この作品は、2020年3月に東洋経済新報社より刊行された書籍に基づいて制作しています。電子書籍化に際しては、仕様上の都合により適宜編集を加えています。また、本書のコピー、スキャン、デジタル化等の無断複製は、著作権法上での例外である私的利用を除き禁じられています。本書を代行業者等の第三者に依頼してコピー、スキャンやデジタル化することは、たとえ個人や家庭内での利用であっても一切認められておりません。
はじめにたった1日1分の朗読で、話し方が上手くなる!声まで良くなる!★朗読には「絶大な効果」があるようこそ、「朗読」の世界へ!朗読ってすばらしいんです!なぜなら「朗読」は、性別や世代を問わず、すべての人にとって、はかりしれない恩恵をもたらしてくれるからです。私は、フリーアナウンサーのほかに、スピーチレッスンの講師、ラジオ番組のパーソナリティー、ナレーションなどの仕事をしているため、毎日ボイストレーニングをしています。トレーニングはさまざまなものがありますが、とくに毎日の日課として欠かさず行っているトレーニングが、「朗読」です。自分のために行っているトレーニングなのですが、朗読のありがたみを実感するほど、「このすばらしさを私だけが独り占めするのは、本当にもったいない!」という思いがどんどん強くなってきたのです。もともと、私にとって「朗読」は朝の歯磨きや午後のお茶の時間と同じように、毎日行う「生活の一部」のようなものです。それは仕事のため、自分のスキルアップのために行ってきたことですが、毎日行っているうちに、その「絶大な効果」に気づいたのです。★「朗読の効果」はこんなにある!ざっと挙げただけでも、これほどあります。まず、・話し上手になる・言葉がスラスラ出てくる・声が良くなるそして、・語彙が激増する・表現力がつく・文章力がつく・知識が増える外見も、次のように変わります。・表情が豊かになる・顔がリフトアップされ、見た目が若返る・笑顔に磨きがかかるさらに、健康にもプラスの効果が期待できます。・頭が冴える・認知症の予防になる・腹式呼吸によるダイエット効果があるそしてなにより、毎日の生活が楽しくなります。・元気が出る・「伝える力」が身につき、コミュニケーション力が上がる・友達が増える
「朗読ひとつでこんなに?」と思うかもしれませんが、朗読は本当にすばらしい可能性を秘めているのです!★1日1分の朗読で、「相手の心を動かす話し方」ができて、声まで良くなる!これらの朗読の効果の中でも、私がとくに強調したいことが2つあります。ひとつめは「相手の心を動かす話し方」ができるようになること。日常会話でも人前で話す場合も、「相手に伝わりやすい話し方」や「心に響く話し方」ができるようになるのです。「相手の心を動かす話し方」というと、一生懸命話すとか、感情をあふれさせるなど、なんとなく心情的なものをイメージされるかもしれませんが、そうではありません。聞き手を笑顔にさせたり、落涙させたり、感動させるためには、話の内容はもちろんですが、「伝え方の技術」が必要なのです。それを身につけるのはなかなか大変なことですが、魚住メソッドなら、なんと「1日1分の朗読」で、自然と「相手に伝わりやすい話し方」「心に響く話し方」が身についていくのです。成功者の共通点のひとつが「話し方がうまいこと」であるなら、朗読をするだけで、あなたも「人生を成功に導く武器」を手に入れることができるのです。そして2つめは、「声が良くなる」ということ。というのも、自分の声にコンプレックスをもっている人はすごく多いのです。私の著書『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』(東洋経済新報社)では、「声まで良くなる」の部分に反応してくださった方がとても多くいました。詳しくは本文で述べますが、これも「1日1分の朗読」で、誰でも必ず「いい声」になるのです。この2つの重要なメリットは、ビジネスにおいても人間関係においても「最強の武器」、そして「一生ものの宝」となるものだと私は思います。★朗読と音読は別もの──「音読=独り言」「朗読=相手に向かうもの」書店に行くと「朗読の本」「音読の本」が一緒に並んでいます。「朗読」は「音読」と混同されることが多いのですが、じつは「朗読」と「音読」には明確な違いがあります。「音読」は、シンプルに「文章を声に出す」ということです。たとえて言うなら、「独り言」です。この場合の「音読」のベクトルは自分に向いています。これに対して「朗読」は、人に伝えるもの。朗読になってはじめて、伝えたい相手、聞き手である「他者」が生まれます。つまり、朗読のベクトルは、相手に向かうものなのです。相手に正確にわかりやすく、心に響くように「伝える」のが朗読。これに対して音読は、ただ文字を声に出して読むことです。要は、意識の向かう対象がまったく異なっているわけです。音読の段階では、聞き手はおらず、聞き手に伝えるために抑揚をつける必要はありません。