まずは「好かれる聞き方」を身につけよう~話の聞き方・基本の「き」~
人の話を聞くときには、「振り」「質問」「応答」「相づち」「同調」「驚き」「合いの手」「確認」「ペース調整」「笑い」「ボケ」「ツッコミ」「まとめ」など、いろいろなことをしなければなりません。
わかりやすくするために、聞き方の基本形を会話例にしてみました。
AとBのふたりの会話で、Bが「リスナー」です。まずはこの会話例3を読んで、会話の感じをつかんでください。次の項から、会話例にそって基本的な「上手なリスナーになる方法」を説明します。
さらに章の後半では、会話例を変形して、ボケやツッコミを入れる「積極的なリスナーになる方法」を説明します。
《会話例3》A「ところで、君は料理やるの?」B「えっ?ああ、独身のころは自炊してたんで、少しはできますよ」(応答)A「あっそう。僕は最近、カレーづくりにハマっちゃってね」B「いいですねー、カレーですか」(同調)A「うん、土曜に仕込んで、日曜の昼にみんなで食べるんだ」B「すごいじゃないですか!」(驚き)A「いやー、それにしても隠し味っていうのは、奥が深いね」B「ああ、隠し味っていろいろあって、楽しいっていいますよね」(同調・相づち)A「うん、まあ自分でも驚いたのは、胃腸薬だね」B「胃腸薬?」(確認)A「そう、漢方の胃腸薬。あれってね、カレー粉の成分がいっぱい入ってるんだよ」B「えっ、そうなんですか?」(驚き)A「うん、ターメリックとかクローブとかたっぷりでね、よく効くんだこれが」B「へえー、すると香りがたつんでしょうね。いやあ、おいしそうだなー!」(同調)A(……照れ笑い……)B「ほかになにか、いいものありますか?」(質問)A「よくない隠し味だと、味噌かな」B「味噌ですか!」(驚き)A「うん、醤油入れる人いるでしょ。ヘヘッ、あんな感じで入れてみたんだよ」B「うーん、想像つかないなあー」(振り)A「いや、ルーを入れるまではよかったんだよ」B「ちょっと待ってください、まず肉と野菜が入ったスープがあって、味噌汁をつくるみたいに、こう味噌をといて」(確認・ペース調整)A「そう、少しずつね」B「これは上等な味噌汁みたいでおいしかった。そうでしょうね、わかるわかる。で、ルーを入れました」(盛り上げ)A「で、一晩寝かして次の日の昼になった」B「はいはい、待ちに待ったお昼です!すると?」(合いの手)A「ひどいんだよ」B(……大笑い……)A「どうにもならなかったね」B「(大笑い後)いやー、すみません。きっと、すごかったんでしょうね。でも、そうやって料理をつくると、奥さんも喜んでくださるでしょう」(笑い・まとめに入る)A「いや、家内はねえ、『時間とお金かけたらおいしいに決まってるわよ』ってひがむんだよ。でも、子供たちはおいしいって食べてくれるなあ」B「いやー、いいお話ですね、見習わなきゃいけないですね」(まとめ)
ビックリすると好かれます~話に乗って好かれよう~
会話例3のBのセリフのうち、まずは会話の途中にある、「いいですねー、カレーですか」「ああ、隠し味っていろいろあって、楽しいっていいますよね」「いやあ、おいしそうだなー!」といった部分に注目してみましょう。
これらは「同調」や「相づち」と呼ばれます。会話の中に同調や相づちを入れることで、「あなたを受け入れています」「あなたの気持ちがわかります」「あなたの気持ちを想像して、同じ気分になっています」といった意志を示すことができます。
リスナーがこうした意思を示すことで、スピーカーは「この人とは話しやすい、もっと話そう」という気になってくれます。実際、このテクニックは、カウンセリングの世界でも使われています。以前、あるカウンセラーさんとお話をする機会がありました。
いろんな方の悩みを聞き解決するには、まずはクライアントと上手なコミュニケーションをとる必要があるはずです。そこにはきっと、なにか話し方にコツがあるはずだと思い、たずねてみたのです。カウンセラーさんの答えは、こうでした。
「症状の重さにもよりますが、いちばん大切なのは、とにかく相手の話を聞くこと。難しくいえば、受容し共感することです。たとえば悩みのある方が、誰かにそれを話したとします。そのときに、ちょっとおかしいとか、そこを変えろとか、自分の考えを否定されると、だんだん人に話さなくなります。
逆に、自分の話をまっすぐに受け入れてくれて、自分と気持ちを分かち合ってくれる人と出会えれば、とても嬉しいでしょう。だから、受容し共感するのです。
そういう態度で接して信頼関係をつくれないと、どんな意見も聞いてもらえませんから」このように同調や相づちは、信頼関係をつくるうえでも重要なのです。
また、「驚き」を示すことも、同調や相づちと同じように大切です。
たとえば、若くてそれほど高収入だとも思えない友人から突然、「いやー、実はこんど家を建てることになってね」と聞かされたら、おそらく多くの人が驚くでしょう。
しかしこれが「家」ではなく「クルマが古くなったんで、買い換えたんだ」なら、「ふーん」と思う程度かもしれません。
さらに「衣替えにあわせて靴買ったんだ」となると、それに驚いたり関心を寄せる人はもっと少なくなるでしょう。でも相手としては、それが「家」であれ「靴」であれ、自分が「買った」ものに驚きや関心を示してもらえたほうが嬉しいはずです。
というよりも、関心を示してほしいから話題にしているケースが多いのです。これは買い物に限らず、自分の体験談や知識、自分がおもしろいと思っている話に対しても同じです。
だから、ちょっとしたことであっても上手に「驚き」を示し、相手の出してきた話題に「関心がある」姿を見せることが、「聞き上手」になるためには重要なのです。
たとえば先の会話例3でも、Bが会話の途中で同調も驚きも示さなかったなら、Aは「こいつは俺のおもしろさがわからない」「こいつとは馬が合わない」などと感じてしまい、もう話したくないと思ってしまうでしょう。
大切なことは、スピーカーが「楽しく話せた」「この相手と話すと上手く話せるな」「またこの相手と話したい」と思えるようにすることです。
そのためにリスナーとして役立つのが「同調」や「驚き」などの手段なのです。使いすぎると逆効果になりますが、まったく使わないと、スピーカーにとってあなたは「話したい相手」ではなくなってしまいます。
ちょっとしたことですが、好感度があがる技術。ぜひお試しください。
ノンバーバルで伝えよう~ちょっとしたことで印象が変わります~
自動車免許をとりに教習所に行っていたときのことです。交差点の赤信号で停車し、青になったので左右を確認して発車すると、指導員に注意されました。
「ダメだよ、ちゃんと左右を確認して」「えっ?ちゃんと確認しましたよ」あわてて両方の目玉をすばやく左右に動かせて見せた私に、指導員はいいました。
「あのね、見たかどうかじゃなくてね、しっかり首を振って〝私にわかるように〟してくれないと、合格にできないのよ」会話でも同じです。
たとえ相手の話に共感したり驚いても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。気持ちが伝わるように表現する必要があるのです。
ところでコミュニケーション、つまり意志の疎通のしかたにはバーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションのふたつがあります。
