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第1章「いい声」が出ない、うまく話せない!その本当の理由は、「首こり」にあった!

三笠書房いい声になって魅力も伝わる話し方の秘密香西克章

はじめに「首こり」をとれば、声も話し方も、一気に変わる!なかなか「いい声」が出せなかった私が編み出した心身の緊張コントロールの秘法一生懸命、話しているのに、なぜ思いが伝わらないのだろう?相手のことを思って言ったのに、なぜ反感を持たれてしまうのだろう?盛り上げたいのに自分がしゃべりはじめると、なぜ場が固くなってしまう?同じセールストークをしているのに、あの人のように売れないのはなぜ?議論で、なぜいつも言い負かされてしまうのか?話す内容やテクニックよりも、ずっとずっと大事なもの。それが「声」です。人前で緊張し、余裕がなくなってしまう人に多い失敗は、「何を、どうしゃべるか?」という、話の内容ばかり考えてしまいがちなところにあります。しかし、人がメッセージを発したとき、どの要素がもっとも相手に影響を与えるかについての研究から導かれた「メラビアンの法則」によると、「話の内容」など、言葉の言語情報は7%。「口調や話すスピード」など、声の聴覚情報が38%。「見た目」など、視覚情報が55%。という結果が導き出されています。そう、話す人の見た目が同じだとしたなら、話の内容や言い回しよりも、決め手は「声」。声のほうが5倍以上も大切です。明るくほがらかな声、魅力的な「いい声」が出せていれば、それだけで人はつい耳を傾けたり、頼みを聞いたりしてくれるところがあるのです。「相手がこう言ってきたら、こう切り返す」「このフレーズがいい」といった言い方以前に、「いい声」が出ているかどうかが、あなたの印象を左右し、相手に大きな影響を与える重要ポイントになるのです。では、あなたの魅力や思いがちゃんと伝わる「いい声」は、どうしたら出せるのでしょうか?その答えは、とても意外なところにありました!これまでほとんど注目されてこなかったその秘密を、本書で明かしていきます。もちろん、「いい声」が出るようになる簡単で気持ちのいいエクササイズも紹介します。ムダな力はいっさいゼロで、ラクに話すコツがつかめます。このエクササイズには、もう一つ、嬉しい効果があります。それは、「いい声」が出るようになるにつれて、全身のこりや痛みがほぐれて消えていき、体がラクになる点です。肩や首のこりに悩まされている人は、普段からどこかで無理をしながら声を出しています。本当は臆病なのに、虚勢を張って強そうに見せている人は、首がガチガチにこり固まっているものです。自由な発言がしにくい職場にいる人は、鼻や口まわりの筋肉がこっています。やる気が湧かない人は、肩が丸く縮こまり、胸がふさがった状態にあります。こうした問題を抱えている人でも、本書の方法で体をラクにしていけば、面白いほど「いい声」が出るようになります。引っこみ思案な人も、ラクにコミュニケーションができるようになります。ただ一言「いいね」と言うだけで、人に安心感を与えられる魅力的な話し方に変わり、さらに体がラクになります。こうしたよいスパイラルに乗り、人生はどんどん好転していくのです。その結果、〝自信に満ちたあなた〟に生まれ変われるのです。アレクサンダー・テクニークをベースにした新アプローチで劇的改善!魅力的な「いい声」になって、話し方も歌もうまくなる。しかも、全身の「こり」までとれる!こんな欲張りな効果が期待できるのは、私が考案したエクササイズが、これまでにない新しいアプローチによっているからです。ベースになっているのは、発声学の大家フレデリック・フースラーの「発声理論」。そして、舞台俳優として活躍したフレデリック・M・アレクサンダーが開発した「心身を緊張から解放し、上手に使う技術」。どちらも、偉大な音楽家たち、俳優たちに多大な影響を与えてきた最高峰のテクニックです。この異なる2つの分野の知識を融合させることで、まったく新しい効果的な方法を生み出すことができたと自負しています。「体と声の法則」を知り、体のこりや過緊張をとりのぞいていくことが、あなたの魅力が全開になる声を発する第一歩です。この本のエクササイズによって、あなたの長年抱いていた悩みが氷解し、もっとラクに、自信を持って話せるようになれたら、とても嬉しく思います。

