仕事を確認するためのチェックリスト
こんな話がある。
冬には、どの家庭でも電気コタツを使うが、家を出 た主婦に、コタツのスイッチを切ってきましたかとたずねると、大部分 の人は自信がなく、家に戻って確認をするそうだ。
家の鍵をかけてきま したか、という質問に関しても同様である。
たいていは、ちゃんとやっ ているのだが、いちいち確認をしていないためにこのようなことにな る。
実際、何度かはうっかり忘れてしまうこともある。
また、国際化がすすみ、いろんな国のいろんな宗教の人が研修で各企 業に滞在する機会がふえてきた。
仕事中は受け入れ側もいろいろ気をつ かい準備するが、食事のことまで気がまわらない。
一律に同じものを出 すと、豚肉がダメとか鳥肉しかダメとかでほとんど口にするものがない 人もでる。
私たちは毎日いろいろな仕事や活動を行なっているが、それが正しく できているかどうかわからなくなるときがある。
そして、業務が不効率 になったり、ミスを発生させたりする。
このようなときに、手際よく正 確な仕事のポイントを教えてくれるのが、チェックリストである。
チェック(check)とは、くい止める、さえぎる、阻止するなどの意 味をもち、「仕事、あるいは能率などを標準、基準に照らして確認する こと」とも定義できる。
リスト(Hst)とは、一覧表、目録、名簿など を意味する。
チェックリストとは、「仕事や仕事の結果、または品物を 基準と照合して点検して、その結果を簡単なマークで記入することによ って、仕事や品物を確認したリデータをとるための図表のこと」と定義 できる。
チェックリストは、仕事をするときにあらかじめとり決めた基準と照 合し、正確で効率的な仕事をめざすということから、マニュアルの一部 である。
しかし、マニュアルが、それを活用すれば誰にでもその業務が できることをねらいとして作成されるのに対し、チェックリストは、マ ニュアル化されている業務が、そのとおりに確実にできているかどうか を確認するためのものである。
マニュアルで業務のやり方をおぼえ、チ ェックリストで業務のポイントを確認しながら仕事をすすめる。
使えるチェックリストのつくり方
個々の業務が期待する水準で行なわれるように、というマニュアルづ くりの目的を忘れてはならない。
同時に、期待する水準で、ほんとうに 実施されているか業務担当者、上長とも確認することを怠ってはならな い。
このためにチェックリストが存在する。
ところが、使えないチェッ クリストが多いので、事例をあげて考えてみたい。
図の事例は、あるファミリーレストランの壁に掲示されているトイ レ・チェックリストである。
現状は、簡単なチェック項目と時間とサイ ン欄があるだけである。
作業実施ズミを記録して、各項目ごとに作業モ レをふせぐのが目的と思われる。
これで目的を達しているだろうか? 残念ながら、このリストでは、確実な補充と清掃は困難である。
補充・ 清掃すべき10か所のどこかが、忘れられる可能性がある。
まず、業務が番号順にできない。
チェック項目に書かれた番号順に補 充し清掃することは不可能である。
1と5は便器付近で扉の奥にあり、 2と3は洗面台付近で扉の手前にある。
この順序では、移動距離が長く なり、扉をはさんで行き来しなければならない。
現状は補充と清掃という 作業のちがいにこだわりすぎ、実際に店の中で行なわれている手順が考 えられていない。
本部の間接要員による机上の作成としか思われない。
ついで、実施時刻は、はたして2時間ごとでよいのか。
整然としてい るものの、これは利用時間のかたよりを配慮しているとは思われない。
すでに忙しい時間がはじまっていても、12時前と18時前に実施して、さ らに13時、19時と実施すべきであろう。
確かに繁忙時にトイレ点検の時 間はとりにくい。
しかし、顧客満足のために重点実施すべきであろう。
繁忙時には、 1時間1回を原則に実施したい。
トインの清掃と補充に関するあるべき論が不十分なのである。
つま り、適正化のレベルが今一歩なのである。
たとえば、実施した各項目に は個々に「レ」印をいれたい、だが時間はかかる。
二律背反とはいえ、 業務の目的からすると必要不可欠な部分である。
清掃とは、「ピカピカ になるまで」という要求レベルまでを含め、適正化を図りたい。
10か所 モレなく短時間でという視点で筆者が作成したものを添えておく。
チェックリストはマトリックスで
チェックリストには、必ず『何に対して」「どういうことを確認した いか」というように、対象物と確認事項の2つの要件がある。
たとえ ば、書類の回覧が関係者にきちんとなされるように回覧チェック欄を設 け、書類を見たらサインや印を押すことが行なわれている。
