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第4章これだけ変わる!電話応対での声と話し方

目次

電話応対での声と話し方の基本1なぜ、多くの人が電話でしゃべるのが苦手なのか?

スマートフォンが急速に普及したことも関係しているのでしょう。最近のビジネスパーソンは通信で人とやり取りするときも、SNSやメールが主体となりつつあります。

実際、ある研究機関が行った調査によると、スマホでよく使う通信機能は電話よりもSNSやメールのほうが上回っていると言います。

その観点から言えば、電話を使う頻度はこれからどんどん減っていくような感じもしますが、ビジネスにおいて需要そのものがなくなるということはまずあり得ません。

ある程度の規模の会社になると受付があり、受付嬢にとって電話は不可欠ですよね。営業する人にとって、電話は大切なビジネスツールですよね。電話がなければ、仕事にならないという人はまだまだたくさんいます。

接客業に携わる人もしかり。

ネットやメールを使わないお客様(とくに高齢者)とやり取りするとき、電話は唯一の通信手段になります。電話がなければ、予約ひとつ承ることができません。

そういったことを併せ考えると、ビジネスの現場でまだまだ電話は使われ続けるということです。ところが、この電話でしゃべるのが苦手という人が実に多いような気がしてなりません。

なかには、電話営業が原因で睡眠障害や神経性胃潰瘍になってしまったという人もいます。そういう人の言い分に耳を傾けると、こんなつぶやきが聞こえてきそうです。

「エッ?エッ?と何度も聞き返される」「電話でしゃべると、口ごもってしまう」「緊張するあまり、言葉が出てこない」「滑舌が悪い(アニメ声みたいだ)と人から言われて以来、自信をなくした」それだけではありません。

リアル(対面)でしゃべるのと違って、電話は見えない相手と話すため、相手の表情・仕草・人柄といったものがわかりません。

面識のある人ならまだしも、電話口の相手が初めて話す人ともなれば、緊張しないほうがおかしいというものです。そのため、どうしても声が小さくなりがちです。

それは相手も同じです。相手もまた電話をかけてくる人の顔が見えないため、大なり小なり緊張します。ましてや電話の内容がセールスだとしたら、警戒心を抱くのは当然のことです。

しかし、心配はいりません。あなたはこれまで最良の声を出すための秘訣を学んできました。最良の声を仕事で生かす方法についても学んできました。電話の応対も同じです。ちょっとしたコツさえマスターすれば、自分らしい最良の声を電話応対でも生かすことができるのです。

電話応対での声と話し方の基本2電話応対は「最初の5秒」が勝負

自分らしい最良の声を電話応対で生かすためには、まず、最初の5秒で勝負が決まることを認識しておく必要があります。

これもプロローグで述べた「ハロー効果」が少なからず関係しています。

人が特定の人物を評価するとき、第一印象がプラス(マイナス)だと、そのほかのことに対してもプラス(マイナス)の評価を抱くようになると言いましたが、電話の声も例外ではありません。

第一印象しだいで(とくに電話営業等の場合)、「とりあえず話を聞いてみよう」、あるいは「早く切りたいな」となるので、とにかく最初の5秒を大切にしてほしいのです。

では、具体的にどういった点に注意を払えばいいかというと、以下の3点を肝に銘じるようにしてください。

1.最良の声を意識してしゃべる

2.常套語の基となる定型文をあらかじめ決めておく

3.開口形と閉口形をうまく使い分けるでは、この3つの注意点についてそれぞれ説明していきます。

1.最良の声を意識してしゃべる

電話口で「□□□□(社名)の○○○○(名前)です」と告げたとき、「エッ?」とか「失礼ですが、もう一度、社名とお名前を……」と言われたことはありませんか。

また、電話の相手からたびたびそう言われることはありませんか。これはあなたの第一声が不明瞭な証拠。

そうならないためには、自分にとっての最良の声を意識しながら、いつもよりもはっきりとしたメリハリのある声でしゃべることが大切になってきます。

最良の声の出し方は第2章で述べた通りです。

顎関節のくぼみの部分を両手の人差し指で押さえ、指が2本分縦に入るくらいに口を開き、下の歯の裏の部分に舌先を軽くつけながら、ハリのある少し大きめの声で「あ」を発する練習をしましたよね。

