平凡な教師は言って聞かせる。よい教師は説明する。優秀な教師はやってみせる。しかし、最高の教師は子どもの心に火をつける。──ウィリアム・ウォード(教育学者)
存在そのものを褒める無条件の愛
「~をした」から褒める、「~ができた」から褒める。「何かができた時だけ褒める」という褒め方は、褒めているようで本質的な価値を下げてしまいます。
「成績が良かった時だけ褒める」、「うまくいった時だけ褒める」。それは、「~ができない」と認めてもらえない、自分には価値がないと感じてしまうのです。
大切なのは、存在そのものを褒めることです。できてもできなくても褒められる、愛されていると感じると、子どもは安心し、自然に伸びる力があります。
その上で、「何かができたら褒める」というのが素晴らしい褒め方です。すべての子どもは勝手に育ちます。
池川明氏の著書『ママのおなかをえらんできたよ』(リヨン社、2004年)にもあるように、人はみな自分の得意なことを生かし、世の中を今より良くするために、自分が向いていること、自分の使命をあらかじめ決めて、この世に来ているのかもしれません。
自然に素晴らしく育つのであれば、下手に押さえつけたり、コントロールしない方が、子どもは本来の力を伸び伸びと発揮し、使命に生きる素晴らしい大人になっていくのではないでしょうか。
親の言う通りの人生、親が「行け!」という学校に行き、親が希望する職業を選び、すべて言うことを聞いて生きては来たものの、その職場に合わず、うつ病などの精神的な病気になってしまう人が少なくありません。
子どもを心配する親の気持ちも分からないことはないのですが、心配するということは「信じていない」ということに他なりません。
親から信じられていない子どもは、そのまま大人になっても自信のつきようがありません。赤ちゃんが生まれた時の気持ちをもう一度思い出し、何かができたからという理由ではなく、存在そのものを愛しましょう。
落ち込んでいた時は励まし、うまくいった時も存在そのものも一緒に褒めましょう。それが親の役目です。
子どもが落ち込んでいる時こそ、褒める、愛せるチャンス
〈例1〉
子ども「テスト、百点だった!」
ママ「すごいねぇ!賢い子だねぇ。ママはあなたが何点取ろうが大好きだからね、よくがんばったったね!」
子ども「うん!」
〈例2〉
子ども「テスト……0点だった(ションボリ)」
ママ「そうなの?学校の勉強がまったくできなくても大成功した人はいくらでもいるからね。あなたは社会に出てから成功するタイプだろうから心配いらないよ。それと、何点だろうが、ママはあなたがずっと大好きだからね。生まれてきてくれて、ありがとう」
子ども「うん!」
POINT
子どもが落ち込んでいる時こそ、褒める、愛せるチャンスです。褒められて愛されて育った子は、人を思いやる気持ちが自然に身についていきます。
子どもの潜在意識は開いている
子どもは周りの人が言った言葉や、テレビで見たすべてを信じ、受け入れます。
個人差はもちろんありますが、だいたい6歳ぐらいまでの子どもは、何かを言われると、それをはねのける力はありません。まだ自我が確立されていない状態、顕在意識と潜在意識の境目がまだあまりない状態だからです。
6歳をすぎると、「ダメな子ね!」と言われても「違う!!」と受け入れないことが少しずつできてきますが、6歳までの子どもに「ダメな子ね!」と言うと、「そうなんだ、ダメなんだ……」と100%受け取ります。
ですから、小さい子はサンタクロースを信じますし、「妖怪や鬼が来るよ」と言うと、怖がって言うことを聞くのです。
6歳までの間に子どもの潜在意識に、親がどれだけプラスの言葉を入れられるかで、子どもが自分のことが好きか嫌いかが分かれます。
6歳までに投げかけられた言葉の影響を一生受けるとしたら、子どもたちにどんな言葉を入れてあげたいですか?
