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成果が上がるマニュアルの作り方②

目次

8つの要素とフォーマット

「業務作業分類表」をもとに、ここからは実際に原稿を作成する方法について説明していきましょう。まず、構成要素の書き方や表記方法などの統一です。これがバラバラだと、見づらい・分かりづらい・見てくれが悪い、といったことになり、マニュアルの完成度が低くなります。しっかり習得することが、原稿作成の第一歩です。

8つの構成要素でまとめる

(1)4つの基本要素前述したように、マニュアルには4つの基本要素が必要です。

①目的目的を明確にすることは非常に重要です。たとえば、マニュアルに「○○作業を10分で終える」と書かれていると、作業者は「10分で終える」ことが目的になり、時間を最優先にしてしまいます。これがお店であれば、目の前に来たお客様に気づかなかったり、挨拶もおろそかになりがちです。また、自分がしている作業が、何のためになるのか、全体のどの部分になるのかなどが分からないまま作業することにもなります。すると、マニュアルは「機械的な作業指示書」になってしまいます。こうした事態を防ぐためにも、目的を明確に書くことが必要です。「~することで、お客様に○○していただきます」「お客様に○○するために、~します」→お客様の視点を必ず入れる<作成例>商品の補充作業──「お客様にお買い物を楽しんでいただくために、商品の補充を行います」クレームの対応──「的確な対応を迅速に行い、お客様の信頼を取り戻します」

②達成基準達成基準は、どこまでやればよいのか、どうなればよいのかを明確にします。ゴールが見えない、アウトプットのイメージが分からないようなものでは、その作業を習得する意欲が減退します。OK基準、出来映え基準、合格基準としての達成基準は、非常に重要な基準です。また、達成できたかどうかの評価をする必要があるので、できる限り数値化して記述するようにします。「~ができます」「~をしています」<作成例>「○○の原因を特定できます」「○○を30㎝の高さに揃えて陳列しています」達成基準は、マニュアル通りにすれば、誰でも同じようにできる、という基準でなければなりません。つまり、目的・生産性基準・手順を踏まえて実施すれば、必ずできることが条件です。検討するときは、「~ができます(か)」のように、末尾に「~か」を入れて考えると、評価ができるか分かるので、作成しやすくなります。

③生産性基準生産性基準は、作業にかかる何分、何回などを明確にすることで、作業の生産性や効率を高めることができます。作業を行ううえで、標準時間や所要時間という目標としてのこの数値は非常に重要です。作業開始から終了まで10分かかる場合「10分」または「10分(1件)」2枚を10分で終了する場合「2枚ごとに、10分」または「5分(1枚)」生産性基準は、たとえば「企画書の作成」といったクリエイティブな作業の場合でも、できる限り数値化して明記するようにします。これまで曖昧だった作業や時間の制約がなかった作業などに、この生産性基準を持ち込むことによって、ムダ・ムラ・ムリをなくすことができるようになります。前述した「人によってバラバラ」という問題は、そのやり方を統一することはもちろんですが、その作業にかかる時間を明確にすることによって、より手順の統一を進めることができます。筆者の経験でも、小さな会社ほど、この生産性基準がない、時間が規定されていない作業が驚くほど多いです。担当者任せになっていては、なかなか明確にできないことですが、この機会にぜひ取り組んでほしいと思います。

④手順手順は、その作業(行動)を行う「ステップ(流れ)」と「動作手順・ポイント」の2つで構成されます。この2つで、その作業(行動)のすべてを明確にします。<ステップ>その作業の動作イメージがつかみやすいように、「動詞(~する)」で記述します。ステップ全体を見れば、その作業の全体の流れが分かる。つまり、どのような流れで作業をすればよいかが一目で分かるように記述する必要があります。このステップは、その作業の柱(背骨)になるので、非常に重要です。作成する上では、作業名・目的をもとに、作業の流れやイメージをふくらませるまず作業のフローを作成し、そこからステップに落とし込む一つのステップごとにケイ線を入れ、ほかのステップと区別する各ステップの情報の質・レベルの整合性をチェックするなどに注意して作成していくことが必要です。また、作成していると、ステップの数が多くなりすぎて、マニュアルが複数枚になってしまうことがあります。その場合は、作業(項目)を2つに分けるなどの検討をします。作業を分けた場合には、それぞれにサブタイトルをつけます。

たとえば、「玄関の清掃」という作業を、「玄関の清掃──掃き掃除(編)」「玄関の清掃──拭き掃除(編)」と記述します。これは、1つの作業(項目)に情報を詰め込みすぎない、ということです。1つの作業(項目)に情報量が多いと、理解しづらいマニュアルになるからです。目安としては、7ステップ以上、枚数が5枚以上になるようであれば、要チェック、ということになります。ステップ数が多い場合の対応としては、その作業の最初に「ステップフロー」を載せるという方法もあります。ステップフローには、全ステップとそれぞれの標準時間を記述するようにします。こうすることで、ステップ数が多く(枚数が多い)ても、これを見れば作業全体の流れ・項目が一目で分かるようになります。<手順・ポイント>手順・ポイントには、実際に行う作業や行動の手順、ポイントなどを記述します。いわば、マニュアルの“本文”にあたります。ここで注意しなければならないことは、「これぐらいは分かるだろう」という作成する側の当たり前を疑うことです。ここを具体的に書き込むことが、マニュアルの精度を左右すると言っても過言ではありません。手順・ポイントは、「~をします」という表現で記述します。ここでは、作業(行動)を細かく分解して、「何を・どのように」ということを分かりやすく順を追って記述していきます。繰り返しますが、このことを常に意識しておかないと、非常に抽象的な文章、作成した本人しか分からな

い手順になってしまうので、注意してください。作成上の注意点は以下の通りです。文章の頭に、①、②……と番号をつける(さらに下位になる場合は、1)、2)……)必要なセリフや図表、写真、イラストなどを入れる注意点、禁止事項などもここに載せるなお、行動や動作とセリフは、分けて記述します。①お客様がいらしたら、笑顔で「いらっしゃいませ」とあいさつします。→①お客様がいらしたら、笑顔であいさつします。「いらっしゃいませ」また、この手順の番号、①、②……は、1ステップに3つ、多くても5個程度を目安に整理します。1ステップの中に手順があまり多くては、理解しづらいマニュアルになってしまうからです。番号が多い場合には、といったことを検討します。

いずれにしても、手順の記述は、何人もの人が関わったり、具体化に時間がかかったり、と変更が多くなる作業です。原稿のフォーマットに落とし込む前に、一度作業手順だけの検討をしておくと、効率的に作業を進めることができます。以下の「手順」整理表は、頭の中を整理したり、メモ代わりに使うこともできるものです。(2)4つの必要要素4つの基本要素にプラスして、さらに4つの必要要素があります。

