
- 「うちの子ね、習いごとに行く時間になると、いつも直前で『トイレに行きたい』とか、『ちょっと今日は調子が悪い』なんて言い出すの」
- 「あー、それね。うちも5歳ぐらいまではそうだったけど、今は言わなくなったよ。あんまり真面目にとり合わないほうがいいんじゃない?」
- 「あ、うん、いや、それはそうなんだけど……」
雑談においてアドバイスは、禁物です。
- 「ちょっと困ったことがあって……」
- 「最近、悩んでいてね」
などと一見、相談かのような会話は世にあふれています。ところがほとんどの場合、相手はただただ、話を聞いてほしいだけ。
アドバイスをして解決してしまったら、そこで話はおしまいになってしまいます。
「あんなことも話したかった、こんなことも話したかった」と相手はストレスをためることになります。
そして「まあ、それはそうなんだけど」と、同じ話を続けることもしばしば。
そうすると、アドバイスしたほうとしては、「なんだよ、せっかくいい方法を教えてあげたのに」と、こっちもストレスがたまる。結局、するほうも、されるほうも、得しないのがアドバイスなのです。
そもそも「悩み相談のほとんどは、すでにその人の中で答えが出ている」というのは常識中の常識。
仮に「相談にのってほしい」「助言してほしい」と直接言われた場合でも、「難しいねえ」「困るよね」と、最低3回ぐらいはかわして様子を見るのがいいでしょう。
語尾に「よね」をつけるだけで、共感口調になる相手の愚痴や相談に対しては、ひたすら共感し、気持ちよく話してもらう。
これが正しい雑談力です。
- 「うちの子ね、習いごとに行く時間になると、いつも直前で『トイレに行きたい』とか、『ちょっと今日は調子が悪い』なんて言い出すの」
- 「ねー」
- 「嫌なら嫌って言えばいいのに、ほんと困っちゃう」
- 「わかるー」
- 「夫は『小さいうちはのびのび育てたい』なんてのんきなことを言っていて」
- 「ほんと、ほんと」
心を無にして、何も言わないと決めて、「ねー」「そうだね」「わかる」とだけ言っていればOK。
なぜか「話しやすい人」「気が合う人」という好評価を得られるはずです。
ちなみに、語尾に「よね」をつけると、それだけで、共感度の高い雑談口調になります。
×「ほうっておけばいいよ」
○「ほうっておけばいいよね」
×「苦手なんです」
○「苦手なんですよね」
×「それは違う」
○「それは違うよね」
こちらもぜひ試してみてください。
ポイント
「わかる」「たしかに」「よね」だけで雑談は成り立つ

こちらはとりとめのない雑談をしているだけなのに、うまいオチや、納得のいく結論を求める人は多いものです。
そういう人たち相手に話すときには、ちょっとした工夫が必要になります。自分が話す順番が回ってきた、エピソードは思いついた、でも、オチは見えない。
そんなときは、どうすればいいのでしょうか。
ゴールが見つかってから話そうと思っていると、なかなか話を始めることができず、そのうち、場が盛り下がってしまいます。
かといって、見切り発車で話を始めてしまうとあとが苦しくなります。
途中でオチが見つかれば……という願いもむなしく、話はあっちへうろうろ、こっちへうろうろ。実は、こうした事態は簡単に避けられます。
話の最初に、こう宣言すればいいだけ。「全然オチのない話なんですけど、いいですか?」
不思議なもので、こう聞かれて「オチがない話ならやめてください」と答える人はいません。
たいていは「どうぞどうぞ」と笑いながら歓迎してくれ、しかもオチがなかったとしても「やっぱりオチがなかったですね」とにこやかに受け入れてくれます。
話すほうも宣言してしまうことで、リラックスしていますから、話はスムーズに進み、結果的に周りの人が着地点を見つけてくれることもあります。
「超どうでもいい話なんですけど」「くだらない話、していいですか?」という切り出し方も同様の効果があります。
