早起きの心がまえここまで、「朝1時間」のタスク分けで人生を変える方法を紹介してきました。でもそもそも、朝起きるのが苦手、「朝1時間」を捻出できない!という方もいるでしょう。そこで、「朝1時間」の生み出し方について紹介します。早起きが成功したりしなかったりと安定しない人は、この章を実践することで生活時間の朝シフトが実現できるようになります。「早起き」は目的ではなく手段今年こそ早起きしたい!と毎年思って続かない方がよくはまる思い込みは「早起きするには強烈な意志や強い決意が必要だ」「やろうと思ったことができない自分はダメだ。もっと頑張らなければ」というものです。運動や勉強、または何かの習慣を「意志」や「やる気」だけで継続できる人は、たったの2%だと、行動科学の専門家から以前聞いたことがあります。やる気を出して頑張ろう!というのは一瞬しか続かないもの。だからこそ、「やる気」をいかに「仕組み」として生活に組み込むかが大切になってきます。また、もう一つお伝えしたいのは「睡眠時間は削らない」と決心してくださいということです。「早起きするには睡眠時間を削らなければいけない」というのは間違いです。先日「毎日睡眠時間が4時間しかないけど、もっと早起きしたい」という方がいらして、あぜんとしました。睡眠時間を削って、ぼーっとした頭で1日を無駄にすることこそ優先順位づけの間違いです。睡眠時間を削るのではなく、「生活時間の朝シフト」をする、と考えましょう。私はよく「早起き国に留学したと思ってください」とお伝えしています。「時差1時間の外国に来た」と思って朝型生活をスタートさせましょう。早起きが目的化してしまうのは、自分の「志向」についての理解がちぐはぐだからです。自分がどの「志向」なのかにより、削るべきもの、譲れないものが変わってくるのでおのずと時間の使い方も変わります。いろいろ試したけれど「やっぱり私は夜のほうが心が落ちつく」なら、夜ゆったりした時間を作るために、朝を家事の仕込みの時間にすることを「種まき」としても全く問題ありません。一例として、夜ゆったりしたい派の「ワーク&ワーク」志向、35歳共働きワーママのスケジュールを紹介しましょう。3歳6ヶ月の娘と1歳8ヶ月の息子を育てています。彼女は仕事で成果を出すことが大きな目的で、次のような基準で取捨選択しています。「夜のひとり時間」で心を落ち着けて就寝したいので、朝は夜の家事をスムーズにこなすための「仕込み」を「種まき」と位置づけている朝のうちに洗濯物をたたむ、簡単な掃除、夕食を温めるだけでOKにしておく電車での移動時間で夜のひとり時間を犠牲にするより、多少家賃が高くても職場の近くに住み時間短縮したいと引っ越す仕事や家事などが21時以降にずれこんだ場合「残業扱い」として家事にも締め切り意識を持ついまの段階での子育ての最優先は「食事」と「睡眠」と割り切る。部屋が少し散らかっていても食事さえきちんと食べてよく寝ていれば健康に育つと考え、あまりにも忙しいときは掃除を後回しにすることも
このように、何を目的とするかにより取捨選択が明確になり、迷いもなくなります。迷いがないと行動も早くなりますので、より時間を作ることができるようになります。ショートスリーパーを目指すのは愚の骨頂前述のように朝活は睡眠時間を削ることではなく、生活時間の朝シフトです。そして、ショートスリーパーを目指すのは間違いだということは、研究でも解明されつつあります。「Webナショジオ」によると、神経科学の専門誌「ニューロン」の19年9月号で、短時間睡眠でも眠くならない、いわゆるショートスリーパー遺伝子が見つかったことが発表されたそうです(出所:短時間睡眠でも眠くならない遺伝子変異を発見https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54508360X10C20A1000000)。それによると、ADRB1と呼ばれる遺伝子の塩基に突然変異が生じると睡眠時間に変化が起こるそうなのですが、発生頻度は10万人当たり約4人とかなりまれとのこと。この発見は、ショートスリーパーに訓練や努力でなろうとするのは時間のムダだということの表れでしょう。睡眠時間を減らして生産性や集中力が下がっては本末転倒です。
