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業務の適正化と標準化 ― マニュアル化への準備(1)

目次

業務手順とポイント・コツを明確にする

業務の遂行にあたっては、細分化された具体的な実施事項(何を)ご とに手順が存在する。

その手順を明確にするのが、マニュアルの基礎で ある。

同一業務でも、得意先などの種類ごとに実施事項や手順が異なる こともある。

マニュアルは、業務を円滑にすすめるための具体的な業務 遂行手順書なのであり、スローガンやガンバローという掛け声ではな く、実務的な対応が記述されていなければならない。

「手順」とは、ある業務を遂行するにあたつて、どういう順序で何を すればよいかのことである。

してはならないことでなく、すべきことは 何かをはっきりさせることに留意したい。

「oOはすべきでない」とい う記述をよく目にするが、○○はすべきでないとしても、「何を、どの ようにすればよいのか」が不十分であれば、マニュアルの目的を達する ことはできない。

ある業務が、複数の細分化された具体的な実施事項からなるとする。

その場合、どちらを先に行なうのかをはっきりさせる必要がある。

業務 を行なう順序はA→ B→ Cなのか、それともA→ C→ Bなのか。

まず何 をして、そしてその後、どうするのか。

それには条件があるのか。

条件 があれば、その条件分けをはっきりさせる。

条件によってちがいがある 場合、その場合ごとに、手順が明確にされなければならない。

業務の手順をしっかりさせることが、業務の遂行をより効率的にする ことになる。

何を、どのような手順で実施するかを明確にするために は、遂行する順序だけでなく、用語集(事務業務であれば、使用する帳票 類を含む)・チェックリスト・教育計画などが必要である。

さらに、手 順が明らかになったら、その手順が確実に遂行されるような「成否」の ためのポイント・コツ(勘どころ)、そして、どの程度までを望むかの レベルを明確にする。