その声はあなたにとって一番言いやすい声、いくらしゃべっても疲れない声、他人が聞き取りやすい声です。

この声を電話でも生かしてください。

2.常套語の基となる定型文をあらかじめ決めておく最良の声を意識しながらしゃべるといっても、「あのー、○○○○さん(相手の名前)の携帯でよろしいですか。

はじめまして。

わたくし、○○○○と申しますが、あっ、失礼しました。

えーと、□□□□の○○○○と申しますが、あのー、今お時間よろしいですか……」といったように散漫でまとまりのない言い方をすれば、それだけで相手はストレスを感じ、第一印象も悪くなります。

これを防ぐためには、最初に口にする言葉(常套語)を定型文として、あらかじめ決めておくようにしましょう。

いかがですか?こうした常套語の基となる定型文をいくつか用意しておいて、最良の声で話せるように練習しておけば、うろたえたり、焦ることもなく、順序立てて、落ち着いた口調で話すことができるようになります。

3.開口形と閉口形をうまく使い分ける

最初に口にする言葉(常套語)を定型文として決めたら、今度は実際にそれを口にするとき、開口形と閉口形をうまく使い分けることが重要になってきます。

もう一度、おさらいをしておくと、「こんにちは」は「KO」で始まります。最後の母音は開口形兼閉口形の「WA」で終わっています。ということは開口形です。

「はじめまして」はどうでしょう。

開口形兼閉口形の「HA」で始まり、最後の母音は「TE」で終わります。ということは、こちらは閉口形です。もうおわかりですよね。

「こんにちは」と言うときは、やわらかくできるだけゆっくりとした口調でしゃべるようにします。

「はじめまして」と言うときは、相手が目の前にいるかのように、表情筋を使い、口角を上げ、にっこりとした表情で穏やかな口調でしゃべるようにするのです。

また、「今、お時間、よろしいですか?」「人事担当の方はいらっしゃいますか?」と、疑問形で語尾を上げるときも、にっこりとした表情で穏やかな口調でしゃべるようにしましょう。

以上、3つのポイントを紹介しましたが、まさに秒殺。これをマスターしてしまえば、最初の5秒で会話の主導権はあなたが握れるようになります。

電話応対での声と話し方の基本3相手が文字に書き取れるテンポで話す

電話でしゃべっているときに「エッ?」「すみません。もう一度」と聞き返される人には特有の共通点があります。それは早口でしゃべっていることです。

「□□□□の○○○○です。例の新サービスの件ですが、再度、ご説明におうかがいしたいと思いますが、来週の水曜日か木曜日あたりはいかがでしょう。水曜日でしたら午後は2時以降なら空いております。木曜日なら終日空いております」

「そのときに契約書を持参したいと思います。あっ、その前に資料をメールで送らせていただきますが、メールはスマホのほうがよろしいですか?それとも……」

こうしたフレーズを早口でペラペラとまくしたてられようものなら、電話を受ける側は内容も的確に把握できないし、ストレスを感じるだけです。

もし、あなたもそうだとしたら、これからはテンポを落としてしゃべるクセをつけてみてください。ただし、テンポを落とすと言っても、スローすぎるのも考えもの。電話の相手はじれったくなります。

相手がメモ帳などに書き取れるくらいの速さで、力のある声・ハリのある声でしゃべるようにするのです。

また、間を置いて話すことも重要で、そうすることで相手が聞き取りやすくなり、話が伝わりやすくなります。とくに注意を払っていただきたいのは、自分の所属する会社名や名前、あるいは電話番号を口にするときです。

「□□□□の○○○○です。営業部の○○○○課長はいらっしゃいますか」「電話番号は東京03ののです」と言うとき、相手が一発で聞き取れ、紙に書き写せるような速さでしゃべるようにしましょう。

アポイントの日時を決めるときも同じです。

「それでは御社におうかがいする日時ですが、来週の水曜日の午後、金曜日の午前中だとどちらがよろしいですか?」と言うときなどは、二択にして選びやすくすることです。

「水曜日の午後」「金曜日の午前中」の重要部分は、さらにテンポを落としてゆったりとした口調で、なおかつ間を置きながら、若干大きめの声でしゃべるだけでも、相手のストレスはだいぶ軽減され、心に余裕が生まれるようになります。

