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第1章なぜ、あなたの話は「おもしろくない」のか?

はじめにスベりまくった落語家時代に学んだこと*会話が続かない*一生懸命話していても盛り上がらない*とっさになにかを言われても気の利いた返しができない*初対面の人とはなにを話していいのかわからない*プレゼンやスピーチで、聞いている人の心をつかめないもし、あなたがそのように思っているのだとしたら、ぜひこの本を読んでみてください。人見知りで笑いのセンスなし、口ベタ、話ベタの、いわゆる「コミュ障」だった私が、30年間近く放送作家を続けてこられた理由が、すべて詰まった1冊です。私の職業は、テレビ番組の構成や台本を考える放送作家ですが、かつては落語家を職業にしていました。六代目三遊亭円楽師匠(当時は三遊亭楽太郎)のもとに弟子入りしたのが今から35年前。「お笑い」。中でも、落語という江戸時代から続く伝統的で粋な「笑い」に心を奪われ、当時通っていた大学を中退しての弟子入りでした。「日本一おもしろい落語家になる!」そう決意を固めて修業を始め、前座から二ツ目に昇進はしたものの、その数年の後に廃業。その理由は至ってシンプルであり、かつ致命的なものでした。私には笑いの才能がなかったのです。それに気づいたのは、すぐ下の弟弟子が入門してしばらく経ってからのこと。演じているのは同じ噺なのに、私のほうが何倍も多くの時間をかけて稽古してきたはずなのに、彼はウケまくる。一方の私は、スベりまくって、自信を失う日々でした。日本一の落語家どころか、弟弟子にも負けてしまう──。その現実に直面し、落語家を辞めることを決意しました。ちなみに、私の弟弟子というのは、後の伊集院光氏。生まれもっての才能やセンスの違いを、まざまざと見せつけられて大きな挫折となりました。おもしろさにはルールがある!落語家の次に選んだ職業は、放送作家でした。師匠から勧められたという理由もありますが、「文章を書く仕事ならば、おもしろいことを言う必要はないのではないか?」、そんな浅はかな考えを抱いていました。ところが、こちらも私にとって極めて過酷な仕事でした。バラエティ番組はもちろん、どんな番組であっても、つまらないことしか言えない放送作家は、評価されることはありません。視聴者を笑顔にさせることに命をかける、「おもしろい人」たちがあふれ返っているのがテレビの世界ですから、当然のことです。とはいえ、笑いのセンスがないことは痛いほどにわかっています。そのままでいたら落語家に続き、放送作家としても早々にダメになってしまう、それは火を見るよりも明らかでした。ですから、私は必死でお笑い芸人の方やコメントが当意即妙で気の利いている人の話し方を研究するようになりました。「どうして、この人の話はおもしろいのだろう」、「なぜ、あの人の話はウケるのだろう」と考え続け、身の周りにいる「なぜか話がおもしろい人」の話し方も、注意深く観察してきました。また、古今東西の「笑い」について書かれた本を読み漁りました。その結果気がついたのが、「誰でもおもしろい話ができる伝え方の公式」が存在するということです。その公式はきわめてシンプル、それでいてとても奥深いもの。その原理を理解して、応用を始めてからというもの、これまでのスベりまくりがまるで嘘のように、「おもしろい」ことを考え、「おもしろい」ことを言えるようになったのです。ユーモアは最強の武器であるこの本は、ユーモアのある伝え方を身につけるための本です。「ユーモア」。この言葉には、さまざまな意味があるようですが、本書では、「日常会話や雑談で人を笑顔にするもの」と定義しています。ですから、同じ笑いでも人を小馬鹿にする「嘲笑」や「冷笑」、あるいは皮肉な笑いは含みません。また、なにも芸人のように身体を張って笑わせることではありません。言葉を使って、人を笑顔にすることです。ユーモアを身につけている人といない人では、長い人生に大きな差が生まれてくるはずです。なぜなら、ユーモアはコミュニケーションにおける最強の武器だからです。

