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第5章段取り力を高める習慣

おわりに――「あの人に任せたら間違いない」奥付

目次

44日頃からコミュニケーションする

「自分の仕事は、人の助けなくして、一日も進み得ないのである」松下幸之助さんがそう仰ったくらい、仕事を前に進めていくには、いいコミュニケーションが重要です。

仕事は一人では完結しません。

依頼したり、会議をしたり、承認をもらったり、あらゆる場面で上司や同僚、取引先との関係が重要です。

それはこれまでにも見てきた通りですね。

ですから、仕事でうまくいく秘訣を一つだけ挙げるとするならば、人に頼ることなのかもしれません。

しかし、コミュニケーションほど日々の積み重ねが左右するものはないのです。

普段、挨拶もしないような人から急にお願いごとをされたら、びっくりしますよね。

「自分の都合のいいときだけ!」という風になることだってあります。

会議でもそうです。

日頃から発言しやすい雰囲気を築けていないのに、「なんで誰も発言しないのだ」と嘆いてもうまくはいきません。

むしろ、自然と発言したくなるような雰囲気が、社内やチーム内で確立されていることが重要なのです。

心理学では「心理的安全性(psychologicalsafety)」という言葉がありますが、これは「こんなこと言ったらバカだと思われないかな」「あとで叱られないかな」ということを心配せずに参加できる状況を指します。

心理的安全性の高いチームを一個人で作り上げていくためには、上司や部下をランチに誘って、仕事のことや仕事以外の他愛もない会話をしたり、一人の人間としての人間関係を少しずつ形成していくことが効果的なのです。

そうすることで、何かわからないことがあったときに質問もしやすいので疑問が早く解消できますし、会議の発言も活発になって、より良い議論ができるようにもなります。

そして、いい関係づくりにおいて効果的なのは、日頃から他人のいいところ、優れているところに目を向けることでもあります。

相手の強みは何か、自分より優れているものは何か。

これも日々のコミュニケーションの中で見えてくるものではありますが、段取りを考える上で大事なのは、仕事をそれを得意とする人に任せるということでもありますから、相手のいいところに目を向けておくことは不可欠と言ってもいいでしょう。

いいところに目を向けたら褒めるということも大切です。

褒められて嬉しくない人はいませんよね。

社内で褒められると仕事のやる気も出て、モチベーションもアップします。

「いつも本当に仕事が早いから、助かってるよ」「センスがいいよね」「ピシッと仕上げてくれるし、安定感があるよね」人は自分で自分を客観的に見ることが難しく、それゆえ自分の強みというものをきちんと認識していないことが多いのです。

ですから、日頃からちゃんと相手にそれを言葉にして伝えることで、相手はその強みに自信を持てるようになります。

すると、それに適した仕事は進んで引き受けてもらいやすくもなりますね。

また、直接褒めるということもいいですが、第三者を通じて褒められると嬉しさが倍増します。

つまり、その人がいないところで褒めること、感謝すること、です。

「山田くんに○○を頼んだんだけどね、彼はしっかりやることやるし、気が利くね。

と、この前部長が言ってたよ」と、同僚と飲んでいるときに聞くと嬉しいですよね。

心理学では、これをウィンザー効果と呼んでいます。

無理のない範囲で構いません。

週に1度は上司とランチをする、他人のいいところを1日に一つ言葉にして感謝する。

このような習慣を意識してみてください。

仕事が捗るような空気感が醸成されるはずです。

Begrateful感謝の気持を持つ

45振り返りで直観力を磨く

段取りが上手な人は、判断のスピードも速いものです。

仕事ができる人は即断即決をして結果を出している、ということを目の当たりにして、「自分とは持って生まれたものが違う」だなんて諦めていないでしょうか。

みなさんもご存知の羽生善治さんは、著書『直感力』()、「論理的思考の蓄積が、思考スピードを速め、直感を導いてくれる」と仰っています。

さらに、「直感は、本当になにもないところから湧き出てくるわけではない。

考えて考えて、あれこれ模索した経験を前提として蓄積させておかねばならない。

また、経験から直感を導き出す訓練を、日常生活の中でも行う必要がある。

もがき、努力したすべての経験をいわば土壌として、そこからある瞬間、生み出されるものが直感なのだ」と仰っており、トライアンドエラーを繰り返すことで直感力は磨くことができるものだということなのです。