ここで、対 象物とは関係者のことで、確認事項とはその書類を見たかどうかという ことである。
このような2つの要件に対し、モンがないようにチェック リストを作成するには、マトリックス図法を用いると便利である。
マトリックス図法とは、タテとヨコに要件ごとのそれぞれの項目をと り、各項目が交じり合った欄の中をチェック項目で埋めていくやり方で ある。
職場の整理・整頓・清掃のチェックリストの作成を例にとってみ よう。
ここで、対象物とは職場の中の、棚・ロッカー・キヤビネット・ 書類・事務用品・事務機器などであり、確認事項とは整理・整頓・清掃 ができているかということである。
マトリックス図にあらわしてみる と、いくつかの空欄ができるので、この中身を検討していく。
検討には、ブレーンストーミング法を用いるとよい。
カードを用意し て、1つのマトリックス欄に対して考えられることをすべてピックアッ プする。
もうこれ以上でないというところまできたら、でてきた項目を 検討し絞り込む。
「棚」と「整理」では、使わない棚が置かれていない か、「事務用品」と「整頓」では、個人持ちと共用持ちの区分はできて いるか、「事務機器」と「清掃」では、コンピュータの配線は切れかか っていないか、などとなる。
チェック項目は、モレがないように作成しなければならないが、多す ぎても、チェックに時間がかかり実用的でない。
整頓のチェック項目 で、個人持ちと共用持ちの区分はできているか、という項目があがって いれば、個人持ちの置き場が決められているかとか、共用事務用品の置 き場は明確かなどの項目は省略する。
ただし、清掃のチェック項目で、 コンピュータの配線は切れかかっていないかとするのを、コンピュータ 類としてプリンター、コピー、フアツクスなども含めることを暗示する ような表現はしてはならない。
チェックリストにおける評価法
チェックリストは、内容や目的によつて評価のしかたを変える必要が ある。
また、評価者も、自分で行なう(第1者評価)、社内の自分以外の 人が行なう(第2者評価)、外部の人が行なう(第3者評価)と3通りが ある。
仕事の手順やポイントを確実に行なうためとか、準備しなければなら ないものの確認をするためなどの、たんに忘れをふせぐためにのみ用い るのであれば、鉛筆でチェック欄に印をつけるだけで十分である。
よく、 この場合に印をつけずに、日で確認するだけですませていることがある が、チェック印を記入をする作業を省略してはならない。
また、チェック は1つひとつ作業を行ないながら実施し、すべての項目にチェックが入 ることでその仕事が完了したとみなす。
通常、第1者評価の形をとる。
次に、その仕事の結果がどの程度であるかという、仕事の結果を後で 評価する場合の評価方法について述べる。
まず、二者択一式で評価する 方法がある。
YESかNOかという評価である。
質問方法も「……はあり ませんか」とか「……できていますか」となる。
もちろん、すべて YESとなるように改善していくわけであるが、現在どの程度できてい るのかという評価のレベルづけができない。
そこで、評価を優・良・可 の3点法にするとか、1点~ 5点の5点法にする方法を用いる。
さら に、同じ5点法でも1点~ 5点だと3点に点数が集まる傾向になるので 0点~ 4点とする工夫もある。
ただし、評価をレベルづけする場合に は、評価基準がはっきりしていないと、評価するたびに基準がちがった り、評価者により差異がみられたりする。
この場合は、通常、第2者評 価の形をとる。
いろんな情報を得るために、チェックリストを活用する場合もある。
単なる個々の項目ごとの評価ではなくて、いろんな情報を集めて総合的 に評価する。
質問方法も、「この職場では、作業者への教育はどのよう 行なっているのですか」などとなる。
しかし、この場合には、評価者も 被評価者も、ともにある程度の能力が必要である。
通常、品質監査とか 経営診断などの、第3者評価の形をとる。
チェックリストの目的は仕事の管理
職場に入ると、ビニールケースに入れられ、チェック欄のみカッテイ ングされたチェックリストが、きれいに掲示されている。
チェック欄を 見ると、前日までの箇所にすべて○印がされていた。
しかし,どうもお かしい。
このチェックリストは、仕事の段取りがかわるときにチェック するものだが、さつき段取りがえが行なわれていたのに、何も確認して いなかったし、チェックもしていなかった。
職場のリーダーに聞いてみ るとあまり異常がでないので、1日分まとめて記入しているとのことで あった。
また、チェックリストは、品質管理のスタッフが全職場のもの をつくり、活用の指示をしていったという。
チェックリストは、チェックや記入することが目的ではない。
