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第1章話し方は「声」が9割

はじめにあなたは自分の声が好きですか?声や話し方に関するセミナーで質問すると、受講者の3分の2くらいの方が「好きじゃない」と答えます。わかります。その気持ち。かくいう私も、かつては自分の声が好きではありませんでした。でも、今は大好きです。聞き返さなければいけないほど小さい。妙に高くてキンキンしている。かすれている。モゴモゴとこもっている。大きすぎて威圧的。本書を手に取った方は、何かしら自分の声にコンプレックスや悩みを抱えているはずです。実は、声は何歳からでも劇的に変えられます。そのいい例が私です。声を磨くと、自分に自信がつき、表現力が上がることで、聞き手の心を揺さぶることができるんです。それが、「感動ヴォイス」。「感動ヴォイス」とは、あなたが本来もっている「本当の声」のことをいいます。さまざまな本や雑誌で、「話し方」をスキルアップする方法はたくさん紹介されていますが、私は何より重要なのが「声」だと思っています。なぜ声が重要なのか。それは、自分の「本当の声」が出るようになると、性格が前向きになるのはもちろん、自然に周りの人から信頼されるようになります。そして、面白いくらい仕事や人間関係がうまくいくようになります。これが、人生の7割を声の研究に費やし、のべ4万人の方々の「本当の声」を引き出してきた私の結論です。大量の情報が超高速で行きかう時代。知識や情報を得たいだけなら、パソコンの前に座り、検索さえすれば無料でたくさんの情報を手にすることができます。だから、今は正論だけ言っても、人を動かすことはできません。リアルの中で、相手の心を震わせ、いかに強烈に惹きつけることができるかが勝負です。そこには、「感動」という要素が大きくかかわってきます。●声は心身の状態が映し出される鏡「そんな、声を変えたくらいで人生が変わるなんて……オーバーな」あなたがそう思うのも、もっともです。実際のところ、意識して人好きのしそうな高い声を出してみたり、威厳のありそうな低い声を出してみたり、あえて元気な声を出してみたりと、口先だけで声を変えても、仕事や人間関係はたいして変わりません。なぜなら、声は嘘をつけないから。詳しくはのちほどお伝えしますが、声にはその日の体調も、精神状態も、すべてが反映されます。体調や精神状態がよくないと、声にひずみが出るのです。ですから、あなたが無理をしていることは、聞く人にかなりバレています。そんな状態で、「その仕事できます!」「大丈夫です!」と言葉では言っても、声にはどうしても「嘘偽り」の響きが混じります。それに聞き手は違和感を覚えるのです。人は嘘をつかれることに敏感です。だから嘘が混じった声を聞くと、無意識のうちに「この人に任せるのはちょっと……どうかな」となります。プレゼンや会議ならスルーされてしまったり、面接だったら落とされてしまったりする可能性もあります。スピーチだったらきっと、げんなりした顔をされるでしょう。準備をしっかりして臨んだとしても、「なんだかうまくいかない」というあなたは、声に原因がある可能性がとても高いのです。でも、心配はいりません。

