第4章声力開発トレーニング
声力開発トレーニングの進め方この章では、私が開発した「いい声」レッスン=「声力開発トレーニング」のやり方を紹介していきます。腹式呼吸、正しい口の開き方、発声の仕方など、ここまでで学んだことの実践編です。このトレーニングはオペラ歌手としてのさまざまな学びや体験を通して開発したものですが、声楽家などのプロだけでなく、広く一般の方にもおすすめします。誰にでも実行できるようにプログラムを立てていますので、少しずつ進めてみてください。「声力開発トレーニング」は、次のような順序でおこないます。【1】正しい立ち方のレッスン【2】腹式呼吸のレッスン【3】発声のレッスン【1】正しい立ち方のレッスン豊かな響きを持った「いい声」を出すためには、まず姿勢が肝心です。からだ全体に声を共鳴させる意識を持って、下腹に緊張感を持たせて立つことを心がけてください。【2】腹式呼吸のレッスン何よりもたいせつなのが、この腹式呼吸です。意識して声を出そうとするときは、どうしても胸式呼吸になりがちです。きちんと腹式呼吸をするには、横隔膜を自在に動かすための訓練が必要です。「声力開発トレーニング」では、腹式呼吸が自然にできるように、エクササイズで訓練をしていきます。エクササイズには、6つの準備運動と、3つの基本エクササイズがあります。時間があるときは準備運動から始めてください。時間がないときは3つの基本エクササイズだけでも十分ですので、できるだけ毎日続けるようにしましょう。【3】発声のレッスン正しい発声をしていないと、聞き苦しい声になったり、声帯を傷め声が出なくなる危険性もあります。声帯に負担をかけず、しかも響きのある声にするための発声法を練習しましょう。のちにくわしく述べますが、発声のポイントは2つです。ひとつは、口蓋垂(のどちんこ)を上げること。これはあくびのときのように、口を大きくあけたリラックスした状態です。もうひとつは声帯を下げて十分に振動させること。「声力開発トレーニング」では、この2つのポイントが無理なくできるようになる、4つの「発声レッスン」をご紹介しています。身体を使う、なかでもとくにお腹を動かす「声力開発トレーニング」は、声がよくなることはもちろん、ダイエットにも効果満点です。ぜひ、毎日続けて、いい声とスタイルを手に入れてください。
正しい立ち方のレッスンまずは、基本の正しい立ち方を身につけましょう。きちんと立つことができていないと、第2段階の腹式呼吸がうまくできません。壁に腰をできるだけぴったりとつけて、まっすぐに立ってみましょう。壁に腰をつけて立つと、下腹部に力が入った状態になります。この状態が、声を出すのに正しい立ち方です。腰が壁から大きく浮いてしまう人は、最初、足を少し前に出して壁にもたれるようにして、腰を壁につけて立ってみましょう。それから、腰が離れないようにして、徐々に足を壁につけるようにするとうまくいきます。
発声のポイント①口蓋垂を上げてのどを開く腹式呼吸が無理なくできるようになったら、発声(正しい声の出し方)を練習しましょう。正しい声を出しているときは、次のような状態になっています。・口が大きく開いている・舌根(舌の付け根)は下がっている・口蓋垂(のどちんこ)は上がっている・のどの力、全身の力が抜けて、のびのびとしているなかでもポイントは、「口蓋垂が上がっている」ことです。口蓋垂を上げることによって、のどの奥が大きく開き、自然な響きの声になります。また、長時間しゃべっていても疲れにくくなります。これにとても近いのが、「あくび」をしているような状態です。あくびをするときは、意識していなくても、口が大きく開き、舌根が下がり、頭のてっぺんからつま先まで全身の力が抜けて、のびのびとしています。あくびをしているような状態のときは、いい声、正しい発声をするために必要なことがそろっているのです。発声のレッスン①口蓋垂を上げる練習からの4つの「発声のレッスン」では、口を開けたら自然に口蓋垂が上がることを目標としています。
発声のポイント②声帯を下げて振動させる「いい声」を出すためには、声帯をうまく振動させることが必要です。声帯はのどぼとけの内側にあります。まず、声帯の位置を確かめてみましょう。のどを軽く手で押さえて、口で息を深く吸ってみてください。のどの骨が下がるのがわかりますか?こののどの骨=のどぼとけが下がった状態が、のどに緊張のない理想的な状態です。声を出しているときに、この骨が上がってしまうと、のどが疲れる原因となります。骨が上に上がっているということは、声帯も上がっているということです。声帯が上がると、声を出すときにうまく振動してくれません。そこで無理をして声を出そうと力むので、のどが疲れてしまうのです。これは、声帯の筋肉の血液が滞り、肩こりと同じように声帯がこってしまっている状態です。その状態で無理をして声を出し続けていると、声帯の振動が悪くなり、かすれ声やがらがら声の原因となります。声帯が下がっていれば、力を入れて話さなくても、声帯が振動してくれるため、のどが疲れたり、声がかすれたりすることはありません。声帯の理想的な位置は、自然に口を開けたときより少し下側です。「発声のレッスン」では、のどの骨が上がらなくなる=声帯が上がらなくなることをもうひとつの目標としています。
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