バーバルとは「言語的」という意味で、言葉や文字のこと、ノンバーバルとは「非言語的」という意味で、姿勢、表情、視線、ジェスチャー、声の強弱やトーン、テンポなどをさします。
たとえば自分の携帯メールを彼女がのぞき見しているのを発見し、「ちょっと勘弁してよ」というとします。そのとき、笑いながらいうのと、怒った顔でいう、あるいはあきれたような顔でいうのとでは、相手(彼女)が受ける印象はずいぶん違ってきます。
さらに、びっくりしたように高いトーンでいうのと、叩きつけるように強く、または逆に低い声でゆっくりと冷静にいうのでは、やはり印象が変わります。
このように、たとえバーバルな要素(発せられる言葉)は同じでも、ノンバーバルな要素(表情やトーン)によって伝わり方が変わるのです。
実験方法にもよりますが、バーバルよりもノンバーバルな要素のほうが相手に与える影響が強く、なかには全体の90%がノンバーバルで伝えられるとする実験結果さえあります。
距離や表情、視線がポイント~小堺一機のメリハリを見習おう~
よいリスナーになるには、ノンバーバルの部分を上手に表現することが大切です。基本は「笑顔」です。
リスナーとして、スピーカーである相手に興味を持っていること、いまから始まる話題を楽しもうとしていることを、表情で示すのです。
会話例3でも、「いいですねー、カレーですか」のところをニコニコと楽しそうに、少し距離を近づきながらいえば、相手は話したい気持ちが高まります。
しかし、椅子に深々ともたれたまま低い声で、あまり表情も変えずにいったならどうでしょう。きっと相手は話す気をなくすでしょう。
会話は「出だし」がとても大切です。ここではずすと場の空気を修正するのはとても大変です。よい雰囲気で会話を続けるためにも、まずは「笑顔」と「明るい声」を意識することが重要です。会話が始まったら要所要所でうなづいたり「相づち」を打って、「同調」を示します。
会話例3のようにゆっくりと話す相手なら大きく相づちを打つことができますが、人に割り込まれるのが嫌いでハイペースに話を進める相手の場合は素早く相づちを打って同調を示さなくてはならないので、タイミングがより重要になってきます。
また、会話中は相手の目を見ながら聞くのが基本ですが、じっと見るのは疲れますし、それをきらう人もいます。ですから、額から口のあいだあたりを少しずつ動かしながら見て、話のポイントになるところで、しっかり目をあわせるようにするといいでしょう。
自分は照れ屋で、どうしても相手の目を見れないという場合は、目をあわせるふりをして、眉間か鼻の頭のあたりを見ましょう。こうすると、直接視線はあいませんが、相手は「目を見ている」と感じてくれます。相手との距離感も重要です。
話が進むにつれ、体を前に倒したり身を乗り出すなどして相手との距離を近づけていきます。そして驚いたところでうしろにさがります。このときには眉をしっかりあげて「驚き」を示すと同時に、声も大きくします。
距離が近づくと視線をあわせる時間が長くなりますが、驚いたあとにはちょっと考える(想像する)ような態度を見せ、いったん視線をはずして距離をとりなおします。
同様に、笑ったあとも距離の修正、視線はずしを行ないます。こうして会話にリズムをつくります。ここで大切なのは、メリハリをつけることです。
「同調」や「確認」のときは声のボリュームを抑えめにし、表情は笑顔を基本にします。そして「驚き」のときは表情や声を大きくし、驚きがきちんと相手に伝わるようにするのです。表情、同調、驚き、距離感を意識的に使うこと。これが聞き上手・会話上手の基本です。
こうしたノンバーバルな部分の使い方がうまい芸能人はたくさんいますが、その代表として、ここでは小堺一機を例にあげておきましょう。
彼は、少ない言葉で相手の話をしっかり引き出すのが得意です。ノンバーバルによるコミュニケーションを存分に使うことで、相手の「話したい気持ち」を盛り上げているのです。
たとえば、トークショーでの小堺一機を観ていると、相手の話が進むにつれ、楽しそうな表情で、相手に引き込まれていくように顔を近づけていくことがわかります。
そのゆっくりした動きとは対照的に、驚いたときは素早くうしろにさがり、眉を上にあげた「驚き」の表情を客席に見せます。
また、話の節目で背筋をのばしてみたり、おもしろいポイントでは背中を丸めて大きな拍手を入れながら笑ったりします。
このように、動きや表情に、はっきりとしたメリハリをつけるなどの工夫をすることで、「話をしっかり聞いている」ことがわかりやすく相手に伝わります。
そうすると相手も「しっかり聞いてくれるなら、もっと話そう」という気持ちになり、さらに会話を続けてくれるわけです。表情のつくり方や、相手との距離のとり方、アクションなど、参考にするとよいでしょう。
緊張と緩和が話芸の基本~盛り上げてから落として笑いをとる~
動きや表情にメリハリをつけながら聞くだけでも、相手はかなり話しやすくなります。ここにもうひとつ、あるエッセンスを加えると、会話はさらに盛り上がります。
ところであなたは、落語を聞いたことはあるでしょうか。落語は、むかしからある話(原作)を、それぞれの落語家が自分なりに少し脚色して、自分なりの話し方でおもしろさを伝えます。
そのため、話の大筋やオチは同じですが、落語ファンは「あの演目は○○さんがいちばんうまかった」とか「先代の○○師匠の間は何度聞いても最高だ」などといって、同じ話を聞きにいきます。
「何度も聞いて笑えるの?」とたずねたことがあるのですが、「わかっていて笑えるのが芸なんだよ」と答えてくれました。
落語の業界では、話を脚色し、いい間をとりいれることを、「話に緊張と緩和をうむ」というそうです。
ここでひとつ、緊張と緩和のある会話例を見てみましょう。
《会話例4》A「君、そのネクタイいいねえ」B「ほんま?」A「ああ、よう似合うてるよ」B「このあいだな、嫁さんが買うてきてくれてな」A「そうか。どうりで色がええわ」B「まあ、気にいっとんねんけどな」A「おお、柄も君らしいわ」B「たしかに好きな柄やな」A「ほんまに君にぴったりや。……で、何百円?」これは、大阪でよくかわされるタイプの会話です。
Aのセリフに注目してください。
誉めておいて、最後に落としていますね。しかもそこに、盛り上げがあります。この盛り上げが緊張感につながります。
もし、この会話に盛り上げがなく、A「君、そのネクタイいいねえ」B「ほんま?」A「ああ、よう似合うてるよ。で、何百円?」だったなら、あまり笑えません。
「緩和」の前の「緊張」が不充分だからです。オチに向かって少しずつ話を盛り上げることで、「なにがいいたいのだろう」「これからどうなるんだろう」という緊張感が高まります。
そして、オチの直前に間(溜め)をつくると「えっ、なになに?」と緊張感がピークに達します。その直後にオチが来ることで、笑い(納得)という緩和状態になるのです。
島田紳助の表現技術にヒントがあります~もしも紳助が長嶋監督の話をしたら~
緊張と緩和が会話にもたらす効果、感じていただけたでしょうか。もう少し長い例で説明しましょう。
ミスタープロ野球こと長嶋茂雄には楽しいエピソードがいくつもありますが、なかでも有名なもののひとつに「代打淡口」という話があります。
これをもしが話すなら、きっとこんなふうにするでしょう。彼が話している姿を想像しながら読んでみてください。