何度も刷り込むように褒めると、その子は自分のことを心から認め、自分のことを大事にできるようになります。
ぜひ、子どもたちの潜在意識にたくさんのプラスの言葉を投げかけてあげてください!それが「愛情を注ぐ」ということです。
刷り込むように褒める──夜、寝る前に語りかける。
ママ「私は○□ちゃんのことがすごく好きなんだ」
子ども「知ってるよ」
ママ「本当にいい子だね、すごい子だね、何でもできるね」
子ども「……」
ママ「優しいし、本当にかわいいよね。ママとパパを選んで生まれてきてくれて、ありがとうね」
子ども「うん!羽が生えてる時、お空から見てて、ここに来ようと思ったんだ」
ママ「そうなの?ありがとう!」
POINT
何度も何度も愛情をこめて、愛を伝えましょう。不思議な話をし始めたとしても、否定しないで楽しく聞きましょうね。
子どものアイデアを否定しない
私は『芦屋アトリエ虹の子』という子どものアート教室も主宰しているのですが、そこでは、絵画・デザイン・工作などの創作を通して感性を豊かにしていくことをテーマとしています。
「子どもはみんなアーティスト!」ということで自由に思いつくままにアートを作成すると、心豊かに柔軟性のある伸びやかな子に育ちます。
褒められる機会が少なくなる現代で、「ボクにもできた!わたしの作品カワイイ!」という自己肯定感を感じる素晴らしい機会となるはず、と思っています。
歴史的にもこんなに移り変わりの早い時代はありません。10年後には世の中はさらに様変わりしていることでしょう。
そんな中、自分で新しいアイデアを生み出し、自立した大人になり、どんな職業に就いても、ここで遊んだ自由な発想が活かされることと思うのです。
ですから、私は「アイデアを否定しない」ということをとっても大事にしています。
いろいろなアイデアが出た時に、大人が「それは無理じゃないかなぁ……」と言った瞬間、子どもが持っている無限のクリエイティブな時間は終了します。
大人の世界にも「ブレインストーミング」という会議があります。すべてのアイデアを一切否定せず、自由な発想が柔軟に生まれるようにするのです。
まずは何でもいいので、アイデアをどんどん出し、そのアイデアについてはすべてに「いいね!」と言う。そうすると、どんどん発想が自由になり、思いもつかない素晴らしい結果になることがあるというものです。
フェイスブック社やグーグルなどの企業、さまざまな先進的な会社がこのブレインストーミングを取り入れ、だんだんと主流になりつつあります。
従来の会議は、思いついたものを一つ一つ検証し、難しそうならその場で潰していく。アイデアがどんどん否定されていくのでみな萎縮し、発案者もいなくなり、結果、一番影響力がある人の意見に収まるというものです。
そのような会議をいくらしてもあまり意味がありませんね。子どもにはなおさら、アイデアを生かす聞き方が大切です。子どもの発想力は大人では考えもつかない素晴らしいものがあります。
ある時、子どもたちに夢を聞いてみると、いろんな答えがあり、「雲の上に座りたい!」とか「メロンを百個食べたい!」という子もいました(笑)
世の中の常識や物理法則などを踏まえないアイデアなので、「それは無理だよ」と言ったり、軽く受け流してしまうかもしれませんが、ぜひ大人も一緒に楽しんでみましょう。
子どもたちが、「こうしたい!」とか「ここに行きたい!」というアイデアをまずは受け取り、聞き入れ、できることはどれかと提示してみましょう。
アイデアを褒めて、一緒に考える──ミニチュアの部屋の工作をしている時。
〈例1〉
心の火を消す……
子ども「この壁のところに石をつけたいなぁ」
大人「壁に石って変じゃない?それに重さで落ちちゃうから無理だよね。他のにしたら?」
子ども「……うん(工作ってつまんないなぁ)」
〈例2〉
心の火をつける……
子ども「この壁のところに石をつけたい」
大人「いいね!どうやってやろうか?」
子ども「セロテープは?」
大人「なるほど、いいね!ひょっとするとボンドだったら綺麗につくかもよ」
