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支援

7 支援 序文の“0.3プロセスアプローチ”で示されたPDCAサイクルの概念図(本 規格の図1,本書では35ページ参照)のうち,FSMS全体の枠組みを対象とし た,いわゆるシステムレベルのPDCAによると,“ 7支援”はPlanに分類さ れている。

しかし,“支援”という表題にあるように,確立されたFSMSを運 用するための支えの部分についての要求事項である。

“7.1資源”の中で,“7.1.1-般”は資源全般を,7.1.2以降に具体的な資 源についての要求事項がある.“7.2カ量”及び“7.3認識”ではシステムに 関わる人に関する部分を,“ 7.4コミュニケーション”ではシステム内部・外 部の人たち相互のコミュニケーションを,“ 7.5文書化した情報の管理”では システムを支える情報の管理を取り扱っている。

7.1 資源 7 支援 7.1 資源 7.1.1 -般 組織は,FSMSの確立,実施,維持,更新及び継続的改善に必要な資源を明確にし, 提供しなければならない。

組織は,次の事項を考慮しなければならない。

a)既存の内部資源の実現能力及びあらゆる制約 b)外部資源の必要性 ・:。

規格解説 FSMSを確立し,実施し,維持し,更新し,継続的に改善するために必要 な資源を明確にし,提供することを組織に要求している。

ここでいう資源は, 人・物・情報。

資金を意味している。

“確立,実施,維持,更新及び継続的改 善”という語句は,“ 4.4食品安全マネジメントシステム”でも使われている ように,マネジメントシステムの活動全てを意味し,それに必要な資源を組織

は提供する必要がある。

しかし,その提供に当たって考慮すべき点がある。

a)内部的にすでにもっている資源の能力及びこれらのあらゆる制約事項. すでに組織の内部にある資源を見極めることが第一である。

b)外部の資源を利用することの必要性.内部の資源で不足するものは,内 部で保有できるように調達するか,外部の資源を利用するか,の二者択一とな る。

このときに,外部資源の必要性を十分考慮することによって,二者択一の 答えを得ることができる.外部の資源について具体的には,“ 7.1.2人々”に ある外部の専門家と,“ 7.1.5外部で開発された食品安全マネジメントシステ ムの要素”と“7.1.6外部から提供されるプロセス,製品又はサービス”が該 当し,これらを利用することの必要性をあらかじめ考慮しておく必要がある。

7.1.2 .人、々 組織は,効果的なFSMSを運用及び維持するために必要な人々に力量(7.2参照) があることを確実にしなければならない. FSMSの構築,実施,運用又は評価に外部の専門家の協力が必要な場合は,外部の 専門家の力量,責任及び権限を定めた合意の記録又は契約を,文書化した情報として利 用可能な状態に保持しなければならない。

=規 格解説 “効果的なFSMSを運用及び維持するために必要な人々”と記載すること で,範囲を限定しているようにも見えるが,組織の中でFSMSに関わる全て の人について“力量”(3.4)があること“が要求事項となっている. “外部の専門家の協力を必要とする開発,実施,運用又は評価”とは, FSMSのほとんど全ての領域を意味している。

つまり,マネジメントシステ ムの専門知識や,食品安全の領域の専門知識(例えば,微生物学,栄養学)を もってシステムの開発や実施の協力をするだけでなく,システム運用のための 協力をしている人を含む,いわゆるコンサルタントがこれに該当する.外部専 門家の協力が必要なときは,その人の力量(学歴・職歴。

業務経験。

資格な ど),責任及び権限を定めた合意事項を契約書などの形で文書化した情報とし

て保持することを要求している。

=具 体的な考え方《7.1.2》 人々の力量に関しては,この“7.1.2人々”だけではなく“7.2カ量”に詳 細な要求事項がある。

また,外部専門家についてはここでの要求事項に加え, 外部専門家が組織に提供するサービスについて“7.1.6外部から提供されるプ ロセス,製品又はサービス”にあるa)からd)の要求事項が該当する。

7.1.3 インフラストラクチャ 組織は,FSMSの要求事項に適合するために必要とされるインフラストラクチャの 明確化,確立及び維持のための資源を提供しなければならない。

注記 インフラストラクチャには,次のものが含まれ得る. 一土地,輸送用設備,建物及び関連ユーテイリテイ ー設備,これにはハードウエア及びソフトウェアを含む. 一輸送 ―情報通信技術 =規 格解説 注記に例示があるように,“ インフラストラクチヤ”とは,事業を行う上で 必要とする物や情報技術であり,事業基盤となるものである.本規格の要求事 項に適合したFSMSを運用するために必要とするインフラストラクチヤを明 確にし,それらを確立しかつ維持するために必要な資源の提供を要求してい る。

注記にある“土地,輸送用設備,建物,関連ユーティリテイ,設備,輸送” といったインフラストラクチャの運用・管理の手順は“8.2前提条件プログラ ム(PRPs)”で扱うことになる.より具体的な手順についてはISOrS 22002 シリーズで取り上げられている.情報通信技術(ICT)について明確化,確立 及び維持のための資源は,本規格で明確に記載されていないが,“7.4コミュ ニケーション”や“7.5文書化した情報”といった要求事項に基づき業務を円 滑に実施するために,組織の規模や能力に応じて提供されることが期待される.

