MENU

第1章 成果を出すなら社内業務マニュアルが必須

はじめに 「社員が急に辞めた」「人事異動をすることになった」ということは、 日常の職場においてよくあることです。

そのときに、力を発揮するのが 社内業務マニュアルです。

しかし、実際には、社内業務マニュアルがま だなかったり、あったとしても活用されていなかったり、また内容が陳 腐化してしまったりということも多々あります。

マニュアル活用の究極的な目的は、「経営効率の向上と顧客満足度の 向上に貢献すること」といえます。

マニュアルを活用してこの目的を達成するには、「課題解決とノウハ ウ集約」という具体的な目標をもってマニュアルの作成を進めなければ なりません。

「課題解決とノウハウ集約」を正しくマニュアルに盛り込 めれば、マニュアル化によって現状の業務・作業・サービスの質を向上 させることができます。

◆業務マニュアル作成の基本・考え方をまず学ぶ このように、マニュアル化作業は「課題解決」と「ノウハウ集約」の 2つの目標に取り組む作業といえます。

この点について、第1部で詳し く解説していきます。

課題解決という目標に取り組むマニュアル化作業

職場目標(課題)や会社の目標(課題)を達成するために、課題解 決上の問題点を明確にし、問題点を克服する作業手順などを開発し、 設定します

「ノウハウ集約」という目標に取り組むマニュアル化作業

社内のベストプラクティス(最良のノウ八ウ)を収集・集約して、 社内標準としての作業手順などを設定し、誰でもこのベストプラクテ ィスを実行できるようにします

本書では、次のようなマニュアルのライフサイクル 作成(標準化) ‘舌用(実施)報’維持簿改善 の各ステージについて、以下のような手法、ノウハウを満載しています。

① 作成(標準化)段階では、職場の課題を整理して、マニュアルの 作成目的。

目標をしっかり決め、ノウハウの開発・集約をする ② 活用(実施)段階では、「マニュアルを見る。

学ぶ・納得する。

行動する」ことにより「仕事の成果が出る」ような仕掛けをつくる ③ 維持段階では、常に最新のマニュアルが使えるようにする ④ 改善の展開段階では、変化する環境、仕事、お客様などのニーズ に応じて、マニュアルを進化(改善)させる。

◆5つのサンプルで実際のマニュアル作成のポイントをつかむ

第2部では、 5種類の業務マニュアルのサンプルを収録しています。

実際のマニュアルを見ていただき、実際の臨場感や表現の工夫などをご 自分の日でご確認いただければと思います。

マニュアル作成の現場では 現物の形から入るという方も多く、そういう意味でも、第2部は有意義 な資料になると思います。

マニュアルを活用したマネジメントのポイントを、本書を通して理解 され、「経営効率の向上と顧客満足度の向上」を図っていただくことを 願ってやみません。

2007年10月 吉原 靖彦

目次

成果を出すなら社内業務マニュアルが必須

第1部では、社内業務マニュアル作成時に最低限知っておく必要のある 基本をまとめている。

以下の章ごとにプロセスを踏んで読めるようになっ ており、マニュアルの企画者、マニュアルのノウハウ提供者、マニュアル の執筆者のために、社内業務マニュアル作成の基本知識を提供する。

[第1章]マニュアルの役割、効用、目的について理解する [第2章]マニユアルの企画の仕方、盛り込むノウハウの開発 や集約の仕方について理解する [第3章]わかりやすく、読みやすく、活用しやすいマニュア ルの執筆方法について理解する [第4章]業務系、販売系、サービス・接客系、作業系、操作 系のそれぞれの仕事の特徴と、マニュアル作成に関 するポイントを理解する [第5章] マニュアルの活用シーンである職場と仕事のマネジ メント、改善活動、またマニユアルを見て。

学んで。

納得して。

行動して。

成果を出すためのポイントに ついて理解する ※第6章は、必要なマニュアルを探すためのマニュアルマップで、多 くの企業で活用できるマニュアルの全体像を体系化して、マニュ アルの名称例として検索できるように掲載してある