ネットでなんでも調べられてしまう時代ですが、情報を頭に詰め込んであれこれ考えるだけでは直感力は磨かれません。

知識としてわかり切っていることでも直接自分で体験してみたら印象が全く違っていたということはいくらでもあります。

やってみないとわからないから、まずはやってみるということ。

ただ闇雲にトライアンドエラーを繰り返すのではなく、それをしっかりと「考える」。

トライしたことで生まれた結果を全て受け止めて、考える。

同じミスを繰り返さないようにするにはどうすればいいか。

もっと良くするにはどうすればいいか。

それを一つひとつ真剣に考えます。

そうすると、一瞬で勝負を決めてしまうストライカーのような嗅覚が磨かれていきます。

そのために必要なのが、「振り返り」なのです。

皆さんは1日の振り返りの時間を設けていますか?私が学んだケンブリッジ大学の大学院では、振り返りの大切さについて口をすっぱくして言われました。

振り返りの時間を設けることで人は学習をするということなのです。

やりっぱなしにするから同じミスも繰り返すし、直感力も磨かれません。

効果的なのは日記を書くことでしょう。

仕事で日報を書いている人もいるでしょうが、自分の奥深くまで振り返り、それを文章化するというところまでしている人は少ないように感じます。

日記を書く効用は、理想と現実のギャップをかなり正確に把握できることです。

簡単で構わないので、何より書き出すということが重要です。

別に綺麗な文章にする必要はありません。

言語化することで、脳内を整理することができるようになるからです。

ですから、私はDCAPで簡単な日記をつけるようにしています。

PDCAを並び替えただけですが、今日はどんなことがあったのか、何をしたのか(Do)、それはどんな結果につながったのか(Check)、どうすれば良くなるか(Act)、そして今から何ができるか(Plan)を考えます。

ノートの作り方の詳細は拙著『「すぐやる人」のノート術』を参考にしていただければと思いますが、とにかく振り返ることで、行動から学ぶことができるようになります。

直感力を磨くことで決断は早くなり、段取りも断然早く、的確になります。

そのためにはトライをすること、どうすればより良くなるかを真剣に考えること。

時間はかかるかもしれませんが、その積み上げが段取りに磨きをかけてくれます。

Reflect行動を振り返る

46やりたいことから天引きする

やるべきことは、尽きません。

どんな人にも1日は24時間しか与えられていませんから、目の前の仕事に追われるだけで毎日が過ぎていき、やりたいことに時間が割けなくなってはいないでしょうか。

仕事で成果を出している人は、プライベートの時間も確保して、その上でしっかりと仕事でも成果を出しているということを忘れてはいけません。

プライベートの時間をしっかりと確保することこそが、仕事の質を高めるためには不可欠だと理解しているからでしょう。

忙しいからやりたいことができないのではなくて、やりたいことのために時間を確保しないから、やりたいことができないだけなのです。

「仕事が落ち着いたらあれをしよう、これをしよう」と言っていると、一向にできるようになる日は来ないですよね。

やりたいことがあったならば、まずスケジュールにそれを入れてしまう。

遊びの予定、自分を磨く予定をどんどん確保していく。

そこで重要なのが、天引き思考。

時間ができたらやりたいことをやるのではなく、やりたいことを先にスケジュールに書き込んでしまうことを指しています。

誰かとのアポも大切ですが、同じく自分とのアポも大切です。

皆さんの手帳には、自分とのアポはちゃんと入っていますか?守っていますか?仕事で成果を出す人は、時間の主導権をどんなときも他人に譲りません。

あなたは、あなたが自由に使える時間を、簡単に誰かに譲っていないでしょうか。

私の場合であれば、読書する、ジムへ行く、セミナーに参加する、会いたい人に会う、食べたいものを食べる、映画を見る、などの自分のための時間をしっかりとまずスケジュール帳に落とし込んでいます。