「ネタバレ技法」で相手を安心させるこの「話の結末を先に言ってしまう」、いわゆる「ネタバレ」の話術は、さまざまな雑談シーンで応用が利きます。
たとえば、「うちの会社で本当にあった、人事にまつわる怖い話していいですか?」「実家で飼ってる犬がほんとにバカだっていう話なんですけど」といった具合です。
相手からすると、何の話かわからない状態で聞かされるよりも、結末が見えているだけ気がラク。
笑っていいのか、心配すべきなのか、どう転ぶかわからない話を聞くのはストレスがかかります。
ある程度心の準備をしながら聞く場合には、気持ちにゆとりも生まれるので、多少すべっても温かく見守ってくれるのです。
逆に、「ちょっとおもしろい話があって」「このあいだ、爆笑したエピソードなんですけど」とハードルを上げるのは、避けたほうがいいでしょう。
ポイント
どういう話かを先に言ってしまえば、相手も自分も安心する

- 「この間、元彼に偶然、会っちゃってさ」
- 「ああ……こないだ別れた証券会社の彼?」
- 「違う、違う。3年前ぐらいにつき合ってたアパレルの人」
- 「あ、そっちね!」「で、その彼がね、私の知り合いの女の子と一緒にいたの。でもその場所ってのが、前に私と行ったことがあるカフェで。あ、そのカフェって、もともとは私が昔からよく行ってたお店なのね。会社が近いからなんだけど」
- 「えーと。その彼は、どこに勤めてるんだっけ?」
- 「え、だから」
こういう話に巻き込まれて、イライラしたことはありませんか?登場人物が多いし、「元彼」「知り合いの女の子」「そのカフェ」などあいまいな呼び方も交じってくるので、いっこうに全体像がつかめません。
こういった「わかりにくい話」もまた、つらい雑談のひとつです。
こうならないためには、できる限り、雑談の中で「これ」「あの」などの「こそあど」言葉=指示代名詞を使わない(使わせない)ようにすべきです。
登場人物には名前と写真を用意
- 「この間、元彼に偶然、会っちゃってさ」
- 「ああ……こないだ別れた〝証券マン〟?」
- 「違う、違う。3年前につき合ってたアパレルの人」
- 「あ、そっちね!で、その〝アパレル君〟がどうしたの?」
- 「で、アパレル君がね、私の知り合いの女の子と一緒にいたの」
- 「名前は?何ちゃん?」
- 「さとみ」
- 「〝さとみちゃん〟ね」
- 「でもその場所ってのが、前に私と行ったことがあるカフェで。あ、そのカフェって、もともとは私が昔からよく行ってたお店なのね」
- 「〝思い出カフェ〟なわけだ」
- 「そう、その〝思い出カフェ〟に、さとみとアパレル君が仲よさそうにいて」
このように、相手が知らない人の話をするときは、できるだけ名前もセットで話します。実名を言うと差し障りがあるようであれば、即興であだ名をつけましょう。
また、卓上のグラスや調味料入れを登場人物に見立てて相関図を整理すると、よりわかりやすくなるし、動きも出るのでおすすめです。
もし見せても構わないなら、その人の写真も見せると、聞いているほうが飽きません。
複数人で話していてひとりだけが知らない人の話(内輪話)をするときや、自分が推しているアイドルや芸能人、スポーツ選手の話をするときにも、便利なテクニックです。
「わかりやすく」「具体的に」「イメージしやすく」という、「聞かせるための工夫」を、普段の会話以上に心がけてください。
ポイント
イメージが湧かないと、人は話に飽きてしまう

- 「なにかこだわってることあるんですか?」
- 「どんなところに、こだわってるんですか?」
相手が打ち込んでいること、凝っているものについて質問するのは、話が盛り上がるきっかけになります。間違いなく熱量の高い話になるからです。
ですが、それを「こだわり」という言葉で質問するのは、避けましょう。「こだわり」は「趣味」同様、扱いが難しい言葉。どの程度がこだわりかは人によります。
