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2章共感力の気くばり相手に寄り添い、スマートに気を利かせる

「共感」や「思いやり」は身近な言葉のようで、実は多くの人が、その意味を浅くとらえています。たとえば、知人や同僚にとても悲しいことがあったとき、誰もがとっさに「かわいそう」と感じ、「なんとかしてあげたい」と思うことでしょう。しかし、それだけでは、共感でも思いやりでもないのです。日本人はとかく、目に見えない気くばりや思いやりをよしとする傾向があります。もちろん私もそれを否定はしません。ただ、ビジネスの場においては、目に見える行動を伴わなければ、その気くばりは「ない」のと同じことです。気くばりは「言葉に出す」ことから始まるいくらあなたがやさしい心を持っていても、行動でそれを示さなければ、相手にはわかりません。どんな些細なことでもいいのです。まず、行動に移すと決めましょう。「決める」とは、言い換えると、「ルール化」するということです。たとえば、「言葉をかける」というのも、立派な行動です。「共感のアンテナ」の感度を高めるためには、日常の些細な行動をルール化することが、抜群に効果的です。行なうことはただひとつ。気くばりを意識的に「言葉に出す」ことです。もともと「共感のアンテナ」の感度がある程度高い人は、繊細な人が多いのですが、やや行動力に欠ける傾向があります。ですから、言葉に出す機会を増やし、行動力をプラスすることで、アンテナがより強力なものになります。私がおすすめしているのはエレベーターでの会話です。エレベーターで誰かと乗り合わせたとき、「何階ですか?」と聞いて、ボタンを押してあげるのです。この、声をかける「ほんのちょっとの勇気」を持ち、「手間」を惜しまないこと。当たり前のようにやっている人にとっては、簡単なことかもしれません。ですが、同じマンションに住んでいたり、同じビルの会社で働いていたりする人と乗り合わせても、意外とこれができていない人が多いのです。顔見知りの人に会っても、声に出さず、心の中だけで〝挨拶しているつもり〟になっている人の、なんと多いことか!声をかけるときは、小さい声や低い声ではなく、気持ち大きめ&高めの声で話すようにしましょう。これだけで「感じのいい人だな」「素敵な人だな」と思われるだけでなく、「気くばりを口に出す」習慣が自然についてきます。「言うべきタイミング」を逃さない逆に、エレベーター内で、自分が降りる階のボタンを人に押してもらったら、「ありがとうございます」と声に出してお礼を言いましょう。なかには、スマホから目を離さず、まったくお礼を言わないような人もいます。また、軽く頭を下げるだけの人もいます。それで感謝しているつもりなのでしょう。日本人には「言わなくてもわかる」文化があるからかもしれませんが、感謝の気持ちだけは、言葉にしなければ伝わりません。「ありがとうございます」という言葉は、口にした瞬間に、場の雰囲気を快適なものに変えます。ぜひどんどん口にしてください。また、感謝の言葉と同じくらい大切なのが、謝罪の言葉です。謝るべきときは、間を置かずに「申し訳ございませんでした」「すみませんでした」と口に出すことです。挨拶や感謝、謝罪の言葉は、反射的に出るくらいにしておくこと。なぜなら、このような気くばりを表わす言葉は、口にするのが遅れてしまったら、効果がまるでないからです。挨拶すべきタイミング、感謝すべきタイミング、謝罪すべきタイミングを逃してはいけません。考えをまとめてから口に出すのではなく、まず口に出してから考えるくらいでちょうどいいのです。「目に見える気くばり」を発信していく