大丈夫。本当の声が出せるようになれば、状況は面白いくらい一気に変わり、うまくいくようになります。本当の声にはそれくらいのパワーがあるのです。●声が変わると、仕事も人生も変わる私は現在、みなさんに感動ヴォイスを手に入れていただくために、企業研修講師やセミナー講師、伝え方コンサルタントとして活動しています。大学在学中からテレビレポーターの仕事をはじめ、企業のプレゼンテーター、フリーアナウンサー、ニュースキャスター、ナレーター、CMソング歌手など、声で表現するあらゆる仕事に従事してきました。そして、社会人になってから大学院に通い、「声とメンタル」の関係について研究し、論文を執筆。ヨーロッパや日本の健康心理学会で発表をさせていただきました。さらに、声など身体性からメンタルアップにアプローチする身体心理学を学び、心理的な病気予防のアドバイスを行う専門健康心理士の資格を取得。自分で言うのもなんですが、まさに声マニア、声一色の人生です。そんな私が、声にまつわる経験と専門知識をフルに詰め込んだセミナーには、さまざまな声の悩みを抱えた方々が集まります。彼らは一人の例外もなく、本当の声が出ていません。ですが、レッスンを通じてそれが出せるようになると、いろんなことが驚くほど好転します。「これまで苦手だったプレゼンで、仕事の交渉がうまくいきました」「オンラインにCM動画をアップしたら、たった30分で商品の申し込みがありました」「異業種交流会で立ち話をしていただけなのに、数名から仕事の依頼が入りました」「スピーチをしたら、『あなたのファンになりました』と言われました」嘘みたいですが、すべて受講者の方々の実際の声です。なぜ、このような変化が起こるのでしょう。ひと言で言うと、本当の声が出せるようになると、声の響きに「嘘偽り」がなくなるからです。声を変えただけで、どうして響きに「嘘偽り」がなくなるのか?ポイントは、体の使い方にあります。本当の声が出る体の使い方を知ると、心のこわばりがほぐれて自然と素直になり、声に虚勢や自衛、自虐やおべっかなどの嘘偽りの響きがなくなります。なぜなら、声を変えると体が変わり、体が変わると心が変わるからです。この事実を、身体心理学では「心身相関」といいます。本書では声について、身体心理学の視点からもお伝えします。●「」というわけで、この本でお伝えする最大のポイントは、「感動ヴォイス」を手に入れるための体の使い方です。姿勢を変える。呼吸の仕方を変える。筋肉の使い方を変える。たったそれだけのことで、あなたは本当の声を出せるようになります。すると、自然と印象も説得力も変わります。だから、信頼されるようになります。同時に、あなたの声は聞く人の耳に心地よく響き、他人の心を揺さぶるようにもなります。聞いている自分さえ、思わず聞きほれてしまうような、イキイキとした魅力的な声が出るようになるのです。「自分の声が嫌い……」というあなたは、ちょっと想像してみてください。生まれてから死ぬまで、ずっと聞き続ける自分の声。その声がイキイキと魅力的に変わり、自分でも「なかなかいい声だなぁ」とごく自然に感じられるようになるところを。そんなあなたが話すたびに、聞く人がしっかりと耳を傾けて、笑顔でうんうんと頷いてくれる場面を。そうなったら、どれほど人とのコミュニケーションが楽しく、どれほどあなたの毎日が充実するでしょうか。それだけではありません。実は、本当の声を出せるようになると、聞く人の反応のみならず、あなた自身が変わります。あなたの声を毎日聞き、あなたの声の影響をもっとも受けるのは、あなた自身だからです。理由は順をおって説明しますが、本当の声を出すための体の使い方をすると、心身がリラックスすると同時にどんどん活性化します。すると、疲れが溜まらなくなったり、肩こりが治ったり、顔の表情が柔和になったり、婚活ウケがよくなったり、小顔になったりします。冗談のようですが、すべて事実です(笑)。自分を変え、聞き手の反応を変え、人生を変える「感動ヴォイス」。この魔法の声を手に入れて、話すときに聞き手の心を揺さぶる効果的な「伝え方」ができれば、まさに鬼に金棒。この本では、そんな「伝え方」についても、あわせて紹介します。●この本の読み方