子ども「そうだね!」
大人「しばらく横にしておかないといけないけど、いいかな?」
子ども「そうだね!(……工作って楽しい!)」
POINT
大人が考えた方が良さそうなことでも、アイデアを褒めて一緒に考える。子どもが大人になった時の問題解決能力も養うことができます。
のけぞるぐらい大げさに褒める
ソフトバンクの孫正義さんの講演を聞いていましたら、「とにかく、私のお父さんはびっくりするほど褒める人だった!」とおっしゃっていました。
例えば、「1+1は2」と答えただけで、お父さんは「えぇ!?天才だな!!」と椅子から転げ落ちながら、褒めまくっていたそうです(笑)。
少年時代の孫さんはそれが素直に嬉しく、「自分が何かしたことで人が喜ぶことが嬉しい!」ということを強烈に魂に刻んだというのです。
また書道家の武田双雲さんも、何をしてもご両親からは「天才!!」と褒められたそうです。
親からいつもものすごく褒められた人というのは、一般的にはあまりいないと思いますが、歴史上の偉人などは両親のどちらかがその子のことを本当に褒めて、信じて育てたという人が多いように思います。
褒められすぎて育つと、「わがままになるのではないか」、「つけあがるのではないか」と心配する人もいますが、社会に出るとちゃんと大半の人が怒ってコントロールしようとしてくれますので、何も親までがその役目を担う必要はありません!そんなことより、社会に出て大変な人たちに巡り合っても、親から愛されていたという感覚が幸せに生きる上で一番大切なのではないでしょうか?「認められて」育つと、他人のことも「認められる」人になります。
のけぞるぐらい大げさに褒める。ぜひ、やってみてください。
褒められると、どんどんやる気が出る
子ども「おにぎり、作ったんだ!」
ママ「ええ、すごすぎる!天才だね、天才シェフだね!食べていい?」
子ども「うん……エヘヘ(照れる)」
ママ「美味しい〜〜!!」
POINT
心から感動して褒めると、子どもにもしっかり伝わります。褒められるとどんどんやる気が出てきますが、けなされるとやる気を失っていきます。大人も同じですよね。
才能を開花させる褒め方
何か物事を始めた時、最初からうまくいくことはほとんどありません。最初にダメ出しをされるのと勇気付けられるのでは、そのあとのやる気がまったく違ってきます。
あなたが、例えばフラダンスを習いにいった時、先生に、「足はしんどくても顔は笑顔でいましょうねぇ」と言われたら「はぁい」と答えるはずですよね。
しかし、初めてだとすぐに真顔に戻ってしまうでしょう。
そこで、その先生から「ちょっと!顔は笑顔って言ったでしょ!」と怒鳴られたら、びっくりしますよね?よけいに笑顔が出なくなり、もう一度先生に、「こらぁ、何度言ったら分かるの!?センスがないね、あなた!」と怒られたら、一日で辞めてしまいますよね。
そういうことと同じことをしている親御さんや先生たちが、世の中はとても多いのです。アドバイスをしているつもりが、まだヨチヨチ歩きの相手のやる気の火をいっぺんに消してしまいます。
好きになることが大切なのですから、最初はどんなにうまくいかなくても、「ダメ出し」は禁物です。なかなかうまくできなくても、根気よく褒め、そのことが好きになるまでお膳立てをしてあげましょう。
やり始めの子を褒める
〈例1〉心の火を消す……
子ども「お絵かきしたの」
ママ「どれどれ?……これは何かな?」
子ども「たいようさん」
ママ「どうして青で描いたの?太陽って赤かオレンジ色で描かないとね」
子ども「……(お絵かきはむずかしいなぁ)」
〈例2〉心に火を灯す……
子ども「お絵かきしたの」
ママ「えぇ、どれどれ?……これは何かな?」
子ども「たいようさん」
ママ「わぁ、すごいね、上手だね。青でカッコいい!!たいようさん好きなの?」
子ども「うん!(お絵かきって楽しいな)」
POINT
正しさを求めるのではなく、楽しさを求めましょう。どんな風に答えてあげたら、楽しくなるでしょうか?
