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グローバルリーダーの要件(インテグリティ)

目次

インテグリティ(一ユ①彎ご)は、人間力である

インテグリティとは、会社・組織のため、個人として、正直さ、誠実性、倫理に基づく、共通の価値観としてのルールと行動を意味する。

「何の」ために仕事を行うのか、動機づけの要因は何か、地位、金銭的報酬のためなのか。それとも、社会や顧客のために役立つことなのか。そうした価値観に基づき行動することが、個人のモチベーションの向上につながる。

その点で勇気・覚悟をもって行動できる人は、会社に依存せずに自立的に行動できる人と言える。自らの信念に基づき、個人的な価値観を大切にするからだ。

当然、人としての価値観を明確に有していることは、成功するマネジメントの要件でもある。変化を嫌い、安定。安心を求めるのか、変化に挑戦し、解決策を実行し、成長するのか。

当然、変化にプロアクテイブに挑戦する人がチェンジエージエントとして、成果を出すことができる。

ここで言う価値観のベースがインテグリティ(誠実、倫理)だ。この要件は、特にグロ―バルビジネスに求められる重要な資質である。

マネジメント人材の採用のプロフアイルにおいても、誠実、高潔、知性、活力を有することが要件とされるのが一般的だ。また、インテグリティマネジメントを、企業理念や行動基準として明確に取り入れる企業も多い。

トップマネジメント自らが、誠実さ、高潔さを組織文化に定着させるためにコミットメントすることが求められる時代である。

日本企業においてもグローバル化の進展とともに、行動指針にインテグリティを取り入れられているケースが多くある。

たとえば、第一三共では、法令規則、個人行動の原則を遵守し誠実さと高い規範を持つことを行動基準にしている。

三井住友海上では、五つの行動指針(バリュー)の中で、あらゆる場面で、あらゆる人に誠実、親切、公平、公正に接すると表明している。

伊藤忠商事では、く”ご①∽の中で、先見性など5項目の中に誠実(一Romユく)、約束を守り裏表のない行動、高い倫理性が明確に記載されている。

このような価値観を共有し、多様性の広がりを受け入れ、文化、歴史、慣習、宗教の異なる国、地域の企業グループ間相互が肯定的な姿勢で行動することが重視される時代なのである。

コンプライアンスを超えて、規律の遵守と行動の一貫性として、社内の共通の価値基準として、インテグリティを企業の価値観、行動指針に取り入れ共有する企業が増えている。

グローバルビジネスにおいては、価値観の共有以外に、共通認識を持って見る正しい見方は存在しないとさえ言える。

2コンフリクトマネジメントという視点

グローバルの視点とローカルの視点とのギャップによって、コンフリクト(葛藤)が起こることも少なくない。現場の描く優先順位や戦略が本社の方針、意向に合わないことで、コンフリクトは生じる。

場合によって、本社が現地、現場の事情をわからず、杓子定規に統一の戦略にこだわるということもあるだろうが、基本的には、本社の指示内容に基づき、行動することが肝要だ。

なぜならば、本社とのコンフリクトは現場にとって不利だ。そうした状況が続くと、部下のやる気にも影響を与えるからだ。

現実に合わせて妥協することを日本では美徳と考えがちだが、過度な同調、共感はグローバルビジネスでは通用しないし、説得力に欠けることになる。

異文化間のコミュニケーションには、文化、慣習が大きく影響するために、価値観、働き方を把握し、理解していないと、海外現地法人の社員と出向日本人とのコミュニケーションにおいて、コンフリクトが発生するという面もある。