⑤用具(準備物)用具(準備物)は、文字通りその作業(行動)をする際に、必要とする道具や資料です。ただし、ここには当たり前のもの(筆記用具、消しゴムなど)は記述しません。また、ここに記述したものは、本文で必ず取り扱うことが基本です。実際に作成されたマニュアルを見ていると、「手順・ポイント」の中に、用具で書かれていた資料がなかったり、逆に「手順・ポイント」で使われている用具がここに記述されていなかったりする、といったケースが多々見受けられます。「手順・ポイント」をしっかり確認して、ヌケ・モレがないように注意しましょう。また、記述する際は、呼称や短縮したものではなく、正式な名称で記入することが必要です。たとえば、採・面シート→採用・面接チェックシート言葉として長い場合には、「採用・面接チェックシート」(以下、採・面シート)と断って、本文で使用するようにします。会社にはさまざまな帳票類や各種シート類などがあります。この呼称を統一しておかないと混乱が生ずる恐れがあります。以前、マニュアル作成のメンバーが「チェックシート」と呼んでいたものが、ある人は「売上チェックシート」であり、ある人は「利益チェックシート」、またある人は「活動チェックシート」など、バラバラな呼称を使っていたことがあります。呼称の統一は、内容を踏まえて明確にし、それを全体で共有しておくことが重要です。

⑥発生(実施)時期発生(実施)時期は、この作業(行動)がいつ発生するのか、いつ実施すればよいのかなど、その時期やタイミングを明確にするものです。たとえば、「開店中」「毎月10日の15時」「納品時」などと書きます。また、不定期に発生するものなどは、「随時」「その都度」と記述します。この発生(実施)時期は、複雑に入り組んだ業務(作業)を時系列で整理するときに役立ちます。また、重複する作業の整理や作業を集約する際にも活用できます。生産性基準と同じく、業務(作業)の生産性を高めるうえでの有効なチェック基準にもなります。

⑦全体の注意点・ポイントここには、一連の作業(行動)で大切な心構え、留意点、全体的なポイントなどを記述します。全体の注意点・ポイントは、「~します(~です)。」と書きます。作成上の注意点としては、次のとおりです。本文(手順・ポイント)で扱えるものは、入れない短く簡潔にまとめるあまり量を多くしない《全体の注意点・ポイント(例)》誤字・脱字に留意し、正しい日本語で入力します。一つひとつの情報を、モレなく間違いなく登録します。個人情報の取扱いには十分注意し、外部の人に見せる・口外することは、厳禁です。

⑧その他「手順・ポイント」の記述で使用する、写真、図表、帳票類、PCの画面、イラストなどのことです。具体的な動作や位置、シートの記入箇所、間違いやすい資料などを示すときに使うと効果的です。使用する場合は、本文のセンターか右寄せに載せます。そのほうが見やすいからです。

ただし、注意しなければいけないのは、安易に使用・多用しないことです。再現性を高め、内容をより正しく理解してもらうために、効果を考えて入れることが大切です。よく「写真だらけのマニュアル」を見ますが、写真や図表類は、期待するほど雄弁ではありません。内容やポイントなどをよく検討してから、写真や図表類を活用することが必要です。その意味で、最初は文字だけで原稿を作成し、理解できるかを検討してから、最後に写真や図表類を使用するようにしましょう。これまで紹介してきた、8つの構成要素(4つの基本要素+4つの必要要素)が原稿作成の核になります。原稿を何枚か書いているうちに、自然にこの書き方を身につけることができます。この統一された表記方法で作成したマニュアルは、「活用・作成・改訂」のサイクルを回すうえでも非常に重要になってきます。2注意したい作成例(1)「基本要素」の注意したい作成例基本要素を記述するうえで、よくある間違い例・注意したい例を次に紹介します。<目的>①「何のために、なぜ」が不足する例)○○を作成します。⇒△△のために○○を作成します。例)○○に知らせます。⇒△△になるので○○に知らせます。②何行にもわたる長い記述になってしまう例)お客様には、品質チェックをしっかり行い、梱包や包装に至るまで、十分に検討してお届けすることが大切です。⇒お客様に安全で安心していただけるように、商品をお届けします。③内容が抽象的で、具体的な作業(行動)が分かりにくい例)お客様に満足していただきます。⇒お客様に満足していただくために、品出しを

開店5分前に完了します。④複数の作業(行動)が入り、「何のために(目的)」が分かりにくい例)早番・遅番のシフトを作り、スタッフの要望を入れて調整し、シフト表を作成します。⇒お客様をお待たせすることがないように、スタッフのシフト表(早番・遅番)を作成します。⑤目的と達成基準を間違えている例)受講者に渡す書類を確実に準備できます。⇒不足しないように、翌日のセミナーで使用する書類を準備します。⑥主語が明確になっておらず、述語が不正確例)販売員にふさわしい身だしなみを身につけます。⇒(店長は)販売員にふさわしい身だしなみを身につけさせます。<達成基準>①表現が作業になっている例)○○を作成します。⇒○○を作成することができます。②「……こと」は、不要例)参加者に配付すること。⇒参加者に配付しています。③否定形は使わない(~できます、~しています)例)現金の過不足がない。⇒過不足なく現金処理ができます。例)作業の遅れがない。⇒作業の遅れがないように、配付しています。④できる限り数値化する例)箱を目の高さに積むことができます。⇒箱を約1.5mの高さに積むことができます。⑤文章が長すぎる例)応募者=お客様ということを意識し、会社の評判を下げないように面接することができます。⇒決められた手順に従って、面接ができます。

<ステップ>①名詞で終わらせず、行動・動作で表現する例)○○の確認⇒○○を確認する(させる)②何行にもわたる長い記述は、まとめてシンプルに表現する例)請求伝票を見ながら、請求金額を間違わないように慎重に入力する⇒請求金額を入力する③複数の作業がある記述は、ステップ1つに、1つの作業にする例)発注書を作成し、業者別に発注する⇒ステップ1発注書を作成するステップ2業者別に発注する④行動や動作が分かりやすいように、シンプルに表現する例)原稿を修正するための準備をする⇒原稿を確認する(チェックする)例)スケジュールを会社と共有する⇒スケジュールを会社にメールする(連絡する)⑤作業の最後までをステップにする例)ステップ5印刷する……これで終了?⇒ステップ5印刷するステップ6保管(保存)する⑥ステップ1つだけの作業は、ステップにしない例)ステップ1日程を登録する……1つのステップで、手順が続く⇒【日程を登録する場合】①○○○……手順を記述する⑦ステップ1つの作業が多い場合、ステップを分解する例)ステップ1説明会を準備する……手順が延々と続く⇒ステップ1会場を手配するステップ2参加者を確認するステップ3資料を準備する

<手順・ポイント>①行動(動作)とセリフを混在して記述しない例)参加者が会場に来たら、「おはようございます!」と元気よく迎えます。⇒参加者が会場に来たら、元気よく迎えます。「おはようございます!」②作業(行動)を分解して、「どのように」を明確にする例)○○を確認します。⇒○○を□□と△△で確認します。確認方法が多い場合は、⇒○○を確認します。<確認方法>1)○○2)□□3)△△③「誰が」「どこに」「何を」が抜ける例)必要な備品を準備します。⇒その日の当番が、必要な備品を準備します。例)備品一式を持って、行きます。⇒備品一式を持って、3階の管理室に行きます。例)会議を始める前に、確認します。⇒会議を始める前に、全員のシフト表を確認します。④内容と写真や図表などが違う例)上司、システムと物流の担当者のサインをもらいます。⇒サイン欄が、2つしかない……×例)3日以内に、商品を納品します。⇒画像は、5日後になっている……×⑤作業(行動)の手順に、ヌケ・モレがある①スケジュールを入力します。②上司の承認をもらいます。⇒①スケジュールを入力します。②間違いがないか、原稿と照合します。③一部印刷します。④上司の承認をもらいます。ここで紹介した例は、筆者がお手伝いしている会社のマ

