第1章仕事で使える声を手に入れる「1分間声トレ」
美声の超基本〜腹式呼吸(1)〈5秒×2回トレ〉手に「はぁ―――」と温かい息を吐くだけで、正しい声に変わる(2)〈25秒×2回トレ〉「シ―――――――――――――」で安定した声をつくる声を出しやすくする簡単ストレッチ(1)〈10秒×3回トレ〉朝イチのプレゼンでも困らない「消防車サイレン」(2)〈15秒×2回トレ〉毎朝の「あ―あっ」が美声をつくる声がよく通り響くための発声(1)〈5秒×2回トレ〉一日中、いい声が出るための「声帯筋トレ」(2)〈1秒×5回トレ〉「アイーン」で口の周りをほぐす(3)〈3秒×5回トレ〉通る声になるための「ボインの法則」(4)〈2秒×5回トレ〉「マーライオン発声」だけでこもらない声に(5)〈2秒×5回トレ〉「パオーンぞうさん」でのどをラクにする(6)〈10秒トレ〉「カラスの鳴き声」でカリスマ声に滑舌や声質をコントロール(1)〈2秒×5回トレ〉大事なビジネストークの前は、「あっかんべぇ」が最高に効く(2)〈2秒×5回トレ〉「酔っ払いカエル」でダントツの美滑舌になる(3)〈5秒×5回トレ〉「だらだりだるだれだろう」で正しい発音に(4)〈5秒×2回トレ〉「ムンクの叫び」トレで落ち着きのある低音をつくる(5)〈0秒トレ〉「にっ!」とするだけで、印象アップの声になる(6)〈5秒トレ〉鼻づまり声の人は、口から思いっきり息を吐く
美声の超基本〜腹式呼吸———〈5秒×2回トレ〉手に「はぁ———」と温かい息を吐くだけで、正しい声に変わるこの章からは、いよいよトレーニングを始めていきます。
まずは、いい声を出すためには欠かせない、基本中の基本である「腹式呼吸」からマスターしましょう。
呼吸には、主に胸の周りの筋肉を使う「胸式呼吸」と、主にお腹の周りの筋肉を使う「腹式呼吸」があります。
私たちはこれらを併用して呼吸していますが、どちらの割合が多くなっているかは人によって違います。
「人によく聞き返される」「声が通らない」と悩んでいる人のほとんどは、胸式寄りの呼吸で発声してしまっています。
反対に、声が通りやすく、ハキハキした印象の人は、腹式寄りの呼吸で発声していることが多いのです。
ではなぜ、胸式呼吸では声が通りにくいのでしょうか。
人間が発声するとき、肺から空気を出し、その空気が声帯にぶつかって声の「もと」をつくっています。
胸式呼吸では、胸部周辺の狭い範囲で空気の出し入れをしているので、肺に多くの空気を入れられません。
そうすると吐く息の量が少なくなってしまうので、息に勢いがなく、声帯の震えが小さくなってしまい、聞き取りにくい声になってしまうのです。
反対に腹式呼吸では、横隔膜が下がり、胸より深く腹まで多くの空気を取り込めます。
吐く息の量が多いために、息を出したときに声帯がよりしっかり振動して、人の耳に聞き取りやすい声が出せるのです。
手のひらに息を吐くだけ。
吸うことは意識しない腹式呼吸のトレーニングの方法にはいろいろありますが、ここでは、最も簡単な方法をご紹介しましょう。
手のひらを口元に持ってくる。
寒さでかじかんだ手を温めるイメージで、「はぁ———」と5秒間、息を吐く。
たったこれだけ。
2回やれば十分です。
この方法で息を吐くと、必ず腹式呼吸ができているはずです。
片手をそのままに、もう片方の手をお腹の上に置いてやってみると、息を吐いたときにお腹が少しだけへこんでいるのがわかるはずです。
ポイントは息を吸うことではなく、吐くことを意識すること。
しっかりと息を吐けば、その反動で自然に息が入ってくるので、吸うことは意識しなくてもいいのです。
場所を問わずいつでもできる方法なので、思い出したときに最低2回練習してみてください。
次第に腹式呼吸が身についてくるはずです。
ついでにもう一つ、簡単なトレーニングを紹介します。
全身の力を抜いて「は———ぁ……」と深くため息をつく方法。
これでも自然と腹式呼吸ができています。
ただ、「ため息は幸せが逃げる」ともいいますので、人前ではあまりやらないほうがいいですね。
美声の超基本〜腹式呼吸———〈25秒×2回トレ〉「—————————————」商談でお客様に向かって説明するときや、プレゼンテーション・会議で発表するときなどに、どうしても早口になってしまう人はいます。
特にコンサルタント業の人や経営者に多いのですが、息つく暇もなく、まくし立てるように早口でしゃべる傾向にあります。