 

マニュアルとは 標準化のツール

マニュアルは単なる作業の手順書ではなく、業務を 効率化する標準化のツールとなる

◎マニユアルには仕事を改善する効用がある

トマニュアルとは「手 引き。

便覧。

取扱説 明書」(広辞苑)

マニュアルがないと、われわれの仕事はどのように なるでしょうか? ●仕事の手順をそのつど、それぞれの人が考えるため ムダな時間を発生させる。

また、そのつど考えた手 順は検証がむずかしいため、仕事のミスやもれ、遅 れなどにつながりやすい ●過去のよいノウハウが活かされていないため、仕事 の効率が低い ●過去に確立したよいノウハウが、いつの間にか忘れ られたり、散逸してしまう。

または、それを探すの にムダな時間がかかる ●仕事の進め方が個人化されるため、会社や職場の方 針に合わない仕事の進め方となる危険性がある マニュアルがないと、このようなムダや問題が生じ る可能性が高くなります。

したがって、マニュアルの効用は、このようなムダ や問題を追放する点にあり、その効用を整理すると次 のようになります。

マニュアルがないと職場は非効率の海

① 個人知を共有知にする

仕事のやり方やノウハウなどの情報は、多くの場合、 1人1人が個人的にもっています。

このため人による 仕事のやり方にバラツキがあり、全体的に見ると効率 の悪い仕事となっていることがよくあります。

このような状態にある情報を「個人知」と呼びます。

これらの知の活用は個人の範囲に限定されています。

十分に企業全体の成果に活かされていないので、いつ しか忘れられるといった問題点を抱えています。

これに対して、「共有知」とは、職場や会社で共有 化された知、磨き上げられた知、認知。

承認された知、 まとまった知、維持される知のことです。

個人化とは「せっか く考え出したよいや り方やノウハウが、 他の人、組織全体に 伝わっていない状 態」

② 暗黙知を形式知にする

仕事のやり方、ノウハウなどの情報や知恵が潜在化 している状況、言い換えると、頭の中だけにとどめら れている情報や知恵の状態を潜在知といいます。

したがって、潜在知は「暗黙知」ということで、い まだ言語情報に整理されていない知です。

このような 状態では、主観的・情緒的な面が強く、前述①の「共 有知」にすることはできません。

これに対し、そのような情報や知恵をまとめ上げ、 文書化したものは、言語情報で表わされた顕在知とな ります。

したがって、これを「形式知」といいます。

形式知になることで、やり方やノウハウは体系化され、 客観的。

論理的になり、他者への的確な伝達が可能に なります。

新しい知を考え出したとき、知は当初は暗黙知の状

態にあります。

ですから、暗黙知は最新の知というこ とができます。

一方で形式知は過去の知ということも できます。

卜文書化には紙ベース のものと、パソコン やサーバー上にある データベースのもの がある

③ 部分最適を全体最適に変える 磨き上げられ、認知・承認されるプロセスのなかで、 「共有知」としての仕事のやり方やノウハウなどは、 会社や職場の目標と一致してきます。

