きちんと知りたいo精油のこと ‐ アロマテラピーを学ぶうえで、中心となるのが精油です。 植物の1貴重なエツセンスどもし ‘え る結油あ性質や作用をはじめ、 抽出法や環境との関係まで、|しつかり理解を深めましょう。
アロマテラヒーに欠かせない、精油のこと
アロマテラピーの基本となるのが精油。エッセンシャルオイルとも呼ばれます。 まずは精油がもつ性質や、精油が得られるしくみを知りましょう
一滴に数えきれないほどの香り成分が凝縮した 植物の貴重なエッセンス
精油の「油」という漢字から、オリーブ油のよ うな植物油をイメージする人も多いかもしれませ ん。しかし、それらは脂肪酸とグリセリンから成 る油脂であり、精油とは別物です。 精油は植物がもつ香り成分=芳香物質を取り出 した、揮発性有機化合物の集合体。植物が自分の身を害虫や病気から守ったり、受粉を促したりす るために植物体内で作られ蓄えられた香りの成分 が、菌の繁殖を抑えたり、ホルモンバランスに働 きかけたり、心や身体の疲れを癒やしたり、私た ちの健やかな生活のためにも役立ってくれます。
EAJによる精油の定義
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、 果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などか ら抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含 有した揮発性の芳香物質。各植物に特有の香りと 機能をもち、アロマテラピーの基本となるもの。
成分が変化すると香りも変わる
精油の香り成分は、空気や紫外線、温度などに より化学変化を起こしたり、香り成分同士が化学 反応を起こしたりします。そのため、時間の経過 とともに成分が変化し、香りも変化します。精油 は保管にも気を配りましょう。(P30参照)
精油の安全性
精油は決して危険なものではありませんが、自 然のものだから絶対安全という思い込みはNG。 精油を飲んだり、 目や粘膜につけたりしないよ う、必ずルールを守って楽しみましょう。(P28 参照)
精油はいくつかの特徴的な性質をもっています。 精油を正しく使いこなすためにもこの4つはぜひ覚えましょう。
覚えておきたい精油の4つの性質
精油はいくつかの特徴的な性質をもっています。 精油を正しく使いこなすためにもこの4つはぜひ覚えましょう。
①香りがある【芳香性】
香りを放つ性質を芳香性といいます。精油はさまざまな芳香性を もつ成分から構成されたもの。華やかな香り、さわやかな香りな ど、植物ごとに独特の香りをもつています。
②香りが広がりやすい【揮発性】
液体が気体になる性質を揮発性といいます。精油は小皿などに垂ら しておくだけで少しずつ揮発するため、使用後は速やかに精油ビン のフタを開めましょう。
③油に容けやすく、水に溶けにくい 【親油性・脂溶性】
精油は油に溶けやすく、水に溶けにくい性質があります。試しに水 に精油を垂らすと、精油は表面に浮いて膜のように広がります。そ のため、アロマスプレーなど水分の多いものを作る場合は、精油を 無水エタノールなどに混ぜてから、水となじませます。詳しい作り 方はChapter 4で学びますが、精油は親油笙・脂溶性であること をおさえておきましょう。
④火が燃え移りやすい【引火性】
揮発した物質が空気と混ざり合い、他からの火や熱が移って燃え出 す性質のことを引火性といいます。手作り化粧品の作製でコンロを 使用する際など、火のそばで精油を扱わないように注意が必要です。
植物が精油を作り出すしくみ
植物は光合成により二酸化炭素と水から、酸素 と生命維持に欠かせない炭水化物を合成していま す。これを一次代謝といいます。 さらに一次代謝で合成した炭水化物から、植物 はさまざまな有機化合物を作り出します。これを 二次代謝といい、精油もこの過程で生成されます。 つまり精油は植物の二次代謝産物といえます。
さまざまな部位に蓄えられる精油
精油は植物全体に均―に含まれるわけではな く、特定の細胞で作られ、それぞれの部位に蓄え られます。ペパーミントは葉の表面近く、オレン ジは果皮の内部などさまざま。そのため、精油の 抽出部位は植物ごとに異なります。
成分が異なる「ケモタイプ」
