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第6章 家族関係に余白をつくる

日常は、立場を変えるだけで非日常になる何気なくすぎてゆく1日。代わり映えしない毎日……。「なんだかつまらないな」「おもしろいことないかな?」そんなふうに思ってしまうときでも、じつは、たんにおもしろいことがたまたま目に入っていないだけで、周囲は新しい発見にあふれているのかもしれません。たとえば、立場を変えてみるだけで、日々の生活がまったく違ったものに見えてきたりはしないでしょうか。私の場合は、息子が生まれてからは「小さい子どもを育てる母の立場」に変わりました。この立場でものごとを見るようになった結果、近所の公園に向かうことでさえ、すべてが初めてのことで大冒険になることに気づきました。家の近所にこんなに公園がたくさんあるなんて、子どもができるまでは知らなかったのです。公園や川沿いの階段の横には、必ずスロープがついていることなんて、ベビーカーを押さなければ気づきませんでした。初夏、ベビーカーで散歩すると、子どもはアスファルトに近いため、日中は暑いから早朝のほうがよいということも気づきませんでした。日常を非日常の大冒険にするための秘訣は、日々のあたりまえのなかの発見にあるのだな、としみじみ感じています。ふだんは自分の職場の立場でものごとを見るのに精いっぱいな方も、朝の余白で「妻目線」「夫目線」「父母目線」など、さまざまな立場で広くものごとを見てみると、あらたな発見があるかもしれません。家族への感謝の気持ちは、朝イチで言葉にする日常が非日常になることは、家族とのコミュニケーションでも同様です。特別なことをしてもらったときは「ありがとう」を素直に言えると思いますが、よくこの言葉を意識してみると、じつは毎日の出来事は「ありがとう」であふれているものなのだな、と感じます。ここで質問です。あなたは昨日、家族に対して何回「ありがとう」を伝えましたか?我が家では、お互い「ありがとう」を、朝から数えきれないくらい発しています。◯残業せずに早く帰ってきてくれてありがとう。◯ゴミ捨てをしてくれてありがとう。◯ほ乳瓶を洗ってくれてありがとう。◯洗濯物を干してくれてありがとう。◯シンクをきれいにしてくれてありがとう。◯いつも保育園の送り迎えありがとうなどなど。毎日、感謝の言葉を口に出すことのたいせつさを、私は夫から教わりました。夫は昔から、毎日いろんなことに「ありがとう」と言ってくれるのです。結婚当初は、「べつにいちいち言わなくてもいいのに」と思ったことが正直ありましたが、毎回毎回、同じことに、変わらず「ありがとう」と言ってもらえることが、じつはうれしいことなんだとわかってからは、私も意識して夫に「ありがとう」を伝えるようになりました。この言葉によって、「やってくれて当然」「あなたのやることでしょ」という思いにならず、いつも新鮮な感謝の気持ちがわいてくるようになりました。毎日の家事や育児については、それぞれの家庭で、自然に役割分担がされていると思います。役割分担がだんだん決まってくると、自分の役割ではないことは「相手がやってあたりまえ」と思ってしまうことも往々にしてあるでしょう。パートナーの役割のはずのゴミ捨てが終わっていないと「なんでやってくれないの?」とイライラすることもあるかもしれません。そんなときは、いつもはやってもらえていることに「ありがとう」を欠かさない、そう心がけるだけで、イライラが消えますよ。今日は疲れているのかな、少し手伝ってあげようかな、という気持ちにもなるはずです。最初は照れくさいかもしれませんが、慣れてしまえば、これほど心おだやかになる魔法はないと感じています。「ありがとう」という言葉は、家族のそれぞれの心に、余白をつくってくれます。それは、言われたほうばかりでなく、口にしたあなたの心にもしっかりと余白をつくってくれるのです。親への感謝は、子どもが言っているふりをして伝えると照れくさくない夫婦間では、感謝の気持ちをお互い言いあうことが自然になった我が家ですが、じつをいうと私はまだ、両親に対しては素直に感謝の気持ちを伝えるのが苦手です。