鼻の通りをよくすれば、内側からフツフツと「自信」が湧いてくる!この章では、「自信のある声」を手に入れるため、鼻を響かせるエクササイズを紹介していきます。自信のある声は、みな鼻の響きがとても豊かです。体にフォーカスした場合、鼻が十分に響いていないから自信が湧いてこない、とも言えるのです。まず、ストレスの多い生活が続くことで起きる鼻の過緊張を手放し、鼻の通りをよくしましょう。鼻に空気が通りはじめると呼吸がラクになります。また、鼻腔が振動し、鼻を構成している骨(鼻骨、篩骨など)、目の奥にある蝶形骨へと刺激が伝わっていくことで、顔を覆う筋膜全体もゆるんでいきます。おすすめしたいエクササイズは、ヨーガで行なわれている「片鼻呼吸」です。レッスン9片鼻呼吸人差し指で額を、親指と中指で両方の鼻の穴をふさぎます(左右、どちらの手で行なっても構いません)。鼻の左側の指を外し、口を閉じ、左から息を吸いこみます。鼻の左側を閉じ、息を止めたまま5秒数えます。鼻の右側の指を外し、鼻の穴から息を出します。鼻の右側の穴から息を吸い、右側の鼻の穴を閉じます。5秒数えてから鼻の左側の指を外し、息を出します。*~までを5回を目安に、交互にゆっくりと繰り返します。実際に行なってみると、鼻がスッキリし、集中力がアップするうえに、姿勢も自然とよくなっていくのが感じられるはずです。ミントの飴をなめたときにスーッとした空気が鼻を通り、背筋がのびる感覚に近いでしょう。一日一回、ゆっくり「片鼻呼吸」をする習慣をつけてください。鼻の通り具合はその日の体調によって変わってきますから、朝に行なえば、自分の体調を知るバロメーターにもなります。また、就寝前に行なうと鼻の通りがよくなり、呼吸がしやすくなるため、ぐっすり眠れて翌朝の目覚めがとてもさわやかになります。このほか、ライダウンも鼻の通りをよくする効果があり、おすすめです。
嗅覚を磨くことも、鼻の響きをよくする鼻の響きをよくするために、もう一つ大事なのは、意識してにおいを感じること。鼻はにおいを嗅ぐための器官でもありますから、その特性をフルに活用することで鼻の通りがよくなり、より響かせやすくなります。もちろん、ただ鼻をクンクンさせ、においを嗅げばいいわけではありません。同じにおいを嗅ぐ場合でも、体の過緊張がどれくらいとれ、解放されているかによって鼻の開き方は大きく変わってくるからです。私が「鼻瞑想」と名づけた次の方法でにおいを嗅ぐと、瞑想するのと同じ覚醒効果、リラックス効果が得られるでしょう。レッスン10鼻瞑想イスに座った状態で背もたれによりかからず、リラックスします。頭が「前に上に」向かう姿勢(次図参照)をとります。あごをゆるめ、口の中を自由にします。片方の手を胸に当て、下腹の力を抜きます。口を閉じた状態で鼻からゆっくりと息を吸い、周囲の香りを嗅ぎます。の頭が「前に上に」向かう姿勢をとることは、体をのびやかにするうえで大事なポイントです。頭蓋骨は後頭部が重く、後方に落ちやすくなっています。そのため首が過緊張を起こさない姿勢をとるには、前に起こし(次図の①)、なおかつ、上に頭を向かわせる(次図の②)必要があります。
感覚がうまくつかめなくても、「前に上に」と考えるだけで緊張はほぐれやすくなります。ラベンダーやペパーミントの香りや生花などを用意できれば、なおいいですが、これらが身近になければ、いい香りをイメージするだけでも大丈夫です。鼻から吸いこまれたよい香りは、そのまま鼻腔を通ってスーッと鼻を抜ける感覚があります。大事なのは、このスーッと鼻が通る方向にあります。嫌な臭いは鼻の筋肉を緊張させ、呼吸を浅くしてしまいますが、いい香りは鼻から頭頂へと縦方向に抜けていきます。また、肺に抜けていくことで呼吸が通りやすくなります。鼻瞑想で大事なのは、こうしたいい香りを嗅いだときのイメージで脳を優しく刺激していくこと。