頭に浮かんだことを次々と話そうとしているのに、口が追いついていかず、一つひとつの言葉が不明瞭になったり、語尾が消えてしまったりしている人がよくいます。
それでは相手にとって聞き取りづらいですし、せわしない印象を与えてしまいます。
せっかくいい話をしても、早口のあまり相手に伝わりづらいのではもったいない。
早口で聞き取りにくい声になってしまう一つの原因は、声が安定していないことにあります。
たとえば、アナウンサーが読む天気予報を思い出してください。
「東京地方、明日は晴れてさわやかな空が広がるでしょう」一つひとつの単語にはきちんとイントネーションをつけているものの、声のトーン全体としては大げさな抑揚はなく、最初から最後まで一定の強さに保たれているはずです。
一方、早口で聞こえづらい人は、声のトーンが一定ではありません。
出だしが強く、そこからだんだん弱くなり、語尾は小さくなる。
その繰り返しになっていることが多いようです。
一定の強さで声を出す実際に自分のしゃべりが安定しているかどうか、確かめる方法がありますのでやってみましょう。
腹式呼吸に注意して息を多めに吸う。
「シ—————————————」と息の続く限り声を出す。
これを25秒間、一定の声で続けられたら合格です。
でもほとんどの人は、長くても20秒程度しか続けられなかったり、どんどん声が弱くなっていったりします。
25秒息が続かなかった人は、息を多めに吸って、再度挑戦してみてください。
このとき、胸式呼吸だと肩のあたりに力が入ってしまうので要注意。
あくまでも腹式呼吸でやることが大切です。
最低2回やれば、一定の強さで息を吐く感覚がつかめるはずです。
あとは、その調子を意識しながらしゃべるだけ。
以前よりもずっと聞き取りやすい話し方になっているはずです。
普段どうしても早口になってしまう人、語尾が消えて相手に聞き返される人は、このトレーニングをやってみてください。
声を出しやすくする簡単ストレッチ———〈10秒×3回トレ〉朝イチのプレゼンでも困らない「」寝起きの状態では頭も体もまだ目覚めていないように、声も本調子を出せません。
朝イチで声が出ないのは、声を出す準備ができていないからです。
スポーツをする前に準備運動やストレッチが欠かせないように、声を出す前にも準備運動をしましょう。
そもそも声は、横隔膜や声帯、鼻、口、舌、唇などの複数の器官が連動することでつくられています。
なかでも声帯は粘膜ですが、筋肉そのものです。
声帯は2本の筋からなり、息を吸っているときは開き、呼気を出すときには閉じられています。
肺から出た空気が声帯を振動させることで、声の「もと」となる音がつくられます。
したがって、声帯をきちんと使っておかないと、いざ声を出そうというときに十分に振動せず、相手の聴覚に届きやすい声が出せないのです。
高い声と低い声を両方ストレッチ朝から声帯の筋肉をきちんと動かすための簡単なトレーニングを行いましょう。
題して「消防車サイレン」です。
消防車のサイレンにはいくつかのパターンがありますが、「かんかんかん」と鐘を鳴らさない、「う——」だけのサイレンを思い出せるでしょうか。
低い「う——」から始まって、高い「う——」になり、最後にまた低い「う——」に戻ってくるパターンです。
思い出せない人はインターネットで「効果音消防車サイレン」と検索してみてくださいね。
消防車のサイレンの音のように「う」を「あ」に置き換えて、「あ——————————————」。
(低い声から始めて高い声まで5秒)「あ——————————————」。
(高い声からもとの低い声に戻すまで5秒)と合わせて約10秒がんばりましょう。
5秒で折り返しですね。
これを3回繰り返してください。
高いところでは声が裏返らないように注意してください。
本物のサイレンは低い→高い→低いまで途切れずに音が鳴っていますが、声のトレーニングとしては息を続かせるのが難しいので、途中で息継ぎをして構いません。
トレーニングの最中に、のどのあたりを触ってみてください。
高い声を出すときと低い声を出すときでは、動いている筋肉や振動している箇所が違っているのがわかるはずです。
高い声と低い声では声帯の使う場所が異なるからです。
この「消防車サイレン」のトレーニングをすることで、声帯がストレッチされ、高い声と低い声が、きちんと出るようになります。
慣れてきたら、1オクターブ上と下の声で消防車サイレンの発声をやってみましょう。