つまり、音読は、朗読にいたるまでの「過程」のひとつであるともいえます。そして、本書でこれから詳しく説明していきますが、「話し方」を劇的に上達させるのは、音読の先にある「朗読」だと、私は自身の経験から確信しています。★いわゆる「音読本」と本書の違いその意味では、本書は「音読」の本とは、まったく違うものです。本書では、読んで相手に聞かせることで、時には相手の感情に訴え、感動を呼び起こす「朗読」の手法をお伝えします。もちろん「音読」がダメという話ではありません。魚住式では、朗読を学ぶ過程で音読も入ってきます。音読も楽しいものだし、メリットもあります。ただ、音読のメリットは、朗読の効果の中に集約されるもののように思います。先に挙げた朗読の効果の中には、音読による効果も含まれています。「ただたんに自分だけで『音読』するのではなく、世界を広げて相手に届ける『朗読』をしませんか?」というのが私の提案なのです。朗読のテクニックが身につけば、公の場で発表したり、仲間と朗読会を開くなどの交流をもつこともできます。朗読をしていると、自然と仲間も増えていきますよ!★「1日1分」で人生がガラリと変わる「魚住式メソッド」!もうひとつ、本書が他書と決定的に違う点があります。朗読の本というと、例文を多数掲載して、読み方は各自お好きに……というものが多く見受けられます。でも、本書はそうではなく、「メソッド」をメインとしているのです。つまり声の出し方、読み方、抑揚のつけ方、上達のコツからウラワザまで、すべてを「方法論」として集約し、お伝えするものです。朗読にはやり方、コツがあるのです。これこそが私が30年を超える経験から編み出した「魚住式メソッド」です。
このメソッドで行えば、誰でも簡単に驚くほど上手な朗読ができるはずです!さらには本書で紹介している朗読用の例文は、YouTubeの「魚住りえ話し方&聞く力のコミュニケーション講座」で、私自身の朗読を聞くことができます。参考にしていただければうれしいです。「興味はあるけれど、時間がかかるのでは?」とご心配の方もいるかもしれません。でも大丈夫、なんと魚住式朗読は「1日1分」でいいのです!本書で紹介する朗読の練習文は、基本的におよそすべて「1分以内」で読み終えることができるものばかりを選んでいます。だから忙しいビジネスパーソンの方でも気軽に取り組んでいただけます。「たった1分?」と思われるかもしれませんが、毎日1分続けるだけで、本当にガラリと変わります。声が良くなったり、言葉がスラスラ出てきたり、語彙力が豊富になったり、プレゼンが得意になったり、デートでの会話がうまくいったり……人によって効果はいろいろだと思いますが、必ず何かしらは朗読の効果が実感できるはずです!みなさん、どうか私にだまされたと思って、1日1分を続けてみてください。おそらく「1週間」程度でその効果がおわかりいただけると思います。朗読は、人生に彩りを添えるようなものだと思っています。「1日1分朗読」、それは大げさかもしれないけれど、あなたの人生を大きく変えるチャレンジとなるはずです!それでは、魚住りえの「朗読ワールド」をご堪能ください!
話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読──目次はじめにたった1日1分の朗読で、話し方が上手くなる!声まで良くなる!★朗読には「絶大な効果」がある★「朗読の効果」はこんなにある!★1日1分の朗読で、「相手の心を動かす話し方」ができて、声まで良くなる!★朗読と音読は別もの──「音読=独り言」「朗読=相手に向かうもの」★いわゆる「音読本」と本書の違い★「1日1分」で人生がガラリと変わる「魚住式メソッド!」数え切れないほど、効果絶大!第1章「朗読の15のメリット」を一挙公開!★ただ楽しいだけじゃない!数え切れないほどの朗読のメリット朗読の絶大な効果❶頭が冴えて言葉がスラスラ出てくる朗読の絶大な効果❷「語彙」が増える朗読の絶大な効果❸「文章力・論理力」がつく朗読の絶大な効果❹「滑舌」が良くなる朗読の絶大な効果❺「いい声」になる朗読の絶大な効果❻「伝える力」が劇的に高まる朗読の絶大な効果❼「不要な言葉」が減り、「伝える力」がアップする朗読の絶大な効果❽コミュニケーション上手になる朗読の絶大な効果❾自然に「好感度」もアップし、「早口」も直る朗読の絶大な効果❿やせる!「ダイエット効果」も期待できる朗読の絶大な効果⓫「ストレス解消」にもなる(マインドフルネス朗読)朗読の絶大な効果⓬「小顔効果」があり、表情が生き生きする朗読の絶大な効果⓭「認知症予防効果」も期待できる【「認知症予防効果」が期待できる理由❶】脳が「活性化」する【「認知症予防効果」が期待できる理由❷】人との「つながり」が増える朗読の絶大な効果⓮舌が鍛えられて、「老化防止」につながる朗読の絶大な効果⓯「賢い子ども」に育つ★何はともあれ、朗読はやってみると、とにかく楽しい!たったこれだけで声がぐんぐん良くなる!