目次はじめに「首こり」をとれば、声も話し方も、一気に変わる!なかなか「いい声」が出せなかった私が編み出した心身の緊張コントロールの秘法アレクサンダー・テクニークをベースにした新アプローチで劇的改善!第1章「いい声」が出ない、うまく話せない!その本当の理由は、「首こり」にあった!気持ちが伝わらないのは、「こわばった体」のせいかもスッと言い返せない原因、「いい声」が出ない原因を〝自己診断〟してみよう誰もが知っている、この世で一番「のびやかな声」とは?プロでさえも気づかない、声が出ない真の原因「体の緊張=ストレス」は、どこに一番たまりやすいか?生真面目で、くよくよしやすい人ほど、「首」に注意「人を惹きつけるいい声」が出せる2つのタイプ「なぜか、ほっと癒やされる温かな声」のメカニズムこの5ステップで、ビジネスも、プライベートもバッチリの声に!column香西式「魅力も伝わるいい声」になるエクササイズ誕生までの打ち明け話

第2章魅力的な「いい声」が出る!香西式ムダな力ゼロのラクラク発声法──無理なボイストレーニングなんて、辛いだけで効果ゼロ

こんな間違った休息法では、疲れはとれない首の緊張を手放し、体をリセットする決め手は?レッスン1ライダウン「計画的に横たわる」だけで、身長がのび、肩こり・腰痛も改善!レッスン2ライダウンからの起き上がり方口・あご・のどの緊張をゆるめ、呼吸をラクにしようレッスン3ウイスパード・アー息は「下から上へ」で、気持ちをスカッと明るくリセット心地よくって肩こりからも解放される「モンキー」の立ち方レッスン4「モンキー」の立ち方「モンキー」の立ち方には、古武術の極意が隠されている横隔膜を使うと、しっかり深く呼吸できるレッスン5ロウソク消し呼吸横隔膜を使うと、驚くほど力強い声が出るレッスン6横隔膜サウンド

第3章この「6ポイント」を響かせると、自在に声が操れる!

性格や生き方で、声の響く場所は人それぞれ──フースラー理論私たちの体には声の響く「6つの場所」がある!「温かい声」と「自信のある声」は、響く場所が違う「胸の声」と「鼻の声」、あなたはどちらのタイプ?「口先だけ」でしゃべると、会話が単調になり、疲れやすくなるハスキーな「味のある声」はのどに負荷をかけてしまう自分にも他人にも優しくなれて、ほっと癒やされる声の秘密

──ヒントは「胸」自信を持って、「言うべきことを言える」ようになる秘訣──ヒントは「鼻」歌で人を感動させ、スケール感やカリスマ性を身につける秘訣──ヒントは「頭頂」テキパキ指示の出せる統率力や知性をアピールする秘訣──ヒントは「眉間」親分肌のどっしりした「信頼感のある声」の秘密──ヒントは「首」「胸」と「鼻」が響くと、コミュニケーション力がアップ!「6つの特徴」を知れば、相手の気持ちも性格もよくわかる!column美輪明宏さんの歌唱の秘密

第4章実践!「胸」を響かせれば、ほっと癒やされる声に変わる

優しさをとりもどすには、本当に「ハート」を震わせるのが近道レッスン7ハートフル・ハミング相手も受け止めやすい、やわらかな話し方に変えるコツレッスン8虹の発声法遠くにいる人にも「虹の放物線」を投げかけよう胸の響きだけを意識して歌ってみようステップ1「胸」を響かせる練習曲声が出なければ、「子守唄をささやくように」歌うことが大事「歌を聴く」だけでも、眠っている感覚は蘇るcolumnユーミン、中島みゆきさんの歌唱の秘密

第5章実践!「鼻」を響かせれば、自信と信頼感ある声に変わる

鼻の通りをよくすれば、内側からフツフツと「自信」が湧いてくる!レッスン9片鼻呼吸嗅覚を磨くことも、鼻の響きをよくするレッスン10鼻瞑想毎朝、鏡を見て微笑めば、さらに鼻は通る!いま一世を風靡している人気ソングは、どこが響いている?レッスン11微笑みエクササイズステップ2「鼻」を響かせる練習曲サビで鼻を響かせると、歌に奥ゆきが出る!プロを目指すなら、「頭頂」を響かせるトレーニングが必須ステップ3「頭頂」を響かせる練習曲