ニュアルづくりでよくあるものです。「ついつい」「何気なく」などのうっかりミスもありますが、「いつもやっていること」、つまり、「自分の当たり前」で書いてしまうことから生じるものばかりです。作成に当たっては、「自分の当たり前の手順」を常に疑うということが、非常に重要です。作業(行動)を分解して考えることは新しい気づきにもつながり、それが改善へと結びつくことが多いものです。3基本フォーマットで統一する(1)フォーマットの重要性さまざまな内容をマニュアル化するためには、統一したフォーマットが必要です。フォーマットが決まっていないと、作成するのに非常に時間がかかるページごとにレイアウトなどを考えなければならない情報の整理方法も人によってバラバラになる盛り込む情報のヌケ・モレが起きやすい見た目の分かりやすさ、理解のしやすさが人によって違う完成したマニュアルの統一性が出ない活用段階での教え方にバラツキが生ずるなどいろいろな不都合が出てきます。では、実際にフォーマットが明確な場合とそうでない場合の違いを見てみましょう。図33は、文章だけのマニュアルとステップや手順・ポイントに分けて整理したマニュアルとの違いです。一目瞭然だと思いますが、フォーマットが決まっていれば、対応する流れやステップごとにどのようにしたら良いのかが、明確になります。見やすさ・分かりやすさが違います。

もう一つ例を見てみましょう。図34のAとBは同じ内容を記述したものですが、フォーマットを明確にすることによって、見やすさ・分かりやすさが格段に向上します。また、行動や動作も具体的に整理して記述できます。

さらに、Aの例では、教え方も人によってバラバラになりますが、Bでは教え方のパターン化ができるのも、一つの特徴です。①、②……の順番で教えていくことで、教え方のバラツキも防ぐことができるのです。フォーマットによって、教え方のパターン化もできる。フォーマットを明確にすることは、作成のみならず、活用段階でも、非常に重要だといえます。ただし、どんなフォーマットでも良いわけではありません。良いフォーマットとは何かについて、次に考えてみましょう。(2)効果的なフォーマットの条件効果的なフォーマットの条件は、作りやすい、使いやすい、見直しがしやすいの3つです。それぞれ説明します。①作りやすい作成するときに悩みやすいのは、何を・どこに・どのように、書けばよいのか、ということです。そのために、内容に合わせていろいろレイアウトを検討

します。その結果、ページごとの内容の過不足やバラツキが生じたりします。どこに何を書けばよいかが分かるということは必須です。②使いやすい使いやすさを考えるうえで重要なことは、習得しやすい・教えやすいということがまず挙げられます。そのためには、どこに何が書いてあるのか一目で分かる、その作業の全体像や流れ・動き方などが具体的に把握でき、作業(行動)が起こしやすい点が重要になります。その作業(行動)にとっての必要事項がモレなく、まさに網羅されているということです。そして、それらが決まった位置(場所)に書かれていれば、非常に使いやすいマニュアルになるということです。③見直しがしやすいこれまで繰り返し述べてきたように、マニュアルは作成・活用・改訂のサイクルを回すことで、成果が上がります。マニュアルは100%の完成形はない、つまり、決められた基準を実践の中でさらに改良・改善していかなければなりません。その見直し・検証は、マニュアルにとっての必須事項です。そのためには、どこを見直せば良いかが分かることが重要です。改善すべきことは、その作業の流れなのか、手順なのか、それとも作業時間なのか。こうした要望に素早く対応できることが、マニュアルには求められます。フォーマットの役割は、単にマニュアルの完成度を上げるということだけではなく、仕事を教えやすく学びやすい、評価をしやすくするといったことにもつながります。見た目がきれい、カラフルなデザイン、などといったことはそれほど重要ではないのです。(3)フォーマットの統一第1章でも説明したように、マニュアルの基本要件である、4つの要素と2つの視点、1つのフォーマットは、マニュアルの骨格をなすものです。マニュアルはすべて同じ

フォーマットに統一して作成することが基本です。これらの要件をすべて満たしものが、ダウンロードできるオリジナルのフォーマットです。第3章で作成した「目標シート」を踏まえ、「業務作業分類表」で小項目にあげた作業の一つひとつをこのフォーマットでマニュアルにしていきます。

2成果が上がる原稿の作成8つの構成要素の書き方や表記方法を理解したら、次は実際に原稿を作成していくことになります。原稿作成段階では、これまでに作った「テーマ選定シート」や「目標シート」「業務作業分類表」などを確認して作業を進めます。しっかり確認しないで進めると、後から修正が多くなり、結局ムダな作業が増えることになります。1フォーマットへの落とし込み──原稿の作成──(1)落とし込みのポイントフォーマットへ落とし込むうえでのポイントを整理しておきましょう。《フォーマットへ落とし込むポイント》①8つの構成要素の表記方法を守る②作業(行動)を分解してまとめる③お客様と対象者の視点を意識する④設定した範囲・条件を守る⑤必要に応じて、写真、図表などを効果的に使う特に注意したいのは、設定した「範囲・条件」を守る、ということです。原稿を書き続けていると、ついこの「範囲・条件」を忘れてしまいがちです。ある会社のマニュアルを作成した際、「宝石の販売」という条件を設定したにもかかわらず、服飾雑貨などの販売方法になっていたことがありました。また、「宝石」ではなく、「服飾」の写真になっていたことがありました。書き始める前に、この「範囲・条件」をきちんと確認して作業を進めることが必要です。実際に基本のフォーマットに落とし込む際に、「どう書けば良いのか」といった戸惑いが出てきます。最初のうちは面倒でも「表記方法」を確認しながら進めることが大切です。幾つか作成していると要領が分かって慣れてきますので、それまでは練習だと思って続けてください。

2)通し番号の扱い方「業務作業分類表」の小項目や基本要素の手順などに、通し番号をつけるということは前述しました。この番号の扱い方について説明します。次の図を見てください。<小項目の通し番号>「業務作業分類表」の作成で、小項目ごとに通し番号を振りました。この番号を基本フォーマットの作業名の頭に記入します。この作業名の頭にある番号(通し番号)は、「業務作業分類表」と照らし合わせて、表記に間違いがないか、モレがないかなどを確認するために使います。よくある間違い例は、「業務作業分類表」の表記と原稿の表記(作業名)が違う、ということです。しっかり照らし合わせることが必要です。この通し番号は、マニュアル完成時には削除します。<図表類の付番>通し番号は、図表類のデータの付番(データに番号をつけること)にも使います。データ1枚ごとにこの通し番号と枝番号の名前をつけて、管理・保存に活用します。また、この「付番」のつけ方には、ルールがあります。その付番を見れば、誰でもどこに使うかが分かるということです。たとえば、「写真003─1─③」であれば、次のように

なります。作業の通し番号→003その作業のステップ番号→1そのステップの手順の番号→③=作業の通し番号「003」のステップ「1」の手順「③」で使う写真データ写真などの図表類のデータは、マニュアルによっては膨大な量になります。名前などの固有名詞ではなく、通し番号を使って管理し保存することで、使いやすく、ミスを防ぐことができます。この「付番のルール」をしっかり守ることで、混乱せずにマニュアルの仕上げ作業に取り掛かれます。この通し番号は、原稿作成段階では、非常に重要な番号だといえます。(3)原稿作成上の留意点フォーマットに落とし込む、つまり、原稿を作成する上での注意点について見ていきましょう。①簡潔な文章にする(長文は不可)長々とした文章は、読みづらく内容も理解しにくいものです。簡潔に表現することを心掛け、接続詞(そして、だから、など)を多用しないようにします。特に、「手順・ポイント」の最初の文章は簡潔な文章にします。<手順・ポイント>①面接終了後、「申請書」をもとに人物面や条件面を総合的に判断し、面接官の合議のうえで合否判定を行います。①面接終了後、合否判定を行います。