何十年もそんなことをしていないので、なんだか、いまさらな感じがして照れくさいと思ってしまうのです。でも、息子が生まれてからというもの、毎朝、孫の様子を両親にメールで送ることが日課となり、その延長選上で新たな技を発見しました。それは、息子の写真と一緒に、あたかも息子が言っているかのように、ひらがなを多用して自分の気持ちをメールで送る、というテクニックです。「じいじ、ばあば、けっこんきねんび、おめでとう。じいじばあばがけっこんしていなかったら、ぼくはうまれてなかったよ」

「じいじ、おたんじょうび、おめでとう。からだにきをつけてね」「ままが、○○って、いってるよ」こうして、自分の言葉を息子に託して、気持ちを伝えるようになってからは、息子の近況に乗っかって、さりげなく私から両親への感謝の気持ちを伝えられるようになりました。ちょっと邪道かもしれませんが、こうして感謝の言葉を伝えられるようになったのは、私にとっては大きな進歩かもしれません。両親と私との間には、これまですごしてきたいろいろな体験がぎっしり詰まっていたのですが、そこに、息子という余白ができたということなのかもしれませんね。そのまっさらな余白に、感謝の気持ちを乗せることができるようになったのだと感じています。だんだん、息子をダシに使わなくても、いつか自然と感謝の言葉を口にできたらいいな、と思っています。イライラカリカリの原因はすべて「余白」のなさ先日、息子が生まれて初めて熱を出しました。発熱時には原稿の締め切り、セミナー講師の準備などがあり、どうしよう!と思ったのですが、夫の協力もあり、なんとか綱渡りで乗りきることができました。そのとき思い知ったのは、「余裕がない」状態こそが人をイライラカリカリさせる原因だということです。パツパツに予定を詰め込んでいると、何か1つが狂うとすべてがどんどん狂います。でも、スキマを意図的につくっておくと、1つ狂ってもすべてがダメになるということはありません。これは、子育てに限らずすべての状況にいえるのではないでしょうか。つまり、余裕がないからイライラすることになりますし、イライラしているから、いつまでたっても余裕ができないのです。「余裕」は「余白」と言い換えてもいいでしょう。息子の発熱の洗礼を受けたあと、私はしばらく「3倍の法則」で意図的に余裕をマネジメントしようと決めました。時間がない!とあせるときこそあえて、「3倍」の基準でものごとを考えるのです。たとえば……◯原稿などの締め切りは、「自分締め切り日」を3日早く設定する。◯待ち合わせは、以前の3倍の時間前に向かうようにする。◯練習が必要なものは、以前の3倍量練習する。◯ふだんよりも3倍、時間に余裕をもった予定を組む。逆に、「3倍の法則」でもあふれてしまう仕事や家事は、どこかで効率化できないか、ムダな動きをしていないか?と精査するようになりました。おかげで、仕事量の見極め力と、短い時間でものごとを進める集中力が身についてきたような気がします。余裕がないと、イライラカリカリのスパイラルに陥り、ますます余裕がなくなってしまいます。すると、うまくいくものも、いかなくなってしまいますよね。まだまだ試行錯誤中ですが、余裕がないと思ったら「3倍の法則」を意識してみると、心理的にもラクになりますよ。「いまでもパツパツなのに、3倍なんて無理!」と思うかもしれませんが、結局は、この法則をあてはめたほうがラクなのだというのが、私の実感です。朝時間がなかなか取れない人は「できたらいいな」をリスト化する子育て中など、なかなか思うように時間が取れないなかでも、やっぱり自分の時間がほしい!という方は多いでしょう。夜、寝かしつけたあとに自分の時間をつくろう、そう思っても、子どもは「早く寝ろ」オーラにとても敏感。寝ろ~寝ろ~と思えば思うほど、寝かしつけに時間がかかってしまい、結局、時間がつくれなかった、とストレスになってしまうママも多いと思います。