残業体質の会社でも余白をつくるのをあきらめない「私の会社は残業体質だから、そもそも早起きなんて無理」と、あきらめている方もいらっしゃるかもしれません。でも、あきらめる前に、もしかして必要のない残業をしているのではないか?自分が変われば、残業は減る可能性があるのではないか?と、朝の時間に立ち止まって、考えてほしいのです。その際、考えるポイントは大きく2つ。◯「指示待ち残業」をしていないか。◯自分なりの「見極めポイント」をつくっているか。「指示待ち残業」とは、あなたがきちんと確認さえしていれば防げたはずの残業です。たとえば、上司に企画書作成の指示を受けたときに、何に使うか、いつまでに使うかなどを確認しなかった。そのまま、上司が出かけてしまい、帰社してチェックしてもらうのに3時間後まで待ち続けた……そんなことのないようにしましょう。「見極めポイント」とは、自分のなかで「これでよし」という基準をきちんと決めているかということです。仕事は、時間をかければかけただけいいものができるとは限りません。自分なりの基準を決めておかなければ、いつまでたってもダラダラ残業から逃れることができないのです。とはいえ、「見極めポイント」を設定するのは難しいもの。だからこそ、朝の時間なのです。ほかの業務に邪魔されない朝に、自分の過去の成果を振り返ってみましょう。見切り発車をしてうまくいかなかった事例、わりきったおかげでうまくいった事例を、経験値として積みあげていきます。これを繰り返すと、徐々に見極めポイントが見えてきます。朝シミュレーションを行うだけで、心に余白が生まれます。心に余白がある人は、仕事に対する取り組みもていねいになります。ていねいな仕事は好感がもたれ、評価もあがります。評価があがれば、信頼が増し、発言力も高まります。「自分締め切り日」をつくって、宣言しよう残業体質の会社でも、余白をあきらめないコツをもう1つ。相手の締め切り日のほかに「自分締め切り日」をつくることです。「今回は余裕があるな」と思ってのんびりしてしまったときほど、直前になって突然の事態が起きたり、割り込み仕事が生まれたりと、バタバタしてしまうことが多いですよね。バタバタすると、本来ありえないような凡ミスをしてしまったり、不本意な資料を提出したりと、よいことがありません。ですから頭のなかで「自分締め切り日」を数日前倒しで設定し、残りの1~2日は予備日にすることを心がけましょう。ただし、頭で思っているだけではなかなか実行できないのが実情。だから私は、なるべく相手に期限を宣言してしまうようにしています。「だいたい、今月の中旬ぐらいに戻してね」くらいのゆったりとした締め切りのときでも、「ハイ」とそのまま受けて終わりをあいまいにせずに、「では、15日に戻しますね」と宣言してしまいます。すると、宣言した手前、その約束を破ると自分がすごく恥ずかしい思いをします。そのプレッシャーを前向きに利用するのです。「○日までにお返事します」と自分で決めることで、相手次第だった日程の調整も、自分が主体的に決めたんだという気持ちになることができます。仕事ばかりでなく、気乗りしないイベントの誘いを断るときも、なるべく早く連絡します。どんな言い訳をしようかと迷っている間にも、相手は、あなたが来るか来ないかわからないので、人数の調整ができず、困っているかもしれません。「予定が入るかも、入らないかも」と相手を不安にさせないのも、また思いやりです。なんでも主体的に、早めに返事をして日程を決めるクセを少しずつつけていくことが、自分の時間も、相手の時間もたいせつにすることにつながるのです。朝を「俯瞰」の時間にしよう先日、講演先で次のような質問をいただきました。「私はフリーランスのライターとして仕事をしつつ、教室も運営しているのですが、仕事の性質上、先方の都合次第で夜中まで仕事になったり、早く終わったりと時間がまちまちで一定していません。