環境を整える「STARTUP」の法則実際に生活時間を朝にシフトし、「朝1時間」を作るためには、朝活の「STARTUP」を実践してみてください。朝活の「STARTUP」とは、次の4つのステップを順番に行うことです。1.Sleep(寝る):最適な睡眠時間を確保する2.TARget(定める):志向別に種まきを設定する3.Time(時間):種まき時間を作るために朝の用事を自動化する4.backUP(バックアップ):失敗しても凹まないようにバックアッププランを立てる朝活のSTARTUP1「Sleep(寝る)」:最適な睡眠時間を確保する睡眠時間を短くすることは不可能でも、自分の適正睡眠時間を知り、睡眠時間を自分に最適な形に調整することは可能です。私は10年以上、「早起きしたいのにできない」という悩みに寄り添ってきましたが、「何時間睡眠だと、自分のパフォーマンスはどう変わるか」についてきちんと把握している人が少ないのが現状です。個人差、年齢、日中の活動度、体調などで大きく変化する睡眠時間なのに、メディアの言葉や「なんとなくそう思う」という感覚に影響されて決めつけてはいないでしょうか。心あたりがある場合は、いったん自分の最適な睡眠時間を体調などを見ながら検証してみることをおすすめします。たとえばダイエットでも、同じ摂取カロリーでも太る人、そうでない人がいるように、睡眠時間も人によって様々です。まずは自分に合う睡眠時間はどのくらいなのか、最低何時間眠れば何とか次の日まで持つのか、何時間以上寝てしまうと寝すぎなのか、という自分に対してのデータを積極的に取っていきましょう。次のような方法で自分が何時間寝るとどんな状態になるかを探ってみてください。具体的には、90分×(4or5)+αの計算式で1週間、自分の適正睡眠ラインを測ってみることをおすすめします。手順は次の3つです。①レム睡眠・ノンレム睡眠のパターンを把握する最初の1週間は、90分単位+寝入りの時間(人によりますが、大体30分前後)で睡眠時間を増減させて、日中に自分が最も集中力を維持でき、意識がもうろうとしてこないギリギリのライン(=適正睡眠ライン)を探ります。たとえば、7時間半睡眠+αを月・火・水曜、6時間睡眠+αを木・金・土曜、残り一日は自分の体調と相談して調整してみましょう。②適正睡眠ラインから睡眠時間を増減して調整してみる①で分かった適正睡眠ラインを元に、少しずつ睡眠時間を増減させて自分の最適睡眠ラインと超過睡眠ラインを設定します。③ログを取り、睡眠時間と日中のパフォーマンスの関連を探る調整期間中はログを取ってください。「自分の感覚がどうなるのか」「午後はどれくらい眠くなるのか」といった部分に意識して記録をつけてみると、自分に最適な睡眠時間が分かってきます。
なお、「朝活手帳」には、睡眠時間、起床時間での体調の変化を5段階に分けて記入する欄があるので活用してみるのも手です。ちなみに私の場合、7時間より睡眠時間が短くなってしまうと14時ごろ眠くなることが分かっているので、やむを得ず5時間や6時間睡眠になったときはランチを控えめにしてお昼の眠気に備えたり、コーヒーを飲んでから短時間昼寝したりして工夫するようにしています(体験上、コーヒーを飲んでから15分程度昼寝するとちょうどカフェインが効くころ目覚めます。スッキリできるのでおすすめです)。ちなみに、適正な睡眠時間、起床時間はライフステージや志向の変化により変動するもので、一度決めて終わりではありません。私の場合は、ライフステージの変化に応じて睡眠時間、起床時間を変えています。早起きに目覚め受験勉強をしていた19歳のころ22時就寝、朝5時半起きの7時間半睡眠早起き生活を復活させた24歳ごろ23時就寝、朝5時半起きの6時間半睡眠30歳ごろから、40歳で妊娠するまで23時就寝、朝4時起きの5時間睡眠妊娠中21時就寝、朝4時~5時起きの7~8時間睡眠(妊娠中は眠いので睡眠時間は増加)子どもが生まれてすぐのころ20時半就寝、朝4時起きの7時間半睡眠(子どもが生まれたての時期はどうしても細切れ睡眠になるので、実質は6時間睡眠くらいの感覚)子どもが4歳の現在21時~22時就寝、朝4時~5時起きの7時間睡眠(子どもの寝つきや夜中の覚醒度合いによる)私は、いまも小さい子どもを育てながら試行錯誤中です。