第2章「朗読のベースとなる声の整え方」をとことんやさしく解説
★朗読には準備(ウォーミングアップ)が必要です!(ステップ)腹式呼吸をマスターする【腹式呼吸のメリット❶】「つやのある、いい声」になる【腹式呼吸のメリット❷】息が長く続く【腹式呼吸のメリット❸】声量をコントロールできる【腹式呼吸のメリット❹】のどを傷めない★腹式呼吸は誰でもできます!★トレーニングの時間、頻度はどうすればいい?(ステップ)表情筋&滑舌トレーニング★「1日いい声で過ごす秘訣」は?(ステップ)「声」を整える声の整え方1▼基本は「普段より高めの声」声の整え方2▼声量を上げる声の整え方3▼「声のトーン」を使い分ける声の整え方4▼自分の「最高の声」を見つけよう声の整え方5▼「声の高さ×声量」で伝える力が劇的につく声の整え方6▼早口言葉でウォーミングアップ!「話し方と声に効く朗読」はどうすればいい?
第3章初心者でも必ずできる「基本」と「秘訣」を完全公開!
★魚住式朗読トレーニング、「3つのステップ」は?(魚住式朗読ステップ❶)黙読
黙読の秘訣1★「内容」を把握する黙読の秘訣2★「構成」を考えて読む黙読の秘訣3★「自分がこの文章で伝えたいこと」を考える(魚住式朗読ステップ❷)音読音読の秘訣1★「読みづらい箇所」「切るべき箇所」をチェックする音読の秘訣2★「強調したい部分」をチェックする【強調するコツと記号❶】高く読む▼「高めの声」を出す【強調するコツと記号❷】ゆっくり読む▼「強調したい部分」をゆっくり読む【強調するコツと記号❸】強く読む▼強く発音する【強調するコツと記号❹】ポーズ(間をおく)▼軽く「ポーズ」(間)をとる【強調するコツと記号❺】感情を込める▼「声色」をつける【強調するコツと記号❻】読点があるが、区切りをつけずに続けて読む音読の秘訣3★「抑揚」をつける音読の秘訣4★スムーズな音読の肝になる「行替え」を行う音読の秘訣5★「読み方のプラン」を立てる(魚住式朗読ステップ❸)朗読★朗読を録音して、聞き返すこのテクニックで「話し方」と「印象」がいっきに変わる!
第4章朗読のウラワザ、すべて教えます!「プロ並みの読み方」は意外に簡単!
★ちょっとしたコツで全然違う!りえのとっておきのワザりえのウラワザ!❶意識して助詞を下げるりえのウラワザ!❷同じ言葉や文章は、あえて強調しないりえのウラワザ!❸一音一音をはっきり丁寧に発音するりえのウラワザ!❹「読点」どおりにしないパターンもあるりえのウラワザ!❺「ここぞ」というときは、あえて「ワンブレス」でりえのウラワザ!❻体を安定させて、「自信」をみなぎらせるりえのウラワザ!❼一文ごとに口を結ぶりえのウラワザ!❽口角を上げるりえのウラワザ!❾のどを潤すいざ、朗読してみよう!第5章【朗読の実践編1】まずは名文・名作を読んでみよう!★魚住式朗読に「古典」を使わない理由★常に頭に入れておきたい!朗読の「5つの基本」朗読の基本1★お腹に力を入れる朗読の基本2★声量を大きく保つ朗読の基本3★言葉に集中する朗読の基本4★ハキハキ読む朗読の基本5★スピードは一定に保つ★例文に「書き込みマーク」を入れて、さあ、朗読スタート!【朗読用原稿1】まず与えよう(『松下幸之助「一日一話」』より)【朗読用原稿2】人間はダイヤモンドの原石(『松下幸之助「一日一話」』より)【朗読用原稿3】天は一物を与える(『松下幸之助「一日一話」』より)【朗読用原稿4】寺田寅彦『柿の種』【朗読用原稿5】三島由紀夫『葉隠入門』【朗読用原稿6】芥川龍之介『蜘蛛の糸』①【朗読用原稿7】芥川龍之介『蜘蛛の糸』②【朗読用原稿8】島崎藤村『千曲川のスケッチ』「収穫」【朗読用原稿9】黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』①【朗読用原稿10】黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』②【朗読用原稿11】向田邦子『父の詫び状』①【朗読用原稿12】向田邦子『父の詫び状』②日常生活にそのまま使える!
第6章【朗読の実践編2】ラジオのシナリオ『賢者の名言』を読んでみよう!