=具 体的な考え方《7.1.3》 インフラストラクチャに関係する法令。

規制として厚生労働省からは,食品 衛生法の第51条で“都道府県は,飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が 著しい営業であって,政令で定めるものの施設につき,条例で,業種別に,公 衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない”と定めている.しか し,食品衛生法は,HACCP制度化に関して改正が行われたばかりであり,現 在,業種別の区分を含め,関連する政省令の改正が進められている. また農林水産省からは,家畜の飼養に係る衛生管理の方法に関し,家畜伝染 病予防法(平成26年法律第69号)の第12条3項に基づく“飼養衛生管理基 準”(最終改正平成29年2月1日)が定められている. これらは,“4.2利害関係者のニーズ及び期待の理解”のb)の密接に関連す る利害関係者,特に法令・規制の要求事項にも関連してインフラストラクチャ を検討する際に考慮する必要がある. 7.1.4 作業環境 組織は,FSMSの要求事項に適合するために必要な作業環境の確立,管理及び維持 のための資源を明確にし,提供し,維持しなければならない。

注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る. a)社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的) b)心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア) c)物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音) これらの要因は,提供する製品及びサービスによって大いに異なり得る. =規 格解説 組織は,本規格の要求事項に適合したFSMSを運用するために必要とする 作業環境を確立し,管理し,かつ維持するための資源を明確にし,提供し, 維持することを組織に要求している.注記にあるように,この“7.1.4作業環 境”で取り扱うのは作業者が作業する環境のことである.労働環境と言い換え ることができる。

“c)物理的要因”のみならず,“a)社会的要因”及び“b) 心理的要因”も重要である。

加工,保管,輸送などの間に原材料及び製品が置かれる環境については,“ 8.5.1.5.3工程及び工程の環境の記述”にあるよう に,“工程の環境”の語句が使われており,“作業環境”とは明確に区別されて いる。

7.1.5 外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素 組織が,FSMSの,PRPs,ハザード分析及びハザード管理プラン(8ふ4参照)を 含む外部で開発された要素の使用を通じて,そのFSMSを確立,維持,更新及び継続 的改善をする場合,組織は,提供された要素が次のとおりであることを確実にしなけれ ばならない。

a)この規格の要求事項に適合して開発されている. b)組織の現場,プロセス及び製品に適用可能である. c)食品安全チームによって,組織のプロセス及び製品に特に適応させてある。

d)この規格で要求されているように実施,維持及び更新されている. e)文書化した情報として保持されている. =規 格解説 表題にある“外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素”と は,本規格の“8運用”で要求されている前提条件プログラム(PRP),フロ ーダイアグラム,ハザード分析,ハザード管理プランなどのうち,組織の外部 で開発されたものを意味している。

このとき“外部で開発された”とは,法 令。

規制で定められたものや,業界団体が作成したもの,企業グループとして 作成したもの, コンサルティング会社が作成したものなどが考えられる。

この要求事項は中小規模の組織が独自に,本規格に基づくFSMSを導入す ることが困難な場合を想定して設けられている。

このような組織が,FSMS を確立,維持,更新及び継続的改善をする場合に,いわゆるモデルとしてこれ らの外部で開発された要素を使用する場合に,次のa)からe)の条件を満たす ことを要求している。

a)この規格の要求事項に適合している.モデルとしてあらかじめ開発され たものであっても,本規格要求事項に適合しないものは認められない。

b)組織の現場,プロセス,製品に適用可能である。

つまり,組織の実態と

離れたものであってはならない。

c)b)項では“適用可能”を示し,続いて実際に組織の実態に合わせたもの になっていることを要求している。

また組織の実態に合わせる作業は,食品安 全チームが実施する必要がある. d)次の段階として,実施,維持,更新についても,本規格の要求事項に適 合している必要がある。

e)利用した“外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素”が どのようなものであったかということを,文書化した情報として保持する必要 がある。

=具 体的な考え方《7.1.5》 外部で開発されたFSMSの要素を使用しない組織には該当しない要求事項 であるが,特に該当しない旨を宣言する必要はない. 2018年6月の食品衛生法改正に伴い,HACCPの制度化が決定された。

こ の流れを受けて,厚生労働省ではHACCPの普及推進,技術的助言に努めて おり,特に中小規模の組織の負担軽減を図るために様々な取組みを行ってい る。

その一環として,食品等事業者団体が作成した業種別手引書を厚生労働省 のウェブサイトで公開している.詳細については, “厚生労働省ホーム>政策について>分野別の政策一覧>健康。

医療>食 品>HACCP(ハサップ)” でたどることができる。

これらの情報を利用する場合は, この“7.1.5″の要 求事項が該当する. 7.1.6 外部から提供されるプロセス,製品又はサービスの管理 組織は,次の事項を行わなければならない. a)プロセス,製品及び/又はサービスの外部提供者の評価,選択,パフオーマンスの モニタリング及び再評価を行うための基準を確立し,適用する. b)外部提供者に対して,要求事項を適切に伝達する。

 

c)外部から提供されるプロセス,製品又はサービスが,FSMSの要求事項を一貫し て満たすことができる組織の能力に悪影響を与えないことを確実にする。

d)これら活動及び,評価並びに再評価の結果としてのあらゆる必要な処置について, 文書化した情報を保持する。

・:・規格解説 組織の外部から提供されるプロセス,製品又はサービスを考えたとき, これ らの提供者に対しては,a)からd)の要求事項が適用される。

a)外部提供者について,評価,選択,パフォーマンスのモニタリング,再 評価を行うための基準を定め,その基準に基づき,これらを実施する必要があ る.ここでいうパフォーマンスは食品安全の関わるものに限定される。