子どもは成長とともに生活パターンがどんどん変わるので、やっと定着した習慣が通用しなくなるのも早いです。それでも、「自分は何時間寝ればこうなる」のパターンさえ把握していれば日々の変化も怖くないですし、変化を楽しめるようになります。まずは今回紹介した方法で、自分に対するデータを積極的に集めるようにしてみてください。朝活のSTARTUP2「TARget(定める)」:志向別に種まきを設定する「なんとなく人生が変わりそうだから」とか「とりあえず朝型になったほうがいいから」という理由だけで朝活を始めると続きません。どんな状態になれば「成功」かを計測可能な「数字」で、「具体的」に定義づけした上で朝の時間割を立てると続けられます(私はこれを「すぐの法則」と名づけています。※す=数字で、ぐ=具体的に)。「すぐの法則」で成功を定義すると、1日サボっただけで「まあいいか」「もうやめた」となるのを防ぐことができます。成功を定義した上で「種まき」の時間を作っていきましょう。目標は細かすぎると手段と目的が混在しやすく、大ざっぱすぎると前に進んでいる感じがしないので、「大目標」「小目標」に分けることをおすすめします。手段と目的を混在させそうになったら、いつでもこの定義に立ち返っていけるよう、手帳などの目につきやすいところに記入しましょう。ワーク&ワーク志向でいまの会社で出世を目指す場合【大目標】来年の3月の人事考査で最高評価をもらうことが自分にとっての「種まき」だ【小目標】会社の売上げアップに貢献できる企画を1週間に5個、始業前にアイデア出しできたら自分にとっての「種まき」だワーク&プライベート志向で趣味のマラソンをもっと極めたい場合【大目標】来年2月に初参加するフルマラソンで完走することが自分にとっての「種まき」だ【小目標】週に3回、朝の時間で近所を5kmランニングできれば自分にとっての「種まき」だワーク&セカンドジョブ志向で副業を目指す場合【大目標】来年の4月までにやりがいにつながって、収入もアップする副業を見つけ、スタートさせることが自分にとっての「種まき」だ【小目標】会社で成果を出しながら、楽しく副業をしている人の例を1週間に1人見つけ、始業前に調べることができたら自分にとっての「種まき」だワーク&インベスト志向で給料のほかに不労所得を目指す場合【大目標】3年以内に、給与収入+月15万円の不労所得を得ることが自分にとっての「種まき」だ【小目標】実際に似た条件で成功している人がいるかどうかの事例を不動産、株、知的財産の分野から1週間にひとり探して本を読んでみることが自分にとっての「種まき」だ
朝活のSTARTUP3「Time(時間)」:朝の用事を自動化する「種まき」のための「朝1時間」を確保するため、それ以外のあまり時間をかけたくない部分に関しては、前もって流れを決めておくと朝の忙しさも苦になりません。ストレスなくこなせるよう、ざっくりでかまわないので朝の動きを自動化していきましょう。そうすることで、気分に流されて「今日はまあ、いいか」と「やらない理由」を探してしまいがちな自分を律することができます。早起きは習慣化するまでが苦行のため、余計「まあいいか」の罠にはまりやすくなります。新しい習慣を定着させるには大体10日~2週間かかります。ですが、習慣になっていたら、顔を洗おう!歯を磨こう!と決心しなくても、朝起きたら、自動的に同じ行動を繰り返しますよね。それと同じで、何も考えずに体が動く状態を目指し、早起きしてするべきことのパターンを前もって決めておくと、起きたときの眠気に流されることもなくなります。普段、意識していない朝食準備や朝の支度なども、こういうときはこうする、というルールをきちんと作っておくことで「判断疲れ」がなくなります。慣れてくると、歯磨きをしないと気持ち悪いと思うのと同様、同じパターンで動かないことに違和感を感じるようになります。こうなったらしめたもの。あとは淡々とスケジュールに沿って動くだけです。もちろん最初は試行錯誤があるかと思いますが、最適なパターンが分かったら、いかにそのパターンを粛々と進めるかに注力しましょう。具体的には「朝1時間」を「種まき」に充てられるよう、迷いなく朝の支度を進めることができるように、さまざまなことをマイルール化していきます。