「申請書」をもとに、人物面や条件面を総合的に判断します。面接官の合議で判定します。②新人(初心者)が理解できる表現にする職場で日常的に使っている専門用語や省略した言葉づかいなどがあります。自分には当たり前のことでも、新人には分からないことが多いものです。専門用語には、必ず解説をつけます。また、カタカナの表現やアルファベットの省略表現などには、特に注意します。このマニュアルづくりを機会に、用語を統一しましょう。データーは、「データ」に統一(キーボード)の○○を押すを、「クリックする」に統一前進立体陳列を、「前陳」に省略パッケージを、「PKG」に省略社内用語集などがある場合は、それをもとに解説の記述をします。③数値などを使って具体的に表現する曖昧な表現を避けて数値化するなど、できるだけ具体的に記述します。このように具体的に表現することで、判断がしやすくなります。これは現場ごとのやり方(ローカルルール)を作らない(作らせない)ことにもなります。また、「~と思います」「必要に応じて……」「~ありそうです」といった表現も使ってしまいがちですが、できるだけ数値を使って説明する、曖昧な記述をしないことを習慣にし

ましょう。④肯定的な表現にするマニュアルは、会社の仕事の基準です。新人は、この「基準」の習得が第一です。守ること、すべきこと、やるべきことを優先して習得してもらわなければなりません。したがって、マニュアルは肯定的な表現が基本になります。「やってはいけない」禁止事項が目立つマニュアルは問題です。どうしても入れたいときは、「手順・ポイント」の中に、枠などを作って入れるようにしましょう。また、禁止事項を入れる場合には、そうすることで「怪我をする」「誤作動する」といったように、その理由を明記することも必要です。⑤具体的な行動レベルまで分解して記述する手や足が動くレベルまで掘り下げる・追究することが必要です。「箱を持ち上げる」両手?どのへんを持つ?軍手は必要?などといったように、「誰でも同じようにできる」まで分解して考えます。この分解の精度が、マニュアルの精度の高さ、再現性の高さに比例します。また、文章は5W1Hでまとめるようにしましょう。⑥ビジュアル化の工夫をするビジュアルとは、目に見えるさま、視覚的であることを意味しています。さまざまなデザインや写真、イラスト、PC画面、図表、フローチャートなどを指します。情報を伝えるうえで、ビジュアルを使って見やすく、分かりやすくすることは非常に重要です。

マニュアルは、見た目ではなく、まず内容ありきですが、マニュアルに書いてあるとおりに再現できるか理解のさせ方として分かりやすいかという視点で考えて、ビジュアルを使用することが理解を早めるうえで効果的なら、積極的に使います。内容があってのマニュアルですから、ビジュアルがデザイン的に良い悪いという問題はありません。⑦適切な情報量にするマニュアルは、1項目(1作業)1枚が基本です。1枚(A4判タテ)が習得しやすい情報量であり、管理しやすいサイズだからです。ただし、1枚を超えてはいけない、ということではありません。写真や図を入れたら、すぐ2~3枚になってしまいます。また、1枚に無理やり押し込めるために、情報を削ったり、強引にまとめたりといったことはすべきではありません。1枚にまとめることを目標にして、対象者が理解できるか、行動できるか、の視点で情報量を判断しましょう。原稿作成上の留意点をまとめてみましょう。《原稿作成上の注意点》①簡潔な文章にする(長文は不可)②新人(初心者)が理解できる表現にする③数値などを使って具体的に表現する④肯定的な表現にする⑤具体的な行動レベルまで分解して記述する⑥ビジュアル化の工夫をする⑦適切な情報量にする以上の留意点を踏まえて、基本フォーマットに落とし込んでいきます。(4)原稿作成の進め方「業務作業分類表」の担当者名の記入のところで説明しましたが、複数の作成者がいる場合には、この表の担当に

従って作成していくことになります。基本的には、この通し番号順に作成していくことになりますが、最初は、あまり重くない(情報整理が簡単、ページ数が少ないなど)項目から書き出し始めたほうが良いでしょう。作成に慣れることを優先するということです。ただし、虫食い状態、中項目ごとに一つずつ作成する、という進め方は、マニュアルとしての仕上げ段階で整理する、時系列で並べるときに、時間がかかり大変な作業になります。中項目ごとの固まりで作成していく、という方法があとでの並び替えも原稿のチェックもスムーズです。原稿の担当者は、自分の担当分を責任を持って仕上げなければなりません。原稿を作成するチェックを受ける原稿を修正する原稿を決定するという一連の流れを、1つの項目ごとに進めます。マニュアルの全体量にもよりますが、この作業にかかるエネルギー(時間、気力、体力など)は、膨大なものになります。一番の問題は、原稿作成の時間を確保することです。マニュアルの担当者になったからといって、これまでの日常業務や目標などが変わることはほとんどないでしょう。また、「ちょっと時間ができたから」といってすきま時間で書いていては、いつまでたっても書きあげることはできません。一回の作成にかける時間は、最低2時間ほどは必要です。このぐらいの時間がないと、それなりにまとめることは難しいものです。「残業して作成する」といっても、長く続きませんし、徒労感だけが残ります。「なんで自分だけがこんな苦労を……」と嘆き節も出ます。「マニュアル」に対するイメージもどんどん悪くなる一方です。これでは、マニュアルが完成しても、活用がおぼつかなくなるでしょう。そこで、作成する日や時間を認めることが必要になります。作成デイ(タイム)のスケジューリング化です。

毎週月曜日の13時から17時までとか、毎日10時から12時までを作成時間にあてることを了承するのです。こうでもして、強制的に時間を確保しなければ、現実問題としてマニュアルの作成は難しいといえます。マニュアルの作成は、会社の重要な業務。作成デイ(タイム)の設定は、必須条件とも言えます。また、これらを会社全体で共有しておくことが必要でしょう。作成する日、チェックを受ける日、原稿を決定する日、そして、完成する日などのスケジュールを明確にして取り組まないと、日常業務のさまざまな問題の前で往々にして立ち往生してしまいがちです。マニュアル作成には、トップの理解と担当者の「やり切る」覚悟が求められています。2原稿作成に必要な視点ここで、原稿作成の全体に関わる視点についてまとめます。①最大公約数のケースでまとめる原稿の作成を進めていくと、どんな対応を例にするか、どんな商品にするかなど、その作業(行動)を説明する上での、「設定」が問題になってきます。月に1~2度しか起こらない対応、1日に2~3個しか売れない商品、あるいは、他部署との調整を必要とする複雑なケースを例に持ってきても、その作業(行動)の習得を早めることにはつながりません。マニュアルには、誰もが必ずしなければならないこと、誰もができる、「基本」がまとめられていることが第一に必要です。もちろん、レアなケース(めったに起こらない例)のマニュアルを作成する場合や、応用編をテーマにしたマニュアルを作る場合は別です。最大公約数のケースとは、よくある(対応する)ケース一番多い、一番頻度が高いケース一番売れている商品(扱いが多い商品)定番商品