このパ フォーマンスの指標が再評価の基準に含まれており,モニタリング結果が評価 につながっている必要がある。

b)外部提供者に対しては,提供するプロセス,製品及び/又はサービスに ついて,組織から食品安全に関する要求事項の伝達が適切に行われている必要 がある。

どのような要求事項があるかについて,組織は自らの製品のハザード 分析などを通して理解していることが前提となる.何らかの文書によって伝達 することが,伝達が適切であることの証拠となる. c)どの範囲までの外部提供者がこの要求事項に該当するかについては,本 規格の要求事項を一貫して満たすことができる組織の能力に影響を与える可能 性のある範囲である。

主に,“8運用”の要求事項に関わる外部提供者が該当 することになる。

つまり“8.5。

1.2原料,材料及び製品に接触する材料の特性” で示される物の提供者,及び“8.3トレーサビリテイ”や“8.5.1.5フローダ イアグラム及び工程の記述”“ 8.5.2ハザード分析”などの要求事項と関連して, 製品を製造,加工,貯蔵,配送する過程の一部のプロセス又はサービスの提供 者である。

また,“ 8.2.4″で前提条件プログラム(PRP)として考慮する事項 の中には,外部からサービスの提供を受ける場合も多くある.これらPRPに 関わるサービス提供者も本箇条に該当すると考えるのが妥当である. d)文書化した情報として保持する必要があるものは次のとおりである。

 

① a)で示された基準及び評価結果など,基準を適用した証拠 ② 評価や再評価した結果を受けてとった処置 ③ 外部提供者に伝達した要求事項 103 =具 体的な考え方《7.1.6》 原料としてタマネギを使う組織の下処理を例に考えると,次のように区別で きる. 外部から提供されるプロセスとは,製造や加工の一部の工程を,仕様を決め て外部(つまり,組織のFSMSの適用範囲外の組織)に委託する場合であり, この例では,特定サイズのカットや特定の包装を指定して,下処理の会社に委 託する場合などがある。

“外部から提供される製品”とは,購買する物であり,例えば,下処理をす る会社が販売しているカットしたタマネギを購入する場合である。

外部から提供されるサービスとは,この例でいえば,組織の構内で行うタマ ネギのカット作業を外部の請負業者に委託する場合などがある。

この説明でわかるように,外部委託したものがプロセスであるかサービスで あるかの区別はあまり明確ではない。

しかし,いずれの場合であっても,a) からd)の要求事項の対象となる。

7。

2 カ量 7.2 カ量 組織は,次の事項を行わなければならない. a)組織の食品安全パフォーマンス及びFSMSの有効性に影響を与える業務を,その 管理下で行う外部提供者を含めた,人(又は人々)に必要な力量を決定する. b)適切な教育,訓練,及び/又は経験に基づいて,食品安全チーム及びハザード管理 プランの運用に責任をもつ者を含め,それらの人々が力量を備えていることを確実 にする. c)食品安全チームが,FSMSを構築し,かつ,実施する上で,多くの分野にわたる 知識及び経験を併せ持つことを確実にする(FSMSの適用範囲内での組織の製品,

工程,装置及び食品安全ハザードを含むが,これらだけに限らない). d)該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり, とった処置 の有効性を評価する. e)力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する. 注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の 提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の 雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

=規 格解説 この“7.2カ量”は“7.1.2人々”を受けた詳細な要求事項となっている。

a)“ 7.1.2″にある“効果的なFSMSを運用及び維持するために必要な 人々”がここでは“食品安全パフォーマンス及びFSMSの有効性に影響を与 える業務を行う(中略)人々”となっているが,意味するところは同じであ る。

これら業務を組織の管理下で行う人々が対象であるが,ここには,組織の 構内で作業を行う請負作業者も含まれる。

これらの人々に必要な力量を決定す る必要がある. b)これらの人々が,適切な教育や訓練を受ける及び/又は十分な経験に基 づいて,a)で決めた力量があることを要求している.特に食品安全チームの メンバー及びハザード管理プランの運用に責任をもつ者について,力量がある ことが重要である。

c)食品安全チームが,チームとして食品安全に関わる多方面の知識及び経 験をもった者で構成されていることを要求している。

これは,組織の製品,プ ロセス,製造や加工に使う装置,製品に関係する食品安全ハザードなどについ ての知識及び経験である。

組織内でこれらの知識及び経験に不足がある場合は 7.1.2に従い,外部の専門家の協力を得ることになる.また“5.3.2″のc)にあ るように,食品安全チームリーダーは,食品安全チームに力量があることに対 し,責任をもつことになる。

d)該当する場合,つまり必要な力量が満たされない場合,必要な力量を獲 得する処置をとることを要求している.また,とった処置に対してはその有効 性を評価する必要がある。

注記にあるように,このときの処置とは,その人に

対する教育訓練の提供,指導の実施,他の人を当てるため組織内での配置転換 又は力量ある人の採用,外部専門家としての契約などがある。

処置をとった 後,必要な力量が満たされたかどうかを判断することが,処置の効果を評価す ることになる。

e)力量があることの証拠として適切な文書化した情報の保持,つまり記録 が必要である。

7.3 認識 7.3 認識 組織は,組織の管理下で働く全ての関連する人々が,次の事項に関して認識をもつこ とを確実にしなければならない. a)食品安全方針 b)彼らの職務に関連するFSMSの目標 c)食品安全パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,FSMSの有効性に 対する自らの貢献 d)FSMS要求事項に適合しないことの意味 =規 格解説 この“7.3認識”では,対象となるのが“組織の管理下で働く全ての関連す る人々”となっている。