前述の志向別大目標・小目標に沿った一例を挙げますので参考にしつつ、自分なりのマイルールを決めてみてください。■ワーク&ワーク志向一刻も早く仕事の準備に取りかかることができるよう、毎週曜日ごとに服装を決めてしまう、朝食は前日の食事を温めるだけにしておく、始発電車で絶対に座れる時間に出発する、帰ってから即寝できるように洗濯も朝のうちにしておくなどして時短■ワーク&プライベート志向で、ランニングが趣味毎週日曜に1週間の天気予報を確認し、週3回、何曜日に外を走るかを決める。朝起きてすぐにランニングに出られるように、枕元にランウェアを準備しておく。戻ってきてすぐにシャワー&着替えができるようお風呂に洋服を準備しておく■ワーク&セカンドジョブ志向視野を広げられるよう、異業種や年齢、立場が違う人たちが集まる朝活イベントに1ヶ月に一度参加。週に一度は朝活ランニングや瞑想など、ひとりで黙々とアイデアを熟成させる。残りの時間はそこで得た知見をまとめて会社に流用できないか考える■ワーク&インベスト志向時間とお金からの自由を実現するために残業せずにいま以上に生産性を上げる準備を始める。最初の30分は生産性に関する本を読んだり仕事を振り返ったりして、実際に現場で働き方改革を実践する準備をする。後半30分は不動産投資や株など本業以外の副収入を得るための勉強を進める朝活のSTARTUP4「backUP(バックアップ)」:バックアッププランを立てる何事も、往々にして計画通りにはいかないものです。自分にとって最高の、理想のスケジュールをひとつだけ作ってしまうと、うまくいかなかったときに落ち込んで朝活を続ける気をなくしてしまいます。そこで、スケジュール通りいかなかったときのバックアッププランを立てていきましょう。特に時間が読めない仕事をしていたり、繁忙期とそうでないときの差が激しかったりする職業の場合はバックアッププランをいかに立てるかがキモです。バックアッププランを作っておくと、理想のパターンは実践できなくても、第2、第3のプランは実行できた!と、意識が切り替わり、朝活のモチベーションが続きます。そのためには、「朝活松竹梅」を設定し、パターンごとに朝することを決めておくのがおすすめです。たとえば私の場合は、次のような「朝活松竹梅」を設定し、パターンごとに朝することを決めています。松:朝4時起きできて、子どもは6時まで寝ている(朝イチの自分の時間が2時間)竹:朝5時起きで、子どもは6時まで寝ている(朝イチの自分の時間が1時間)梅:子どもと同時に6時起き、または子どもも朝4時起き(朝イチの自分の時間がゼロ)さらに、パターン別にできることをピックアップしておきます。松のときにできることアマゾンプライムビデオやNetflixを見ながら腹筋・スクワット、化粧、朝活手帳で今後の準備竹のときにできることアマゾンプライムビデオやNetflixを見ながら腹筋・スクワット、化粧梅のときにできること息子の朝食や保育園準備(もちろん松でも竹でも行います)このように「こんな場合はこうする」を前もって決めておけば、「やろうと思ったのにできなかった」と自分の意志の弱さを嘆くことはなくなります。繁忙期とそうでないときのプランを考えておくのもおすすめします。「繁忙期だから朝活できない」と考えてしまうとモチベーションは下がりますが、「繁忙期のスケジュールはこうする」と最初から決めておけば、決めた計画を淡々と進めるだけなので気持ちも落ちつきます。夏期・冬期で分けるのもおすすめです。朝のタスクとして外でランニングするのを予定にした場
合は、夏期は気持ちいいですが冬期は寒くて走るモチベーションが下がりがち、ということもあるでしょう。その場合は夏期・冬期別でそれぞれ「朝活松竹梅」を決めてみましょう。ここまで紹介した「STARTUP」を実践できれば、時間の使い方に敏感になっているはずです。その上で余力があれば次の2つの方法で自分の時間の使い方を見直してみると、さらに有効な時間の使い方を実現することができます。「朝活のSTARTUP」のネクストステップ1理想の時間割をデザインしよう「自分の時間を増やしたい!」と思ったとき「9時~17時で仕事を終わらせるために、いかにしてムダをなくすか?」