MENU

第2章シミュレーションとスケジューリングをする

第 2章シミュレーションとスケジューリングをする段取りはゴールをイメージするところから始まる。

最終的に何を目指すかをはっきりさせれば、そこへたどり着くためのスケジューリングも明確になる。

段取りはシミュレーションから始まる ■まず「最終ゴール」をイメージする ■段取りとはシナリオをつくることだ ■「ミニ締め切り」を設けて、逐一チェックする 一年先をシミュレーションする ■一二カ月分の一覧カレンダーをつくる ■時間を逆算していく発想方法 一カ月先、一週間先をシミュレーションする ■月の終わりになって翌月をシミュレーションしてはいけない ■一週間を一日単位で考える 明日をシミュレーションする ■前日の夜に、明日の準備をする ■思いついた段取りはすべてメモしよう 「少し先」を考えて、時間を分割する ■一分先を見る ■「すき間時間」を有効活用する ■午前と午後に分ける ■夕方からの仕事をプランニングする 行動計画を細かくつくる

■段取りを立てるときに重要な「行動計画」 ■「先送り」と「後回し」だけは絶対にしてはいけない スケジュールは一元管理する ■ケイタイでスケジュール管理する方法 ■スケジュールを段取りよくこなすために、どうするか? ■アポイントは効率的に取る PDCAを軸にしたスケジューリングを行なう ■「 PDCA」がスケジューリングのコツである ■続ける工夫、忘れない工夫をしてみよう

 

第 2章シミュレーションとスケジューリングをする段取りはゴールをイメージするところから始まる。

最終的に何を目指すかをはっきりさせれば、そこへたどり着くためのスケジューリングも明確になる。

目次

1 段取りはシミュレーションから始まる

■まず「最終ゴール」をイメージする

私はどちらかというと右脳人間である。だから何ごとも「イメージする」ことから始める。

段取りにおいて重要なことは「ゴールをイメージする」ことだと何度か書いたが、私はこれも、映画のワンシーンを思い浮かべるようにイメージする。

たとえば一カ月後に社内プレゼンがあるとすれば、そのときの理想形を思い描く。

そのときに、「自分のプレゼンが成功してプロジェクトが決定する! 取締役が笑顔で自分のほうに歩み寄って褒めてくれる」 などといったワンシーン、ベストのシーンを思い描く。

そして、イメージしたことを実際に実現するためには、何が必要かを記録する。それはメモのようなものでもいいし、企画書のようなものでもかまわない。私のような映像人間は、「絵」を描く。

その上で、そのゴールまでにどういうことが起こるか、何が必要かをシミュレーションしていくのだ。

仕事の段取りは、単に流れを想定して計画を立てるだけではいけない。準備し、予想しなかったことが起こったときのことも考えて段取りを立てなければならない。そうしないと、想定しないことにぶつかったときに対処できない。

■段取りとはシナリオをつくることだ

『プリズン・ブレイク』というアメリカのテレビドラマをご存じだろうか。日本語に訳すと「脱獄」という意味になる。

簡単にストーリーを説明すると、無実の罪で兄が投獄され、死刑が執行される前に主人公である弟が兄を脱獄させるという話である。

そして、兄を脱獄させるために主人公自らが罪を犯し、兄のいる監獄に入る。主人公は監獄に入る前、脱獄のためにあらゆる準備をする。

そして、監獄に入ってからも、状況に対応しながら計画を実行していくのだが、“想定”していること、“想定外”なことに対応するために、あらかじめいくつものプランや準備が整えられているのだ。