★大好評を博したラジオ番組『賢者の名言』シナリオを読む【朗読用原稿13】賢者の名言①「」【朗読用原稿14】賢者の名言②「」
【朗読用原稿15】賢者の名言③「」【朗読用原稿16】賢者の名言④「」【朗読用原稿17】賢者の名言⑤「」【朗読用原稿18】賢者の名言⑥「」賢い子に育つ!親の話し方と声も良くなる!特別付録一石二鳥「子どもへの読み聞かせ」はこうしよう!★子どもへの読み聞かせにも「魚住式メソッド」を活用!★抑揚をつける?つけない?★子どもの音読にも使える!★読み聞かせでグッタリ……そんなときは?子どもへの読み聞かせ5つのコツコツ1▼早口にならないよう、ゆっくり読むコツ2▼子どもに目を配りながら読むコツ3▼セリフは臨場感たっぷりに読むコツ4▼擬音ははっきり大きめに発音コツ5▼「正解」はない!りえの読み聞かせおすすめの本★幼児向け(絵本)★小学校低学年~向けおわりに
★ただ楽しいだけじゃない!数え切れないほどの朗読のメリットまずはみなさんに、「朗読は楽しそう」「朗読をすると、こんなにいいことがあるんだ」ということを知っていただくために、この章では具体的に「朗読のメリット」をまず紹介していきたいと思います!「言葉がスラスラ出てこない」という経験がありませんか?大事な場面になると言いよどんでしまったり、うまく説明しようとすればするほど、適切な言葉が出てこなかったり……。じつは私もそうでした。私自身、アナウンサーをしながらも、最初からスラスラ話ができたわけではありません。自分のことを「口下手だな」と思ったことが何度もあります。それがあるときから、不思議なことに、ナレーションの仕事をしたあとは、頭がシャキッと冴えて、言葉がスラスラ出てくることに気づいたのです。私はアナウンスメント技術の習得を始めてから30年ほど経ちますが、「朗読の効果」に気がついたのは、日本テレビに入社して2年目あたりでした。当時は生放送の情報番組で、お天気コーナーの中継を担当していました。あるときから、カメラの前に立つと緊張のあまり頭が真っ白になり、言葉が出てこなくなってしまったのです。生放送なので、あわや「放送事故」になりかけたこともあり、「また失敗したらどうしよう」というマイナスな気持ちが拍車をかけ、ますます失敗を重ねていきました。すっかり自信を失ってしまっていたのですが、そんなときにナレーションのレギュラー番組の依頼が入りました。1回のナレーション作業時間は2時間ほど。ナレーション原稿に目を通し、内容をしっかり理解し、そしてマイクに向かい、ぶっ通しで朗読しなくてはいけなくなったのです。そのときは、とにかく「テレビの前で私の朗読を聞く人が、感動し、心に残るものにしたい」という一心でのぞみましたが、番組が始まって1カ月も経たないうちに、生放送中でもスラスラとカメラの前で話せている自分に気がついたのです。「あれ?自然に言葉が洪水のように出てくる。なぜ?」と不思議に思いましたが、ナレーションの仕事をした翌日が、いちばん調子がよく緊張もせずに話せるのです。そのとき、はっきり、「朗読の効果」に気がつきました。最初のうちは「慣れ」の問題かなと思っていましたが、ナレーションの仕事をしたあとは、言葉が次々とあふれ出すのです。現在私は、YouTubeで「魚住りえ話し方&聞く力のコミュニケーション講座」という講座を開講していますが、これを撮り終えたあとは、やっぱり言葉がどんどんあふれ出すのを実感します。私に限らず、「言葉がスラスラ出てこない」という悩みをもっている人は大勢いるかと思います。それが、「朗読」の練習を重ねることで、頭で考えたことが即、言葉になっていくのです。相手の話にもすぐ反応することができて、いってみれば「言葉の反射神経」がよくなるのです。大人になってつくづく感じるのは、語彙の大切さです。話すにしても書くにしても、語彙が不足していると表現に限界が来てしまいます。逆に、語彙が豊富だと、表現力が倍増しますよね。たとえば、「うれしい」気持ちを表す場合。「心躍る」「わくわくする」「うきうきする」「喜ばしい」「心嬉しい」「欣喜雀躍」「狂喜乱舞」「随喜」「歓喜」……。と、いろいろな言葉を使うことで、伝わり方はまったく違うものになります。ところが語彙は、そうそう簡単に身につくものではありません。本や雑誌を読んで、
