全体の緊張を解く「VSMメソッド」「ポーカーボイス」を身につけ、その効果を最大限発揮させるために、私がお伝えしている手法を、「V(声)S(身体)M(マインド)メソッド」と呼んでいます。ここまでもお伝えしてきているように、変えるのは声だけではありません。声と身体と心の緊張を解く手法です。私のレッスンには、次のような悩みを抱えている方々が来られます。いつも緊張感を抱えている表情が硬い、表現力がない暗い印象を与えてしまうマイナス思考癖が抜けない頭でっかちで行動できない感情を外に出すのが苦手場を楽しめず、いつもしかめっ面心配や不安にエネルギーが吸い取られて疲れる素直になれず、頑固になる何事も一歩踏み込めず躊躇してしまう慎重になりすぎて、何も始められない声の悩みを抱えて声を変えたいという受講動機で来られる方がほとんどですが、カウンセリングをすると、実は声のことはあくまで顕在化した悩みであって、多くの場合に潜在的な原因としてメンタルの悩みがあることがわかります。それが声の小ささやこもり、極度に緊張が高まってビクビクするという症状として現れる方が8割以上に及びます。こんなトレーニングはすぐにやめるべき!これまでに私のレッスンを受講した生徒さんのうち他のスクールでボイストレーニングを受けた方の割合は1割程度と少ないのに対し、メンタル関連や自己啓発のレッスンを受講された経験のある方は7割以上いらっしゃいます。自分の声の問題はメンタルが原因ではないかと、自覚している方が多いと推察されます。私がボイストレーナーとして活動し始めてから10年が経ちますが、さらにさかのぼると、20年間続けていたプロのテニスインストラクターとして試合中の選手の緊張やビクビクする気持ちをいかに軽減するかというメンタルトレーニングも行っていたので、メンタルトレーナー歴は20年以上になります。メンタルトレーナーとして培ったスキルは、声に悩みのある方に実際とても役に立っています。この経験の中で、特にHSPの方々の苦しさを取り除くために行うトレーニング法として、これはしないほうがいいというものも、数多く見てきました。❶大きな声をとにかく出し続ける練習法大きな声を無理やり出して、身体をたくさん動かし、とにかくハイテンションにして、心を強くさせるトレーニング法があります。実際、このトレーニングは体育会系の風土がある企業などで、今でも行われています。大きな声を出してお互い褒めあったり、ハイタッチをしたり。確かにこのやり方は、その場では気分が良くなり大きな声が出せるようになりますが、短期的にテンションがアップするだけで長続きはしません。一晩寝ると、元の自分に逆戻りしてしまうでしょう。❷過去のトラウマを探る療法ビクビクや不安を抱える原因は、子ども時代のトラウマであるとして、過去をさかのぼって原因を探る療法です。子ども時代のトラウマ経験が、その後の人生に多かれ、少なかれ影響を与えることは間違いありません。問題は、トラウマがあるからうまくいかない、逆にこのトラウマを取り除いたらうまくいくと思い込んでいることです。様々なトラウマ的事象を経験した人の中にも、トラウマに負けないメンタルを持っている人は大勢います。トラウマさえなくなれば、人生はうまくいき、行動できる。そう信じていて、トラウマを外すことが目的になっているセミナーを渡り歩いている人をたくさん見てきました。トラウマの役割とは、あなた自身を守るために発動する警告ブザーに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもありません。そのトラウマの正体を暴き出して、引っ搔き回し、新たな意味づけをしようとする必要はありません。なぜなら、今抱えている問題の解決には直接役に立たないからです。ある生徒さんは、別のセミナーで、過去のトラウマを思い出して、書き出していくというワークをしました。できるだけリアルに思い出して、言葉にして書き出し、話してくださいと指示されたそうです。しかし、そのトラウマ体験をより強固に蘇らせてしまい、ビビリの症状が強くなってしまったといいます。
❸コミュニティ・グループセラピー以前、レッスンにいらっしゃった吃音を抱えるCさん(10代男性)は、後述する、V緊張(声緊張)、S緊張(身体瞬発型緊張)、M緊張(慢性的メンタル緊張)の3種類の緊張の取り方を身につけることで、7年間続いていた重度の吃音がほとんど出なくなりました。それまでは、吃音でも気にせず生きていこうとして、吃音の方々が集まるコミュニティに所属していたとのことでした。もちろん、そのコミュニティにいることで、吃音によるストレスが減って、症状が軽減した方もいらっしゃるでしょう。ですので、全否定するつもりはありません。ただCさんの場合は、吃音を受容されるコミュニティにいることで、逆に吃音が強化されていきました。症状と改善策は人それぞれです。治らないとあきらめて、うまくいっていない人と共に、うまくいかないことに対してお互いを受け入れ、受け入れられる環境の中にいることを選択するのもいいでしょう。ただ、改善した人がいるのであれば、早々にあきらめずに、解決法を試してみることを私なら選択します。❹恐怖を感じる体験をさせて、実は大丈夫だと認識させる療法(暴露療法)この方法も多少の効果を得られる人もいますが、私が見てきた生徒さんは、この方法を試したことで逆に強い恐怖感情を持ってしまったという人がほとんどでした。おすすめしない理由は、脳の仕組みです。脳の仕組み上、恐怖状況を何度か体験するうちに、怖いという感情が薄れていくことにはなりません。逆に恐怖を感じるネガティブな神経細胞をつくり出すことになります。恐怖と不安の強化です。不安を感じないリラックスした環境を整えて、うまくいく体験を繰り返し経験することのほうが、はるかに効果があります。❺無意味なポジティブシンキングマイナスの出来事を無理にプラスの出来事として解釈を変える方法です。例えば、雨が降ったときに、「なんか憂鬱だな。いや!ダメだ!憂鬱だと思ってはいけない。プラス思考だ。ポジティブに考えないといけない。雨が降るからこそ作物は育つ。だから恵みの雨と思おう」というような考え方です。この方法が問題なのは、憂鬱の感情を否定してしまうことです。憂鬱というマイナスの感情が生まれたら、ポジティブな意味づけをすれば、プラスの感情に変わるとどこかで思い込んでいるのです。この思考が癖になってしまうと、何かしら問題が発生するたびに、感情に噓をついて事実を改ざんすることが当たり前になってきます。自分の感情に噓をつくことになるので、いつまでたっても自分を信じることができず、自信はつきません。私が行っているボイストレーニングは、単に、良い声が出せるようになるボイストレーニングではありません。1.姿勢、呼吸などの身体の動かし方・使い方2.脳の中に現れるイメージ3.習慣的に使っている声や言葉・声の高さ・方向性この三つをコントロールすることで、ビビリや不安を軽減し、最終的になくしていくことができるメソッドです。安心、リラックスなど、自分が味わいたい感情を引き出すことができるメソッドでもあります。プレゼンや面接、宴会での挨拶など、人前で話す場合に緊張を軽減させる話し方の型もお伝えします。話すのが苦手な人は、自由に話そうとするよりもむしろ、最初はある程度、型にはめて話をしたほうが細かいことを考えなくてすむので、楽に話せるようになるのです。この後にご紹介する「ポーカーボイス」「ポーカートーク」「ポーカーメンタル」の三つのスキルを身につけることで、HSPや内気、自己否定感や自己評価の低さゆえのコミュニケーション上のつらい症状が、無理なく、改善していきます。
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