ちゃんと書いておかないと、私のような意志の弱い人間は、「ジムに行こうと思っていたけど、まあいいか」と重要でもない仕事を引き受けてしまうからです。

自分とのアポを大切にすることで、仕事を早く終わらせることへの意識も高くなります。

時間がないから集中力が高まり、その制限された時間の中でどうするかを考えるようになります。

時間がたっぷりあるから余計なことに時間を費やしたり、目の前の仕事に集中できないままダラダラ過ごしてしまうのです。

とはいえ、「私は意志力が弱い」と言う人が自分とのアポをしっかりと守るためにできることとはなんでしょうか。

それは、自分の意志によって左右されないようにすることです。

自分とのアポに他人を巻き込んでしまえば、自分だけのアポではなくなります。

例えば、英会話レッスンは曜日時間を固定する。

自由予約制で簡単に予約変更ができると、その場の状況に左右されて「また明日でいいか」と、ズルズルと先延ばしが続きます。

読書だってそうです。

同僚や家族に「この本を今から読むから、どんな内容だったかまた教えるね」と約束しておくと、自分だけのアポではなくなります。

ジムだってそうです。

目標とその達成期限を宣言しておくと、ジムに行く予定を簡単にはずらせなくなります。

心理学でいう宣言効果というものですね。

意志の強い人であれば、自分との時間をしっかりと確保してプライベートの時間も有意義に過ごすことと思います。

しかし、「忙しい」が口癖になって、自分の時間を確保できていない人は少なくないはずです。

工夫次第で、自分の時間を確保することはできるものなのです。

Honoryourself自分との約束を守る

4724時間メモを身につける

私は常にポケットにメモとペンを携帯しています。

仕事のときはもちろん、飲み会の場でも、ジムで筋トレしているときも、テレビを見たりコンサートに参加しているときも、メモとペンが手元にないと気持ちが悪いのです。

段取りが悪い人は、会議や打ち合わせですらメモを取ろうとしません。

自分の記憶力を過信して、結局は「あれ、なんだったっけな」となってしまいます。

それによって確認するという作業を増やしてしまいますし、「すでに説明したのに何を聞いていたんだ」ということにもなりかねません。

確認するのをためらってしまい、不安なまま自分の思い込みで仕事を進めている人もいるのではありませんか。

また、メモをするということは自分の脳に情報を残しておくのではなくて、メモという外部装置に情報を保存しておくことなので、脳内に空きスペースが生まれます。

空きスペースがない状態というのは余裕がなく、脳の稼働率が下がってしまうわけです。

メモは段取りの礎なのです。

そして、新聞やネット記事を読んでいるときに「お、これはいいアイデアだな」「これは役立ちそうだな」と思うことがありますよね。

その瞬間にメモしないと、あとで記憶を頼りにメモしようと思っても、その頃には記憶が少し曖昧になってしまっています。

以前に経営コンサルタントの小宮一慶さんが講演で、「1日に一つでもいいから数字をメモする」ことの大切さをお話しされていて、それ以降数字をメモすることに意識を置いたのですが、これが資料作成に役立つのです。

例えば、こうして本を書いたり、講演をしたりする際には、もちろん私の考えた、私が大切にしていることをお伝えします。

しかし、それだけだったら私の狭い人生の範囲のことに終始してしまいます。

「Aは大切だ」ということを伝えたいとして、例えば「B大学が発表した研究結果を見てもAが大切であるということが考えられます」と数字を使いながら説明したら、説得力がありますよね。

本書でも、他の方が仰った言葉を引用したりしていますが、これも説得力を増すためなのです。

日頃から、数字や気になったことをメモしておくことで、資料作りやプレゼン資料作りの段取りを考えるために必要な素材を、ストックしておくこともできます。

料理をするときも、材料が揃っているとスムーズに行動へ移していけますね。

私が考えるメモを取るときのポイントは、以下の三つです。

●びっしり書かない打ち合わせなどでもメモをたくさん取りますが、余白はたっぷり取ります。

びっしり書くと何を書いてあるのかわからなくなって、あとで見直したときに読みづらいからです。

あれもこれも詰め込んでしまうと、上司に「A社の納期いつだっけ?」と言われたときにすぐに取り出せないということになってしまいます。

私の場合はA6の小さなノートをいつも携帯して、それにメモをたくさん取りますが、それも同じく余白たっぷりです。

人は余白があると埋めたくなる。

余白があることで、それを振り返りながらいろいろなことを考えやすくなります。

●体裁を気にしすぎないこと綺麗に書くことが目的となってしまって、結局それで完結してしまっている人も少なくありません。

誰かに見せるわけではないですから、綺麗にする必要はありませんし、むしろ体裁に気を取られて思考が狭まってしまっているほうがよくありません。

●見返す時間を確保するメモをたくさん取ることは大事ですが、それと同じく見返す時間も大事です。

隙間時間にぼーっと眺める程度でもいいので見返しましょう。

すると、メモしたときには気づかなかったことに気づけたり、新たな疑問点が浮かんできたりとメモを活用できます。

Alwaystakenotes常にメモを取る

48できている人を徹底的に分析する

マイケル・ジャクソン専属振付師で、「THISISIT」のディレクターでもあり、レディー・ガガやビヨンセなどの振付やステージプロデュースをしてきたトラヴィス・ペイン氏のイベントで、MC兼通訳をさせてもらったことがあります。