そもそも人が笑顔をつくるのは、まだサルに近かった時代、相手に敵意がないことを示すため、口角を上げて歯を見せたことが始まりでした。そして、時は流れて21世紀の現在、今はまさに「コミュニケーション力がものをいう時代」。そしてそんな時代において、ビジネスでもプライベートでも最大の武器となるのが「ユーモア力」なのです。ユーモアを身につければ、確実に人に好かれるようになります。性別を問わずモテるようなり、出会いのチャンスが広がります。気軽に接しやすくなるため、使える情報やおトクな情報もたくさん入ってくるようになるでしょう。相手との信頼関係も深まりますので、些細なミスが許されるようになったりもします。おもしろさに「センス」はいらない!「ユーモアが武器になる」と言っても、「自分にはそういうセンス=才能がないから」と、最初からあきらめてしまう人も中にはいます。たしかに明石家さんまさんや、ダウンタウンの松本人志さんのようなプロの「笑い」は天性の才能によるところが大きいのでしょう。また、とっさにネタを振られてすぐさまおもしろいリアクションを返すような反射神経は、もって生まれたセンスに加え、プロとしての長年の経験によって磨かれたものかもしれません。しかし、この本でいう「ユーモア」に、プロの芸人のようなセンスは不要です。なぜなら、シンプルな公式を理解して、それを応用すれば、誰でも「おもしろい伝え方」はマスターできるのですから。かつての私を含め、世の中の多くの人が、ほんのちょっと工夫すればおもしろくなるはずの話をつまらなくしています。これは極めて残念なこと。ですから、この本では「話をおもしろくするための公式」と、その使い方を明らかにしていきます。ユーモアとはセンスではなく学べるもの、それを理解しただけで、あなたはすでに半分ユーモアをマスターしたようなものです。さあ、あなたもそのコツを身につけて、人生をより豊かなものにしましょう。2016年12月石田章洋

初対面でも話がはずむおもしろい伝え方の公式もくじはじめに第1章なぜ、あなたの話は「おもしろくない」のか?01NG例1ハイ・テンションで自分も周りも疲れてしまう!ムリして空回りしていませんか?内向的、口ベタな人ほど素質がある02NG例2ひとつの話がダラダラと長い!校長先生の朝礼がおもしろくない理由もっとも伝えたいことをワンセンテンスで話す03NG例3ウケを狙いすぎて外してしまう!絶対にスベらない、たったひとつの方法ハードルは、下げて下げて下げまくれ04NG例4ウケたいがあまりデリカシーに欠けるだれかを傷つける笑いはNG下ネタ、ダジャレも取り扱い注意!05NG例5「自分をかっこよく見せたい」と考えている「ちっぽけなプライド」が話をつまらなくする「ちっぽけなプライド」を捨てるには?06NG例6「おもしろい話=笑わせること」だと考えているおもしろおかしい話だけが、ユーモアではない色々な「おもしろさ」をもとうColumn1ユーモアがある人はモテる!

第2章おもしろい伝え方の公式①おもしろい人は「空気」を読む

01おもしろい人は、必ず空気を読んでいるコミュニケーションの土台は「空気を読む」ことバラエティ番組で求められるスキルとは?02そもそも、空気を読むってどういうこと?空気とは「流れ」のことであるどうやって「空気を読む」か?03観察力を鍛えれば空気は読める!観察力を鍛えよう観察のポイント空気が読めない最大の理由

04観察力が高まれば「話題」に困ることはない!話がはずむちょっとしたコツ落語家の修業は「空気を読む」修業である05空気が読めれば、コントロールすることもできる!会話は「聞くが8割」の理由空気が読めれば流れをコントロールすることもできる流れを変える〝連結フレーズ〟Column2ユーモアがある人はデキる!