同じ種類の植物でありながら、精油の構成成分 が大きく異なることがあります。これをケモタイ プ(化学種)と呼びます。すべての植物にケモタ イプが存在するわけではありませんが、たとえば ローズマリーは、成分としてカンファーを多く含 む種、シネオールを多く含む種、ベルベノンを多 く含む種の3タイプがあり、それぞれ特有の香 りや作用があります。
●ローズマリーの「ケモタイプ」例 ローズマリー・カンファー ローズマリー・シネオール ローズマリー・ベルベノン
植物の部位の役割と精油の関係
花の役割
虫や蝶などを誘って受粉を 促し、子孫を残すための種 子を作ります。花から採れ る精油は華やかな香りのも のが多く、ホルモンバラン スが気になるとき、楽しい 気分になりたいときなどに よく使われます。
果実の役割
種子を遠くに運んでもらうため、おいしい果肉で鳥など を誘います。果実から採れる精油はさわやかな香りのも のが多く、消化器系のトラブルが気になるとき、 リフレ ッシュしたいときなどに用いられます。
葉の役割
光合成によって植物に必要 な栄養を作り出すとともに、 人間や動物に必要な酸素を 生み出します。葉から採れ る精油はすっきりとした香 りのものが多く、 リフレッ シュ作用、抗菌作用などが あるといわれます。
樹脂の役割
樹脂は、幹から出た樹液が 固まったもの。幹の傷を癒 やし、菌などから守る働き があります。樹脂から採れ る精油は個性的な香りのも のが多く、心身を癒やした いときなどによく使われま す。
幹の役割
根から枝葉に栄養分などを 送る運搬路であるとともに、 植物を支える背骨のような 役割をしています。幹(心 材)から採れる精油は森林 を思わせる香りが特徴。 リ ラックスしたいとき、心を 鎮めたいときなどに活用さ れています。
根の役割
地中から水や養分を吸い上げると同時に、植物をしっかり支える 土台の役割をしています。根から採れる精油は土のような深い香 りのものが多く、心を落ち着かせたいときなどに向いています。
香り成分の働き
香り成分にはさまざまな効果があるといわれています。その中でも3つの例をみてみましょう。
1.誘引効果 受粉のため、種子を遠くに運ぶために、 昆虫などの生物を引き寄せる効果
2.忌避効果 摂食されることを防ぐために、昆虫 などの生物を遠ざける効果
3.抗真菌効果・抗菌効果 カビや酵母などの真菌、細菌の発生 ・繁殖を防ぐ効果
精油がもたらすきまざまな作用
精油には、心身に働きかけるさまざまな作用があります。 アロマテラピーをライフスタイルに取り入れるためのヒントとして、チエックしておきましょう。
作用を知っておくと、精油選びにも役立つ
精油にはそれぞれに特有の成分が含まれ、複雑 に絡みあつて精油の香りや特徴を作り出していま す。香りによって、気分がすっきりしたり、 リラ ックスしたり、元気になれたりした経験は皆さん にもあると思いますが、その理由は精油それぞれ が作用をもって心身に働きかけているからです。 その一例として、下記に精油の主な作用をまと めました。疲れやストレスを感じたとき、風邪を ひきそうなとき、肌の調子が気になるときなど、 セルフケアを行う際の参考にするとよいでしょう。
精油の作用例
強壮作用:身体を活性化したり、強くしたりする作用
去痰作用:痰の排出を促し、痰を切る作用
抗ウイルス作用:ウイルスの増殖を抑える作用
抗菌作用:細菌の増殖を抑える作用
抗真菌作用:カビや酵母など、真菌の増殖を抑える作用
殺菌作用:主に人体にとって有害な細菌などの病原体を殺す作用
収れん作用:皮膚を引き締める作用
消化促進・食欲増進作用:胃腸の消化活動を活発にし、食欲を増進させる作用
鎮静作用:神経系の働きを鎮め、心と身体の働きをリラックスさせる作用
鎮痛作用:痛みをやわらげる作用
保湿作用:皮膚の潤いを保ち、乾燥を防ぐ作用
ホルモン調整作用:ホルモンバランスを整える作用
虫よけ作用:虫を寄せつけない作用
免疫賦活作用:免疫の働きを高め、活性化する作用
利尿作用:尿の排泄を促進する作用
精油の抽出法について
植物から精油を抽出するにあたっては、いくつかの方法があります。 精油がどのようにして得られるのか、それぞれの抽出法のポイントを学びましょう。
主に抽出部位によって使い分けられる
