杯だけはおつき合いしましょう。そして、乾杯では飲むふりだけをして、その後そっとソフトドリンクを頼みましょう。お酒が好きな方は、みなさんに楽しんでもらおうと気づかってお酒をすすめてくださることも多いので、飲めない体質の方は無理をせず、お酒を飲まなくてもその場を楽しんでいることを伝えましょう。「では、私がお注ぎします」と言って、ボトルを取ってしまうのも手です。無礼講はNG!ところで、上司や仕事関係の方の前でつい会社の愚痴を言ってしまった!という経験はありませんか?お酒の力で饒舌になりすぎることもありますので注意が必要ですね。また、話題は趣味や最近話題のスポットなど明るいものを選びましょう。宗教、政治、プライベート事情などについての質問は、相手を不愉快にさせてしまうことがあるので気をつけましょう。お酒の席は楽しいものですが、仕事関係の場では適度に楽しむのが大人の女性のルールです。くれぐれもお酒に飲まれないようにしてくださいね!
32プロのスピーチ術①絵を描くように話すあなたが「つまらないなあ」と思うスピーチは、どんなスピーチですか?・長い話・だらだらと抑揚のない話・自慢話・もごもごしていて何を言っているかわからない話……いろいろありますね。いけないとわかっていても、つい話を聞きながら、ウトウトしてしまったりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。そして、ご自身もそんな「眠いスピーチ」「つまらないスピーチ」をしてしまった経験もあるかもしれません。話すのが仕事であるアナウンサーも最初はそうです。人前で話したのは入社面接での自己紹介が初めてだったという人がたくさんいます。私もそんなひとりでした。アナウンサーは入社すると、放送に携わる前に、会社が開くイベントでの前説(まえせつ)というイベント告知のような仕事をします。人もまばらな会場で、これから始まるイベントの魅力を伝えて会場を満席にするのが任務。さらにイベントの開始時間が遅くなったりすると、突然ディレクターから「あと5分延ばして」なんていう指示が飛んできたり。いわば、最初の関門というべき仕事ですね。私も新卒入社直後は、その放送局の主催するイベントで前説をしました。スタッフは、新人の私が失敗するのではとヒヤヒヤ(そしてちょっとワクワク!?)して見ています。お客さまは、説明なんかいいから早くゲストを出してちょうだい!といわんばかりの顔で退屈そうにしています。3分が30分にも感じられるような時間を、冷や汗でびっしょりになりながら夢中で話したことは今でも忘れられません。人前で周囲の反応を見ながら話の展開を考え、番組の空気をつくっていけるようになるには、ひたすら実践あるのみ!でした。何度も失敗して涙して、先輩の背中を見ながら学んでいくのです。そんな失敗から学んだ、スピーチ上手になるためのポイントをいくつかご紹介します。スピーチは必ず3分まで聞いていて眠くなるスピーチワースト1は「長いスピーチ」です。どんなにおもしろいスピーチでも、時間は3分まで!人間が集中して話を聞けるのは約3分、という研究結果もあるそうです。核となるネタを決め、枝葉をつけるスピーチは、核となるネタを一つ決めたら、あとは、そのネタを幹になぞらえ、葉や枝をつけるように話します。たくさんの抽象的な言葉より、一つの具体例を話すほうが、ずっと心に響くのです。具体例を入れる就職活動や新しい職場で自己紹介をするのって緊張しますよね。自己紹介でも、エピソードや具体例を入れると聞きやすくなり、楽しいスピーチになります。例1自己紹介します。私の趣味はゴルフで、血液型はO型、星座はさそり座です。好きな食べ物はシュークリームで、苦手な食べ物は、うなぎです。よろしくお願いします。例2自己紹介します。趣味はゴルフで、先日、友人と初めて軽井沢でゴルフをしました。なんてお話すると、とても上手そうですが、スコアは、150を切ったことがないくらい下手です。でも、友人と話しながらゆっくり森林浴できるゴルフは、これから生涯続けていきたいスポーツです。今の目標は140です。どちらの例が、その人の内面や性格を想像しやすいでしょうか?話をつくるときのポイントとして、「絵を描くように話す」という気持ちを心がけてください。相手の心に絵を届けるつもりで話すと、表現力のある魅力的なスピーチになりますよ。