それまではビジネス通訳は少しだけ経験がありましたが、イベントでの通訳、それも世界的に著名な方の通訳は初めてのことでした。

面白そうだし、いい経験になると思ったので引き受けましたが、そのイメージが全然ありませんでした。

そこで、エンターテイメントやスポーツの通訳をされている方の動画をたくさん観ることにしました。

あれこれ考えようとするよりも、すでにできている人をたくさん観ることでイメージが膨らみ、何が必要かを分析することができます。

すると見えてきたのは、ファンイベントですから、ペイン氏とファンの方の交流のための通訳ということで、ビジネスとは違ってより感情的なつながりをスムーズに作り出す必要があるということ。

ビジネスでもそうですが、その業界には業界独特の表現などがあります。

ファンイベントであれば、ファンの方ならではの言葉があります。

例えば、かつてAKB48の「神7」という言葉が流行りましたが、これがなんなのかを知らないと通訳はできませんよね。

ビジネスの場合はどちらかというと情報と情報の交換の要素が強いですが、ファンイベントではちょっとした言葉のニュアンスで楽しさの演出なども考えなければなりません。

そのためにはその業界の用語を徹底して調べ上げること、作品や活動歴などをも調べ上げてインプットしておくことが重要だとわかったのです。

英語力、日本語力も通訳としては重要ですが、固有名詞が固有名詞であると理解すること、ファンの用語を理解することも同じく重要であると気づいたのは、できる人の分析をしたからなのです。

こうして私は、初めて引き受ける仕事をしっかり形にするための段取りをすることができました。

落合博満さんは『采配』(ダイヤモンド社)において、「自分がいいと思う物を模倣し、反復練習で自分の形にしていくのが技術という物ではないか。

模倣とはまさに、一流選手になる第一歩なのだ。

大切なのは誰が最初に行ったかではなく、誰がその方法で成功を収めたかだ」と仰っていますが、技術や知識を身につけようと思ったら、まずお手本を見つけることが重要なのです。