精油は植物の花や葉、果皮、果実、心材、根、 種子、樹脂などの部位から、ごくわずかしか採 れない貴重なエッセンス。たとえば、精油l kg を得るために、ラベンダーならその花穂を100~ 200kg、国―ズなら花を3~ 5t必要としますX。 その希少な精油を、効率よく安定的に植物から採り出す手段として、精油の抽出法は時代ととも に進化してきました。同じ植物でも抽出法が違え ば成分も変わります。また、それぞれの植物、抽 出部位に適した方法が用いられます。その代表的 な方法を紹介していきましょう。 ×AEAJ調べ。産地や生産条件などにより異なります。
水に溶けにくい性質を利用した 水蒸気蒸留法
精油の抽出法としてよく用いられる方法です。 まず、原料の植物を蒸留釜に入れ、蒸気を直接 吹き込むか、水を沸騰させて植物に蒸気をあてま す。すると蒸気の熱で植物に含まれる香り成分が 揮発。その香り成分を含む水蒸気を冷却器に送っ て冷やすと再び液体に戻り、水と精油の2層に 分離します。 その上層部(または下層部)が精油となります が、残った水の中にも香り成分が微量に含まれて います。これを芳香蒸留水(フラワーウォータ ―、ハーブウォーター)と呼び、化粧水などに利 用されています。 水蒸気蒸留法は熱にさらされるため、香りや成 分が損なわれる場合も。そのため、水蒸気蒸留法 が不向きな植物にはほかの方法を用います。
主にかんきつ類に用いられる 圧搾法
主にレモン、スイートオレンジなどのかんきつ 類の精油の抽出に使われます。 精油は主に果皮に含まれているため、昔は手で 皮をむいて絞り、スポンジに吸わせて精油を回収 していました。現在では機械のローラーで圧搾 し、遠心法で水分を分離させて精油を得ています。 熱を加えずに圧搾することから、低温圧搾(コ ールドプレス)とも呼びます。熱による成分変化 がほとんどなく、自然のままの香りや色が得られ るのがメリットですが、搾りかすなどの不純物が 混入することも。また、化学変化しやすい成分が 多く含まれるため、ほかの抽出法で得られた精油 に比べ、劣化しやすいのが特徴です。近年で は、かんきつ類の精油を水蒸気蒸留法で抽出する こともあります。
繊細な花の香りに用いられる 揮発性有機溶剤抽出法
石油エーテル、ヘキサンなどの有機溶剤を使用 する方法。ローズやジャスミンなど繊細な花の香 りを得るのに適しています。 まず、溶剤釜に原料植物を入れ、常温で溶剤の 中に香り成分を溶かし出します。その際、香り成 分だけでなく、花のワックス成分なども溶剤の中 に一緒に溶け込みます。 植物を取り除き、溶剤を揮発させると、香り成 分とワックス成分などが含まれた半固形状のもの が残り、これをコンクリートと呼びます。次にエ タノールを加え、香り成分とワックス成分などを 分離。最終的にエタノールを取り除いて完成した ものを「アプソリュート」と呼びます。 精油の中に有機溶剤が少し残る場合があるの で、「アブソリュート」と「精油」を区別する考 え方もあります。また、上記の方法で樹脂などか ら取り出したものは「レジノイドと呼ばれ、芳 香を持続させる保留剤としても使われます。
古くから伝わる伝統的な手法 油脂吸着法
ローズやジャスミンなどの花の香りを得るため の伝統的な抽出法です。油脂になじみやすい精油 の性質を利用した手法で、精製した無臭の牛脂 (ヘット)や豚脂(ラード)を混ぜたものや、オ リーブ油などに香り成分を吸着させます。 常温で固形の脂の上に花などを並べる冷浸法 (アンフルラージュ)と、60~ 70℃ に加熱した油 脂に浸す温浸法(マセレーション)の2通りの 方法があり、香り成分を高濃度に吸着した油脂は 「ポマード」と呼ばれます。これにエタノールを 加えて香り成分を取り出し、エタノールを除いた ものがアブソリュートです。 現在のアブソリュートは、揮発性有機溶剤抽出 法で得られたものがほとんど。油脂吸着法はとて も手間がかかるため、今はあまり行われていませ んが、抽出技術の発展において歴史的価値のある 抽出法なので覚えておきましょう。
近年開発された技術 超臨界流体抽出法
