第3章まずはハートを強くする!
ウケない理由の克服「緊張しないために」話を正確に伝えるための一番の敵は、「緊張」と言ってもいいでしょう。緊張すると、トークの内容以前の問題になってしまいます。プロの芸人さんは、たくさんの視聴者の前で話をするというプレッシャー、さらに視聴者から「面白い話をするんでしょ!」と思われているという、ハードルが上がった状況にあるので、余計に緊張するはずです。しかし、彼らは本番で、きっちりトークができています。なぜ、彼らは緊張しないのか?その答えは、ズバリ「慣れ」です!何だそれ?と思うかもしれませんが、プロの芸人さんだって、初めから人前ですんなり話せたわけではありません。私は、お笑い学校の講師を通して、テレビで活躍中の若手芸人で、最初は全然しゃべれなかった人たちを結構見てきています。講師と同期生合わせて20人足らずの前で漫才やコントをするだけなのに、声は震え、下を向いて……といった状態です。そんな彼らも、慣れると大勢のお客さんや視聴者の前で堂々とネタやトークができるようになるんです。また、慣れていないという理由以外に、皆さんが緊張してしまう、もう1つの理由があります。それは「余計な気持ち」です。トークを行う場合、自分が聞いた、見た、体験した内容を、聞き手に伝えてあげることが大事なのですが、そこに余計な気持ちが入ってしまうと、緊張して失敗しがちです。その余計な気持ちとは、「面白く思われたい」とか「ウケなかったらどうしよう」といった感情です。これらが前面に出てしまうと、トークの内容を相手に伝えたいという気持ちが隠れてしまいます。家族や友達にはウケるトークができるのに、知らない人や異性の前では緊張して話ができない──そういった人も多いのではないでしょうか?これも、すべて余計な気持ちが邪魔しているからです。もちろん、こうした余計な気持ちも、「慣れ」によって、「余裕な気持ち」に変化することがあります。プロの芸人さんは慣れているからこそ、トークを口説くときのテクニックに使ったり、一番注目されている場面で笑いを取ることができるんです。でも私たち素人は、あまり余計な気持ちを持っていると、アレコレ考え過ぎて、トークができなくなってしまいます。人前に立つことや話すことに慣れると、自然と気持ちにも余裕ができてくるので、まずは慣れるためにすべきことを、この章でお話ししようと思います。まずは人の視線に「慣れ」よう家族や友達など知っている人の視線は、別に何の意識もしないのですが、知らない人の前で話さないといけない場合、その聞き手の視線が気になって、上手く話せない場合があります。話し手である自分を見ているたくさんの知らない目。その目を勝手にプレッシャーに感じてしまうと、相手をよく見れなくなり、下を向き、声がうわずり、頭の中が真っ白になってしまいます。なので、話す前にまず人の視線に慣れましょう!というお話です。人の視線に慣れるにはどうしたらいいのか?それは家を一歩出ることでしょう。家から出て、人の多いところに出かけていくことです。家を出て、電車に乗ったとします。すると、いきなりトレーニングができます。自分の向かい側に座っている人たちを見ながら、「ここで今から話をするんだ」と思ってください。「思う」だけでいいです。実際に話し始めたら、アブナイ奴になってしまいますから。さぁ、話すつもりで左から中央、そして右と視線を移してみましょう。続いて、右から中央、そして左と繰り返します。そうすると、乗っているのは知らない人でも、私たちと全然変わらない、普通の人ということが分かると思います。家族や友達に似ている人もいるかもしれません。そんな普通の人の視線が、怖いはずなんてあり得ません。自分の妄想で怖く感じているだけなんです。実際に私は今でも、会議でプレゼンをしないといけないときなどは、電車の中で仮想プレゼンを行うことがあります。全く知らないサラリーマンや女子高生を相手に、頭の中で話をしてみて、「慣れ」を作っているんです。普段、電車に乗って寝ていたりケータイをいじっている時間を、こうして人の視線に慣れるための時間として有効活用してみましょう。ただし、あまり凝視し過ぎると、変な目で見られてしまう可能性もあるので、あくまで自然体で見るようにしてください。続いて、電車を降りたら、映画館に足を運んでみてください。そこですぐ自分の席に座るのではなく、わざと一番前まで行きましょう。そして、一番前まで来たら、クルッと客席の方を向いてみるのです。たくさんの人たちがコチラを向いて座っている感じがしませんか?そこでまたこう思いましょう。「ここで今から話をするんだ」と。そして、客席の前から中央、そして後ろとゆっくり見ていきましょう。電車とは違い、映画館では多少じっくりと観察しても、変な目では見られません。ふざけ合っているカップルや、手をつないで入ってくる親子など、こちらも普通の人たちです。視線も怖くありません。電車にしても映画館にしても、もしこのイメージトレーニングをしていて、知らない人と目が合ったときは、ゆっくりと目を逸らしてください。いきなり逸らすと逆に怪しく思われます。別に知らない人と視線が合うことは、よくあることなので、向こうもそんなに意識はしません。電車や映画館以外でも、人がたくさんいるところや、対面になれる場所などは、どんなところでもこのイメージトレーニングが可能ですので、試してみてください。知らない人と話をする前に、まず知らない人の視線に慣れることが大事なのです!
