事業構想力とは何か
一.事業構想「目的」の明確化
事業の責任者として、「何を」達成したいのか、事業戦略として「何を」目指すのか、たとえば「利益の拡大」「マーケツトシェアの伸張」「新規市場への参入」「生産能力の拡大」「グローバル戦略の拡大」といった戦略課題を明確化する。もちろん、優先順位付けも重要だ。
二.中長期の投資計画・事業提案
内容と会社のビジョンとの整合性を検証する。
- 事業中期経営計画における投資計画の優先順位、成長率、投資効率(ROI)を考える。
- 事業別の成長期、発展期、成熟期、衰退期の「投資計画」の戦略ウエイトを明確にする。
- 5〜10年先を見越して、どの事業に戦略的に投資するべきかを意思決定する。
三.事業セグメント別のマーケット分析
事業を取り巻く現状の組織のコンピタンス、市場環境の変化、中期経営計画とのギャップおよび、ボトルネックをきちんと把握する。
- 事業ごとの中期経営計画を策定する。
- 現在、将来の市場トレンドを分析する。
- 製品の需要・成長性・価格の動向を分析し、見極める。
- 既存の主要顧客、新規顧客を予測する。
- 現在、将来の競合状況を分析する。
- ベンチマーク企業を明確にする。
- 事業別の「SWOT分析」により、「戦略仮説」を明確化する。
- 必要に応じてマーケットサーベイ会社を活用する。
四.事業構想を描く〜「「o∽・(+)&oo⊃∽・(一)の明確化〜
中長期の視点で、新規事業の構想を考える。
- 経営として近視眼的に短期的な成果を求めないようにする。また、市場、商品、技術のロードマップを明確化する。
- 事業提案内容のグランドデザインを作成する。
- 各年のキャッシュ・フロー分析(新規事業の投資効率を分析する)
- 「現在の事業の維持」と「新規事業」を比較する。
- 事業の現在の「強み」、「新しい顧客価値づくり」のイノベーションを具体化する。
五.リスク分析を徹底する
経営上のリスクをミニマイズするために、先見力を研ぎ澄ませ、潜在的なリスクを分析する。自分なりの成功体験に基づく事業観を有している場合は、ネガティブ情報を無視し、リスクの兆候を見逃すことがある。
そのためにも、事業環境の変化に伴う市場の変動をよく見る必要がある。
- 事業投資計画の変動要因とインパクトを予測する。
- 製品需要量の変動(顧客・市場、競合の動向)。
- 製品価格の変動(市場の需要と供給のバランス、差異化、技術イノベーション)。
- 収益コストの変動(人件費、原材料価格、天候、経済状況)。
六.事業投資計画の検証(「o∽一ヨoユ①∃)
新規事業の投資計画実施後の成果を全社最適で、中長期的な視点から検証し、判断・意思決定の教訓を抽出し、次の意思決定に活かす。
- 「PJチーム」を組織化し、役割責任を明確にする。
- どのような人材が必要か、必要人材は社内にいるのか、本社の支援を要請する。
- 「成功、未達成」事業を検証し、改善すべき点を明確にする。
- 改善すべきことを検証し、組織として事業価値を高める。
七.経営会議への答申、承認社会、顧客のために役に立つ
経営目標(事業の使命)を全社最適に立って考え、戦略方針、実行計画を決定する。
- 役員会(経営会議)「報告書」に決裁内容の詳細である目的、戦略方針、中長期の数値目標(KPI)、成功要因(KFS)、改革内容を明確化し、提案する。
- マネジメントとして、事業に対する「思い」、目的を論理的に経営目線の視点から説明する。
- 役員会でスムースな承認を得るために、経営会議の議事録の質問内容を踏まえて、最終提案を行い、決裁を得る。
- 答申内容の「MUST情報」(提案・承認フォーマット)を確認する。
人材を育成するために最も重要なことは
マネジメントの役割・責任で重要な仕事の一つは当然、「人材の育成」である。
うまく人材を育成するためにはまず、なぜ部下を育てる必要があるのか、その目的の本質を考える必要がある。人材育成の目的は、部下が成長することにより、組織の成果を達成しやすくするためだ。
業務に関するテクニカルスキルや知識等を「教える」場合は、教える人の「能力」が問題であり、それさえあれば、部下は容易に受け入れる。
しかし、仕事に対する考え方、取り組み姿勢、生き方などを「教える」場合は、まさに指導する上司の「人間力」が問われることになる。人として、尊敬。信頼できる上司でないと、指導する内容を素直に受け入れられず、「あなたに言われたくない」と反発されることにもなりかねない。
そのため、指導育成を通じて部下を人材として成長させるためには、上司が部下から尊敬。信頼され「人間力」を有する人物であるかが問われることになるのだ。
リーダーの重要な使命の一つは、部下の成長にコミットすることだ。リーダーとして最大の成功は部下を成長させることにある。
そのためには、部下の能力・やる気に応じて「仕事を部下に任せる」ことに尽きる。
そして仕事上のミスに対しては、「人格を否定」するような言葉ではなく、「行動」を振り返り検証し、部下を指導育成する。