これらの人々がよく知っていなければならない事柄と して,a)からd)がある. a)食品安全方針。

これは“5.2方針”でトップマネジメントが確立したも のである。

b)FSMSの目標.これは“6.2食品安全マネジメントシステムの目標及び それを達成するための計画策定”で,組織の機能及び階層において確立された ものであり,自ら属する機能及び階層にふさわしい目標についての認識であ る。

c)自らの貢献。

これはFSMSが有効に機能するためにどのように貢献でき るかという理解であり,自身の活動が食品安全に果たす役割とその重要性の理

解でもある。

“5.3.3″にある“FSMSに関する問題をあらかじめ決められた人 に報告する責任”及び“7.4.3内部コミュニケーション”の要求事項と関連し て,貢献しているという認識をもつことを重要視している。

d)本規格の要求事項に適合しないときにどのような結果をもたらすかとい うことについての認識。

ここでは,個々の要求事項について,不適合がもた らす結果を理解するのではなく, 自らの業務に関連する食品安全についての取 決めや仕組みについて,それが守られなかった場合の結果についての認識であ る.自らが守らなかった場合だけでなく,守られていない状況を見過ごすこと についても,その結果の認識が問われている. =具 体的な考え方《7.3》 “関連する人々”とは,FSMSに関連する人々であり,“ 7.1.2人々”で対象 とした人々よりやや広い範囲を指しているように読めるが,実質的に大きな差 はない.表題となっている“認識(awareness)”は“自覚している。

よく知 っている”と言い換えることができる。

“力量”(3.4)は定義にあるように, 知識及び技能をもち,それを適用して意図した結果を達成する能力であるが, 関連する人々に対して知識と技能とは別に,よく知っていなければならないこ とを要求事項としている.これは,いくら力量があっても十分な認識がなけれ ば,FSMSの成果を達成できないことを意味している. 7.4 コミュニケーション 7.4 コミュニケーション 7.4.1 -般 組織は,次の事項の決定を含む,FSMSに関連する内部及び外部のコミュニケーシ ョンを決定しなければならない。

a)コミュニケーションの内容 b)コミュニケーションの実施時期 c)コミュニケーションの対象者 d)コミュニケーションの方法

e)コミュニケーションを行う人 組織は,食品安全に影響を与える活動を行う全ての人が,効果的なコミュケーション の要求事項を理解することを確実にしなければならない。

=規 格解説 表題は“コミュニケーション”とカタカナ表記になっているが,文中の “communication”は“伝達(する)”と訳されている。

日本語からは一方的 な伝達をイメージするが,英語では情報を交換するという意味もあり,双方向 の伝達を前提にした要求事項である。

“内部コミュニケーション”とは,組織 内部での相互のコミュニケーションを意味する.“外部コミュニケーション” とは,組織の外部とのコミュニケーションであり,このときの“外部”とは, 外部の利害関係者全般を想定している。

コミュニケーションを確実に行うため に,最低限,a)からe)の事項を決定することを要求している。

a)何についてコミュニケーションするかというコミュニケーションの内容 b)いつコミュニケーションするかというコミュニケーションの実施時期 c)だれとコミュニケーションするかというコミュニケーションの相手.内 部コミュニケーションであれば,組織内部の人,外部コミュニケーションであ れば,該当する外部の人となる。

d)どのようにコミュニケーションするかというコミュニケーションの方 法.これは,面談,文書,会議,電話といった旧来の方法に加え,電子メール やテレビ会議,ネットやサーバ上の掲示板,SNS,ウェブサイトなど,ITを 使った様々な可能性がある. e)だれがコミュニケーションするかという組織側のコミュニケーションの 当事者.外部コミュニケーションの場合は,“ 7.4.2外部コミュニケーション” において,指名された者が明確な責任及び権限をもってコミュニケーションを 行うとしている。

食品安全に影響を与える活動を行う全ての人が,効果的なコミュニケーショ ンのための要求事項を理解していることを要求している。

つまり,食品安全に 関わる全ての人は“7.4.1-般”の要求事項に加えて,業務として外部コミュ

ニケーションを行う人は7.4.2の要求事項を,内部コミュニケーションを行う 人は“7.4.3内部コミュニケーション”の要求事項を理解している必要がある. 7.4.2 外部コミュニケーション 組織は,十分な情報が外部に伝達され,かつ,フードチェーンの利害関係者が利用で きることを確実にしなればならない。

組織は,次のものとの有効なコミュニケーションを確立し,実施し,かつ,維持しな ければならない。

a)外部提供者及び契約者 b)次の事項に関する顧客及び/又は消費者 1)フードチェーン内での又は消費者による製品の取扱い,陳列,保管,調理,流通 及び使用を可能にする,食品安全に関する製品情報 2)フードチェーン内の他の組織による,及び/又は消費者による管理が必要な,特 定された食品安全ハザード 3)修正を含む,契約した取決め,引合い及び発注 4)苦情を含む,顧客及び/又は消費者のフイードバツク c)法令・規制当局 d)FSMSの有効性又は更新に影響する,又はそれによって影響されるその他の組織 指定された者は,食品安全に関するあらゆる情報を外部に伝達するための,明確な責 任及び権限をもたなければならない.該当する場合,外部とのコミュニケーションを通 じて得られる情報は,マネジメントレビユー(9。