「これは知らなかった言葉だな」「この言葉は覚えておいて今度使おう」と思っても、そのままではすぐに忘れてしまい、「使える語彙」には、なかなかならないものです(私だけかもしれませんが……)。でも、「言葉を声に出す」ことで、目と耳の両方からインプットすることができ、段違いに記憶に残りやすくなり、語彙を増やすことにつながります。さらに魚住式メソッドでは、「抑揚」をつけます(詳しくは、第3章の「(音読の秘訣3)★「抑揚」をつける」などで解説します)。この「抑揚」の効果がまたすばらしく、記憶と語彙の定着を促してくれるのです。のちに述べるように、魚住式メソッドでは、最初に文章をチェックして、全体の流れをつかみ、どの言葉を強調するべきか考える作業を行います。朗読をスムーズに行うために欠かせない作業ですが、これをすることで「文章力が身につく」というすごい効果もあるのです。私は文章の専門家ではありませんが、何冊か書籍を出版して実感したことは、文章力は「全体の流れ」「構成」で決まる部分が大きいということです。文章力というと、言葉の選び方や表現方法など、一つひとつの文章が上手に書けることだと思われるかもしれません。もちろんそれも大切ですが、それより構成や流れといった「全体像」が最も重要だということを、書籍をつくる過程で学びました。その構成力をつかむのに、「朗読」が強力な力を発揮します。朗読で使う文章は作家やプロの書いた名文ですから、全体を意識して読み込むだけで、知らず知らずのうちに構成や流れがつかめます。その結果、文章力がぐんとアップするのです。文章力がつくと、企画書やレジュメ、PR文がスラスラ書けるなど、仕事においても大きな強みになるはずです。「滑舌が悪い」ことで悩んでいる人は、じつは結構多いものです。芸人さんやタレントさんの中には、滑舌が悪いことを逆手にとって「芸」にしている人もいますが……。でも、日常生活では滑舌が悪いと、聞き返されたり、言いたいことがきちんと伝わらなかったりと、不便なことばかりです。また、営業マンや接客業の人は、滑舌が悪いと、仕事に悪影響が出ることも考えられます。ところが「滑舌を良くしよう」といわれても、そのやり方がわかりませんよね。ここにも朗読が活きてきます。朗読を日常的に行っていると、いやでも舌の動きを意識するし、また口のまわりの筋肉がほぐれるから、自然と滑舌が良くなってくるのです。(ステップ2)表情筋&滑舌トレーニングでは「魚住式滑舌トレーニング」も紹介するので、こちらを集中的にレッスンしていただいても結構です。滑舌が良くなると、第一印象もぐんとアップしますよ。「自分の声が嫌い」という人は、すごく多いですよね。安心してください、じつは私も同じです。いまでも、録音された自分の声を聞くのは大の苦手なのです。でも、昔はもっとひどかったのです。高校時代、放送部に入部して、はじめて自分の声を録音して聞いたときのショックは、いまでも忘れません。想像より、はるかに低くてガサガサした声……。当時すでに声優やアナウンサーやラジオのDJなど、「声を使う仕事をしたい」という夢をもっていましたが、「こんな声では、アナウンサーになれるわけがない……」と打ちのめされました。しかしその後、練習を重ねてわかったのは、練習次第で、誰でも「いい声」を出すことができるということ。声はいわば、ダイヤモンドの原石のようなものです。誰でも磨けば、必ず「いい声」を出すことができます。
みなさんは「いい声の出し方」を知らないだけなのです。それも当然で、声の出し方はどこでも習わないし、教えてくれる人もあまりいないからです。魚住式メソッドで「声の出し方」を覚えて朗読を続けることで、誰でも必ず「いい声」になっていきます。また、「声がれ」で悩む人はじつはすごく多いのですが、これがなくなります。「会議で2時間しゃべったら声が出なくなった」とか、「カラオケでたくさん歌ったら声がガラガラになってしまった」とか、みなさん経験ありませんか?これはいい声の出し方をしていないからです。「正しい声」「いい声」を出せば、声がれがなくなります。またたくさんしゃべっても疲れなくなります。話すのって意外と重労働なんですね。「プレゼンで2時間しゃべってヘトヘト……」という話をよく聞きますが、いい声でしゃべれば疲れは激減します。これは大きなことだと思います。魚住式朗読は、ただ文章を読み上げるわけではありません。「相手に何を伝えたいのか」ということを最初に考察し、伝えるためのテクニックを使って読み上げます。これを重ねていくと、「伝える力」が飛躍的にアップするのです。「伝える力」とは、自分の言いたいことを的確に、わかりやすく相手に伝えるスキルです。この力がつくと、スピーチ、セールストーク、電話などが格段にうまくなります。よく「話は長いが、何を言っているかよくわからない社長さんのスピーチ」とか「熱弁しているのはわかるが、その製品のどこがいいのか、さっぱり伝わってこない営業トーク」などを耳にします。あれは失礼ながら、「伝える力」がないから、そうなってしまうのです。自分の言いたいことは何か、スパッと伝えるためには「スキル」が必要です。どんなときにどんな声の高さで話せばいいのか、声量の大小やスピード、間のとり方、気持ちや思いを込めるなどの、抑揚のつけ方のテクニックが必要なのです。