言葉プラスエネルギーで褒める
小さな子どもの言葉の語彙数はまだ少ないですから、難しい言葉で褒めても意味が分かりません。「卓越してるね!」、「洞察力があるね!」と言っても、子どもたちは分かりません。
「上手だね!」、「よく見てるね!」など、子どもが知っている言葉で褒めることが大切です。大人でも、横文字だらけの会話が分かりにくいことがあるでしょう。
「マジョリティなヒエラルキーの中で、パラダイムシフトが起きた時、アイデンティティを確立させることが先決です!」と言われても、「???」となる人が多いのではないでしょうか。
例えば、新鋭IT企業の株主総会のような場所なら、そういう表現も問題ないかもしれませんが、一般の人に話す言葉ではありませんよね。
いくら知識があっても、相手の分かるところまで下りていって話す、というのが親切というものです。
子どもたちに伝わる褒め言葉を言うことはとても大切ですが、言葉にプラスしてエネルギーで褒めるという感覚も大事にしましょう。
私は、身振り手振りで表現したり、目の眼球もちゃんと笑っているように(物理的には不可能ですが=笑)意識しています。
少し分かりにくいかもしれませんが、笑った目で押すようにクッとエネルギーを出しながら、「すごいね!」と言ってみるのです。
その温かい、認められているというエネルギーのようなものが伝わると、子どもたちはすごく嬉しいものですよ。
目も笑ってエネルギーを──レゴで遊んでいる子どもと……。
子ども「こんな飛行機、できたよ!」
パパ「ワオ、すごいね(と拍手も)」
子ども「2つもできたんだよ!」
パパ「上手だね!(目も笑いながら、エネルギーを出してみる)」
POINT
褒めるのが習慣になると、エネルギーも出しやすくなるようですよ。
ヒーローインタビューをする
毎日、お母さんが「今日は何かいいことあった?」と聞いて、その話を「すごい!」と褒める。
そんな親のもとで育つと、子どもは「今日もママを喜ばせるために何かいいこと探そう!」と思うようになります。
男の子の場合は特に、ヒーローでいたい願望、注目されたい願望があります。
「すごい!」、「カッコいい!」、「面白い!」という褒め言葉は、男の子だけでなく男性にとっても嬉しいものですよ、6歳でも80歳でもね!「ヒーローにしてあげる」感じで話しを聞くと、心から満たされるのが男の子です。
ぜひ、子どもたちの毎日の武勇伝を聞くインタビュアーでいてください♪ヒーロー願望を満たしてあげる
ママ「今日は楽しいことあった?」
子ども「うん、セミの抜け殻集めてきた!」
ママ「(ゲゲゲ!!)す、すごいね!(……汗)」
子ども「袋にたくさん入ってるから、見て見て!」
ママ「オオ〜!!こんなにたくさん!触るの怖くなかった?」
子ども「うん、全然怖くなかった!」
ママ「すごい!いっぱい集めてどんな気持ちだった?」
子ども「楽しかった!(鼻高々♪)」
ママ「カッコいいね!今日も楽しい話をありがとう!」
POINT
小さい男の子はお母さんにとって理解不能な行動をしがちですが、困らせようとしているわけではありません。ぜひヒーロー願望を満たしてあげてください。
大きくなったら、「お母さんを守るヒーロー」になってくれることでしょう。
叱る必要はまったくない
「子どもはちゃんと躾なければ、恥ずかしい大人になる!」と必死になって叱っている方もいますが、躾とは何でしょうか。
江戸時代には子どもたちは、まずは寺子屋で人生に役立つことを学んでいました。
挨拶はもちろんのこと、礼儀作法、感謝すべきこと、人徳を積む大切さ、苦情処理の方法、世辞の言い方(褒め方)など、人が将来、必要になるであろうことをひと通り学び、15歳で成人となりました。
着物がズレないように仮縫いすることを「仕付け」と言うそうですが、幼い頃から人の道からズレないようにすることを「躾」と言うようになったようです。
現代ではこの躾という言葉は、「間違ったことを厳しく言って聞かせる」というイメージになっていますが、穏やかに言っても伝わるものは伝わりますし、穏やかな言葉で言われて育った子どもの方がちゃんと躾られているのです。
親の生き方を見せるのが一番の躾です。
以前、ショッピングモールのキッズコーナーで、他の子がおもちゃで遊んでいるのを叩いて、おもちゃを奪い取った子がいました。
それを見つけた叩いた方の子の親が、「こら、叩いたらアカン!」と言って、その子をビシッ!と一発叩きました。私は、『いやいや、あんたのせいや!』と心の中で突っ込んでしまいました。