など、その作業(行動)を習得しやすいケースや商品のことです。言葉を換えれば、最大公約数のケースでまとめられたものが「基本」であり、それが「マニュアル」なのです。ときに、会社としての重要度・必要度を優先して、テーマや項目・ケースを選ぶことがありますが、その場合は、「○○の資格者、入社3年以上」といったように、対象者の条件やレベルを明確にすることが重要です。②全体最適かどうかを検討する原稿作成を新人(初心者)が担当することは、まずありません。ベテランやその道のプロと言われる人がなるのが普通です。また、本社の一部の人間だけで作成していると、往々にして実行が難しい内容になったりします。そんなときには、「これは○○さんにしかできないでしょう」「こんなこと誰でもできます?」「この商品、全国で扱っていましたっけ?」「この設備、どこの営業所でも入っています?」「これ、ルールとして通用しますか?」「これを決めたら、他部署から反発が来ませんか?」といったことを検討することが必要です。マニュアルは、「全体最適」が基本です。部分最適やローカルルール(ある拠点でしか通用しないルール)につながるものであってはなりません。作成者には、「会社全体を考える」という視点が求められます。③業務改善の視点を持つ業務改善とは、成果を上げるために、最も良い(効率的・効果的)方法を作り出すこと、つまり、仕事の不便さや不都合を解決することです。そして、会社の仕事の基準を最も良い方法に作り変えることです。「もっと簡単なやり方はないか」「もっと時間がかからない方法はないか」

などなど、「効率的な仕事のやり方」を追求することは、会社にとっても必須の取り組みでしょう。原稿を作成するうえでは、次のような業務見直しの視点を意識して取り組むことが必要です。《業務の見直しの5つの視点》①ムダ・ムラ・ムリがないか②安・正・早・楽で検証もっと安く(安全・経済的に)、もっと正確に、もっと早く(速く)、もっと楽に(負担が少ない、楽しく)③あるべき姿(ありたい姿)の追及④最も良い方法の開発・構築⑤お客様満足のさらなる向上この視点を持って、仮説実践検証のサイクルを回します。今やっている仕事、これから新しく作り出す仕事について、こうした視点とサイクルで見直し改善することが必要です。《原稿作成に必要な視点まとめ》1最大公約数のケースでまとめる2全体最適かどうかを検討する3業務改善の視点を持つ3効果的な情報整理(1)手順がない業務(作業)のまとめ方これまで説明してきたのは、手順がある業務の記述方法でした。しかし、会社の業務には「手順がないもの」もたくさんあります。ここでは、「手順がない業務」の記述方法について説明します。マニュアルには、その業務(作業)の説明やそれをするための心構え、役割・重要性などを記述したものが必要になります。これらは、言うまでもなく、手順がありません。また、商品知識や用語解説、あるいは業務フロー図などにも手順がありません。こうした手順がないものを基本フォーマットに落とし込

むときには、次の2つのことが大切です。「全体の注意点・ポイント」の欄までは残す「業務名と作業名」以外を全部外すあとは自由レイアウトで情報を整理します。どのようなレイアウトが使いやすく目的に合っているのかを考えて作成します。ただし、この場合も、これまで述べてきたマニュアルの捉え方、原稿作成やフォーマットへの落とし込みの留意点などを踏まえて記述することが重要です。

(2)業務フロー図の作成上の注意点会社の業務の多くは、さまざまな部署や取引先などとのやり取りで成り立っています。この関係を時系列で整理し理解させるうえで、業務フロー図は非常に役立ちます。しかし、この業務フロー図、簡単なようで実は整理するのがなかなか大変です。複雑すぎて分かりづらいものになったり、自部署が端に寄っていて目立たない位置にあったり、業務フロー図に書いてあることがマニュアル原稿になかったり、といったケースが多く見られます。作成するときには、できるだけ単純化する、自部署を中心に目立つように大きく配置することが必要です。また、この業務フロー図に載せた一つひとつが、あとの作業項目(マニュアル原稿)に必ずなっていなければなりません。これが作成する上での基本です。

(3)そのほかの情報整理マニュアルづくりをお手伝いしているときに、よく質問される、悩まれる情報整理について、幾つかご紹介しましょう。①手順が分かりづらい場合①PC画面の総務部を開き、採用・教育、続いてPA採用、次に研修スケジュール、研修準備一覧、研修日、最後に、受講者人数を確認します。

連の動作の順番にまとめます①PC画面を開き、研修該当日の受講者人数を確認します。ファイルの保存場所:総務部→採用・教育→PA採用→研修スケジュール→研修準備一覧→研修日→受講者人数②同じような作業が続く場合作業名「書類の準備」作業名「備品の準備」作業名「○○の準備」作業名「□□の準備」作業名「準備の基本」を追加し、準備の一覧と共通するポイントをまとめます。作業名:「準備の基本」作業名「書類の準備」作業名「備品の準備」作業名「○○の準備」作業名「□□の準備」③作業の手順が少ないまた、それぞれの作業の手順が少ない場合は、1つの作業名(1項目)として整理する。④作業ステップの中に「場合」等が入る~の場合等、例外的なことを記述する場合、ステップに

はせずに、独立させます。情報を理解しやすいように、整理し加工する。効果的な情報整理は、内容の理解を助けることにつながります。3作成を妨げる「抵抗勢力」への対応会社(職場)には、マニュアルの導入や作成に後ろ向きな人たちが必ずと言っていいほど存在します。こういう人たちを「抵抗勢力」と呼んでいます。この抵抗勢力は、非常に厄介な人たちです。しかし、このような人たちにきちんと対応しなければ、マニュアルの作成やその後の活用はスムーズに進みません。ここでは、抵抗勢力の特徴とどのように対応していけばよいのかについて考えていきます。1「抵抗勢力」の3つの特徴抵抗勢力は以下の3タイプに大別できます。①マニュアルに対する固定観念がある②ノウハウを出さない・隠す③自分の仕事は特殊という思い込み

①マニュアルに対する固定観念がある自分のマニュアルに対する捉え方から抜け出せずに、批判ばかりしている人たちです。一般的に言っても、マニュアルに対してネガティブなイメージを持つ人が多いものです。程度の差こそあれ、これが作成を妨げる最大の要因だと言ってよいでしょう。「マニュアルは、初心者(新人など)が読むもの」「マニュアルは、きれいごと。現場では役に立たない」「カタチより、心が重要」「仕事は、個性が大事」など、マニュアルに対して自分で描いた固定観念を持っていたり、さらに、「マニュアル人間」や「マニュアルは画一的で人間味がない」などの根強い偏見・誤解を持っていたりする人たちがいます。この人たちは、「今の仕事のやり方で別に困っていないので、自分にはマニュアルは必要ない」とも思っているわけです。こうした捉え方を変えられない人たちは、マニュアル導入において厄介な存在です。②ノウハウを出さない・隠す「自分のやり方は、そんな大したことじゃないから」「仕事は人それぞれ」と言って、自分のノウハウを出さない、マニュアルづくりのための取材などに協力しない人たちです。では、マニュアルができたら、その通りに実行するかといえば、自分には関係ないとばかりに、あくまで自己流を貫きます。「自分の仕事のやり方が一番良い」と思って、新しいことには関心を持たないのでしょう。また、このノウハウは、自分が苦労して身につけたもの、これがあるから今の自分の仕事がある・保障されているという、いわば既得権益を主張する人たち。このノウハウをマニュアルにされて、誰でもできるようになったら「自分の仕事がなくなる」という観念にとらわれている。だから、自分のノウハウを出さない・隠す、ということになるのかもしれません。マニュアルづくりは、その作業のベテランに取材することから始まるのが多いものです。しかし、こうした捉え方をしている人たちが相手では、マニュアル作成に必要な情報・ノウハウの収集は難しいことになります。③自分の仕事は特殊という思い込み「自分の仕事は特殊だから、マニュアルにはならない」、と考える人たちもいます。自分の仕事は別格である