頭頂にスーッと抜ける感覚がイメージできるようになったら、その香りが後頭部をめぐってそのまま全身へと広がっていく様子をイメージすると、なおいいでしょう。実際、吸いこまれた空気は体のすみずみまで満ちていきます。就寝前にこの鼻瞑想を2~3分行なうだけでも安眠効果が高まり、ぐっすり眠れるようになるでしょう。イライラしたときに行なえば、すぐに落ち着きがとりもどせるでしょう。毎朝、鏡を見て微笑めば、さらに鼻は通る!笑みを浮かべることは、鼻の通りをよくすることにつながります。鼻腔が広がった顔が、ゆったりした自信のある話し方のベースになるのです。「笑みを浮かべると鼻から息が通りやすくなり、気持ちが落ち着いて、自信が湧いてくる」とイメージしながら、毎朝、鏡に向かって次の「微笑みエクササイズ」を行なうこともおすすめです。自然と心に余裕が出てきて、話し方にも反映されます。微笑むと口角が自然と上がります。このわずかな動きでも頭蓋骨の縫合がゆるみ、顔の筋肉がゆるむ効果が得られます。不安や心配事が多いと顔がこわばり、緊張しますが、微笑むことを忘れなければ気持ちは和らぎます。鼻が通りやすくなって、自信もとりもどせるでしょう。いま一世を風靡している人気ソングは、どこが響いている?「心は、体のどこにあると思いますか?」こう質問すると、胸のあたりが思い浮かぶ人が多いかもしれませんね。ところが身体文化に造詣の深い、能楽師の安田登氏によると、明治・大正時代の人たちは、心というと、「お腹」のあたりを指していたそうです。レッスン11微笑みエクササイズ
では、最近の子どもたちはどうでしょうか?驚くことに、「頭」を思い浮かべる子が多いのです。時代とともに心の位置が徐々に上がっていったことになりますが、これは第4章のコラムで解説した「どんな曲がヒットするか?」とも見事に重なります。いまの時代は腹や胸よりも、口や鼻など「顔の前面」を響かせる歌声が多くの人の心を惹きつけているからです。顔の前面を響かせるのは、「自分の声を相手にストレートに届けたい」という思いの現れと言えます。思いをビームのように届ける力強いメッセージソングが生まれた背景も、そこにあるでしょう。鼻を響かせる曲は、聞いているだけで元気が出てくる応援歌的なものが多いのが特徴です。人にパワーを与える曲であるだけに、これを実際に歌うとなると、一定以上の声量が必要になってきます。いきなり歌うと声が枯れてしまうこともあるので、これまで紹介してきたエクササイズで体の過緊張をとり、まず胸を響かせる曲で声を慣らしてからトライするといいでしょう。歌がうまくなることではなく、あくまでも自信のある、豊かな話し方ができるようになることが、この章の目的です。どのくらい鼻が響くようになったのか、チェックするつもりで、次の「鼻」を響かせる練習曲を歌ってみてください。ステップ2「鼻」を響かせる練習曲『バンザイ~好きでよかった~』(歌:ウルフルズ)『負けないで』(歌:ZARD)『TOMORROW』(歌:岡本真夜)『青い珊瑚礁』(歌:松田聖子)『あなたに逢いたくて~MissingYou~』(歌:松田聖子)『また会う日まで』(歌:尾崎紀世彦)『およげ!たいやきくん』(歌:子門真人)『みんな空の下』(歌:絢香)ウルフルズのような男性ボーカルによる曲をはじめ、ZARDの『負けないで』、岡本真夜さんの『TOMORROW』など、一世を風靡したメッセージソングには、鼻を効果的に響かせた曲が多くあります。また、松田聖子さんのように鼻を中心に響かせて、さまざまな名曲を歌い上げてきた女性歌手もいます。松田聖子さんの曲は、アイドル時代の『青い珊瑚礁』も、90年代に大ヒットした『あなたに逢いたくて~MissingYou~』も、曲のテンポは違いますが、鼻の響きを活かしながら歌われています。きっと、そのブレのなさがメッセージ性の強い彼女の歌に反映されているのでしょう。鼻を響かせて歌うことができる人は、基本的に体の芯が強く、自分自身の元気をそのまま聴き手に届けているところがあります。