気に入らないことがあった時、どういうわけか、子どもは親の手法を真似るようになります。
子どもが気に入らないことをした時、親の方が怒って叩いたりして言うことを聞かせていると、そうして育った子も怒ったり叩いたりして言うことを聞かせるような子になってしまいます。
子どもが気に入らないことをした時、親の方が穏やかに言って聞かせていると、その子も徐々に人に対して穏やかに思いを伝えるような人になっていきます。
「穏やかに1回言ったぐらいじゃ、治らないのでは?」確かにそうでしょう。
しかし、何でも1回言ってすべてが分かるような子になってほしいなら、ロボットやコンピュータでもいいはずですよね。
自分の子どもには1千回ぐらいは言う覚悟でいてください。それで、ようやく子どもの心に浸透していくのです。
その時の手間や思いは、いつの日か必ず愛情として親のもとに返ってくることでしょう。
穏やかに話す電車の椅子に靴のまま上がろうとしたら、「上がったらダメ!」より、「ここはお椅子だから座ってね」教室で走っていたら、「走らない!」ではなく、「教室の中ではゆっくり歩いてね」
POINT
怒らなくてもすべてのことは伝わります。とても難しいことかもしれませんが、思いやりのある雰囲気を出せる子どもに育てましょう。
「平均的な子」などいない
日本には、「みんなと一緒じゃないといけない」という風潮がとても強くあります。学校教育も画一一斉な授業で、できる子もできない子も同じペースで進めるというものですよね。
オランダに「イエナプラン」という素晴らしい教育システムがありますが、その最大の特徴は、違う年齢の子が同じクラスで一緒に勉強するという「異年齢学級」です。
年齢が違うので能力が違うのは当たり前ですから、比べようがありません。
同じ年齢で集まる、画一一斉授業で平均的に育てようとすると、何か知らないことがあると、「そんなことも知らないの!?」と言われ、逆に成績がいい子に対しては、「なんだあいつ!」と嫉妬のようなものが生まれやすくなります。
イエナプランでは知ってることをみんなで教えあったりしますので、みんな仲良しです。
「知らない子に教える」というアウトプットをもとに勉強するので、学力も上がっていきますし、「学校が好き!」と言う子がほとんどです。
また、「マルチプルインテリジェンス」(注:子どもを潜在能力や個性のタイプに分けて捉える理論)では、それぞれの子どもたちの能力を早いうちから開拓するという試みをします。
例えば、勉強はあまりできないけど、その子がクラスに入ってくるとすごく明るくなる。あるいは、いつもは物静かだけど、気持ちを文章にして表現させるとすごく深いことを考えていることが分かる。そんな子って、いますよね?
成績表だけではそのようなことは評価されませんし、才能に気がつかないまま学校生活を終える子がいる中、「マルチプルインテリジェンス」では子どもを大きく8つのタイプに分けて、それぞれの子どもの能力を見出そうというものです。
1.言語的才能──言葉で表現したり、本を読むことが好きで得意な子
2.数学的・論理的才能──数字や論理などが好きで得意な子
3.空間的・視覚的才能──物事を立体的に捉えたり、地図などを書くのが好きで得意な子
4.身体的・運動的才能──運動能力が高く、活発で身体を動かしているのが好きで得意な子
5.リズム・音楽的才能──音楽が好きでリズム感に長けている子
6.対人関係の才能──その子がやって来るとその場の雰囲気が良くなるような、コミュニケーションの得意な子
7.内観の才能──物事をじっと深く掘り下げて考えるのが好きで得意な子
8.自然・環境の才能──動植物に関心が強く、小動物や植物を観察したり育てるのが好きで得意な子
このように子どもはさまざまな才能を持っていて、そこにフォーカスするため、学校の勉強ができる子はできない子をバカにするのではなく、「自分はたまたま勉強という才能を持って生まれた。あの子は違う才能を持って生まれた」といったように個々を大事にする考え方が生まれてきます。
生徒も先生も、「みんな違って、みんないい」という世界を自然に体感できるのです。
色々な年齢の子が同じ時間に教えたり、楽しんだりしていますので、みんな伸び伸びと能力を発揮できるようになっていくようです。