より広い音域が出せるようになります。
声を出しやすくする簡単ストレッチ———〈15秒×2回トレ〉毎朝の「あ—あっ」が美声をつくる話す言葉に強弱をつけたり、声の高さを変えたり、あるいはスピードを変化させたりすることを「抑揚」といいます。
話すときに抑揚をつけると、相手を引き込むような魅力ある話し方ができます。
反対に、話し方に抑揚がないと、単調でぶっきらぼうな印象になり、感情が相手に伝わりづらくなってしまいます。
普段の会話において、ことさら抑揚を意識する必要はないのかもしれませんが、日頃から抑揚のない話し方をしている人が、いざプレゼンや商談などの場面で、抑揚のある話し方をしようとしても、なかなかできるものではありません。
体でも、普段使っていない筋肉を突然使おうとしても、なかなか力が発揮できないものですが、声もそれと同じなのです。
いろいろな高さや強さの声を出すには、その声を出すための声帯を鍛えておく必要があります。
声帯のいろいろな部分を動かすための準備運動をしましょう。
幅広い音域を出せるようにする胸の前で両手のひらを合わせて、左右の手をお互いに少し押す。
「あ—あっ、あ—あっ、あ—あっ、あ—あっ、あ—あっ」と同じ音で5秒かけて声を出す。
「あ—あっ」×5回を1セットとして、普通の声、低い声、高い声でそれぞれ1セット×2回ずつ行う。
大事なのは、後半の「あっ」で切れよく発声すること。
このときにグッと声帯が締まりながら振動することで、声帯が鍛えられます。
すぐにできる簡単なトレーニングですから、先程の「消防車サイレン」と続けて朝起きたときにやってみてください。
胸の前で両手を合わせるのは、私がお世話になっている東京医科大学病院耳鼻咽喉科の渡嘉敷亮二先生に教えてもらった方法です。
このポーズを取ることで肩の周りに力が入りにくくなるので、リラックスして腹から声を出すことができます。
渡嘉敷先生によれば、声帯の筋肉も年齢とともに老化するそうです。
声帯が老化すると筋肉が収縮しにくくなり、きちんと締まらなくなって、空気が漏れてしまいます。
声帯の老化によって、高い声が出にくくなったり、声がかすれたりすることにもなります。
いつまでも若々しい声でいるためにも、普段から声帯をなるべく使うようにしましょうね
声がよく通り響くための発声———〈5秒×2回トレ〉一日中、いい声が出るための「」声を出すための基礎的なストレッチに慣れたら、少しステップアップして難しいトレーニングにも挑戦してみましょう。
先程までのストレッチは、高い声や低い声をピンポイントで出せるようになるためのシンプルなストレッチでした。
しかし実際に話すなかでは、高い音から低い音まで、さまざまな音域の声を出したほうが、声の表情は豊かになります。
幅広い音域の声を自由にコントロールできるようになるためのストレッチが、次の方法です。
高い音の「ア」と低い音の「あ」の間を、ぐるぐると円を描きながら行き来するようなイメージを持つ。
「ア———あ———ア———あ———ア———あ———ア———あ———ア———あ———」と5秒で息を出しきる。
先ほど紹介した「消防車サイレン」を短く、サイクルを早くして少なくとも2回やります。
このときにチェックするのはやはり腹式呼吸です。
息を吐いたときに、お腹が5ミリから1センチでもへこんでいれば、腹式呼吸ができている証拠です。
ぐるぐると円を描くイメージに合わせて、頭も上下してしまう人がいますが、頭は動かさないように注意してください。
頭は楽器と同じで音を響かせる場所です。
楽器を上下に振りながら演奏すると音が乱れてしまうのと同じで、頭も固定した状態のほうがいいのです。
また、肩や首などにはなるべく力を入れず、全身が脱力した状態で発声してください。
コツがつかめたら、らせん階段を上がっていくイメージで低い音から高い音まで、また、らせん階段を下がっていくイメージで高い音から低い音まで、声を出すトレーニングをしてみましょう。
途中でのどが痛いと感じるようであれば、基礎がまだできていないと考えられます。
腹式の発声から再度挑戦してください。
声がよく通り響くための発声———〈1秒×5回トレ〉「」顔にはたくさんの筋肉があり、それらを複雑に動かすことでさまざまな表情がつくられています。
顔の表情をつくる筋肉を「表情筋」と呼びますが、この表情筋は発声においても重要な働きをします。
私たちが言葉を発するときには、唇や舌などと一緒に、表情筋も動かしているからです。