多くの場合、手順が記述されていても、どのようにその部分を実施す れば、うまくいくかのポイント・コツが抜けていることも多い。

せっか く、遂行順序を明らかにしたのだから、ついで、それをうまくすすめる 勘どころを明らかにすることを忘れては意味がない。

まず業務を目に見えるようにする

マニュアルを作成する場合、高望みは禁物である。

マニュアル作成に は時間を要する。

多くをマニュアルに盛り込もうとして高望みしてはな らない。

業務遂行にあたって本質的で基本的な部分を、確実にマニュア ルとしてまとめることが第一である。

マニュアル作成の目的は業務の有 形化である。

個々の業務担当者だけでなく、その業務にかかわる複数の 関係者に対して、業務が目に見えるようにすることを「有形化」とい う。

有形化を基礎に、少しずつレベルアップしてゆく。

マニュアルをつくることで、業務の改善という視点が生まれるのは事 実であるが、それは副次的な効果であると、まずは理解しておこう。

マ ニュアルとして記述すべきことは、その業務の遂行にあたる誰しもが、 最低限守るべき基準をはっきりさせることである。

何を、どのような手 順でというような最低なすべき基本をはっきりさせずに、管理はどうす ればよいかなど多くを高望みするべきではない。

ある業務を、新規学卒の新入社員や未熟練のパート・アルバイトが実 施する場合を考えてみればよい。

彼らにとって、業務をうまく行なうた めの経験や経験によって得られる勘はないに等しい。

そういう場合に、 具体的な実施事項は何で、どの順序で実施すればよいのか書かれている ことが役に立つ。

これがマニュアル作成の出発点である。

業務の種類でいえば、定型業務からマニュアルを作成する。

例外的な ものや、判断をともなうようなむずかしい業務からはじめてはならな い。

決算や賃上げのような年1回のものより、毎日・毎週・毎月繰り返 される頻度の高い業務からはじめる。

そのうえで、重要な業務へすす む。

重要度は高いが、頻度が少なく遂行者も限られるような業務や経験 豊富な担当者が判断を要するような業務は、後回しとなる。

毎日、繰り返し実施するような業務に関して、問題なくすすめるため に最低必要なことを、つまり業務完遂のための成否からマニュアルに書 きとめる。

これが、マニュアル作成の第1歩である。

定型業務から非定 型業務まで、すべてを包含しようとすることは高望みである。

マニュア ル集は、まず新人や初級者を対象とするものから作成すべきであろう。

すべてに先行する業務の適正化

業務を、これまでやってきたとおりに紙に書いてもマニュアルにはな らない。

マニュアルには統一された様式が必要である。

手順やポイン ト・コツなどが記載されていなければならない。

様式が整っていても、 紙に書く前に、その業務があるべき姿になっていること、つまり「適正 化」されていることが求められる。

今やっているとおりを、紙に書きだ してもマニュアルとはいえない。

マニュアルとして書きだす前に、自分だけでなく、上長やその業務に 携わる何人かの同僚がいっしょに、具体的な実施事項から遂行方法や期 待レベルなどについて検討をかさね、合意していることが必要である。

業務遂行者が、実施手順を書きとめただけの文書はマニュアルではな い。

マニュアルとは、誰が読んでも、その業務について理解できて、担 当者とほぼ同じレベルで業務を遂行できるものでなければならない。

現在の業務水準より高く、あるべき姿を模索して設定することを「適 正化」という。

そのうえで、マニュアルとして記述する。

適正化を標準 化と表現すると、業務の見直し・改善という観点が弱くなり、「標準」 づくりという視点が強くなるので、あえて適正化と表現する。

両者の関 係を明確にすると、標準化は適正化の一部分であり、適正化は、現在の 標準を見直し、さらに高い基準を設定する部分であるといえる。

適正化 のステップをへて、業務をマニュアルにまとめる必要がある。

原則的に、適正化のための時間を十分とることが望ましいが、時間的 な余裕がない場合もある。

このような場合は、何人かの目が通って、承 認されていることを条件に、マニュアルとすることが認められる。

マニ ュアルは、良い意味で権威づけられていることが必要で、少なくとも、 その業務遂行部署の「ライン長」が承認していることが求められる。

マニュアルは、その業務を担当する個人のためのものではない。

むし ろ、その業務を日常、担当していない人が担当者と同一レベルで業務遂 行できるための道具である。

つまり、関連する数人が業務を共有化する ための手段と考えておくべきである。

あわてて紙に書くのではなく、適 正化というステップをへてはじめてマニュアルたりうるのである。

適正化のすすめ方

前項で述べたように、業務のあるべき姿を設定することを適正化とい う。

ある業務に関して、具体的な実施事項をどのような手順で実施し て、要求する水準はどの程度なのかを設定することが適正化である。

本 来、適正化の段階は、マニュアル作成以前の問題である。

業務の適正化 をへずに、マニュアルを作成しても、企業が期待するレベルで業務が遂 行されるはずはない。

適正化の段階はマニュアル作成の一貫として、確 実に踏む必要がある。

適正化の第1歩は、業務の体系についてである。

最近、事務作業では OA化の進展のため、コミュニケーション作業では要求内容の高度化な どのため、体系つまり業務の流れに、さまざまな変化がおきている。

担 当ごとの業務見直しではなく、ある業務が処理される一連の関係および その業務の機能(はたらき)という点から、あるべき姿を明確に設定しな ければならない。

つまり、業務を行なう目的から考えて、仕事の流れと 具体的な実施事項が適正かどうか、根本から再度、検討するのである。

業務についての具体的な実施事項が明確になったら、どのような順序 で実施すればよいかを、はっきりさせる。

順序の入れ替えだけで、大き な投入時間の削減も期待できる。

さらに、その業務を実施するのが、現 在の部署の担当者でよいかを検討する。

業務量や担当者の能力との関連 で、分散して実施されていることもあり、実施担当部署と要員という両 面から、あるべき姿になっているかどうか検討する必要がある。

このように、業務の目的、具体的実施事項および手順、担当を検討し てから、いつ・どこでなどについて検討する。

もちろん費用的な面につ いての十分な検討はいうまでもない。

これらをまとめて、この業務につ いて企業は、どの程度までを期待しているのか、またどこが成否にかか わるポイント・コツなのかを「あるべき姿」として設定する。

適正化の過程は、その業務担当者1人で行なうべきではない。

担当者 の上長をはじめ、関連する数人で多角的に検討して合意すべきである。

そうでないと、担当者独自の特殊な見解が、企業全体の基準となってし まいかねないのである。

標準・標準化とは

標準とは、ものや方法、手続きなどに関するとり決めである。

もし、 標準が定められていなければどういうことになるか。

自動車の運転をす るにしても、メーカーにより操作方法がちがったり、ガソリンも石油会 社ごとにちがったものが供給される。

時刻もグリニッジ標準時間を基準 に、世界の地域別標準時間が定められているから世界の時の秩序が保た れる。

すなわち標準とは、社会のありとあらゆるものや手続きが放任さ れ無秩序化してしまうことをふせぎ、人びとに不便をもたらしたり、人 びとを危険な状態から守る役割を果たしている。