さらに、アポイントなどの話をするときには事前に、「今、お手元にスケジュールが確認できるものや筆記用具などはございますか?」といった言葉を投げかけ、相手にそれらを準備してもらうように促すと、話はいっそうスムーズにいきます。

会社に電話をするならまだしも携帯に電話をしたら、相手はひょっとして出先かもしれません。手元にスケジュール帳などがないか、あってもすぐに取り出せない状況下にあるかもしれません。

そんな場合でも、相手に準備する時間を与えてあげれば、自分のスケジュールを確認しながら電話を続けることができます。

そうすればアポイントの日時もおのずと決めやすくなります。

これに、ゆったりとした口調の若干大きめの声が加われば、日時なども明瞭に聞き取れるため、お互いのすり合わせもしやすくなるというものです。

要は、相手の立場になって、相手の状況を察しながら、「こうしてくれると助かるだろうな」「こうしてくれるとうれしいだろうな」ということを考えながら、しゃべるようにするのです。

電話応対での声と話し方の基本4電話では相手の声のトーンに合わせる必要がない

相手の立場になって、相手の状況を察しながら、しゃべるようにすると言いましたが、これはいろいろな場面での想定が考えられます。つい最近、私自身、こんなことがありました。

実はこの本を執筆するにあたって、出版社の会議室で編集者の方との打ち合わせを終えて、お茶をしながら雑談をしている最中、私の携帯(スマホ)に1本の電話がかかってきたのです。

どうやら、ある会社からの研修依頼で大変ありがたいお話だったのですが、「今、打ち合わせをしておりまして……」と小声で返答すると、とたんに相手の担当者も小声でしゃべり始めたのです。

しかし、相手に小さい声でしゃべられると、何を言っているのかよく聞き取れません。

とくに携帯(スマホ)の場合、ある程度の音量がないと、機械が音をキャッチしづらくなることもあるので、カサカサという音にしか聞こえなくなります。

仕方がないので「すみません、よく聞こえないので、もう少し、大きな声でしゃべっていただけますか」とお願いし、内容を聞いて、のちほど私から連絡を入れる約束をしていったん電話を切りました。

多くの人が似たような経験をしているのではないでしょうか。相手の携帯に電話をかけたら、あいにく相手は電車の中(会議中)。

そうと知ったとたん、相手に合わせるかのように、急に声のトーンを落とし、小声でヒソヒソとしゃべり始めてしまうものです。これは相手にストレスを与えてしまうだけです。

相手が小声でしゃべるのは、通常の声でしゃべれない状況にあるだけで、あなたが相手の状況に合わせる必要はありません。あなたは対面で話すときよりも大きめのハリのある声でゆったりしゃべればいいのです。

電話応対での声と話し方の基本5相手の置かれている状況を瞬時に判断して声を変える

電話で相手にストレスを与えてしまうという点においては、相手が繁華街や工事現場のような騒々しい場所を歩いているときに、電話を受けたときなども同じです。

あなたも経験があると思いますが、騒々しい場所で携帯電話を受けると、相手の声は聞き取りづらいですよね。

「エッ?何ですか?」「すみません。よく聞こえないんですが……」と相手と押し問答をしてしまう場合があります。そういうときって、イライラしてストレスが溜まりますよね。

そこで、携帯に電話をするときは、相手の置かれている状況を瞬時に察知し、「騒々しい場所にいるようだ」と思ったら、通常よりもハリのある大きめの声でしゃべるようにしてほしいのです。

