FSMS全体の枠組みを対象とした,いわゆるシステムレベルのPDCAを考 えたとき,すでに“9.3.3マネジメントレビューからのアウトプット”に改善 のための処置(A)が含まれている。
しかし実際は,マネジメントレビューだ けが改善の役割を担っているわけではない。
“10改善”は, トップマネジメ ントの主導により改善及び更新に関する活動を行い,マネジメントレビューヘ のインプット情報をより充実させることを意図している。
10。
1 不適合及び是正処置 10 改善 10.1 不適合及び是正処置 10.1.1 不適合が発生した場合,組織は,次の事項を行わなければならない。
a)その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う. 1)その不適合を管理し,修正するための処置をとる. 2)その不適合によって起こった結果に対処する. b)その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によっ て,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する. 1)その不適合をレビューする. 2)その不適合の原因を明確にする. 3)類似の不適合の有無,又は発生する可能性を明確にする. c)必要な処置を実施する。
d)とったあらゆる是正処置の有効性をレビューする. e)必要な場合には,FSMSの変更を行う. 是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない. =規 格解説 FSMSの中で,不適合が発生した場合に実施する必要がある事項をa)から e)で示している. a)発生した不適合への対応として実施する必要がある事項を二つ挙げてい る.“該当する場合”と限定しているため,全ての不適合にこれらが該当する
わけではない.しかし,該当する場合には必ず実施することを要求している. 1)不適合を管理する。
つまり不適合の内容を理解して不適合がそれ以上拡 大しないようにコントロールするための処置をとる.併せて,不適合を修正す るための処置をとる.“ 3.9修正”は“検出された不適合を除去するための処 置”と定義されている. 2)修正によって不適合そのものが除去されても,一旦発生した不適合が何 か他に影響しているかもしれない。
そういった不適合がもたらした結果につい ても注意して,対処することを要求している. b)不適合の原因を除去するための処置,つまり“是正処置”(3.10)が必 要かどうかを評価する.そのためには次の三つの事項を明らかにする必要があ る. 1)不適合の内容を見直し,再確認する。
2)不適合の原因を明確にする。
3)類似した不適合が現在もあるか,過去にあったか, また将来において再 度発生する可能性があるかを明確にする. つまりここでは,発生した不適合について1)から3)をインプットとして評 価し,原因を除去するための処置として何が必要か,またそれを実施するかど うかを決定することがアウトプットとなる。
注意すべきことは,“他のところ で再発しないようにするため”や“類似の”の記載である。
いわゆる“水平展 開”や“横展開”といわれる部分であるが,その処置の必要性についても同時 に評価し,決定することになる。
c)必要と決めた処置を実施する。
当然であるが,処置は不要という結論も あり得る。
d)是正処置は一つとは限らないので, とったあらゆる是正処置に対して有 効性を評価することを要求している.ある程度の実施期間がないと有効性は判 断できないため,処置の実施後,一定期間運用してから有効性を評価すること になる. e)必要であれば,FSMSの該当する部分を変更する。
これも是正処置の一
つと考えられる。
是正処置の程度については,その不適合の影響に応じたものでよい.影響度 の小さい不適合に,大がかりな是正処置は不要である.c)において処置が不 要と判断する基準の一つをここで示している. 10 .L a > D 1.2 組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならな その不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置 是正処置の結果 =規 格解説 不適合及び是正処置について保持が必要な文書化した情報については,次の とおりである。
a)不適合の性質は,10.1.lb)1),2),3)で取り上げた不適合の内容及び原 因などの情報である.とったあらゆる処置は,10.1.la)1),2)及びlo.1.lc) で取り上げた,不適合が発生した後に実施した処置についての情報である. b)是正処置の結果は,10.1.ld)で有効性を評価するためのインプット情 報であり,有効性の評価結果を含む。
=具 体的な考え方《10.1》 ハザード管理プランに対する不適合が発生した場合は,“ 8.5.4.4許容限界 又は処置基準が守られなかった場合の処置”と“8.9製品及び工程の不適合の 管理”で詳細な処置方法が決められているが,それは“10.1不適合及び是正 処置”の要求事項に詳細を追加したものとなっている。