お子さんがいらっしゃる場合、その子が何が得意かを見極めましょうあなたのお子さんは紹介した8つの才能のうち、どの能力を持っていると思いますか?またはあなた自身、8つの才能のうち子ども時代にどんな能力があったかを思い出しましょう。
POINT
もちろん才能を決めつけるわけではなく、子どもの場合はどんどん変わっていく可能性もありますので、これはあくまで学業以外の能力に目を向けるためのものです。
「好きなことをしている」時に褒める
好きなことは得意なことです。どの子も得意なことと苦手なことがあります。それは、自分のやりたいことを得意なこととして持って生まれてきたからです。
人生とは不思議なもので、不得意なことを大人になって職業にすることはありません。英語が苦手で通訳になる人はいません。海外で仕事をするようになる人は最初から、英語を聞くと音楽のように美しく聞こえるのです。また、運動が苦手なのにスポーツ選手になる子もいませんよね。
できないということは将来、使わないということ。できないことも才能の一つなのです。
子どもたちに、「何をしてる時が一番楽しい?」と聞くと、ほとんどの子が「ゲームをしてる時」や「ユーチューブを見てる時」と答えるでしょう。それを一概にはダメとは言えないのではないでしょうか。
今の子どもたちには生まれた時からパソコンがあり、スマホがありました。IT社会が普通のことなのです。
今、ITに強かったり、PCを使いこなしている子は、小さい頃ファミコンを一日に何時間もやっていた子たちです。そのおかげで、大人になって画面の前に何時間座っていても苦にはなりません。
VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)の世界が来るとも言われていますし、ビットコイン(仮想通貨)がさらに広がっていくかもしれません。
体を動かして公園で遊ぶということだけが、いかにも「健康的で子どもらしい」というイメージがありますが、それは私たちの世代までの話かもしれません。
もちろん運動も大切ですが、ITがさらに進化を遂げる中、ゲームなどを一切しないで大人になるのがいいかというと、どうでしょうか?大人が子どもの好きなことを認めることができれば、子どもは将来、得意なことで生きていける子になるでしょう。
まずは、好きなことは何でもさせて、好きなことがあるという素晴らしさを褒めてあげましょう。好きなこと嫌いなことから能力を見つける子どもが熱中していることを見つけよう。
子どもがイヤがっていることや、不得意そうなことを見つけよう。そこに、本人が本当に「向いていること」のヒントがあるはずです。
POINT
親の方が理解できない「好み」を子どもが持っていても、まずは理解に努めましょう。
どんな時代でも対応できる、大人になるための「褒め言葉」
子どもにとって一番大切なのは、安心感です。安心していると自然に育ち、自然に伸びるのが人の摂理です。
褒めたり、認めたり、愛されているという安心感があれば、その子は大きくなってから親元を離れても、どんな時代が来ても、自分の人生を歩んでいけるのです。
どんなに他の人と違っていても、無条件に愛されているという確信さえあれば、幸せな気持ちで生きていけるのです。「そのままのあなたで大丈夫だよ!」と認めてあげ、安心を与えてあげることです。
学校の先生で、「生徒になめられないように」と大きな声で怒鳴ったり、威圧したりする人もいますが、子どもたちは萎縮して怖れるだけで、先生に敬意は抱きません。
痛ましいいじめの事件もありますが、まずは「いじめられているから死にたい」と言っている子どもを、無理やり学校に行かせるなんて本当に考えものです。
学校は確かにすごく大切です。でも、学校では答えのあることしか教えることができません。
しかし、社会に出るとほとんど答えのない問題しか起きませんよね?人間関係がうまくいかないとか、売り上げがあがらないとか、上司がイヤだ……などなど答えは明確にないことばかりです。
本当は、その問題解決能力が生きていくうえで最も大切なことなのです。
また、現代はインターネットもありますし、ここからは自分の好きなことや特技を生かし、職業も自分で自由に生み出せる時代がやってくるでしょう。
心から安心を与えて、子どもたちが想像力豊かで、自分の人生を歩めるようになるといいですね。どんな時代にも対応できる大人になってもらうための褒め言葉は、「大丈夫!」という言葉です。
「大丈夫!」と言われると、「大丈夫!」な気がしてきます。安心すると能力が最大限に発揮でき、本当に「大丈夫の人生」になるのです。