といった、ある種の優越した気持ちの表れでしょうか。確かにそういう「特殊な領域」があることは否定しませんが、マニュアルにしようとするのは、そんな高度なレベルではなく、まずは「基本」と言われる範囲から始まります。どんな仕事にもレベル(難易度)があります。それをひとくくりにして「自分の仕事は特殊だ」と決め込んでしまう。「特殊」という壁を作って、マニュアル化を阻んでいるのです。また、同じように「仕事は個性やオリジナリティが大事」「習うよりも、慣れろだ」などと考えている人たちも、マニュアルの作成を阻む抵抗勢力の一員と言ってよいでしょう。2「抵抗勢力」への対応「抵抗勢力」の特徴について見てきましたが、こうした抵抗勢力は、皆さんの会社(職場)にも少なからずいるのではないでしょうか。では、こういう人たちには、どのように対応していけばよいのか、その方法は大きく4つあります。①作成メンバーの一員に任命する②強制力を発揮する③勉強会を繰り返し実施する④有志でマニュアルを作って、成果を出す①作成メンバーの一員に任命する仕事として「マニュアル作成プロジェクト」の一員になってもらいます。プロジェクトの一員になれば、嫌々でも従わざるを得ないものです。マニュアルづくりが始まってしばらくは混乱するかもしれませんが、そのうちに落ち着いてきます。プロジェクトの一員になったということで、見方が変わり、「抵抗勢力から一転、マニュアルの支持者になった!」という話をよく聞きます。立場が変わると、マニュアルに対する捉え方も変わってくるものです。頑固な抵抗勢力だった人が支持者になったということの影響力は、非常に大きなものがあります。作成段階はもちろん、活用段階でも重要な役割を果たし

てくれることになるでしょう。プロジェクトメンバーの人選は、こうした点をよく踏まえて編成することが必要です。②強制力を発揮するある企業のトップは、「これから作るマニュアルは、仕事をするうえでのバイブルになります。今後はこのマニュアルに沿って仕事をしてください。なお、このマニュアル化に協力しない場合には、人事評価に大きな影響があることを理解しておくように」と社員全員に言い渡したそうです。これは実際にあった例ですが、このぐらい大きな強制力を働かせないと、なかなか動いてくれない、協力してくれないものです。トップ自らがこのように旗を振ることで、ようやくプロジェクトが動き始めるというのが現実でしょう。しかし、このことによって、マニュアルを単なる個人の制作物ではなく、「公認された会社の制作物」へと格上げされます。そうすると、マニュアル自体が、ある種の強制力を持つことにもなっていきます。強制力を上手に活用して、マニュアル化をスムーズに進めることも、場合によっては必要です。③勉強会を繰り返し実施するマニュアルの重要性、会社にとっての必要性などを啓蒙するための取り組みです。小さな単位で勉強会を数多く開催し、マニュアルに対する理解を深めてもらいます。時間はかかりますが、これが徹底できれば、会社全体でマニュアルに取り組む状況を作り上げることができます。言葉を換えれば、マニュアルの支持者づくりの活動です。さらに、マニュアルの活用段階でも、会社全体の理解が得られているのですから、スムーズに導入でき、大きな成果につながります。まさに、正攻法の取り組みです。勉強会では、マニュアルに対するトップの思いを直接伝えたり、社員のマニュアルに対する率直な考えや意見などを聞いたりします。この活動を通して、マニュアルを担当する人たちの理解

をより深め、責任と自覚を持ってもらうようにしましょう。④有志でマニュアルを作って、成果を出す本来なら順を追って進めるべきですが、緊急性がある場合などは、抵抗勢力への対応にあまり時間をかけてはいられません。とりあえず、数人でマニュアルを作ってしまう。そして、何とか目に見える具体的な成果を上げて、会社全体での賛同・納得を得るという取り組みです。その成果を見て、「マニュアルって、いいものかもしれない」と実感してもらい、見方を変えてもらうのが狙いです。「論より証拠」という作戦ですね。この場合、最初に作成するマニュアルのテーマ・内容を何にするのかが、非常に重要になります。遅かれ早かれ「抵抗勢力」とは、戦わざるを得ません。しかし、具体的な成果を上げているということは大きな強みです。また、「マニュアル」という具体的な形になっていることで、彼らの理解を早めることができます。マニュアル導入の賛同や根回しに時間がかかる会社では、トップダウンで既成事実を作ってしまう、という進め方が適していると言えます。いずれにしても、会社の状況に合わせて、これらの方法を組み合わせて取り組んでみてはいかがでしょうか。重要なことは2つです。抵抗勢力になることは、損であることに気づかせる勝手な思い込みや言い訳を捨てさせる最新・最高のノウハウを集大成したものが、マニュアルである。そういうものを作成していくことが目的であることを、強く訴えていくことが必要です。このように、「抵抗勢力」は排除するのではなく、巻き込むという考えで対応する、解決にあたるのが大切です。時間も体力・気力も必要としますが、真摯に対応することで、まさにさまざまな成果として跳ね返ってくるのも事実です。粘り強く対応してください。《抵抗勢力の特徴と対応》

①マニュアルに対する固定観念がある②ノウハウを出さない・隠す③自分の仕事は「特殊」という思い込み<抵抗勢力への対応>①作成メンバーの一員に任命する②強制力を発揮する③勉強会を繰り返し実施する④有志でマニュアルを作って、成果を出す4原稿のチェック・完成作成担当者から原稿が次々に上がってきます。この原稿をチェックして、マニュアルとして完成させていかなければなりません。ここからは、仕上げ段階における検証作業、完成に向けての最終チェックをするうえで必要なことについて説明します。1作成者と社長が陥る落とし穴(1)作成者が陥る落とし穴マニュアル作成者が往々にして陥る、思い込みや錯覚について考えてみましょう。①「簡単・すぐにできる」という思い込みマニュアルの作成者は、その業務のベテランがほとんどです。この人たちは、自分の当たり前は、相手も当たり前で、「この業務は、簡単にすぐできる」