話すとき、文頭に「え~」「あの~」がついてしまう人が、よくいますよね。しかし、これを連発してしまうと、とても耳障りで、話が聞き取りづらくなる「大きな要因」のひとつになってしまいます。このクセ、じつは一度ついてしまうと、なかなかとるのが大変ですが、朗読を続けると、「え~」「あの~」など、文頭の「不要な言葉」が出てこなくなります。また「◯◯なので……」「◯◯ですけれども……」「◯◯が……」でつないで、延々と文章が終わらない人も多いものです。しまいには、話している自分が「あれ?結局、何を言いたかったんだっけ?」となってしまったりします。もちろん聞き手は「で、この人、何言いたいの?」と頭の中で「?」マークです。一文が長いと自分も聞き手も「話の終着点」がわからず、迷子のような状態に陥ってしまうのです。それが朗読をすることで矯正され、自然と「一文」が短くなります。朗読では、ダラダラした長い文章は使わないからです。不要な言葉が出なくなることで、「伝える力」が格段にアップします。その意味でも、「いい見本」を読むことが大切です。おすすめの朗読用の文章は、第5~6章の「朗読の実践編」で紹介します。魚住式朗読をマスターすることで、「話し方」が段違いに上達し、その結果として、対人関係もよくなります。まず話し方ですが、魚住式朗読では、状況や人数に応じて、声の高低、声量の大小、話すスピードを変えるテクニックを学びます。これこそが話し方の基礎・基本となるものです。話題の豊富さや語り口なども話し方のうちですが、こうしたことはすべて基本ができていなければ積み上がりません。この「話し方」は社会人としての基本スキルと言っていいほど重要なものだと思いますが、なぜか学校でも会社でも、どこでも教えてくれません。誰もが自己流で話しているだけです。だからこそ、話し方は少しでも学べば、誰でも驚くほど上手になります。これができると、その場の空気を読んで話ができるようになりますから、印象がいっきにアップします。またこの話し方は、その場の雰囲気を変えたいとき、さりげなく話を切り上げたいときなどにも使えるので、仕事でも日常生活でも、とても使えるテクニックとなります。
朗読を行っていると、知らず知らずのうちに、「言葉」を大切に扱うようになります。たとえば「ありがとうございました。」という言葉。これを「ありがたい」という気持ちも込めて、を一音も飛ばさずに(句点「。」まで意識して)発音すれば、心からの感謝の気持ちが相手に伝わります。「あーざいましたぁっ」と仕事場を立ち去る人と比べたら、印象の違いは一目瞭然ですよね。「言霊」といって、言葉を声にして発音すると、その言葉に魂が宿るといわれていますが、そのぐらい発音は重要なのです。「言葉の大切さ」を知り、相手にとって「大切な言葉」を丁寧に発音する。これができたら誰にも好感がもたれるし、結果としてまわりから大切にされる人になれるはずです。また、「早口」の人も言葉を大切にできていない印象を与えてしまいます。「早口で何を話しているかわからない」といわれる人は、意外と多いものです。早口の人は頭のいい人に多いのですが、話し方としてはやはりほめられたことではありません。相手に聞き返されたり、言っていることが伝わらなかったりして、仕事でもプライベートでも損をしてしまいます。でも朗読で、「早口」も解決するのです。コツとしては話すときに「朗読」を行うときの話し方を意識することです。頭の中で文字をひらがなに直し、ひらがなを一音一音丁寧に、大切に発音するように心がけるのです。丁寧に発音しようと意識していくことで、自然と発音のスピードが落ちていきます。その結果、ゆっくり落ち着いて話せるようになり、自然と「早口」が直っていくものなのです。魚住式朗読では、声の出し方、呼吸法も大切な要素として、しっかりトレーニングします。呼吸法で大切なのは、「腹式呼吸」です。「朗読に腹式呼吸が必要なの?」と思われるかもしれませんが、逆に腹式呼吸でないと、長い文章を、基本的には声量を保ちつつ抑揚をつけて読むのは難しいものです。ですから、みなさんにはぜひ朗読を通して、腹式呼吸を身につけてほしいと思うのです。ちなみに、この腹式呼吸、じつはすごい「健康増進効果」があるのです!まず腹式呼吸をすると、腹筋を使います。腹筋の中でも腹横筋(お腹まわりを腹巻のようにぐるっと取り囲んでいる筋肉)を鍛えることになるので、出っ腹になりにくいのです。年齢を重ねるほど、お腹まわりは気になるものですよね。男性は太っていなくてもお腹だけぽっこり出てきたり、女性はくびれがなくなってきたり……。でも腹式呼吸を実行していると、とくに何もしなくても、お腹まわりがスッキリして、体型も若さをキープできるのです。また、腹式呼吸はお腹まわりだけでなく、全身のダイエット効果もしっかり期待できます。腹式呼吸でお腹から声を出して読みつづけるのは、腹筋運動を続けているのと同じなので、たくさん汗をかきます。代謝もアップするので、かなりの運