相手の「五感」に注目してみる「共感のアンテナ」の感度が高い人は、母親的な要素が強いと書きましたね。その一例として、五感に訴えるような共感性が高いという特徴があります。「寒くないですか?」「(こんなケガをして)痛かったでしょう」などという言葉を真っ先にかけてくれます。母親はよく子どもに対して、「寒くないか」「風邪をひいていないか」「ちゃんと食べているか」と心配するでしょう。それと同じような気持ちを、周囲の他人に対しても持てるのです。他人に対してこんな言葉がけができたら、やさしい人だと思われるでしょう。「暑くないか」「寒くないか」「のどが渇いてはいないか」「お腹が減っていないか」「うるさくないか」「お手洗いに行かなくても大丈夫か」「疲れてはいないか」「体調はどうか」そんな相手の「五感」に気を遣える人は、ありがたい人だと思われるもの。誰もが実感しているシンプルな感覚ですから、共感もしやすいはずです。ただし、共感するだけで終わってしまっては、本当の意味で「共感のアンテナ」を働かせたとは言えません。「寒かったですよね」だけで終わらせない「寒かったですよね」といった言葉を発するのは、いってみれば、自分の実感の延長線上での共感を示しているに過ぎないのです。ですから、気くばりのレベルを上げるには、その場で相手に寄り添うだけの共感や気づかいから、もう一歩踏み込む必要があります。といっても、難しい話ではありません。ひとつ例を挙げましょう。寒い中、取引先の人があなたの会社を訪ねてきました。外は本当に寒そうです。こんなとき、どう言えばいいでしょうか。ポイントは、「共感プラスα」です。「外は寒かったですよね。暖房の温度を上げましょうか」いかがですか?「寒かったですよね」で相手の状況や気持ちを察していることを示し、共感を言葉にした後、「暖房の温度を上げる」と、自分が具体的な行動を起こすことを提案しています。大事なことなので繰り返しますが、「共感をした後、すかさず提案する」。この2つをセットで示して初めて、本当の気くばりと言えるのです。ここでも気をつけたいのは〝タイミング〟です。取引先の人が座って、話を始めてからでは遅すぎます。共感と提案の言葉は、顔を合わせた瞬間にかけるようにしてください。共感と提案の具体的な言葉の例を、いくつか挙げておきましょう。「暑かったでしょう。冷たい飲み物をお持ちしますね」「お足元の悪いなか、よくお越しくださいました。……体が冷えてしまいましたね。拭くものをお持ちしましょうか」「今日は、立ちっぱなしでお疲れでしょう。何か甘いものでも召し上がりますか」「(打合せが)長引いてしまいました。お手洗いをお使いになりますか?」このように「共感と提案」のセットで気づかいを示すと、「この人は気くばりができる人だな」という印象を強く持ってもらえます。「触れないでおく」ことで示す、本当の気くばりただし、「共感のアンテナ」を間違った方向に立てると、失敗することもあるので注意が必要です。

相手の状況や感情を察して、すぐに共感を示すのはいいのですが、相手が触れてほしくないこと、気にしていることに触れてしまうのはNGです。たとえば、こんな状況だったらどうでしょう。職場の後輩が、朝から上司に怒られているところを目撃したあなた。昼休み、落ち込んでいる後輩が心配になって、声をかけました。「今日は朝から大変そうだったね。何か私にできることある?」思いやりのある言葉がけではありますが、相手が気にしていること、嫌なことをあえて思い出させてしまい、精神的に負担をかけることにもなります。相手が話を聞いてほしそうにしているならともかく、安易な気持ちで共感や気づかいを示して、わざわざ嫌なことを思い出させる必要はありません。余計な気づかいが相手のストレスになり、「もうあの人とは話したくない」と思われないようにしなければなりません。この例のようなケースでは、話しかけたときの相手の反応をよく観察することです。明らかに話したくなさそうだったら、話題を変えましょう。そのうち、話したくなったら、相手のほうから話し出すかもしれません。それまではその話題を出さない、あるいは相手を1人にしてあげることが、本当の気づかいです。こちらから働きかけるべきときと、そっとしておくべきときを、見極める