そんな場合でも、決まった時間に早起きをしたほうがよいでしょうか」私からの回答として、おおよそ次のようなことをお話ししました。◯週単位ではめちゃくちゃだと思っても、1カ月とか3カ月とか、長い目で見ると、一定の傾向があることが多いはず。◯まずは書き出して傾向を把握しましょう。◯そのうえで、比較的時間に余裕があるときだけでも、早起きをしてみましょう。ポイントは「書き出し」「俯瞰」「早起きの定義づけ」です。相手の都合が優先で、自分の時間が決められないこと、たしかにストレスですよね。でも、そんななかでも方法はあります。1週間単位ではめちゃくちゃなスケジュールだ、と思っていても、1カ月単位、3カ月単位と広い視野で俯瞰してみると、何かしらの傾向が読めてくるものです。たとえば、毎月来る定期的な締め切りが終わると、ちょっとだけほっとする時間はあるな、とか、教室に来てくれるお客さんを見てみると、月末よりは「今月こそがんばろう!」と思って月初に来るお客さんが多いな、とか……。まずは、傾向を俯瞰して見ることができるよう、忙しさの波を書き出してみることをおすすめします。そして、「波が少しマシなときだけ、早起きしよう」と決めるだけでもだいぶ違うのではないでしょうか。早起きは「目的」じゃなくて「手段」です。一定の時間に毎日起きることが「早起きの成功」だと思い込んでしまうと、1日失敗しただけで総崩れになりますが、「余裕がある日の前後だけ、早起きしよう」と決めれば、それがあなたの早起きルールとなりますよ。まずはあなたの「定義」を決めるところ
からはじめましょう。気持ちが乗らないときは、細々した事務作業を朝終わらせてリズムをつくるこの章のはじめに、朝は「投資」の時間にあてるとよいとお伝えしました。ただし、「自分への投資」という行動は、将来の根幹にかかわるような重要なものが多く、とりかかるのに心理的な負担があるので時間がかかってしまうことも。そんなときは、ふだんはついあとまわしにしがちな単純作業の、「いつかやろう」と思っていることをやってしまい、勢いをつけるのも手です。とりかかればすぐ終わってしまうのに、なんとなくあとまわしにしているようなことをピックアップしてみましょう。たとえば経費計算や伝票整理、売上確認など、疲れた頭ではミスしてしまいそうなことを、朝にもってゆくのです。単純作業というものは、夜、仕事がひととおり終わったあとや、月末にまとめて一気にやってしまう人も多いでしょう。でも、単純作業とあなどるなかれ、夜の疲れた頭で行うと、ありえない凡ミスをしてしまうこともあります。1つ計算を間違えるとすべてが狂ってしまうので、せっかく早く帰ろうと思ったのになかなかまとまらず、かえって残業が増えたり……。私も会社員時代、金曜日の夜に、今週はどのプロジェクトに何時間かかったかをまとめて書き込むようにしていたのですが、ぐったり疲れた頭に、この計算はけっこうヘビーで、何度か計算を間違えたり、飲み会までに急いでやろうと思って雑になったりして、5分で終わるはずのものなのに30~40分もかかってしまうことがありました。このような、やらないといけないけど、ついあとまわしにしてしまう、そんな仕事こそ、朝の時間です。えいっと思いきってカタをつけてしまいましょう。終わったスッキリ感から勢いがつき、今日は残業して交通費精算をやらなきゃな、といったブルーな気持ちもなくなるので、1日がスムーズにまわるようになりますよ。予定が決まった順に、機械的にスケジュールを埋めない「なかなか余白がとれない」と思ってしまう方は、予定が決まった順に、どんどんスケジュールを埋めてしまってはいませんか?相手から申し出があった予定を、そのまま、受けた順にとりあえず手帳などに記入していくと、時間がいくらあっても足りません。予定は決まった順番ではなく、あなたが、すべきこと、すべきでないこと、すぐやるべきこと、あとでいいことを判断し、その重要度順を考えてスケジュールに並べるよう心がけましょう。