第3章おもしろい伝え方の公式②今日から使えるたったひとつの〝笑いの原理〟

01そもそも、人はなぜ笑うのか?枝雀理論、「キンカンの法則」明石家さんまさんも使う〝緊張の緩和〟02なぜ、「葬式のおなら」はおもしろいのか?「キンカンの法則」とは?「笑ってはいけない」シリーズがウケる理由すべての笑いは「キンカンの法則」であるダジャレ=〝ひざかっくん〟!?「緊張→緩和」は0コンマ数秒の出来事〇実践例1緊張→緩和(倒置法)小池百合子氏の「倒置法」緊張状態を意図的につくる〇実践例2自慢→自虐自慢話を笑いに変える〇実践例3思い込み(予想)→裏切り〝裏切り〟は武器になる〇実践例4謎→解決聞き手の頭に「?」を浮かべる〇実践例5権威→失墜落差が笑いを生む〇実践例6たとえる→結びつく「おもしろい人」は「たとえ」がうまい!距離があるものにたとえるほどおもしろくなる〇実践例7たとえ→ツッコミ(ツッコミ→たとえ)「たとえ」と「ツッコミ」のハイブリッド〇実践例8ノリ→ツッコミリアクションしづらい時は、いったん乗ってみる〇実践例9あるある→ツッコミ〝あるあるネタ〟にたとえようColumn3おもしろい話の組み立て方

第4章おもしろい伝え方の公式③今より2倍おもしろくなる「伝える技術」

01「映像化」すれば、同じネタでも2倍おもしろくなる!松本人志さんの話はなぜおもしろいのか?描写すれば、相手の頭に映像が浮かぶうまく描写するための、たったひとつのコツ映像化こそコミュニケーションの極意落語に学ぶ映像化の技術02伝え方に臨場感が生まれる「オノマトペ」の魔法映像化の最強の武器、オノマトペを味方にしようオノマトペはマンガに学べ!オノマトペを使いこなすコツ03ディテールが「おもしろさ」をつくる映像化して伝えるもうひとつのポイント体験談をおもしろく伝えるには?落語に学ぶセリフの演じ分け04映像は、多少デフォルメするからおもしろい!デフォルメ、演出、盛り方でもっとおもしろくなる!正しい話の盛り方──9割は事実、残りはウソ

第5章シチュエーション別おもしろい伝え方

01おもしろい「雑談」は落語のマクラに学べ!雑談力のヒントは落語にある!落語家はどうやってマクラの話題をつくっているのか聞き手のレベル、コンディションを見極める雑談とは本題につなげる「フリ」である02おもしろい「SNS」はあげてオトす!おもしろくなれば「いいね!」が集まる03おもしろい「スピーチ」はウケを狙わない!ビートたけしさんの爆笑スピーチスピーチでは、ウケを狙わないほうがウケる04おもしろい「自己紹介」はギャップがある!「キンカンの法則」を自己紹介に活かす05おもしろい「プレゼン」は、テレビショッピングに学べ!人は、商品よりも「未来」を買うTEDに学ぶ「プレゼン×ユーモア」Column4ユーモアがある人はアイデアマンだ!

第6章今よりもっとおもしろくなる!おもしろい人の習慣

01おもしろい人は、日頃からネタを集めているおもしろい人が「おもしろい出来事」を引き寄せる理由メモの習慣が、あなたをもっとおもしろくする!02おもしろい人は、想像力を鍛えている読書の習慣がユーモアを鍛える想像力を鍛える最強のトレーニング・ツールは「落語」03おもしろい人は、「知識」をたくわえるなぜ、おもしろい人は気の利いた返しが即座にできるのか「今」にフォーカスして情報を集める04おもしろい人は、「客観力」を鍛えているメタ認知がユーモアを鍛えるメタ認知の能力を鍛えるコツおわりに

やってはいけない!〝おもしろくない話〟の共通点どうすれば、おもしろい話ができるようになるか?その秘密の公式を明らかにしていく前に、まずは話をつまらなくしている原因を分析していきましょう。「おもしろくない話」をしてしまう人の多くは、ここで紹介するタブーを知らず知らずのうちに犯してしまっています。そのせいで、おもしろくなるはずの話題を、台無しにしているのです。これから挙げる6つに気をつけるだけで、少なくともマイナスの状態からスタートすることは避けられるはずですよ。

01NG例1ハイ・テンションで自分も周りも疲れてしまう!