回を追うごとに、いわゆる事前準備がどのようにしてなされたかがわかってくる。まさに段取りが少しずつ見えてくるのだ。

私たちが普段の生活において、『プリズン・ブレイク』のようにドラマティックに計画を練ることはまずないだろう。

しかし、主人公が行なったような事前準備、段取り立て、予想外のことに対処するためのいくつものプランづくりなどについては、私たちの仕事もそう変わりはない。

目的や最終地点が違っても、そこに行き着くためには、何はともあれシナリオが必要となってくるのだ。

仕事には流れとストーリーがある。段取りとは、このストーリーができるだけスムーズに流れていくようにシナリオをつくることなのだ。

このときのポイントは、プロローグでも述べた準備、手順である。シナリオができていれば、多少の変化やトラブルにも対応できる。

しかしシナリオがないとこちらはまったく準備ができていないわけだから、あたふたするに違いない。「この方法で仕事をする」と考えたら、「どの順番で進めるか」を考える。これを行なうのが段取りである。

■「ミニ締め切り」を設けて、逐一チェックする

ゴールが見えたら、それに向かってやるべきことをリストアップする。次にそれを、いつ、どこの時点でやるか、またそのやり方も書き出すようにする。当然その作業にかかる時間やコストも記入する。

たとえば三カ月先のプレゼンであれば、一カ月ずつどこまで準備ができたのかチェックする日を決めるといい。これが「ミニ締め切り」だ。

そのポイントごとに、やるべきことの作業リストをつくり出す。

その「やるべきことリスト」が予定通り進んでいればいいのだが、できていないなら、再度残りのポイントまでに遅れを取り戻すなどの調整をする。

このときも重要なのが、ミニ締め切りを設けるということだ。

このようにミニ締め切りを設けることで、ゴールに向かってやらなければならないことの漏れ、手抜かり、抜けを防ぐことができる。

また、ミニ締め切りを設けることで、ゴールへ向かうテンションがアップするという心理効果も期待できる。

2 一年先をシミュレーションする

■一二カ月分の一覧カレンダーをつくる

シミュレーションということで言えば、本来はこの「一年先をシミュレーションする」ことをいちばん先にすべきなのだと思う。

とはいえ、「一年先までなんて、なかなかできないよ」というのが本当のところだろう。実のところ、かつての私もそうだった。

しかし、先輩や恩師の方々に繰り返し教えていただくことにより、やっと先を見る目──「先見性」のようなものを身につけることができた。

「一年先をシミュレーションする」ことは予知ではない。立派なスケジューリングだ。

一年先を見るということができるようになると、段取り力は飛躍的に向上する。その方法を以下にまとめてみた。

まず一年(一二カ月)分のカレンダーを用意する。

できれば書き込みができる一カ月が B5の半分くらいのサイズのものを、一二カ月分セロハンテープでくっつけて一年間のカレンダーをつくる(次の図を参照)。

シミュレーションの手順は次の通りだ。ここにまず、プライベートの予定を記入する。次に仕事のスケジュールですでに決まっている予定を書き込んでいく。

仕事のスケジュールにおいて必要な準備や、用意する期間を逆算してそのスケジュールも記入する( ○月 ○日に出張、一〇日前に先方への確認、一週間前に飛行機の予約、二日前に再確認、等々)。

可能な限りわかる範囲の予定を入れたら、今度は自分の気持ちや身体のことを考えてスケジュールを見直す。

「ここはこんなに予定や仕事を詰め込んだら身体が持たない」などというところはスケジュールの変更を行なう。

リフレッシュタイムをスケジュールの中に書き込んでいく。なぜかというと、人の身体も心も一定ではない。疲れがたまったり、気持ちが落ち込んでやる気が出ないときもあるからだ。

一年を乗り切るには、知恵と工夫が必要だということを覚えておこう。

──これこそが生活と仕事をバランスよくするための段取り術だ。

私は机の上に、一ページで三カ月分が見通せる卓上カレンダーを置いている。

ここに、毎日のスケジュールを書き込み、管理をする。

そしてそれとは別に、前出のような一年分のカレンダーを見えるところに貼っている。

こちらには長期の予定を書き込む。

こうすることにより、常にこれらのカレンダーを見てシミュレーションする癖がつくのだ。

常に目につくところに一年分のカレンダーを貼り出しておくことによって、ゴールを見据えた仕事ができる。

シミュレーションの力も身につくだろう。

ビジネスは時間なり、という言葉がある。

時間という切り口で仕事を見ていくのが、段取りというものだ。

その際、その日のことを段取りするのも大切だが、一年先のシミュレーションをしてみることで、いろんなものが見えてきて楽しいと思う。

■時間を逆算していく発想方法

仮に、任されている仕事がちょうど一年かかるものだとしよう。

普通は、「今から一年先の段取りを立てて、仕事を始めなくてはならない」 ということになるが、「一年先には、仕事はすでに終わっている」 という観点、考え方でものごとを見ることも大切だ。