表情筋が硬い、つまり顔がこわばった状態だと、口の周りの筋肉がスムーズに動かなくなります。
口が開かなければ、大きな声が出ませんし、一つひとつの言葉を明瞭に発声することもできません。
言葉を滑らかに操れる口にするためには、顔の周りをストレッチして、表情筋を柔らかくしてあげることが大事なのです。
その方法が、志村けんさんのあのポーズ、「アイーン」です。
といっても、手のしぐさまでまねする必要はありません。
まねしてほしいのは顔、特に口の周りです。
頭を上に向けて、あごを前に突き出す。
「アイ—ン」を1秒で5回繰り返す。
「イ」のときに、口を横に引っ張るイメージでやると、首にスジができます。
人に見られると「おかしい人」と思われてしまいますから、誰も見ていないところで、恥ずかしがらずに、思いっきりやってくださいね。
普段しゃべらないと顔も声もこわばる「アイーン」をやりながら、あごの下あたりの首筋を触ってみましょう。
筋が張っているのがおわかりになると思います。
筋肉に負荷がかかっているので、何度か続けてやっていると顔が疲れてくるはず。
すぐに疲れてしまったという人は、普段あまり顔の筋肉を動かしていないのかもしれません。
あまり人と会話しない生活を送っていると、顔の筋肉が硬くなり、表情が乏しくなるばかりか、声が出にくくなります。
特に高齢になって人と接する機会が少ないと、顔の筋肉が次第に衰えてきて、皮膚が垂れ下がる「ブルドッグ顔」になってしまいます。
私はボイストレーナーとして毎日よく声を出していますが、出産したときには1か月ほど仕事を休み、あまり人と話さない時期がありました。
その1か月だけで、明らかに顔がたるんでしまったのです。
声と顔の筋肉は密接に関係しているんだと、あらためて実感させられました。
普段、人と話す機会が多くないという人は、顔がこわばっているはずです。
「アイーン」のポーズをすることで、口の周りが滑らかに動くようになります。
話す前のストレッチのつもりで、何度かこのポーズを繰り返してみてください。
声がよく通り響くための発声———〈3秒×5回トレ〉通る声になるための「」ボイン、と読んであらぬ期待をしてしまった方はスミマセン。
母音・子音のほうのボインです(笑)。
日本語は、「あ・い・う・え・お」の母音と、それ以外の子音によって五十音ができていますよね。
五十音とはいいますが、声を出した後の口の開き方だけを見ると、子音も「あ・い・う・え・お」の形の5種類しかありません。
たとえば、「い」と声に出したときと、「り」と声に出したときでは、口の形は同じです。
「ま」を声に出す瞬間は唇を閉じていますが、声を出した直後は「あ」と同じ形です。
したがって、五十音のどの音を出すにしても、「あ・い・う・え・お」の母音の口の開きがきちんとできていることが大切になるのです。
口の開きができていないと、一つひとつの音が不明瞭になってしまいます。
母音は発音の基本です。
ゴニョゴニョと何をしゃべっているかよくわからない人の口を見てみましょう。
口がほとんど開いていないのがわかるはずです。
反対に政治家やタレントさんなどで、よく声が通る人の口の形を観察してみてください。
例外なく、口が大きく開いているはずです。
口をしっかり大きく開くために、母音を活用します。
口を正しく開けるようになるトレーニングでは、よく通る声になるための母音のトレーニングをしましょう。
「あ・い・う・え・お」ではなく、口の開きが近い順に「い・え・あ・お・う」と3秒かけて声に出し、5セットやります。
鏡を見ながら、まずニコッと笑う。
その顔のまま、歯と歯の間を軽く開けて「い」。
そこから少し縦に開き「え」。
大きく縦に開き「あ」。
今度はすぼめ気味にして「お」。
しっかりすぼめて「う」。
ニコッと笑うのは、口角が上がり、声が少し高くなる効果があるからです。
トレーニングする際は、鏡を見ながら、自分の口の開き具合をチェックしてみてください。
自分では大きく開いているつもりでも、鏡で見てみると意外と開いていないということがあるからです。
また反対に、開きすぎにも注意しましょう。
口を広げすぎると、声が逃げてしまうからです。
しっかりと口を開いて母音が発声できるようになるまで、繰り返しトレーニングしてください。
慣れてきたら、「き・け・か・こ・く」「し・せ・さ・そ・す」と、「あ」から「な」行までの5行分をやりましょう。