33プロのスピーチ術②〝間力〟を使う絵を描くように話すスピーチ術を習得したら、次は〝間力〟を身につけましょう。マリョク!何だかミステリアスな女性っぽくて素敵な響きですね!いったいどんなワザなのでしょうか??〝間力〟とは〝間の力〟のこと。話をしながら、合間にあえて〝間〟を置いて、聞き手の呼吸を感じながら話すことで、聞き手の関心を集めるワザです。大勢の前で話すときは、緊張するのでどうしても早口になります。話のところどころで、聞き手の呼吸やうなずきを待ちながら話を進めるようにしましょう。少しゆっくりすぎるかな?というくらいのペースでちょうどいいのです。また、会話の途中であえて「沈黙」をつくる手法もあります。ずっとしゃべっていた人が突然話を止めると、聞いていた人は「あれ?どうしたのかな」と注目します。それを利用して注目が集まったところで、大事な話をするという方法です。これはちょっと上級者向きですが、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。実践あるのみ!です。例えば、友人の結婚式でスピーチを頼まれました。こんにちは!(会場の人からも「こんにちは!」と返ってきたつもりで一呼吸あけます。テレビ番組『笑っていいとも!』の司会タモリさんと会場のやりとりの要領です)今日は晴れの日にふさわしい素晴らしいお天気になりましたね。(「そうですね!」と返ってきたつもりで、短く間をあけます)みなさんのお祝いのお気持ちが届いたのでしょうか。それにしても今日○○さんは一段とお美しいですね。(ここで、長めの間をつくって会場の注意を引きます)さて、そんな○○さんと私はというと、小学校のクラブで出会いました。そのころ……(略)緊張したら、ひとりごとそうはいっても、人前で話すときは、緊張しますよね。プロの私も今でも放送前は手に汗をかきますし、結婚式のスピーチ前はドキドキします。緊張は誰でもするものなのです。緊張したら、「あ、私、緊張してる」と口に出して言ってみてください。そうして、客観的に緊張している自分を認めてあげるのです。不思議なことに、気持ちもすーっとラクになりますよ。あとは、腹式呼吸で体全体に空気を染みわたらせるように深呼吸して落ち着きを取り戻します。笑顔でいれば、少しくらい間違えてもそんなに気にならないものです!とにかく笑顔で、自信を持って堂々とスピーチしてくださいね。
34プロのスピーチ術③〝3つの輪〟で話すスピーチの基礎を押さえたら、応用編です。大勢の人に語りかけ、飽きさせないために自分、二人称、三人称をシチュエーションに合わせて織りまぜながらスピーチをつくる、「3つの輪スピーチ」という手法があります。3つの輪スピーチ第一の輪ひとりごと=一人称自分だけの輪第二の輪自分対相手=二人称自分と特定の相手の輪第三の輪自分対大勢=三人称大勢の輪この3つを上手に絡めながらスピーチを組み立てていくのです。次の例文をご覧ください。今日は、私のおすすめを紹介します。みなさん、なたまめ茶ってご存知でしょうか?(大勢へ投げかける)では、今目の合った黒いシャツをお召しの男性の方、ご存知ですか?(特定のひとりへ投げかける)私は通販で知ったんですが、あの渋みのある味がたまらないんですよ。(自分のことを話す)濃いお茶って好き嫌いがあると思うのですが、みなさんはお好きですか?(大勢へ投げかける)会場参加型のスピーチをこのように、とにかく会場を巻き込んでいき、参加型のスピーチにすることで会場に程よい緊張感を持たせられます。用意してきた文章や暗記した文章をスラスラと話すだけのプレゼンテーションやスピーチ、自己PRは、完璧にできたとしても一方的になり、会場の人に伝わらないことも多いのです。周りの人々を巻き込んでいくような会場参加型のスピーチをしましょう。
35相手をググッと引き寄せる「引き算の会話」の魔力〝間力を使う〟の項目で、会話の〝間〟の大切さについてお伝えしました。ここでは、もう少し普段の生活に踏み込んだ〝間〟のポイント「引き算の会話」をお伝えしたいと思います。デートや食事会、パーティなどで、素敵な男性をググッと引き寄せる間力=魔力にもなりますので、ぜひ実践してみてくださいね。「引き算の会話」とは、自分が伝えたいポイントを強調するために、伝えたいポイントの前にあえて〝間〟をつくったり、伝えたいポイントをゆっくり話したり、あえて小声で話したりすることで相手の注意を引き、言葉少なでもメッセージを強く伝えることができる会話術です。人は、「どうしても伝えたい!」と肩に力が入ると、一方的に早口でまくし立てることが多くなります。