そうした考え方、発想で仕事に向き合うことで、「順調にできている」「やればできる」という気持ちになるから不思議だ。

やることをやっていれば、一年前に見た「一年先」に確実にたどり着ける。

自分の行動を客観的に見ることで、何をどうすべきかがわかり、やり遂げるべきテーマを決定することもできるようになる。

また、とりあえずやり始めようという気持ちも大切。

そして、何が何でもここへ行くという決心も大切だ。

3 一カ月先、一週間先をシミュレーションする

■月の終わりになって翌月をシミュレーションしてはいけない

月末までのノルマがある人や一カ月の中に締め切りがある人、または経理や総務のように一カ月の中で仕事のヤマが決まっている人は、一カ月の仕事の流れをシミュレーションすることが重要だ。

ただし、月末になって翌月のシミュレーションをするのではなく、たとえば週末に、一カ月後のことを考える。

これを毎週繰り返すのだ。

今月の状況を常に記録しておいて、「来月はこうしよう」ということや、「来月のこの週はこういったことに注意をすべき」といったことなどを、来月の計画表に記入しておくといい。

今の自分のペースやスケジュールを考え、今月の仕事の仕方でまずかったこと、またよかったことをしっかり記録する。

それが来月に活かされるのだ。

これとは逆に、来月のために今月できることを今からする──ということも考える。

たとえば、「来月も同じようにこの作業をやるのなら、何か効率よくやれる方法を考えたり、手順表、マニュアルを今、この時点で、つくってしまおう」 と考える。

このように来月をシミュレーションすることで、「今、手を打つべきこと」「今から来月のために準備しておくこと」が見えてくる。

今月起こったことを来月に活かす。

また、来月をシミュレーションしながら今月をこなしていく。

そうすることで、シミュレーションの精度も増していくのである。

■一週間を一日単位で考える

ビジネスにおいて仕事の流れ、サイクルは、「一週間」をベースに進んでいくことが多いだろう。その理由は、まず世の中のしくみそのものが、一週間のサイクルで回っているからだ。そのサイクルに、私たちの仕事や生活も乗っていると言ってもいい。

たとえば毎日出るゴミの収集でも、一週間の中で何曜日が何のゴミを出す日かということが決まっている。

このように、やるべきことが一週間単位で決まっているということをまず知るべきだろう。

月(第一日目)仕事一日目、休日明け、仕事始まり火(第二日目)仕事二日目水(第三日目)仕事三日目、一週間のちょうど真ん中木(第四日目)仕事四日目、仕事あと二日、休日まであと二日金(第五日目)仕事は今日まで、明日は休日土(第六日目)休日《週休二日の場合》日(第七日目)休日、明日は仕事始め ──これが、一般的な一週間の流れである。