そんな状況のときに、無理に早起きをしてもつらいだけです。寝不足なのに早起きをして、予定は立ててみたけれど総崩れとなっては、それがまたストレスになってしまいますよね。これは子育てだけに限りません。予期せぬ残業など、早起きをしたくてもできない要因は、じつはたくさんあります。そんなときにおすすめなのは、「朝、何がなんでもしなければならないリスト」をつくってがんばって起きる!─ことではありません。おすすめは、「できなくてもまぁ支障はないけど、できたらもっといいな」をリスト化するということ。「しなければならないリスト」だと、できなかったときの落ち込みが心に重くのしかかってきて、朝から「失敗した」という気持ちにひきずられ、イライラカリカリしてしまいます。だから、できなくても罪悪感が少なくて、できたらちょっとうれしいことを、1つずつリストアップするところからはじめてみるのです。たとえば、こんなリストはいかがでしょうか?◯ビタミンたっぷりのフルーツで目覚める。◯ゆっくりシートパックをしてお肌プリプリ。◯肩こりに効くストレッチをしてみる。◯前の晩に買った美味しいチョコレートを1粒、ゆっくり味わう。◯いつもお湯でとかすインスタントコーヒーを、ホットミルクでとかしてカフェオレにしてみる。「ちょこっとうれしい」をリスト化して、「できた!」という達成感を積みあげてみましょう。こんなささやかなことも、余白の使い方です。きっと朝が楽しくなってきますよ。思いどおりにいかない朝は、プラン分けですべきことをリスト化しておく子育てには予定どおりにいかないことが多くありますよね。また、かつての成功事例がそのまま通用しないのも子育て。これで寝かしつけられる!あ

とは自分の時間だ!という王道を見つけても、成長につれてまた王道が通じなくなり、試行錯誤がはじまります。先にも述べてきましたが、現在生後9カ月になる息子は、体内時計ならぬ「胎内時計(?)」で母と時間を合わせていたせいか、毎朝4時ごろ目が覚めます。そこでミルクを飲めば朝7時くらいまでは寝てくれるので、私は朝4時~7時の間、ひとりの時間をつくることができています。でも、ときにはミルクを飲み終えたあとも、目をらんらんと輝かせて「遊ぼうよ~」と動きだすことも。こうなったら最後、「寝ろ寝ろオーラ」で無理に寝かしつけようとしても、子どもセンサーはとても敏感なので、絶対に寝てくれません。そんなときでもストレスなく朝の時間をすごすコツは、「することリスト」の「プラン分け」をしておくことです。子育てに限らないことですが、ストレスの原因の多くは「思いどおりにいかない」ことと、「決めたことができない」ことではないでしょうか。思いどおりにならないことにストレスがたまるのだから、思いどおりにいったときはこうする、いかない場合はこうすると、あらかじめプラン分けしておきましょう。プランを分けて決めておけば、たとえ自分の時間がとれなくても、子どもと遊ぶという、「自分で決めたプランを実行している」と思い直せます。それだけでも、だいぶストレスは減りますよ。私の場合は、次のような感じでプラン分けしています。◯朝4時からそのまま7時まで寝てくれた場合→化粧や家事などもすべて終わらせ、残りの時間で新聞を読んだり、執筆や1日のプランをシミュレーションする。◯起き出して遊ぼうとぐずった場合→そのまま息子とラブラブタイム。息子が寝はじめたら一緒に寝てしまうことも。◯ラブラブタイムから息子が寝た場合→化粧や家事を終わらせて息子の起床に備える。プランを1つしか用意していないと「できた」「できなかった」の2択ですが、プランを3パターン準備しておけば、どれか1つは決めたことを達成できるので、気持ちも落ちつきますよ。子育てママの時間術のキモは、余白の死守とコミュニケーションの工夫前述したように私は公式サイトで、「時間美人®」をテーマに、小さいお子さんを育てながら働くママたちにインタビューを続けています。なぜなら、小さいお子さんをもつ働くママが、もっとも忙しい人たちだと思っているからです。