この本では、5つの章を用意しています。第1章では、まず「声がもつ影響力」についてお伝えします。本来は想いを伝えるはずの声が、なぜ聞く人の信頼を損なってしまうのか。あなたが本当の声を手に入れると、なぜ信頼されるようになるのか。そして、ひと足先に「本当の声」を手に入れた私のレッスン受講者の方がどう変わったのかも紹介します。本当の声が聞き手の心を強く揺さぶる理由が、「なるほど!」とおわかりいただければ幸いです。第2章では、本当の声がもつ影響力が、あなたをどう変えるのかについてお教えします。本当の声が揺さぶるのは、聞き手の心だけではありません。声を出すあなた自身も揺さぶります。これが出せるようになると、心身の健康状態や、あなたの内面がガラリと変わります。もちろん、いいほうに、です。あなた自身にどんなうれしい変化が起こるのか。本当の声があなたにもたらすメリットを、この章でぜひ確認してください。さぁ、第3章からは、いよいよ実践となる感動ヴォイスの基本的な発声法をお伝えします。「一刻も早くいい声が出せるようになりたい!」という方は、ここからお読みいただいても大丈夫です(もちろん最初からお読みいただければ、よりさまざまなことが腑に落ちると思います)。第4章では、第3章で身につけていただいた感動ヴォイスを効果的に使いこなす方法についてお教えします。あなたの必要に応じて練習してください。そして第5章では、感動ヴォイスで想いを伝えるテクニックを紹介します。「話す順番」に気をつけたり、話を組み立てる際の「視点」に気をつけたりするだけで、驚くほど相手に伝わりやすくなります。「何を言っているのかわからない」と一度でも言われたことがある方は、ぜひこの章で紹介するテクニックを身につけましょう。ぜひ本書で紹介するメソッドで「感動ヴォイス」を手に入れていただき、一緒に感動の輪を広げることができれば幸いです。それでは始めていきましょう!

目次はじめに●声は心身の状態が映し出される鏡●声が変わると、仕事も人生も変わる●「本当の声」は一生モノのスキル●この本の読み方第1章話し方は「声」が9割声で得する人、損する人話の内容がいいだけでは伝わらないいい声のカギは「赤ちゃん」にあり声に「違和感」の響きが生まれる理由「感動ヴォイス」が信頼とファンをつくる感動ヴォイスの効果case1たった5分の会話でファンが生まれた!case2プレゼンでその場の空気がつかめるようになった!case3長時間話しても声がかれなくなった!

第2章声を変えるだけで、心も体も変わる!

「感動ヴォイス」で心も体も心地よくリセットできる①人の耳目を集める、いい声が出せるようになる②全身のこわばりがとれて、疲れにくくなる③長時間話しても、声がれしなくなる④精神的なストレスが溜まらなくなる⑤自分軸を取り戻せる⑥自然と自己表現できるようになる⑦自己肯定感が上がる⑧人前で話すのが楽しくなり、仕事も人間関係もうまくいく心も体もがんばらなくていい楽器の弾き方を覚えるように声の出し方を覚えよう

第3章「感動ヴォイス」を手に入れる基本の発声

「感動ヴォイス」の基本はバイブレーション全身に響かせるからバイブレーションが起こるSTEP1筋肉をゆるませる●首ぐるりんエクササイズ●ため息エクササイズ●腕回しエクササイズ●腰からキュッキュエクササイズ●うっふんエクササイズ●ウェルカムエクササイズ●頬回りをゆるめるエクササイズSTEP2姿勢を整える●基本の姿勢STEP3呼吸を整えて声を出す●基本の呼吸トレーニング声のお悩み別トレーニング①声が小さくてよく聞き返される人は「呼吸」を改善②声がモゴモゴとこもる人は「口元の筋肉」を改善③声が低すぎて通らない人は「舌の硬さ」を改善④早口で聞き取れない人は「間」を改善

⑤滑舌が悪い人は「声を出す口の形」を改善⑥舌足らずの人は「舌の筋力」を改善「音読」で感動ヴォイスを定着させる

第4章「感動ヴォイス」を使いこなす応用の発声

朝から爽やかな声が出る「ハミング・エクササイズ」基本ハミング・エクササイズ応用1スペシャル・ハミング・エクササイズ応用2バイク・ハミング・エクササイズ聞き手を惹きつける声の出し方ジェスチャーで声の表現力を一気にアップさせる緊張をゆるめるコツ●咳払いをする●吐く息の長い深呼吸をする●指先や手のひらでゆっくりリズムをとる相手に安心感を与える声は、豊かな呼吸から生まれる「吐く息」で声の印象は変えられるオンライン会話のポイント「何気ない笑顔」こそ、コミュニケーションの基本