長嶋監督はすごいな。ぜったいマネできんわ。あのな、俺らがまだ学生のころや。この試合に勝ったら優勝が見えてくる大切な試合があってん。試合は終盤、勝っとんねんけど、もう1点ほしい。さあどうしたろか。あっ打ちよった!ランナー一塁や。よっしゃ、絶対点とったろ。このころ淡口ゆう代打の切り札がおってん。バッターボックス入るとき、こう腰振ってな、小学生みんなマネしとったわ。こいつがまたよう打ちよんねん。
監督は思うた。淡口や!でも打たさん。淡口でヒットエンドランと見せかけて、バントや!これやったらバレん。絶対いける、優勝も決まったようなもんや。一茂まっとれ、うまいもん食わしたる、いったるぞ!監督立ちよった。
(手をあげる)「審判、タイム。(ぐっとかがんでバントの構えをしながら)代打淡口!」(笑い)淡口ぼう然や!(笑い)どうする?俺やったら監督のとこ行って(うつむいて)「ごほっ、監督すみません。調子悪いんで、人間ドック行ってきます」いうわ。(笑い)
実際に島田紳助が長嶋監督のエピソードを話しているところを私は観たことがありませんが、彼ほどの実力があれば、これくらいは膨らませてくるでしょうし、彼ならもっとおもしろい脚色をするでしょう。
話の脚色については次の「スピーカー」の章で説明するとして、ここで島田紳助を例にしたのには理由があります。
それは、彼の話し方を想像しながら読んでいただくと、緊張と緩和というものがわかりやすいからです。彼の話し方、つまり、テンポ、強弱、間といった表現には、高度な技術があります。
もし彼がこの台本を読むとしたら、「淡口や!でも打たさん」あたりをひそひそ話のようにゆっくり語り、そこからテンポをあげて「一茂まっとれ」をやや強くするといった、緩急や強弱をつけるでしょう。
また、オチの直前に絶妙の間をつくり、視聴者の緊張感をピークにして、「代打淡口」で一気に落とすでしょう。これが、緊張から緩和にもっていく方法です。
その後、笑って緩和状態、つまり気がゆるんでいる観客に、「淡口ぼう然や!」と大きな声でもうひとつオチを続け、緩和から緊張にもっていく方法で笑いを重ねます。
そして、気をとりなおして話に入ってきたところに「人間ドック行ってきます」というオチをさらにぶつけ、緊張から緩和という最後の笑いをとります。
これはかなり上級編で、話術の達人・島田紳助だからこそできる構成・展開です。ふつうはオチがひとつで、緊張から緩和の流れで落とすのが無難です。いずれにしろ、緊張から緩和は、話(ストーリー)づくりの基本です。
たとえば、怖い映画に出てくる鮫やホッケーマスクを被った人は、不気味な音楽とともにじわじわと近づいてきます(緊張)。そして、音楽が大きくなって止まると(間)、「キャー!」というシーンになります(緩和)。
また、話づくりではありませんが、みのもんたがクイズ番組で使った「ファイナルアンサー」というセリフも同じです。「ファイナルアンサー」と何度も繰り返しいううちに、だんだん声が大きくなり、間隔も長くなって緊張感を高めてから「正解ー!」で会場を沸かせます。ここにも緊張と緩和の効果が活用されています。
「また話したい」と感じてもらえる聞き方~久本雅美の「盛り上げ方」を盗め~
おもしろい話には「緊張」と「緩和」が必要です。スピーカーに高度な技術があれば自分で「緊張」と「緩和」を持ちこみ話を盛り上げることができますが、そこまで練られた話ができる人はそう多くありません。
そこで、リスナーの側で盛り上げる手伝いをする必要が出てきます。スピーカーと会話をすることで、スピーカーの話に「緊張」と「緩和」を持ちこむわけです。
おもしろい話の基本的なかたちは「話のオチに向かって少しずつ盛り上げ、直前に間をとって落とす」というスタイルです。
これをふまえると会話例3後半のB(リスナー)のセリフの意図が見えてきます。
たとえば、隠し味に漢方薬を使うという話題が一段落したところでBは、「ほかになにか、いいものありますか?」とたずねています。
これは前の話題に関連した「さらなる盛り上げポイント」がないかを探るための質問ですが、これに対しAは、「よくない隠し味だと、味噌かな」ともったいぶって答えました。
こういうときはたいていの場合、意味ありげな表情になっているでしょう。口ぶりや表情の変化からして、なにかありそうです。ここは盛り上げポイントの匂いがします。
しかし、話の内容をリスナーが脚色することはできません。そこで、「うーん、想像つかないなあー」と振って、くわしい状況を聞き出そうとしているのです。
それに対するAの答えは、「いや、ルーを入れるまではよかったんだよ」でしたが、ここで放っておくと「でも味噌入れると、まずかったね」と言葉が続いて、もうオチになってしまいます。
それではおもしろくありません。
ここでリスナーの「盛り上げるテクニック」を使います。
つまり、「ちょっと待ってください、まず肉と野菜が入ったスープがあって、味噌汁をつくるみたいに、こう味噌をといて」と、ジェスチャーもまじえて現場の状況を再現してみせるのです。実はこれ、久本雅美がよく使う方法です。
たとえばゲストがトーク慣れしていない俳優で、エピソードを話し始めて、いきなりオチまでいってしまったような場合。
このときの久本雅美はきっと、こんなふうにたたみかけるでしょう。
その場面をイメージしながら読んでみてください。
「いやいや、ちょっと待ってください、どういうことですか?」「ああ、イルミネーションを見に行ったんですね、それっていつごろですか?」「冬ね、はい。で、夕方になって、イルミネーションが始まった」「ああ、そんなに大がかりだと、人もいっぱい集まったんでしょうねぇ」こうやって、質問によって現場の状況がわかるようにするのです。
すると、スピーカーはその場を思い出して話しやすくなりますし、視聴者もその場の絵が見えるようになり、想像しやすくなるので、よりおもしろく感じてくれます。
その後は、「はいはい、わかります」「うんうん、なんかいいムードですね」「えっ?でどうしたの?」「はい振り向いた」「うん、いった!すると?」と盛り上げて、俳優にもう一度オチをいわせて大笑いする、といった進行をします。
これと同じことを会話例3のBも行なっています。
つまり、いったん話を止めて遅い時間をつくり、そこからテンポがあがるようにする、といったペース調整をしているのです。同時に、盛り上がるように、話の中身を深く聞き出してもいます。そして、オチがきたら、タイミングよく笑います。
これで「話のオチに向かって少しずつ盛り上げ、直前に間をとって落とす」という、おもしろい話の基本形が完成します。リスナーのフォローによって、スピーカーの話に「緊張」と「緩和」が持ちこまれたわけです。
ちなみに笑うタイミングは、たいていのお笑い芸人がお手本になりますが、お笑い芸人以外でうまさに驚かされたのは韓国出身のタレント、ユンソナです。
まだバラエティに出始めたばかりのころ、日本に来て日が浅いのにすごいなと思い、ビデオで確認したことがあります。すると、笑いの直前に、息を吸ってスピーカーと呼吸をあわせているシーンを見つけました。
おそらく、直前の間が意味するものをよく知っていて、そこでリアクションのタイミングを計っているのでしょう。
もちろん話の内容も理解していたでしょうが、楽しんでいることを伝えようとする姿勢にも感心しました。
「笑い」だけでなく「同調」や「驚き」もタイミングが大切です。場合によってはスピーカーと一緒に話をつくるかのように、言葉を入れながらペースをつくってあげます。