彼女たちの時間管理のコツは、そのまま、男性にも、子どもがいない人にも役立つのではと思っています。子育てでは、日々優先順位が変わっていきます。そんななかで、その場その場でのとっさの判断の積み重ねが求められます。一瞬の判断で対応していくしかないので、毎日、頭のなかでパズルを組み立てるような感じですごすママも多いようです。そんな「時間美人ママ」たちに教わった時間管理のポイントは2つ。1突然の出来事にあわてないよう、予備日、予備時間をつくって逆算する。2周囲に配慮した伝え方を考える。先日インタビューしたMさんは、家事も、夜9時以降にずれ込むときは「残業」と意識して、基本的に9時までになんとか終わらせるようにがんばるそうです。そうすることによって締め切り意識が生まれ、9時以降を自分の時間にできるようになったとのこと。Mさんはコピーライターなので、ふだんの言葉の使い方もとっても上手。たとえば、産休明けに会った人には「1年休みました」というよりも「子育て留学してきました!」と言ったほうが、休んだという引け目を感じずに、相手の印象もよい、と教わりました。言葉を変えるだけで自分の気持ちも変わりますよね。これもまた、余白がある人の発想だと思いました。やっぱり、気分よく1日をすごすために見ならっておきたいポイントです。時短アイデアは「ふせん」を使って考えよう早起きするには、まず、睡眠時間を確保しないといけませんよね。だから「時短」を心がけようとする方も多いことでしょう。私は常々、「時間管理とは『しない』を決めることだ」という話をしています。「なんでも効率的に詰め込んで、あれもこれも要領よくやっていくこと」が時間管理と考えられがちですが、たとえ限られた時間であれもこれも一気にできるようになっても、それで自分の心が幸せじゃなかったら意味がありません。だから、あれもこれもやる、のではなく、あれとこれは「しない」と決めることが、たいへん重要となってきます。とはいえ、欲張りたい気持ちもよくわかります。あれもこれも、が悪いわけでなく、あれもこれも、で全部中途半端になってしまうことが問題なのです。そこで、中途半端にならずに楽しく時短するための「ふせん」ワークをご紹介します。準備するのは、色違いのふせんを1かたまりずつ。ふせんに、1朝の時間、夜の時間で、自分がいつもしているルーチン作業。2ホントはしたいと思っているのにできていないこと。これを、違う色で、それぞれにかかる所要時間を入れてどんどん書いていきます。ポイントは、「1ふせん=1テーマ」をルールに、思いついたことをどんどん書いてしまうことです。

◎ルーチン作業の例「朝食20分」「お風呂30分」「ブログを書く30分」「ネットを見る1時間」など。◎ホントはしたいと思っているのにできていないことの例「子どもと遊ぶ30分」「仕事のシミュレーション30分」「家族との食事1時間」「資格試験の勉強1時間」「ゆっくりスキンケア30分」など。書き終えたら、いつもやっている作業と、ホントはしたいと思っているのにできていないことを、「同時に何かできないかな?」とまずは頭のなかでくっつけて、次に、実際にそのふせんをぺたぺた貼り替えながら考えてみるのです。すると、「お風呂に入りながら子どもと遊ぶ」とか、「スキンケアパックをしながらブログを書く」といったように、「ふだんしていること」と「やりたいこと」をくっつける発想の訓練になりますよ!2つのふせんがくっつけば、ふせん1つぶんだけスペースが空きますよね。それが、あなたのなかに新しく生まれた余白になるのです。夏休みの宿題は、最初にやって遊んじゃうタイプのほうがいいお子さんがいらっしゃる家庭では、毎年、夏休みになると宿題問題に悩む人も多いことでしょう。私が仲よくさせてもらっているお坊さん、河村照円さんは、「阿弥陀院夏休み(冬休み)☆朝道場」と称して、夏休みと冬休みの朝、お寺を開放しています。そもそもの開催のきっかけは、小さいお子さんをおもちのお母さんからの、こんなお話だったそうです。