最近は、「人は人、自分は自分」という人、他人と必要以上にかかわりたくないという人も増えています。でもそんな時代だからこそ、「共感のアンテナ」の感度を高めれば、周囲の評価が変わるのはもちろん、自分も楽しくなってきます。できる部下は、上司の立場を理解しています。できる上司は、部下の立場を理解しています。できる部下や上司は、例外なく、相手の立場に対する想像力が高い人です。「共感のアンテナ」の感度が高いとはすなわち、他人に対する関心が高いということにつながるのです。他人に関心を持つ。その際に意識してほしいのは、まず相手の「立場」をできる限り理解し、それから相手の「感情」にフォーカスしていくことです。どんな人も〝立場〟からくる〝事情〟を抱えているまず、相手の「立場」をよく理解しようとすること。最初からいきなり「あの人はどう思っているのかな?」と相手の心情を想像しようとしても、できるものではありせん。まず、相手を取り巻く状況、置かれている立場を観察する。そのうえで、その状況、立場にあることによって、その人がどのような事情を抱えているのかを、想像してみるのです。たとえば──「あの課長は、自分の他にも部下を○人抱えている。それに部長からも、課の成績について、管理職会議で厳しく追及されているみたいだ」「あの部下は、最近、昇進して今のポジションについた。張り切っているけれども、同時に、ミスをしないか緊張しているようなところがある」「あの人は、2カ月前に転職してウチに入ってきたばかり。まだ、仕事にも職場にも慣れない部分があるだろう」このように、相手の〝背景〟の部分に目を向けるのです。職場にいる誰もがそれぞれの背景、言葉にしづらい事情を抱えています。そんな「相手の立場」を踏まえたうえで「感情」に寄り添う。それができると、「○○さんは今、こう感じているかもしれない。こうしてほしいかもしれない」と、相手の気持ちに自然に共感でき、仕事のうえでもスムーズに対処できるようになります。先ほどの例であれば──。上と下との板挟みになっている上司に、自分の相談事を持っていくときは、他の人がその上司に相談事を持ちかけているときは、なるべく避けるようにする。または、何か上司に時間を割いてほしいことがあるときは、直前に頼むのではなく、前もってそれを〝予告〟するなど、上司のスケジュールに配慮する。緊張している部下には、定期的に声をかけ、そのときどきに必要だと思われるアドバイスをする。入社したばかりの同僚には、こちらからランチに誘う、困っている様子のときは話しかけるなどして、早く職場に打ち解けられるようにする。「立場」→「感情」の順で、相手への想像力を働かせる。それだけで、こんな気くばりが、自然にできるようになるはずです。自然に「気が利く人」になる〝魔法のひと言〟以下に、「共感のアンテナ」の感度を上げるための〝魔法の言葉〟をいくつか挙げておきます。もしかしたら、今までこのような言葉を口に出したことがない人もいるかもしれません。言えるものから、口にしてみましょう。口にした瞬間、あなたの周囲が変わりだすはずです。魔法の言葉1「手伝いましょうか?」「私にお手伝いできることは何かあるかな」もしも上司(または部下、同僚)が忙しそうにしていたら、「何かお手伝いしましょうか(何か手伝えることはあるか?)」などと声をかけてみましょう。まわりで何か困ったことやトラブルが起きたとき、自然にこんな言葉が出てくるようになったら、あなたの「共感のアンテナ」は、かなり伸びています。「あまり他人の世話をしたことがない」という人は特に、初めのうちは多少無理してでも口に出してみてください。魔法の言葉2「○○さんの意見を聞かせていただけますか?」「まず、○○さんの考えをまとめてくれないかな」私はこう思う!と、自分の意見を強引に押しつけがちだと自覚している人は、意見を求められる機会があったら、まずこう言いましょう。「まず、○○さんの意見を聞かせていただけますか?」(上司に対して)「まず、○○さんの考えをまとめてくれないかな」(部下に対して)いったん、相手の意見を聞いて、受け止める。まず、相手の意見を尊重する。そんな姿勢はとても大切です。

結果として、自分の主張を通すことになるにしても、ただごり押ししただけのケースとは、周囲の受ける印象がまるで違います。魔法の言葉3「よくここまでやったね」「次は○○ができるようにがんばろう」部下や後輩がやったことに対して、たとえ結果が満足いくものではなかったとしても、「がんばった過程」を認めることが大切です。叱責やダメ出しだけして、やる気を失わせてしまっては元も子もありません。まずは、今回できたこと、現状できていることを認める。「君のがんばりは見ているよ」と示す言葉をかける。その後で、次に向けての課題を設定する言葉をかけてあげてください。成果主義に追われていると、「結果」だけがすべてだ、と考えがちになります。けれど、「結果」だけでなく「過程」も見てくれているのだ、認めてくれているのだと感じたとき、その相手はあなたに、深い信頼と忠誠心を抱くようになるのです。その相手の「見えていない部分の努力」にも目を向ける