たいていの場合、聞かれたほうは「いや、こだわってるっていうほどのことは……」「こだわりっていうわけでは……」と、口ごもってしまうことに。
さらには、「『こだわっていますね』と言われると、バカにされているように感じる」という人も。
では、目の前の人が、熱心に打ち込んでいるジャンルについて話したそうな場合、どのような質問をするといいのでしょうか?「こだわり」ではなく「習慣」を聞くこちらも、趣味のとき同様、具体的な質問をして上げると、相手は答えやすくなります。
「すごくお肌がきれいですけど、何か特別なことをやってるんですか?」
「実は最近、野菜ジュースに凝ってて」
「え、どんなのですか?手づくりですか?市販の?」
「それがね……」
「ゴルフを20年もやってらっしゃるんですね。続けるための心がけってあるんですか?」
「どうだろう。クラブはいいのを使うようにしてるよ」
「わー、やっぱりそうなんですね。使い心地、違いますか?」
「そりゃ、違うよ。最近買ったやつなんてね……」
このように「こだわり」ではなく「習慣」を聞くようにします。
逆に、「こだわりは?」と聞かれたときには、「こだわりっていうほどのコトは……」「別にありませんよ」と話を切ってしまわないようにしたいもの。
「なにか話のとっかかりが欲しいんだな」と意を汲んで、「普段していることは何かな?」「特別な習慣あったかな?」と自分に問いかけて、答えてあげるようにしましょう。
「趣味」は「過去・現在・未来」で答える(尋ねる)。
「こだわり」は「習慣」で答える(尋ねる)。
いずれも話をスムーズに続けるための鉄則です。
ポイント
「こだわり」よりも「なにか特別なこと」のほうが答えやすい

よかれと思ってやってしまうNG雑談のひとつに、「『なぜ?』と理由を尋ねる」があります。
- 「この間、うっかり電車の中で寝過ごして終点まで行っちゃったんですよ」
- 「どうして寝過ごしたんですか?」
- 「え?ああ、えーっと……ちょっと飲み過ぎたからですかね」
- 「なぜ、そんなに飲んだんですか?」
- 「あ、いえ、久しぶりに学生時代の友人と会って、つい……」
質問したほうに悪気はありません。むしろ興味があるからこそ、尋ねている。ですが、質問されたほうとしては、うまく話せなくてストレスが溜まります。
いちいち会話がそこで止まり、本当に話したいことを話せない。結果として、盛り上がらない雑談になってしまいます。
理由を尋ねられた瞬間、人の気持ちはすっと冷めます。「なぜだろう?」と理由を考えて、頭が冷静になるからです。
だから、「気持ちをやり取りする雑談」には、とても不向きな質問というわけ。
たとえば、「苦手な食べ物」の話題で、こちらが「ピーマンが苦手なんだよね」と伝えたとき、「どうして嫌いなの?」と聞かれると、困りませんか?たいていの人は「いや、とくにこれといった理由は……」などと口ごもりながら、いっしょうけんめい理由を考えることでしょう。
この「考える」というステップが雑談の大敵です。考えれば考えるほど言葉は少なくなり、場の空気は重くなります。
また「理由を尋ねる」という行為は、それだけで少し批判的に聞こえてしまうのもよくありません。お母さんがいたずらした子どもを叱るときの、「なんでこんなことしたの!?」と一緒ですね。
聞かれたほうが「あれ?なにかまずかったかな?」と不安になってしまうので、これまた雑談には向いてないというわけです。
「WHY」ではなく「HOW」で尋ねる雑談では「お互いが深く考えることなく話し続けられること」が重要です。
ですから、質問するなら「WHY」(なぜ)ではなく「HOW」(どのように)を心がけましょう。
たとえば、「うっかり寝過ごして終点まで行ってしまった」に対して質問するなら、「一度も起きなかったの?」「目が覚めたとき、びっくりしなかった?」と尋ねます。
さきほどの「ピーマンが苦手」についても、「どれぐらい?」という質問であれば、「みじん切りにしてあってもすぐ気づくぐらい苦手」「火が通してあればまだ大丈夫だけれど、サラダに入っているとお手上げ」など、ぐいぐいと話題が広がります。