すなわち、仕事 のやり方やノウハウなどが「全体最適」になります。

一方「個人知」はこのようなすり合わせのない状態 のため、個人にとってのみ最適と思われる「部分最適」 の状態にとどまってしまいます。

◎マニユアルを定義して明確にしよう

「マニュアル」とは、どのような文書類を指すのでし ょうか。

実は、マニュアルの定義は人によりさまざま です。

最も広くとらえている場合は、「会社内で文書化さ れている、ルール・基準・指針などすべてのもの」と いうものもあります。

また狭くとらえている場合は、「業務や作業のやり 方を文書化して示したもの」という例もあります。

マニュアル化(文書化)する対象を文書の種別(文 書の性格別)で見ると、規程、規定、標準、手順書な どとなります。

また、マニュアル化(文書化)する対象を業務の大 分類の日で見ると、経営管理系、販売系、生産管理系、製造系、サービス系、品質管理系、組織。

人事系、総 務系、財務。

経理系などとなります。

さらに、マニュアル化(文書化)する対象を作業の 種別で見ると、販売系、業務系、作業系、接客・サー ビス系、操作系などとなります。

本書ではマニュアルを「業務。

作業やサービスの考 え方や基準、また手順や急所などを標準として定めた もの」ととらえます。

レ規程とは「職務規程」 「生産規程」などの ように、全社的な経 営レベルでの取り決 め >規定とは、「夫見則と して定めた決まり」 のことで、部門別、 機能別の決まり レ手順書とは、「物事 をする順序を示した もの」。

個々の製品 やサービスのやり方 を示したものである

◎マニユアルは段取りと正昧仕事の両方を対象とする

いい仕事は、仕事のサイクル「マネジメントサイク ルとしてのPDCA(計画→実施→評価ゆ処置)」でい うDo(実施)の段階で花開きます。

この花が大きく、美しく咲くには、Plm(仕事の計 画・準備)の段階がキーポイントになります。

すなわ ち「計画・準備」である段取りが肝心です。

マニュアルは、これらPlan(計画・準備)とDo(実 施)の両方の段階を対象とします。

段取りは、仕事の内容に応じていろいろなタイプが ありますが、代表的なものを次に示します。

●仕事のやり方や手順を決める ●仕事に必要なモノの準備・手配をする ●仕事を実施するための人の計画や確保をする ●次の仕事への切り替え作業をする ●新規のイベントなどの企画を立てる

●新商品などを探索し、内容を計画する ●新商品などの生産立ち上げ準備をする ●仕事の結果を振り返り、次に活かす これらの進め方をマニュアルのなかで明確にしてい きます。

仕事を特性(パターン)で分けると、次の3 つに分類できます。

①定型仕事、②企画仕事、③創造仕事。

定型仕事の段取り作業(計画、準備、ルール化)の マニュアル化はとくに作業の発生頻度が高いので、重 要度が高くなります。

)段取りとは、「芝居・ 小説などでの筋の運 び」のことをいう。

転じて「事の順序・ 方法を定めること。

心がまえをすること、 工夫すること」(広 辞苑)をいう。

>定型仕事(繰返し的 日常的な仕事)、企 画仕事(明日の利益 のための仕事)、創 造仕事(新たなチャ ンスをつくる仕事)

〈定型仕事の例〉

経理ー日々の経理処理、月次決算

物流業務…出荷配送、入出庫管理

卜(企画仕事の例〉経理…原価差異の分 析、原価低減活動 の推進 物流業務…新配送ル ートの検討、製品 在庫削減活動

>〈創造仕事の例〉 経理…新原価管理制 度の導入、原価企 画システムの導入 物流業務…物流拠点 の再編成、輸送方 式の変更

企画仕事や創造仕事を行なう人は、独創性を阻害す るという理由で、マニュアル化に消極的な傾向が見ら れます。

独創性を発揮する主な対象は仕事のアウトプットで す。

もちろん仕事の手順の独創性もありますが、組織 の最良のノウハウとして設定したマニュアルは、それ を乗り越える新しい独創的な手順を逆に歓迎している といえるでしょう。

マニユアルの目的と目標を定めてつくる

マニュアルは万能ではない。

マニュアルの限界を知り、 目的と目標を明確化する

◎マニュアルは目的をもつてつくる

マニュアルは明確な作成目的のもとに作成し、運用 することが大切です。

目的が不明確なマニュアルでは、 活用しても仕事の成果を高める役割を期待できません。

マニュアルの究極的な目的は次の点です。

●経営効率の向上のため ●顧客満足度の向上のため

レロ的志向(マニュア ルの作成や活用の目 的を明確にするこ と)により、マニュ アル運用時の成果が 期待できる

>顧客満足度とはCS ともいいCustome― r’s Satisfaction σ)こ と

作成目的

●会社や職場の目的・目標達成のため ●情報や知恵の活用のため ●仕事(業務や作業)の効率化のため ●仕事(業務や作業)の質の向上のため ●顧客サービスの向上のため また、個々のマニュアルレベルでの目的の例として は次のようなものがあります。