それだけで、あなたの時間や心の余裕は確実に増えます。とはいえ、会社勤めや家事や育児で忙しいなか、そんなのいちいち無理!と思われるかもしれませんね。そんなときこそ、朝の時間を使ってものごとを判断する訓練をするのです。朝9時以降の忙しい時間がはじまってからは、どれがすぐやるべきこと、どれがあとでもいいこと、などを判断している暇さえなく、どんどん予定を受け入れてしまいます。しかし、誰にも邪魔されない朝の時間なら、今日の仕事のなかではどれが緊急なもので、どれが時間をかけていいものかを、ゆっくり判断できます。頭がクリアで判断力が冴える朝だからこそ、行うことができる訓練ですが、これを続けていって習慣化すれば、朝9時以降の「降ってわいてくる相手次第の予定」にも、だんだん主体性をもってのぞむことができるようになってきます。主体性をもって予定を判断していくために効果的なのが、予定表を色分けしていく方法です。たとえば信号機を思い出してみてください。赤、といったら、すぐに「止まれ」だな、と直感的に連想することができるでしょう?それと同じように、それぞれの予定を、意識的に異なる色を使って書き出すと、判断スピードが速まります。たとえば私の場合は次のように色分けしています。◯種まきの赤(家族・メンター・親友との予定)。◯食いぶちの緑(仕事全般)。◯日課の青(日々のルーチン作業)。◯思いつきの黒(自分以外にもできること)。色分けのおかげで、アポの電話やメールが入ったときに、瞬時に「これは赤だな」「緑だな」と判断できて、あとから手帳などを見返すときには、その色に応じた対応をしています。物事の判断スピードが速くなるので、結果的に自分の時間が増えるのです。夜の楽しい余白のためにデッドラインを逆算する今日は、ずっと気になっていた彼(彼女)と、やっとのことでとりつけたデート。夜7時に銀座で待ち合わせ。移動の時間を考えたら、なんとしても6時半には会社を出たい。そんな状態のときの集中力は、ふだんとはくらべものにならないものでしょう?デートに遅れたら、そのぶん、彼(彼女)とおしゃべりする時間が減ってしまう。脇目もふらずに、〝話しかけないで〟オーラを醸し出しながら、業務を時間どおりに終了しよう!と本気になるはずです。人は「○○しないといけない」(義務)より「○○したい!」(願望)を優先する生きもの。だから、一見、ヨコシマな願いをニンジンにして、集中力を維持してもいいのです。それで仕事がはかどるのなら、結果オーライ。「必ず○時までに終わらせよう!」という集中モードは、早起きをすることで、強化することができます。たとえば、「今日は6時半には退社するぞ!」と目標が定まったら、朝から始業時間の9時までは、どうやったら仕事が終わるかという「戦略を練る」集中モード。昼は、朝立てた戦略に従って、「バリバリ仕事をする」集中モード。夕方は朝の戦略の「総仕上げ」集中モード。こうして、集中モードを増やしていき、それが次々にクリアできると達成感が生まれて、だんだん楽しくなってくるのです。バリバリ仕事、総仕上げも、もちろんたいせつですが、いちばん重要なのは、すべての計画をつかさどる朝の集中モードです。
「朝9時までに」「夜6時半までに」という、集中モードのデッドラインを意識的にたくさん設定して、それに間に合わせることができたときには、いいことが待っている!という状況をつくりましょう。ダラダラと時間を浪費することが少なくなります。ごほうびがあることで、朝、すべきことの全体像を把握し、適切な時間配分を意欲的に考えることができるようになるのです。ただ早起きしているだけで、勝手に信頼がついてくる私は会社員時代、出社前に会社近くのファミレスで、頭や心を整理してから出勤することを日課としていたので、遅刻とは無縁でした。たとえ台風や交通遅延など、ふつうなら遅刻しても仕方がない状況でも、必ずいつもどおりに出社することができていました。ただそれだけのことなのに、「あいつは、何があっても必ずアサイチにいるやつだ」と上司が認識してくれます。