余裕があれば、全部をやってみるのもいいですね。
声がよく通り響くための発声———〈2秒×5回トレ〉「」「体は楽器と同じ」と説明しましたが、音が出るメカニズムを知れば、そのことがよくわかります。
たとえばギターなら、弦を弾くことによって振動した音が、ギターの空洞のなかで共鳴し、美しい音色になります。
声もこれと同じで、横隔膜に押し上げられた空気が声帯を振動させて、その音が鼻腔・口腔といった空洞で響き、声になります。
人の体には、咽頭、口腔、鼻腔などの多くの共鳴する空間があります。
頭蓋骨そのものも共鳴する空間です。
美しい声をつくるには、それらの空間で音をいかに響かせるかが大切になるのです。
鼻音で柔らかい声質をつくるさて、このトレーニングは、美しく響く声を出すためのトレーニングです。
美しく響く声とは、こもらない声、遠くまで伝わる声です。
体の内部で行われている発声のメカニズムを、「マーライオン」の動作で再現しながら発声します。
念のためマーライオンについて説明しますと、上半身がライオン、下半身が魚の形をした像のことで、シンガポールの有名な観光スポット。
口から勢いよく水を吐いています。
まっすぐに立ち、左手はお腹の上に置く。
右手で、「空気がお腹から出て、気管を通り、頭に響かせて口からまっすぐに出ていく流れ」(マーライオンが口から水を吐く様子)を表現しながら、「マ—————!」と一連の動作に2秒かけて明るく声を出し、5回繰り返す。
体中に声が響く感じがおわかりになるのではないでしょうか。
なぜ「ま」かというと、五十音のなかでも「マ行」は「鼻音」といって、鼻に響かせて声になる音だからです。
「あ」は鼻に響きません。
試しに鼻をつまんで「ま」と「あ」をそれぞれ声に出してみてください。
「ま」は鼻に響き、「あ」は響いていないことがわかるはずです。
「体中に響かせる」感覚をつかむためには、マ行が最適というわけです。
何回か練習することで、頭に響かせながら声を出す感覚がつかめるようになります。
鼻に響かせると、柔らかく魅力的な声質になります。
声がよく通り響くための発声———〈2秒×5回トレ〉「」人と話すときの第一声で、「のどが詰まる」感じがして、声が出しにくいという経験のある人は多いかもしれません。
特に電話応対など、声を使って仕事をする人にとっては、放っておけない悩みです。
のどが詰まったように感じる理由は、声を発するときに、のどにグッと力を入れるクセがついているからです。
上半身に力が入ると胸式呼吸になってしまい、伸びやかな声が出ません。
声を出す際には全身の力を抜くことが基本です。
「パオーンぞうさん」で力を抜いて声を出す方法を身につけましょう。
体の力を抜いて上体を前に曲げる。
腕や頭はだらんと垂れた状態。
腕を大きく前後にぶらりぶらりと振る(象さんの鼻をイメージ)。
上半身もその反動で前後に少し揺れる。
腕が頭の上に来たときに「パ」、腕を振り下ろしながら「オ〜〜〜ン」と2秒かけて元気よく声に出す。
(5回繰り返す)腕を前に振り上げて、後ろにぶらんと振り下ろすときに、腕の反動をイメージして声を乗せるようにしましょう。
恥ずかしがっていてはトレーニングになりませんから、誰も見ていないところで、思いきってやってくださいね。
「パオーンぞうさん」の動作をすると、どんな人でも上半身に力を入れられない状態になります。
力を抜いて声を出すトレーニングとして最適です。
最初「パ」から始めているのは、「パ」は破裂音で口を大きく開けて発音するので、その勢いを使って声を出すのに適しているからです。
どうしてもコツをつかめない人は、最初はの動作をしながら「お———」と発声してみてください。
力を抜きながら発声する感覚がわかると思います。
「パオーンぞうさん」のトレーニングで、のどの力を抜いて声を出す感覚がわかると、普段の第一声もラクに出せるようになります。
声がよく通り響くための発声———〈10秒トレ〉「」優れた営業成績を収める営業マンや統率力あるマネジャーなど、一流ビジネスパーソンに共通していえるのは、いい声をしているということ。
落ち着いた低音で、響きが素晴らしいというだけでなく、大きい声・小さい声を絶妙に使い分けている人が多いのです。
たとえば商品メリットの説明など、しっかりと理解してもらいたいときは、少し大きめの声で話します。
「この物件は、築年数は少し古いですが手入れが行き届いているので、建物に大きな問題はありません。