動量になります。私はこれを「朗読エクササイズ」と呼んでいます。この「朗読エクササイズ」は、「運動が苦手」「体のあちこちが痛くて運動がなかなかできない」という人もできるのが、いいところです。できれば、朗読は「立って行う」ほうが全身運動になります。朗読を始めたい人は、座らずに「立って」、体ごと声を出すことをおすすめします。そのほうがより聞き手に伝わりますし、体中の血の巡りもよくなります。私の場合、起きている間ずっと腹式呼吸で話すわけではなく、仕事になると自然と腹式呼吸にスイッチが入ります。すると、とにかく汗をかいて、全身の血の巡りがよくなる気がします。講演などで90分間話すと、1キロ近く体重が落ちています。また、私はスピーチレッスンのクラスを主宰していますが、ここで集中的に腹式呼吸を教えると、その週は激やせしてしまうぐらいです。ちなみに『朗読ダイエット』(ドリアン助川著、左右社)という本によれば、朗読を始めて1年で40キロやせた人もいるそうですよ!仕事のプレッシャーや人間関係のいざこざなど、何かとストレスが多い現代人……。ところが朗読にはすばらしいストレス解消効果、リラクゼーション効果があるのです。先ほど述べた腹式呼吸ですが、じつはこの腹式呼吸をすると、自律神経が整うことがわかっています。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、活動したり興奮したときは交感神経が働き、リラックス、休息するときは副交感神経が働きます。腹式呼吸は、この副交感神経の働きを高めてくれるのです。すると、心も体もリラックスできて、緊張がほぐれます。また朗読では「声」を出しますが、この声を出すこと自体、ストレス発散になります。「朗読をすると、頭の中がスッキリする」という感想をもつ人が多いのですが、それも当然なのです。またこれは私の感想ですが、朗読で他人の世界観を味わう作業に集中するうち、「自我」から離れ、雑念が消えるような気がします。その意味では、朗読は瞑想に近いものがあります。ストレスを解消し、集中力を高める「マインドフルネス瞑想」がはやりましたが、さしずめ「マインドフルネス朗読」といったところでしょうか。普段、緊張しやすい人、イライラしやすい人、興奮しやすい人、カッとなりやすい人、神経質な人、まわりを気にして落ち込みやすい人ほど、「朗読」を試してみてください。その効果は続けるうちに、きっと実感していただけるはずです。これは私自身が自信をもってお伝えできますが、日々、朗読をすることで、フェイスラインが引き締まって、「小顔効果」が得られます。私の場合、1日中パソコン仕事をしていて、あまり話すことがない日は、お饅頭のように顔がパンパンにむくんでしまいます。そういう日が何日か続くと、次第に頰が垂れていき、ほうれい線も深くなってきます。恐ろしいもので、「表情筋」は使わないと、てきめんに衰えるのですね。しかし、ナレーションや講演会、取材や打ち合わせでたくさん話す日が続くと、自然とむくみがとれ、フェイスラインがスッキリ。顔の大きさが、ひと回り小さくなります。話し方のレッスンをしていると顔が引き締まるというのは、私のスピーチレッスンの生徒さんもよくおっしゃることです。実際、みなさん続けるうちに、どんどん小顔になっていきます。「表情筋」を鍛えるメリットは「小顔効果」だけではありません。
表情も自然と生き生きしてきます。「日本人は表情が乏しい」といわれることがありますよね。「能面のような顔」というように、あまりに表情が乏しいと「何を考えているかわからない人」と思われかねません。表情が乏しいのは、日ごろ「表情筋」をあまり使っていないことも原因のひとつだと思います。「表情筋」を日ごろから鍛えておくことは、自然な笑顔、生き生きとした表情のためにも、とても重要なことです。運動も事前にストレッチなどでウォーミングアップをしてから行ったほうが、パフォーマンスがアップしますよね。あるいは、普段から軽くでも体を動かしていれば、急にスポーツをするより、はるかにラクに運動ができるものです。表情もそれと同じ。普段から「エクササイズ」をしておくことがとても大事なのです。朗読には次の2つの理由から、認知症を予防する効果も考えられます。【「認知症予防効果」が期待できる理由❶】脳が「活性化」する「アレとアレをもってきて」「ほら、あの人よ、あの人。あー、名前なんて言ったっけ?」「あのお店に行きましょうよ。なんて言ったっけ、あの店!」年齢とともに、こんな会話が増えてきませんか?