それだけで「しっかりしている」という評価をもらえてしまったのです。ある大雪の朝、遅刻とは無縁の私は「たぶん交通マヒで遅刻する人が多いんだろうな」と思いながら、ちょっと早めに出社をすると、案の定、部署には「遅刻します」の報告電話がたくさん。上司はその対応だけで、てんてこ舞い。部下は私しかいないので、その日の重要なプロジェクトの進行確認の電話も手伝うことになりました。「確実に、この人は遅刻しない、と思ってもらえるだけで、信頼ってついてくるんだなー」と、そのとき私は実感したのです。もちろん、電車遅延などはやむをえない事情です。電車遅延まで遅刻あつかいにする会社がよい会社であるわけはありません。だから、遅刻をしないために早朝出社をしましょう、といった考えを強要するつもりは、まったくありません。でも、会社側としては、どんな事情があれ、社員に業務を確実に遂行してもらわないといけないわけですよね。お客様がいらっしゃる限り、どんな事情があっても納期に間に合わせるのが仕事です。その目的がわかっていたら、どんなときでも遅刻をしない社員は、ありがたいんじゃないかなと思うのです。時間を守る、遅刻しないだけで、確実に相手の信頼を勝ち取ることができる。そう思ったら、世の中って、意外とカンタンだなー、と思えてきませんか?余白は「30分前行動」でつくれる自分の仕事の生産性は、相手にゆだねる時間を最小限にすることで決まります。ふだんの仕事や生活で、時間が読めないので仕事が先に進まない、なぜ読めないかというと相手次第だから─ということは、たくさんありますよね。だからこそ、「自分が読めない時間」を最小化することが、余白を確保するためには必要となるのです。乗っていたタクシーが渋滞に巻き込まれる、突然急ぎの仕事を振られる、相手のメールの返信が締め切りをすぎても来ない、などなど、自分にとって予定外なことが起きれば起きるほど、心は乱れますし、仕事の生産性にも影響がでてきてしまいます。時間が狂ったおかげで、打ち合わせや商談に遅刻してしまえば、あせるうえに「すみません」と謝るところからスタートするので、話をする前から不利な立場になってしまいます。このような事態を防ぐために、私は、日々「30分前に行動」の意識でものごとを進めるクセをつけています。社外で打ち合わせがあるときは、基本的に30分以上の余裕をもって待ち合わせ場所に向かいます。あらかじめ、待ち合わせ場所近くの喫茶店をリサーチし、ひと息ついて、落ち着いて資料にもう一度目を通します。打ち合わせ内容の再確認ができ、自分が伝えたいことや聞いておかなければいけないことの整理もつきます。この習慣のおかげで、突然の電車遅延や渋滞に巻き込まれても、遅刻することはほぼありません。たとえオフィスを出るまでに、やりかけの仕事が残っていたとしても、移動先近くに着いてから、間に合わなかった仕事を進めればいいだけの話です。持ち出した仕事が出先で終わらないことはしばしばですが、遅刻してしまうよりはるかによいと思います。さらによいのは、30分前に待ち合わせ場所に着けるように、その前の仕事を終わらせておくよう逆算することを習慣化すれば、ムダな時間はますますなくなります。「30分前に行動」という意識が頭にあることによって、仕事の段取り力もつくようになるのです。気持ちに余裕が生まれるので、自分の思いどおりにいかない出来事にイライラしたり、まわりに八つ当たりしたりすることもなくなりますよ。朝の社内交流が会社の雰囲気を変える「朝活」という言葉が広がりはじめた2009年当初は、「朝活とは、出勤の前に、社外の人と勉強会などで交流をはかる」といったものが主流でした。しかし最近では、「朝」を「社内」の交流にあてて、成果を実感している会社もあります。リサーチ会社のマクロミルでは、社内交流と健康増進のために、「シャッフルモーニング」という朝食企画を開催しています。