それに……」相手の興味を引きたいときは、あえてささやくような小声で。
「ここだけの話、この物件、ある事情があって今だけお買い得になっているんですよ。
じつはね……」このように、声の強弱を上手に使い分けています。
会社でトップを取るようなカリスマ営業マンの声は、まるで音楽のように心地よいもの。
聞いていてうっとりするほどです。
そのような人はおそらく、どんな商材を扱っても優れた成績を残せるのではないかと思います。
吐く息の量で声の大きさを調整するでは、そんなカリスマのように、声の強弱を巧みに操るためのトレーニングを紹介しましょう。
カラスの鳴き声をまねて、大きい声と小さい声で10秒かけて1セット。
「カァ〜〜〜〜カァ〜〜〜〜」(大きい声で5秒)。
「カァ〜〜〜〜カァ〜〜〜〜」(小さい声で5秒)。
これだけです。
本物のカラスのような、よく伸びる声が出せましたか?簡単なようで、意外と難しいと感じたのではないでしょうか。
大事なのは恥ずかしがらずに、大きな声を出すこと。
たとえば、駅のプラットフォームにいて、向こう側のプラットフォームにいる人に声を届かせるくらいのイメージで、思いきって声を出してみてください。
そして小さな声を出すときには、発声の仕方はそのままに、「吐く息の量」を減らしてみてください。
声の大きさは吐く息の量でコントロールできることがわかると思います。
滑舌や声質をコントロール———〈2秒×5回トレ〉大事なビジネストークの前は、「」商談や会議など、大事なビジネストークの場面では、よどみなく流暢に話をしたいもの。
でも緊張のあまり、噛んでしまうことってありますよね。
噛んだからといって相手は意外と気にしないものなので、本人も普通にしていればいいのですが、なかには気にして焦ってしまう人もいます。
余計に緊張してさらに噛み噛みになる……という悪循環にハマってしまうことも。
噛む(言葉に詰まったり、滑らかに言葉が出なかったりすること)、あるいは滑舌が悪くなってしまうのは、口や舌がうまく動いていないことが原因です。
つまり、口や舌を動かす筋肉が硬くなっていて、自分の思い通りになっていないのです。
大事なビジネストークの際に噛まないようにするために、超簡単にできて、かつ効果テキメンなトレーニング方法をご紹介しましょう。
舌の動きが滑らかになるストレッチその前にまず、普通の状態で「らりるれろ」と言ってみてください。
言いにくいですよね。
ラ行は口や舌を細かく動かす音で、さらに連続で発声するとなると難しさが倍増するからです。
ではトレーニングです。
「あっかんべぇ〜〜〜〜〜〜」と思いっきり舌を出し、下方向に2秒かけて伸ばす。
(5回繰り返す)たったこれだけです。
そしてまた先ほどのように「らりるれろ」と言ってみてください。
いかがですか?
さっきよりも簡単に、そしてはっきりと発声できたのではないでしょうか。
舌を伸ばすことで、舌や口の周りがストレッチされたからです。
人と話す前にぜひやってみてください。
噛まずに滑らかにトークができます。
滑舌や声質をコントロール———〈2秒×5回トレ〉「」日本人は舌をたくさん使う「ラ行」の発音が苦手です。
英語の「L」と「R」をうまく使い分けられないのも、日本語にない舌の動きをするからなのでしょう。
英語圏の方が英語を話すときの舌は、おそらく日本人が日本語を話すときの倍くらい動いているはずです。
もともと舌の動きが少ない日本人ですが、歯のかみ合わせが悪かったり、年を取って舌が硬くなったりすると、さらに滑舌が悪くなります。
多くの日本人が苦手としているラ行を明瞭に発声することができれば、ビジネスシーンにおいても相手にとてもいい印象を与えることができます。
読むだけで舌を鍛える舌の動きを鍛えて、美しい滑舌を手に入れるトレーニング方法がこちらです。
先ほどの「あっかんベぇ〜〜」のストレッチを十分にしてから、次の文を読んでください。
カエルの鳴き声をまねて、次の文を2秒かけて5回繰り返す。
「ケロケロケロケロケロケロカエル」。
ラ行を発音するとき、口のなかで舌先は前のほうにあります。
反対にカ行を発音するとき、舌は奥のほうへ引っ込みます。
ラ行とカ行を交互に発音するこの文章は、舌を前後に忙しく動かさなければならないので、とても難しいのです。
難しいだけに、読みこなせるようになれば、ダントツの美滑舌を手に入れられますよ。