10.1は,FSMSの運 用全般に関わる不適合についての要求事項であることに注意する必要がある. 具体的には,内部監査で発見された不適合,コミュニケーションの不適合,前 提条件プログラム(PRP)実施における不適合,検証活動で判明した不適合 などがある.マネジメントレビューヘのインプット(9.3.2)ではc)4)で不適
合及び是正処置の傾向を情報として求めている.これらについては,イ固々の不 適合の詳細を報告する必要はないが,発生の傾向を幅広く把握してトップマネ ジメントに報告することが求められている. 10.2 継続的改善 10.2 継続的改善 組織は,FSMSの適切性,妥当性及び有効性を継続的に改善しなければならない. トップマネジメントは, コミュニケーション(7.4参照),マネジメントレビュー (9.3参照),内部監査(9.2参照),検証活動の結果の分析(8.8.2参照),管理手段及び 管理手段の組合せの妥当性確認(3.5.3参照),是正処置(8.9.3参照)及びFSMSの更 新(10.3参照)の使用を通じて,組織がFSMSの有効性を継続的に改善することを確 実にしなければならない。
=規 格解説 “トップマネジメントは”で始まる要求事項であることから,継続的改善は トップマネジメントがリーダーシップを発揮しなければならない領域である. これは“5.1リーダーシップ及びコミットメント”において,これらを実証す る事項として“g)継続的改善を推進する。
“があることと関連している.こ こで取り上げられた各箇条は,特に継続的改善につながる役割をもった要求事 項である。
適切性,妥当性の改善という意味において, “10.3食品安全マネジ メントシステムの更新”もまた,継続的改善の範疇に入るという考えを示して いる. =具 体的な考え方《10.2》 “継続的改善”の定義は,“要求事項を満たす能力を高めるために繰り返し行 われる活動”である.“ 10.2継続的改善”では,ここで取り上げた各箇条の活 動をトップマネジメントの指揮のもとに積極的に行うことを要求している。
10.3 食品安全マネジメントシステムの更新
10.3 食品安全マネジメントシステムの更新 トップマネジメントは,FSMSが継続的に更新されることを確実にしなければなら ない。
これを達成するために,食品安全チームは,あらかじめ定めた間隔でFSMSを 評価しなければならない.食品安全チームは,ハザード分析(8ふ2参照),確立した ハザード管理プラン(8ふ4参照)及び,確立したPRPs(8.2参照)のレビューが必要 かどうかを考慮しなければならない。
更新活動は,次の事項に基づいて行わなければな らない. a)内部及び外部コミュニケーションからのインプット(7.4参照) b)FSMSの適切性,妥当性及び有効性に関するその他の情報からのインプット c)検証活動の結果の分析からのアウトプット(9。
1.2参照) d)マネジメントレビューからのアウトプット(9。
3参照) システム更新の活動は,文書化した情報として保持され,マネジメントレビューヘの インプット(9.3参照)として報告されなければならない。
=規 格解説 トップマネジメントは,FSMSが継続的に更新されていることに対して 第一義的に責任をもつ。
適切な更新を行うために,あらかじめ定めた間隔で FSMSの評価を実施することを食品安全チームに要求している。
そのときに は,特に“8.5.2ハザード分析”“ 8.5.4ハザード管理プラン(HACCP/OPRP プラン)”“ 8.2前提条件プログラム(PRPs)”の各箇条の要求事項に該当する 部分について,見直して更新する必要があるがどうか注意する必要がある。
更 新のための活動は,次のa)からd)の情報に基づいて行うことを要求している。
a)内部。
外部のコミュニケーションから得られた変更の情報 b)FSMSに関するその他の情報.a)とb)を併せて,FSMSに関する,内 外の様々な最新情報が該当する。
c)“9.1.2分析及び評価”で得られた分析結果についての情報。
9.1.2にあ る“FSMSの更新へのインプットとして使用”に関連している。
d)“ 9.3.3マネジメントレビューからのアウトプット”のb)にある更新の 必要性についての情報 更新のための活動は,マネジメントレビューのインプットとしてトップマ
ネジメントに報告することになる.これは“9,3.2マネジメントレビユーヘの インプット”のc)1)にある“システム更新活動の結果”に関連している。
ま た,文書化した情報として保持する必要がある. =具 体的な考え方《10.3》 “トップマネジメントは”で始まる要求事項であることから,FSMSの更新 もまたトップマネジメントがリーダーシップを発揮しなければならない領域で ある。
“3.43更新”において“最新情報の適用を確実にするための,即時の及 び/又は計画された活動”と定義されているように, “更新”とは,内部・外 部の変更に対してFSMSの該当する箇所を最新の情報に追従して変更する活 動である.そこで実際の活動に当たるのは,食品安全チームであり,あらかじ め定めた間隔でFSMSの更新のための評価活動を実施する必要がある。
更新のための活動の結果がマネジメントレビューのインプットとなることに ついては,図2.4(191ページ参照)で示したとおりである
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