●会社の目的である優秀な人材を確保する ●能力評価基準を明確にして、納得性を高める ●職場目標である月次決算業務を迅速に完了させる ●途中入社の社員に社内の最良のノウハウを教える

●人によるやり方のバラツキのムダを排除する ●人による仕事のできばえに差があるので、品質の 安定化を図る ●接客業務でのクレームを削減する このように目的を明確にして、目的志向でマニュア ルをつくることが大切です。

目白|とは 「成し遂げ ようと目指すところ。

行為の目指している 事柄」(広辞苑)

◎マニユアルによる達成目標を定める

マニュアルに期待するところは、マニュアルを使っ て作業・業務や改善を行ない、会社や職場の目標を達 成することにあります。

したがって、マニュアルを作成するときには、マニ ュアルを使って仕事をするときの目標(目標項目と達 成水準)を設定して進めるとよいでしょう。

日標を明確にしないで作成したマニュアルを使って 仕事をしても、成果の達成がおぼつかなくなります(第 2章第3節参照)。

目標とは「行動をす るにあたって、実 現・達成を目指す水 準」(大辞泉)

◎マニユアルの限界を知つておく

仕事の効率化や仕事の質の向上は、マニュアルのみ で果たすのではありません。

マニュアルが万能という ものでもなく、次のような限界もあるからです。

●時代の変化やニーズの変化について、常にアッ プ・ツー・デイトに維持することはむずかしい ●共有知、形式知がベースのマニュアルなので、最善。

最良の手順、ライバルに対する競争力を確実 に達成できる手順とは必ずしもいえない ●すべての仕事や仕事の場面のバリエーションにつ いて、マニュアル上で記述しつくすことはむずか しい。

また、そのつど手順を考えるような業務や めったに発生しない業務もマニュアル化しづらい ●作業やサービスの手順を、微に入り細にわたり記 述するのはむずかしい ●活用者のニーズが変化するため、本当に知りたい ことが書いてないおそれがある

〈微に入り細にわた る記述〉 作業マニュアルなど で、指の細かい使い 方、歩行の仕方など を詳細にマニュアル 化することは、必要 性があっても記述の 限界がある

◎マニユアルを活かすために工夫する

マニュアルの限界を知ったうえで、目的。

目標達成 のために次のような工夫を行なうことが必要です。

●マニュアルの効用と限界を周知し、仕事の推進面 での個々人の工夫や想像力の重要性をアピールし 認識させる ●マニュアルをつくってそれで終わりとしないで、 マニュアルを用いた教育。

訓練の仕組みを確立し、 細かい実践的なノウハウはそこで伝える ●マニュアルの維持体制。

改善の仕組みを明確にし、 ルール化する ●画像を活用したマニュアルにする(近年はデジタ ルカメラの普及により、画像を紙のマニュアルに 取り込むのは簡単で便利になった) ●映像(動画)もマニュアルに取り込む。

このため にパソコン環境を整備する

>各作業場所に端末を 配置し、作業者は端 末画面で、各種の作 業指示や作業情報 (マニュアルの内容) を見ながら仕事を行 なえる作業環境(パ ソコン環境)の整備 も急速に進んできて いる

 