そう、相手がふだん通りの声でしゃべっても、自分は大きめの声で。ただし、がなり立てるような言い方はダメ。

こういうときも、最良の声を意識し、ハリのある声で、相手が聞こえやすい声のトーンを意識してしゃべるようにしてください。

第3章で、対面で人と会話をするときは、相手の声のトーンに敏感になり、それに合わせてしゃべるようにすると言いましたが、電話での会話は違います。

あなたと相手とでは、いる場所、状況が異なります。

いつ、いかなるときも、そのことに注意を払い、相手が聞き取りやすいように、声のトーン・ボリュームを臨機応変に変えていったほうがいいのです。

それでも、周囲の騒音で意思疎通がままならないようであれば、改めて電話をかけ直す。

こういう気配りも、トップセールスパーソン、できるビジネスパーソンに求められる資質なのです。

電話応対での声と話し方の応用1電話応対が変わるだけで業績も組織も変わる

電話営業で、私が直接指導に関わった事例があります。

以前、ある会社の社長から「電話営業を主体とする営業マンの成績がなかなか上がらない。

どうしたらいいか」という相談を受けたことがありました。

そこで私はその社長に、「企業研修を通して、自分らしくもっと楽しく仕事ができるように、まずは声の状態を変えて、心と声の状態を一致させて、ワクワク感を持って電話営業ができるように変えてみてはどうでしょう」という提案をしました。

具体的に言うと、この章でここまで述べてきたこと、これから述べることを、営業の方に懇切丁寧にレクチャーすることにしたのです。

すると、効果てき面。

研修を終えた翌日から社員の意識も変わったようで、電話受注をどんどん取ってきてくれるようになったと、後日社長からうれしい報告を電話でいただきました。

さらに、社員1人ひとりの表情もどんどん明るくなり、私が会社を訪問するたびに全員が立ち上がり、笑顔で「いらっしゃいませ」と大きなハリのある声で挨拶をしてくれるようになったのです。

業績がどんどん上がると、組織自体もどんどん活性化していくことを体感した私は、1人でも多くの方にちょっとしたことを変えるだけで仕事ぶりも良い方向に変わっていくことをお伝えしたいと、さらに強く思うようにもなってきています。

そこでここからは、さらに細かくシチュエーション別に声と話し方について述べていきたいと思います。

電話応対での声と話し方の応用2留守電に用件を入れるときはいったん鼻呼吸をする

ごくたまにですが、私は留守番電話のメッセージを再生すると、ものすごくストレスを感じることがあります。それはモゴモゴとした発声で、用件もダラダラとまとまりなくしゃべるため、聞き取りづらいからにほかなりません。

「□□中学校の○○○○です(ここまでは何とか聞き取り可能)。次回、合唱の指導をしていただく日時ですが??????……。1時間遅めに??????……。それでよろしいですか。それから??????」

そう「?」が多すぎるのです。何を言っているのか、留守電の用件が的確に把握できないのです。いや、私の携帯の収録時間は決まっているので、まだマシなほう。時間制限のない留守電でこれをやられたらたまったものではありません。

「?」の連続で、それこそ相手にストレスをかけることになり、マイナスの印象を抱かれてしまいます。

そうならないためには、ピーッと鳴ると同時に、鼻呼吸をしてから、落ち着いてゆっくりとはっきりした口調でしゃべることが大切になってきます。

その際のポイントは、自分の会社名、自分の名前、そして用件を手短に話すこと。

たとえば、次のようにです。どうです。これなら、たとえ20秒という制限時間があっても、余裕を持ってしゃべれますよね。

相手も「なるほど、こういう用件で連絡をくれたんだな」と瞬時にメッセージの内容が確認・把握できます。とくに用件はコンパクトであればあるほどベターです。

新商品のリーフレットの納期が早まろうが、少し遅れようが、そんなことは二の次でいいのです。相手に「納期の件だな」ということが伝わればそれでいいのです。

つまり、留守電のメッセージを再生したとき、相手にストレスを感じさせないことが、声と話し方の最大のコツなのです。

電話応対での声と話し方の応用3電話で要件をお願いするときはキーワードに注意

「先日、見積書を提出させていただきましたが、あの予算でご検討していただけますでしょうか」「先日、新しいサービス案内のリーフレットをお持ちしましたが、前向きにご検討していただけましたでしょうか」このように催促を兼ねて、電話で何かとお願いすることも多々あると思います。

そういうとき、あなたは「大丈夫かなぁ」「相手が難色を示したらどうしよう」と考えながら、しゃべってはいませんか。

しかし、それだと不安感が声にも現れ、オドオドした口調で小さな声になってしまいます。そのせいでうまくいく話もうまくいかなくなってしまう……なんていうこともあります。そこで電話でお願いするときこそ、最良の声を生かすように心がけてほしいのです。