第5章相手の心をつかむ伝え方

あの人の話は、なぜこんなに伝わらないのか?意識のベクトルは聞き手に向ける人前で話すときの5つのポイント①一文は短く話す②抽象表現は具体的にする③専門用語は使わない④不要な情報は入れない⑤語尾までしっかり話す話す順番を意識する聞き手に「イエス」と言わせる三角ロジック東京ドームに髪の毛がポツンと1本……相手に同調すると親密さが増す相手がその気になる伝え方サンドイッチ話法で相手にマイナス要素を伝える練習なくして成果なしおわりにカバーデザイン小口翔平+畑中茜(tobufune)本文デザイン岩永香穂(MOAI)イラストナカニシヒカル編集協力杉本尚子

声で得する人、損する人世の中には、声で得をする人と損をする人がいます。この本を手に取ってくださったあなたなら、すでにそのことに、なんとなく気づいていますよね?たとえば、社内の企画会議でのプレゼン。Aさんの企画はいつものように、「いいね!」「面白いよ!」とあっさり通過。なのに、Bさんの企画は「う~ん、もうひとつかな」「インパクトがねぇ」なんて言われて毎回没になる。でも、プレゼンが終わってから改めて企画書を見てみると、書いてある内容はほとんど同じだったりします。こういうことって、けっこうありますよね。AさんとBさんは、一体どこが違うのでしょう?もうおわかりだと思いますが、あえて言わせていただきます。そう、「声」です。たいしたことを言っていないのに、妙に説得力があるように錯覚してしまうのは、声がいいからです。その人がどんな人なのか、その人が言っているのがどんなことなのか、その印象を大きく左右するのは声なんです。「どうしてあの人ばっかりいつもうまくいくんだろう?」そういう人は、声で得をしているのです。話の内容がいいだけでは伝わらないそのことをよく表している、ある法則があります。あなたは『人は見た目が9割』(新潮社)という、衝撃的なタイトルの本をご存じですか?タイトルの「9割」という数字は、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン博士の研究をまとめた「メラビアンの法則」によるものです。