このタイトルには、社員同士を「シャッフル」するという意味を込めているそうです。ふだんはあまり交流がない別の部署の人ともコミュニケーションがとれるよう、たとえば「19××年生まれの人」や「◯◯線沿線に住んでいる人」などのテーマを決めて、社内のイントラネットを通じて参加者を募集。朝食の席では、同じ部署同士などで固まらないように配慮して、美味しい朝食とともに気軽な交流をはかっているそうです。朝食には、海外セレブや芸能人の間でも人気のコールドプレスジュースや、野菜ソムリエがつくる野菜たっぷり朝カレーなど、疲労回復や風邪予防などにも効果のあるメニューを考案し、提供はケータリング会社と協力して行っているとのこと。もともとは、社員数が増えたことにより、同じフロアでも話したことがない人がいる、といったことがきっかけでスタートしたこの企画。いまでは、部署を超えたコミュニケーションが活発になったという効果もあるそうです。また、朝早起きなんて無理、と思い込んでいた社員も、シャッフルモーニングに参加することで早起きの気持ちよさに目覚め、「朝って楽しい!」と気持ちが切り替わって、会社全体も徐々に朝型になってきているそうですよ。夜の飲み会でのコミュニケーションより、朝のシャッフルモーニングがこれから主流になっていくかもしれませんね。
「なぜ」を自分に問うことで「ゆでガエル」を阻止する「ゆでガエル現象」という言葉を知っていますか?ゆるやかに温度があがる水のなかにカエルを入れると、温度の変化に気づかないうちにゆであがって、死んでしまう─という、ものの例えなどで使われる表現です。人や組織もゆっくりした環境の変化には気がつきにくく、気づいたら致命的な状況にいたって、逃げられなくなっていた、そんなときこそ、まさに使われる隠喩でしょう。「いつもやってるから」「あたりまえでしょ」「そういうことになっている」こんな言葉が自然に口から出てきたら、もしかしたら「ゆでガエル」の思考に陥っているサインかもしれません。朝は、「なんとなく」でやりすごしていることを、あらためて見直すことができるたいせつな時間です。夜は、昼間に頭を酷使して疲れているので、自分の行動を振り返るのはしんどいですよね。だから私は、がんばった自分を夜は解放して、何も考えずにパーッとリラックスするようにしています。その代わり朝は、ふだんは考えるのがめんどうくさくなっていることや、あたりまえすぎて考えることすらしなかったことを、腰をすえて振り返る時間にするのです。整理整頓の例で考えてみましょう。そもそもどうして整理するのかというと、モノを見つけやすくするためですよね。つまり、モノを見つけやすくする、という目的が達成できれば、じつは整理する必要はないのかもしれません。たとえば、デスクトップがちらかっていても、自分さえ見つけやすい名前をつけておけばそれで問題なし─というのが、朝の発想です。ところが、整理すること自体がゴールになってしまうと、いかにキレイに整理するかにこだわり、かえってモノが見つけづらくなってしまう─これが、疲れた夜にやりがちな行動です。このような、「そもそも」の部分を、朝の時間で探ってみませんか?かんたんなことからで大丈夫。朝、支度をする手順は、なんとなくやっているけど、はたして何が本当に必要かな?そんなふうに立ち止まることで、毎日が少しずつよくなるかもしれません。いま「大好きなこと」を自由にできている人が、そうなる前にしていたこといまの仕事をこのまま続けていいのだろうか……。まわりの人たちは大好きなことを仕事にできているのに、私はできていない……。と、ふと不安になるときがあるかもしれませんね。私は、いま好きなことを楽しくやって結果を出している人は、そこまでにいたるプロセスのなかで、次の2つの経験をしているのではないかと思います。◯このままではダメだ、という健全な危機感を覚えたことがある。◯いま、目の前の仕事を一生懸命やりきる素直さをつちかってきた。