このように月曜から日曜までの曜日の意味合いを確認して、その日に何をすればいいかを考える。

一週間のそれぞれの曜日はどういう意味を持っているかを強く認識していると、計画や仕事のペース配分なども考えるようになる。

そして、休日の過ごし方やアフターファイブの計画も、仕事とのバランスでプランを立てればいいことがわかってくる。

たとえば、月曜日は仕事始め。

第一日目をいかに気持ちよくスタートできるかということを考えると、その前の土日がとても重要だということがわかる。

また、週の終わりには部門間、スタッフ同士で情報を共有するというサイクルをつくる。

上司や同僚から、「聞いてないよ!」「いつそうなったの?」などと言われないために、必ず「報告・連絡・相談」を一週間のどこかに組み込むようにしよう。

上司に「報告がない!」と月曜日の朝に言われては、その一週間、嫌な気分で仕事をしなくてはならない。

そうなる前に、週の終わりに報告や連絡などの漏れがないかに注意しよう。

具体的には伝達事項などのリストをつくって、上司や同僚に確認を取るようにするといいだろう。

こういう「報・連・相」も、段取りの重要な要素だ。

4 明日をシミュレーションする

■前日の夜に、明日の準備をする

一日の終わりには、必ず「明日はどんな日にしたいか」をイメージする。

明日やるべきことをリストアップする、明日でなくてもかまわないものはないか、必ず明日やるべきことは何か……と考えていこう。

たとえば、明日大事なお客様が来社されるというのであれば、応接室を確保しておくのは当然のこと。

さらに、前日に応接室や会社の玄関などをきれいに掃除しておく必要もある。お出しする飲み物などにも、それなりに確認や準備が必要になってくるのだ。

こういうことが自然に思い浮かぶようになるためのコツが、「フィニッシュをイメージする」ということだ。

明日が終わったときに「いい一日だった」と思えるようにするために、明日は何をどうするか順序立てて考える。同時に、「明日はどんな日にしたいか」を思い描く。そのための準備をするのだ。

具体的には、手帳にスケジュールだけを記入するのではなく、「午前中に ○ ○の資料を作成する」といった作業内容も書く。

ただしこれは、付箋にしておくのだ。そうすれば万が一予定が変わっても、付箋を貼り替えれば事足りる。前日の夜にそういう予定を組むのである。

そして明日(当日)になったら、アポイントなどのスケジュールと作業予定を順序よくこなしていけばいい。

作業ができなかったら、翌日に回すだけの余裕を持って進めてほしい。決めたことは必ず実行するという心構えも大事だが、仕事には変更やトラブルはつきもの。臨機応変に予定を組み替えるようにしたい。

■思いついた段取りはすべてメモしよう

私が毎日深夜まで残業していた頃は、朝の通勤電車の中で今日一日をシミュレーションし、気づいたことや思いついたことを、メモ帳に書き込んでいた。

あの頃から使っているポケットに入る小さなメモ帳は、満員電車の中、立ったままでも気軽にメモできる。通勤が出張に変わった今でも、この習慣とメモは続いている。

私は出張に行く前日の帰りや移動中、就寝前に、いろいろなことをメモする。そしてそれを、あとでまとめる。

「帰って、まずすること」「週末にやること」「来週の予定」「部下の指示書」 なども、この時間につくっている。

たとえばその日、クライアントと面談した場合、やるべき仕事や次に会うまでにやることを、移動中に整理するのだ。

出張の移動時間は最低でも数時間あるから、余裕を持って段取りを立てられる。

また、会社に帰ってきて、仕事の振り分け、協力会社への発注など、移動中に記入した段取りメモを読みながら相手の顔を思い浮かべ、その人に合った理解しやすい言葉を選んで指示書をつくっている。