この法則によると、話し手が聞き手に与える印象は、次の要素で決まるとされています。実は、「見た目が9割」のうちの、約4割を「声」が占めています。それほど声は人の印象を大きく左右するのです。ちなみに、「言葉の内容」が聞き手に及ぼす印象はたったの7%しかありません。それもそのはず。最近の報告によると、私たちの話し言葉のうち、「音声」は「言語」より先に脳の大脳辺縁系に到達することがわかりました。どういうことかというと、先に入力された声の印象が、後から入力される言語の受け止め方に影響を与えるということなのです。大脳辺縁系は、食欲・性欲・睡眠欲などの「本能」を司ります。さらに、入ってきた情報に対して「好き・嫌い」「快・不快」といった感情のレッテルを貼ります。たとえば、入ってきた音声に対して、大脳辺縁系が「わぁ、よく響くいい声だなぁ」という「好き/快」のレッテルを貼ると、聞き手の脳内では快楽物質ドーパミンなどのホルモンが分泌されます。そのため、聞き手はうっとりした気持ちになり、「この人の言うことを聞いているとワクワクするな~。ということは、きっと面白い話をしているに違いない!」と認識します。逆に、入ってきた音声に対して「うーん、聞きづらい。嫌な声だなぁ……」という「嫌い/不快」のレッテルを貼ると、聞き手の脳内では怒りのホルモンであるノルアドレナリンが分泌されます。そのため、「聞いているとイライラする。ということは、つまらない話なんだろうな」と認識します。つまり、声によって聞き手に与える感情や、話の内容の受け止め方まで変えてしまうのです。「じゃあ、どんなに会議やプレゼンの資料をしっかり作成しても、声が悪いと内容はほとんど伝わらないってこと?」はい、そうなんです……。ショックですよね。いい声のカギは「赤ちゃん」にありでは、自然と話に耳を傾けてもらえて、なおかつ話の内容に興味をもってもらえる、「伝わる声」とはどんなものでしょう?それが、「はじめに」でもお伝えした「感動ヴォイス」、つまり自分の「本当の声」です。そもそも、「本当の声」って、なんなのでしょう?それは、あなたの体からもっとも自然に、もっともラクに出せる声のこと。そして、もっともよく響く声。出すと、とても気持ちいい声でもあります。力まずとも豊かに出る声なので、声がモゴモゴとこもったり、うわずったり、ひっくり返ったりすることはありません。声に無理がなく、とても聞き取りやすいので、聞き手もゆったりとしたいい気持ちになれます。つまり、声を出す自分にとっても、聞く相手にとっても「いい声」なのです。そのポイントは「響き」にあります。その、もっとも響きのある「本当の声」は、赤ちゃんの状態に戻ることで出ます。発声に関して言えば、「赤ちゃんの泣き声」が理想的なのです。私たちは生まれたとき、「オギャ!」となんとも大きく響きわたる声とともに、母胎からこの世界へと飛び出します。このときの赤ちゃんのありのままの声は、クリアでストレート。はっきりくっきり、人の耳に届きます。電車の中だったら車両中に響きわたるほどです。なぜこんなに響くのかというと、赤ちゃんには無駄な力みがないからです。寝返りもできない生まれたての赤ちゃんは、人間の体にとってもっともリラックスできる、力が抜けたあおむけの姿勢になっています。この姿勢は体に負担がかからないので、呼吸筋や喉の筋肉が最大限に働き、喉が十分に開いた状態です。だから、よく響く声が出せるのです。また、あおむけで寝ている赤ちゃんの場合、横隔膜にも負担がかかりません。横隔膜とは、肺の下にあるドーム状の筋肉で肺を動かす器官のこと。この横隔膜は、人間が直立していると重力で他の器官に圧迫されます。そのため動かすのに少し力がいるのですが、横になっているとその重力が軽減されるため、より深い呼吸がラクにできます。よく響く声には、豊かな呼吸が必要なのです。横になっている赤ちゃんは、無意識のうちに横隔膜を柔軟に使うことができるので、吐く息が力強くなり、大きい声が出るのです。(和田美代子著/米山文明監修『声のなんでも小事典』講談社)赤ちゃんが泣く大声が、あたり一面に響きわたるのは、こんなふうにリラックスして体中から声を発散しているからなのです。赤ちゃんのようになんの力みもない、ありのままの自分の声。この声こそが、その人がもっている「本当の声」です。