1970年ごろから登場した抽出法のひとつで、 主に二酸化炭素などの液化ガスを溶剤として用い ます。 二酸化炭素に熱と圧力をかけると、気体と液体 の中間の流体(超臨界状態)になります。その流 体状態の二酸化炭素を、植物を入れた抽出器に通 過させると、流体が芳香植物に浸透し、香り成分 を効率よく取り込むことができます。流体を取り 出し、圧力を戻すと、二酸化炭素は気化して香り 成分だけが残ります。 二酸化炭素を溶剤に使うと低温で処理でき、植 物そのものに近い香りが得られますが、高価な装 置が必要なため、精油の抽出法としてはあまリー 般的ではありません。
精油の選び方
アロマテラピーの 専門店で購入する
インターネットや通販で手軽に 買えますが、初心者はアロマテ ラピーの専門店で購入するのが おすすめ。実際に香りを感じて 確かめることができるうえ、 矢ロ 識豊富な販売員のいる専門店な ら、精油の情報や使用法なども 相談できて安心です。
いろいろな香りを 試してみる
精油の種類はとても豊富。香り を嗅いだときにどんな印象をも つか、いろいろな精油を試し て、イメージを広げてみましょ う。香りの好き嫌いは人それぞ れ異なるので、好きな香り、興 味をもつた香りからスタートす るのがおすすめです。
心士也よいと感じる 香りを選ぶ
アロマテラピーで大切なのは、 自分にとって心地よい香りを選 ぶこと。その心地よさがリラッ クスやリフレッシュにつながり ます。苦手な香りを無理して使 うことはアロマテラピーの本来 の目的ではありませんし、かえ って逆効果なことも。
容器の遮光性などを確認
精油は紫外線や熱、温度で成分 変化するため、市販されている ものの多くは遮光性のガラス容 器に入っています。精油が1 滴ずつ出てくるドロッパー(中 栓)つきのほうが便利。市販の 多くはドロッパーつきですが、 併せて確認しておきましょう。
天然精油であるか ラベルをチェック
精油を購入する際に、必ず表示 を確認しましょう。アロマテラ ピーでは植物から抽出された天 然の精油を使用します。下記の 精油の製品情報を参考に、パッ ケージのラベルなどの表示をし っかリチェックしましょう。
AEAJ表示基準適合認定精油 について
AEAJでは、製品情報や使用上の注意 をわかりやすく表示する「表示基 準」を定め、それを満たしたブランド を「∧EAJ表示基準適合認定精油」と して認めています。専門店で買う際の 参考にしてください。
精油の製品情報
1.ブランド名 2.品名(精油の名前 3.学名 4.抽出部分(部位) 5.抽出方法 6.生産国(生産地)または 原産国(原産地) ス内容量 8.発売元または輸入元
香りの試し方
精油をティッシュペーパー などに落とす
精油ビンをゆっくり斜めに傾けるとドロ ッパー(中栓)から1滴ずつ落ちてき ます。ティッシュペーパーなどに1滴落 としてみましょう。 精油ごとに粘度が異なるので落ちてく るスピードは異なります。 ビンは振らないこと。 色がつく精油があるので注意。 ムエット(試香紙)を利用しても。
顔を近づけて 香りを確かめる
鼻に近づけてティッシュペーパーやムエ ットを軽く振り、香りをゆっくりと吸い 込みます。精油ごとの香りの特徴やイメ ージを頭の中でふくらませてみましょ う。香りの体験を積み重ねることで、精 油への理解が深まります。 鼻や顔などの皮膚に精油がつかないよ うにしましょう。 強い香りは、粘膜を刺激することがあ るので気をつけましょう。 体調に合わせて、時間を短くするなど して注意して行ってください。
切っても.切れない、精油と環境の深|い関係
アロマテラピーを楽しむうえでは、精油のもととなる植物の 現状についても知っておきたいもの。地球全体の環境が危ぶまれ、たくさんの森が 失われている今、私たちひとりひとりができることから考えてみましょう。
植物の恵みと地球環境
アロマテラピーに欠かせない精油は、植 物からの大切な恵み。精油が得られるまで の過程にも意識を向け、植物が育つ土壌、 大気、水、そこに暮らす生き物など、あら ゆる自然環境が関わっていることを、私た ちは忘れてはなりません。 生活が豊かで便利になる一方で、地球温 暖化や酸性雨の問題が深刻化。地球温暖化 は異常気象の頻発や植物の生育環境の悪化 など、環境に大きな影響を及ばします。 また、精油の原料植物の宝庫であるアフ リカや中東地域でも、人口増加、紛争など による自然破壊が加速。高値で取引される 植物が乱獲されるなど、需要の高まりによ る環境への影響も懸念されています。 精油を通して現状を知り、環境を守るこ とにも目を向けてみましょう。