マニユアルの役割と機能を整理する

マニュアルの役割を「見える化」と「流れ化」の 視点で整理し、作成対象を検討する

◎見える化・流れ化の視点で役割を整理する

仕事の進め方や改善の進め方を考えるとき「仕事を 『見える化』し『流れ化』する」というキーワードが 役に立ちます。

マニュアルの役割に関しても、同じように「見える 化」と「流れ化」の視点で整理するとわかりやすいで しょう。

◎マニユアルの役割1:仕事を見える化する

仕事の基本的な進め方はPDCAを確実に回しなが ら仕事を行なうことです。

仕事の質を高めるためにPDCAを回すのですが、 このときに大切なのは、PDCAを「見える状態で回す」 ことにあります。

すなわちPlanが見える、Doが見える、Checkが見 える、Actが見えるという状態で回すことがコツです。

このことを仕事や管理を「見える化」する、言い換え ると「仕事を管理状態にする」といいます。

仕事を進めるうえで、この見える化が実現できるように、マニュアルが支援する必要があり、それがマニ ュアルの役割の1つです。

マニュアルが担う、仕事の「見える化」の支援には 次のようなものがあります。

●仕事の目的、日標、業務の指示事項などの情報が 見える ●業務・作業・サービスのあるべき姿が見える ●仕事のルール・基準。

手順などが見える ●仕事上の問題点が見える。

また、これに対する対 応方法や手順などが見える

〈見える化〉 経営管理で「見える 化」は近年非常に関 心が高まってきてい る。

ここでは、マニ ュアルを通した「見 える化」をいってい るが、経営管理全体 の機能。

階層やプロ セスでの見える化を VM(Visual Manage― ment)という

◎マニュアルの役割2:仕事を流れ化する

仕事や改善を進めるうえでの次のキーワードは、「流 れ化」です。

見える化が、仕事の外形基準とすれば、流れ化は仕 事の内容基準になります。

マニュアルが担う、仕事の流れ化の支援には次のよ うなものがあります。

●目標、業務の指示事項などの情報が、停滞しない でスムーズに流れ(伝わり)、スムーズなDo(実 施)につながる ●業務、作業、サービスが途中で停滞することなく、 スムーズに流れる ●改善がスムーズに進展できるようにする

○機能面ではマニユアルには4つの機能がある

マニュアルの役割を機能面で整理すると、次の4つ があります。

①「仕事を決める」機能 マニュアルで仕事のルールや手順を決めるというこ とです。

マニュアルをつくる(マニュアル化を進める) ことにより、仕事のルールや手順が明示化されます。

②「仕事を教える」機能 マニュアルを用いて仕事を教えるということです。

マニュアルを用いて仕事を教えたり指示したりするこ とにより、的確で間違いのない内容を、効率的かつ確 実に教えることができます。

③「仕事を守る」機能 仕事をする人がそのマニュアルを参照しながら仕事 を行なうということです。

確実な仕事を継続的に行な うには、常に仕事のルールや手順を確認しながら進め ることが必要です。

④「仕事を確認し改善する」機能 今の仕事のやり方を明確にすることにより、よりよ い方法を考えるもと(ベースライン)になるというこ とです。

現在の仕事の方法が明確にならないと、改善 も推進できません。

)ベースラインとは、 「仕事を進めるとき 会社や職場が合意し た共通の土台となる 仕事のやり方」。

そ の後の改善に従って 変更されるときも、 このベースラインか らの差分として管理 されるべきもの

 

マニュアルにはライフサイクルがある

マニュアルを生んで、育てて、活躍するための 流れをライフサイクルとしてつかむ

◎ 4つのステップでライフサイクルが進む

マニュアルが生まれてから廃上になるまでのステッ プは次のようになります。

これを、マニュアルのライ フサイクルと呼びます。

①作成(標準化) ②活用(実施) ③維持 ④改善

トマニュアルのライフ サイクル(LiねCycle) とは、マニュアルが 生まれてから死ぬ (廃止)までの流れ

◎作成段階には準備と執筆のステップがある

マニュアルは、目的達成(成果)に役立って初めて 価値があります。

そのために、マニュアルの作成にあたっては、周到 な作成準備と適切な作成手順が欠かせません。

作成準 備に関しては次のような点への配慮が必要です(第2 章参照)。

●マニュアルの推進体制をつくる ●仕事の全体像をとらえる(仕事の整理) ●職場の課題を整理する●マニュアル化する対象業務を考える ●マニュアルの作成目的・目標を設定する ●マニュアルの作成計画をつくる ●現状の仕事のやり方を把握してレビューする また執筆段階に関しては次のような点への配慮が必 要です(第3章参照)。

