第5章歌のかんたん上達法
40よく通る声を出す41高音を出す42低音を出す43オンチを直す44ビブラートをかける45リズム感を良くする46裏声を出す47ミックスボイス(裏声と地声が混ざった声)を出す48「こぶし」を効かせる49感情を込める50歌を上手に聴かせる51息継ぎのコツ52喉を傷めないためにコラムマイクの使い方と選曲
よく通る声を出す歌う際に、よく通る声を出すとそれだけで迫力が出るものですが、通る声を出すには、喉ではなくお腹から発声する必要があります。ここでは、お腹から通る声を出すためのかんたんなトレーニング方法をご紹介します。まず飲み口が曲がるようになっているストローと綿棒を1本ずつ用意してください。ストローの長い方(飲み口と逆側)をくわえ、短い方に綿棒を差し込みます。そして人差し指の腹をストローの上に持ってきて、フッフッフッフと連続して息を吐いてください。吐く息で綿棒が上に持ち上がり、指の腹にポンポンポンと当たるようにするのです。リズムよく綿棒が指の腹に当たるようになったら、ストローを口から離して「アッアッアッ」と声を出してみましょう。すると、驚くほど大きく通る声が出せるようになっているはずです。これは、お腹から圧縮した空気を出せるようにする練習です。通る声を出すためには、空気をたくさん吐き出すのではなく、少ない空気をいかに勢い良くお腹から出せるかが大事なのです。まとめお腹から圧縮した空気を吐き出そう声を出す瞬間お腹に力が入るように
高音を出すレッスン04でも触れたとおり、声の高さは舌の位置の上下で変えられますが、これは歌うときにも同じです。同じ声量、同じ口の形であっても、舌を上げれば声が高くなり、舌を下げると声が低くなるのです。うまくできない場合は、舌の上下運動をラクに行うためのトレーニング。割りばしを2本縦にして、太い側を奥歯にくわえ、あごを固定した状態で「アーエーアーエーアー」「ンーナッ、ンーナッ、ンーナッ」と発声を繰り返します。すると舌の上下運動をラクにできるようになるはずです。もう1点、日ごろから上唇と鼻の間に割りばしを挟み、「うおうおうお……」と発声する喉のトレーニングも続けましょう。上の前歯2本を見せるように、上唇を鼻に近づけるよう引き上げることで、気道を開いて歌うことができます。なお、高い声で歌う際にはお腹にも力を入れる必要があります。カラダを若干前かがみにするとお腹にぐっと力が入り、声を出すための腹式呼吸がしやすくなるはずです。よく歌手などが体を反らして高い声で叫んでいますが、あれはパフォーマンスの意味もありますので、真似をしても高音が出るわけではありません。まとめ舌と喉のトレーニングを行おうカラダは若干前かがみで歌おう
低音を出す歌う際にきれいな低音を出すには、前を向いてあごをまっすぐにして、口をあくびするときの形にしましょう。そして、舌を下げて「アーアーアー」と声を出してみてください。男性であれば、のど仏がグッと下がるのでわかりやすいはずです。これだけで声量を変えずに声が低くなります。さらに、声をより響かせるには、ラップ(ペットボトルのフタやピンポン玉でも代用できます)を使ったトレーニングが有効です。まずラップをたたんで口のまわりを覆ってください。ペットボトルやピンポン玉であれば、唇でくわえましょう。どちらも空気が抜けてしまわないように口に当てることがポイントです。そのまま「ヴー」と声を出してみましょう。人差し指でラップに触れて、しっかりと震えているなら声が響いている証拠です。もし振動が来ていないなら、喉を開いて振動を感じるまで声を出してみましょう。なお手元に道具がないときには、歌ったり声を出したりする直前に丸めたティッシュを口に当て「アー」と発声して振動を確認するだけでも、その後の声がガラっと変わります。ぜひ試してみましょう。まとめ喉が下がっているのを確認しよう喉が震えていれば響く声が出せる