3参照)及びFSMSの更新(4.4及び 10.3参照)へのインプットとして含めなければならない. 外部コミュニケーションの証拠は,文書化した情報として保持しなければならない. =規 格解説 外部コミュニケーションとして組織から発信する情報及び組織が受け取る情 報が,食品安全について十分な内容であることを要求している。

発信した情報 はフードチェーン内の利害関係者が利用できる必要がある。

外部コミュニケーションの対象者はa)からd)の4種類であり,これらの者 とのコミュニケーションを“7.4.1-般”に基づいて確立する必要がある. a)外部提供者は,“ 7.1.6外部から提供されるプロセス,製品又はサービス の管理”でいうプロセス,製品及び/又はサービスの外部提供者のことであり,原材料・機器・サービス・情報等の購買先,プロセスをアウトソースした 相手,構内で作業の一部を担う別会社などである.契約者は“7.1.2人々”で いう外部の専門家などが該当する. b)顧客は,IS0 9000:2015の“3.2.4顧客”では“(前略)製品を,受け取 る又はその可能性のある個人又は組織.”と定義している.本規格では,顧客 及び/又は消費者とすることにより,フードチェーン内の,組織より下流の組 織及び最終の消費者を対象者としている.加えて,コミュニケーションの内容 について1)から4)を指定している。

1)食品安全に関係する製品情報。

これは,製品の取扱い,陳列,保存,調 理,配送及び使用において食品安全を可能にするものである. 2)特定された食品安全ハザード。

これは,組織では管理していない,又は できないため, フードチェーン内の,組織より下流の組織及び/又は最終の消 費者が管理しなければならない食品安全ハザードである.具体的な例として, 含有するアレルゲンの表示がある。

つまり1)や2)の情報は,食品表示法やそ の他の取決めに従って製品に表示されることによってコミュニケーションする 場合が含まれる. 3)取決め事項,引合い,発注といった内容は,1)の製品情報とは別の情報 であり,食品安全に関わる内容を含むことがある. 4)苦情やクレームについても, フードチェーン内の,組織より下流の組織 及び最終の消費者とのコミュニケーションとして重要である。

c)の法令・規制当局は, 日本国内では所轄保健所や厚生労働省・農林水産 省の関係部署などが該当する。

d)の他の組織は,消費者団体・業界団体等の利害関係者が該当する。

食品安全の情報を外部とコミュニケーションすることの責任・権限を明確に 定めた上で,指名した要員によって実施することを要求している. 外部コミュニケーションから得られる情報は,マネジメントレビユー(9.3) 及びFSMSの更新(4.4,10.3)に含める必要がある。

ここでは“該当する場合” と限定しているので,食品安全チームがその選択に当たるとよい。

 

外部コミュニケーションの内容については,証拠として必要な範囲で,文書 化した情報として保持する必要がある。

その内容には,7.4.1のa)からe)が 含まれることによって確かな証拠となる。

=具 体的な考え方《7.4.2》 外部コミュニケーションでは, フードチェーン内の別組織との間で食品安全 に関して情報交換することを要求している。

これは,フードチェーン内にある 個々の組織のFSMSを情報交換によってつなぎ,全体として最終的な消費者 に食品安全を確保するという意図の表れである. 外部コミュニケーションには次の四つの主要な目的がある。

① 顧客又は消費者に対しては,食品安全上の正確で適切な情報及び意図す る用途を伝えることによる信頼感の醸成 ② フードチェーンにおける共通の基盤に立った,必要かつ十分な食品安全 ハザードの管理。

そして,顧客又は消費者からのフイードバックをもとに した食品安全上の問題点の特定 ③ 外部提供者に対しては,効果的な食品安全ハザードの特定,評価及び管 理を可能にするための情報の共有 ④ 法令。

規制当局に対しては,食品安全ハザードの許容水準と組織がそれ を遵守する能力に関しての情報交換 7.4.3 内部コミュニケーション 組織は,食品安全に影響する問題を伝達するための効果的なシステムを確立し,実施 し,かつ,維持しなければならない. 組織は,FSMSの有効性を維持するために,次における変更があればそれをタイム リーに食品安全チームに知らせることを確実にしなければならない. a)製品又は新製品 b)原料,材料及びサービス c)生産システム及び装置 d)生産施設,装置の配置,周囲環境

e)清掃。

洗浄及び殺菌。

消毒プログラム 0 包装,保管及び流通システム g)力量及び/又は責任・権限の割当て h)適用される法令・規制要求事項 i)食品安全ハザード及び管理手段に関連する知識 j)組織が順守する,顧客,業界及びその他の要求事項 k)外部の利害関係者からの関連する引合い及びコミュニケーション 1)最終製品に関連した食品安全ハザードを示す苦情及び警告 m)食品安全に影響するその他の条件 食品安全チームは,FSMS(4.4及び10.3参照)を更新する場合に,この情報が含 められることを確実にしなければならない. トップマネジメントは,関連情報をマネジメントレビューヘのインプット(9.3参 照)として含めることを確実にしなければならない. =規 格解説 組織のFSMSを実際に運用していくのは,システム中で仕事に従事する経 営者を含めた全ての人々である。

この人々の間で,食品安全に影響する問題に ついての情報交換が円滑に行われるように, コミュニケーションの仕組みを確 立し,実施し,維持することを要求している. 食品安全チームに伝える必要があるa)からm)までの事項は,いずれもそ の変更が,FSMSの有効性を妨げる要因を含んでいる。