つまり、いま楽しい人だって、最初から楽しいわけではなく、あせったり、がまんをしたりして、じわじわと楽しさを育てていったのではないのかなと思うのです。夢中になってできる仕事を最初から探すのではなく、いまの仕事をまずは夢中になってやってみる。そのためには、つらいことも楽しく思考転換する力が欠かせません。「大好きなことを仕事に」「自由に生きたい」声に出さなくてもそう思っている人は多いし、実際に大好きな仕事をして、自由に生きている人はたくさんいます。私のまわりにも多いです。でも、そこにいたるまでのプロセスで、ずーっと、最初から大好きなことを自由にやっていた、という人は、一部の天才や運がよい人を除きほとんどいません。大きなゴールが「大好きなこと」でも、そのプロセスには「大好きでないこと」が混じっています。ここを見落としてしまうと、いつまでも青い鳥を追いかけて何も結果を出せない人になってしまう─私はそう思います。そこにいち早く気づいて、「わー!このままじゃ私やばい!」と本気で思い、がんばりを楽しく思考転換しながら努力すれば、ものすごい力が発揮できるのです。朝の余白を使って、大好きなことをするために必要な「大好きでないこと」を、いかに楽しく続けられるかを考えてみましょう。「やり残し」は、「戦略的先送り」と言い換えて棚卸しする仕事にとりかかる前に、リストをつくる方も多いのではないでしょうか。すべきことが終わったあと、リストのふせんをはがしたり、書き込みを斜線でつぶしたりすると、ものすごく達成感がありますよね。一方で、リストを全部消せなかった自分に、ちょっとだけ残念な気持ちになることはありませんか?残念な気持ちになるのは、「やり残した感」があるからです。私は「やり残し」という言葉こそが、「自分は意志薄弱だ」と落ち込ませる犯人なのではないかと思うのです。だったら、いっそのこと「やり残し」という言葉はやめて、「戦略的先送り」と言い換えちゃいましょう!もちろん、言葉を変えただけでは、ただのごまかしになってしまうので、気持ちの面から言い換えてみます。次のようにしてみましょう。1処理しきれなかった「やり残し」をあらためて書き出す。2書き出したことのうち、いつも気になってはいるけど、結局いつもできていないことや、じつはやらなくても毎日に支障がなかったものを、スパッと手放してしまう。3残った「やり残し」は、「来月にもち越しすべきもの」として認めて、これを新たに「戦略的先送り」としてリストにする。
このステップをへることにより、できなかった自分を責めるのではなく、「私は、自分の意志で、来月にもち越すことを選んだんだ!」と切り替えることができます。なんとなくもち越してしまうと「やり残し」。でも、これは重要だから先送りしたんだ、と決めれば「戦略的先送り」。言葉の使いようで気持ちは大きく変わりますよ。「戦略的先送り」ができれば、「望んだ夜更かし」と「望まない夜更かし」の区別ができる私がプロデュースしている『朝活手帳』を愛用していただいている、東京都内の会社社長、Mさんより、うれしいお話をうかがいました。彼女は、昔から仕事が大好きでした。気づくと寝ないでずっと仕事をしてしまうので、ワーカホリック気味の睡眠障害になってしまい、睡眠薬が手放せない生活を何年も送っていました。このままではよくないと、薬を飲み続ける習慣から卒業すべく一念発起、会社を部下に任せて、半年の間、精神科に入院して薬断ちをしました。半年後、無事に退院できたのですが、薬を飲む習慣を手放したのと同時に、仕事への情熱も、やる気も手放してしまいました。それから半年間、何も手につかず、生き方まで手放しかけたとき、『朝活手帳』を書店で見つけたそうです。「私に必要なのはこれだ!」と手に取り、活用することで人生が劇的に変わりはじめたとお話ししてくれました。それまでは、「1日1日、仕事が終わるまで寝てはいけない、とことんやりきっていない私はダメだ」と、自分を縛っていたせいで、睡眠不足や生活の乱れを引き起こしていたそうです。