話を盛り上げたかったのに、「なぜ?」を連発したせいで場は盛り下がり、相手から「めんどくさい人」と思われる。
そんな悲劇を生まないよう、理由を尋ねるのは最小限にとどめましょう。
ポイント
「WHY」は心を閉ざし、「HOW」は心を開く

「おいしいから」と友達に誘われて行ったレストラン。実際に行ってみたら「まあまあおいしかったけど、それほどでもない」と思ったとします。
後日、飲み会の場でその店の話題になり、「どうだった?」と感想を聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか。
そこで、「それほどでもなかった」と正直に言うのは、正しい雑談ではありません。
「他の人が行ってがっかりすると気の毒だから、できるだけ正確に伝えるべき」と、思ったとしても、そこまでの正確性は求められていない。
その場は「おいしかった、おいしかった」と話を合わせましょう。そうすることで、あなたもその場の仲間も、失うものはありません。
とくに、料理の味なんてものは、体調や一緒に食べる相手で、だいぶ印象が変わってくるもの。
どうせあいまいなものなのですから、あいまいなままにしておくのが、正解となります。逆に言うと、そういうあいまいな話では済まないことは、話題にすべきではありません。
たとえば、災害の被害者数。たとえば、会社の業績。たとえば、子どもの塾の成績。
繊細に扱うべきもの、白黒はっきりする話題は、雑談にはふさわしくない、避けるべきと覚えておきましょう。
「わからない言葉」はニュアンスで受け止めるたまに雑談の場で、よくわからない言葉が飛び交うことがありますね。
たとえば久しぶりに会った学生時代の仲間との飲み会。
- 「最近、うちの上司がやたらとKPIにうるさくて困るんだよ」
- 「わかるー!うちもリーダーがふた言めにはKPIって大騒ぎしているよ」
もしここで、あなたが「KPI(組織の目標を達成するための重要な業績評価の指標)」という言葉の意味がわからなかったとしても、ふわふわと、話を合わせておくのが、雑談としては正解です。
KPIについて論じることではなく、「『KPI』へのやっかいな気持ち」をみんなでなんとなく共有することが、その雑談の目的だからです。
逆に、話題がシリアスな職場の悩みになりそうになったら、「ごめん、さっきからわからずに聞いてたんだけど、KPIって何?」と白状すると、その場が笑いに包まれ、雑談にふさわしい雰囲気が戻ってくることになります。
ポイント
雑談はニュアンス重視。細かいことは気にしない
話を盛り上げようと、相手の話にばしばしツッコミを入れるのは、間違った雑談です。
たとえば、相手が「クラシック音楽が好きで、中でもショパンが大好き」と言ったとき、場を和ませようと、「ショパンってチョピンって読めますよね?」と茶々を入れたり、「クラシックか~。上流階級って感じ!」といじったり。
それらの多くは残念ながらすべります。変にがんばったせいで、場の空気はかえって冷ややかなものに。
お笑いブームのおかげで、ツッコミという言葉がよく知られるようになりましたが、これはとても難しい技術。素人が簡単にマネできることではありません。下手にやると「寒い人」と評価を下げることに。
では、どうすればいいのでしょうか?ツッコミを入れるヒマがあったら、きちんと「褒める」クセをつけたほうが、よほど話は盛り上がります。
- 「クラシック音楽が好きなんです」
- 「あー、クラシック。いいですよね。全然詳しくないんですけど、どういう曲が好きなんですか」
- 「いろいろありますけど、一番好きなのはショパンの『夜想曲(ノクターン)』ですね」
- 「わー、素敵な曲名ですね。それって、どんな曲なんですか?」
- 「え、聞いてくれます?それがですね、ショパンってほんとに天才で……」