第6章〝ここ一番〟でうまくいく!シチュエーション別話し方のコツ

ビジネスや〝ここ一番〟における声にまつわる4つの悩みをサクサク解決!「ささやき」と「ハミング」であがり症改善レッスン12緊張に強くなるエクササイズスピーチでたくさんの人を魅了する法レッスン13微笑みの発声法接客や営業では?声の響きをこう変えよう議論が得意な人に押されず、意見をきちんと主張するには?レッスン14議論を豊かにする言葉周囲の理解や協力を得るために、声の調子を整えよう人をまとめるリーダーシップは、「丹田」から生まれる

レッスン15丹田呼吸法レッスン16丹田発声法レッスン17丹田瞑想法なぜかみんなとうまくいくハーモニーを生み出す「根源の思い」とは?「言霊」を操ることが極意日本の伝統文化が教えてくれる声の奥深さcolumn「声」という漢字の語源からわかること

気持ちが伝わらないのは、「こわばった体」のせいかも人前でうまく話せない、人を惹きつける話し方ができない、質問されたときにスラスラ言葉が出てこない、歌が上手に歌えない……。ここには、すべて体の過度の緊張が関わっています。体の緊張は、心理的な不安、こりや痛みなどの症状として現れ、それがのどの状態や声、話すスピードや調子にも影響します。大きな声を出すとのどがすぐに枯れてしまうのも、日常のストレスなどで体が緊張して、こわばってしまっているから。こうした人は、体のなかに余計な緊張やストレスがあります。声というのはバイブレーション、つまり波動です。波を打って相手に届きます。そのとき、その人の抱えている緊張やストレスが震動とともに伝わり、相手に嫌な印象を与えてしまうのです。緊張することが悪いわけではありません。生きていくなかでほどよい緊張は必要です。しかし、現代人の多くは、過度の緊張によって心にも体にも、声にも負担をかけているのが現実です。こうした過緊張をとりのぞいて、負担を減らせば、心にも余裕が生まれ、声の質も、話し方も心地いいものに変わってきます。聞いている相手も思わず癒やされる、魅力的な声が発せられるようになります。うまく話せるようになるためには、緊張をほどき、「心地よい体の状態」をつくることが第一なのです。スッと言い返せない原因、「いい声」が出ない原因を〝自己診断〟してみようあなたの心と体はいま、どんな調子でしょうか?簡単にわかるチェックシートで確認してみましょう。どちらも、当てはまるものにいくつでもチェックをつけてください。体の不調□慢性的な首こり、肩こりがある。□偏頭痛、目の疲れなどに悩まされている。□姿勢が悪く、ねこ背である。□しっかり休んでも体の疲れがなかなか抜けない。□風邪でもないのに鼻がつまっていることが多い。□睡眠中に歯ぎしりをしたり、いびきをかいたりする。□食べすぎでもないのに胃腸が重く、痛むことがある。□ストレスが増すと下痢や便秘になりやすい。□口臭や体臭などに悩まされている。□ひざや腰に痛みがあり、立ったままだとすぐに疲れる。□体のバランスが悪く、まっすぐ立とうとしてもふらついてしまう。心の悩み□ささいなことにもイライラしたり、くよくよ落ちこんだりする。□人間関係に悩むことが多い。□嫌だと思ってもノーと言えず、つい無理をしてしまう。□忙しくなると余裕がなくなり、思わず声を荒げてしまうことがある。□最近、笑顔になることが少ないのを感じる。□朝、会社や学校に行くのを億劫に感じてしまう。□仕事への意欲が湧かず、集中力がすぐ散漫になる。□人前で緊張して思うように話せない。どもってしまう。□言いたいことがうまくまとまらず、会話中に混乱してしまう。□気持ちがふさがると、一日何も話さないこともある。□休日の気分転換が苦手で、仕事のことで頭がいっぱいになる。チェックがついた項目が多いからマズい、少ないから大丈夫というわけではありません。たった一つでも、心と体に重い負担を与えていることもありますから、いまの自分の状態と向き合うきっかけにしてください。たとえば、肩や首のこり、腰やひざの痛みなどが慢性的に続いている場合、ほかにチェックをつけた項目が少なくても、見えないストレスをためこんでいる可能性があります。こうした過度の緊張に気づいて手放すために、声を磨き、上手な話し方を身につけていくことが大切なのです。誰もが知っている、