その場合、まず、ゆっくりとやわらかい口調でしゃべり、語尾はなるべく上げることを意識しましょう。

「いただけましたでしょうか」の「か」を発するとき、いかにもお願いしているというニュアンスを醸し出すようにするのです。

もう1つは、大事なキーワードはややトーンを高くして、大きめの声でしゃべること。先の例文で言うと、太文字の箇所を強めに発するようにするのです。

すると、「あの予算」「前向きに」「ご検討」というあなたの発したフレーズが強く印象に残り、相手もあなたと真剣に向き合わざるを得なくなります。

これだけのことでも、自分のペースに引き込めるようになり、最良の結果に向かって、次のステップへと話が進められるようになるはずです。

電話応対での声と話し方の応用4アポイントを取るときはキーワードを二者択一にする

大事なキーワードはややトーンを高くして、大きめの声でしゃべる。このテクニックは電話でアポイントを取りつけるときにも応用できます。

ただし、「来週の水曜日はいかがです?」「ご都合が悪いですか?では、木曜日はどうです?」「木曜日もダメですか……。

金曜日は自分も予定が詰まっているので、それならば来週の月曜日はいかがでしょう?」「エッ?月曜日もダメですか?では、翌日の火曜日は?」という話の進め方はダメ。

曜日という大事なキーワードを大きめの声で口にしても、会話の主導権は曜日が指定できる相手にあるからです。しかし、話し方しだいで会話の主導権を自分が握れる裏技があります。

それは、相手に二者択一を提案し、その部分のキーワードを大きめの声でしゃべることです。このように、二者択一を提案しながら、どんどん絞り込んでいけば、会話の主導権は完全に自分に移行。

基本的に相手は「あっちではなくこっち」で返答せざるを得なくなります。同時に、相手にとっても自分にとっても、頭の整理がつくため、冷静になってスケジュールの確認がしやすくなります。

ただし、「どっちにするんだ」といったような迫るような言い方、問い詰めるような言い方はダメ。それだと逆効果となり、かえって相手は引いてしまいます。

したがって、基本はゆっくりとやわらかい口調でしゃべり、二者択一のキーワードの部分だけ、ややトーンを高くして、明るく大きめの声でしゃべるようにしてください。

そうすれば、あれほど「アポイントが取れない」といって悩んでいた状況が自分でもびっくりするくらい好転していくようになるでしょう。

電話応対での声と話し方の応用5お礼を言うときはキーワードを丁寧に発声する

「取引先の担当者からお歳暮(お中元)を頂戴した」「勉強会で知り合ったAさんがキーマンとなるBさんを紹介してくれた」SNSやメールが急速に普及しているものの、こういうときお礼の気持ちを電話でいち早く伝えたいものですよね。

実は電話でお礼の言葉を口にするときにも、ちょっとしたテクニックがあります。

まず、声の出し方ですが、メインフレーズとなる「ありがとうございます」は開口形なので、そこを意識してやわらかくできるだけゆったりと、丁寧な口調でしゃべるようにしてください。「本当にうれしい」「ありがたい」という気持ちを込めれば、相手の琴線に触れること間違いなしです。

次に、大事なキーワードを大きめの声でしゃべるテクニックをここでも用いるようにしましょう。

たとえば、取引先の担当者からお歳暮(お中元)をいただいたり、勉強会で知り合ったAさんがBさんを紹介してくれたら、次のように太文字の箇所を強めに発するようにするのです。

そうすれば、相手も何に対するお礼かが、瞬時に認知・理解できます。ましてや、丁寧な口調でそう言われれば、誠意を感じないではいられなくなります。

その観点から言うと、活字(SNSやメール)よりも声のほうが、時には良好な人間関係を築くための有効なコミュニケーション・ツールとなりうるのです。

電話応対での声と話し方の応用6謝罪するときは、あえて喉を詰まらせていい

クレームに対応するときは、鼻呼吸をすることで、心を落ち着かせ、相手の半分くらいのテンポでしゃべるようにする。

声のトーンもいつもよりも少し低めがいいということを述べました。では、電話でクレームに対応したり、謝罪するときはどうなのでしょう。基本はもちろん同じですが、少しばかり勝手が違う部分があります。