「うちの子は朝起きないのよ~」「家にいると宿題をやらないのよ~」「夏休み(冬休み)☆朝道場」では、朝イチにラジオ体操でリフレッシュしてから、子どもたちはお寺で夏休みの宿題をします。朝のうちにしっかり宿題を終わらせてしまえば、日中の時間はまるまる遊べるので、子どもたちも一生懸命に取り組むようになるそうです。また、夏はひんやり、冬はあたたかい畳のうえで勉強すると集中できるし、お寺で開催することによって、履き物の脱ぎ方や正座の姿勢なども身につくと評判です。これは、夏休みや冬休みの間だけではもったいない、有効なアイデアだと思います。たとえば、学校で早朝、自習室を開けてもらい、朝イチから勉強してみるのも手なのではないでしょうか。大多数の子どもにとって、勉強はある意味苦痛をともなうものではありますが、嫌なことを最初にみんなで「えいや!」とすませてしまうと、きっと1日気持ちよくすごせるのではないかと思います。なんとなくあとまわしにしがちなことを、朝思いきってやってしまって、残りの1日をスッキリすごすという考えは、子どもたちの勉強以外にも応用できそうですね。成長は、時間差という「余白」をへてやってくる息子が生まれてからというもの、毎日のように息子の写真を撮りまくっています。毎日同じようなショットを何枚も撮るから、たぶん私たち家族以外の人が見たら「同じ表情ばっかり」だと思われるんだろうな、と思いつつも、夫婦そろってハイテンションで「かわいい、かわいい」と撮影を繰り返しています。そうして撮った写真を、朝、仕事をはじめる前や移動中の電車でながめてはニヤニヤしています。時系列で見直すと、同じような写真でも、ちゃんと日々成長していて、表情も赤ちゃんから子どもに変わっているのがわかります。日々成長する息子を見て感じるのは、早起きで積み重ねた成長と、子どもの成長は似ているな、ということです。赤ちゃんは、寝返りやはいはい、お座りなど、昨日まったくできなかったことが突然今日できるようになったりします。でも、その成長は決して突然ではなくて、それまでの積み重ねにより、筋力がちょっとずつついてきたからこそ、昨日できなかったことが今日はできるようになるのです。早起きも一緒です。明日から早起きをしよう!と決めて、1日早起きに成功したからといって、何かが劇的に変わるわけではありません。でも、毎日の鍛錬は、必ず少しずつでも力になっているのです。毎日毎日30分でもいいので意識して朝の余白をつくり、やわらかな思考を積み重ねていけば、1年後には180時間もの経験が積みあがります。自分が前に進んでいる感覚がいまいちつかめなくても、思いどおりにいかない日があったとしても、それでもちゃんと、進歩はしている。そう思ったら、早起きがさらに楽しいものに変わっていくのではないでしょうか。「残業しても17時」の世の中をつくりたい第一子出産と期せずして同じタイミングで、企業の朝型勤務を支援する「株式会社朝6時」を創業しました。個人と法人を同時に産む、という状況のなかで、私は自然と「時間密度」を意識するようになりました。この歳になると、なかなか「生まれて初めて」の経験はないものです。でもいまは、子どもが産まれたおかげで毎日が「生まれて初めて」であふれています。成長するよろこびの「生まれて初めて」はとても幸せなものですが、ときには、時間にかんする難しい課題として「生まれて初めて」が降りかかってくることもあります。

先日は、息子の初めての発熱がおさまりほっとしたのもつかの間、今度は息子と夫が同時に風邪をひき、そんなときに限ってたいせつな仕事の締め切りが2つ重なっていました。それまでは、原稿を書くのは机のうえで、パソコンを広げてやらなければ集中できない、という思い込みがありました。しかし、パソコンを広げている場所や時間はなく、電車の移動中にスマホでアイデアをメモしたり、夜中の授乳中にひらめいたアイデアを自分にメールで送って朝まとめたり、といった、綱渡りで執筆を進める方法をあみだしました。◯限られた時間で、最大限の効果を得るにはどうしたらいいか。◯自分の意志ではどうにもならない目標を、いかにして達成するか。