「いかに家事を効率化するか?」を工夫するだけだと、「早く動くためには」「同時に物事を進めるためには」といった、スピードアップ方法や効率化の話で終わってしまいます。もちろんそれらの手法も大切ではあるのですが、スピードアップや効率化で短縮できる時間は限られています。本当は「そもそもなぜ9時~17時で働く必要があるのか?」「本当に自分が集中して働いている時間は何時間なのか?」「7時~10時の3時間で7時間分の成果を出せないか?」「家事は絶対自分がやらないといけないものなのか?ほかの人にお願いしたり、いまより便利な機械で代用したりできないものなのか?」といったところから考え直さないと、自分の本当の望みは見つからないのです。そこでまず、次のような24時間表示の時計の図に理想の時間割を描いていくと、自分が本当は何をしたいのかという「志向」も見えてきます。
「わあ!これが実現したら、ものすごくうれしいなあ!」と心から思えて、わくわくして思わず動き出したくなってしまうような1日の時間割を作ってみるのです。ポイントは現状把握から始めないことです。現状把握の前に、理想の時間割を作りましょう。そうしないと現状に引っ張られてしまい、本来はこうあるはずだ、という理想まで至らないことが多いからです。「こうしなければ」「こうでなきゃいけない」という外の目でなく、自分が「心地良い」「好き」を優先した自分優先のモードに入るためにはまずこのプロセスが必要です。理想の時間割なので、「いまの職場は9時~17時の勤務時間だから」といって、9時から17時まで仕事にする必要はありません。「普段は9時~21時まで働いているけど、理想は9時~17時なんだよね」と考えるのではなく、「これが実現できたら毎日最高だ!」と思う時間割を作ることです。「朝の7時~10時までの3時間だけ働く」でもかまいません。自由に、好きなようにイメージをまず膨らませてみましょう。しかし、「自由に」といっても人は習慣の奴隷ですから、最初はついつい、いつものスケジュールを入れてしまいます。「本当は家で快適な状況でリモートワークできたら最高!」と思っていても、つい通勤時間は当たり前のように1時間入れてしまいます。そのクセをあえて取り払うよう意識することがポイントです。この理想の時間割ですが、作成したからといって明日からすぐに実現できる!という類のものではありません。しかし、「3時間だけ働く」が明日から実現できなくても、「3時間だけ働く」人が本当にいるのか、どうやって実現していったかを調べることなら今日からすぐできます。「実際は無理だ」という思考を、「理想の働き方の一部は、明日から始められるかもしれない」という思考に徐々に変えていく手段が、前述の時間割作成です。理想の時間割を描くと、「Haveto」(しなければならないこと)ではなく、「Want」(したいこと)、つまり将来につながる「種まき」が見えてきます。「種まき」が見えれば、あとはその道を進んでいる人を具体的に調べたりすることが可能になるため、実際の行動に落とし込むことができます。次の図は過去に私が描いた理想の時間割です。この時間割で私は人と会うよりも籠もって黙々と考えたり作業したりすることが好き(Want)だと改めて感じました。いまはほぼ思い描いた通りの時間の使い方を実現できています。
「朝活のSTARTUP」のネクストステップ2現状の時間の使い方を調べよう理想の時間をデザインした後は、現状どうなっているかを正確に把握していきましょう。ポイントは前項と同様、「現状把握→理想」の順番でなく、「理想を描く→現状把握」の順番で進めることです。逆にするとつい「Haveto」に引っ張られてしまうので気をつけましょう。方法としては、まず「理想の予定」を立てて、次に実際どうだったかを突き合わせます。予定を立てただけでできた気になる自分と、実際にはできなかった自分。この2つを突き合わせる手段としておすすめなのが、会社で使用しているアウトルックなどの予定管理ソフトに、予定だけではなく実際にやったことまで記入し、「予実管理ツール」として活用することです。一般的に、会社で使用している予定管理ソフトには10:00~11:00定例ミーティング12:00~13:00ランチ(Aさん)といったように、その日の「相手がいる予定」を入れますよね。それに加えて、次の図のような要領で、自分が何にどのくらい時間をかけたかをその都度追加し、検証してみましょう。