生活するうえで必要なものやルールのとり決めを標準といい、それを 意識的に管理・統制して秩序化することを標準化という。

このレベルが どの範囲かということで国際標準、国家標準、業界標準、社内標準とい うことになる。

マニュアルとは、社内のレベルにおいて、標準を定め、 標準を組織的に活用し標準化していくためのツールである。

社内標準の とり決めにあたっては、業界の慣行や標準、国家標準としての規格や法 律などの上位レベルの規定を盛り込んだうえで作成する。

さらに、国際 化が進展するなかで、国際標準との整合性を図ることが、ますます必要 になってくる。

IS09000シリーズ(品質保証の国際規格)の認証取得など はその例としてあげられる。

標準化は、標準の制定、実施(適用)、評価、見直しのいわゆる、P (プラン)→ D(ドゥ)→ C(チェック)→ A(アクション)の管理サイク ルを回すことで実施される。

まず、多数の案の中から最適のものを選 び、標準として制定し、マニュアル化する。

次に、関係するすべての人 にこれを適用するため、組織的に強制力をもたせ実施する。

ある期間実 施してみて、効果の確認をする。

必要に応じて標準の見直しを行ない、 マニュアルを改訂する。

標準化の目的は、最終的には個人または社会生活を効率的に、豊かに することにある。

事務や現場における作業が標準化されれば、コンピュ ータ化、ロボット化が可能になる。

そして、人はより創造的で付加価値 の高い仕事にとりくむことができる。

「うまくいっていること」を標準化する

標準化というのは、標準を設定し、たえず標準どおり仕事がすすむよ うに徹底し、組織で標準を維持していくことである。

標準を設定するの は、外部環境と自社の状況を正確に把握しながら、適正な基本0基準を 決めて明らかにすることである。

標準の徹底は、教育して標準を理解さ せることである。

そして組織的に維持して、はじめて標準化といえる。

では、適正な基本・基準はどのように設定するのか。

いうのは簡単で 実行するのはむずかしいが、業務の標準づくりの第1歩は、「うまくい ったこと」を適正な標準として紙に書いておくことである。

仕事のすす め方には手順がある。

まず計画を立てる。

そして実施する。

さらに検討 して、処置をとるという4段階である。

つまり、PDCAである。

計画は、紙に書くことからはじまる。

頭の中にあることは計画とはい わない。

それはアイデア(案)にすぎない。

書くのは、5W2Hという点 からであり、計画は十分に練られたものでなければならない。

計画ができたら、計画どおり実施する。

計画は計画だから、と絵に描 いた餅としてはいけない。

計画どおり、まずやってみる。

しかも、関係 者全員がうまく役割を分担して、全員参加で実施する。

企業の業務遂行 は、複数がかかわるのが原則であり、安易な計画による安直な実施とな ると、自分はよくても他の共同実施者に迷惑がかかるのである。

実施後すぐに、実施担当者みずからが結果を検討する。

上長がチェッ クするのでなく、個々の担当者が自分でまず結果を検討する。

検討結果 は、うまくいった(○)か、うまくいかなかった(× )かである。

けっ して「△」としない。

△ は、ある部分がうまくいき、別の部分がうまく いかないことである。

みんなよくがんばったから、△ という評価では困 る。

ここがマズイとはっきり認識することが、改善につながる。

処置は、検討した結果「○」なものについて、紙に書いて次回からも ○ となるようにすることであり、これを標準化という。

検討してみて 「×」だったものを紙に書いて標準とすれば、次もまた悪い結果となる。

検討結果が×なら、処置は対策をとり、再度計画につなげる。

このよう に、標準化するのは、うまくいった(いっている)ことだけである。

マニュアルを層別する

マニュアルづくりには、層別を徹底して活用する。

層別とは、もれな く分類することである。

層別のしかたは、2分法、序列・時系列法、構 成要素法に3分できる。

2分法は、集合をAとAに分けることである。

序列・時系列法とは、一定の順序・流れで分けることである。

構成要素 法とは、集合を構成要素ごとに分けることである。

マニュアルに関係づけて、2分法を考えてみよう。