という課題に対して、机上の空論ではなく、実際に締め切りを突きつけられながら働く日々─そんななか、私が心から「よかったなあ」と思ったのは、もともと早起きを習慣にしていたことです。早起きをしていたことで、「追い込み」ではなく「仕込み」がたいせつだ、ということを身体が覚えているため、突然のハプニングにも対応でき、かつ産後すぐの復帰でも、比較的スムーズに仕事を進めることができたのだと思います。この章では、私の体験から、おもに家族や子育てにおける「余白」のつくり方を紹介してきましたが、これは何も、子育て中の方々に限った話ではありません。長時間労働是正や、男性の育児への積極的な参加機運の高まり、介護離職者の増加などを背景に、働き方改革の議論でも、「時間の使い方」が議題にのぼっています。私たちがいままで常識だと思っている働き方は、じつは高度経済成長期に生まれたものが多いのではないでしょうか。モノやサービスを、たくさんつくればつくるほど売れていく時代は、とにかく何も考えずに馬車馬のように働き、人海戦術で大量に生産、販売していけばよかったため、長時間労働がそのまま売上げに直結していたかもしれません。しかし、いまやモノやサービスに、付加価値をつけて提供する時代です。新しいアイデアや革新的な技術は、机の前でうんうんと長時間うなっていたり、身体だけを動かして数をこなしたりすることで生まれるとは限りません。本書で提案した「余白」で脳にスペースを空け、広い視野からものを見ることが、ますますたいせつになってくるのです。また、いま働き盛りで会社の主力を担っている世代も、近い将来、親をデイサービスにあずけていられる間しか働けない、そんな状況が現実になるかもしれません。嫌でも長時間労働との決別を迫られる環境になってきています。定時に出社して、昼から夜まで同じような勤務形態を毎日続ける、そんな働き方が変わるということは、さまざまな、思いもしない新しい仕事や不測の事態が増えてくることにもつながるでしょう。だからこそ、「突然のハプニングに対応できる余白」と「最後の追い込みより最初の仕込み」─これらをたいせつにして、余裕をもってものごとを進めていこうという本書の考えを、プライベートはもちろん、仕事でも活かすことができたなら―日本に本当の「働き方革命」が起きるくらいのインパクトとなるのではないか?私はそう思うのです。働き方が変われば、家族との時間が増えます。いままでは長時間働きすぎて疲れてしまい、家では帰って寝るだけの生活だった人も、家族との会話を増やす余裕が生まれます。家族との会話が増えれば、たとえば、子どものまっすぐな疑問から、ふと、新たな仕事へのヒントが見つかるかもしれません。もちろん、長時間残業から解放されれば、早く寝ることができるので早起きもラクになることでしょう。朝、周囲がまだ目覚めていない静謐な空気のなか、おだやかに「余白」を楽しむ人が増えることを、心より願っています。

おわりにこの本は、「はじめに」でも述べたとおり、2011年度版よりプロデュースしている朝専用手帳『朝活手帳』に掲載された歴代のコラムをベースに、大幅に加筆修正をしたものです。多くの方にとって、手帳は1年間のおつきあいです。1年間、毎日手元に置いてもらえることはうれしいことですが、大晦日をすぎたら、もう手にとってはもらえません。朝のすごし方や早起きのメリット、つらい朝の乗りきり方など、何年たっても色あせない、役立つ情報を入れようとコラムを書いてきた私にとって、過去の文章を手にとってもらえないことは、朝の楽しさまでもが埋もれてしまったかのように寂しいものでした。そこで、過去のコラムをまとめ、いつでも気が向いたときに読んでいただける本を出版することとなり、プロジェクトがスタートしました。執筆のために、歴代コラムをながめていて、浮かびあがってきた一貫したキーワードが「余白」でした。キーワードが「余白」だったことに、じつは、私は驚きました。というのも、私自身、朝の時間に、がんばって、ツメツメで、精いっぱいスキルアップして、前に進んできた─そう思っていたからです。