ムリして空回りしていませんか?みなさんの周りに、こういう人はいませんか?・やたらとハイ・テンションで話してくるけれど、話に中身がない・たたみかけるように話されて、聞いていると疲れだけが残るこれは、「おもしろくない」伝え方の特徴のひとつ。「おもしろい話」と聞くと、元気いっぱい、明るく、ハイ・テンションな人の話を想像してしまいがちですが、私たちが目指すのは、そうした人と真逆のポジションです。おもしろい伝え方をするために、ムリにテンションを上げて話す必要はありませんし、むしろ普段はロー・テンションで構いません。滅多に出られないテレビに張り切る、無名の若手芸人がそうですが、そもそもハイ・テンションな人は、空回りしがちです。それに、ビジネスシーンなどの日常でハイ・テンションでいると、やたら調子がいいだけの未熟で軽薄な人物と思われかねません。こういうタイプの人は、せっかくおもしろくなる話をムリしたハイ・テンションのせいで台無しにしています。勢いはあっても中身のない、おもしろそうに見えてつまらない伝え方なのです。内向的、口ベタな人ほど素質がある四六時中おもしろい話をする必要はありません。目指すのは、普段は自然体でいながら「ここぞ」という時にサラッと話すひと言で、人を笑顔にすることです。たとえるならば、ボクシング。手数を少なくして、相手が繰り出してくるパンチをかわしながら、「ここだ!」といった時に、一撃必殺のカウンターパンチを放つ、そんなイメージです。極めて少ない言葉数で、おいしいところをもっていくのが理想です。じつはそもそも、陽気なお調子者よりも、「自分は内向的だ」、「暗いと思われている」、「口ベタだ」などと思い込んでいる人のほうが、おもしろい話をするための資質に恵まれているのです。そうした人は少しおもしろい話をしただけでも、キャラクターとのギャップで人を笑顔にしやすいからです。「自分にはコミュニケーション能力がない」と自信をなくしている人にもピッタリの伝え方のコツを、次の章以降で解き明かしていきますので楽しみにしていてください。POINT「ここぞ」という時に、サラッと話すひと言で笑いをとれ!

02NG例2ひとつの話がダラダラと長い!

校長先生の朝礼がおもしろくない理由本人はいかにもおもしろそうに、一方的に話し続けているものの、聞いているほうはうんざりしている──そういう場面をよく見かけます。厄介なことに、そういう人に限って、こちらがうんざりしていることになかなか気づいてくれません。たとえるならば、校長先生の朝礼での話。5分、10分とオチのないおもしろくもない話を聞かされ、次第に身体に乳酸がたまってくるかのような疲労感を覚えた経験をしたことのある方は多いはずです。「おもしろい話」をしたいなら、ひとりで話し続けるのはタブー。むしろ相手に積極的に話をさせるのです。そもそも一方的に話し続けてしまうのは、人は本能的に話を聞いてもらうことが大好きだから。それを逆手にとって、会話の8割は相手にしゃべらせればいいのです。よく言われることですが、聞き上手はコミュニケーション上手なのです。それは、おもしろい話をする時にも言えることです。もっとも伝えたいことをワンセンテンスで話すたとえば次に紹介するような話は、長くて聞いていられません。「昨日友だちの×美に誘われて、ベリーダンスのレッスンに行ったの。ダイエットにいいって言うから。渋谷の雑居ビルの5階にスクールがあるんだけどね。入ったら先生がフランス人で結構グラマーなのよ。ルイーズっていう名前なんだけど、その先生が言うにはベリーダンスはフランス語で腹踊りなんだって。それでレッスンが始まったら……」昨日のベリーダンス体験を1から10まで話そうとするとこうなってしまいます。これは優先順位をつけずに話している証拠。スクールの場所や先生の名前といった情報は、優先順位が低いはず。そうした情報はあとで話せばいいのです。なにを一番言いたいのか、優先順位をつけましょう。そして、ワンセンテンスにひとつだけ、言いたいことを短く伝える習慣をつけましょう。先の例なら……「昨日はじめてベリーダンスをやったんだけど、あれって要するに腹踊りなのよ」一度の話はこれくらいで止めておいて、相手のリアクションを待ちましょう。会話のキャッチボールに持ち込み、相手にも話をさせるのです。FCバルセロナの華麗なチームプレーのポイントは、コンパクトなパスワークにあります。ボールをキープする力よりもパスの技術が世界最強レベルのチームをつくっているのです。会話もそれと同じ。ひとりで話をキープしていないで相手にパスを渡し続けましょう。なにより、言葉は意味を凝縮したうえで、短くすればするほど強くなります。パワーをもつのです。おもしろい伝え方をしたいなら、言いたいことをひとつに絞って、短い言葉で伝えるよう心がけましょう。POINT言いたいことをひとつに絞って、できるだけ短く話す!