知らない人と話すことに「慣れ」よう人の視線に慣れたら、次は知らない人と話す訓練をしましょう。ここでも私が実践した、知らない人と話すための方法をご紹介します。それは、街でチラシを配っている人に話かけるという方法です。駅前や街中でよくチラシを配っている人がいますよね?美容院だったり、居酒屋だったりの宣伝のチラシを、歩いてる人に渡している人たちです。もし、あなたがそのチラシを受け取ったら、そこでそのチラシに関する質問を投げかけてみましょう。きっと相手はあなたの質問に答えてくれます。なぜなら、そこまで興味を持ってくれたあなたのことをうれしく思うからです。経験したことがある人なら分かると思いますが、チラシ配りって、結構もらってくれないんですよね。もらってくれたとしても、ゴミ箱に捨てられていたり、ひどい場合には目の前で道端に捨てられたりします。そんな中、あなたはチラシを受け取り、さらにそのチラシに関した質問までしてくれるのですから、向こうとしてはちゃんと答えたくなるはずです。その際、難しい質問や突飛なボケなどはやめておいた方がいいでしょう。ここでは知らない人と話をするのが目的なので、無難なトークが望ましいです。例えば、「チラシのお店はどこにあるんですか?」とか、「このお店のオススメって何ですか?」など、すぐに答えられそうな質問をしてあげてください。ほかにも、コンビニやスーパーの店員さんに話しかけるという方法も同じ効果が得られます。彼らも、自分が知っているお客にとって必要な情報には答えてくれるでしょう。ただし、これらの訓練は、長話や脱線トークには不向きです。向こうも必要以上には話してくれないでしょう。そこで、多くの人と長く話をするには、合コンや飲み会に積極的に参加することが大事です。参加するだけで構いません。この段階ではまだ、ウケるトークを披露しなくてもOKです。ただ、人前で話すのに慣れるために、みんなと同じようにどんどん話をしましょう。相手を不快にさせる話でなければ、オチがなくても笑いを取れなくても大丈夫です。このようなワイワイしている場では、大してみんな話に集中していませんし、話がスベっても一過性のことなので、次の日にはだれも覚えていません。飲み会での会話なんて、意外とそんなもんです。たくさんの人と話をすることで、人前に慣れてくれば、いざと言うときも緊張しなくなります。ウケるトークを披露する場合、そのテクニックを身に付けることも大切ですが、緊張せずに話ができることがまず大前提です。緊張しやすい人は、ぜひ頑張って克服してください。中途半端なマイナス暗示はダメ!先ほど、人前で緊張してしまう原因として「慣れていないこと」と「余計な気持ち」が挙げられると言いました。ここでは、「余計な気持ち」についてさらに話をしたいと思います。ウケるトークができない人にありがちな思考の流れとしては、まず最初に「面白い人だと思われたい」という期待から入り、次に「でもウケなかったらどうしよう」という不安が襲ってきます。そしてそのまま、「もしスベったら取り返しがつかない」と思い込み、「ウケを取るのはやめて普通の話をしよう」と最終判断をしてしまいます。これがもし、ほかの人たちがウケを取ってきて、いざ自分の番という状況になった場合には、「僕も笑わせなきゃマズい」と頭が真っ白になってしまい、思うように話すことができなくなります。この場合、どうすれば「余計な気持ち」を除くことができるのでしょうか?それは、「中途半端なマイナス暗示をしない」ことです。マイナス暗示をやめろということではありません。中途半端がダメだ!ということなんです。なぜなら、緊張しやすい人は、プラスの暗示をしても、結局マイナスの方が勝ってしまうからです。つまり、「緊張はだれでもするんだ」とプラスにとらえても、次の瞬間に「でも隣りは緊張してるように見えなかった」とか、「こんなに緊張してるのは俺だけかも」とか、勝手にマイナスに考えてしまいがちです。そこで、中途半端ではなく、究極のマイナス暗示をしてやります。それは何かというと、「だれも僕の話には期待していない」と思うことです。ウケようがスベろうが、自分の話にはだれも期待していない──このように一番下からのスタートにして、これ以上恥をかくことはないと思うのです。人間は自分の実力以上のものを望むと、失敗したり緊張したりしてしまいます。「別に期待されていない。ウケたら儲けもん!」くらいの気持ちで話しましょう。期待されていないのであれば、緊張をする理由もないので、冷静に話をすることができます。それでも、もし緊張してしまったら、第2章で挙げた悪い例「コンビニの店長」の解説でも述べましたが、その緊張している状況を声に出してしまえばいいんです。ウケを取る期待はされていないので、緊張しても失敗しても、全然問題はありません。このように、暗示をする場合は究極のマイナス暗示である「期待されていない」と思うようにしましょう。
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