9:00~9:15メールチェック9:15~9:30Bさんからの電話9:30~10:00定例ミーティングの議題見直し10:00~11:00定例ミーティング(定例ミーティングの内訳)10:00~10:05議題確認10:05~10:40今後の議論10:40~11:00次回の議題設定11:00~11:30定例ミーティング議事録作成11:30~12:00見積書作成12:00~13:00ランチ(Aさん)13:00~13:30メールチェック13:30~16:003/1企画会議資料作成……ここまで読んで「えー面倒臭い!」と思った方が大半かもしれません。はい、確かに面倒臭いです。でも、1週間だけでいいので我慢してやってみてください。我慢したなりの効果は保証します。自分が何にどれだけ時間をかけているか、生産性が高いのか低いのかが一目で分かるようになり、コスト意識も身につきます。1週間も続ければ、かなり作業見積もりが正確にできるようになってきます。この作業はためてしまうとさらに面倒になるので、1週間だけはその都度作業時間を測る!と覚悟を決めて、ストップウオッチ片手に時間を作ってチャレンジしてみてください。私たちは普段、なんとなく仕事を進めていて何にどれだけ時間をかけたか無頓着なことが多いものです。スケジュール表に「実際はどうだったか」を書き足すと、予定通りできたか、計画に無理があったかどうかなどを後で振り返り、検証、分析できるようになります。まずは等身大の自分と向き合うことから始めましょう。どうして自分ひとりでした実作業も書き入れるのか、不思議に思った方もいるかもしれません。しかし、予定は人と共有するものばかりではありません。相手の予定を共有することばかりを意識して、ついつい「自分との予定」をおろそかにしてしまいがちになっていませんか?なぜ、自分との約束はついないがしろにしがちなのか。それは、迷惑を被る人が自分ひとりで済むから。自分の心が痛むだけで人に迷惑をかけなければいい、と自分の都合をひたすら我慢しつづけていくと、本当は何をしたいのかの判断軸も曇ってしまいます。じっくりと腰を据える余裕がなくなり、人にあたってイライラしてしまいます。忙しい頭では、自分の夢のことなんて考えている状態にはなりません。ついついおろそかにしてしまう自分のための時間を、ほかの人との約束と同様、大事に扱いましょう。だからこそスケジュール表に「実際はどうだったか」を書き足し、予定通りできたか、計画に無理があったかを後で振り返り、検証、分析できるようにするのですオススメアプリTogglとはいえ、作業時間をいちいち把握するのは面倒ですよね。そこでオススメのアプリが「Toggl」です。このアプリを使えば、何にどれだけ時間をかけているかが一目瞭然。作業を始める前に「作業名」「プロジェクト名」を入れ、スタートとストップボタンを押すだけで作業時間を計測できます。このようなツールをうまく使って作業時間や無駄作業を「見える化」し、効率化を図ることで睡眠時間を確保しながら早起き生活を定着させましょう。バーチカル手帳でも計測可能スケジュール管理ソフトを使っていない職場の場合は、バーチカル式の手帳でも代用可能です。ウイークリー覧の真ん中に、自分で点線を入れます。左に予定を記入、右に実績を記入して、予定通りに進捗できているかをチェックします。予定と実際がどのくらい離れているかが、一覧となってパッと「見える化」できます。私がプロデュースしている『朝活手帳』も予定と実績を記録できるようになっています。