とは言え、現場の状況を把握せずに、トツプダウンにより、日本的なマネジメントスタイルで真面目に実行すると、往々にして「バリア」に直面することになる。

本来、国。地域の法規制、ルール、さらには文化や商習慣に基づき、事業をどのように行うのかを決め込む必要があるのもまた事実だ。

3マネジメントチームの長所は何か

マネジメントチームは、異なった個性の組み合わせ(タイプ)により、経営チームの「相乗効果」を発揮することができる。

ただそこで重要なことは、目指すベクトル(方向)を一致させ、一丸となってやる体制かどうかだ。

グローバル企業の「マネジメントチーム」は、優秀な少人数のマネジメントにより意思決定を行い、重要な「強み」を生み出す。

反面、日本企業は、多くの優秀な人材によって合意形成(コンセンサス)し、戦略を実行する。そのため、よく言われるように時間がかかる。

マネジメントに求められる資質はどのようなものか

マネジメントには、特定の領域に関する専門能力と経験を有する人材であることが求められるが、そればかりに頼ると、優秀なリーダーとはなれない。

会社のミッション、ビジョン、バリューに共感し、成功へのパツションを持って行動することが求められ、本書で力説している「人間力」を磨くことが何よりも重要だ。

その上で、。

  • 会社、事業を取り巻く市場の環境、競合の状況、会社の強み、弱みを理解する。
  • 中長期的な視点での将来の事業のビジョンを創り、チームメンバーに期待する行動を示す。
  • 的確に事業のリスクとリターンを評価し、判断し、意思決定する。
  • 人材の多様性を積極的に推進するコミットメントを有している。
  • 部下の潜在的な能力である強みを引き出し、発揮させることにコミットメントする。
  • 正直、誠実さを有し、最終責任者としての覚悟と責任を持って行動する。

繰り返すが、グローバルビジネスにおいて、誠実さと信頼を意味するインテグリティは、基本的な価値観であり、最も重要な考えである。

また、組織の基本的な行動基準を認識した上で、自尊心を持ち、倫理観を持った、高潔で、誠実な行動をすることが求められる。

インテグリティは、その趣旨を実践行動につなげなければ意味がない。

グローバルな視点で物事を考え、優れた対人関係能力(Fけむのあ8』”①一”」8∽巨U)、EQ(心の知能指数)を武器に、知的好奇心を持って行動することが肝要だ。

マネジメントには、情熱(F∽∽一o●)を持続させ、エネルギーを維持すること。正直、誠実さ(Hユ①鴨〓く”国o口①∽ぞ)により、公正を期す(『L日①∽∽)ことが求められる。

マネジメントの本質は、しんどいことを部下と共に楽しく行うことだとも言える。だから、人材育成のためにも、仕事の権限を積極的に部下に委譲することが肝要となる。

時には、グローバルビジネスの経験値を高めるように異なった仕事を経験させることも、部下の人材育成につながる。

マネジメントは、感情をコントロールする必要がある。

たとえば「怒る」という行為は、相手の立場に立って考えるのではなく、自らの「感情的」行動であり、憎しみと不信を生むことになる。

アルフレツドマーシャルの″08一Fのと∽ヽσ鮮ヨ”『8,①”〓∽″という言葉が有名だが、これは問題に向き合い、数字目標を達成し、成果を出してこそ言える言葉でもある。

5オープンコミュニケーションを促進する

グローバルという視点に立てば、日本のように共有体験、価値観に基づき、お互い相手の意図を察し合い、なんとなく通じるハイコンテクスト文化ではなく、欧米のように「ローコンテクスト文化」の相手にもわかるように、自らの考え、意見を論理的に言葉にして伝える努力やスキルが求められる。

日本人の不得意なことであるが、何を伝えたいのか、何を伝えるべきなのかについて、論理的に内容を整理し、伝えるコミュニケーション能力が必要となる。

相手の文化、習慣、宗教、歴史を調べ、学び、理解して、多様性を受容することが大切だが、自らの軸を失ってしまっては本末転倒だ。

あくまでも日本人としてのアイデンテイティの明確化が、コミュニケーションをよリスムースにすることにつながる。

マネジメントは、文化、価値観の違いによるコミュニケーションのギャップから生まれる初期段階のコンフリクトをも理解し、多様性を受容できる「グローバルマインドセツト」を有しているかが問われる。

マネジメントとしてまず大切なことは、各々の国の文化・宗教。習慣・言語を理解する努力により、「障壁」(バリア)をなくすことだ。

その上でマネジメントは、インテグリテイ、コンプライアンス、事業の持続性、上場企業であればESG(環境、社会、ガバナンス)の方針を組織に浸透させる努力を惜しんではいけない。