そんなときに『朝活手帳』に出会い、「戦略的先送り」の考え方を知って、仕事を朝に残してもいいんだと気づいたそうです。それからは、やりきっていなくても、わりきって寝てしまっていい、夜更かしして詰め込むより、仕事は朝にまわせばいい、ときちんと睡眠を取るようになりました。さらに、早起きでいったん頭がリセットされて、生産性が向上、心身ともに健やかになっていくことを実感したそうです。「千恵さんのおかげで私の人生が変わりました。『朝活手帳』は人生を切り替える手帳です。この手帳は、日本のみならず世界にも広がるべきです」と、彼女は言ってくださいました。私は、その話を聞き、泣いてしまいました。Mさんのように、仕事(や、ほかの何か)に追いつめられてしまって、本当につらい思いをしている方が、「早起き」という、たったそれだけのことで人生を変えることができたのがうれしかったのです。私は、朝型が絶対的に正しい、というつもりはありません。夜にしかできない仕事もありますし、遺伝的に決まっていて、生まれながらにして夜型だという人もいると聞きます。「私は夜型のままがいいんだ」という方を、無理に朝型に切り替えるべきだというつもりはないのです。ただ、もし、仕事が終わらない、残業が多すぎる、夜の断れないつきあいが多い、1日のうちにカタをつけないと気がすまない、などの理由で、「望まない夜更かし」をしている方がいるのであれば、朝型へシフトしてみませんか?と提案したいと思っています。私自身、「もう朝なんて一生来ないのではないか」と思うくらいの絶望を感じたときには、いつも早起きが心の支えになってくれました。どんなにつらい夜でも、お日様は必ず昇ってきてくれて、「よし、がんばろう!」と思うことができました。そんな体験があるからこそ、私は自信をもって言えるのです。「朝型生活が人生を変える」と。いま、日本の自殺者は3万人弱といわれています。望まない夜更かしをする人が減れば、うつ病患者や自殺者は減ると、私は本気で信じています。
早起きしていると、段取りよく、仕事や用事がサクサク片づいていくので、達成感と充実感が得られます。すると、「これだけがんばったんだから、夜はダラダラしてもいいや」と、自分をゆるしてあげることができます。つまり、早起きすると、夜のダラダラに後ろめたさがなくなるのです。これに気づいたのは、私が大学受験に二度失敗し、三度目の挑戦をしようと、早起きして勉強しはじめたときでした。当時の私は夜10時就寝、朝5時30分起床。6時に家を出て、早くから開いている予備校の自習室で勉強していました。朝早くから勉強するので、夕方5時ごろには集中力が切れてしまいます。そこで、家ではいっさい勉強するのをやめて、テレビを見たり、趣味の料理をつくったりとリラックスした時間をつくるようにしました。それまでは、リラックスする時間をつくるなんて考えたこともなかった私ですが、体験してみるととてもいい感じ。朝から十分勉強した!という充実感があるから、夜はダラダラしても、後ろめたい気持ちにならないのです。さらに、メリハリをつけたことによって、明日も早起きして勉強をがんばろう!という気持ちになれました。いまの私は、よっぽど仕事が立て込んでいない限り、夜は夫とお酒を飲みながら、おしゃべりしたり、ネットを見ながらだらだらしたり、好きな小説を読んだりと、リラックスした時間を楽しんでいます。朝の時間に集中していなかったら、こんな時間をすごしている自分を、「ああ、もっと生産的なことをしなければ」と否定してしまうかもしれません。でも、早起きして、すべきことをきちんとしている、という充実感があるので、こんな時間もメリハリ時間として、前向きにとらえることができるのです。この章では、勉強する時間をつくるときの余白の考え方を紹介します。
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