「褒め」は最強無敵のリアクション
「いいですね」「素敵ですね」「かっこいいですね」「すごい」……。褒め言葉はなんでもOK。
もちろん、うわべの言葉でもかまいません(笑)。
とにかく「あなたの話を好意的に受け止めています」ということが伝わりさえすれば、それでいいのです。
ですから、「ラーメン店めぐりが趣味でして」「へー、なんだか、かっこいいですね」「え?かっこいいですか(笑)?ま、いいや。で、今気になってるのが……」
と、多少見当違いな褒め言葉でも、話は盛り上がります。
変にツッコミを入れたり、あいづちを打つよりも、無理にでも褒めておけば、相手は話を続けたくなる、というわけです。
「嘘くさい」とか「思ってないことは言えない」などと正論を振りかざすことなく、まずは好意的なリアクションをしましょう。
雑談とは、そういう「ポジティブな気持ちのやり取り」のことなのですから。
ポイント
「すごい」でも「かわいい」でもなんでもいいので、ただ褒める

「相手の答えが『はい・いいえ』で終わってしまうクローズドクエスチョンは、話が広がらない。話を広げたい場合には『はい・いいえ』で答えられない、オープンクエスチョンを投げかけるといい」これは、いろいろな本や理論で言われている、会話術の鉄則です。
ですが、こと雑談に関して言うと、最初からオープンクエスチョンにしてしまうと、いろいろな答え方ができる分、どう答えていいか迷ってしまい、話が弾まなくなる場合も。
たとえば、「最近どう?」が、いい例です。
質問するほうとしては使い勝手がいいので、仕事からプライベートまでさまざまな場面で使ってしまいますが、いざ聞かれてみると、困ってしまう質問でもあります。
上司に「最近どう?」と聞かれて、仕事の進捗を聞かれているのか、仕事と関係ないことを聞かれているのか、それともお説教の前フリなのか迷ったこと、ありますよね?これも、オープンクエスチョンだから、答えを探すのに苦労するのです。
結果的に、「まあ、ぼちぼちです」「がんばってます、はい」などとあいまいな答えになってしまうというわけ。
これは、スポーツの試合のヒーローインタビューなどでもよく見る光景ですよね。
具体的な質問のほうが相手も答えやすい「最近、どう?」の代わりに、たとえば「仕事、順調?」と聞かれると俄然、答えやすくなります。
- 「うん、順調、順調。今度大きなプロジェクトを任されることになってさ」
- 「仕事は順調なんだけど、私生活のほうがね……。ちょっと、聞いてくれる?」
具体的に仕事の話を聞かれているからこそ、答えやすい。
そのうえで、仕事の話から他のもっと話したい話題に、話がふくらんでいくこともよくあります。
会話のラリーを重視する雑談において、とくに序盤は、リズム・テンポがとても大事になってきます。
ついいつものクセであいまいな質問をしてしまったときには、すぐに、相手が答えやすいように言葉を足してあげましょう。
- 「最近、どう?+今の会社って丸の内だっけ?」
- 「週末とか何してるの?+たとえば先週末は?」
- 「久しぶり、元気?+病気とかしてなかった?」
こっちが「聞きやすい質問」ではなく、「相手が答えやすい質問」するのが、雑談力のルールです。
ポイント
序盤はテンポ重視で、答えやすい質問をする

雑談のきっかけとして、褒めてくる人、いますよね。
そのとき、どうリアクションするのが正解でしょうか?「素敵なお洋服ですね」「いえいえ、そんな……」「ご活躍ですね」「あ、いや、それほどでも……」このようについ謙遜した受け答えをしてしまうのは、NGです。
なぜなら、そこで会話が終わってしまうから。そもそも、褒めた側は軽い社交辞令で褒めただけ。
それなのに、いちいち「いやいや」と否定されたり、「そんなそんな」と謙遜されたり、「あなたのほうがご活躍ですよ」と切り返されたりすると、とてもめんどう。
では、どのようにリアクションするのがいいのでしょうか?正解は、素直に「ありがとうございます!」とお礼を言うことです。