03NG例3ウケを狙いすぎて外してしまう!

絶対にスベらない、たったひとつの方法「スベる」。芸人にとってこれほど恐ろしいことはありません。もちろん私たちは、プロの芸人ではありません。それでもスベるのはやはり気まずいものです。空気を読まないギャグを言ってスベったあとに、「うわっ、スベったー!」などと自らフォローする人もいますが、それは逆効果。「スベったうえにウザい奴」と思われます。よほど心が強くないとそんな冷たい周囲の目には耐えられないでしょう。でも、安心してください。この本をお読みいただいたあなたは、決してスベることはありません。この本で紹介する伝え方の公式では、ウケを狙おうとはしないからです。そもそも、「スベる」のは、笑わせてやろうと考える下心から、ウケを狙いにいき、外してしまうから。あからさまにウケを狙って、ウソっぽいつくり話をしてみたり、芸人のフレーズをマネてみたりするなんてもってのほか。スベりたくなければ、ウケを狙わなければいいのです。ハードルは、下げて下げて下げまくれウケを狙おうとする下心は、聞き手に伝わるものです。下心が伝わると、期待値が上がり、そのせいで、おもしろくなるはずの話もつまらなくなってしまうのです。そう考えると、話を切り出す時に、「この前、すっごくおもしろいことがあってさ」などと、いきなり聞き手の期待値を上げるのは避けたほうがいいのは当然のこと。話そうとしていることがほんとうに爆笑を誘うものであればいいのですが、少々おもしろいエピソードを話すだけでは、すでに期待値が上がった相手はがっかりするだけです。また、笑いながら話すのもNG。これも、聞き手は冷めてしまいます。話が盛り上がったあとでなら、笑いながら話してもいいのですが、最初はマジメな表情で切り出しましょう。マジメな表情なら、ウケを狙っているとは思われません。それに、マジメな顔でおもしろいことを話すというギャップが笑いを生むのです。あたかも自然体で発したかのようなひと言で人を笑顔にする。私たちが目指すのは、そんな笑いです。POINTウケようとする下心、ムダに上げたハードルが話をつまらなくする!

04NG例4ウケたいがあまりデリカシーに欠ける

だれかを傷つける笑いはNG私たちが目指すのは、あくまで周囲を笑顔にして楽しい気分にさせるため、あるいは落ち込んでいるだれかを勇気づけたり、場の暗い雰囲気を明るく変えたりするための笑いです。ですから、だれかを傷つける皮肉や、シニカルなジョーク、嫌み混じりの冗談は慎むようにしましょう。そうしたジョークは、一瞬の笑いを生むかもしれません。しかし、ネガティブなジョークを言う人は、器が小さく、底が浅く見られてしまいがちです。もちろん芸人の中には、毒舌や〝キレキャラ〟で人気を呼んでいる人もいます。しかし、それは「芸」。毒舌を吐いても憎まれないキャラクターや話術を身につけたうえで、世間の声を代弁するかのような毒舌を吐くからウケているのです。私たちがそれをマネすると、大ケガをすることがあるので気をつけましょう。政治や宗教、病気といったセンシティブなテーマを笑いにもっていくことも避けてください。「この話でだれか傷つく人はいないだろうか?」ユーモアを言う前に、そう確認する習慣をもつことも大人のたしなみです。下ネタ、ダジャレも取り扱い注意!毒舌と同様に、慎みたいのが「下ネタ」。気の置けない仲間同士で飲んでいる時などは、下ネタを話題に盛り上がることもあるでしょう。なにしろ〝性〟は、ある種のタブーであり、共通の話題にして笑い合うことで、開放感や連帯感を味わえるからです。しかし、それほど親しくない異性が同席している場所では、避けたほうが賢明です。あなた自身の品性を傷つける可能性が極めて大きいからです。その場では笑顔で聞いてくれているように見えても、心の底で生理的な嫌悪感を覚えている場合が多々あることを胸に刻んでおきましょう。使い古されたようなダジャレも同じ。なぜならダジャレは、おもしろくもないのに、聞かされた人に笑いを強要するような、ある種の強制性を秘めているからです。特に部長・課長など、立場が上の人が突然発する「ダジャレ=おやじギャグ」は聞かされた人がどうしたらいいのか、戸惑ってしまいます。「相手や周囲を楽しくするのがユーモアである」という目標に立ち返れば、相手に心理的負担をかけてしまうダジャレがルール違反なのは当然と言えますね。ただし、ダジャレには知られざる効果があります。それは、相手の肩の力を抜いてリラックスさせること。日常では脱力してしまうダジャレも、緊張した場面では、むしろそれがリラックスさせる役割を果たすのです。そんなダジャレの脱力効果をうまく利用していたのが、なでしこジャパンを率いていた元サッカー日本女子代表監督、佐々木則夫氏でした。佐々木氏はワールドカップでの試合のハーフタイムでも、おやじギャグをとばしていました。それが選手の力んだ身体と心をリラックスさせていたそうです。おもしろいことを言おうと、ムリしてダジャレを連発する人もいますが、使用上の注意をよく考え、用法・用量を守って正しく使いましょう。POINT「毒舌・下ネタ・ダジャレ」を安易に使うと大ケガをする!