オンチを直す音程を取るのがうまくない人は、自分自身の声が聞こえていない可能性があります。つまり、歌うときに自分の声を聞き取れれば音程がつかみやすくなるのです。まず、歌を歌うときに片耳をしっかりと手のひらで塞ぎましょう。このまま声を出すと、自分の声がいつもより聞き取りやすくなるはず。これは周囲の音を遮断すると同時に、骨伝導によって自分の声がカラダの内部から響いてくるからです。片耳で自分の声を聞き、もう片方の耳で音楽を聴けば、それだけでいつもよりも正確な音程を取れるはずです。さらに、音程が聞き取れていても、声がきちんと出ていなかったら正確な音で歌えません。うまく音程を調節できない人は、自分の声が上がっているか下がっているかをつかめていないことがあります。そこで指で空中に大きな「8」の字を書いてみてください。8の字の頂点では高い声、そこから8を描くように手を下げ、合わせて低い声を出します。今度は手といっしょに声を上げて……、といった具合に何度か声の上げ下げを繰り返すと、自分の声の高低をつかみやすくなります。まとめ片耳を塞いで自分の声を聞こう手の上げ下げに合わせて声を出そう
ビブラートをかけるビブラートとは、音を伸ばす箇所などで声を効果的に震わせる技術。歌がうまく聞こえる人はうまくビブラートを使っているものです。ここでは、上手にビブラートをかけるコツをご紹介します。まず、500ミリリットルのペットボトルに水を3分の1分ほど入れておきます。そして、ペットボトルの飲み口のあたりをしっかりと持ち、ひじを脇につけて手首を振ってみてください。手首の振りといっしょに「ア〜ア〜ア〜ア〜ア〜」声を出すと、自然に声が震えるはず。声を震わせる感覚に慣れたらペットボトルを持たずに手だけを振るようにし、最後に心の中で手を振るイメージだけを持ち声を出すようにすれば、自由にビブラートをかけられるようになります。なお、歌の中でビブラートをうまく織り交ぜるには、声を震わせる練習のほか、もう1点コツがあります。それは、舌の上げ下げをどれだけ速く切り替えるかということ。舌が上がった状態ではうまくビブラートをかけられないので、ビブラートをかける直前の母音を「ター㋐」と発音したら、なるべく素早く舌を下げるようにしましょう。まとめ心のなかで手を振るイメージで発声ビブラートをかける直前に舌を下げる
リズム感を良くするリズム感は鍛えるのが難しいと思われがちですが、ちょっとした練習やコツでかんたんに正確なリズムを取れるようになります。まずは音や歌を聞きながら足を肩幅に開いて、両足の真ん中に一本の軸を作ります。練習するときにはテープなどで線を引くと良いでしょう。そして、右足に重心を置き、左足で線を踏み越えて両足を揃えます。次に左足を線の左側に移し、すぐ右足を引き寄せて両足を揃えます。これを「いち、に、いち、に」とテンポよく反復横とびのように左右に移動を繰り返すと、正しいリズムになるはずです。このとき、必ず足は肩幅に保ってください。正しいリズムで等間隔の左右移動を続ければ、自然とリズム感が養われます。また、座った状態でリズムを取るには、左手を左膝の20センチほど上に固定し(右手右膝でもかまいません)、右手の手のひらを下に向けて、左膝と左手の間をパチパチと鳴らすように上下させてください。同じ速度で右手を動かすことで、正確なリズムを刻むことができるはずです。左手は常に一定の高さを保てば、手拍子をするよりも安定したリズムになるはずです。まとめカラダの動きとリズムを連動させる一定の速度を保つようにしよう
裏声を出す歌の中で効果的に裏声を出せると、より表情豊かな歌になります。自分の地声よりも高い声を出せると、歌える曲の幅もさらに広がってくるでしょう。裏声をうまく出せないという人は、裏声を出すための喉の使い方を覚えおく必要があります。まず最初に「ウ──」と可能な限り声のトーンを上げていきましょう。これ以上声が高くならない、というところまで来たらいったん呼吸を止めます。そして笛を吹くような感覚で「ヒュー」と喉から空気と一緒に声を出してみましょう。このとき声帯は震わせず、呼吸を押し出すようにすると裏声を出しやすいはずです。うまくできない人は、「ウ──」→息を止める→「ヒュー」→息を吸う→「ウ──」→息を止める→「ヒュー」と繰り返し発声してみると、だんだんと感覚がつかめるようになります。慣れてきたらスピードを上げ、地声と裏声の切り替えを素早くできるようにしていくと、歌の中で裏声を出せるようになります。ただし、無理に高い声を出そうとすると喉を痛めてしまうので、自分の喉の状態と相談しながら負担がかからないよう行ってください。まとめ喉を震わせず笛を吹く感覚で喉に負担がかからないように