これはつまり、誰でもよく響くいい声をもっているということでもあります。みんな生まれたときは、この自分本来の声からスタートしています。あなたももちろん、ここからスタートしました。声に「違和感」の響きが生まれる理由ですが、成長するうちに、私たちの声にはさまざまな理由で抑制がかかります。騒いじゃダメ。変なことを言っちゃダメ。笑われないように。なるべく他の人と同じように……。いうなれば社会性を身につけていくわけです。今でこそ声の仕事をしている私ですが、昔の私はこうしたことが原因で、本当に小さな声しか出せませんでした。おまけにその声はすごくこもっていて、よく人から「え?」と聞き返されたり、「何を言っているのか聞き取れない」と言われたりしていたのです。今思うと、子どもだった私は、愛情ゆえに教育に厳しかった両親の顔色ばかりをうかがい、自分の意見や感情を抑圧していたように思います。感情を内に抑え込んで、自分の存在を外界に向かって表現しない。つまりは、声を出さないという方法です。自分の存在を抑圧していたため、声は小さく、モゴモゴとこもっていたのです。こんなふうに自分を守るために言いたいことを飲み込むと、口をあまり開けずにモゴモゴ話すようになって声がこもります。また、体が緊張してギュッと喉が締まります。締まった喉からは、苦しそうなか細い声しか出ません。それでも無理やり大きな声を出そうとすれば、声はしゃがれてしまいます。声にひずみが出るのです。こうして、発声に抑制がかかり、声は響きを失います。生きていく中で、いつしか、あなたは本来の声を失っているのです。私のセミナーを受けてくださる方も、やはり最初は自分本来の声が出ていません。ある人は「声がこもっています」、またある人は「喉が詰まったようになります」「どうしても小さな声しか出ません」「なんだかかすれてカサカサした声になります」……。生まれたままの声でなく、抑制された声になっているわけですね。抑制された声を耳にすると、聞き手は「この人、ちょっと無理してるんじゃないかな」と、そこに「嘘偽り」の響きを感じとり、違和感を覚えるようになるわけです。ですから、そんな声で「できます!」「やらせてください!」と言っても、聞き手からすると「大丈夫かな?」「ホントにできるのかな……」と不安になります。つまり、信頼してもらえなくなるのです。成長にともない、どなたの声にも多かれ少なかれ抑制がかかりますが、次のような声の方は、特に抑制がかかっています。・声が小さく、よく聞き返される・モゴモゴと声がこもる・長時間話していると声がかれる・滑舌が悪い、舌足らず・早口あなたはいかがでしょうか?「感動ヴォイス」が信頼とファンをつくるさてここで、先ほどの赤ちゃんの話に戻しましょう。赤ちゃんは体に力みがないのはもちろん、精神的な力みもありません。自分についていいも悪いも、何のジャッジもしませんし、無防備に存在します。何かしらに恐怖を感じて、緊張することで筋肉を硬くして自分を守ろうという意識もないため、肌も筋肉もとっても柔らかい。心にも体にも力みがないからこそ、自分本来のよく響く声が出せるのです。こんなふうに、無理なく自然で豊かに出る声には、「嘘偽り」の響きがありません。力むと体に余計な力が入って、声にひずみが出ますが、それがないからです。声のひずみは、心か体が無理をしている証拠です。ひずみのない、ありのままのあなたの声は、聞く人に違和感や警戒心を与えることなく届きます。その声にあなたの感情を乗せれば、感情ごとすんなり届きます。その感情が聞き手の心を揺さぶり、感動を呼び起こすのです。そして、あなたを信頼させ、あなたのファンにさせます。こんなふうにして、聞く人の心を突き動かし、感動を呼ぶ「本当の声」。私はこの声を、「感動ヴォイス」と名づけました。