すると一体感がでますし、スピーカーはうまく話せたことに満足し、「この相手だとうまく話せるな」「またこの相手と話したい」と思ってくれるようになります。
話の進行方法は2種類あります~まっすぐ引き出したり、曲げて引き戻したり~
放っておいたら簡単に終わってしまいそうな話に「質問」や「同調」などを入れ、ときには「場の再現」でペース配分などもして「緊張」と「緩和」を演出し、「話のオチに向かって少しずつ盛り上げ、直前に間をとって落とす」基本スタイルに持ち込むリスナーの技術、イメージをつかめたでしょうか。
ここまでの「聞き方」は話の内容をストレートに引き出す「基本形」ですが、聞き方には「変形」もあります。その違いを感覚としてつかむには、トーク番組の司会者を比較するとわかりやすいでしょう。
トーク番組にはレギュラーで出演する芸能人のほかに、その回ごとのゲストがいます。ゲストとは「お客様」という意味なので、大切に扱われます。
番組はゲストのお話を中心に構成され、司会者やレギュラー陣は「よいリスナー」であることが主目的となります。ただし、番組ごとに「視聴者から求められていること」は違います。
なので、その番組における「よいリスナー」のあり方も変わってきます。その点も踏まえて、リスナーとスピーカーの比率や進行方法などを調整するのも司会者の役割です。
ここではまず、話の進行方法について見てみましょう。
進行方法には、大きく分けると2つあります。ひとつは「まっすぐ引き出す方法」で、もうひとつは「曲げて引き戻す方法」です。
まっすぐ引き出すとは、会話例3(27ページ)のような進行です。キャッチボールにたとえれば、相手が捕りやすいボールを返す方法です。こういう進行が得意な代表的な司会者というと、黒柳徹子や小堺一機が浮かびます。
曲げて戻すとは、いわゆるボケやツッコミを入れる進行です。キャッチボールでいえば、たまに捕りにくいボールを投げ返して軽いドキドキ感を楽しむような方法です。代表的な例ですと、くりぃむしちゅーの上田晋也や爆笑問題の太田光でしょうか。
小堺一機・黒柳徹子の聞き方~まっすぐ引き出す方法にも個性が出ます~
同じ「まっすぐ引き出す」でも、黒柳徹子と小堺一機では、それぞれの個性が少し違います。たとえば黒柳徹子の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)では、事前にゲストの情報をいろいろ集めています。
初めて登場する新人なら、出身地、両親の職業などの生い立ち、売れるまでにしていたアルバイトや苦労話、売れたきっかけ、趣味あたりを詳しく調査しているのでしょう。
そのデータをもとに黒柳徹子がシナリオを頭に描いて、そこからずれないように話を進行します。そして話題が海外の話やお芝居の舞台、コスプレ系などになると、彼女も自分の話をします。
場合によってはかなり時間をとりますが、彼女のファンである中高齢の女性たちにとって海外、お芝居といった非日常的な話題は楽しいでしょうし、セーラームーンのコスプレをしてみせる黒柳徹子をうらやましくも思うのでしょう。
一方、小堺一機の『ごきげんよう』(フジテレビ系)では、3組のゲストが来て、それぞれサイコロで話題を決めるので、おそらく詳細なデータはないでしょう。
さらに、トーク慣れしていないゲストもよく来るので大変です。そんな状況のなかで小堺一機は、少ない手数でうまく話を引き出し、やわらかい笑いで話をまとめます。会場の客席を見るとおとなしそうな方が多いように感じますが、こういう客層にウケがいいのもうなずけます。
まっすぐ引き出す方法は、正式な場や、相手が目上の場合、あまり面識のない相手に適しています。おもしろくする必要のない話にも応用できるので、リスナーの基本形といえます。
ボケ・ツッコミってどういう意味?(1)~小さな違和感にツッコンデみよう~
一方、曲げて戻す方法は、自分のボケやツッコミで笑いがとれるので、おもしろい話をさらにおもしろくできるというメリットがあります。
ボケ、ツッコミという言葉に明確な定義はありませんが、おおまかにいうと、「ボケとは、ふつうの予想から考えると違和感のある言動をとること」「ツッコミとは、違和感を指摘すること」です。
少し例を使って見てみましょう。たとえばトーク番組で、こんな話をしたゲストがいたとします。
「親バカかもしれないんですけど、うちの娘はホントにいい子でね。娘のいうことはなんでも聞いちゃうし、とっても可愛いがってるんですよ。まだサラリーマンやってたころなんですけど、『誕生日の日には、7時からパーティーやる』って約束したんです。そしたら昼過ぎに急に仕事が入って、あわててすごい勢いでかたづけたんですよ。やっと終わって、プレゼント持って走って駅に行ったら、間に合いそうでね。よかったって思って、ベンチに座ったんです。で、ウトウトってしちゃって、ハッと気づいたら、プレゼントがないんですよ!」
まずはツッコミから考えてみましょう。この話に、会話上手の芸能人たちなら、どんなツッコミを入れるでしょうか。芸能人がしゃべっている姿をイメージしてみてください。
たとえばくりぃむしちゅーの上田晋也なら、「いやー、口ほどにもない可愛いがりようですね!」といった感じでしょうか。彼は難しい言葉のボキャブラリーが豊富で、それを使った皮肉まじりなツッコミが得意です。
いろんな本を読んで知識を貯めているのでしょうが、知識と同時に「使えそうなフレーズ」も貯めていると思います。
これが島田紳助なら、「みなさん、いまA君はウトウトといいました。でもそういうのは、ウトウトとはいいません。爆睡といいます」または、「自分アホやなー。プレゼント持ってたんやろ?持ってたのに盗まれて気づかんかったん?そういうの、親バカいわんねん、バカな親いうねん」といった感じでしょう。
彼は言葉遊びが得意で、言葉を少し変えて違う意味にしたり、表現を誇大にして笑いをとります。
ところで、漫才でツッコミを入れるのは、(1)入れないと話が進行できないから(2)視聴者の代弁者として(3)漫才はフリ・オチ・フォローというかたちが基本だからなどが理由としてあげられます。
(3)のフリとは「盛り上げの部分」、オチは「ボケ」、フォローとは「観客の笑いと同時にツッコミ」の意味です。
これが基本形ですから、ふつうツッコミで大きな笑いはとれません。しかし上田晋也や島田紳助は、あまり笑いがとれそうにないところで、自分のツッコミを使って大笑いをとります。これらは、何度もテレビを観ていればマネることができます。
たとえば上田晋也が「慇懃無礼」とか「いけしゃあしゃあ」といった言葉を使って笑いをとっていたら、それを覚えておいて、よく似たシーンで使えばいいのです。
あるいは島田紳助の考え方をマネて、ヒマなときに「たくさん食べる」→「ギャル曽根くらい食べる」→「冬眠前の熊くらい食べる」というように言葉を置き換える練習をすれば、やがて身につきます。
ボケ・ツッコミってどういう意味?(2)~違和感のある言動をしてみよう~
次に、前項のゲストのトークに対するボケを考えてみます。ツッコミのときと同じように、芸能人をイメージしながら読んでください。
たとえば爆笑問題の太田光なら、「えっ、プレゼント持ってベンチで寝ちゃったんですか?風邪ひいたらどうするんですか!」といった返しになりそうです。
そこに相方の田中裕二が、「そういう問題じゃないだろ!」とツッコミを入れて、太田「せめてマフラーはしてください」田中「だから違うって!」太田「新聞紙巻くと温かいそうですよ」田中「もういいって!」というように進めます。