それは、このときばかりは「語先後礼」にとらわれず、電話口で深々と頭を下げながら「申し訳ございませんでした」と謝るようにすることです。

こう言うと、あなたは「頭を下げながらしゃべると、声(喉)が詰まってモゴモゴしてしまうではないか」「最良の声が出せなくなるではないか」と反論するかもしれません。

でも、そこがミソ。あえて声(喉)を詰まらせるようにするのです。対面で謝罪するのと違って、電話口では相手の顔が見えません。

ものすごい剣幕でがなり立てる人もいれば、言うことだけ言って黙り込んでしまう人もいます。問題なのは後者の人。どういう表情をしているのか、皆目見当がつきません。

そうなると、ひたすら謝罪の意を表明するしかありません。

したがって、見えない相手に対しては、「本当に申し訳ないことをしました。心から反省しています」という気持ちをくみ取ってもらうためにも、電話口で深々と頭を下げることで、声(喉)を詰まらせたほうがいいのです。

ただし、口ごもり口調でしゃべったり、「すみません」「すみません」を連発したり、早口は厳禁。繰り返し言いますが、相手よりもスローテンポでいつもよりも低めのトーンでしゃべること。

言い換えると、この場面では自分にとっての最良の声を出す必要はないのです。最良の声よりも大切なのは、いかに誠意を持って謝罪するかなのです。その観点から言えば、このときばかりは詰まった声こそが、最良の声なのかもしれません。

電話応対での声と話し方の応用7クレームを言うときは低めのトーンで淡々と

あなたは電話でクレームを言うとき、どんな口調でしゃべりますか。

「あれほど言ったのに、このリーフレット、誤字脱字が直っていないじゃないか。これじゃあ、使いものにならない。どうしてくれるんだ!」

「あれだけ、納期を守ってくれって言ったじゃないか。なのに、なぜこんなに遅れたんだ!」このように感情的になってがなり立てるような言い方をしていませんか。

しかし、それだとあなたの声は耳障りな周波数となって、相手も聞き取りづらくなるだけではなく、何よりも自分の喉を締めつけ、声帯を痛めることになります。

そう、カラオケで大声を出して歌うと声が枯れてしまうのと同じような症状が起きてしまうのです。

では、電話でクレームを言うときは、どういった点に注意を払えばいいかと言うと、まず鼻呼吸をして、なるべく感情を落ち着かせることが先決です。

そのうえで、こちらがいかに困るか、被害をこうむるかを、相手に理解・共感してもらえるような言い方をするのです。

そのためには、低めのトーンで淡々とした口調でゆっくりとしゃべるといいのです。

ただし、「ここは重要」という部分は少し強めの口調で言うことも大切で、例文を出すと、次のような感じになります。

こう言えば、相手の脳裏には「リーフレットが配れない」「対処策」「500部あればいい」というキーワードが焼きつきます。

それによって、最善の方策をとるにはどうすればいいかといったことを考える余裕も生まれ、可能な範囲で解決処理にあたってくれるはずです。

また、問題が解決したあとも、お互い気まずい思いをしないですみます。むしろ、ペナルティにどうやって対応するかを考えてくれるようになり、信頼関係がそこなわれることもないはずです。

電話応対での声と話し方まとめあなただけでなく、会社のイメージも電話を受けた人の印象で決まる

この章の最後に、電話を受けるときの注意点についても触れておきましょう。私は会社のイメージというものは、良くも悪くも、電話を受けた人の声の印象で決まってしまうと考えています。

いや、その会社は景気がいいのか悪いのかがわかってしまうと言っても、言い過ぎではないかもしれません。

これはフリーで編集の仕事に携わっている知人から聞いた話ですが、ひと昔前まで、ベストセラーを連発している出版社があり、電話をかけると、どの編集者も明るい声、元気・活気のある声で電話に出たと言います。