モデリングとも言います。

お手本を見つけたら、しっかりと観察をして、考え方や行動をマネることが成長の第一歩です。

考え方は表面的では摑めないこともあるので、お手本となる人に質問してみるといいでしょう。

そして、自分の中に取り入れたいものは徹底的にマネをして、状況に合わせてアレンジをするのです。

「守破離」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。

千利休が茶道を通して体得したと言われている、人がある道を究めるステップのことです。

「守」とは習ったことを徹底してマネる段階。

モデリングするということです。

「破」とは「守」において型を習得していったものに、自分ならこうするという思いを加えて型にアレンジを加えていくことです。

「離」とは、オリジナルを確立していく段階のことです。

段取りの悪い人は、人のマネをしてはいけないと考えてしまう傾向もあります。

いきなりオリジナリティを出そうとしてゼロから考えようとしすぎるあまり、どうしていいかわからなくなってしまいます。

いいお手本を見つけることで、ゼロから考えなければいけないということがなくなります。

そしてなぜうまくいっているのかを考えてみる、真似をしてみる。

うまくいっている人には、その理由が必ずあるはずなのです。

Findagoodrolemodelいいお手本を見つける

49相手の足取りをイメージする

段取り力とはイメージ力でもあります。

段取りがうまい人は、相手の行動を想像するということに長けています。

例えば、打ち合わせの場所を決めるときに、自分の会社でも相手の会社でもない場所、つまり中立地となる場合は、相手も自分もアクセスがしやすい場所を提案する。

ですから私は、いつも中立地で打ち合わせをするときは、「会社から来られるようでしたら、○○駅のカフェはいかがでしょうか」と尋ねるようにしています。

そうすることで、相手は移動しやすいですよね。

「どこでもいいですよ」と言われても、忙しい中相手に出てきてもらうわけですから、相手にちょっとした配慮をする。

相手の行動経路をイメージした上で打ち合わせの場所を提案することで、相手の負担を減らすことができます。

もちろん場合によっては、「いえ、その前に○○で別件があるので、○○駅から向かいます」となることもあります。

しかし、自分のことをちゃんと考えてくれているのだなということも相手には伝わりますし、いい関係を築く上ではこのちょっとした工夫が効いてきます。

また、書類を送ってそれに記入してほしいときも、その送り方で相手の手間は大きく変わってきますね。

「必要事項を記入して返送していただけますか」だと、相手はどこが必要事項なのかを確認しなければなりません。

しかし、目印に付箋を貼ったり、何か印をつけておくことで、相手はスムーズに行動に移しやすくなります。

これは、メールでも同じです。

「○○の書類のここに不備があるようなのですが、確認していただけますか」とだけしか送らなかったら、相手はその書類をフォルダから取り出して、その指摘された箇所を探さないといけません。

その該当箇所のスクリーンショットを添付するなりすれば、相手は一瞬でそれを確認することができますよね。

相手を動かすためには、相手の心理的ハードルを下げることが重要です。

「めんどうくさいな」と思わせてしまったら、相手のレスポンスは低下してしまいますが、「ここだけでいいですよ」と言われれば、心理的ハードルを感じないので行動を起こしやすくなります。

ですから、相手に「めんどう」と思わせない工夫をするということは、頼みごとをするときにはとても大切であり効果的なのです。

さらに加えて言うならば、予定のリマインドもそうですね。

アポを取ってから、その日まで時間が空くことがあります。

そういうときはなるべく前日に「明日はよろしくお願い致します」と確認のメールを入れておく。

別に、相手を信用していないということではなく、段取り上手な人は、他人任せにしないのです。

「そうか、明日○○さんが来られるのか。

じゃあ、あれのこと相談してみようかな」と、そのメールを受け取った相手は少なくともあなたとの約束を思い出しますから、ただ時間を取ってくれるだけではなく、相手もそれに向けて準備しやすくなることだってあります。

飲み会の席でアポを取った場合は、あなたはしっかりと覚えていても相手は忘れているかもしれませんから、翌日にその確認メールを入れておくことも大切ですね。

「なんだよ、あのとき約束したのに」と怒っても、仕事は前には進みません。

相手任せにするのではなく、自分にできることは何かを考えて先に動く。

これが鉄則なのです。

どうすれば相手に動いてもらうことができるか。

どうすればこちらが主体的に仕事を進めていくことができるか。

相手の行動を先読みすることで、仕事の成果を大きく変えられるのです。

Beconsiderate相手を思いやる

50自分とチームの成長を同時に目指す

仕事を抱え込んで人に任せられない人の中には、「自分がやったほうが早いから」というタイプの人もいるでしょう。

誰かに任せずに自分でやったほうが楽だし早く終わるとわかっているからです。

しかし、その結果、「時間が全然足りない!」と感じたことはないでしょうか。

このように、自分でやったほうが早いと思ってなんでも引き受けていては、業務量過多になってしまい、結局スピードが落ちたり、急ぐあまりに仕事の質が落ちたり、といったことにもなりかねません。

「ああ、自分だったらここでこうするのに」「こっちのほうが圧倒的に効率がいいのに」と、かつての私がそうでしたが、任せると小さなことが気になって、他人がやっていることにいちいち口を出したくなったりもします。

そして自分が本来取り組まなければいけない仕事に時間を割けなくなってしまっていました。

そうすると、仕事の質が低下してしまうこともあるのです。

こんなことでは、何よりチームが育ちませんよね。

自分はいいかもしれませんが、周りはいつまでたってもできるようにならないわけです。

仕事というのはそれぞれが強みがあるということを前提として、それぞれの強みを持ってチームで仕事をすることで、一人ではできない目標を達成するためのものではないでしょうか。