いつも「大丈夫!」と言って、安心させてあげましょう
子ども「うまくいかなかったらどうしよう……」
ママ「大丈夫よ!」
子ども「学校、行きたくない」
ママ「どうしたの?」
子ども「イヤな子がいる」
ママ「どんなことされたの?」
子ども「無視された……」
ママ「そう……大丈夫よ」
子ども「……」
ママ「学校に行かなくてもいいのよ」
子ども「そうなの?」
ママ「うん、いろんな方法で勉強できる時代だから大丈夫!」
子ども「わかった!」
ママ「とにかくママがいるから大丈夫よ。明日、先生に会いに行って、相談してくるからね!」
POINT
何があっても「大丈夫!」ととっさに言えるために、何度も呟き、それを口癖にしてしまいましょう。
少年の人生を変えた「褒め褒めノート」
私の講座に来ていただいた方が元小学校教師の方で、クラスに暴れん坊で大変な子がいて、その子のことを怒ってばかりいたそうです。
しかし、どんなに怒っても改善するどころかますますひどくなるばかり。
他の生徒に乱暴したり、授業中にどこかに行ったり、なにかカチンと来ると他の子の首を絞めるなどして、とっても大変だったそうです。
ある時、その先生に「褒める」ということの素晴らしさを教えてくれた方がいて、なんとしてでもその生徒を褒めてみようと思ったそうです。
その子のお母さんは病気で家にいなかったので、お父さんと交換ノートのやりとりをして、その子の良いところを少しでも伝えて、それを書き込んでいくということにしました。
ここからはその先生のお話です。褒め褒めノートを作って、1日に10個は褒めようと決めました。ホトホト困り果ててたので、やるからには徹底的にやろうと心に決めました。
最初のうちは本当に褒めるところが見つからず、「元気に学校に来た!」、「給食を美味しそうに食べた!」、「ランドセルの中身を出した」、「上靴を履いてた」など当たり前のことばかり。
とにかく、褒めるところを探して探して、やっと書いていました。「今日は誰の首も絞めなかった」と書いたこともありました。
それでも藁をもすがるつもりで褒めることを実践していった時、その子が少しずつ変わり始めました。彼は家では叱られることはあっても、褒められることは皆無のようでした。そこでお父さんに、家でも褒めることをお願いしました。
その先生が褒め褒めノートに書くネタを探しているのを、他の子どもたちも気づき、「〇〇君、こんなことをしてたよと」教えてくれるようになりました。
さらにその子たちに、私からお礼を言ったり、「いいとこ探ししてくれて偉いなあ」と褒めると、クラスの雰囲気も変わってきたのです。
「だんだん表情が穏やかになってきた!」、「〜〜をがんばってた」といったことを他の先生方からも教えていただくことが増えてきました。
そしてついに、2月になって、その子が私に抱きついてきたんです♪ホントにホントに嬉しかったです。
2冊になった褒め褒めノートはお父さんにお渡ししましたが、褒めることを私に教えてくれた方は、そのノートを見てこうおっしゃいました。
「今まで褒めることを勧めてきたが、ここまでやった先生は初めてです!」私も褒めていただき、本当に嬉しかったです。褒め褒めノートは、2学期から始めて3月末まで続けました。褒めることの大切さを心から実感しました。
大人でも、褒められたら嬉しいのです。子どもたちはなおさらだと思います。
その子の場合、もし以前のように怒ってばかりだったら、人間不信に陥り、自尊感情もないまま大きくなっていったと思います。2月に私に抱きついてきた時の笑顔、今でもはっきり覚えています。
ここだけの話、最初は私、一日中、キレてたんです(笑)憎たらしい相手(敵のような)から、心から愛する相手に変わりました。
心の底から可愛いと思いました。多分、30年近い教師生活の中で一番印象に残った子どもです。「今もがんばっている」と、風の便りに聞くと本当に嬉しいです。
その話を聞いて、私はとっても感動しました。きっとその子の人生は先生との出会いによって大きく良い方に変わっていったことでしょう。
なかなか簡単にできることではないと思いますが、素晴らしいお話ですね!褒めるところがないと感じてもぜひ、何でも、些細なことでも、当たり前のことでもなんとか見つけて褒めてみてください。
少しずつ、希望の光が見えてくることでしょう。
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