一方的に早口で話せば情報量は多くなりますが、本当に相手に伝わっているのか大いに疑問です。緊張してあせって「伝えなくちゃ!!」と力んでいるとき、表情はどうなっているでしょう。眉間にシワが寄っていたり、目が怖かったり……人には見せたくない表情ですよね。聞き手は、一方的にまくし立てられた上ににらまれて、責められているような気持ちになってしまっているかもしれません。伝えたいときこそ、必要最低限のことをゆっくり〝間〟をとって話す。伝えたいことは、大声を出すのではなく、ゆっくり丁寧に話すほうがよく伝わりますし、エレガントで素敵な話し方をする人だなと好印象を与えられます。では、学校の先生が子供たちの注意を引きたいときに取り入れる「聞き手の注意を引くテクニック」をお伝えします。注意を引く小声テクニックある小学校のホームルームの時間のことです。子供たちは大騒ぎをしてなかなか先生の話を聞いてくれません。「みんな聞いて!」と大声で叫んでも「聞きなさい!!」と怒ってみても、効果ゼロ。そんな子供たちを見て、先生は大声で制するのをやめて無言でじっと立ってみました。すると、どうでしょう。今まで大声で叫んでいた先生がぴたっと黙ってしまったことに驚いて、教室中が静まり返って先生に注目したのです。いつも大声で話している人が急に小声になったり、今までしゃべりつづけていた人が急に黙ってしまうと、「あれ?どうしたのかな」と心配になり無意識に注目してしまいます。この心理を利用して、本当に伝えたいことの前には一瞬沈黙をつくりましょう。この一瞬の沈黙が、絶大な効果を生みます。好きな人に告白をしたい、大事なことを伝えたい。そんなときには、ぜひ一瞬の沈黙を!
36語尾は伸ばさず爽やかに「○○(名前)ね~、今日ね~パスタがどおしても食べたいのぉ~~」こんなセリフが聞こえてきて、横を見るといい大人の女性でびっくり!なんて経験はありませんか?こんなしゃべり方が許されるのは10代までです。こんな甘い声と伸びきった語尾とまでいかなくても、学生時代の名残で、どうしても語尾を伸ばして話してしまうことはありますよね。実はこれ、女性だけではなく男性にも言えることなのです。社内で隣の席で電話する男性社員の会話をよく聞いてみてください。「お世話になっております~。○○でございますぅ~」「よろしくお願いいたしますぅ~」素敵だなと思った男性でも、話し方がだらしないと幻滅ですよね。私の勝手な持論なのですが、話し方がだらしない男性に仕事ができる人は少ないと思います。あなたの周りはいかがでしょうか?「語尾消え」にも、要注意また、伸ばす語尾以外にも気をつけたいのが「消えてしまいそうな語尾」です。人前で話すのが苦手だったり、ちょっと自信がないときに、言葉の語尾が小さくなって会話が尻すぼみになってしまいます。人間は話の中身より、全体の雰囲気や話し方、仕草で、その人の印象を決めてしまうことが多いというのは、前章でお話ししましたよね。実は「語尾」というのは、話し方を左右する、とても大事なポイントです。せっかくよいお話をしても語尾が伸びてしまうと、説得力のない印象になりますし、語尾の声が小さくなると自信なさそうに聞こえてしまいます。反対に、実は内容に自信がないというときでも、語尾まできっぱりハッキリ話すことで、自信にあふれ説得力のある話し方になるのです。また、語尾を伸ばさずにハッキリ話せるようになった上での応用編としては、あえて語尾の力を抜くという方法もあります。これは語尾を優しく収めることで、柔らかい印象を与える効果があります。ただ伸ばすのではなく、ふわっとつま先から着地するようなイメージで会話を着地させます。ちょっとむずかしいかもしれませんが、デートのときなどには効果大ですよ!笑顔で元気よく語尾までしっかり責任を持って話す様子は、男女問わず好感度大です。語尾はスパッと切って爽やかに!とても簡単な話し方改善術ですので、ぜひ実践しましょう。