「共感のアンテナ」の感度が高い人は、人あたりがソフトで、誰に対してもていねいな接し方ができ、誠実さの示し方が上手です。「周囲からクールな人だという印象を持たれることが多い」「ていねいに対応したつもりだったが、相手を怒らせてしまったことがある」というタイプの人にとっては、急にソフトな印象に変えるのは大変かもしれませんね。そこで、誰でも取り入れやすいのが、クッション言葉です。会話の中に、これからご紹介するクッション言葉を取り入れることで、「ていねいな人だ」「言葉遣いに思いやりのある人だ」という印象を与えやすくなります。ぜひやってみてください。私の研修では、敬語表現のクッション言葉として、次のようなものを紹介しています。当たり前のように使っている人には、改めてお話しするまでもないことですが、使いこなせていない人が意外と多いのではないでしょうか。ビジネスの場では、もはや決まり文句のようなものですが、そうであるとわかっていても、取り入れるのと取り入れないのとでは、与える印象がまったく変わります。たとえば、「今週の金曜日までにお返事をいただけますでしょうか」と言われるのと、「お忙しいところ恐縮ですが、今週の金曜日までにお返事をいただけますでしょうか」とでは、後者のほうが明らかにていねいで誠実な印象を受けますよね。同じ仕事をするのでも、どちらのほうが気持ちよく仕事をできるかは明らかです。それどころか、場合によっては「予定よりも早めに返事をしてあげようかな」とさえ思われるかもしれません。それは、クッション言葉が、相手の立場や状況を慮ることで出てくる言葉だからです。つまり、クッション言葉は「気くばり」「思いやり」の言葉なのです。ただし、必要以上にクッション言葉を取り入れてしまうと、慇懃無礼になることもありますので、注意してください。

デリケートな場面を〝やわらげる〟ために「お手数ですが」「お忙しいところ恐縮ですが」といった、何かをお願いするとき、相手を気遣うときのクッション言葉は、誰でも言いやすいでしょう。次に紹介するのは、その後にネガティブな内容が続くときの、クッション言葉です。断るとき「あいにくですが……」「申し訳ありませんが……」「残念ですが……」「せっかくですが……」「お力になれず恐縮ですが……」「ご期待にそえず……」反論を述べるとき「おっしゃることはよくわかりますが……」「ごもっともとは存じますが……」「お考え、なるほどとは思いますが……」「お考え、大変勉強になりました。ですが……」こうしたクッション言葉は、相手からの申し出を受けられないとき、相手の意にそうことができないとき、相手に反論しなければならないときなど、デリケートな場面で使われます。「共感のアンテナ」の感度が高い人は、相手の立場を思いやることができるからこそ、得てして断ることが苦手であったり、曖昧な言い方しかできなかったりすることがあるものです。しかし、ビジネスにおいては、できないこと、無理なことはきちんと断ることが重要です。そうしたデリケートな場面でこそ、ご紹介したようなクッション言葉が、効果を発揮するのです。相手に不快な思いを極力感じさせず、きちんと断れる人は、ビジネスパーソンとしてもランクが高い人です。「今回は、ちょっと見送りたいと思います」「そのご意見には、ちょっと賛同できかねます」というような言葉も、「大変残念ですが、今回は見送らせていただきたいと思います」「○○さんのお考え、大変勉強になりました。ですが、一方で私は、こんなふうにも考えておりまして……」とクッション言葉を入れるだけで、印象が格段にやわらかくなります。特に、「勉強になりました」「勉強させていただきました」という言葉は、とても便利です。相手を立て、相手の考えに敬意を払っていることを伝えられるので、それと真逆の意見をその後に伝えるとしても、あまり角が立たないでしょう。もちろんこれらは、反論したいときだけでなく、相手の意見や考えに賛意や敬意を示したいときにも使える、万能な言葉です。言いにくいことほど、やわらかく伝える方法を知っておく