業務には、正社員 だけが実施できることとパート・アルバイト・嘱託も実施してよいこと に2分することができる。

実施担当者は、正社員と正社員以外(パー ト・アルバイト・嘱託など)に2分できる。

また、チェーン店であれば、 直営店とフランチャイズ店に2分できる。

さらに、経験年数が1年未満 と1年以上というのも2分法である。

レジ業務を担当できる者とレジ業 務が担当できない者というのも2分法による層別である。

序列・時系列で層別する例としては、各マニュアルを作成日で分類し てみればよい。

最も古く作成したのは販売管理マニュアルであり、最も 新たに作成したのは購買管理マニュアルなどと。

業務の実施順序は序 列・時系列で層別すると最も効果的で確実である。

まずAを実施して、 その後B、さらにCをするというのが、実施事項を実施する順番に並べ たものである。

マニュアルにも、この順序で記述する。

また、業務を投 入している時間の多い順に並べるというのも序列・時系列法による層別 の例である。

構成要素で層別する例は、販売が主管するマニュアル、総務課が主管 するマニュアル、経理課の主管マニュアルと主管部署ごとに分けること などである。

このように層別を、マニュアルづくりに徹底して利用する と、良いマニュアル集ができる。

層別の利用は、原則として2分法→序列・時系列法→構成要素法の順 である。

まず、2分法で考える。

そうすると全体像がつかめる。

ついで 序列・時系列法で考える。

一定の順序で考えれば、モレが防止できる。

構成要素法は、2分法や序列・時系列法では分類しにくいとき、はじめ て構成要素で考えることになるが、3つを利用する順序が大切である。

対象者別、業務別に作成する

初級者が行なう定型業務以外はマニュアルにできないか、というとそ うではない。

業務の有形化という視点からすると、非定型的であり、ほ とんど1人の担当者にまかせっきりである業務こそ、むしろマニュアル 化すべきである。

マニュアル集という、多くのマニュアル群を想定する 場合、そういった非定型的な業務まで、マニュアルとしてまとめておく 必要がある。

例外については、個々の担当者が能力に応じて判断するの では困るのである。

初級者用のマニュアルにそこまで記述する必要はな い。

厚いマニュアル集から必要部分だけを読めるようにすべきである。

マニュアルは、段階的でなければならない。

つまり、対象者を限定し て考えるべきである。

対象者の能力によって、記述する中身を段階的に する必要がある。

ファミリーレストランでいえば、料理をつくる調理業 務担当者と客席での接客業務担当者のマニュアルは別冊で作成されてい る方が使いやすい。

初級担当者から熟練担当者まで、すべてを対象にし た1冊のマニュアルなどありえない。

マニュアルは職種、能力などで区 分して作成され、分冊になっていることが望ましいのである。

初級者向けの場合、業務遂行にあたっての基本からマニュアルに記述 することが必要である。

また、個々の業務を管理する側のマニュアル は、部下によって業務がうまく遂行されているかが、すぐわかる管理ポ イントを明らかにしておく必要がある。

最低ここまで行なうべき、とい う部分が明らかになっていれば、最低そこまでうまくいっているかを、 たえず確かめる必要も生じるのである。

そこで、初級者用のマニュアル と同じく、その業務の管理用に基本的なマニュアルが必要となる。

業務管理用の基本的なマニュアルを作成する余裕がない場合でも、チ ェックリストだけは作成したい。

管理する側だけでなく、業務担当者が 自己チェックするのにも役立ち、期待水準に近いレベルで業務が遂行さ れる。

時間をかけずに、業務を効果的に行なうために有効なチェックリ ストは、マニュアルの一部分となりうる。

マニュアルは、何をどのよう に行なうかが明確に記述される必要があるが、チェックリストづくり は、具体的な実施事項や実施する対象をはっきりさせるのである。

業務調査を実施して業務体系を明確にする

どのような業務があるか、が担当者にしかわかつておらず、上長はじ め部署内の同僚も知らずにいることがある。

仕事は組織で行なうのが企 業の本質であるにもかかわらず、実際は担当者まかせになっている面が 多い。