私のレッスンでは、みなさんにこの感動ヴォイスのメソッドを中心にお伝えしています。感動ヴォイスの効果面白いことに、感動ヴォイスを出せるようになると、普通に話をしているだけでも周りに人が集まってくるようになります。響きがあって豊かでよく通る、耳に心地よい声が出るようになるので、大勢の中にいても自然と注目が集まるからです。もしあなたが街中にいて、どこからか美しいバイオリンの音色が聞こえてきたら、「どこから聞こえてくるんだろう?どんな人が演奏してるんだろう?」と、つい音の出所を探してしまいませんか?それと同じです。たとえば私の場合、異業種交流会などで普通に立ち話をしているだけでも、多くの方から、「お時間のあるときにもっとお話を聞かせてください!」と必ずお声がけいただけます。あるいは、オンラインで自己紹介動画をアップすると、ほんの数分でセミナーの予約が入ります。感動ヴォイスがもつ響きで、一瞬にして聞き手の耳目を集め、心を揺さぶることができるからです。また、感動ヴォイスがもつ説得力で、聞き手を信頼させることができるからです。SNSやブログなど、テキストだけの集客ではなかなかこうはいきません。なぜならテキストは、「読もう」と意識して読まなければ、頭に情報が入ってこないからです。でも、声の情報は「聞こう」と意識しなくても、勝手に耳に入ってきます。ですから、瞬時に人々の耳目、そして心をとらえることができるのです。これは声がもつ素晴らしい強みといえるでしょう。それでは、あなたよりひと足先に感動ヴォイスを手に入れた方の人生が激変したケースを紹介します。case1たった5分の会話でファンが生まれた!コールセンターに勤務するYさん(40代女性)は、「小さいころから声が小さく、こもっていることが悩み」だといいます。仕事中に電話で話すときは、相手が聞き取りやすいようにがんばって大きな声を出すせいで、いつも喉が痛かったそうです。また、無理をして声を出すせいか、体に負担がかかっていたらしく、毎日とても疲れたということです。そんなYさんが、私のセミナーに参加してくださいました。セミナーではよく響く声が出るようにするために、感動ヴォイスの基本となる「呼吸」についてお伝えし、豊かな呼吸ができるようにします。その後、話すときの呼吸が深くなったことで、Yさんは非常にラクに声が出せるようになったといいます。さらに、発声に無理がなくなり、勤務中や帰宅後の体の疲労感も驚くほど少なくなったそうです。セミナーを受講してすぐに、Yさんが勤めるコールセンターで年1回のモニタリング(通話を確認して点数をつけるテスト)がありました。結果は、自分でも満足のいく素晴らしいものだったそうです。モニタリングの採点担当者からは、「あなたのお客様は、最初は堅い感じで話をなさっていたのに、終盤ではとてもフレンドリーになられていましたね。あなたはたった5分の会話でお客様の心を開いたんですよ。きっとこのお客様は、わが社のファンになってくださったに違いありません」と、最上級の褒め言葉をいただいたそうです。「人生で一番褒められたかもしれません」とYさん。最近では、怒って電話をかけてきたお客様が、彼女の声を聞くうちにどんどん落ち着いてくることもよくあるといいます。おそらく、無理のない発声ができるようになったことで、Yさんの持ち前の優しさが声ににじみ出るようになったのでしょう。Yさんの場合、プライベートでもいいことがありました。これまでは声が小さいせいで、カフェやレストランではいつも店員さんにメニューを聞き返されていました。自分の言いたいことがすんなり伝わらないストレスで、注文の際はメニューを指さすなどして、言葉で伝えることをためらっていました。普段からそうだったので、そういう場でコミュニケーションをとるのがとても苦痛だったそうです。しかし受講後は、大きな声を出さなくても、響きのある通る声が出るようになり、混んでいる店内でもオーダーがすんなり通って、自然と人とのコミュニケーションが楽しくなったといいます。「声が出るようになっただけで、こんなに自分が変わるなんて!うれしいし、驚いています」とYさんは明るくイキイキした表情で語ってくれました。case2プレゼンでその場の空気がつかめるようになった!「プレゼンを早く終わらせたい」技術営業をしているエンジニアのKさん(40代男性)は、いつもそう思っていました。もともと自分の声が嫌いで、自社製品のプレゼンをする機会が多かったものの、人前で話すことが苦手でした。そのうえ、自分の話がたいした内容ではないと感じることが多く、話しているうちに自信がなくなってきて、「早く終わればいいのに」といつもネガティブになりがちだったそうです。そんな彼が、私のセミナーを受講。