ところが、ヒット作がほとんどなくなった今、どの編集者も暗く覇気のない声で電話に出るようになったらしいのです。

ヒット作に恵まれなくなったこと。暗く覇気のない声で電話に出ること。どちらも直接つながってはいませんが、遠因にはなっているのでしょう。

ただし、これは業種・職種によってまちまちです。たとえば、葬儀屋さん。

「はい!○○葬祭でーす!!」と、威勢よく元気な声で電話に出たりはしませんよね。

逆に、活気・熱気を帯びている居酒屋は「はい……。串焼き屋○○です……」と、暗く沈んだ声で電話には出ませんよね。

このように、業種・職種によって異なってくるのですが、通常のオフィス、あるいは比較的静かなオフィスであれば、「はい」というときは、少し大きめの声で電話を受け、その後は普通のトーンでできるだけ落ち着いた口調でしゃべるようにすることが大切です。

一方、お客様の出入りが激しいスポーツジムや飲食店のようなところで働く人は、落ち着いた口調よりも、明るくハリのある元気な声で「はい」と電話を受け、その後も同じくらいのトーンで、明るくハキハキとした口調でしゃべることをお勧めします。

とくに注意を払っていただきたいのが、第一声の「はい」。「はい(HAI)」は閉口形なので、口角を上げ、笑顔で発することを忘れないようにしてください。

また、急に電話がかかってきても、冷静に対応できるように、最初に口にする言葉(常套語)を定型文としてあらかじめ決めておくのもいいでしょう。

「はい!営業2課です。○○○○(自分の名前)が承ります」「はい!フロントです。○○(自分の名前)が承ります」といったような定型文をあらかじめ用意しておけば、戸惑うこともありません。

さぁ、あとは実践あるのみです。電話を受けた瞬間のあなたのその声こそが、会社の顔そのものであることを忘れないようにしてください。

おわりに

あなたは喉の調子が悪いとき、いつもどんなケアをしていますか。うがい薬を使ってうがいをする……。のど飴をなめる……。喉の乾燥を防ぐために、寝る前にマスクをつける……。いろいろ挙げられますよね。

実は、もう1つ大切なことがあります。

そのことをお話しする前に、あなたにお尋ねしますが、商談の直前、プレゼンの直前、大事な会議で発言しなければならない直前、面接を受ける直前、どんな飲みものを口にしますか?水?コーヒー?紅茶?日本茶?ウーロン茶?それとも炭酸飲料?どれも、日常、口にしがちな飲みものですよね。

でも、この中に1つだけNGのものがあります。それは何だと思いますか。

ここで、私の失敗体験談をお話ししましょう。

私が東京音楽大学に入学して、初めて声楽のレッスンを受けようとしたときのこと。

この日は1回めの歌のレッスンということもあって、朝から緊張していて、いつも通りに何げなくウーロン茶ばかり飲んでいました。

レッスン室に入り、前の方が先生のレッスンを受けているときも、緊張のあまりペットボトルのウーロン茶をグビグビ……。

それもそのはず。その先生は栗林義信さんという声楽界では知らない人はいないバリトン歌手の超重鎮であったからです。

そして、いよいよ自分の番がやってきたので、最後にもう一度、ペットボトルを口にした瞬間、事件は起きました。

「バカモノ~!!」という栗林先生の大声が飛んできたのです。一瞬、何が起きたか、私にはわかりませでした。しかし、よく見ると、先生はペットボトルに入ったウーロン茶を指さしているではありませんか。

そう。これがいただけなかったのです。

このとき、私も初めて知ったのですが、歌う直前や人前で話す直前は、喉を一番いい状態にしておかなければなりません。

これからプロとしてやっていこうとするのですからなおさら当然のことです。

実は、ウーロン茶はその大敵だったのです。

ウーロン茶はコーヒーや炭酸飲料などに比べると健康的なイメージがありますよね。

でも、それは中華料理等の脂っぽい料理を食べたときに、口の中の脂っぽさを取ってスッキリさせてくれる効果があるからであって、そうでないときにウーロン茶を飲むと、喉にある粘膜を洗い流し取ってしまうため、喉がカサカサになってしまうのです。

だから、歌う直前や人前で話す直前は絶対に飲んではいけない。そのことを私は初めて知ったというわけなのです。あなたも同じです。

商談の直前、プレゼンの直前、大事な会議で発言しなければならない直前、あるいは面接を受ける直前にウーロン茶を口にすると、喉がカサカサになり、自分にとっての最良の声が出せなくなります。