チェッ クをすることで、仕事の確認をしたり、仕事を改善したりするための道 具として使うわけである。
いかに、立派なチェックリストをつくったと しても、使う目的が達成されなければ何にもならないし、逆に業務の効 率化を妨げるものとなる。
チェックリストを作成し、仕事の確認や仕事の結果の評価において、 チェックリストを活用する計画を立てる。
実際に、チェックリストを使 ってみる。
チェックした結果を評価する。
不具合点を改善する。
すなわ ち、P(計画)―D(実施)―C(評価)―A(処置)の管理サイクルを回し、仕 事の管理を行なってはじめて、チェックリストが本物となる。
仕事の管理というと、自分は管理職ではないので関係ないという人が いるが、管理とはPDCAを回して仕事のレベルアップを図ることである から、少なくとも自分の担当している仕事においては、管理ができなけ ればならない。
そのときの、基準となるのがチェックリストであり、基 準との不具合が生じたらただちに改善し、つねに基準との比較において ものごとを考えるようにしなければならない。
チェックリストの作成で、個々の業務の担当者は仕事の基準が明らか になり、自分の業務は自分で管理するための「ものさし」ができ、職場 の活性化のための必要条件が満たされる。
チェックするのは、本来自分 自身であるべきで、そうすることで業務のレベルアップにつながる。
良いチェックリストの条件
まず、チェックリストを使ってもらわなければ、何にもならない。
し かし、このことに気づいている会社が、いかに少ないことか。
作業中 に、チェックリストが必要になったが、どこに置いてあるかわからない とか、文字が小さくて、しかも汚れているので見づらいとか、記入しよ うと思ってもケースからいちいちとりださないとチェックできないと か、やっととりだせたが、ペンがついていないとか、活用を呼びかける 以前の問題である。
このようなことがあると、めんどうになって長続き せず、作業者のKKD(勘。
経験・度胸)だけがたよりで、仕事の品質も 運まかせということになる。
ほんとうに必要性があって作成したものな ら、このようなことだけは、なくさなければならない。
実際、こういっ たささいなことに気配りができず、失敗している会社がかなりある。
次に、管理面での問題点について述べる。
汚れているチェックリスト はダメ。
チェックリストなど重要でないのでどうでもいいよ、と言って いるのと同じである。
前月のままのものもこれと同罪である。
また、や たらチェックリストの枚数が多かつたり、チエック項目が多すぎるの は、作成者が現場を知らない場合が多く、そのため内容もありがたくな いものが多い。
それとは逆に、現場に手書きしたメモが、テープで貼り つけられているのを目にすることがある。
これは、作業者が、自分でつ くったチェックリストであり、こういうものこそチェックリストから落 としてはならない。
最後に、管理職の行動がチェックリストをダメにしてしまっているこ とがある。
必要なチェック欄に、チェック忘れがあっても何も言わな い。
チェック欄に、×がつけられていて問題が明らかであっても、何の 手も打たない。
これでは、まるで管理職がチェックリストなど活用する な、と言っているようなものである。
管理職自身が、チェックリストの 必要性を認識し、行動しなければ、絶対に成功しない。
こういう管理職は、チェックリストのみでなく、自分の部下や、さら にその会社までもダメにしている。
チェックリストは、企業内コミュニ ケーションの手段でもありうるのである。
社内研修チェックリストの事例
人事部新任のMさんは、社内での教育研修を担当することになった。
前任者との引継ぎの際には、講師の依頼先や階層別の教育計画などにつ いて教わった。
しかし、いざ実施しようとなると何か忘れているものは ないかなど、気がかりになってくる。
実際、社内研修の場合、講師を手 配し、受講者に連絡をとり、場所とテキストさえ準備しておけば何とか なるものだ。
しかし、せつかく多くの時間を費やして行なうのだから、 十分な準備をして最高の成果をあげたいものである。
まず、講師の依頼を終えたら、再度、日時・場所・交通手段などを文 書(FAX)にして送るとともに、研修カリキュラムと使用テキスト、そ の他特別に準備するもののリストを請求する。
そして、研修の2~ 3日 前には、依頼再確認の電話を入れる。
研修終了後、礼状を出せば完壁で ある。
受講者をリストアップしたら、その部署の上長経由で研修受講の連絡 をする。
筆記用具などの準備用品の連絡も同時に行なう。
また、グルー プ作業を行なう場合は、事前にグループ分けをしておく。
そして、受講 者の中から世話役を決めておき、研修のはじめと終わりのあいさつの号 令をかける。