しかし、私が繰り返し伝えてきたメッセージは、ツメツメとは真逆の「余白」だったのです。雑念に気を取られ、本来すべきことに集中できない状態になったり、すでに起こってしまった出来事に感情的な意味を与えて、勝手に落ち込んだり怒ったりする気持ちを、朝の時間でなだらかに整え、おだやかに1日をスタートさせるために、私はずっと朝を活用していたのです。この事実に気づくことができたのも、長年書きためたコラムを熟成させ、俯瞰してながめるという「余白」をつくったおかげです。朝の余白は、心のよどみを取り去る時間です。あふれる情報を流れ込むままに「あれもこれも」と受け入れるのを、朝だけはやめてみませんか?静かに取捨選択していき、あなた本来の希望や想いを見つけていきましょう。よどみが取り除かれたあとの、まっさらな心と身体には、きっと新しい経験やよろこびがぐんぐん入っていくことでしょう。それらがまた熟成され、あなたのなかで、新たな活力や創造力へと変化をとげていくことを、楽しみにしています。この本が、あなたの未来のためにお役に立つことができたなら、これほどうれしいことはありません。2016年11月池田千恵

なお、あなたなりの「朝の余白」のつくり方、楽しみ方を、ぜひ、ハッシュタグ#朝余白を使い、SNSでお知らせください。みんなで新しい朝の楽しみ方をシェアしていきましょう!

【関連書籍のご紹介】本書を読まれたあなたにおすすめの書籍をご紹介します。『無駄なく、豊かに、美しく生きる30のこと』本書は、無駄なく、豊かに、美しく生きるための衣食住のそれぞれについて30のキーワードでまとめたものです。シンプルかつ豊かな暮らしをおくるために必要な具体的な知識をお伝えしていきます。真の贅沢とは何かを知り、本物に出会う機会を増し、不相応な豪華さに惑わされることからも、無用な執着の多くからも解放されます。またその時々の身のほどに合わせて、無理なく、無駄なく、常にシンプルに、バランスよく生きることに、きっと役立てることができるでしょう。『心と体がラクになる読書セラピー』本に癒されたり励まされたりした経験、ありませんか?実はそれも「読書セラピー」なんです。イギリスやイスラエル等、世界中で広がりを見せている「読書セラピー」。マンガ、絵本、写真集、実用書、自己啓発書、小説・・・どんな本でもOK!娯楽や自己投資ではなく、「自分の体や心のために」本を読んでみませんか?『1週間に1つずつ。毎日の暮らしが輝く52の習慣』できることから1つずつ。まずは1週間だけ続けてみて。ささやかな習慣で人生が劇的に変わります。あたらしい自分にめぐりあうためのささやかな習慣を始めてみませんか?読むだけで癒やされ、変わっていく自分を実感できます!女性のためのマインドフルネス!ディスカヴァー・トゥエンティワンでは「」。おすすめの書籍はこちら!

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朝の余白で人生を変える2016年11月25日初版第1刷発行2016年11月25日電子書籍版発行著者池田千恵発行者干場弓子発行所株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン〒1020093東京都千代田区平河町2161TEL0332378321(代表)FAX0332378323http://www.d21.co.jpツイッター@discover21Facebook公式ファンページhttp://www.facebook.com/Discover21jp本作品の全部あるいは一部を無断で複製・転載・公衆送信することを禁止します。また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。ISBN9784799320006(c)BobTobin,2016.

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