これに「緊張」が加わるとどうなるか。いくら腹式呼吸を心がけても、発音が不明確になり、相手からすれば聞き取りづらくなるのは目に見えています。

それだけではありません。喉がカサカサになれば、当然、喉が渇きます。喉が渇けば、水を飲みたくなります。セールスパーソンが商談の最中に水をガブガブ飲んでいたら、相手はどう思うでしょう。

話の趣旨・内容よりも、セールスパーソンの行動に意識がいってしまい、まとまる話もまとまらなくなってしまうかもしれません。

これとは対照的なのが、私がプルデンシャル生命にいたときに大変お世話になったT支社長です。

プルデンシャル生命には、優秀な保険のセールスパーソンになってもらうためではなく、社会人として転職活動をするときなどに人として大切な考え方やあり方などを教えてくれる、CIP(キャリア・インフォメーション・プログラム)という特別なセッションがあります。

私もここで2時間3回の時間をかけて、人生を一度立ち止まっていろいろなことを考える機会を与えていただきました。

そして、私の人生を大きく好転させてくれたのがTさんでもありました。そのTさんは支社長としてそのCIPの講師を1日に何度も務めていました。

そんなあるとき、Tさんから「島ちゃん、セッション中に喉が痛くなるときがあるんだよ。どうしてかなぁ?」という相談を受けました。

念のため、「セッションの直前やセッションをやっている最中、いつも何をお飲みになっていらっしゃいますか?」と尋ねると、「ウーロン茶」という答えが返ってきました。

そこで、私自身の体験談をお話しすることで、飲みものを替えるようにアドバイスをさせてもらいました。すると、翌日からさっそくセッション中は別の飲みものを口にされるようになり、長時間、話をしても喉が痛くならなくなったそうなのです。

それだけではありません。

パフォーマンスもさらに上がり続けて、社内コンテストでも上位入賞を果たすまでにいたったのです。

ですから、あなたも人前でしゃべる直前は、ウーロン茶を飲むのは控え、それ以外の飲みものを口にしませんか(ウーロン茶以外でしたら、どんな飲みものでもかまいません)。

ウソか本当か、試しにカラオケに行ったときにでも、ウーロン茶を飲んだあとと、別のドリンクを飲んだあとの、声の出具合をテストしてみてください。

前者と後者とでは、喉の渇き具合・声の出具合がまったく違うことに気づかされるはずです。最後に、私からあなたにプレゼントがあります。それは「プリティ」という言葉です。

プリティは直訳すると「かわいらしい」「かれんな」という意味になりますが、実はもう1つ「賢い」「一番」という意味があります。

プリティ=一番。

私は北海道から沖縄まで全国の小・中・高で児童生徒たちに合唱の指導をするとき、この「プリティ」という言葉を、握り拳を高く上げながら大きな声で復唱してもらうようにしています。

その根底には、金賞という上限の決められたものを目指すのではなく、感動という限界のないものを目指して生き生きと活動してほしい思いがあるからです。

そういうこともあって、この言葉を生徒たちが唱え続けると、「コンクールで圧倒的な感動の演奏を届けるぞ」「今、自分が持てる最高のパフォーマンスをするぞ」という気持ちが強くなり、士気がどんどん高まっていくのがわかります。

そして、このプリティの復唱は合唱のみならず、仕事で大きな成果を出すための発声練習にももってこいです。

「プ」(PU)は開口形ではあるものの、そのあとに続く「リティ」(RITEI)はすべて閉口形ですよね。

ということは、口角を上げ、表情筋を使い、にっこりとした表情で穏やかに口にするのが最適ということになります。

ですから、心が凹んだとき、つらいとき、物事がうまくいかないとき、スランプに陥ったとき、挫折して失望と落胆の念にかられそうになったとき、このプリティを呪文のように、笑顔で何度も口にしてもらいたいのです。

プリティ、プリティ、プリティ……。すると、だんだんと元気になります。モチベーションのスイッチもオンに切り替わるようになります。

さぁ、そのときこそ、自分にとって最良の声を生かすチャンス!声が変われば心も変わる。

その結果、自分でも驚くほどの成果を出すことができ、「私って、ここまでできるんだ」ということを実感することでしょう。

そして、声が変われば……人生が変わるのです!

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