と思い込んでいることが多いものです。マニュアルには、新人が再現できるレベルの具体性がなければなりません。新人でも分かる言葉を使うことはもちろん、具体的な行動、動作レベルまで作業(行動)の分解を必ず行い、その都度、誰でも再現できるかどうかを検証します。②完成度・精度にこだわる原稿作成に慣れてくると、精度を上げようと何度も修正を繰り返す人がいます。納得がいくまで手を加えるのです。この“こだわり”は、ある意味で非常に重要ですが、度を超すと、いわゆる“深みにはまる”ことになってしまいます。「もう少し整理したい……」「もっと具体的に……」「これを何とか……」などと言っていては、どんどん完成時期が延びていってしまいます。原稿提出日や完成時期を守る、ということは、非常に重要なことです。「もう少し何とかしたい」という思いややり残したことは、次回の改訂時に対応するようにします。マニュアルには、「100%の完成形」というものはありません。自分の思いに固執して完成が遅れるよりも、早く“形”にして、新しい知恵やコツを会社で共有する、ということが大切です。③フォーマットにとらわれすぎるフォーマットの重要性については何度も説明してきましたが、しかし、それをかたくなに守ろうとして、「ステップは、5個でなければいけない」「1つの作業は、1枚に収めなければならない」などと、硬直した考えにとりつかれてしまう人がいます。その結果、実際は7ステップになるのに、無理やり5ステップにしてしまったり、1枚の中に無理やり押し込んでしまいます。情報を整理したり表記方法の枠組みを守ることは大切ですが、情報の量や質によって、ある程度自由に編集してもよいのです。読む人が分かりやすいか、行動しやすいかが、判断の基準です。

この視点で内容を検討し、情報を整理していくことが必要です。④フローチャートに頼りすぎる業務フローやステップフローなど、フローチャートは全体の流れを表すうえで、非常に分かりやすく有効な表現方法です。しかし、だからといって、フローチャートを1つ作成して原稿終了、では問題です。フローチャートに頼りすぎて、「全体はなんとなく分かったが、具体的にどう行動するのかが分からない」というマニュアルにならないようにしなければなりません。「フローチャートで分かるはずだ」というのは、思い込みや錯覚だと言えます。重要なのは、フローチャートで整理された手順の一つひとつをマニュアルにしっかり反映させていくことです。全体と部分(個別)があってはじめて理解がしやすく、行動にもつながっていくのです。また、フローチャートを作る場合は、あまり複雑にしないで、できるだけシンプルなものにするのがよいでしょう。⑤写真や図表類に頼りすぎるビジュアル化の工夫も、理解を促進するうえで大切であることは述べましたが、何事も“度を超す”と逆効果になってしまいます。写真やPCの画面を見せて、「ご覧のように……」「この写真(画像)にあるように……」と言われても、写真(画像)のどこを見てどうすればよいのかが分からない場合が往々にしてあります。「写真を見てもらえば分かる」といった簡単なことではありません。その写真(画像)が、3つも4つもの動作をした結果の写真(画像)だとすれば、もうお手上げになります。写真や図表類を使うこと自体はまったく問題ありませんが、その写真や図表類のどこが、どのようなポイントなの

る。報告を受けて気づいた点、たとえば、皆の協力が少ない、原稿提出の遅れが目立つ、などのことについては、関係者全員を前にして話すことが大切です。一番困るのは、その場の思いつきで発言することです。「ちょっと思ったんだが、○○作業を入れては?」「せっかく作るんだから、○○まで入れようよ」「とにかく、売上に結びつけてね」これまで説明してきたように、マニュアルづくりはテーマの選定から始まって、幾つものステップを経て、ようやく原稿作成の段階に入ります。ところが、想定外の指示が入ってくると、もう一度「業務作業分類表」などの見直しをしなければならなくなります。「そうしたいなら、もっと早く言ってよ!」というのが作成担当者の正直な気持ちで、「やってられない!」と思うことでしょう。実は、こうした発言で現場をかきまわす社長が特に目につきます。途中で気づくこと、思い出すこともあるかと思いますが、できるだけマニュアル導入のスタート時点で話しておくことが必要です。マニュアルづくりの途中でなんだかんだと口をはさみ、現場を混乱させる社長。心配性なのか、やたらに介入してくる社長。部下のやる気を失わせます。気をつけたいですね。②自分のやり方や経験を押しつける現場の経験が長い社長によくあることですが、自分の仕事のやり方や経験を押しつける社長がいます。「そうじゃない!俺がやってきたのとは違う!」「俺の経験では、そのやり方ではうまくいかない!」「イメージが違う!」など、言っていることは正しいことかもしれませんが、言い方には十分注意する必要があります。頭ごなしに言われると、「じゃあ、社長、自分で書いてくださいよ!」と担当者から反発されてしまいます。マニュアルづくりをする担当者にとって、何を・どこまで・どのように書いてよいのか、迷いや不安の連続です。本人も「これで良いのか」と疑問に思っているかもしれません。そんなときに、カミナリを落とされては、愚痴の1

つも言いたくなるでしょう。また、「何をやっているんだ!」「遅い!」「いつまでかかるんだ!」とイライラすることも多々あるかもしれませんが、こうした言葉は禁句です。その作業ができることと、マニュアルにできる、は当たり前ですが、イコールではないのです。原稿づくりに慣れるまでには、それなりの時間がかかります。任せた以上、焦らずに待つことも必要です。原稿をしっかりチェックして、改善点を指摘する。または、その原稿で実際に作業をさせ検証させて、本人に気づかせる方法もあります。気に入らないからといって、一からやり直させることは、考えものです。マニュアルづくりは、部下を成長させる機会である、という考えで対応してほしいと思います。③熱しやすく冷めやすいマニュアルの導入時には、あれだけマニュアルの必要性を熱っぽく語っていた社長が、マニュアルが完成してもあまり喜んでくれなかった、という話をよく聞きます。言うまでもなく、マニュアルの作成にはそれなりの時間がかかります。作成するテーマやその内容にもよりますが、少なくとも2~3カ月、準備期間も入れれば、優に半年間くらいはかかるでしょう。その間に、ほかのことに関心が移って、急激に熱が冷めることがよくあります。しかし、社員から見れば、「社長の新しもの好きに振り回された!」「社長の道楽には困ったものだ!」「忙しいのに、いい加減にしてほしい!」といった気持になってしまいます。良いものができたときには、多いに褒めて、それまでの苦労を労ってあげてほしいものです。また、完成したマニュアルが自分の期待していたものと大きく違っていたとしても、それは現時点での社員の、会社の実力の現れです。次回への改善点をきちんと伝えることが大事になります。原稿をペラペラめくって、良いだ悪いだと感想を述べる

のは厳に慎まなければなりません。以上、社長が陥る「落とし穴」について見てきました。マニュアルづくりは、人や組織を成長させる良い機会です。このことを十分踏まえて対応してほしいと思います。2マニュアルの最終チェック(1)再現性の確認マニュアルに求められる再現性を高めるには、具体性が重要であることについて説明してきました。「自分の当たり前は、相手も当たり前」。誰でもついこうした錯覚をしてしまいがちです。しかし、マニュアル作成においては、これは非常に危険な落とし穴です。このことによって、内容の具体性が失われてしまい、誰でも同じようにできない、つまり、再現性が低いマニュアルになってしまいます。何を・どのように、という重要な部分が抜けたマニュアルにならないように、次のことを常に注意していなければなりません。対象者に合わせた具体的な説明になっているか記述内容にモレやヌケがないかこうした視点を持ち、「具体的に書かれた再現性の高いマニュアル」になっているかどうかを、「自分の当たり前」を疑いながら原稿をチェックしていくことが必要です。マニュアル作成では、このような意識が非常に大切になります。手順の説明を簡単な言葉で終わらせてしまうのは、つい何気なくやってしまうことです。しかし、マニュアル作成に当たっては、誰が読んでも、同じように「やり方が分かる」誰がやっても、同じように「できる」という再現性があるかどうかを、常に自問自答しながら具体的に内容をチェックしていきましょう。《再現性の確認》自分の当たり前は、相手の当たり前ではない