人の話を聞くとき、真摯な態度で耳を傾けることができる人は、そう多くはありません。そんな中で、次のような聞き方ができる人のまわりには、人が集まってきます。「(あなたの)気持ちは、よくわかるよ」「それは、さぞかし大変だったでしょう」「(相手の言葉に対して)おつらかったですね」こういった「いたわり」の言葉は、見返りを求めないコミュニケーションです。現代社会では、誰もが、心の深い部分では「いたわってほしい」「ねぎらってほしい」と思っているもの。自分のやった仕事、かけた労力、粉骨砕身を評価してほしい、認めてほしいと、つねに感じています。そんな思いを汲んだ言葉をかけられれば、それは特別な気くばりとなるでしょう。たとえば、あなたが頼んだ仕事を、同僚や部下が仕上げて持ってきたとき、ただ「ありがとう」とお礼を言うだけでは、ねぎらいの言葉がやや不足しています。次のように言ってみるといいでしょう。「これだけのことを○日間で仕上げるのは、とても大変でしたよね。本当にありがとうございます。すごく助かりました」「お骨折りいただいたおかげで、いいものができそうで、うれしいです」「いつもいつも、○○さんのお力をあてにしてお願いしてしまって、本当に申し訳ないです……おかげさまで、この仕事がなんとかなりました」「よくやってくれたね。さすが、○○さんだと思ったよ!」こんな「大変でしたよね」「助かりました」「お骨折りいただいて」「あなたの力をあてにして(頼りにして)いる」「おかげで」「よくやってくれた」「さすが、○○さん」といったひと言が、相手には、何よりうれしく響くのです。相手の労力を想像する。相手の苦労に共感する。そして、それをねぎらう言葉をかける。これを心がけるだけで、「共感のアンテナ」の感度は、みるみるアップしていきます。「あなたの努力を見ていますよ」というメッセージあるいは、あなたが夜遅くまで残業していて、まだ仕事をしている同僚を1人だけオフィスに残して、先に退社しようというとき。「お疲れさま」だけでなく、相手の名前をしっかり呼んで、次のようなねぎらいのひと言を添えてみてください。「○○さん、お疲れさま。いつもがんばってるね」「○○さん、お疲れさま。無理しないでね」こんな言葉と一緒に、小さなお菓子を差し入れられたら、相手はうれしいだけでなく、「ちゃんと自分を見てくれている人がいる」と、安心する思いを感じるでしょう。見返りを求めない「いたわり・ねぎらいのひと言」を

「共感のアンテナ」の感度をさらに高める方法。それが、「もので気持ちを示す」ことです。共感力の高い人、思いやりの深い人は、見返りを求めないコミュニケーションをできる人です。そして親身になって人の話を聞くことができる、聞き上手でもあります。ただ、少々「行動力」に欠けると先に書きました。もともと人の上に立つリーダータイプではありませんから、共感はできても腰が重い人も多いはずです。だからこそ、その持ち前の共感力に、「もので気持ちを示す」行動をプラスしたら、もう最強、怖いものなし!です。さっそく説明しましょう。差し入れは決して「高価なもの」でなくていい行なうのは、ごくちょっとしたことです。それは、「差し入れ」をすること。たとえば、営業先から帰社するときに、ちょっとしたおやつを職場に買っていく。出張したらご当地みやげを買っていく。あるいは、営業先にこちらの名産品を持っていく──たったこれだけです。女性の多い職場なら、甘いものを買っていけば、間違いなく喜ばれます。私のアドバイスを受けて、ある営業職の男性は、職場の女性たちに、たい焼きを10個買って帰りました。女性たちの反応はご想像の通り、笑顔、笑顔。「わぁ~、美味しそう」「いいんですか~」と大喜びだったそうです。そのとき忘れてはいけないのが、「お疲れさま」「いつもありがとうございます」といったねぎらいの言葉を添えることです。このひと言とささやかな差し入れで、職場の雰囲気はパーッと明るくなります。そして、彼はその後も、仕事がしやすくなるでしょう。なんたって、たい焼きをもらって怒る人はいませんから。ちなみにその男性が買ったのは、1個120円のたい焼きだそうです。120円×10個=1200円です。たった1200円の出費で、彼が得たものがどれほど大きかったことか。1200円なら、たとえ新入社員でも痛くない金額ですよね。1200円でこんなに変わるのか、とその変化を経験した人は、その後もこうした気くばりを続けるはずです。実は私も、会社を立ち上げたばかりのころ、寒い冬の日に、スタッフにたい焼きを買って帰ったことがあります。当時のたい焼きは1個80円。スタッフは5人でしたから、400円の出費です。もちろん今は、もう少し高価なものをおごります(笑)。でも、スタートは400円だったのです。たい焼き1個、たった120円を使ったことのない人は、おそらくずっと、人のためにお金を使うことをしない人生になるでしょう。一方、たい焼き1個で空気が変わり、まわりの自分に対する評価が変わり、人に喜んでもらえる快感を知ってしまった人は、人のために行動し、喜んでもらえることを惜しまない人生を歩むでしょう。大げさではなく、人生に影響するのです。「手間ひまかけた」こと自体が、相手に喜ばれる人間には「好意の返報性」という心理があります。これはどういうものかというと、「好意には好意で報いる」「受けた恩は返す」ということ。まずこちらから先に好意を示すことで、相手は、「何かあったら、お返しをしよう」「機会があったら、自分も好意を抱いていることを示そう」という気持ちになり、仕事がスムーズに進むことがあるのです。そして、好意を自分から先に示す手段として、もっともわかりやすいのが「もの」であり、初心者でもできるのが「差し入れ」を持っていくことなのです。差し入れは、高価なものである必要はありません。5000円を1回よりも、500円を10回のほうがいいのです。今、給料が20万円なら、そのうちの1万円を毎月誰かに使うと決めましょう。必ず、1万円以上のものがあなたに返ってくるはずです。差し入れが喜ばれるのは、自分のためにお金を使ってくれたからではありません。あなたが手間ひまかけてくれたことが喜ばれているのです。ちなみに、大阪のおばちゃんが「飴ちゃん」をコミュニケーションツールにしているのは、まさに「共感のアンテナ」の感度が高いからです。「もの」はときに、貴重なコミュニケーションツールになります。会話のきっかけにもなるので、使わない手はありませんよ。「ねぎらいの気持ち」を、定期的に差し入れで示す

