ボケ力を身に付けるここからは、「いじられ術」について学んでいきましょう。この章では、いじられ上手の心得を述べていきます。まず、「いじり術」のツッコミに対して、「いじられ術」をマスターするには、ボケ力を鍛えなければいけません。お笑いで言うボケとは、わざと間違ったり、おかしな言動をしたりすることを言います。本人がおかしいことに気付かない「天然ボケ」という言葉もありますが、ここでは、わざとおかしなことをする「計算ボケ」に限定してお話しします。本書での「いじられ術」とは、自分の思うようにいじられて笑いを取る、ということなので、自分から積極的にボケていく、いじらせていくことを目標としています。そのためには、ボケ力を高めなければいけません。そのために必要なことを、第3章で述べた「ツッコミ力の条件」と同じように、3つ紹介しましょう。①常識的なものの見方ができるこれは、ツッコミ力の条件と同じです。ボケはおかしなことを言う、非常識な役割ですが、常識的なものの見方ができなければ、何が非常識か分からないですよね。お笑い芸人がわざとおかしなことを言うということは、何がおかしいのか理解しているということなんです。なので、いじられる側としても、この「常識的なものの見方ができる」ことが条件となります。②柔軟な発想と想像力を磨くボケるには、常識を知りつつ、それをどう変化させれば良いかを考えなければいけません。普通の人とは違う言動で、笑いは起きます。つまり、予想される言動を裏切ったり、大げさにしてみたり、逆に行ってみたりすると良いわけです。頭を柔らかくして、想像力を磨いてください。③独特の観察眼を持っているこれもやはり、ツッコミ力の条件と同じことが言えます。普通のものをどういう角度で見たら面白くなるのか?どこをいじらせれば馬鹿らしくなるのか?常識を破壊する観察眼を養うことが大切です。これらを意識しながら、ボケ上手=いじられ上手になっていきましょう。おいしくいじられることいじられ上手の心得として一番大事なことは、「自分が気持ち良くなること」です。いじられた結果、自分がおいしくならなければ意味がありません。いじられて嫌な思いをするようなら、それは絶対に止めさせなければいけません。そうは言っても、世の中には結構「いじり下手」な人間が多いものです。心無いいじられ方をして、相手が傷付いているにもかかわらず、それを知ってか知らずかいじり続ける、という最低な輩もいます。それでは、もしそんな人間からいじられた場合、どう対処すれば良いのか?1つ目は、「話題を変える」。相手がいじってきたことに対して、絶対にリアクションをせず、さらっと別の話題に変えます。相手にも気付かせないように話題を変えることができたら、一番良いと言えます。しかし、中にはしつこい人も存在します。そんな人は、ノーリアクションだったことに不満で、話題を変えても、もう一度いじってくる可能性があるでしょう。そういったときは、「無視&正直に嫌だと言う」。その場で嫌だと言うと、周りの目もあったり、空気が変わってしまう恐れもあるので、そこではリアクションは取らずに無視しておきましょう。そして、2人きりで話せるときに、「実はあのときの話なんですけど……」と自分のいじり方について、止めてほしいことを正直に話してください。その際、あまり感情的にならず、相手の「いじり」に対する理解もしつつ、同時に「自分にとって絶対に言われたくないことだ」と伝えることで、相手もムキになったりせず、反省し、理解してくれます。最後にもう1つ、視点を変えて「自分が変わる」という方法もあります。これは性格的、身体的なことをいじられた場合、それを頑張って克服するという方法です。相手に言わさないように、自分自身を頑張って磨く方法なら、自分のスキルアップにもつながりますし、一石二鳥とも言えるでしょう。要するに、どんな相手であっても、自分が嫌な思いをする、おいしくないいじられ方は拒否しなければいけないということ。「おいしくないいじられ方」は、結果として出世とは真逆の状況を生み出すことになってしまいます。いじられたら笑いを取ること心無いいじり方をしてくる人に対しては、断固NOの姿勢で良いのですが、信頼できる相手がいじってきた場合、いじられたあなたは、笑いで答えてあげる必要があります。そこで変に自意識過剰になったり、上手い切り返しができなかったりでは、いじった相手も周りも不安な気持ちになってしまいます。そこは共同責任として、信頼できる相手がいじってきたら、それに答えるつもりで笑いに変えてあげてください。ただ、「いじり上手」な人はほとんどいないので、笑いを取るために、自らいじられたい方向に持っていく必要があるでしょう。いじる相手にも分かりやすく、周りも笑いやすいように、あえて自分をいじらせる、その結果、笑いも起こる──という具合です。キャラ作りの重要性では、自分がいじられたい方向に持っていくには、どうすれば良いのでしょうか?それには、「キャラを売る」という方法があります。自分自身でキャラを作って、そのキャラを周りに理解させるんです。「人は見た目が大事」という話をよく聞きます。それは、必ずしもカッコいいとかかわいいとかいった「見た目」ではなく、その人ならではの特徴あるキャラクターが大事ということです。芸人さんでも、テレビでブレイクする人はキャラの良い人、分かりやすいキャラの人が多いですよね。実力のある芸人さんなのに、テレビでなかなかブレイク
しない人を私は知っていますが、そういう人と話をすると、「自分にキャラがない」ことで悩んでいることが多いのです。そこで私たちも「いじられ上手」になるために、自分のキャラを売っていきましょう。そのためには、まず自分自身をよくリサーチして、キャラを作らなければいけません。そこで、あなた自身の特徴を挙げられるだけ挙げてみてください。自分の性格は?自分の身体的特徴は?自分の好きなタイプは?自分の……。さて、何個出ましたか?ノートに書いていっても良いでしょう。スラスラと書けた人は、常日頃から、自分をよく観察できている人です。しかし、なかなか難しいと思います。案外、他人より自分のことの方が、分かっていないんですよね。キャラを売るために、頑張って分析してみてください。あと、ここでは、プラス要素ばかりを書くのではなく、マイナス要素もどんどん書き出してください。マイナス要素の特徴も、自分の売りになるんです!もちろん、先ほど述べたように、自分が触れられたくない要素は書き出さないで結構です。それ以外で、自分の身体的、性格的な特徴などのマイナス要素は、十分売りになるでしょう。現に、「歯が出てる」とか「太り過ぎ」といった、一見マイナス要素と思われる特徴を売りにした芸人さんもたくさんいます。それは、やり方次第ではビジネスの場でも通用します。
コメント