仮に社交辞令だったとしても、お礼を言われて悪い気持ちになる人はいません。
「+ひと言」で話をふくらませる慣れてきたら、「お礼+ひと言」で会話を広げたいもの。
たとえば、「ありがとうございます。+今日のブラウスはお気に入りで、色違いで3枚持ってるんです」と返せば、こちらの照れる気持ちも薄れますし、あちらとしても「どこで買ったんですか?」と、さらに会話のきっかけが生まれる、というわけです。
学歴や容姿、仕事の業績などを褒められた場合も同様です。
「○大なんですか?すごいですね」「ありがとうございます。+高校時代、超ガリ勉でがんばったんですよ」「意外ですね」
「肌、すごくきれいですね!」「ありがとうございます。+毎晩、保湿クリーム、ベタベタに塗ってます(笑)」「どんなクリームなんですか?」といった具合。
ちなみに、これは雑談ではないのですが、相手がイヤミを言ってきたときにも、「ありがとう」という返しは無敵です。
「いいよなあ、お前みたいなヒマ人が、給料だけはもらえてて」
「ありがとうございます。ほんとそうですよね」
「旦那さんの稼ぎがある人は、余裕があるわねー」
「ありがとうー。ほんと、いい旦那で助かってる」
便利で使い勝手のいい「ありがとう」、ぜひ有効活用しましょう。
ポイント
「ありがとう」は攻めにも守りにも使える無敵ワード

雑談とは、気持ちのやり取りですからまずは相手に関心を持つことが大事です。相手をよく見て、変化に気づく。それだけで相手はうれしいものです。
ですが、その「気づき」をどう表現するかで明暗がわかれることも。
たとえば次のような会話、よくありませんか?「あ、○○さん。そのバッグ、新しいですね」「え、うん。セールで安かったから買ったんだ」「…………」「…………」これはNGな雑談です。
指摘された側からすれば、褒められているのかけなされているのかよくわからず、リアクションに困ります。
よくぞ相手の新品バッグに気づいたわけですが、それが指摘で終わってしまっているのが残念なのです。
こういう、「よく気づくけれど、言葉が足りないので、〝怖い〟と思われている人」は、少なくありません。
「気づき+いいね」で初めて褒めになる
逆に、褒め上手な人はちょっとした気づきを褒め言葉に代えるのが得意です。
- 「そのネクタイ、いつもしてますよね。+おしゃれです!」
- 「もしかして髪型変えました?+すごく似合ってます」
- 「バッグ、新調しました?+その色いいですね」
いずれも、前半部分だけでも、「あなたのことを見てますよ、気にかけてますよ」というメッセージは伝えることができてます。
が、やはり、後半のポジティブな褒め言葉こそがポイント。
「おしゃれです」「似合ってます」「その色いいです」という言葉を、恥ずかしがらずに言えるかどうかが、大事。
逆に、雑談の上級者ともなると、褒め言葉を引き出すのが上手だったりします。
「そのバッグ、新しいですね」
「あれ?気づいた?変?変じゃないよね?」
「いや、かっこいいです(笑)」
「もしかして髪型変えました?」「そうなんだよね。似合ってる?似合ってるよね?似合ってるって言って」
「あ、すみません、似合ってます、似合ってます(笑)」
このように普段無愛想な相手が、がんばってコミュニケーションを取ってきたときには、ポジティブな方向に会話を導いてあげましょう。
ポイント
終わりよければすべてよし。会話も最後のひと言が重要

どんな話題でも、ずっと話し続けるには限界があります。それなのにいつまでもそれに執着してしまうのは、よくない雑談です。
- 「……というわけで、ボードゲームは最高なんですよ」
- 「なるほどねー。おもしろいですね」
- 「そうなんです」
- 「奥が深いです」
- 「わかってもらえてよかったです」
- 「いいですねー」「ええ。いいんですよー」「……」「……」
これ以上掘りようがない。