やってみて、予定と実際にかかった時間に大きな乖離があっても落ち込む必要はありません。できない自分を見つめることはつらいことです。しかし、まず等身大の自分を客観的に把握しましょう。最初は「自分はもっとできる人だと思っていたのに」と落ち込むかもしれませんが、底を打てばあとは上がるだけ。「どうすればできるようになるか?」の視点を身につけることができるようになります。困ったときはコレ!早起きの小技5選繰り返しになりますが、早起きするためには早く寝て睡眠時間をしっかり確保することが大切です。「何やら早起きがいいらしい」と、夜更かしをやめないまま無理やり早起きをしてみても、ただつらい、苦しいと思うだけで何の得にもなりません。早起きで睡眠時間を減らし、日中の仕事に支障をきたしては本末転倒。十分な睡眠時間を確保するためには、夜の時間にいろいろと準備しておくことが重要となってきます。つまり、「朝1時間」を充実させるための秘訣は夜の過ごし方にあるのです。仕事での残業やつきあい飲み会など、思い通りにいかないことも多いですが、自分次第で工夫できることはたくさんあります。いくつか小技をご紹介しましょう。マイルストーン作戦マイルストーンとは、「指標」のこと。入眠時間から逆算し、寝る前に必要な作業を洗い出しましょう。たとえば「23時には絶対に寝る!」と決めたら、遅くても22時までにはお風呂に入らなければ、そのためには21時半には家に着かなければ、というように、「寝る」をゴールに逆算して夜のスケジュールを組みましょう。入眠スイッチ作戦スムーズに寝入れるように、リラックスできる環境を作るための「必殺技」を準備しましょう。たとえば私は、封を開けるとじんわり温かくなるタイプのアイマスクを愛用しています。このアイマスクをつけると、気持ちよくなってとたんに眠りにつくことができます。夏は清涼感を感じるタイプも売っているので試してみてください。飲み会幹事作戦飲み会はリラックスした雰囲気の中、周囲とのコミュニケーションを図る上でも欠かせないものです。いくらひとり時間がほしいといっても、つきあいまで制限してしまってはつまらないですよね。そんなときは、自分があえて幹事になるというのも手です。幹事というと面倒くさい、大変、と思われる方も多いと思いますが、じつは幹事が一番、時間を自由に使えるのです。自分が時間を決める環境を作ってしまい、それに周囲が自然に従ってもらえるように工夫できる環境に自分を置けば、スタート時間も、二次会の有無も、開催場所も決めることができます。開催場所を自宅沿線にしたりなど、自分の都合で決めることができるのは魅力です。会食はコース料理作戦飲み会を主催するときの小技をもうひとつ。時間通りに終わらせたいときはコース料理を頼むのがおすすめです。アラカルトだと注文が途切れない限り料理が終わることがありませんが、コース料理は大体2時間程度で料理が出揃いますので、時間が読めないストレスが減りますよ。休日早朝アポ取り作戦たまの休日くらいのんびりしたいと、お昼過ぎまで寝てしまう方も多いことでしょう。でも休日に寝すぎるとかえって体の調子が悪くなったり、午後まで寝てしまい、せっかくの休みをムダにした、というちょっとした罪悪感にさいなまれることも。こうしたムダを防ぐのに有効なのは、週末の朝イチアポです。美容室や歯科医院など、遅刻したら迷惑がかかってしまうようなアポをあえて朝いちばんに取りましょう。朝から約束をしてしまえば、終わったあとは自由な時間。休日を有効に過ごすことができたという満足感が、月曜からの活力にもつながりますよ。
おわりに「朝1時間」で仕事もプライベートも思いのままの人生を!この本で私が伝えたかったことは、タスク管理は「やらなければならないこと」を処理するためにあるのではなく、「やりたいこと」を実現するためにあるということです。忙しい毎日を過ごしていると、自分自身の「したい」がどんどん置き去りになっていきます。「しなければいけない」を一日中めいっぱい詰め込んでしまうせいで、本当に心からやりたいことが後回しになってしまいがちです。人生で最もつらいのは自分でコントロールできないことに右往左往してしまう「受け身」の状態です。心からの「したい」という選択を自分で決めていないから、いつも中途半端で、モヤモヤしてしまうのです。本来、きちんと分かっているはずの心の声を、忙しさに紛れてないがしろにしてしまっていませんか。さまざまなノイズにかき消されて本心かどうか分からなくなってしまっている状態を整理整頓して、「攻め」の時間を作るのが「朝1時間」の「モーニングルーティン」の本質です。あなたが「朝1時間」のモーニングルーティンをマスターしたとき、目の前の仕事や経験の一つひとつが「食べていくためにやらなければいけないこと」ではなく、自分の人生をよりよいものに磨き上げるための貴重な経験だと認識が変わります。