5 「少し先」を考えて、時間を分割する

■一分先を見る

「ちょっと先」を考える癖はどうすれば身につくのだろうか。

ここでは、常に先のことを考えられるようになるためのノウハウを説明したい。

まずは、時計を見ながら仕事をするということ。

時間を抜きにして段取りは語れない。

時間通りに、一定の水準の仕事を仕上げてこそ、「段取りよくできた」と言える。

時間に間に合わなかったら、どんなにいい仕事をしても段取りは失敗である。

製造業でもサービス業でも、段取りと時間は切っても切れない関係にある。

ここでは一分、一〇分、三〇分、一時間、午前、午後、夕方……と、先を想定して手を打つ方法を考えてみたい。

まず、「一分先」である。

一分先を考えるためには、繰り返しになるが、常に時計を見る癖をつけること。

出かける前の一分。

出先から会社へ帰ってすぐの一分。

そして何かと何かの間、インターバルの時間。

何かに取りかかる“初動”の前に一分先をイメージしてみよう。

■「すき間時間」を有効活用する

仕事は、一〇分ごとに確認する癖をつけたい。

段取りを立てるときに、仕事と仕事の間に“余白時間”を設けておくことは『 6作業時間を見積もる技術とは?』で述べた。

これはいわば、すき間時間でもある。

このときにリラックスしてもいいし、こなせていない仕事を処理してもいい。

余白時間は一〇分ほどがいいだろう。

一〇分あればちょっとしたミーティングやメールチェックなど、できる仕事はたくさんある。

また、今の仕事を一〇分単位でチェックできるようになる。

たとえば企画書を仕上げるのに一時間かけてやるとき、一時間(六〇分)という時間の中で漫然と作業するのではなく、一〇分ごとに時計と作業の進行状況を見て、どれくらい進んでいるか、また全体のどれくらい作業が終わっているのかを計りながら仕事をする。

こうすることで、進行管理能力も増すし、集中力もアップする。

また、そのようにすることで、「この仕事は時間がかかりすぎているな……」などといったことにも気がつき、効率にも自然と目が向くようになる。

これらを踏まえておくと、「この仕事はどれくらいの時間がかかるか」、といったことが事前に見積もれるようにもなるはずだ。

次に三〇分、一時間である。

何かをするにしても、一時間程度で集中力は低下していく。

だからテレビ番組も、だいたい一時間以内で構成されている。

また、パソコンなどの作業も個人差はあるものの一時間ぶっとおしで入力していると、作業の量と正確さが低下してくる。

一時間の作業やミーティングなども、三〇分を一つの区切りにして、デスクワークなら少し手を休めたり、ミーティングなら区切りをつけることも考慮してみる。

これで、集中力が維持できるはずだ。

仕事の予定を一時間単位で組んだ場合、一時間が過ぎたら必ず休憩時間を取ることをお勧めする。

脳を休める、目のケアをする、同じ姿勢での筋肉の緊張を解きほぐす……というように、いい仕事をするためのサイクルをあらかじめつくっておくのも段取りだ。

そのために、何かを始める場合、常に一時間先を見て、その時刻を忘れずに仕事をする癖をつけよう。

時間が来たらチャイムが鳴るようにしている職場もある。

■午前と午後に分ける

スケジュールを組むときは、ざっくりと、午前、午後に分けるとよい。

さらに午後は、「午後一、午後二」というふうに二分割する。

こうして分割した大きな三ブロックに、やるべきことを割り振って作業工程を組む。

さらにその上で、 午前中にやるべき仕事 午後一にやるべき仕事 午後二にやるべき仕事 ──というふうに考えておく。

午前中は「考える」仕事、午後は交渉事──というふうに自分で決めておくのもいいだろう。

何かを考える時間としては、午前中が最も適していると言われている。

午前中は、脳にとってはゴールデンタイムなのだ。

そういったことも同時に考えると、午前、午後と大きく仕事の内容を区分けして振り分けるのは、脳にとっても効果的である。

また、仕事のスタイルにもよるが、午後一(前半)、午後二(後半)に、どんな仕事をするかを自分なりに組み立てるといいだろう。

職種にもよるだろうが、たとえば午前に集中してデスクワークをして、午後一は外回りをする。

午後二は外回りしたことの後処理の作業をする──というふうに、一日の全体のスケジュールを組み立てる。

■夕方からの仕事をプランニングする

今日中に、ある仕事を仕上げなくてはならない場合に、午前午後でどうしても終わりそうにないときは、夕方からの仕事をどうするか、どれくらいの残業になるか──といった“この先”を考えておく必要がある。