ミックスボイス(裏声と地声が混ざった声)を出すミックスボイスとは、かんたんに言えば地声と裏声の中間の声のこと。ミックスボイスを使うと、歌の中で地声から自然に裏声のように高い声を出すことができ、歌もとても上手に聞こえます。ミックスボイスを身につけるには、低い地声と高い裏声を交互に切り替えて出すことから練習します。まずは低い声で「ウッ」と、高い声で「ヒュー」と発音します。「ヒュー」は、裏声を出すのと同じように声帯を震わせずに発音するのがポイント。そして交互に「ウッヒューウッヒュー……」と繰り返しながら、少しずつ声の高さを上げていきます。すると、「ヒュー」の声のところで自然に裏声が出せるはずです。マスターするには地声と裏声を鍛える必要がありますが、何度も行うと、普段の地声では出なかった高音も出せるようになります。うまくいかない場合は、また低い声から声の高さを上げていきましょう。歌の中で瞬間的に高音を出したり、だんだんと声を高くして自然と裏声に切り替えたりと、ミックスボイスを活用する機会は意外に多いもの。ぜひチャレンジしてみてください。まとめ喉を震わせずに「ヒュー」を発音しよう慣れたら素早く切り替えてみよう
「こぶし」を効かせる「こぶし」とは、歌の中で節回しを強調するテクニックのことです。演歌などでは、こぶしが非常に重要な要素ですし、沖縄民謡などもまさにこぶしを効かせた歌い方ですね。また、アーティストにもよりますが、日常的によく聴かれるポップスなどでも頻繁に使われています。さり気なくこぶしを効かせることで、歌に微妙な表情を加えられますので、使いこなしてみましょう。こぶしを効かせるには、歌のなかで母音をつなげることから始めます。たとえば「ら」と伸ばす部分でこぶしを効かせるのなら、「らぁ〜」と発音してみましょう。ふたつの「あ」は、微妙に高さを変えて歌うのがポイントです。また、声を伸ばす箇所で足をぐっと踏み込んでお腹に力を入れると、節回しが強調されより強いこぶしになるはずです。ここで気をつけたいのは、こぶしの強さは一定にするのではなく、歌う曲やジャンルによって変えるということ。ポップスなどの歌い回しは、こぶしより母音をさりげなく滑らかに「回す」ように入れたほうがスマートな印象になりますし、思い切りこぶしを効かせると演歌っぽい印象になります。まとめ母音をふたつつなげて発音しようジャンルによって強さを変えよう
感情を込めるたとえ上手な歌でなくても、感情のこもった歌は人の心を動かすものです。どんなに歌詞が良くても淡々と歌っていては気持は伝わりません。では、「歌に感情を込める」とはどういうことでしょうか?もちろん、本心から歌の心を感じ取るに越したことはありませんが、それはなかなか難しいものです。そこで、ここでは感情が込もったように聴こえるテクニックを身につけましょう。まず大切なのは、歌に表情を感じさせることです。歌に表情を感じさせるには、声の高低と強弱、そして息づかいが求められます。歌の場合は、話すとき以上に声の強弱が必要です。強調する歌詞やサビのところではより大きく、そしてサビ以外では小さく歌うと良いでしょう。多少大げさかなと思っても、歌の場合はそれくらいでちょうど良いのです。母音をいかに小さくから大きく、大きくから小さくを調整するかがキモですので、「あ、え、い、お、う」の発音は大事にしましょう。また、余韻を感じさせたい箇所や悲しさや切なさを歌う箇所では、息を多めに抜いてささやくように歌うと、より感情を感じさせることができます。ちなみに、カラオケでは画面の字を追わないようにしたほうが、感情を込めやすいはずです。まとめ声の高低と強弱を大げさに吐く息の量でも感情を表現できる
歌を上手に聴かせる歌に自信がないからカラオケは嫌い、という人は多いと思います。しかし、たとえ音程が取れなくても、リズム感に自信がなくても、歌、とくにカラオケで上手に聴かせるコツがあります。それは、「始め」と「終わり」だけきちんと聴かせる、ということです。現代の歌の多くは、Aメロ(メロディ)→Bメロ→サビという順番に構成されています。ここで大事なのはAメロの第一声。第一声をしっかりと歌い出せば、まず「おっ」と人をひきつけられます。そしてサビはいちばん盛り上がるところですが、歌い出しを小さくして途中から声量を上げ、振り幅を大きくします。曲の終わりは、音を伸ばす歌であればかなり長く声を伸ばしていく、フェードアウトする曲では息を抜いてささやくように終わらせるのです。これは曲によって使い分けると良いでしょう。歌を聴いている人は多くの場合、1曲をまるまる通して聴き入っているわけではありません。最初と最後だけでも「声を演出」して聴かせると、上手な歌だと思わせられるものなのです。まとめAメロの第一声が勝負曲の終わりは余韻を残そう