そのため,食品安全 チームにはタイムリーに知らせる必要がある。

実際にどのような影響があるか については,食品安全チームが判断することになる。

a)は,原材料の配合量,包装形態,包装上の表示などの変更が該当する. 新製品があった場合も含まれる。

b)は,産地や供給者の変更,グレード(等級)の変更などが該当する.提 供を受けているサービス内容の変更も含まれる。

c)は,生産に必要な各種の工程条件の変更などが該当する.生産設備の更 新や改造も含まれる。

d)は,設備の改築,改装.装置の配置変更,及び工場周辺を含む設備周辺 の環境の変更などが該当する.

e)は,設備や装置の清掃。

洗浄及び殺菌。

消毒プログラムの変更が該当す る.特に使用薬剤の変更に注意する. f)は,製品の梱包形態,積付け形態の変更,保管場所,保管方法の変更,及 び配送手段や配送業者の変更などが該当する。

g)は,“ 7.2カ量”のa)で決定した力量の変更,及び“5.3.1″で責任及び 権限を割り当てられた人の変更が該当する。

h)は,適用される法令・規制要求事項の変更が該当する。

変更情報は外部 コミュニケーションによって入手される。

i)は,食品安全ハザード及び管理手段に関して,組織がもつ知識の変更が該 当する.これは新しい知識として,外部コミュニケーションによって入手され る. j)は,組織が順守している,顧客,業界及びその他の要求事項の変更が該当 する。

変更に伴い,新たに順守すべき要求事項があるか否かについて,判断が 必要な場合がある. k)は,外部の利害関係者から示される,食品安全に関連する引合いやコミ ュニケーションの変更が該当する。

このような引合いやコミュニケーションが 新たに発生した場合を含む. 1)は,組織の“最終製品”(3.15)に関連して,食品安全ハザードの存在を示 唆する苦情及び警告があった場合が該当する。

これは,組織が従来のハザード 評価で全く取り上げていなかった食品安全ハザードの場合もある。

既成概念に 捉われることなく,食品安全ハザードの存在の示唆を見極めなければならない。

m)は,食品安全に影響するその他の条件の変更が該当する。

これには,a) から1)の事項以外でも,FSMSの有効性に影響を与える可能性のある変更が 含まれる。

これらの情報を知らされた食品安全チームは“8.6 PRPs及びハザード管理 プランを規定する情報の更新”の要求事項に従って,適切な情報の更新及び 最新化を行うか,又はその内容によっては,“ 4.4食品安全マネジメントシス テム”及び“10.3食品安全マネジメントシステムの更新”の要求事項に従っ

て,FSMSの更新を行うことになる.つまり,内部コミュニケーションによ って得たこれら変更の情報はインプットであり,それをもとにして食品安全チ ームは更新の要否を判断した結果をアウトプットする必要がある。

また,これ らの変更情報によってマネジメントシステムが変更される場合,“6.3変更の 計画”にあるa)からd)の事項を考慮する必要がある。

変更事項を含む内部コミュニケーションによって得られた情報については, 関連情報をマネジメントレビューにインプットすることになり,これは“9.3.2 マネジメントレビューヘのインプット”の0の要求事項である。

インプット する情報は“関連情報”となっているので全ての情報ではない。

食品安全チー ムがその選択に当たるとよい。

=具 体的な考え方《7.4.3》 ここでは,食品安全のために特別にコミュニケーションの仕組源を作るこ とを求めているわけではない。

既存の会議や報告・連絡。

相談の仕組みの中 に食品安全に影響する情報が必ず含まれるようにすること,そしてこれらの情 報を食品安全チームとして把握し,評価する仕組みを構築することが重要であ る.また,このようなコミュニケーションの仕組みが有効に機能するために は,“ 5.3.3″にあるFSMSに関する問題を報告する責任や,“ 7.3認識”にあ るFSMSの有効性に対する自らの貢献を認識することなども重要である。

7.5 文書化した情報 7.5 文書化した情報 7.5.1 -般 組織のFSMSは,次の事項を含まなければならない. a)この規格が要求する文書化した情報 b)FSMSの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報 c)法令,規制当局及び顧客が要求する,文書化した情報及び食品安全要求事項 注記 FSMSのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それ ぞれの組織で異なる場合がある.

―組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類 ―プロセス及びその相互作用の複雑さ 一人々の力量 =規 格解説 組織のFSMSを構成する文書化した情報として,a)からc)の三つが必要で ある。

a)本規格が要求している文書化した情報の事項。

これらを表2.3,表2.4, 表2.3 1S022000で“維持する(maintain)”が要求されている文書化した情報 箇条“維持する”文書化した情報の内容 4.3 FSMSの適用範囲 5.2.2a) 食品安全方針 8.4.1 緊急事態及びインシデントを管理する文書 8.5.1.2 原料,材料及び製品に接触する材料の特性 8.5.1.3 最終製品の特性 8.5.1.4 意図した用途 8.5.1.5.1 フローダイアグラム 8.5.1.5.3 工程及び工程の環境の記述 8.5.2.2.3 許容水準の決定,許容水準を正当化する根拠 8.5.2.3 使用した評価方法を含むハザード評価の結果 意思決定のプロセス及び管理手段の選択並びにカテゴリー分けの結果 8.5.2.4.2 管理手段の選択及び厳格さに影響を与える可能性がある外部からの要 求事項 8.5.3 妥当性確認の方法及び意図した管理を達成できる管理手段の能力を示 す証拠 8.5.4.1 ハザード管理プラン(CCPプラン/OPRPプラン) 8.5.4.2 許容限界及び処置基準の決定の根拠 それまでに測定した結果の妥当性の評価及びその結果としての処置 8.7 ソフトウェアの妥当性確認活動に関する情報 8.9.2.1 修正についての方法や取決め 8.9.3 是正処置の規定 8.9.5 回収/リコール製品の取扱い及び一連の処置