つっかえて難しいようなら、少しゆっくりと、2音のうち最初の音にアクセントを置き、「ケロ、ケロ、ケロ、ケロ」と区切りながら読んでみてください。
スムーズに発音できるはずです。
早口言葉のように急いで読む必要はありませんが、あまりにテンポがスローすぎるとトレーニングの意味がなくなってしまいます。
慣れてきたらだんだんとテンポを上げていき、普通にしゃべるスピードで読めるようになるまで練習してください。
また、読んでいる最中に時々お腹を触って、腹式呼吸ができているかどうかをチェックしましょう。
そして、次の文章をつかえることなく読めるようになれば、十分です。
ケロケロケロケロケロケロカエルレロレロレロレロレロレロカエルヨロヨロヨロヨロヨロヨロカエルゲロゲロゲロゲロゲロゲロガエルヘロヘロヘロヘロヘロヘロカエル
滑舌や声質をコントロール———〈5秒×5回トレ〉「」落語などに登場する「べらんめぇ調」の江戸っ子は、「し」と「ひ」の発音が区別できずに、「潮干狩り」が「ひおしがり」になったりしますが、現代にも二つの音を区別して発音することが苦手な人はいます。
たとえば、「ダ行」と「ラ行」が混ざり、「知らない」を「しだない」、「ありがとう」を「あでぃがとう」と発音してしまっている人です。
ダ行の発音とラ行の発音は舌先を置く位置が近いので、きちんと使い分けなければ音が似てしまうのです。
二つの音が完全に混同されている人は少ないのですが、「よく聞いてみると、たまに混ざっている」「微妙に舌っ足らずになっている」というレベルの人なら、たくさんいます。
本人は気づいていないのかもしれませんが、聞いているほうとしては少々違和感があります。
特にビジネスシーンにおいてはいただけません。
タレントの山瀬まみさんのような舌っ足らずなしゃべり方も、テレビタレントとして見ればかわいらしいのですが、ビジネスの現場でやられると非常に幼い印象を受けてしまいます。
「だ」と「ら」が言い分けられるようになる訓練では、ラ行がうまく話せるようになるトレーニング方法をご紹介します。
次の文を5秒で読む。
難度が高いので、フレーズとフレーズの間はしっかり間を取って、5回繰り返す。
「だらだりだるだれだらだりだるだれだらだりだれだろう」。
これを読んで「だ」と「ら」が混ざってしまう人、噛んでしまう人は、普段からダ行とラ行の使い分けができていない可能性があります。
読むのがどうしても難しい場合は、腹式呼吸を意識して、「だ」で強く息を吐きながら声を出すようにしてみてください。
言いやすくなります。
普通に読めるという人も、本人がまちがった発音に気づいていないだけかもしれないので、一度録音してチェックしてみてくださいね。
スラスラと言えるようになるまで繰り返し練習すれば、発音の誤りを解消できます。
滑舌や声質をコントロール———〈5秒×2回トレ〉「」序章でも説明しましたが、男性でも女性でも、低音ボイスは魅力的に聞こえます。
特にビジネスの現場では高音よりも低音のほうが、「落ち着いている」「しっかりしている」という印象を相手に与えることができるので好都合です。
しかし、普段から低音で発声している人は、日本人ではあまりいません。
ボイストレーニングの生徒さんに、「腹式呼吸で、自分が一番出しやすい音を出してみてください」とやってもらうと、ほとんどの人は中くらいから高音までの間の音域を使っています。
普段低音で話していない人が、いざというときに低音で話そうと思っても、うまくできるものではありません。
無理に低音を出そうとして、のどを締めてつぶれたような声になってしまう人もいます。
低音の位置を体で覚える低音がうまく出せない人、地声が高音の人が、低音を出せるようになるトレーニング方法を紹介します。
題して「ムンクの叫び」。
両手を肩幅くらいに広げて上に挙げる。
自分が腹式呼吸で出せる一番高い声で「あ〜〜〜〜」。
声を出しながら手をゆっくり下ろしていき、それにつれて「あ〜〜〜〜」の声も高音から低音に向かってなだらかに音程を下げていく。
途中で「ムンクの叫び」ポーズを通過して、最後は胸に手を持っていく。
このときに最も低い声になるように「あ〜〜〜〜」。
(からまで5秒かけて2回繰り返す)つまり、ずっと「ああああ〜〜〜」と声に出しながら、上から胸まで手を下ろしていき、その動作とともに音程を下げていくということです。
低音を出すときには、吐く息の量が少なくなっていることを確認してください。