息継ぎのコツ歌い慣れていないと、息継ぎのタイミングがなかなかつかめないものです。また、息継ぎのタイミングが合わないと、語尾を伸ばすところで伸ばせなくなってしまうかもしれません。そこで、ここでは歌の途中でうまく息継ぎをするコツを教えましょう。まず息が切れそうになったら、無理に息を吸うのではなく、一気に息を吐いてしまいます。すると自然に必要な空気を口から吸いますので、素早く息継ぎができるはずです。犬が「ハッハッハッ」と呼吸をする様子に似ているので、私は、レッスンでは「ワンワン呼吸」と呼んでいます。「ヒックヒック」と泣くときも同じ呼吸です。また、サビの前や大きな声を出す前には、お腹の風船に空気を入れるイメージで口から大きく息を吸い込み、いったん息を止めます。そのまま発声すると大きな声になりますし、息も長く持つはずです。最後に1点。カラオケで上手に歌うには、画面の歌詞を見続けないことです。画面を見ていると息継ぎのタイミングを逃してしまいがちなので(また、歌に感情を込めるのも難しくなります)、歌詞をぱっと見たら息継ぎのタイミングを自分ではかりながら歌うと良いでしょう。まとめ苦しくなったら「ワンワン呼吸」カラオケでは画面を見続けないこと
喉を痛めないためにいちどに長時間歌ったり無理に高音を出したりしようとすると、喉を痛めてしまう危険があります。喉を痛めないためにも、しっかりとお腹から声を出し、喉に負担をかけない正しい発声法を身につけておきましょう。お腹から声を出すには、きちんと腹式呼吸ができていることが条件。腹式呼吸を使って声を出すには、ラップを使います。やり方はかんたんです。小さく折りたたんだラップで口を覆い、鼻からお腹に空気を入れるように息を吸って「ア〜ア〜ア〜」と声を出すだけ。ラップを口に当てて声を出すには、当然力が必要です。しかし喉の力だけで声を出そうとしてもうまくいかないので、自然とお腹に力が入るのです。鼻から息を吸ってお腹から声を出す感覚がわかったら、ラップは使わずに声を出してかまいません。なお、ラップではなくストローの先を指で息が抜けないように押さえ、呼吸を止めるようにしながらくわえて声を出しても、お腹に力が入るので同じ効果が得られます。ほっぺたがふくらんでしまう場合は、呼吸がうまくできていないということです。まとめ喉から大声を出すと喉を痛めるお腹に力を入れて発声しよう
コラムマイクの使い方と選曲カラオケで歌をうまく聴かせるためには、マイクの使い方にもコツがあります。まずマイクは、顔に向かって45度の角度に保つと良いでしょう。そしてマイクのヘッド部分はつかまないこと。ヘッド部分を持つと声がこもってしまいます。そして、唇とマイクの間は2〜3センチくらいの距離がいちばん声を響かせられるのです。また、声が低くて歌える曲がない、という方もいるかと思います。レッスンではもちろん音域を広げていきますが、地声の高さはみな違いますので、もし高い声の曲を歌うのであれば、無理に声を出そうとせずキーをひとつかふたつ下げて歌うことをオススメします。原曲のキーで歌うのが良いとするヴォイストレーナーの方もいらっしゃいますが、私個人としては、自分の声に合わせてキーを変えても良いと思っています。きちんと出せる範囲の声の高さで歌ったほうが、苦しくないうえにうまく聞こえますし、結果的に歌の練習にもなります。ちなみにカラオケでは、いっしょにカラオケに行くメンバーに合わせて曲を選ぶことが大切です。幅広い年齢層の方と歌うときには、みんなが知っている曲を選ぶのが良いでしょう。誰もが聴きなれた曲を選び、いっしょに歌えたほうが結果的に楽しいですし、自分の株も上がります。
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