表2.5に示す。

b)FSMSの一部として組織が決定したもの. c)法令・規制要求事項が記載された文書,顧客要求事項が記載された文書 表2.4 1S022000で“保持する(retam)”が要求されている文書化した情報 “保持する”文書化した情報の内容 6.2.1 FSMSの目標に関する情報 7.1.2 外部専門家の合意の記録又は契約 7.1.5 組織が使用した,外部で開発されたFSMSの要素 7.1.6 評価並びに再評価の結果としての必要な処置 7.2 力量の証拠 7.4.2 外部コミュニケーションの証拠 8.3 トレーサビリテイシステムの証拠 8.5.1.5.2 フローダイアグラムの現場確認 8.5.4.5 ハザード管理プランの実施の証拠 校正及び検証の結果 8.7 校正又は検証に用いた基準(標準が存在しない場合) 8.8.1 検証結果 8.9.2.3 処置基準が守られなかった場合の評価の結果 8.9.2.4 不適合製品及び工程について行われた修正の記述 8.9.3 全ての是正処置に関する情報 8.9.4.1 当該管理及び利害関係者からの反応並びに製品を取扱う権限 8.9.4.2 製品リリースのための評価の結果 8.9.4.3 承認権限をもつ者を含む不適合製品の処置に関する情報 回収/リコールの原因,範囲及び結果 8.9.5 適切な手法の使用を通じての有効性の検証 9.1.1 モニタリング,測定,分析及び評価の結果の証拠 9.1.2 分析結果及びとられた活動 9.2.2 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠 9.3.3 マネジメントレビューの結果の証拠 10.1.2 不適合の性質, とった処置,是正処置の結果 10.3 システム更新の活動

表2.5 1S022000で“維持する/保持する”以外の文書化した情報 箇条文書化した情報の要求事項(“ 維持する/保持する”以外) 8.1 プロセスが計画どおりに実施されたことを示すための確信をもつため に必要な程度の文書化した情報を保存する。

8.2.4 文書化した情報によって,PRP(s)を規定する 8.4.2 緊急事態及びインシデントを管理する文書化した情報をレビューし, 更新する。

8.5.2.2.1 全ての食品安全ハザードを特定し,かつ文書化する 8.5.4.3 以下で構成された文書化した情報によって,モニタリングシステムを 規定する. これは“8.2.3″“8.3” “8.4.2a)1)” “8.5.1.la)”“ 8.5.1.2″“ 8.5.1.3″ “8.5.1.5.3 d)”“8.5.2.2.le)”“ 8.5.2.2.3a)”“ 8.5.2.4.2″において,“ 法令・規制食品安 全要求事項”“顧客要求事項”などを特定するという要求事項に対応している。

つまり, これら特定されたものはFSMSを構成する文書化された情報の一部 となる。

注記にあるように,FSMSに必要な文書化した情報は一律に決められるも のではなく,組織によって異なるものである.組織にふさわしいものを組織自 らが考えて作成することが望まれる. =具 体的な考え方《7.5.1》 表題の“文書化した情報”はマネジメントシステムのHLSに基づき採用さ れた用語で,その定義は“3.13″に示されている(51ページ参照).これは従 来の“文書”及び“記録”を一つにした概念である。

しかし,本文中に“文書 化した情報として`維持する(maintain)”’と記されたもの,つまり,改版 して内容を常に正確なものに維持するのがいわゆる“文書”であり,“文書化 した情報として`保持する(retain)”’と記されたもの,つまり,証拠として 一定の内容を一定期間保持するのがいわゆる“記録”である。

ただし“8.1運 用の計画及び管理”のc)には“文書化した情報の`保存(keeping)”’とある が,これは“文書”及び“記録”の両方を意味している.

ここでは“食品安全マニュアル”のようなタイトルを付けた文書は要求して いない。

しかし,規格の要求事項を満たすFSMSの構築と運用を確実にする ために,システム全体を規定した何らかの文書が作成されていることが意味を もつ組織もある.これは,全ての文書を横並びで管理するのではなく,中心的 な文書があり,それをもとに全体の文書を管理するという考え方である。

ただ し,小規模の組織の場合には,全ての文書を一つのファイルにまとめて,日次 によって文書全体を管理することも考えられる。

7.5.2 作成及び更新 文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならな a)適切な識別及び記述(例えば, タイトル, 日付,作成者,参照番号) b)適切な形式(例えば,言語, ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電 子媒体) c)適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認 =規 格解説 文書化した情報を作成及び変更する場合にa)からc)を実施することを要求 している。

当然であるが,記録に相当する文書化した情報について変更はでき ない。

a)文書や記録のタイトル,作成や変更の日付,作成の責任者,文書番号や 記録様式の識別番号など,それぞれの文書化した情報にふさわしい識別を行 い,記述する. b)それぞれの文書化した情報にふさわしい形式(言語,図表,写真,画 像,ソフトウェアのバージョンなど)を用いる.いくつかの形式の組合せでも よい。