そういった意味で周りに仕事を任せられない人は、その役割を果たしていないとも言えるのです。

何より部下にリスペクトされないどころか、フラストレーションを与えるばかりになってしまう。

長期的には自分の首を締めてしまいます。

さらには、チームを崩壊させる結果を招く可能性までもあるのです。

そして、あなたが体調を崩してしまったりしたときには、業務が回らなくなってしまいます。

チームの生産性は著しく下がり、最悪の場合チームの仕事全体が成り立たないということになりかねないのです。

チームとしての総合力を高めるためには、任せることが不可欠なのです。

本当に有能な人は、必ずしも部下より上司のほうが100%勝っているわけではないと考えていますし、一人でできる範囲を超えた仕事をするためには、任せるしかないということを理解しています。

「自分はこんなに頑張っているのに、どうして同僚や部下は手伝ってくれないのだろう」と感じる人が多いそうですが、それは日頃から仕事を任せていないから、いい信頼関係を築けていない証でもあるのです。

自分と組織の将来のことを考えて、周りの人に任せることで、同僚や部下との信頼関係をより強固なものにすることができるのです。

もちろん部下に丸投げするのではなく、その仕事の意義、なぜそれを任せたいのかも伝えることで、責任感を持ってその仕事に臨んでもらうことができるはずです。

そして仕事を任せたことによって成果を出せたときには、その人に労いの言葉を伝えることも重要です。

こうしてチームは強固なものへと成長していきますから、個人の力量を超えたプロジェクトでもスムーズに進められるようになっていきます。

「すべての人を自分より偉いと思って仕事をすれば必ずうまくいくし、とてつもなく大きな仕事ができるものだ」(松下幸之助)仕事はどこまでいってもチームワークです。

チームを動かせる人に大きな仕事が任されますから、出世するのもチームを動かせる人です。

それは一朝一夕の取り組みでは到底うまくいきません。

自分の力を高め、チーム力を高めるためには何ができるかを、日々考えましょう。

Developagoodteam共に成長する

おわりに――「あの人に任せたら間違いない」

人から信頼されることは嬉しいものです。

私たちは皆、他人から認められたいという欲求を持っています。

段取り力を高めることは、周りからの信頼を勝ち取ることに直結すると言っても決して過言ではありません。

段取り力を高めることの効果はそれだけではなく、やりたいこともたくさんできるようになります。

だから毎日が充実します。

自分の時間を楽しむことができれば、今まで以上に仕事にも気持ちが入ることでしょう。

本書では、段取り力を高めるためのヒントをたくさんご紹介いたしました。

しかし、理解していることと、できることは違います。

Lifeislikeridingabicycle.Tokeepyourbalance,youmustkeepmoving.(アインシュタイン)「人生とは自転車に乗るようなものだ。

バランスを維持するためには、動き続けなければいけない」という意味ですが、新しい行動習慣を無意識にできるレベルに落とし込むには、毎日意識しながら、コツコツと繰り返していくことが重要です。

段取り力が高い人は小さな一歩の積み重ねを大切にして、無意識にできてしまうレベルに到達していきます。

繰り返しの先に、そのレベルが待っているのです。

本書でご紹介したことをすぐに実践していただき、そしてそこから学び、皆さんのオリジナルの段取り術を確立していってください。

「できるようになる」ことは誰でも嬉しいものです。

自分が成長できていると感じるときほど自信になるものはありません。

自信をもたらすのは、いつも行動なのです。

巻末に「段取り力チェックシート」をつけました。

仕事で成果がうまく出ないときや効率が落ちているなと思うときは、まずこのチェックシートから確認をしてみてください。

きっと見落としていることや実践できていないことがあるはずです。

そして実践できていないことを見つけたらその項目を読み、もう一度チャレンジしてみてください。

きっと突破口が見つかることでしょう。

その繰り返しを積み重ねて行くことで、皆さんの段取り力はみるみる高まっていきます。

最後になりましたが、ここまでお読みいただき本当にありがとうございました。

この本が皆さんの段取り力を上げるための最初のステップとなると、とてもうれしいです。

私の願いは皆さんがより良い成果を上げ、より充実した毎日を送れるようになる、ということです。

本書の内容を実践しているときに、うまくいくこともあればうまくいかないこともあるかもしれません。

そんなときは、私のTwitter(@ryo_cambridge8)までご連絡ください。

ハッシュタグ「#1分間段取り術」や「#塚本亮」をつけてツイートしていただければ、私がコメントさせていただきます。

感想もお待ちしております。

みんなで一緒に段取り力を高めていきましょう。

そしてみんなで一緒により充実した毎日を送りましょう。

これからもどうぞよろしくお願いいたします!塚本亮

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