そこでも重要なのがコミュニケーション能力だ。これが乏しいと、相手の価値観を理解することもかなわない。

個人のスタイルで100%実行できるルールとか従来のやり方・考えは不要だ。その上で行動する。行動をしなければ意味がない。

何もしないで機会を失うよりも、挑戦し、達成度が低い方がまだ好ましいと私は思う。

そもそも部下の話を聞かない、新しいことを学ばない、謙虚さに欠けるようなマネジメントスタイルはグローバルビジネスでは通用しない。

だからこそコミュニケーション上の障壁(バリア)をどのようにして取り除くかを、強く意図して行動する必要がある。

成功しているグローバル企業は、組織内のバリアを取り除くオープンコミュニケーションの仕組みを工夫し、取り入れている。

「なぜ反対するのか」「伝わらないのか」「なぜ売れないのか」を聞う前に、マネジメントとしてやるべきことをやっているか、やり切っているかを自らに問うてほしい。

グローバルビジネスにおいては往々にして、その人に任された仕事に対しては自立的に役割・責任を遂行し、成果に対して「コミットメント」することが当然とされ、マメに「報連相」は求めない。

報連相は、営業活動支援のITシステム等が社内に導入され、スピードが求められる状況では、オーバーコミュニケーションとさえ言われかねない。

そのためマネジメントは、現地法人を訪問し、短時間で信頼関係づくりを行う必要がある。伝える言葉のインパクトが求められる。さらに、瞬時に状況を把握する力も求められる。

年に数回しかその機会はないので、1にも2にも、高度なコミュニケーション能力が求められるのだ。

マネジメントに求められる柔軟性

マネジメントには、一貫性のある言動でぶれないことが求められる。戦略方針(What)には、一貫性が求められる。その上で、市場の特性・環境。文化。

慣習に応じてクHow″を柔軟に考え、実行する必要がある。さらに言えば、特にグローバルビジネスにおいては、最後まで課題から逃げずに信頼できる人物であるかが見られる。

また戦略。

方針を実行する人材がどこに存在するのかを見極め、中長期の視点で組織づくりを行うことが求められている。

グローバルビジネスにおいては、信頼されることが変わらず重要ではあるが、親分子分といった関係は基本的に存在しない。

面倒見のいい兄貴肌や、単なるナイスガイでは通用しない。計画、目標通りに「実行」し、成果を出すことが必要だ。

文化、価値観、慣習の理解不足による障壁の発生

「数字目標の達成にこだわる」という思いばかりが強く、結果的に、海外現地法人の社員の仕事のやり方は何も考えておらず、業務の些細な内容に首を突つ込み、マイクロマネジメントを行らてしまうようでは、「人間力」はどこかに置き忘れてしまったと言われても仕方がない。

組織内で目標を共有できていなければ、会社の業績改善の方針に対しても、社員は危機感を持たず、自立的に考え行動するようにならないので、結局「自分でやった方が早い」となり、すべてをトップダウンで行うことになってしまうかもしれない。

直面する困難を「気合と根性」の精神論で解決しようとしても社員には通用しない。自己犠牲をしてまで、仕事をしてくれる人は非常に稀である。

働き方改革の時代であるが、日本人は顧客に対して誠実であり、仕事に対して最善を尽くすという考えにより、多少の無理をしても仕事を行うことがあるが、このような「日本人的な誠実さ」は「海外現地法人の社員の誠実さ」とは異なる。

どちらが正しい、悪いという話ではなく、単純に、文化、価値観、慣習が異なるということである。組織を管理するのに、マネジメントによるトップダウンだけでは限界があるわけだ。

そうした状況では、新規の業務を受注しても、どこかで物理的にマネジメントが機能せずに壁にぶち当たることになる。そこで必要になるのは、業務の標準化であり、ルール・マニュアルの整備だ。

それができれば、管理職も価値観の異なる現地社員も、ある程度、仕事の可視化・具体化により、同じレベルの理解ができる。

こうした「マニュアル化」と、「信頼関係」の両輪がうまく機能すれば、組織は業務改善に向けて良い回転で動き始めるものだ。

日本の組織では、信頼関係に重きを置くあまり、標準化。マニュアル化が進展しないので、アンバランスが生じることが多い。

人と人のつながりの構築をベースに、上司として信頼されるには時間がかかるが、第一に、現地の文化。

価値観・慣習の理解および社員と仕事内容の面談を通じて話し合い、部門の方針や目標を共有することで、「マネジメント」としての役割・責任を果たす必要がある。

またインテグリティも難しくとらえるのではなく、顧客、従業員の立場に立って誠実に物事を考え、現地の文化および価値観・慣習を理解し、対応することが大切である。

誠実さや倫理観の普遍的な価値観であるインテグリティは、異文化の人々が一つのテームとして働く上で、大変重要な行動基準なのだ。

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