遅くとも午後一には、その読みをしておこう。

就業時間のあと、予定がある人ならそれをキャンセルしなくてはならないし、時間の調整がきくようなら、午後二時頃までにはメールなどで連絡を入れることもできるからだ。

仕事が定時までに間に合いそうにない場合、猛然とダッシュをかける人がいる。

それはそれで、悪いことではない。

だが一人で仕事をしているのならそれでいいかもしれないが、他の部門や他のメンバーと一緒に仕事をしているときは、少し違ってくる。

たとえば他のメンバーに、何か仕事を頼まれていたとする。

それが間に合いそうにない場合は、事前に連絡を入れるべきだ。

一人でがんばって間に合わせようとするのではなく、万が一間に合わなかったときのことを考えるべきなのだ。

土壇場になって「今日はできませんでした」では、段取りは大失敗である。

今日一日全体を見渡せるようになると、午前、午後一、午後二──という三つのワクの仕事の進め方が見えてくる。

その結果、三〇分、一時間という時間ごとに「先を読む」ことができるようになる。

6 行動計画を細かくつくる

■段取りを立てるときに重要な「行動計画」

やるべきことが決まったら、どのように行動するか、また何を準備すればいいか、具体的な行動計画を立てなければならない。

行動計画はなるべく細かいほうがいい。

たとえば企画会議が午後一時にある場合、三〇分前には会議室に行く。

そして、 □空気の入れ替え □テーブルの清掃 □資料の配付(ここまでを五分で行なう) □ホワイトボードに会議のタイトルを記入(ここまでを一〇分以内で行なう) □プロジェクターの準備(動作確認) □飲み物の用意 □空調関係の調整(さらに、ここまでを五分で行なう) ──このようなリストを一枚の紙に書き出し、一つずつの作業を確認しながらこなしていくようにしよう。

想定されるすべてのことを書き出すのがポイントだ。

慣れてくれば、三〇分かかる作業が一五分でできるようになる。

それこそが段取り上手ということである。

行動計画はむずかしいものではない。

このようにリストをつくって、やるべきことを確認し、順序立てて遂行していけば、仕事は自然とスムーズに流れていく。

たとえば買い物をするときも、買い忘れを防ぐため、買い物に行く前に必要なものの一覧を書き出すだろう。

仕事も同じである。

■「先送り」と「後回し」だけは絶対にしてはいけない

段取りで絶対にしてはいけないのは、「先送り」と「後回し」だ。

今やらなければならないことを後回しにするから、仕事がたまっていく。

そしてパンクしてしまうのだ。

しかし仕事は切れ目なくやってくる。

上司やクライアントからは、ガンガン催促され、慌てふためいてさらにミスを重ねる……そういうパターンを私は何度も目にしてきた。

段取り力のある人は、常に前進するように心がける。

わずかな時間しかなくても、「何とかならないか」と考える。

そしてそれが身体に染みついている。

ギリギリまで考えて、最後に一気にやってしまうのも、それはそれで鮮やかなものだが、これはあまり真似をしないほうが賢明だろう。

きちんとしたスケジュールを作成し、一歩ずつ着実に進むように心がける。

すき間時間ができたら、資料のコピーをしたり、その日のスケジュールを確認したり、メモを整理したり……とにかく“何か”やってみよう。

ふっと休む時間も必要だが、少なくとも一時間は一つのことを継続してやってみることだ。

とはいえ、急に空き時間ができても、何をしていいかわからない、という人も多い。

私もかつてはそうだった。

だから無駄な時間をずいぶんと費やしたと思う。

それで、あるときから、「やるべきこと」を何でもメモするように心がけた。

そしてその「やるべきこと」を、大きく四つに分けるようにした。

遅くとも今日中に終わらせるべき仕事 今週中には終わらせるべき仕事 一カ月先には終わらせておくべき仕事 半年先には終わらせておくべき仕事 ──仕事の内容やスタイルによって、この分け方は微妙に異なるだろう。