人やものの名前が出てこなくて、「あれ」とか「それ」といった指示代名詞を多用してしまいがちになります(もちろん私も実感しています)。「ものの名前が出てこないのはボケのはじまり」といわれますが、脳の機能が衰えてくると、言葉がなかなかスムーズに出てこないのですね。しかし、朗読によって、認知症を予防する効果も期待できるのです。まず音に出して文章を読むだけでも、脳が活性化するそうです。「前頭前野」という、判断力や思考力、感情をコントロールする機能をもつ部分が、とくに活発になります。この前頭前野を刺激することで、認知症の予防も期待できると思われます。【「認知症予防効果」が期待できる理由❷】人との「つながり」が増えるさらに認知症の予防にとても重要とされるのが、人との触れ合いです。すでに述べたとおり、朗読は音読と違い、「他者」を意識して行う音声作業です。朗読を続けていると、誰かに聴いてほしくなります。家族や友達に聴いてもらってもいいですし、最近はやりの「朗読サークル」に参加するのも、とてもおすすめです。聴き手がいることによって、聴いてくれる人を飽きさせず気持ちを思いやることにつながるので、コミュニケーション力もアップします。それを考えると、独り言である「音読」より、他人を意識する「朗読」のほうが、より認知症予防につながるはずです。また聴き手によりよく伝わるように音声表現をすることで、朗読スキルも格段にアップします。認知症が気になる年代の人は、とくに「朗読仲間」をつくって、楽しく活動してほしいと思います。朗読は舌を鍛えることにもなります。
舌を鍛えることは、「老化防止」にとても重要なこと。じつは、年齢を重ねるにつれ、舌の筋肉は衰えてきます。舌の筋肉が衰えると、当然、滑舌が悪くなるのですが、それだけでなく、飲み込む機能(嚥下機能)の衰えにもつながります。食べ物や飲み物が、食道ではなく気管に流れ込み、肺に細菌が入り込む「誤嚥性肺炎」を起こす可能性が高まります。最悪の場合、死に至るそうです。朗読で舌を鍛えることで、「老化防止」や老化に伴う病気の予防にもつながっていきます。詳しくは「特別付録」で述べますが、お母さん、お父さんは、お子さんに本の読み聞かせをしてあげるのはもちろん、ぜひお子さんにも朗読のやり方を教えて、朗読をさせてあげてください。魚住式メソッドでは、どのように読むかを事前に考え、伝えなければならない言葉と文章を探してマークするなど、作者の意図を深く読み取る作業をします。これを行うと、驚くほど深い考察力が身につき、国語力も飛躍的に伸びます。これは私見ですが、朗読の訓練をすると、幼いころから「他人を意識し」「精神的に早く成長できる」のではないかと思うのです。幼くして成功を手に入れる少年少女たち(フィギュアスケーター、オリンピック選手、ピアニスト、バイオリニストなど)は、常に自分だけではなく「聞き手や観客、審判」を意識した演技・演奏・試合を行うので、みんな早熟です。子どもながらにまわりがよく見えているので、インタビューの受け答え、話し方が、大人顔負けなぐらいしっかりしています。演技や演奏は、「自己満足、ひとりよがり」では、点数がつきません。相手に伝えるために、感動してもらうために自分をコントロールする必要があります。それは朗読とまったく同じことです。朗読をして育つ子は、賢く、豊かな感受性や人間性をもった子に育つと私は思うのです。★何はともあれ、朗読はやってみると、とにかく楽しい!朗読のすばらしさ、メリットを挙げていたら15項目にもなってしまいました。自分でもビックリです。朗読のすばらしさを伝えようとすると、本当にもう止まらなくなってしまうのです!そして、いままで述べたこと以上に、私が強調したいことがあります。それは「朗読は楽しい!」ということ。「朗読」にはあまり華やかなイメージはないかもしれませんが、実際やってみると、その楽しさに驚かれるはずです。かみしめるほどに味わいが深くなる伝統料理のように、朗読の世界に触れれば触れるほど、その魅力がわかってきます。実際、朗読に夢中になる人はすごく多いし、各地で「朗読サークル」が大流行なのもよくわかります。「朗読サークル」と一口に言いますが、古今東西の名作を読むだけでなく、朗読劇があったり、子どもたちのための読み聞かせがあったり、高齢者や視覚障害の方のための朗読など、活動は多岐にわたります。その意味では、「朗読」というスキルがあれば、人を楽しませたり、社会貢献をしたりすることもできるのです。私も、「魚住式スピーチメソッド」の講師業だけではなく、今後は朗読の指導やセミナーにも力を入れていきたいと思っています。それでは、次の章からは、声も話し方もみるみる良くなる「魚住式朗読メソッド」を、具体的に学んでいきましょう!
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