このトレーニング方法をきちんと実践できれば、最後の段階で吐く息の量は自然に少なくなり、ふんわりと低音を出すことができているはずです。
また、最後に低音を出しながら、声が胸に響いているかどうかも確認しましょう。
胸に響かせることを意識することで、魅力的な低音ボイスをつくることができます。
このようにして低音を出す位置を体で覚えることで、普段から低音ボイスを使えるようになるのです。
滑舌や声質をコントロール———〈0秒トレ〉「」、ビジネスの現場において、第一印象の大切さを実感することは少なくありません。
たとえば、誰かと初めて対面したとき、「なんだか冷たくてこわそうな人だな」と先入観を持ってしまうと、そのイメージを後々まで引きずってしまい、良好な関係を築くのに時間がかかるということがあります。
反対に、第一印象でポジティブなイメージを持った人とは、スムーズに打ち解けられるということもあるでしょう。
人と会うことが多い営業マンならなおさら、相手にどのような第一印象を与えるか、気を使っている人は多いと思います。
第一印象をよくするためには、見た目はもちろんのこと、声も大事です。
たとえば声の高さは、普段の会話のときは低音ボイスでもいいのですが、初対面のあいさつのときから低音では、少し無愛想な感じがしてしまうかもしれません。
少しトーンを上げて、明るくあいさつをしたほうが、相手にポジティブな印象を持ってもらうことができます。
話し始めの声を明るくする方法はとても簡単です。
一瞬で終わります。
話す前に、まず「にっ!」と笑うこと。
これだけで口角が上がり、口の開きがよくなり、明るい印象の声を出すことができます。
また、笑顔になることで頬骨が上がり、空間が生まれます。
空間ができるということは、音が共鳴しやすくなるということ。
笑顔で話すことは、よく響く声を出すためのテクニックでもあるのです。
ソプラノ歌手を思い浮かべてみてください。
常に頬骨を思いっきり上げた状態で歌っていますよね。
あれも、声を共鳴させるための一つのテクニックなのです。
そして当然、笑顔をつくれば、声だけでなく見た目でもいい印象を与えられます。
「にっ!」を練習するときには、ぜひ鏡の前でやって、笑顔をチェックしてください。
自分では笑顔をつくっているつもりでも、他人が見たらほとんど笑っていないということもあるからです。
笑顔ができていないと、声もこもったり、怒ったりしているように聞こえてしまいます。
人と会うときはまず「にっ!」、これをいつも思い出してください。
滑舌や声質をコントロール———〈5秒トレ〉鼻づまり声の人は、口から思いっきり息を吐く「よく聞き返される」「滑舌が悪い」「声がこもりがち」そんな悩みを持つ人はたくさんいます。
特にアレルギー性の鼻炎や花粉症の方は、鼻づまり声とも相まって、聞き取りにくい声になりがちです。
声がこもる人の特徴として、「声を出すときに鼻にかかりすぎている」という傾向があります。
どういうことか、テストしてみましょう。
指で鼻をつまんで「あいうえお」と言ってみてください。
このとき、鼻が響いていなかったら、それは正しく発声ができている証拠です。
ご安心ください。
反対に、鼻が響いているのを指先に感じたら、発声が鼻にかかりすぎているということ。
正しい発声ができていません。
正しく発声できていない人が鼻づまりになってしまったら大変です。
「ヤバイよヤバイよ」でお馴染みの芸人の出川哲朗さんのような、思いっきり鼻にかかるダミ声になってしまいます。
鼻にかからない声を出すためのポイントは、口からたくさん息を吐くこと。
人にもよりますが、いつもより強く、瞬発力をつけた息を出すと声がクリアになります。
まず鼻をつまむ。
そして腹式呼吸を意識して、口から思いっきり息を吐きながら、「あいうえお」と声に出す。
鼻から指を外し、その発声方法のまま「こんにちは」と言う。
何回かやるうちに、鼻にかからない発声方法をつかめるはずです。
いかがですか?この一連の流れを5秒でやります。
自分でもわかるほど、通りやすい、いい声が出たのではないでしょうか。
鼻炎や花粉症、風邪で鼻が詰まっているときは、まずは耳鼻咽喉科に行くことが大切ですが、それでも鼻づまりはなかなか解消しないもの。
でもこの発声方法を使えば、鼻が詰まっているときでも聞き取りやすい声を出すことができます。
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