37若者言葉を使わない。老若男女に愛される話し方テレビで見かけるアナウンサーで、流行の最先端をいっている、という方はあまり見かけませんよね。特に、公共放送であるNHKのアナウンサーは髪型もファッションも、コンサバ。最先端ではありません。なぜなんでしょう?もともと保守的な雰囲気の人が多いのも事実ですが、もう一つの大きな理由として、視聴者は若い人だけではなく子どもからお年寄りまで幅広いことが挙げられます。イケイケファッションで「超ヤバい」「告る」「うざい」なんて若者言葉をバンバン使うアナウンサーなんて、イヤですよね?要は、さまざまな年代の視聴者のみなさんすべてに、愛されなければいけない職業なのです。そのために特に気をつけているのが「話し方」や「言葉づかい」。流行の言葉はほとんど使わず、辞書に載っている言葉を好んで使います。そう、おばあちゃんと同じ言葉を使うのです。そして、表現が多彩です。これは訓練で覚えるものですが、ボキャブラリーが豊富で表現力が豊かだと、知的な印象を与えることができます。同じことを豊富なボキャブラリーで、何通りにも表現できることは、好感度の高い女性の必須条件です。最近の若者は(なんていうと、おばさんと言われそうですが(笑))、不快な気持ちをすべて「うざい」の一言で片付けてしまいます。例えば、こんなふうに。悪い例①この間の仕事超うざかった。②この間の合コンの人、うざいんだよね。これを、どんな気持ちだったのかを普通の言葉で書き出してみると……よい例①あの仕事、終業時間間際に上司から頼まれて、大事なデートに遅れちゃった。大変だったよ。②先週合コンで知り合った人から毎日電話がかかってくるの。深夜や朝もだよ。ちょっと迷惑なんだよね。「うざい」の一言の中には、実はいろいろな感情が入っていたのですね……。絵文字に頼らず自分の言葉で表現を言葉の簡素化だけではなく、携帯メールの絵文字の出現で、感情を言葉で表さなくても、かわいいイラストで表現できるようになりました。でも、知的な女性は絵文字にも流行語にも頼りません。自分の気持ちは自分の言葉で表現する。当たり前のことですが、やってみると、案外むずかしいのです。でも、そうすることで、素直に自分の心を言葉にしていなかったことにも気づくはず。絵文字にも若者言葉にも頼らず、自分の言葉で気持ちを表現することで、自分でも気がつかなかった心のメッセージに気づけるかもしれません。
38もうドギマギしない。柔らかな視線をマスターする友人とおしゃべりをしているとき、相手の目線が自分の後ろに注がれたり、自分の顔以外に向けられると「あれ?どうしたのかな。話聞いてる?」と気になりますよね。視線というものは想像以上に相手の印象に残るものです。会話中、目線をキョロキョロさせて相手から視線を外すと「もしかして、話をちゃんと聞いていないのかな?」と疑われてしまいます。逆に、会話の最中、じーっと相手の目だけを見つめて話すとお互いにドギマギして疲れてしまいます。では、相手に柔らかな視線を送りながら、会話に集中しているというメッセージを届けるためには、どんなふうに視線を投げかければいいのでしょうか。ベスト・トライアングルの視線そこでおすすめしたいのが、「ベスト・トライアングルの視線」です。ベスト・トライアングルとは、相手の方の両目と喉元を結んだ三角形のこと。このベスト・トライアングルを意識して視線を投げかけると相手に威圧感を与えずに、かつ視線が外れた印象を残さずに〝しっかり話を聞いていますよ〟という姿勢をアピールできます。ポイントはこのトライアングルをぼーっと見ることです。右目、左目、喉元と、点を意識して見つめるのではなく、この三角形をぼーっと見るのです。すると、目線をずらすことなく柔らかな視線をつくることができ好印象を与えることができます。では、実際にこのベストトライアングルを実践して体感してみましょう。ご家族や友人に協力してもらい、喉元と目を結んだトライアングルをぼーっと見ながらおしゃべりをしてみてください。次に、同様に、お相手の方にトライアングルをぼーっと見ながら、おしゃべりをしてもらいます。これは、実践あるのみですので、ぜひ日々の生活の中で練習を重ねてみてくださいね。面接でも使えるベスト・トライアングルこのベスト・トライアングルは、面接などの場でも有効です。初対面の面接官は、みなさんを第一印象で判断します。その際、視線が泳いだり、緊張して面接官をにらむような視線でじっと見つめながら話したりしては、マイナスイメージを持たれてしまいます。そんなときこそ、このベスト・トライアングルをぼーっと見ながら話せば、怖い面接官の目だけをじっと見て話す必要もありませんので、今までより緊張しなくなりますよ。大勢の前では、〝M字〟方式また、大勢の前で話をするときに、会場全体を意識して話をしているように印象づける視線として「M字方式」というものがあります。会場をMの字に沿ってゆっくり視線を投げかけると、会場全体に気を配りながら話をしている印象になりますので、結婚披露宴でのスピーチやプレゼンテーションを行う際には実践してみてくださいね。
コメント