つまり、話の中で重要ではない課題を探してボケの方向を決め、相方に突っ込まれながらどんどん遠いほうに向かっていく、という方法で笑いをとります。
2つ、3つとボケを重ねるのには技術がいりますが、ひとつめで笑いをとるのは比較的簡単にマネることができます。よく似たシーンになったら、いまなにが重要でないかを考えて、チャンスを待っていればいいのです。
これが上沼恵美子なら、きっとこんなふうにボケるでしょう。
「ああつまり、爆睡してたということですか?こうベンチに寝転んで(寝転ぶ)、毛布かけて(いびきをかくふりをする)」あるいは、「Aさん、ごめんなさい、それウトウト違って爆睡いうんじゃないですか?こうベンチに寝転んで(寝転ぶ)、毛布かけてたんでしょう(いびきをかくふりをする)」こういった感じで、彼女は動きを取り入れたボケが得意です。
ところで前項で、「ボケとは、ふつうの予想から考えると違和感のある言動をとること」「ツッコミとは、違和感を指摘すること」と書きましたが、上沼恵美子風の2つめの回答例は、ツッコミともボケともとれます。
また、爆笑問題の太田光は社会情勢についてよく話しますが、彼の話は「世間の違和感を指摘している」という意味ではツッコミですが、「世間を見る切り口が一般的ではないので、ふつうに予想されない言葉である」という意味ではボケともとれます。
ボケ、ツッコミという言葉はよく使われますが、明確な定義は存在しませんし、これらの例のように、どちらともいえるケースが多々あります。
そして、ボケもツッコミも相手の話に対する意見の一種なので、私は2つを区分せず、「コメント」としてひっくるめています。
コメントの入れ方を考えよう~目的は「おもしろく」と「満足感」~
相手の話に上手にボケたりツッコミを入れる=コメントをつけることは、会話を盛り上げる有効な手段です。
前項までをふまえて、ここで会話例3のAのセリフにコメントをつけてみます。
みなさんがB(リスナー)だったらどうコメントするかを考えながら読んでください。
A「うん、まあ自分でも驚いたのは、胃腸薬だね」これに対し会話例3では単純に「胃腸薬?」と確認しているだけですが、たとえば、「胃腸薬?それって、薬と一緒じゃなきゃ食べられないってことですか?」とか、「あれ?聞き間違いですかねー、いま変な言葉が頭の中で響いてるんですけど」などと返すこともできます。
1つめは自分のコメントで小さな笑いをとりにいくコメント、2つめは笑いをとりにいくのではなく、話を盛り上げようとするコメントです。
A「よくない隠し味だと、味噌かな」これにはどんなコメントができるでしょうか。
たとえば、「すみません、カレーつくってる途中で味噌煮込みうどんに変えたんですか?」とか、「わあー、Aさんはチャレンジャーだなー。カレーに味噌って、インド人もびっくりですね!」といった返しも考えられます。
これも2つめは話を盛り上げにいくコメントです。会話例3のように単純に「味噌ですか!」と驚くだけより、相手をより「話す気」にさせることができます。
このように、考え方次第、やり方次第で、いろいろなところに、いろいろなかたちのコメントを入れることができます。
ただし、「コメントは、話をおもしろくして、かつ、相手の満足感を高めるために入れる」という前提を忘れないようにしてください。
ただおもしろくするだけでなく、スピーカーの満足度を上げることが大切です。それがリスナーとしての礼儀です。ですので、自分で笑いをとりにいって話の腰を折ったあとは、すばやく本筋に戻すようにしましょう。これが、曲げて戻すの原則です。
また、こうしたコメントには「相手の話を茶化す」側面もありますので、まじめな話や相手などに多用するのはふさわしくありません。どこまでコメントを入れるかは、状況を考慮して考えましょう。必要に応じて上手に入れることが、楽しいキャッチボールをするためのコツです。
話をきれいにまとめよう~大きなオチを大切に~
まっすぐに引き出したり、ボケたりツッコミを入れたりして相手の話を盛り上げたあとは、話をまとめることも考えなくてはなりません。
つまり、ひとつの話をきれいに終わらせ、上手に次の話題へと移行させるのも、会話上手なリスナーの大切な技術なのです。
ここでまた会話例3を使って考えてみましょう。
味噌を入れて失敗した話に大笑いしたあと、Bはこういっています。
B「(大笑い後)いやー、すみません。きっと、すごかったんでしょうね。でも、そうやって料理をつくると、奥さんも喜んでくださるでしょう」このセリフは、「きっと、すごかったんでしょうね」という〝コメント〟と、「料理をつくると、奥さんも喜んでくださるでしょう」という〝質問〟の、2つの文でできています。
このうちの後半のセリフには、次の話題を家族にするかどうかという探りと、このテーマはそろそろ終わりですよと相手に匂わせる、という意味があります。ここで注目してほしいのは、前半のセリフです。
この会話の流れならコメントで笑いをとりにもいけるところを、あえて「大笑い」というリアクションを中心にして、短くまとめています。
このように、コメントよりも大笑いを中心にする方法は、明石家さんまや久本雅美など、多くの芸能人が使います。トークの最中にスピーカーが意図してボケたところなら、明石家さんまも久本雅美も、すぐにツッコミを返すでしょう。
しかし、意図的にボケてはいないエピソードがおもしろくて、観客が大笑いするケースもあります。
こういう場合はコメントを入れるより、自分も一緒に大笑いしたほうがゲストの顔が立ちますし、視聴者にもおもしろさが伝わります。
ちなみにこういうケースで明石家さんまは、大笑いしたあと、なおも笑いながら、「ああそうなの。〇〇して、それで□□して、そしたら?」と振って、もう一度オチをいわせて再度大笑い、という方法をとります。
こうすると、さらにゲストの顔が立ちますし、視聴者もつられて笑ってしまいます。ところで、オチがおもしろくない話をされたときは、どうやってまとめればいいのでしょうか。
そのお手本もトーク番組にあります。ゲストの話のオチがおもしろくなかったとき、たとえば小堺一機は、「ハハッ、それは大変でしたね。あの、○○さんていらっしゃるでしょ。あの方がおっしゃってたんですけど……」と、ゲストの持ってきたネタによく似ているけど、ずっとおもしろい話を短く入れます。
こうすると、笑おうと思ったのに笑えなかった視聴者が、笑う(納得する)ことができます。久本雅美の場合は、別の方法で視聴者を納得させます。
たとえばゲストが若手のアイドルで、オチがもうひとつだったときは、「ハハッ、へえー、そうだったの。ねえ、○○ちゃんの胸元セクシーねー。ほら、見て、みんな!ねー!谷間がチラッと見える着こなしもいい!最高!私なんかほら」(と自分の胸を前に突き出し、ポンと叩いて)「どうだ!」さらにほっぺをおもいきり膨らませ、おもしろい表情をする、といった感じです。
動きや表情などで見た目の滑稽さを演出し、視聴者の笑いを引き出すわけです。
このように三者三様の方法がありますが、共通しているのは、大きなオチを大切にしていることと、オチがしっかりしているときは余分なコメントを挟まないことです。
小堺一機や久本雅美のように話し手のオチを手伝うのは難しいでしょうが、大きなオチがきたらタイミングよく笑って、いいところでまとめに入る、といった姿勢は、すぐマネることができます。