メッセージソングを歌えるだけの資質を備えているから、それが可能なのです。サビで鼻を響かせると、歌に奥ゆきが出る!前章で紹介した『大きな古時計』は、前半が胸の響きが中心で、中盤から鼻の響きも出てきます。前章の図の二重線の部分が該当します。胸の響きが感じられるようになってきたら、こうしたフレーズを歌う際に音量を上げ、鼻の響きを意識してみるといいでしょう。鼻をうまく響かせるヒントは、「ロウソク消し」にあります。たとえば、「おじいさんの~」の「お」の部分を発するとき、ロウソクの火を消すときのフッという強く吐く息が意識できると、横隔膜が動き、聞き手にしっかりメッセージが伝わる、強い声が出やすくなります。なお、前章で胸を響かせる曲として紹介した『見上げてごらん夜の星を』についても、サビの部分は鼻の響きが必要になります。どんな歌でも、歌っていくと「力強く歌う」部分があることに気づくと思います。そこをうまく歌えないときは、鼻がまだうまく響かせられていないと考え、鼻を響かせるエクササイズにとり組むようにしてください。鼻がよく響くようになると、サビで頭頂を響かせるハイトーンの曲も、以前よりもラクに歌えるようになります。歌い方に奥行きが出てきて、歌うことが楽しくなってきます。プロを目指すなら、「頭頂」を響かせるトレーニングが必須ここで、「ひとりカラオケ」の攻略法をいったん整理したいと思います。「体のどこが響きやすいか」を前提にした場合、カラオケでの選曲は次の3つのステップに大きく分けられます。
ステップ1「胸」が響く曲(高い音が少なく、おぼえやすい、歌いやすい)ステップ2「鼻」が響く曲(高い音は少ないが、声量が必要)ステップ3「頭頂」が響く曲(難易度が高く、歌いこなすのは大変)うまく話したり、コミュニケーションを円滑にしたりするだけなら、ステップ2の「鼻」の響きまでマスターすれば十分です。ステップ3「頭頂」の響きは、日常会話で強く求められる響きではありません。音域が上がり、ハイトーンになる分、体の緊張をより解除していかなくてはなりません。本格的に歌を習いたい人に必要なステップです。こうした点をふまえたうえで、声の可能性を知る参考として、ステップ3の名曲も紹介していきましょう。ステップ3「頭頂」を響かせる練習曲『やさしい気持ちで』(歌:Superfly)『さくら』(歌:森山直太朗)『FirstLove』(歌:宇多田ヒカル)『LoveLoveLove』(歌:DREAMSCOMETRUE)『ILoveYou』(歌:尾崎豊)『リンゴ追分』(歌:美空ひばり)『AllinYourMind』(歌:マライア・キャリー)『大きな古時計』(歌:平井堅)『ジュピター』(歌:平原綾香)『もらい泣き』(歌:一青窈)右の曲を見ていくとわかるように、本格派と呼ばれる歌唱力のある歌手は、頭頂を自在に響かせる力を持っています。もちろん、頭頂のほかにも体のいろいろな場所を響かせ、その人なりのハーモニーを生み出していますから、その分、曲調は複雑で、高い音域もあるので歌いこなすのは大変です。ちなみに、『大きな古時計』は、平井堅さんがカバーして話題になりました。彼はこの曲を頭頂を響かせる裏声(ファルセット)を多用して歌っています。この歌い方を本格的に学んでいくには、かなりのテクニックが必要になりますが、少しだけまねはできます。次のイラストにあるように、「大きなのっぽの~」と発する際、声が鼻腔から後頭部へ向かって、細い糸が吸い上げられるように斜めに抜けていくのをイメージするのです。
あくびをするとき「ファ~」と息を吸いこむのにも似た感覚、それが、頭頂を響かせる第一歩になります。胸と鼻をうまく響かせられるようになってきたら、チャレンジしてみるといいでしょう。
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