自分主体で人生を作っていっていると感じることができれば、他人に時間を奪われているという感覚は消え、人生に責任を持てるようになります。たとえチャレンジの結果がいまはうまくいかなくても、選んだ道を最善にしてやる!と決めて突き進むことができるようになります。「朝1時間」で自分の価値観を毎日しっかり確認し、人生の優先順位を決めていきましょう。忙しい日々に流され、「まあいいか」「考えても仕方がない」という言い訳を作り、先延ばしにしている自分から目をそらさず見つめる習慣ができれば、日々少しずつ間違った方向に行きそうな自分の軌道を修正して前に進んで行くことができます。「朝1時間」で人生を変えるための方法論はお伝えしました。あとはいまの自分を武器に換え、物事に取り組んでみるだけです。現状を打破する鍵はあなた自身が持ち合わせているはずです。あなたの意識さえ変われば、改革に取り組む際に起こるであろう挫折や失敗でさえも、あなたがそこからはい上がるプロセスを経て、ますます光り輝くことでしょう。あなたが、「朝1時間」を大切にすることで譲れない価値観を自分の中に取りもどし、心穏やかな毎日を過ごせることを心より祈っています。2020年3月池田千恵
参考文献『HARDTHINGS』ベン・ホロウィッツ著日経BP社『ファスト&スロー(上・下)あなたの意思はどのように決まるか?』ダニエル・カーネマン著早川書房『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出るポモドーロ・テクニック入門』フランチェスコ・シリロ著CCCメディアハウス『完訳7つの習慣人格主義の回復』スティーブン・R.コヴィー著キングベアー出版『WEARELONELY,BUTNOTALONE.~現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ~』佐渡島庸平著幻冬舎『フロー体験喜びの現象学』M.チクセントミハイ著世界思想社『壁を打ち破る100%思考法』松井秀喜著PHP文庫『ザ・マインドマップ』トニー・ブザン著ダイヤモンド社『新版ずっとやりたかったことを、やりなさい。』ジュリア・キャメロン著サンマーク出版『その幸運は偶然ではないんです!』J.D.クランボルツ著ダイヤモンド社
池田千恵(いけだちえ)朝イチ業務改革コンサルタント。二度の大学受験失敗を機に早起きに目覚め、半年の早朝勉強で慶應義塾大学総合政策学部に入学。外食ベンチャー企業、外資系戦略コンサルティング会社を経て、2009年に『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)を刊行。ベストセラーとなり、「朝活の第一人者」と呼ばれるようになる。夜型から朝型に変えた実体験と多くの人の早起き習慣化を指導した実績をもとに、2010年より朝専用手帳『朝活手帳』をプロデュース。10年連続で発売する人気手帳となる。「朝1時間」の業務改革による生産性向上、働き方改革のための手法を企業に指導しているほか、個人に向けてはキャリアに迷ったとき自分の将来を真面目に楽しく語り、学びたい人向けの朝活コミュニティ「朝キャリ」(https://ikedachie.com/course/salon/)を主宰。2020年4月現在4歳となる男児を育てるワーキングマザー。Twitter、Instagram@ikedachie
この作品は株式会社日本実業出版社『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(2020年4月10日発行)に基づいて制作されました。
「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン(電子書籍版)Ver1.12022年5月1日発行著者池田千恵C.Ikeda2020発行者杉本淳一発行所株式会社日本実業出版社東京都新宿区市谷本村町3-29〒162-0845https://www.njg.co.jp/制作協力株式会社eNEXTJapan無断転載・複製を禁じます。
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