話をおもしろくまとめよう~「忘れていたこと」を最後に有効活用~
会話例3に戻りましょう。
Bは最後に、「いやー、いいお話ですね、見習わなきゃいけないですね」というコメントでまとめています。非常にストレートでシンプルなまとめ方です。
もしここで笑いをとりにいくなら、「なるほど、つまり夫婦仲は冷えきっているということですね」と返すこともできるでしょう。
この場合は、そのあとにAに突っ込まれたBが笑いながら謝って、次の話題へ、という流れになるでしょう。もうひとつ、ちょっと凝った返し方もあります。
「そうでしょうね、やっぱりお子さんは喜ぶでしょう。胃腸薬とは知らずに」と返すのです。
実はこれ、芸能人もよく使う方法です。
少し前に話した内容のなかでおもしろかったり気になったことを覚えておいて、相手が忘れてしまっているところにそれをぶつけるというテクニックです。すると相手はハッと思い出して、「こいつ、話がうまいな」と感じながら笑ってくれるというわけです。
ここでひとつ、このテクニックを実際に使っていた芸能人の例を紹介しましょう。
女性お笑いコンビのハリセンボンには、容姿が俳優の角野卓造に似ている近藤春菜に相方の箕輪はるかが「角野さん?」と呼びかけ、近藤が「角野卓造じゃねえよ!」と返して笑いをとるという、お決まりのパターンがあります。
そのハリセンボンが比較的まじめなトーク番組に出演していたときのことです。テーマもまじめなものだったので、とくに笑いも必要ではありません。そのため彼女たちも真剣に会話に加わっていました。そして近藤がよい意見を述べたそのときです。
「ホントそうだよ。正しいよ、角野さん」「角野卓造じゃねえよ!」彼女たちのいつものパターンが、突然きました。
それまでがまじめな話だったので、出演者も観客もみな、それに夢中になり、彼女らのいつものパターンが頭からはずれていたのでしょう。そこに突如いつものパターンが切り込んできたので、観客は大ウケでした。
このように、話しているときは忘れているけれど、話す前はみんなが知っていたことをオチに使うことで、最後を盛り上げてまとめに入ることができるのです。
たとえばトーク番組で、たくさんしゃべったゲストよりも、リスナー役であまり話していないはずの司会者のトークシーンのほうが強く印象に残った、というようなことはありませんか。
それは司会者のコメントのうまさが強く影響しています。とくに、まとめのあたりのコメントにポイントがあります。
つまり、中盤までは少ない手数でまっすぐ引き出しながらリスナーをしていても、終盤にいいコメントを入れてまとめるだけで、キラリと光ることができるのです。
話を連鎖させよう~営業ツールでおなじみの「木戸に……」を使う~
ひとつの話題がうまくまとまったら、そこで話を終えることもできます。しかし時間があまっていたり、もっと会話を続けたいときは、上手に次の話題に移る必要があります。
そのときに役立つのが「木戸ニタチカケセシ衣食住」という呪文。これは会話のつぎ穂といって、営業職の人がよく使う言葉です。
会話がとぎれそうになったり、次の話題を考えるときに、切り口となるテーマの頭文字を並べたものです(次のイラスト参照)。
この切り口と照らし合わせながら、会話例3を見てみましょう。
この会話は「食」を中心テーマに進行していますが、Aは「日曜の昼に〝みんなで〟食べるんだ」のところで「カ」=家族について触れています。
そこで、まとめの部分でBが「奥さんも喜んでくださるでしょう」と家族の話題を再度持ち出し次のテーマの探りを入れたところ、Aも「子供たちはおいしいって食べてくれるなあ」と乗ってきています。
ですから子供にテーマを絞って、B「そういえば亜矢子ちゃん、いま何年生でしたっけ?」などと進むと自然です。
あるいは、もっと大きく「家族の話題」をターゲットに、B「休日はお食事のあと、どんなところに行かれます?」という質問をぶつけるのもいいでしょう。
こうするとAは、たとえば家族とテニスをするといった趣味の話題や、娘が好きなブランドショップの話題など、ひろい選択肢のなかから話したいことを選ぶようになります。
さて、ふたつめのパターンを選んだとして、このあとの会話を少しシミュレーションしてみましょう。
B「休日はお食事のあと、どんなところに行かれます?」A「食事のあと?ああ、料理をしたあとはさすがに疲れてね。ゆっくりするよ」B「ハハッ、そうですよね。僕なんか料理しなくても、いつも寝てばかりですから」A「そりゃだめだよ。僕も料理をしたら肩揉んでもらってゆっくりするけどね。しない日は、みんなでスーパー銭湯に行くことが最近多いかな」B「スーパー銭湯ですか?」A「ああ、家内も娘も好きなんだよ」最初の質問に対して、どこにも行かないという答えが返ってきてしまいました。
これでは新しい話題へとつながりません。しかし、その前の会話から、おそらく「家族との話」はなにかあるはずです。
そこでBは「いつも寝てばかりですから」といったん濁して、次の質問を考える時間を稼ぎました。するとAから「スーパー銭湯に行く」という、おいしそうなネタが提供されました。
ここですべき大切なことは、キーワードからの連想です。
「スーパー銭湯」というキーワードから連想されること、たとえば「風呂」「食事」「休憩室」「往復のドライブ」などを探し、それをキーワードに重ねて、相手に返すのです。
「スーパー銭湯って、いろんなお風呂があって楽しいですよねー」「ああ、銭湯によってお食事メニューが違っておもしろいですよねー」といった具合です。
するとAはきっと「娘がバブル風呂から出てこないらしい」とか「いけすの魚が食べられたり、バイキングをやっている銭湯がある」といった話をしてくれるでしょう。
このように、相手の出したキーワードに関連することをたくさん連想しておき、多角的に振っていけば、ひとつの話題が長くなる、つまり相手が話したい話題でたくさん話をさせてあげることができます。
こうしてスーパー銭湯の話をしてもらい、その話題がひとまとまりしたら、また「木戸に~」を使ってつないでいきます。相手の状況によっては自分がスピーカーになる話も入れます。この一連の流れをスムーズに進めるのが会話上手のポイントです。
質問には役割がある~意図を持たない質問は相手に迷惑です~
ここで、話を進行するために何度か使う「質問」について、少し掘り下げて説明しておきましょう。
質問には主に、(1)次の話題にいくとき、探りを入れて方向を決める(2)話を深く掘り下げるの2つの役割があります。
次の話題に移るとき、その方向を決めるために質問するなら、それまでの話題の中にあったキーワードから連想される言葉を意識しながら質問すると探りやすくなります(前項で説明したとおりです)。
また、話を盛り上げたり、話したいことをなるべく出し切ってもらうために、その背景や場面をわかりやすくしたいときは、5W3H(いつ、どこで、誰が、なにを、何故、どのように、いくらで、いくつ)を意識すると深みが出ます。
このように、質問には「役割」がありますので、意図をもって質問をすべきなのですが、そうなっていないケースも見かけます。たとえば、飲み会で隣どうしに座ったA(男)とB(女)の会話を例にしてみましょう。