精油の 原産地が抱える問題
精油の原料となる植物の中には、高価な 香木をはじめ、建材、家具、楽器の材料と して大量伐採され、絶滅の危機にひんして いる植物があります。|∪ CN(国際自然保 護連合)では、絶滅の恐れがある野生の動 植物を絶滅危惧種として「レッドリスト」 に指定していますが、その数2万種以上。 ワシントン条約会議でレッドリストとして 採択された種は、国際取引が制限・禁止さ れます。また、木を切らなくても、樹脂を 採取するために樹皮に切り込みを入れるこ とで、樹木が弱ってしまうことも少なくあ りません。 こうしたことからレッドリスト対象外の 種でも、各国の政府が伐採・輸出を規制し たり、プランテーション化したりして、危 機的状況にある植物を保護する動きがあり ます。 たとえば、サンダルウッドは自檀の名で 日本でも古くからお香、仏具、建材に使わ れてきた香木。インドのマイソール産のも のが香り高く、高級とされ、広く世界中で 宗教儀式などに利用されてきました。現 在、インドのサンダルウッドは保護森林と なっており、伐採はインドの国家機関であ る環境森林気候変動省が直接管理。伐採し たら植樹することが義務づけられ、輸出に も厳しい規制がかけられています。 樹木の中には、成長するのに20年、50 年、100年と長い年月がかかるものもあり ます。限りがある原料植物を持続可能なか たちで利用するためには、植物を守りなが ら計画的に利用していく姿勢が大切です。
インド政府が管理 サンダルウッド
輸出規制によリインド産の供給が減ったため、近年はイン ド産の香りによく似たオーストラリア産の流通量が増加。
絶滅危惧種 アガーウッド
別名は沈香樹。香木として歴史的に利用されてきた。最高 級のものは伽羅と呼ばれ、高値で取引されたことから大量 伐採された。主な産地はベトナム、インドネシア、インド など。産地や各国のボランティアが植樹活動を行っている。
絶滅危惧種 ローズウッド
香料や建材として人気を集め、ブラジル政府が1930年代 から伐採を規制。現在は許可がないと伐採、移動、輸出が できない。植樹などもすすめられているが、精油を採取す るには20年近い年月を要する。近年では、木を守るため、 本部ではなく、枝葉から抽出した精油も増えてきている。
未来のアロマ環境を 守るために
自然環境をすぐに変えることはできません が、私たちひとりひとりが環境のために今から できることは、たくさんあるはずです。 ものを大切にする、無駄をなくすといつた日 々の心がけはもちろん、花や草木を育てるこ と、さらにはこの章で学んだような精油の原料 植物への理解を深めることも、環境への意識を 高め、自然を思いやる行動のきっかけになりま す。 アロマテラピーにおいては、希少な精油に似 た香りや成分をもつ精油を選ぶ、木部の伐採を 必要としない枝葉から抽出される精油を積極的 に利用することもひとつの手段。一方で、絶滅 が危惧されるからといって利用を控えるより も、計画的に植樹・管理された農園の植物や代 替植物の製品を使うことによつて、原産地やそ こで働く人々が経済的に豊かになり、ひいては 植物を守ることにつながるという考え方もあり ます。
自然の大切さを 子どもに伝える「香育」
AEAJでは、精油や精油をとりまく植物や自 然との豊かな共存を目指し、「自然の香りある 豊かな環境」を「アロマ環境」と名づけ、アロ マ環境を守る(保全)、育てる(創造)、楽しむ (活用)という観点から、さまざまな活動を行 っています。 その取り組みのひとつが「香育」。香育と は、子どもたちに向けた香りの体験教育です。 五感のひとつ「嗅覚」に意識を向け、豊かな感 性や柔軟な発想力を育むとともに、人と植物の 関わり、自然環境の大切さを伝えます。
広がる環境への取り組み
AEAJでは、植物やその香りに親しみ、自然と 環境を大切にする人を増やす「環境カオリスタ 検定」を実施しています。このほか、環境省 主催の「みどり香るまちづくり企画コンテス ト」を共催。住みよい環境を作るための、「か おりの樹木・草花」を用いた企画コンテストを 行い、優秀な企画には苗木や苗を提供。植物の 香りあふれるまちづくりを支援しています。
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