仕事のプロセスを理解し、努力した点、成果を褒め、成長を共に喜ぶ器量が求められるのだ。部下の提案・意見にも真摯に耳を傾け、小さなこと、もっともと思うことであれば後押しを惜しまない。そうした懐の深さも当然必要になる。
マネジメントとして人、組織に「影響力」を発揮する良策
マネジメントには、肩書、地位、権限が及ばない部門、チームを動かす影響力の必要に迫られることも少なくない。
そのようなとき、関係者をどのように巻き込み、影響力を発揮し、事業の目標に取り組み達成できるかが問われる。
ポジションパワーは、その人の有する肩書、地位、専門性、経営情報、承認権限によりやるべきことを部下に伝達し、権限範囲に基づき業務の指示、命令により、組織。人を動かすことを意味する。
ある意味、組織に影響力を行使するための錦の御旗のようなものだが、とは言え、いわゆるトツプダウンによる指示を多用すると、組織全体に「ヤラサレ意識」が強くなり、部下が受動的に仕事を行い指示待ちとなり、責任を回避するようになる。
人材育成という意味でもマイナスの効果が大きい。
肩書、地位の役職権限のパワーによる影響力は、容易に活用することができるが、その影響力は、限定的だ。
また、情報と影響力が権限の範囲に垂直方向のみに流れ、部門を超えた協働行動は取りにくい。
また、人事業績評価に基づき、昇進・昇格、昇給の評価の処遇により、部下をコントロールしようとしても、ハーズバーグの「仕事と人間性」における衛生要因として一時的な影響しか及ぼせず、中長期的にみれば、これも不満足要因やマイナスの効果がきわめて大きいと言わざるを得ない。
加えて、今日では、信頼関係もなく、職務上の地位、権限を盾に、部下に業務を厳しく指示し、動かそうとするとパワーハラスメントと認定されてしまう恐れもある。
その点、「人間力」による影響力は、事業の使命、思い、信念に基づく行動により、信頼関係を広げ深めることをベースに、職掌範囲における統率はもちろん、権限の及ばない組織にも影響を与え動かすことが可能だ。
また、部下が自律的に動くことにより、組織の業績を上方に押し上げる効果も期待できる。
組織・人をうまく動かせないのは、自らのマネジメントスタイルに起因することが多い。
好循環を生む影響力を阻む原因は何だろうか。
- 組織のビジョン、方向性が明確に伝えられないと、部下は、どのように行動し、組織に貢献すればいいのかがわからない。
- 強調される方針と、担当する業務との関係性、接点が希薄であり、日標、優先順位が異なるために、取り組む意欲が低い。
- 動かそうとする部下との日常的な話し合いが不足しており、部下の抱える仕事の状況を把握していないために、部下の能力を引き出すことができない。
- 部下を一人の人間として尊重する姿勢に欠けるため、部下のロイヤルテイややる気を削いでしまっている。
マネジメントに求められるコミュニケーションは、1対マスのコミュニケーションがベースであり、それに加えて1対1のコミュニケーションもまた密に取ることも求められる。
優先順位付けに長け、自分の言葉で、テーム全体に向かって、また個々人に向かってうまく語り掛ける才覚が求められる。
その上で、一にも二にも必要なのが「人間力」だ。「人間力」は、人を動かす上で重要なフアクターだ。
なぜならば、人は「人間力」のある人を尊敬し、信頼できる人物とみなすからだ。これは、権限や立場などとは比べようもない力ということができる。
「人間力」があるリーダーは、何をなすべきかという軸足が明確で、言うことがぶれない。そして包容力があり、自分のことをわかってくれていると思われるものだ。人にはそれぞれ個性があるということを知っている。だから、それぞれの役割をうまく決めてくれる。
そうした信頼を得るためにも、日頃から「人間力」を鍛えるとともに、本書で再三述べているように、傾聴と対話というコミュニケーションに力を入れ、日頃から部下との良い信頼関係をつくる努力を行い、チームメンバー皆の成果やチームに対するコミットメントを高めておく必要がある。
マネジメントにとっては、部下に仕事をさせることが役割責任であるが、任される部下に納得感が高い状況でなければ、効率は上がらない。
そこに必要なのは、当然、私利私欲ではなく、少し大げさに言えば、顧客起点、そしてビジョンの実現のため、また志の実現のためという大義だ。
それさえあれば、命令される部下は意気に感じるはずだ。そうしたことも含めて、人はリーダーや上司に「人間力」を感じるものだ。
「人間力」のあるマネジメントからの依頼であれば、「仲間と認められたい」「素晴らしい取り組みに自分たちも関わりたい」「働きぶりを認められたい」という気持ちが芽生えるからだ。
そうした納得感が高ければ、自立心も強くなり、自律的な行動が生まれ、周囲に対して好ましい影響を皆が与えるようになり、組織がさらに活性化するはずだ。
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