この世で一番「のびやかな声」とは?さて、ここで質問です。「緊張から解放された自然な声」とは、具体的にどんな声だと思いますか?世界的に有名な歌手の声でしょうか?ミュージカル俳優?それとも朗読の名手、人気アナウンサー、テレビやラジオのナレーター、声優……?こうした声を思い浮かべた人も多いでしょう。実際、彼らは、ほれぼれするようなすばらしい声をしていますね。しかし、私のなかではそれを凌駕する、声の持ち主が思い浮かびます。それは……ズバリ、赤ちゃんです。赤ちゃんは、あんなに小さな体なのに、びっくりするような大きな声を出すことができます。お母さんのお腹から出てきた直後、誰もがあのくらい大きな声で泣くことができたのです。もちろん、あなたも!あなたがいま、どんなに口下手やあがり症でも、あのころは病院中に響きわたるような元気のいい声が出せていました。しかも、いくら泣いても、のどが傷んだり枯れたりすることはありませんでした。誰かに習わなくても、とてもすばらしい発声ができていたのです。しかも、まわりの顔色をうかがうことなく、笑いたいときに笑い、泣きたいときに泣くことができた。じつはそこに、あなたの声の原点があることを知ってほしいのです。プロでさえも気づかない、声が出ない真の原因こうした生まれ持ったのびやかな「いい声」が、なぜ出せなくなってしまったのでしょうか?そこに関係してくるのが、幼少期からの厳しすぎるしつけや過剰な教育だと私は思っています。親や先生がよかれと思ってしてきたことのなかに、心と体を緊張させ、声を出づらくさせてしまう原因がひそんでいるのです。たとえば、電車のなかで子どもが大声で泣きだしたら、母親はあやしたり、叱ったりして、必死に泣きやませようとします。社会生活を営むうえで、こうしたしつけは確かに必要です。ですが、それがいきすぎると、心身の抑圧につながってしまうのです。厳しすぎるしつけは、時として、子どもに恐怖や不安を植えつけます。緊張のあまり声が出づらくなったり、体が萎縮してお腹の調子が悪くなってしまったり、人の顔色ばかりうかがう性格になってしまったりします。成長期以降に、さまざまなひずみを生じさせてしまうのです。肩こりにしても、単にデスクワークをしているからなるわけではなく、肩こりを起こすような心や体の過緊張がまず根底にあり、それが仕事や生活習慣のなかで助長され、肩のこりや痛みにつながっているのです。もちろん、それは声にも影響します。たまたまのどの調子が悪いから声が出にくいのではなく、幼いころから蓄積してきた心身の緊張が、のどにも現れている。だから、声が出にくいと言えるのです。体の緊張がどう声に影響するのか実感するために、「首や肩のこり」と「声」との関係について考えてみましょう。普段からボイストレーニングをしている人のなかにも、首や肩のこりに悩まされている人はいるでしょう。いえ、プロの歌手であっても、体のこり、つまり筋肉の緊張が発声の妨げになっていることには意外と無自覚だったりします。私のレッスンでもうまく声が出せていない人を見ると、首がすくみ、肩がわずかに上がっていることがあります。「ああ、余計な力が入っているな」私が肩に手を優しく置いてあげると、肩がラクな状態になり、それだけでとてもいい声が出ることもあります。ほんのわずかでも肩が上がっているということは、緊張で体がゆがみ、余計な力が入っている一つのサインです。ゆがんだ体が、それでもバランスをとろうとして、わざわざ肩を持ち上げているのです。こうした余計な過緊張を手放せば、肩が自然とラクになり、もっと声が出せるようになります。この「緊張を手放す」ことをせずにボイストレーニングを続けていると、かえってのどの状態が悪くなってしまいます。「体の緊張=ストレス」は、どこに一番たまりやすいか?それにしても、なぜ首や肩がこってしまうのでしょうか?冒頭で紹介した、フレデリック・M・アレクサンダーが開発した「心身の緊張を解放させ、上手に使う技術」は、アレクサンダー・テクニークと呼ばれています。彼は、「声が思うように出ない最大の原因が、首の過緊張にある」ことを発見しました。体中に蓄積された緊張のなかでも、首の緊張は、心と体の使い方のすべてに影響していることを見出したのです。「恐怖で首がすくむ」という言葉があります。私たちは恐怖を感じると本能的に首をすくめ、全身を固くこわばらせます。それは、ショックから体や心を守るために必要な反応とも言えます。「弱点」や「障害」のことを英語で「ネック(=首)」と呼ぶのも、首の構造が複雑で、そこに一番、負荷がかかるからでしょう。