記述内容に、作業や説明のモレがないか作業(行動)を分解して考えているか対象者に合わせた具体的な説明になっているか(2)チェックシートの活用マニュアルの内容が、会社の「仕事の基準」として妥当かどうか、表記方法などの統一はとれているのか、などを最終チェックしていきます。マニュアルは、常に現在進行形のものです。「100%の完成」はありません。しかし、新規で作成するときでも、改訂するときでも、それぞれ決まった完成日はあります。その日を厳守して作業を進めなければなりません。このようなときに、必要な要素が入っているか、説明は過不足なく書かれているか、再現性と具体性はどうかなどの確認事項を一つひとつチェックしていると、時間がかかり多くのヌケやモレが発生します。そこで、でき上がったマニュアルの最終確認は、「マニュアルチェックシート」を使って評価していきます。チェック欄がすべてチェックできたら、合格です。

3マニュアルの完成マニュアルづくりの最終段階です。マニュアルとしての形態は、バインダー方式(インデックス付)をお薦めします。この方式だと、取り外しがしやすく、改訂のときも改訂したページのみを差し替えれば済むので、大変便利です。(1)表紙・はじめに・目次の作成①表紙表紙には、上部の左右どちらかに、「社外秘」の文字を載せます。次に、文書番号や管理番号の記入欄を設けます。マニュアル名の下に、発行(改訂)年月日を必ず入れるようにします。また、会社名や部署名を明記します。

②はじめに「はじめに」は、誰もが目にする最初のページです。このマニュアルの作成目的や重要性、使い方などを記述します。この下段に、「取り扱い上の注意」として、たとえば、部外者には見せない持ち出し厳禁コピー、複写の禁止退職時には返却などを記述します。この「取り扱い上の注意」は、裏表紙などに記載してもかまいません。③目次次に、「業務作業分類表」をもとに、目次を作ります。この作り方にルールはありませんが、「業務作業分類表」の大項目を「章のタイトル」、中項目を「節のタイトル」、小項目を「項のタイトル」にするのが一般的です。

分量によっては、中項目(節のタイトル)を省くこともあります。(2)会社の承認完成したマニュアルは、会社の「仕事の基準」であり、会社の「知的財産」です。したがって、経営会議などでの承認を得なければなりません。こうした手続きが、単なる個人のマニュアルではなく、会社の「公式なマニュアル」になることにつながります。承認されたら、文書管理をしている部門(管理部、総務部など)から文書番号をもらい、登録します。マニュアルの原本(データ)の管理なども、原則として文書管理部門が担当します。会社で一括して管理すると、似たようなマニュアル類の作成を防ぎ、新旧の区別・履歴がきちんと管理できます。何より、財産として登録されることにより、さまざまな強制力を持つことができます。また、マニュアルが完成したことを、各種会議や社内報などで公表します。その際には、トップから「このマニュアルに書いてあることは、会社の仕事の基準。これからは、この基準に沿って仕事をしていくように」といったメッセージを出すことも必要です。トップ自らがマニュアルの重要性やその価値について述べることで、社員のマニュアルに対する認識は大きく変わります。今後の活用段階では社員一人ひとりにさまざまな協力をお願いすることになりますので、会社全体でマニュアルの完成を共有することは、非常に重要なことです。(3)「マニュアル管理台帳」の作成マニュアルを配付する場合、「何を・誰に(どこに)・いつ」配付されたかが分かるように、1冊1冊のマニュアルに管理番号をつけて「マニュアル管理台帳」に記録します。この台帳は、マニュアルの原本を管理する文書管理部門が保管します。台帳と管理番号は、「会社の財産」としてのマニュアルを管理する、盗難防止をする、ための仕組みの1つです。また、配付する場合には、もし旧版(似たような種類を含む)があるなら、まずそれを必ず回収し破棄した上で、新しく作成したマニュアルを配付することが原則です。関係者(先)に新旧のマニュアルがあっては混乱するばかりですし、盗難防止の意味でも重要です。これまで説明してきたことをどこまで厳格に徹底するかは、会社の規定、作成するマニュアルの内容などによっても変わってくるでしょう。しかし、マニュアルは会社の最新・最高のノウハウ集です。社外への情報流出を防ぐためにも、その取り扱いには

十分注意すべきであることを、徹底することが何より大切です。ここまでのさまざまな手続きを踏まえて、いよいよマニュアルを使う人たちへの配付が始まります。マニュアルで成果を上げるために、「活かす仕組み」を回すスタートになります。繰り返しますが、マニュアル作成で大切なことは、文章テクニックではなく、トップの思い・理念、そして、理論と仕組みです。

コラムマニュアルでは、感動させられない? 「マニュアルを超えたサービス」 「マニュアルではできない、心からのおもてなし」 「マニュアルでは、人を感動させられない」 などなど、マニュアル型サービス、つまり、画一的・紋切り型のサービスに対する批判は、ことのほか多いものです。 誰にでも同じように対応するのは良いことのようにも思えますが、お客様というのは身勝手なもので、自分だけを特別扱いしてほしいと願っていることもあります。こちらの状況に合わせて、臨機応変に対応してほしいと思っていることもあります。これが「マニュアル」ではできません。 だから、しばしば接客上のクレームになったりします。 一見対極にあるのが、いわゆる「ホスピタリティ」。

ホスピタリティ」。思いやりの心を持ったサービスがいかに重要かを切々と説く。かくして、 マニュアル型サービス VSホスピタリティ型サービス という、対立の図式が組み立てられます。本当にそうなのでしょうか。 ホスピタリティ型サービスの代表格として、東京ディズニーリゾートがよく引き合いに出されます。 特に有名なのは、子どもがアイスクリームなどを落としてしまったときに、スタッフがすぐ飛んできて、「お洋服、汚れませんでしたか?」と声をかけ、そして、その場所をきれいにするとともに、新しいアイスクリームを持ってきてくれる、というシーンです。 お客様にとって、これは本当に感激しますね。「ディズニーランドっていいなあー」と、まさに感動を覚える瞬間です。 ところで、これはすべて「マニュアル」に書かれていることなのです。東京ディズニーリゾートには、約 300種類のマニュアルがあるといわれています。 お客様に喜んでいただけるにはどうするかを真剣に深く考えて、それをマニュアルという形にする。それをもとに、徹底した教育をする。気づいたことがあったら、どんどん取り入れていく。 東京ディズニーリゾートの「ホスピタリティ型サービス」は、これらのマニュアルによって支えられているのです。 また、顧客満足度 NO, 1ともいわれる、ザ・リッツ・カールトンホテル。 ここでも、すべての業務は「マニュアル」で運営されています。マニュアルをもとに、さらなるお客様の満足をみんなで考えて活かしていく。こうした繰り返しの中で、お客様の感動・満足に対するスタッフの感度が向上し、あの「ホスピタリティ」が続いているというわけです。 つまり、「マニュアル VSホスピタリティ」という図式は、そもそも成り立たないのです。 要は、いかにお客様のことを真剣に考えて「マニュアル」を作り、それを従業員への教育で徹底し共有化を図るか。そして改良を重ねていく。その結果、感動のレベルはますます上がっていきます。

マニュアルは、「ホスピタリティサービス」を作る土台だということですね。マニュアルには、それだけの力が、価値があります。誤解は受けやすいですが……。

 

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