おしゃれは、自分のためにするものではありません。相手に対する気くばりのためにするものです。第一印象をもっとも大きく左右するのは視覚情報、つまり「見た目」です。人は、初対面の会って2秒で、相手の印象を判断しているともいわれます。「共感のアンテナ」力が高い人は、TPOを考えた清潔感のある服装をしています。清潔感を保つことを心がけるのは、社会人として当然のマナーです。こんな当たり前のことができていない人がいます。私が普段お会いする役員や社長の方は、見た目も魅力的ですが、何より清潔感がある人ばかりです。身だしなみにはつねに注意を払っているのでしょう。たまに、中年の男性で、サラリーマンとは思えないほど不潔な感じの人がいます。スーツの肩にフケが落ち、髪はギトギトと脂ぎっていて、ひげがうっすら残り、よく見ると鼻毛が出ていたり、眉毛がつながっていたり……。また、指先を見ると、爪が伸びて汚れている人さえいます。体臭・口臭を漂わせている人もいます。「メンタルの状態」は、見た目にすべて表われる「見た目の状態」は、そのまま「メンタルの状態」です。たとえば、仕事が忙しくなると、身だしなみにまで手が回らず、途端にだらしなくなってくる人がいます。しかしそれは、「私は今、余裕がありません!」と大声で言いながら歩いているようなもの。周囲に「不安定な人だ」「心配になる人だ」「波のある人だ」と思われてしまいます。見落としがちですが、周囲に不快な思いをさせないこと、また心配をかけないことも、気くばりであり、思いやりです。朝起きたら、顔を洗い、寝グセを直し、できればシャワーも浴びましょう。一歩玄関を出る前に、誰に見られても恥ずかしくないか、必ず頭から足の先まで、鏡で身だしなみを総チェックしてから出勤しましょう。さらに、ちょっとおしゃれにも気を遣うと完璧です。たとえば、暗い色のスーツを着ることが多い人は、せめてネクタイの色を少し明るい色に変えてみたり、カフスやポケットチーフなどをおしゃれなものに変えてみたりしてはいかがでしょうか。気分も明るくなり、やる気も湧くでしょう。身だしなみが変われば、行動も変わります。その身だしなみにふさわしい自分でいようとするからです。見た目の影響は、それほど大きいのです。「指摘されない」ことほど怖い身だしなみに気をつけるだなんて、当たり前すぎると思われますか?ですが、当たり前のはずのことであればあるほど、それができていなくても、まわりは面と向かって指摘することができなくなります。目の前の相手に向かって「あなた、不潔ですよ」「あなた、ニオってますよ」「あなた、その格好はさすがにダサすぎますよ」とは、いくら思っていても言えないでしょう。周囲が指摘できない、注意できないから、本人がいつまでも気づけない、というのが怖いところなのです。そして、思っている以上に、人は「目に見えるところ」でその人の「人間性」をジャッジしているのです。これは、身だしなみに限りません。たとえば、職場のあなたのデスクは今、どのような状態でしょうか。ちゃんと整理整頓され、誰が見ても見苦しくない状態になっているでしょうか。書類が山のように積み上げられていたり、メモやファイルや文房具などが散らかっていたりしませんか。ゴミ箱からゴミがあふれてはいませんか。「自分はちゃんと仕事をしている、成果を上げているからいいんだ。それに忙しすぎて、片づけているヒマなんてないよ」と言う人がいますが、それとこれとはまったく別です。その人のデスクはその人のものではなく、職場全員の共有物です。自分の部屋のような感覚で私物化してはいけません。ひどい人だと、積み上げた書類が、自分のデスクに収まりきらずに、隣の人のデスクにまで侵入していることがあります。領域侵犯です。たとえその人が仕事ができるほうでも、「嫌な人」と思われるでしょう。でも、侵入されている側は、大の大人である同僚に向かって「ちょっと片づけてくださいよ」「邪魔なんですよ」とは言いにくいですよね。「気くばり」というと、みなさん、相手を喜ばせるだとか、いい気持ちにさせるだとか、いわば〝攻め〟の気くばりばかりをイメージしがちです。ですが、身だしなみに気を遣い、妙なニオイを漂わせない、デスクをいつ誰が見てもきれいな状態に保つといった〝大前提〟を見落としがちなのです。人は結局、「見えるところ」で判断されています。無自覚に、周囲や他人に不快な思いをさせていないか。この「自覚がない」ということが、何より恐ろしいのです。他人の目で、自分をチェックする習慣を持ちましょう。毎朝、鏡の前で「他人の目線」で自分をチェック