またふさわしい媒体(紙や電子媒体)を用いる。

c)文書化した情報の内容が適切であり,妥当であることを適切にレビュー する。

ただし,全ての文書化した情報にレビューを必要とするわけではない. レビューの目的は,内容の間違いや不整合を除去することである。

FSMSを運用していく過程で起こる様々な変化に対して,文書化した情報の対応が不十 分なために間違いや不整合が発生する可能性がある.それを防止するために内 容を適切にレビューし,更新することによって文書化した情報を維持すること ができる.また,文書化した情報の作成及び更新に当たっては,内容が正しく 妥当であることを適切に確認し,承認する必要がある。

ただし,全ての文書化 した情報に承認を必要とするわけではない.承認の目的は,内容の正しさや妥 当性が情報の作成者だけで決定できないと判断されるとき,作成者以外に承認 者を設定することである。

また,承認をする人は内容の責任者ということにな る。

=具 体的な考え方《7.5.2》 文書化した情報の作成及び更新については,ITを用いた方法が広がってお り,本箇条もb)適切な形式及び媒体とすることで,IT化を意識した要求事項 が組み込まれている。

7.5.3 文書化した情報の管理 7.5.3.l FSMS及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実に するために,管理しなければならない。

a)文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状 態である. b)文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及 び完全性の喪失からの保護). =規 格解説 作成された文書化した情報の管理について,次に示すa),b)の状態である ことを要求している。

a)文書化した情報は,それが利用されるときに,利用される場所で,適切 に利用できる状態である.手順書であれば,手順書を必要とする人が見たいと きに,最新版が参照できる状態にしておくことである.作業方法を完全に覚え

ていない人がいる場合や,複雑な作業で手順書なしでは間違う可能性がある場 合などが該当する。

記録であれば,内容を検証する場合や,データ分析のため に参照する場合などが該当する.当然であるが,利用されないものは作成する 必要はない. b)文書化した情報が,内容が十分に保護された状態である。

情報の保護に 関しては, ① 関係のない人がその情報を閲覧できない(機密性). ② 不適切な使用ができない。

③ 常に正しい内容の情報である(完全性). と三つの例を示している。

=具 体的な考え方《7.5.3.1》 情報セキュリテイの分野では,三大要件として“機密性・可用性・完全性” を挙げている。

“機密性”とは,正当な権利をもった人だけが利用できること であり,情報漏洩の防止やアクセス権の設定などの対策を行う。

“可用性”と は,必要なときに利用できることであり,電源対策やバックアップによる二重 化などの対策を行う.“完全性”とは,内容が常に正しい状態になっているこ とであり,改ざん防止や差異の検出などの対策を行う。

これらは電子媒体に収 納された情報だけでなく紙に残された情報についても同様である。

ただし, ど の程度まで対策を行うか,については組織の状況によって異なる。

7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の 行動に取り組まなければならない. a)配付,アクセス,検索及び利用 b)読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存 c)変更の管理(例えば,版の管理) d)保持及び廃棄 FSMSの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は, 必要に応じて識別し,管理しなければならない。

 

適合の証拠として保持する文書化した情報は,意図しない改変から保護しなければな らない. 注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化 した情報の関覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る. =規 格解説 次に,作成された文書化した情報の管理について,該当する場合には,必ず 次に示すa)からd)の活動に取り組むことを要求している。

a)文書化した情報を配付する。

アクセス(注記を参照)できるようにす る。

検索できるようにする。

利用できるようにする。

配付を管理するとは, 原本が変更されたときにも適切な版が配付先で利用できるようにすることであ り,紙で配付した場合,配付先における旧版の廃棄手順を伴う。

電子媒体を利 用する場合は,サーバヘの登録により配付,アクセス,検索,利用が一括して 管理できる場合がある。

b)保管する.読みやすさが保たれるように保存する。

電子媒体の場合は, 時間とともにデータが消失する可能性や読取り用ソフトウェアを失う可能性を 考慮して,情報の保存を考える必要がある. c)変更を管理する。

変更された情報に対して,変更の識別や最新版管理が 必要となる。

どれが最新版であるかが明確に識別できる仕組みがないと,組織 としてその情報を利用するときに,認識に差異が生じる可能性がある。

当然で あるが,活動の証拠となる情報(記録)については,内容を変更することはで きない。

d)保持及び廃棄する。

内容が変更された旧版をどのように保持し,廃棄す るかについては,保持することの目的を考慮して組織が決める必要がある。

活動の証拠となる情報(記録)の保持及び廃棄については,製品がフードチ ェーンに残る期間(最終的に消費されるまでの期間),法令・規制要求事項, FSMSの検証活動などを考慮して決める必要がある。

外部からの文書化した情報は,“ 7.5.1-般”のc)で組織のFSMSに含める としたものである。

ここで特定された法令・規制要求事項は文書として管理す

る必要がある.そのとき,該当する省庁や公的機関のウェブサイトのURLを 組織の文書化した情報として維持してもよい。

ただし,変更情報をタイムリー に得るために,定期的な内容のチェックが不可欠である.それ以外に,文書で 示された顧客要求事項,外部で開発されたFSMSの要素,本規格の参考文献 など,組織が必要と決定したものが該当し, これらは識別及び管理が必要であ る。

証拠として保持する文書化した情報(記録)は,意図しない改変から保護す ることを要求している。

これは“7.5.3.1″のb)にも記載がある。

注記ではアクセスについて“閲覧のみできること又は閲覧及び変更ができる こと”と説明している.つまり,“ アクセスを管理する。

”とは,アクセスする 人にこれらの許可及び権限を与え,運用することを意味している.

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