号令があるかないかでは、研修の雰囲気が全然ちがってく る。
宿泊研修の場合は、部屋割りもしておく。
研修室の手配は、人数を確認して適度な広さを確保し、多人数の場合 は、マイクを準備する。
準備用具、準備資料としては、受講者名簿0受講者名札を忘れないよ うにし、講師が受講者とコミュニケーションができるようにしておく。
新聞紙は、模造紙に書いたマジックが机に写らないように、水さしは、 講師ののどの渇きをいやし、明瞭な声を維持するために準備する。
最後 に、アンケート用紙で今回の研修に対する受講者の意見や要望を聞き、 今後の改善事項とする。
このようなチェックリストを作成しておけば、新人でもきめ細かい対 応ができ、正確で、効率的な仕事が可能となる。
また、このような標準 があってはじめて改善(更新)がなりたつ。
Sチェックリストの事例
5Sチェックリストは、 5S活動をすすめるうえで強力なツールとな る。
チェックリストを読むだけでも、自分たちの職場がどういう姿をめ ざしているのかということが理解できる。
また、自分でチェックするこ とにより、何度も何度もそれが頭の中にインプットされ、日常の業務の 中で自然と行動にあらわれるようになる。
これが、5S活動成功の秘訣 である。
5Sチェックリストは、業種や規模により異なるし、同じ会社 でも職場によりちがってくる。
通常、全職場共通のものと、個々の職場 ごとのものの2種類を作成し、活用する。
全職場共通のものは、5S委 員会などのプロジェクトチームが作成し、個々の職場ごとのものは、そ の職場にまかせる。
これも、5S教育の1つである。
それでは、誰がチェックするのか。
まず、社長が行なう。
1か月に、 1日~ 2日間スケジュールをとってもらい各職場を巡回し、職場リーダ ー立会いのもとでチェックを行なう。
これで、大成功をおさめた会社が 何社もある。
これまで、直接社長が現場に出ることがなかったり、社員 と話をする機会がなくコミュニケーション不足であったりしたが、5S チェックを契機に生の情報収集活動ができるようになる。
次に、自分たちでチェックをする。
職場のメンバー全員がまず個々に 点数をつけ、後でメンバーで話し合い1つにまとめる。
この話し合いの 中で、いろんな問題点が確認でき、改善に結びつく。
相互チェックという方法もある。
これは、自分の職場以外の職場を、 お互いにチェックし合うやり方である。
入社以来十数年間、ずっと同じ 職場のままなので、他職場のことはほとんど知らないという例はよくあ る。
そこで、 5Sチェックをとおして他職場へもどんどん出かけ、お互 いに指摘し合う。
また、他職場の良い点は、どしどし真似をして改善を 図っていく。
こうすることで、各職場の5Sレベルが平均化され、全社 的レベルも向上する。
5Sチェックリストは、 5S活動をすすめるツールというだけでなく、 トップと社員、同じ職場内のメンバーどうしおよび職場間での、コミュ ニケーションの円滑化にも大いに役立つ。
Sチェックリストにおける評価のしかた
チェックリストでチェックはするが、そのまま机の引出しの中にしま い込んでおく。
たまにチェックを忘れる(本当は知っているが面倒くさ い)ことがある。
評価がいつも変わらず、目をつぶっていても点数をつ けることができる。
このような状況では、職場の5Sレベルが改善され るはずがない。
チェックリストの目的は、悪い箇所を発見して、改善す ることである。
まず、チェックしたら点数はグラフ化し、よく見えるところに掲示 し、改善のすすみ具合を、みんなに確認してもらう。
みんなで活動して いるのだから、必要な情報は公開しなければならない。
また、点数のみ でなく、具体的にどこが悪いかということも指摘する。
5Sチェックリストの評価方法は通常5点法である。
0点はまったく ダメ、1点はまだまだ不十分、2点は一応手が打ってある……という具 合に、評価者の満足度でつける。
しかし、この方法だと評価が曖味にな るばかりでなく、ある程度まで活動がすすむと、いつも同じ点数がつけ られ評価者がマンネリになってしまう。
そこで、減点法に切り換える。
あるチェック項目に対して、1か所で も欠点があれば100点から1点引くというやり方だ。
5S活動の初期の ときは、このやり方だと、点数がマイナスになることもあるので、ある /ベルまできた会社に適用するとよい。
5Sチェックリストは、職場の5Sレベルをチェックするだけでなく、 5S活動の推進状況のチェックも兼ねる。
たとえば、各職場の評価を月 ごとに見ていくと、評価が落ちてきている職場や、一定のところからは 向上が見られない職場がある。
また、チェックをしていないところもでて きており、全体的にも沈滞ムードが見受けられる。