●マニュアルの使用のシチュエーションを決める ●わかりやすく、読みやすい記述にする ●マニュアルを検証する

レシチュエーション (Situation)とは、「立 場、状況、位置、場 所、事態」のこと

会社や職場の仕事の 全体像を把握してか ら、仕事を推進する と全体最適の視点で 仕事ができるように なる

◎活用段階のスタートは見ること

マニュアルの活用は「マニュアルを見る」ことから 始まり、「内容を学ぶ」「内容を納得する」、そして「そ れに沿って行動する」で「成果を出す」につながりま す。

「見る、学ぶ、納得する、行動する」ために、次のよ うな運用や環境づくりが必要です(第5章参照)。

●マニュアルを見る習慣と工夫をする ●マニュアルを用いた指導・育成を計画的に進める ●全員参加型のマニュアルにするために、提案など を積極的に引き出す また、「見る、学ぶ、納得する、行動する」ために は、マニュアルが使用されない次のような問題点を克 服したマニュアルを目指します(第3章参照)。

●使いづらい:要因としては、使うシチュエーシヨ ンに合っていない、知りたいことがすぐ見つから ない、読みづらい、理解しづらいなどがある●使えない:要因としては、理論面しかなく具体性 がない、仕事の急所が示されていない、内容の維 持がされていないために使えない、などがある

◎維持段階では鮮度をチェックする

会社や職場で、マニュアルを活用して成果を出すた めには、最新版のマニュアルをいつでも使える状態に する次のような維持管理が不可欠です。

●マニュアル作成、確認、承認、登録、改訂、配付 の管理体制をつくる(第3章参照) ●定期的にマニュアルの棚卸しを行なって、マニュ アルの新鮮度合いをチェックする ●マニュアルの改訂の手順を明確にする

レ〈成果を出す) 成果志向、すなわち 成果をどのように出 すかを常に考えなが ら行動することを 「結実主義」という

◎改善段階では常にフィードバックを行なう

仕事も進化するように、マニュアルも進化する必要 があります。

すなわち、マニュアルの内容が常に会社・ 職場のベストプラクティスとなっていることです。

これをマニュアルによる改善管理といい、次のよう な点への配慮が必要です。

●マニュアルを固定的なものととらえないで、運用 した結果、見つかった問題点を常にマニュアルに フイードバックし、改訂。

改善する(第5章参照) ●会社や職場の目標を達成するための活動(これも すなわち改善活動)で生まれてきたルール、基準 をマニュアル化する

ベストプラクティス (Best Practice) と は、通常は先進企業 の成功事例や最も優 れていると考えられ る仕事のやり方やノ ウハウを才旨す

◆個人の成果に頼つているとリスクが大きい 機械商社A社の工具販売部は、業界でも名の知れたトップ営業マン の×氏とY氏を抱えていました。

営業マンは2人を含めて8人いまし たが、×氏とY氏だけで工具販売部の売上げの55%を占めるほどでし た。

ところが、あるときX氏とY氏が突然退社を申し出て、2人そろっ て退職してしまいました。

ライバルの機械商社に引き抜かれたようで した。

A社は急きょ営業マンを中途採用しましたが、両氏の穴は埋まらず、 工具販売部の売上げは長期低迷を余儀なくされてしきいました。

◆マニュアル化で組織のノウハウにしておこう 両氏の商品知識や説明方法、業界情報、販売ノウハウ、人脈は際立 っていました。

2人のノウハウをマニュアルという形でまとめておか なかったため、両氏の退職とともに、販売ノウハウも喪失したのでし た。

人材の流動が激しい今日、属人化したノウハウは、企業の存続を脅 かすことになります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次