そこで習った発声法や日々のワークを継続することで、自然と声が出るようになっていきました。そうなってみてはじめて、「これまでの自分は思った以上に声が出ていなかった」と気づいたそうです。次第に声が出るようになると、話すことにも抵抗がなくなってきて、セミナーの際に人前で声を出すことへの苦手意識も薄くなっていったといいます。さらに、声が出るようになると、聞き手が自然と耳を傾けてくれるようになってきたことから、自分の話す内容に関してもだんだん自信がもてるようになってきたそうです。後日、Kさんは仕事で50人もの顧客の前で製品のプレゼンをしました。セミナーで学んだことを活かして、感動ヴォイスで挑戦したところ、顧客から「製品を使いたくなった」「熱い想いを感じた」といった、うれしい感想をもらえたそうです。さらに上司からは、「ユーザーが使いたくなるようなプレゼンだった」「他でもプレゼンしてほしい」と言われ、予想以上の結果が出たことに、自分自身とてもビックリしたそうです。私のセミナーでは、いつも「声で場の空気をつかみましょう」とお伝えしていますが、以来、Kさんは打ち合わせなど普段の仕事でも、「場をつかめている/つかめていない」という視点から、自分の話し方を観察するようになったとか。そうすることで、「人を惹きつける力がグッと増した」と感じているそうです。今では話すことへのストレスがなくなり、嫌いだったプレゼンを楽しめるようになりました。case3長時間話しても声がかれなくなった!Hさん(50代女性)は、人前に立って話す講師業をしています。感じがよくて、しっかり者で人柄もよし。物事に一生懸命に取り組む講師の見本のような素晴らしい方です。ですが、Hさんにはひとつ、大きな悩みがありました。それは、「声がかすれて出なくなる」ということ。仕事が好き。けれども、講師業の命ともいえる声が長時間もたない。話しているうちにどんどん声がかすれてくる。そうなると、聞き手まで苦しそうです。話を聞いてくれる方のそんな様子を見ていると、Hさんはますますつらくなります。しかたなく、長時間の講義は辞退するようになりました。また、周りの講師の方が気を遣って、Hさんの声がかれてきたら、途中から代わってくれるようになりました。そんな自分が不甲斐ない。でも、この先続けていけるのか……。そんなふうにHさんは悩んでいらっしゃいました。そんなHさんは、「声を変えよう!」と一念発起してセミナーに参加されました。当初、明るく振る舞っていらっしゃったHさんですが、「本当に声がかれずに出るようになるんだろうか」と、心の奥底には不安があったそうです。それはそうですね、長年悩んできた声の問題です。すぐに解決するんだったら今までこんなに苦労はしていない、と思いますよね。レッスンをする中で、Hさんの声はかれずにどんどん長い時間続くようになっていきました。呼吸も豊かになり、喉が開き、声の質もクリアになりました。私は、そんなHさんの変化の様子を動画に撮りました。人間って、他の人の声や話し方の変化にはすぐに気づけるけれど、自分自身の変化にはなかなか気づきにくいものです。また、Hさんは責任感が強く、自分に厳しい方でした。自分に厳しい方は、自分がいい方向に変化していたとしても、「いや、まだまだだ」という思考が先走ってしまい、「ポジティブな変化」を実感しにくい傾向があります。ですので、主観的な感じ方ではなく、動画に撮った自分を視聴することで、自分を客観的に見ることが大切です。「あ、確かに変わってきていますね!」動画を視聴したHさんは自分の変化を認識するようになり、変化していく自分の声、話し方を視聴するたびに、「できる」という自信が生まれてきたそうです。自信がない人は、本能的にとにかく「自分を守る」ことに一生懸命になってしまいます。「こんなダメな自分を外にさらけ出すと、悪い評価を受けて自分が傷つく」そういった無意識の思いが筋肉を硬くし、鎧に変え、声を出すための声帯までも締めつけて声を封じ込めます。硬い声帯から無理に押し出す声は、当然、かれます。「できる」という自信が、Hさんの筋肉を鎧からふわっとした心地よい衣に変えていきました。声がスムーズに出るようになったHさんは、声で悩んでいたときには辞退していた講演依頼も、自信をもって受けられるようになり、以前よりも精力的に仕事に励むことができるようになったそうです。いかがですか?声を変える。たったそれだけで、感動ヴォイスを手に入れた方々には劇的な変化が起こりました。また、声を変えただけで聞く人の信頼をしっかりと得られるようにもなりました。それだけではありません。性格も大きく変わり、人生そのものがパッと明るく開けたこともおわかりいただけたと思います。このように、感動ヴォイスは聞く人に大きな影響を与えるだけでなく、声を出すあなた自身にも大きな影響を及ぼすのです。

では、感動ヴォイスを手に入れたあなたには、この先、どんなうれしい変化が訪れるでしょうか。次の章で詳しく見ていきましょう。

 

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