気くばりに必要な「論理のアンテナ」とはいつでも冷静に物事を分析し、まわりが感情的になっていたり、慌てたりしているときでも客観的に意見を述べることができる──こんな人がビジネスの場にいたら、頼りになるでしょう。「論理のアンテナ」の感度が高い人は、つねに感情に流されずに物事を判断でき、他人の感情を受け止める前に理性で考えることができます。事実に基づいて対応したり、計画通りに行動したりすることが得意なので、情熱的なリーダーの下で、あとひと押し、説得力のある説明をしたいときなど、その存在はとても重宝されるでしょう。また、独自の思考パターンを持っていて、その思考パターンに沿って理路整然と話をすることもできます。ビジネスの場面では、複雑な内容について話すときも、相手にとってわかりやすく話し、相手の頭にスッとスムーズに入るようにしなければなりません。そんな「相手に対して親切なロジック」「つねに冷静でいられるバランス感覚」も、大切な気くばり力です。一方で、まわりの人たちがにぎやかに笑っていても、落ち着いた態度をとっているため、一見すると人情味に欠け、冷たい印象があります。しかし、実際は心が冷たいわけではありません。言ってみれば、子どもたちの中に1人、冷静沈着な大人が混じっているような感じです。それゆえに、どんなときも公平で、感情的になることなく判断したり対応したりできる人でもあります。組織の中には、頑固な人、わがままな人、自己主張が強い人、自分勝手な人、人の話を聞かない人、頼りない人、自分の意見を言わない人などなど、実にさまざまな人がいますよね。魑魅魍魎と言ったら、言いすぎでしょうか(笑)。そんな組織の中に「論理のアンテナ」の感度が高い人が1人いると、散漫な雰囲気がピリリと引き締まります。では、「論理のアンテナ」を伸ばしていく方法を説明しましょう。この気くばりができると、こんな「あなた」に変わります!「、」プレゼン・説得・商談などが、1・5倍スムーズに、うまくいくようになる安定感が出る、「安心して仕事を任せられる」と思われる仕事のクオリティにムラがなくなる感情に振り回されず、いつも落ち着いていられる、忍耐強くなる

 

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