このような状況の場合 は、5S活動の推進者がマンネリになってきていることが多い。
推進方法 の結果がチェックリストにあらわれていると判断し、すぐに手を打つ。
よくチェックリストの評価結果を見て、少しもレベルが向上していな いことに対し、管理職が担当者を叱ることがあるが、これは管理職自身の 管理能力がチェックリストにあらわれていることに気づくべきである。
ISO9000審査チェックリスト
ISO(国際標準化機構)規格のIS09001は、品質システムの国際規格で ある。
製造業や建設業では国内外を問わず顧客との取引きの際には、この認 証を取得しておかないとビジネスがなりたっていかなくなってきてい る。
この認証は、各国の認定機関より認定された認証機関が行なってい るが、認証にあたっては資格を持った審査員によるきびしい審査が行な われる。
その際、審査員はあらかじめ作成したチェックリストにしたが って、審査を行なう。
チェックリストは、IS09001規格の、要求事項に受審企業の品質シス テムが適合しているかどうかをチェックする目的でつくられる。
要求事 項と会社の各部門をマトリックスにして作成するが、通常審査は4~ 5 日で行なわれるため、時間配分も考慮して、その部門が担っている主た る機能は何かということでチェック項目を絞り込む。
たとえば、営業部 なら、顧客の要求事項の確認がキーポイントとなり、そこを重点的にチ ェックする。
作成は、受審企業ごとに行なわれる。
企業規模や業種によリチェック 項目が異なるためである。
もし、あらかじめ印刷しておくと、その企業 にあてはまらない項目まで質問し、×をつける可能性があるからだ。
そ して、バランス良く項目をサンプリングする。
いくら自分がその分野が 得意だとしても、かたよった作成はしない。
チェックリストの標準的なフォーマットは、どの部門において、具体 的に何を見るか、そしてそこで何を探すのか、サンプルはいくつ取る か、時間はどれくらい費やすか、話をしたい担当者は誰か、結果はどう だったか、その他のコメント、の順につくられている。
たとえば、設計 部の課長と会って、図面を5部見せてもらい、そこから図面の変更がル ールどおりやられているかどうかを調査する。
結果は、5枚のうち2枚 だけ承認のサインがないものが発見されたとなる。
なお、コメント欄には、悪い点ばかりでなく、良い点も記入し、総合 的な判断のもとで審査報告がなされる。
ISO9001審査チェックリストの利点
審査チェックリストの利点は、まず、審査の目的から外れることなく 審査を実施できるということである。
審査員も自分の興味のある業務や 専門技術の所になると、つい審査の目的から外れることがあるかもしれ ない。
審査に直接関係のないことをあれこれインタビューすることは、 時間的なことのみでなく相手に不信感を与え、トラブルのもととなる。
審査チェックリストは、審査員がわき道に外れないように、道しるべと なる。
実施段階では、限られた時間の中での審査なので、審査のペースを管 理するタイムキーパーとなる。
1つのチェック項目にこだわり、深みに はまり、他の事項については時間切れで審査できないというようなこと をふせぐ。
また、あらかじめ準備するので、チェックのぬけや質問切れ をふせぐことができ、すべてをまんべんなくサンプリングできる。
そし て、審査は各部門に出向いて行なうが、部門別にチェック項目をとりあ げてあるので、あっちの部門へ行ったりこっちの部門へ行ったりするこ とがなくなり、受審企業にとっても効率的に審査をすすめることができ る。
それに、途中で何かあり中断することがあっても、また次の項目か らとりかかることができるので便利である。
審査終了後では、もちろん審査報告書の作成のための元資料となる が、使ったチェックリストを、そのままとっておくと貴重な資料として 活用できる。
チエックリストの質問は、はい、いいえ式の形式ではな く、「……はどのような方法で行なわれていますか」というように相手 からいろんなことを引き出そうとする形式なので、チェックリストをメ モとして活用すると、後で何をしたか、何を言ったかなどがわかり、審 査実施状況のすべての情報をそのまま残すことができる。
フォローアッ プ審査として6か月後に審査に出向いたとき、このチェックリストを見 ればすすめやすいし、別の審査員が審査を行なうとしても、事前にカル テがあるので、要点をついた審査ができる。
審査員にとっては、事前にその企業に合ったチェックリストを準備 し、計画し、審査をきちんと行なったということの証拠となる。
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