そのことはお互いがわかっている。それでも、新しい話題も思い浮かばない。なので、しかたなく目の前の話題にこだわって、沈黙してしまう……。
そういうことってありますよね。こういうときは、どうすればいいのでしょうか?話はバックしてもいい。繰り返してもいい。話を進めよう、広げようと思いすぎると、ついついこのようなことに陥りがちです。
ですが、雑談に「前に向かわなくてはいけない」というルールなんてありません。ラリーが続けばそれでいいのですから、ときには、後ろに戻るのもアリです。
「……というわけで、ボードゲームは最高なんですよ」
「なるほどねー。おもしろいですね」
「そうなんです」
「奥が深いです」
「わかってもらえてよかったです……」「……。あの、話はちょっと戻るんですけど、さっき言った、ボードゲームカフェですけど、それって、誰でも入れるんですか?」
「ええ、今増えてますよ。カラオケボックスみたいな感じで利用できます」
「ああ、そうなんですね。今度行ってみようかな」
「え、ご一緒しましょうよ!」
このように、「話、戻っていいですか」「さっき、気になってたんですけど」と宣言し、盛り上がった地点まで巻き戻すと、当たり前ですが、再び会話は息を吹き返します。
喫茶店でおばさま同士が、同じ話を何十回も繰り返してますが、あれなどはまさに「雑談」の極地。話の中身などどうでもいいということを、改めて実感させられます(笑)。
やみくもに会話を広げる、深めるのではなく、ときには、戻ったり、スタート地点からやり直したりするテクニック。
覚えておくと安心です。
ポイント
話は戻ってもいい。止まらなければ、それでいい

以前聞いた話を、再び同じ相手から聞かされたとき、よかれと思って、話をリードしてあげるのはNGな雑談です。
- 「海外旅行が趣味でして~」
- 「あ、たしか、ひとり旅がお好きなんですよね!」
- 「いや、好きというわけでは……。前回はたまたまひとりでアメリカに行きましたが」
- 「そうそう、アメリカ。本場の野球をご覧になったんですよね?」
- 「あ、えっと、観たのはアメフトなんですけど」
「相手の好みをきちんと覚えておく」という会話テクニックもありますが、正直、それはめんどう。うろ覚えで話を合わせると、ろくなことはありません。
それよりは、毎回、初めて聞くようなリアクションをするほうが、楽ちんです。
- 「海外旅行が趣味でして~」
- 「海外旅行、いいですよね!」
- 「去年は、初めて、ひとり旅でアメリカに行ったんです」
- 「あ、そうなんですね!いいなー」
- 「あれ、この話、前にしましたっけ?」
- 「えー、どうでしょう?僕も忘れちゃいました。なので、教えてくださいよ」
- 「そうですか?いや、そのときの話なんですけど」
途中で相手が「あれ、この話、もうしたかな?」と怪訝そうな雰囲気を出しても、「聞いたかもしれないですけど、もう一度」と、意に介さなければOKです。
和気あいあいと会話のラリーを続ける目的において、記憶力はそれほど重要ではないのです。
人を紹介するときにも「うろ覚え」は邪魔これは、人を他人に紹介するときにも、言えることです。
「彼は、○○社で働く、気持ちのいい若者でね」
「あ、××社です」「あれ、そうだっけ。たしか、ブランド戦略を手がけてるんだよね?」
「いえ、ブランド戦略というよりは、販売促進の部署で」
「あ、そうか」こういう気まずいことにならないよう、下手に覚えたり、会話をリードしたりしないほうが無難。
「彼は気持ちのいい若者でしてね。えーと、仕事は何やってるんだっけ?」
「××社で販売促進をやってます」
シンプルに関係性を述べるにとどめて、自己紹介は自分の口からやってもらうほうが、正確な情報が伝わるし、気詰まりな思いをさせないので、正解です。
ポイント
相手の話を覚えておくことは、大変なうえにリスクが高い

- 「何人ぐらいつき合ってきたの?」
- 「ぶっちゃけ、年収、いくらなの?」