事務処理に関しては女性社員にまかせきりで、男性社員はまった くわからないという企業もある。

また、定例会議がいくつあるのかわか らない、などはごく普通の会社でも見られることである。

マニュアルづくりの前に、このような状況とは訣別する必要がある。

まず、個々の業務を細分化しマニュアルとして書きだす前に、業務の体 系をつくる。

仕事を棚卸しする。

そして、自分が行なっている業務が、 全体の中のどの部分にあたるのか、遂行者がよく把握しておくことであ る。

繰り返すが、自分のやつていることを、紙に書いてもマニュアルに はならない。

この出発点を誤っている企業が、あまりにも多い。

業務調査は、まず、各部門から数人が集まって、自社の業務を「機能 (はたらき)」と関連性の視点から、こうあるべきであると演繹的に機能 展開を行ない、大。

中・小の機能から単位業務までを一覧表にする。

ここ までは、机上のグループ作業である。

その後、単位業務一覧表を各部署 に配付して、部署ごとに実際に行なっている業務を分析的に調べ、単位業 務ごとにまとまり仕事として記述し、まとまり仕事一覧表を作成する。

業務調査は演繹的な観点と帰納(分析)的な観点とが統合された結果 である。

この業務はこうあるべきであると考えても、実際そうなっていな いものを、あたかも実施されているようにマニュアルに記述するのは困 る。

しかし、このように業務調査をすることで、実態とあるべき視点と の乖離をふせぐことができる。

あるべき業務は単位業務として記述され るものの、実際に行なわれていなければ、まとまり仕事が存在しない。

このような業務は、適正な姿をよく検討してからマニュアル化する。

業務調査を終え、まとまり仕事一覧表で業務体系がはっきりしたら、 マニュアル体系を考える。

簡単でわかりきった業務は、まとまり仕事一 覧表にポイント・コツ、レベル、使用帳票などを簡単に書き加えるだけ で、詳細な「マニュアル」まで作成する必要がないこともありうる。

朝の準備を棚卸ししてみると

ためしに毎日の生活を棚卸ししてみよう。

この棚卸しは機能展開によ る体系化であり、実際に行なっていることを手順どおりそのまま書いた ものではない。

企業内の業務を機能展開できるように、私たちの日々の 暮しも機能を展開することができる。

考え方にちがいはない。

大機能から単位業務までは、演繹的に展開される。

「洗顔」や「着替 え」という具体的な行動の目的は何か、これらの上位区分である「朝の 準備」にはどのような機能(はたらき)が必要かを明らかにする。

朝の 準備として、「こうあるべきである」という観点から、業務の体系化を 図る。

「生活維持」という大機能の中に「出退社」という中機能があり、 出退社の小機能として朝の準備があり、洗顔は朝の準備という小機能の 中の単位業務である。

単位業務までとちがい、まとまり仕事のレベルでは、実際はこうして いるという手順にしたがつて仕事を羅列する。

事例では朝、出社するま でに、洗顔、化粧、着替え、携帯品準備、朝食、大便、小便、新聞読 み、家族との対話をすべきであるとしている。

これらは手順どおりとは かぎらない。

この9種の業務を行なって出社すべきであるということで ある。

しかし、まとまり仕事レベルでは手順どおり記述されることが多 く、事例の洗顔という単位業務は、「歯を磨く」と「顔を洗う」の2つ のまとまり仕事に分割されている。

この場合、まず歯を磨き、ついで顔 を洗う手順で洗顔業務を行なっていることになる。

機能展開は、生活の目的を達成するために必要な機能、つまり、はた らきという観点から業務を体系化したものである。

どのようなはたらき が必要かを「あるべき」論から展開し、系統的に分類したうえ、それを 実際に毎日行なっている仕事と結びつけたものである。

機能展開した単 位業務までは、あるべき観点から分類されており、多少の状況変化でも 変わらない。

しかし、まとまり仕事以下の段階では、実際に行なう手順 が人によって異なることもある。

たとえば、「顔を洗う」作業で、人に よっては石鹸を使わないこともあることを考えればよいのである。

このような棚卸しがマニュアルの体系づくりに必要である。

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