私たちはいつの間にか首の一帯にストレスをためこみ、全身を緊張させることで心身のさまざまな不調をつくり出しているのです。たとえば、登山中に突然クマが現れたらどう反応するでしょうか?一目散に走って逃げる?死んだふりをする?大声をあげて助けを求める?想像のうえでは、いろいろな対応が浮かぶでしょう。しかし人間は、「本当に、もうダメだ、逃げる時間もない!」となったときは、恐怖で一歩も動けなくなるといいます。動けないどころか、声も出なくなるはずです。恐怖で動けなくなると、前述したように、私たちは本能的に首をすくめ、全身を固くこわばらせます。そうやって体を硬直化させたほうが、クマにガブッと嚙まれたときに痛みを感じずに死ねる──、だから本能的に首をすくめるのだという、ちょっと笑えない説もあるようです。この説の真偽はさておき、心身の極度の緊張や恐怖感が、体や声帯の自由な動きを縛っていることはわかるでしょう。生真面目で、くよくよしやすい人ほど、「首」に注意クマに襲われたら体が固まってしまうのは仕方がないとして、日常でもそんなふうに首まわりを緊張でこり固めていたらどうでしょうか?通常、恐怖で首をすくめることがあっても、しばらくすれば緊張は和らぎます。ところが毎日、何度も親に叱られ、学校の先生に怒られ、会社の上司に注意され……そのたびに恐怖で首をすくめていたら?首のまわりがどんどんとこっていきます。首が固まった状態が当たり前になってしまいます。生真面目な人や臆病な人ほど、恐怖で首をすくめた状態から、なかなか解放されません。首がこわばると、のどもこわばり、自然な呼吸が阻害され、声を出す器官である声帯がうまく働かなくなるため、思うように話せなくなります。また、性格的にも引っこみ思案になり、精神的な不安やイライラに悩まされることも増えていきます。真面目すぎる人は、そうした引っこみ思案の自分を変えようとして、がんばって社交的になろう、話をしようと努力します。ですが、がんばるだけでは、いつまでたっても緊張は手放せず、自信も湧いてきません。なぜなら根本原因である首が緊張したままで、恐怖から解放されていないからです。そうした人は、真面目にがんばるほど体の緊張が増していき、かえって壁に突き当たってしまうことになるのです。「人を惹きつけるいい声」が出せる2つのタイプここまで、明るくほがらかな「いい声」が出しにくくなる本当の原因について解説してきました。その一方で、私たちのまわりには特別なトレーニングもしていないのに、魅力的な声が出せている人もいます。こうした人たちには、大きく分けて2つのタイプがあります。●抑圧の少ない環境でのびのび育った先天タイプ。●抑圧を自覚し、淡々と経験を積み上げ、力をつけた後天タイプ。それぞれのタイプの「発声法」の何が違うのか、見ていきましょう。先天タイプは、子どものころにあまり厳しくしつけられたり、叱られたりすることなく成長したことで、大人になっても声のはりが失われず、明るくのびのびした話し方ができる特徴があります。特に習っていないのに声がよく、カラオケが上手な人などは、この先天タイプと考えていいでしょう。詳しくは第5章で解説しますが、先天タイプは、主に鼻の一帯を響かせるのが得意です。鼻が豊かに響くということは、顔が緊張でこわばっておらず、鼻の筋肉もゆるんでいるということ。そのため、表情につねにゆとりがあり、ゆったりとした呼吸とともに話ができるのです。自信は顔に現れると言いますが、そのバロメーターは鼻の響きにあるのです。三浦春馬さん、佐藤健さんなど、若くてさわやかな俳優がこのタイプです。大河ドラマで活躍した女優の柴咲コウさんもこのタイプでしょう。また、同じように抑圧が少ない環境で育った先天タイプのなかには、どこか浮世離れした雰囲気の天然タイプもいます。女優の大竹しのぶさん、綾瀬はるかさん、高畑充希さん、タレントのローラさんらが当てはまり、いずれもふだんはおっとりした話し方をしているのに、歌を歌うと、はりのあるとてもいい声を出します。