05NG例5「自分をかっこよく見せたい」と考えている

「ちっぽけなプライド」が話をつまらなくするからかわれたり、いじられたりすると、カッとなったり、ムキになって反論する人を見たことがありませんか?一方で、悪口のようなブラックジョークにも、ネガティブな反応をすることなくユーモアあふれる言葉を笑顔で返すことができる人もいます。両者の違いはどこにあるのでしょう?おそらく前者は、プライドが高い人なのでしょう。もしくは、自分に自信がもてなくて、心に余裕がないのかもしれません。話をおもしろくしたいと考える人にとって最大の敵となるのは、「ちっぽけなプライド」です。ひとくちにプライドといっても、もつべきプライドと捨てるべき「ちっぽけなプライド」の2種類があります。信念や誇りといったポジティブなプライドはもち続けるべきですが、自分を大きく見せたいといった「見栄」や「強がり」、「傲慢さ」からくる「ちっぽけなプライド」は、今すぐ捨てるべきです。かつての私自身がそうでしたが、この「ちっぽけなプライド」は、自分に対する信頼感のなさの裏返しである場合が多々あります。自分にコンプレックスがあるからこそ、「ちっぽけなプライド」という鎧を身に着けて、自分を守ろうとしているわけですね。だからちょっとしたからかいやいじりにも過剰反応してしまうのです。ちっぽけなプライドにこだわる人は、自慢話や言い訳が多かったり、なにかアドバイスを受けても「いや」、「でも」と言葉を返したりするため、周囲から近寄りたくない面倒な人と思われてしまいます。「ちっぽけなプライド」を捨てるには?「ちっぽけなプライド」を捨てるだけでコミュニケーションは驚くほど改善します。では、どうすればちっぽけなプライドを捨てることができるのでしょうか?その方法のひとつが、失敗談や自虐ネタを積極的に話すこと。「そんなのかっこ悪い」と思っているうちは、まだまだちっぽけなプライドにとらわれている証拠です。自分が他人からどう見られているかなど、気にしてもしょうがありません。あなた自身が思っているほど、他人はあなたのことを気に留めてはいないのですから。そう考えて心を開けば、からかわれたり、いじられたりしても、ネガティブな反応をすることがなく、ユーモアあふれる言葉を笑顔で返すことができるようになるはずですよ。そのコツも、この本の後半で紹介していきますので、ぜひ使ってみてください。POINT「ちっぽけなプライド」を捨てるだけでいまより絶対におもしろくなる!