《会話例5》A「はじめまして、Aです」B「はじめまして、Bです。Aさんの好きな食べ物はなんですか?」A「僕?うーん、魚系は全般に好きかな」B「へえー、じゃあ嫌いな食べ物は?」A「ブルーチーズは苦手だね」B「へえー、そうですか。最近なにか本読みました?」A「えっ?ちょっと待って。Bさんの食べ物の趣味も聞かせてよ」B「私?私はお肉が好きで、お野菜はいろいろ嫌い。で、なにか本読みました?」
ここまでひどくないにしても、初対面でこういう質問のしかたをして、会話がかみあわない方を見たこと、あなたもあるのではないでしょうか。
なぜこうなるのかというと、(1)相手に興味がない(2)質問も含めて、会話の進行方法を理解していない(3)その話題への対応能力に欠けているといったことが考えられます。
会話の相手に興味を持たない人が、会話上手になれるはずありません。質問を時間つなぎだと思っていたり、話のふくらませ方を理解していない人も、会話上手になれるはずがありません。話題と関係のない、意味のない質問で話を細切れにするのは、会話相手に迷惑です。
会話の進行方法を理解しよう~小堺一機やタモリがうまいワケ~
もし前項の会話例5が、小堺一機とBの会話だったら、どうなるでしょうか。
《会話例6》小堺「はじめまして、小堺です」B「はじめまして、Bです。小堺さんの好きな食べ物はなんですか?」小堺「僕?うーん、魚系は全般に好きかな。Bさんは、どんな食べ物がお好きなんですか?」B「私?私はお肉が好きです」小堺「ほお、お肉ね。お肉にもいろいろありますが?」B「ええ、なんでも好きです」小堺「ハハッ、本当にお好きなんですね。最近とくにおいしいお店とかありました?」B「お店?うーん、どこかなあ」小堺「ほら、焼肉屋さんとか、鍋のお店とか、行かれてません?」B「あっ、このあいだ、すっごいおいしい焼肉屋さんに行ったんですよ!でね…」このように、相手が同じBでも、小堺一機とならうまく会話が成立するでしょう。
つまり、小堺一機のように進行方法を理解しているリスナーは、たいていの相手と会話が成立します。逆に理解していないリスナーは、たいていの相手と成立しません。
また、会話への対応能力に優れた芸能人としてはタモリがあげられます。たとえば番組のトークゲストがマニアックな趣味の話をしてきたとします。
その趣味について自分が詳しくなければ、どこに醍醐味があるのか、どこが難しいのか、基本的な手順、ルールやマナー、ハプニングなどのエピソードなどを、巧みな質問で聞き出します。
逆に知っているときは「あれって○○したとき大変だよね」「□□するときあるでしょ、そういうときはどうしてる?」と質問して会話を掘り下げるのですが、その対応範囲の広さには驚かされます。
これはタモリが、●旺盛な好奇心を持ち、広いジャンルのものに触れるよう心がける●いろいろなものをよく観察して疑問点をみつけ、それを調べる●それらのなかから、もし誰かに話すとしたら、どれがおもしろいのかを考えるといったことを日頃から重ねているからできるのでしょう。
そのうえ彼は、深く話せる得意ジャンルも持っています。なかでも料理というジャンルは多くの人が興味を示す、強い武器になっています。あなたもこれをマネて、多くの人が興味を示しそうな得意ジャンルを、いくつかつくりましょう。衣食住や旅、音楽、映画などがいいでしょう。
そして、その話題を利用した質問パターンや進行方法を考えておき、初対面の相手に自分から質問を切り出すときは毎回同じようにします。
こうすると、自分がリスナーのときも、スピーカーになったときも楽ですし、繰り返すことで出来がよくなります。
自分の会話にダメ出しをしよう~次回の会話を盛り上げるために~
ここまでで「聞き上手」になるポイントを一通りお伝えしました。ひとつでもふたつでも覚えて、ぜひ実際の会話に活用してみましょう。
「聞き上手」を意識して誰かと会話をしたあとは、芸人用語でいう「ダメ出し」を自分で行なうことで、会話上手への道はさらに近づきます。
帰りの電車の中でも寝る前でもいいですから、その日の会話の内容を思いだしてみましょう。
どんな話を、どういう流れでしたか、と記憶をたどっていくと、「あの話はもう少し深く聞きだしてあげたほうがよかった」とか、「あそこのタイミングがずれたので気をつけよう」「最後のコメントが弱かった。もっといいコメントをするとしたら…」など、いろんなことに気づくはずです。
思い出したことや気がついたことは、メモしておきましょう。ポイントは、会話中に出た話題や相手の情報についてだけでなく、相手のクセもメモしておくことです。
たとえば「話に興味がなくなると耳たぶをさわる」とか、「気分がのってくるまでに時間がかかるので、前半はとくに注意」といったことです。このメモを何度も読み返せば、そのときの相手との会話が記憶に残りやすくなります。
そして、次にまた会う前に「おさらい」として使えば、気持ちに余裕を持って相手に会えますし、会話の進行もスムーズにできます。
たとえば、「そろそろサカリのつく時期ですけど、猫のイライザちゃんはどうしてます?」とか、「このあいだ部長から聞いた泣けるお話、あれ、飲みながら思い出しちゃって、またじーんときましたよ」などと会話に入れると、相手はきっと喜びます。
また、「話すこと」を仕事にしているような人は別にして、一般の人の多くは「話のパターン」をそんなにたくさん持ってはいません。
ですから、こうしてその日の会話を思い出し反省することで、次に同じ相手と話すときにコメントなどを入れるタイミングをあわせやすくなります。
じっくり考えて思いついたよいコメントは、同じようなシーンで使うこともできます。もちろん、これらの反省やメモを、日々会話するすべての相手に対して行なうことはできません。ですから、必要な相手だけでいいですし、思いだすだけでもいいです。まずは試してみてください。あなたの余裕も、相手の満足も、必ず向上します。
ここで、まとめです。
テレビを録画し、あなたの好きな司会者の進行方法を、これまでに説明した「聞き上手」のポイントを意識し、確認しながら観ること。
そして自分でも会話の中で実践し、自分なりに「ダメ出し」をすること。これらを、必要なだけ、やってみたいと思うだけでいいので、やってみましょう。楽しみながら続けていけば、必ず大きな成果が生まれます。
会話上手の源泉とは~相手が喜ぶ=嬉しいの気持ち~
「聞き上手」の技術的な解説は一段落したので、今度は気持ち面について見てみましょう。ところで最近、サービス業界では「ホスピタリティ」という言葉をよく使います。
サービスとは奉仕(もてなす)という意味で、ホスピタリティとは歓待(歓んでもてなす)という意味です。
つまりホスピタリティは「自らすすんでもてなす気持ち」なので、サービスとくらべると能動的、献身的な意味あいが強いといえます。また、ホスピタリティとは自分を主体にしない考え方です。
「自分が楽しい=嬉しい」ではなく、「相手が喜んだ=嬉しい」と感じる気持ちです。
会話するときに必要なのは、このホスピタリティ、つまり「相手が喜んでいる姿を見て〝よかった〟と感じる気持ち」です。
この気持ち(相手が喜ぶことが嬉しい)があると、この本でとりあげる会話の目的(双方が楽しい時間をすごす)を果たしやすくなります。
相手を主体に考える「ホスピタリティの気持ち」があれば、「聞く」という役割を大切にするようになりますし、相手の話をまっすぐに受け入れて、共感してあげようともするでしょう。
また、「クルマが古くなったんで、買い換えたんだ」や「衣替えにあわせて靴買ったんだ」といった程度の話にも「驚き」を示し、相手に喜んでもらおうとするようになるでしょう。