天然タイプが歌がうまいのは、鼻のほかに額も響かせることができるから。何を言うわけでもないのに、いるだけでその場が明るくなる不思議な魅力があるため、意外とコミュニケーション上手です。「なぜか、ほっと癒やされる温かな声」のメカニズム一方、後天タイプの話し方には、さまざまな人生経験を積むなかで身についた芯の強さ、静けさ、落ち着きがあります。たとえば、テレビでもおなじみ、政治学者の姜尚中さんの話し方を思い浮かべてみてください。彼が話すシーンを目にすると、穏やかな語り口調のなかに、そうした味わいがにじみ出ているのがわかります。侃々諤々の議論のただなかであっても、姜さんが「それはですね……」と語りはじめると、周囲は皆、話すのをピタリとやめて、思わず耳を傾けます。惜しまれながら亡くなった俳優の高倉健さんの声も、このタイプでしょう。つねに寡黙で、照れ屋で無愛想な印象がありましたが、健さんの発する声には人の心を打つ温かさがありました。女性では、往年の名女優岩下志麻さん、吉永小百合さんが挙げられるでしょう。こちらの2人もほっと癒やされる声で多くの人を魅了してきました。私が感じるのは、どの人も人生を切り拓くなかで徐々に温かな声を身につけていったのではないかということです。何気なく口にする言葉に重みがあり、人生を感じさせることがあるのも、それゆえでしょう。第4章で詳しく解説しますがこうした後天的な温かな声の持ち主は、「胸」を響かせることに長けています。営業や接客など、多くの人とコミュニケーションする経験を重ねるうちに人柄が磨かれ、胸が響くようになった人もいるでしょう。それは単なるイメージではなく、実際に胸の一帯が響いて震動しているからこそ相手がそれを感じ、癒やされるのです。心と体の緊張をとりのぞくコツをつかむことで、心が豊かになり、温かみのある声を手に入れたのです。いまの社会は、昔に比べると深いコミュニケーションが不足し、孤独を感じることがとても増えています。そうした時代に生きる私たちにもっとも必要なのは、温かく響くハートフルな声と言えるかもしれません。それは必要以上に努力をしなくとも、胸の響きをつねに意識し、声を大事に発していくことで手に入れることができます。私たちは体を振動させることで声を出しているのですから、体の緊張をとりのぞき、胸を響かせながら声が出せるようになれば、その人が本来持っている温かな気持ちも蘇ってきます。優しさはすべての人に宿っています。人に優しくなろうと無理をするよりも、体のほうからアプローチしていくことで、もっとラクに、そして確実に、心も優しくなります。それは、人を惹きつける話し方にもつながっていきます。目から鱗のように感じるかもしれませんが、胸を響かせれば、文字通り、ハート(心)も開いて、明るくオープンマインドになります。怒りっぽさや悲観的に考えるクセが減っていくのです。いつもイライラしている人も、生まれつき怒りっぽい性格だったわけではありません。心よりも先に体が緊張し、不快な状態になることで過剰な怒りやイライラが湧いてくるのです。発想を転換して、まず体から変えていきましょう。この5ステップで、ビジネスも、プライベートもバッチリの声に!どんな人が魅力的な声を出しているか、見えてきたでしょうか?①体に余計な緊張がないこと。②体のさまざまな場所が心地よく響いていること。この2つのポイントを押さえることで誰もが魅力的な声をどんどん出せるようになっていきます。ですから、体のどの部分が緊張しているか、それが自分の声や性格とどうつながっているか、理解していくことが大事です。いい声の人は、胸、口、鼻、額、頭頂、首のうしろという体の6つのポジションを効果的に響かせています。これらのどこを強く響かせるかによって、声のトーンや性質が変わってくるのです。なかでも「胸」と「鼻」を響かせることは、人を惹きつける話し方に欠かせません。この本では、次の手順で声を響かせ、魅力を磨き上げる方法を解説していきます。胸と鼻を解放させると、声も話し方も一変します。首の過緊張を手放し、日常のストレスをリセットする(第2章)自分の声タイプを見極め、「いい声」の出る方法を知る(第3章)「胸」を響かせ、温かな話し方、ゆったりした呼吸を手に入れる(第4章)