を「午前中」とし、 を「今日中」、 を「明日中」……というふうに短いスパンで考えたほうがいい人もいるし、逆に「一年先」まで見通したほうがいい人もいる。

期間は、仕事の内容を自分で考えながら決めていただきたい。

私は「今日中に終わらせる仕事リスト」を常に携帯し、すき間時間ができたら、サッと取りかかれるようにしている。

打ち合わせでの待ち時間、電車の中……すき間時間は意外と多いものだ。

いずれにしても大切なことは、「いつまでに終わらせる」と決めたら、先送りはしないことである。

これを守るだけで、段取り力がついていくはずだ。

7 スケジュールは一元管理する

■ケイタイでスケジュール管理する方法

私は慌てていたり、疲れているときなど、スケジュールの書かれた手帳を見ないことがある。

スケジュールを一日に何度も見ることを習慣化しているのだが、それでも、精神的に荒れていたり疲れているときには、見ていないときがあるのだ。

そういう場合でもポカをやらないよう、携帯電話のスケジュール機能にも大切な予定を入力し、アラームをセットしている。

ただしこれは、イザというときのためのもの。

原則的には、スケジュールは「一元管理」するのが鉄則である。

つまり、二つの手帳に長期のスケジュールとアポイントメントを分けて書いたり……ということはせず、一冊の手帳ですべて管理する。

私はスケジュールを管理するのにいちばんいいのは、持ち運べてどこでも書き加えることができるアナログの手帳だと思っている。

人によってさまざまな方法があるだろう。

ノートパソコンや PDA(携帯情報端末)で管理している人も多いと思う。

しかし急な問い合わせなど、その場にパソコンがない場合は、「すみません、あとで連絡します」ということになってしまう。

そのような事態にならないためにも、やはり一年分のスケジュールが一覧できる手帳で管理することをお勧めする。

最近はアップル社の iPhoneなど、すぐれものの端末も多い。

ただアナログ手帳のいいところは、いわゆる「見え消し」ができることだ。

キャンセルになった予定も、消しゴムで消すのではなく、二重線で消す。

こうすると「何がキャンセルになったか」がわかる。

デジタルだと、基本的には上書きされてしまうので、前の予定は消えてしまう。

何が起こってどうなったかの痕跡を残すことで、いろいろな気づきがある。

■スケジュールを段取りよくこなすために、どうするか?

いくらきちんと手帳に書いていても、それだけで段取りよく仕事がこなせるわけではない。

段取り力を身につけるには、次の三点を守ってほしい。ルールを決める 自分の中にルールを決めておく。

たとえば「その日やるべきことは、その日のうちに処理する」──といったルールだ。決めたルールは紙に書いて貼り出すなり、使っている手帳の最初のページなどに記入しておく。

習慣づける これは とも関連するのだが、自分の性格の傾向を知っておくこと。

「スケジュールを詰め込みすぎてしまう」などという人は、「一日で回る訪問予定は ○本までにする」というふうにルール化して、それを呪文のように自分自身に言い聞かせて習慣化する。

サイクルをつくる スケジュールを立てる日、見返す曜日・時間……といったサイクルや、「出張中の電車の中でスケジュールを見直す」といったサイクルをつくるといい。

■アポイントは効率的に取る

段取りの苦手な人は、予定やアポイントがいつもギリギリになりがちだ。

業者に対する仕事の依頼も、自分が忙しくなるとどうしても自分の仕事ばかりに目が行き、忘れてしまいがちになる。

そして、「ところで、あの発注はどうなっていますか」と言われて「すみません、実は……」と急ぎの仕事を発注してしまう。実は私もそうだった。

「そんな発注の仕方をしていたら、本当に困ったときに誰も助けてくれなくなるよ」 と忠告してもらって、やっと気づいたくらい仕事に追っかけられていたのだった。

アポイントにおいても同じことが言える。早め早めに予定を立てていこう。

そのとき強引に自分の都合を押しつけるのはどうかと思うが、自分にとって助かる“候補”の日や時間を伝えることは決して失礼ではない。

また、たとえばお客様から面談のお願いがあった場合、同じ方面のお客様を同じ日にまとめるなどという効率を考えてもいい。人と会う予定は、一度決めると簡単に変更はできない。