- 「お子さんのご予定は?」
失礼な質問をしてくる人って、いますよね。
これが、友達同士であれば「はいはい、バカじゃないの?」「そういうの聞かないほうがいいよ」とたしなめることができますが、親戚や職場の上司など、気を遣う相手であれば、そうもいかない。なにかしら答える必要があります。
ですが、ここで、本当のことを真面目に答えるのは不正解。自分の心が傷つきますし、どう答えたとしても、相手は納得してくれないから。
「●人です……」
「ふーん、そうなんだ。結婚はしないの?早いほうがいいよ」
「●円です……」
「へー、もっと稼げる仕事あるんじゃないの?」
「(子どもは)まだいいですかねー」
「なんで?」
このように、さらに答えづらい質問が続くことにもなりかねません。
かといって、「何歳に見えます?」と質問を質問で返したり、「ご想像にお任せします」と煙に巻いたりするのも、相手によっては難しい場合があります。
困った質問は一般論でごまかす
失礼な質問に対する上手な逃げ方は、「一般論で話をそらす」が正解。
- 「えー、どうでしょう、普通は、5人から10人ぐらいじゃないですか?」
- 「僕の年齢だと、500万円から800万円ぐらいが相場ですかね」
- 「普通は何歳ぐらいで産むんでしょうね?」
こうすれば一応、質問には答えてますし、暗に「自分のことは言いたくない」というアピールにもなります。
- 「それって少ないよね。私たちの時代は~」
- 「だいたい、そういう相場っていうのはさ~」
- 「普通って言っても、人それぞれだしね」
などと相手が食いついて、話がそれてくれたらしめたものです。
仲良くなりたい人、答えたい質問には、パーソナルなことを。距離を置きたい人、答えにくい質問には、一般的なことを。
雑談の鉄則です!
ポイント
距離を置きたい相手には一般論で話をそらす

あの人みたいな雑談上手になりたい……。そう思ったとき、あなたが頭に思い浮かべる人はどのように振る舞っているでしょうか。たとえば、ベテラン司会者のように場を仕切る姿。
参加者にまんべんなく話題を振りながら、どんな話題にも的確に受け答えをする。ネタも豊富で、どんな会話にもついていけるイメージ。実は、雑談が苦手な人ほど、こうした司会者タイプを理想とすることが多いようです。
しかし、雑談上手になろうと思うとき、司会者を目指す必要はありません。人には向き・不向きがあります。それよりももっといい役が実はあるのです。
目指すべきは、潤滑油として場を和ませるスタイル。
自ら表に出て、ばんばんしゃべるのではない潤滑油タイプであれば、自分に合ったペースで雑談に参加しつつ、話を盛り上げることができるでしょう。
「単語そのままリピート」は「オウム返し」よりも簡単
では、そんな潤滑油キャラを目指すには、具体的にどういうコツがあるのでしょうか?相手の言うことをそのままくり返す「オウム返し」は会話術としてよく知られていますが、そのさらにシンプルなバージョン、「聞いた単語をそのまま繰り返す」は、取り入れやすいテクニックです。
- 「最近、ケーキがおいしいお店を見つけたの」
- 「ケーキねー」
- 「表参道にあるお店なんだけどね」
- 「表参道!」
- 「フレッシュなチーズがたっぷりで」
- 「チーズか~」
いかがでしょう?もはや、オウム返しすらしていないのがわかりますよね(笑)。それでも、相手は悪い気がしない。
相手の言葉を何かしらピックアップして繰り返せば、相手は「この人は自分の話に興味をもってくれているんだな」と受け止め、話をしやすくなるのです。
この「単語そのままリピート」というコツ、人によっては、あいづちやリアクションよりやりやすいかもしれません。
夫婦間や家庭内の会話でもおすすめです!
ポイント
話しやすい空気をつくるのが、雑談がうまい人
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