06NG例6「おもしろい話=笑わせること」だと考えている

おもしろおかしい話だけが、ユーモアではない「おもしろい話」と聞くと、つい「おもしろおかしい笑える話」をイメージしてしまいがちです。しかし聞く人にとっての「話のおもしろさ」の判定基準は、「笑えるかどうか」だけではありません。結末が気になる話や、思わず感動してしまう話、知的好奇心をくすぐられる話や、身の安全に関わる話、「こうすれば稼げる」といった儲け話にも、人は興味を示します。テレビ番組でもそうです。バラエティ番組だけが視聴者にとって「おもしろい」わけではありませんよね。古代文明のミステリーに迫る番組も「おもしろい」ですし、権力闘争をくり返す首長と議会を報じる報道番組だって「おもしろい」。人によっては人間の性を感じさせる芸能人のスキャンダルや、人間の業や心の闇を感じさせる事件や事故などを報じるワイドショー番組に興味をもつかもしれません。この本で言う「おもしろさ」も、〝funny(おもしろくて笑える)〟や〝hilarious(超ウケる)〟といった滑稽さだけを示す言葉ではありません。もっと広い意味、〝interesting(興味深い)〟、〝attract(惹かれる)〟などといった、幅広い意味での「おもしろい」を含むものであるとご理解ください。単に笑える話よりも、もっと奥深い「おもしろさ」を目指していきましょう。色々な「おもしろさ」をもとうそもそもユーモアは、〝human(ヒューマン=人間)〟が変化して〝humour(ユーモア)〟になったといいます。だからこそユーモアには、単に「笑える」、「おかしい」といった、いわゆる滑稽さの要素だけではなく、人間の生活の中ににじみ出る矛盾やおかしさを、寛大な態度で笑い飛ばして、楽しむような側面もあるのです。「おもしろい話」を「他人を笑わせる話」だと思い込んでいるとハードルが高くなってしまいます。幅広い意味でのユーモアで人を笑顔にしましょう。それが、あなた自身の人間の幅を広げ、周囲の人を惹きつける人間的な魅力につながるのです。POINTさまざまなタイプの「おもしろさ」を武器にしよう!

Column1ユーモアがある人はモテる!女性にも男性にもモテる!ずばり、ユーモアがある人はモテます。異性からはもちろん、同性にもモテる、つまり多くの友人に恵まれるのです。多くの部下を抱える上司であれば部下にモテる、つまり信頼されるようになります。明治安田生命保険が毎年、新社会人を対象に調査している「理想の上司」アンケート。2016年は、理想の男性上司のベストテンの大半をお笑い界の大御所、明石家さんまさん、笑福亭鶴瓶さん、所ジョージさんといった人気タレントが占めています。これはやはり、人々がユーモアのセンスをもつ「おもしろいリーダー」を求めている証でしょう。若手社員であれば、上司や先輩社員からモテる、つまり可愛がられるようになるのです。憎たらしい部下よりも可愛い部下を重用したいのは、世の習い。つまり出世のチャンスにも恵まれるでしょう。理想の結婚相手は「おもしろい人」「おもしろい人」はなにより異性にモテます。イギリスのサイト「Telegraph」によると、アメリカの研究者が250人の学生を対象に行った調査では、男女ともに「長期的パートナーを選ぶ条件」の第1位に〝ユーモアセンスがあること〟が選ばれたそうです。確かに長い人生を一緒に過ごすなら、いつも不機嫌で苦虫をかみつぶしたような顔をした相手よりユーモアで笑い合える伴侶のほうがいいですよね。なぜ、おもしろい人はモテるのか?ではなぜ、ユーモアのある人はモテるのでしょうか?その理由は、ユーモアのある人に共通する、ある特徴にあるのかもしれません。その特徴とは「相手の気持ちをよく理解でき、状況に合わせて柔軟に対応できること」です。ユーモアのある人は、さまざまな状況に合わせて柔軟に対応できます。ですから、長い人生の中で不意に直面するさまざまな変化や試練にも対応できる能力が高いのです。そうした人がモテるのは、当然と言えば当然のことですね。モテるためには、どんなにオシャレをするよりも、ユーモアを身につけたほうが効果的なのです。あなたもぜひ、周囲を笑顔にする力をマスターして、モテモテになってください。

おもしろい伝え方の公式とは?ここからはいよいよ「おもしろい伝え方」のノウハウに入っていきます。この本で紹介する笑いを生み出すためのシンプルな公式。それは・・・空気を読む×笑いの原理×伝える技術覚えていただくのはこの3つだけです。とにかく、「場の空気を読む」ことがすべての土台。そのうえで「笑いの原理」を理解して、「伝える技術」を使って効果的に伝えるのです。あらゆるシチュエーションに応用可能ですが、原則はとてもシンプルです。それでは早速、「場の空気を読む」ノウハウから見ていきましょう。

 

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