あとで変更しなくてもいいように、移動時間や時間の長くかかりそうなお客様の場合は時間の余裕を見て、その後のアポイントの時間を決める必要がある。

いずれにせよ、ダブルブッキングや待ち合わせ時間に遅れるなどといったことが起こらないように、アポイントを取るときは全神経を集中すべきだろう。

そして、決まったスケジュールは、一冊の手帳ですべて管理することをお勧めする。

8 PDCAを軸にしたスケジューリングを行なう

■「 PDCA」がスケジューリングのコツである

そもそも仕事に役立つ PDCA──P(プラン、計画)、 D(ドゥ、実行)、 C(チェック、確認)、 A(アクション、改善)とは何かを考えてみたい。

どんなビジネスでも必要なことは、まず計画を立てるということだ。

そして、スケジュールや計画を立てるときによく言われるのが「 PDCA」という言葉である。

自分はどこまで実行できているか、まず見てみよう。

PDCAをどこまでこなしているのか、実践しているのかで、自分の仕事のスケジューリングや気配りのレベルが見えてくる。

PDCAは、仕事を進める上でのスケジューリングにすごく役立つ。

段取りを立てる上で、不可欠な考え方である。

スケジューリングのときには、 PDCAの三番目の C(チェック)を常に意識することが重要だ。

プランを立てたりそれを実行することは誰もがするが、検証はなかなかできていないのが実態ではないだろうか。

私も計画を立て実行しただけで、その検証がおろそかになることがある。

自分の仕事の質が一定レベル以下になることの歯止めになるのが、「 C」なのだ。

C(チェック)を行なう癖をつけることで、段取りを立てるときの精度が格段にアップするのである。

チェックしたあと、それまでの情報をもとにプランを立てるようにすると、「前にもこんなことがあった……」「このプランは割とうまくいくから、もっと時間を圧縮できる」 というふうに、プランの中身がぐっとリアルなものになっていく。

PDCAはビジネスのあらゆるシーンで活用できる。

ものごとを先に進めるために、考えや行動などを常にチェックし、改善して、さらに次のレベルを目指してほしい。

■続ける工夫、忘れない工夫をしてみよう

PDCAをスムーズに回すことと同時に、段取りよく仕事を続けるための方法を紹介する。いくつか例をあげたい。まず、研修や勉強会の環境づくりについて──。

社内の研修や勉強会では、参加する人に対して気配りをする必要がある。たとえば、参加者が続けることのできる工夫、忘れない工夫を考えてみよう。

まず、ミーティングや勉強会の会場の入り口に、案内のシートをパソコンでつくり、貼り出す。これだけでも、参加者に好印象を与えられるだろう。

テーマをはっきりさせることは、ビジネスシーンにおける基本中の基本である。大きな会議──たとえば役員会、部門長会などでも同様だ。

テーマ(議題)をはっきりさせるということは、集中力を高めるということでもある。

環境を整えることで、たとえ組織の中だけの勉強会でも改まった感じで、いい緊張感を保つことができる。

先に述べたように案内を貼り出すのは、ミーティングや勉強会の参加者の集中力を高めることが目的である。

いわば、意識を高めるための“環境整備”だ。

また、社内会議やプロジェクトのミーティングで使用するスケジュール表や組織図、役割分担の表などは、プリンターで出力したシートをクリアー(透明)のフィルムに入れておけば、繰り返し使うことができる。

ミーティングや勉強会に必要なツールは、紙袋などに一つにまとめておいて、作業手順などもメモしておく。

これだけのことで、毎回あれこれ準備しなくてもよくなり、会議の内容や話す手順についての準備時間を多く持てる。

また、慌てることなく話し合いに入ることもできるのである。

余裕を持って仕事をすることで、ストレスは軽減できる。

これは仕事を楽しくする工夫でもある。

「自分は何のためにこの作業をしているのか」を再確認できるのだ。

準備と余裕こそが、仕事を続ける工夫である。

それが、スムーズな段取りにつながっていく。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次