「鼻」を響かせ、自信に満ちた話し方を手に入れる(第5章)さまざまなTPOに応じた話し方を身につける(第6章)「あいつは口先だけだ」という言葉があるように、全身全霊の声でなければ相手の体の奥にまで響きは伝わりません。もちろん、のどだけをケアしても「いい声」を出せるわけではないでしょう。大事なのは、心身の緊張をほどいていくことです。体が響きはじめることで声に魅力が生まれ、イキイキとした話し方ができるようになっていくのです。

column香西式「魅力も伝わるいい声」になるエクササイズ誕生までの打ち明け話私が音楽の魅力を知ったのは、中学時代に吹奏楽部に入り、トランペットを始めたのがきっかけだったと思います。テレビの映画番組『水曜ロードショー』のテーマ曲に流れていた世界的なトランペット奏者ニニ・ロッソの演奏などに触発され、まさに部活動、命となり、トランペットの練習をするために学校に行くような毎日でした。中学2年のとき、来日したパリ管弦楽団の響きの美しさに、自分の音と根本的に違う何かを感じ、愕然としました。また、高校時代に聴いたピアニストのグレン・グールドが、あるインタビューで自分の音楽行為を「音楽による世界の救済」と語っていることに衝撃を受けました。音楽はただ楽しいだけでなく、人や世界に大きな希望を与える役割があることを知ったのです。そんな演奏に憧れ、受験や大学生活を通じて何人もの指導者にトランペットを学びましたが、自分の思い描く演奏になかなか近づけませんでした。自由に演奏したいけれどできない、そうした悩みをずっと抱えていた23歳のとき、指揮者の栗山文昭先生の音楽に魅了され、作曲家と演奏家を結びつける指揮の力に音楽の新しい可能性を感じました。指揮者への転向を決意したのは、このときです。指揮者は、「こういうテンポ、フレーズ、情感で奏でてほしい」と、音楽の方向性さえタクトで示せば、あとは演奏者が歌ったり、弾いたりしてくれます。ですから最初のうちは「頭を使い、曲の世界がしっかり把握できれば、自分でも指揮はできる」と思っていました。しかし、それがまったくの考え違いであることに気づきました。合唱音楽を指揮するには、発声についての豊富な知識が必要です。また、吹奏楽、オーケストラの指揮でも、それぞれの楽器の奏法の知識が必要になります。しかも、そこで問われる知識は、頭のなかで考えるだけにとどまらず、心と体の使い方が関わってきます。たとえば、演奏者の前に立つ指揮者の呼吸が浅く、体のあちこちに過緊張が起きていたら、演奏者もその影響を受け、魅力的な演奏はできません。「優れた指揮者は優れた演奏家と同様、いや、それ以上にムダな力を使わず、心と体が上手に使えていなければならない」ということに気づいたのです。以来、国内外のさまざまな身体技法について学び、文献を調べていくなかで出会ったのが、本書で紹介している「アレクサンダー・テクニーク」です。それは、私にとって「心と体の使い方を見直す最高の技法」であり、豊かな声や話し方をとりもどす大きな力になりました。学生時代より学んできたフレデリック・フースラーの発声学を見直し、指導に改めて取り入れるようになったのも、こうした目覚めがあったからでしょう。この2つを組み合わせることで、私自身のトランペットの音色も変わり、声の出し方も大きく改善しました。こうして、心と体を解放させ、魅力的な「いい声」と話し方が身につく、この本のエクササイズが生まれたのです。発声を学んでいる生徒さんも、豊かな感性を身につけ、日常に活かせるようになってきています。

 

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