会話上手は聞き上手という言葉があります。
これを私なり解釈すると、小堺一機と会話下手なBによる会話例6のように、「聞き上手なら、相手を選ばずよい会話を成立させる」という意味のほかに、「会話上手とは〝相手を楽しませる人〟で、それは〝うまく聞く(相手に楽しく話してもらう)〟ことでも実現できる」という意味もあると思っています。
楽しむ会話に議題はいりません~タイプ別うまく聞けない理由(1)~
相手の話をうまく聞くことができない=「聞き上手になれない」人には、いくつかのタイプがあります。なぜ、うまく聞けないのか、タイプ別に、その理由を見てみましょう。
なお、それぞれのタイプには大きく分けて「自意識が強い」パターンと「自意識が弱い」パターンがありますが、まずは「自意識が強い」パターンから。
●サービス精神が旺盛で、自分が話す=楽しませることだと思っている間違った考え方ではありませんが、相手の話を「聞く」ことも相手を楽しませることだと理解しましょう。
●自分を売り込みたいという意識が強すぎる自分に興味を持ってもらいたいがために、自分のことばかり話しすぎてしまうケースです。
しかし、「自分に興味を持ってもらいたければ、まず相手に興味を持つこと」というのがコミュニケーションの基本。そこを間違えないようにしましょう。
相手に興味を持って、それを示そうとすれば、自然と聞く比率が高くなります。
●闘争心が強すぎる上昇志向が強い人は、人の話を否定的にまとめて、自分の優位性を示そうとしがちです。また、仕事以外の時間に「話題」ではなく「議題」を持ちだすこともよくあり、絶対に勝とうとします。
ところで、4歳の子と7歳の子がプロレスごっこを10回やれば、ふつうは10回とも7歳の子が勝ちます。しかしこれが4歳の子と14歳の子だったなら、10回のうち2~3回は14歳の子が負けてやるでしょう。
つまり人は、相手とのレベルが近いと負けてやりませんが、相手よりずっと強いときは負けてやれるのです。ですから、仕事をはなれたら、そういうゆとりを持ったほうが強く見えますし、人に好かれます。
これは学生、とくに男子にも同じような傾向があります。若いころは回転すしで食べた皿の数でもゲームのスコアでも、なんでも競い合いますが、そういう姿勢が会話にも見られます。
一方、女子は、男子より協調性が強いので、争いを好まない傾向が高いといえます。議論風の会話は同調がしにくいので、好みません。
ですから、男子が会話でぶつかるのはある程度しかたないと思いますが、その場に女子もいるときは、自分から議論をもちかけない、議論をもちかけられたら早く終わるように仕向ける、というようにしたほうが好かれます。
●自分が誤解されることが嫌い
話の途中で同調を求められたとき、「いえ、僕はどちらかというと」「厳密にはやや違いますが、ほぼ僕と同じです」といった返しをする人がいます。正しく自分を理解してほしいからでしょう。
しかし、人は、自分が話しているときに相手から情報をもらっても、あまり詳しく記憶しません。なので、自分がリスナーであるときにそのような返しをしても、相手が正しく理解してくれる可能性はあまりありません。
自分を正しく知ってもらうことは、自分がスピーカーになってからすればいいのです。その点を理解して、リスナーのあいだはリスナーに徹したほうが得策です。
また、こうした返しがいけない理由がもうひとつあります。
たとえば会話例3では、Aの、「ところで、君は料理やるの?」に対し、Bは、「えっ?ああ、独身のころは自炊してたんで、少しはできますよ」「いいですねー、カレーですか」といった返答をしています。
しかし、もしこれが、「いえ、カップヌードルのお湯をわかす以外に料理はしません」「カレーですか、僕もシチューの次に好きです」だったらどうでしょう。きっとAは、話す気が失せてしまうでしょう。
聞き上手とは、相手に楽しく話してもらうことができる人のことです。
そのためにも、リスナーのあいだはむやみに流れを止めたり曲げたりせず、「会話によい流れをつくる」ことに専念したほうが好かれます。
それには、返答するときに「乗る(乗せる)けど、ややあいまい」な言葉を使うクセをつけておくと、誤解されずに、いい流れをつくることができます。
心配しすぎて会話できない?~タイプ別うまく聞けない理由(2)~
「自意識が強い」ために相手の話がうまく聞けない人がいるのとは逆に、「自意識が弱い」ためにうまく聞けない人もいます。どういうタイプの人でしょうか。
●「相手の考えていることと違うかも」と心配で言葉を挟めない私がホステスの会話指導をしていたころに、多くの新人の子からよく聞かされた悩みがあります。
「男心がよくわからないので、自分が思っているのと違う方向に話が進むんじゃないかとか、こういうと嫌われるんじゃないかって心配になって、うまく話せない」といったものです。
(こういう人は、ホステスに向いているとはあまりいえないのですが)そのときの指導の様子を、会話形式で紹介しましょう。
私「話し終わったとき、あなたと違う方向性のことってあります?」新人「ときどきあります」私「つまり、ほとんどは合ってるわけですね。そうでしょう。あなたのように人の気持ちを考えてあげられる方は、言動の変化に敏感ですから、察しがいいんです。せっかくいい力を持っているんですから、思ったとおり言葉にしないともったいないですよ」
新人「でも、なにかいって傷つけたらって思うと、心配で」私「ああ、それは簡単です。おもしろいコメントをいおうとせずに、同調して、驚いて、楽しそうに笑うだけにすればいいんです」新人「お客さんって、それで楽しいんですか?」私「たとえば、お客さんがおもしろい話をするとしますね。そのとき、黙って恥ずかしそうに下を向いて聞かれると、『お金を払って、なんでホステスを楽しませなきゃいけないんだ!』と思ってしまう方もいるんです。
でも、同じ話でも、ニコニコ笑って、驚いたり大笑いしながら聞いてくれたら、コメントなんてなくても満足するのがお客さんなんですよ」新人「私にできますか?」私「あそこのテーブルにいる子を見てください。
あの子は、ずっとニコニコして楽しそうにしてますけど、よく見ると、ほとんどコメントを入れてませんね。でも人気があるでしょ。あの子を頭にイメージして、マネてみてください。すぐに同じようにできますよ」新人「あの、でも、ときどき、話の方向が違うことがあるんですけど」私「それは誰でもあるので、返すパターンを決めておきましょう。たとえば、想像していた結論と違うほうに話がいったら、『えっ?ちょっと待ってください、どういうことですか?ああなるほど、つまりこういうことですね』と整理してあげてください」こんな感じで指導をしていました。
お気づきのように、こういう人はネガティブです。どうすればそれが治るかというと、成功体験を積むのがいちばんです。
ですから、「昨日よりよくできた=成功と思うこと」「自分が○○さんのように楽しそうに会話しているシーンを何度も思い浮かべること」「とにかく言葉にすること」と教えて、実行させていました。
すると、一流ホステスにはなれませんが、二流にはなれる。つまり、一般の方なら上出来、くらいにはなってくれていました。タイプ別の「聞けない理由」、いかがでしたか。
もしあなたにも当てはまるものがあったら、参考にしてください。
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