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第2章 何故 GTDがストレスフリーにつながるのか

目次

2―1GTDについて

GTD(Getting Things Done)はデビッド・アレン(DavidAllen)氏が『仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法(はまの出版2001年)』で紹介されている情報整理術です。

はじめにでも書きましたが、忙しさを感じ心がモヤモヤしているときには、その原因となっている頭のなかの気になることをすべて書き出し、それらを頭のなかから追い出してしまうことが重要です。

この書き出しの作業は、GTDの基本的なステップである「収集」「処理」「整理」「レビュー」「実行」の収集の部分にあたります。

収集した気になることのリストは、頭のなかから追い出すことにより、はじめて客観的な視点で見ることができるようになります。

「収集」

・気になることすべてを書き出すことで頭のなかをすっきりさせ

「処理・整理」

・そのなかで行動に移すものをNextActionとし、打ち合わせなど、具体的な日時が決まっているものはカレンダーに登録する

・NextActionでそれを完了させるのに複数のステップが必要なものはプロジェクトとし、シングルアクションで実行できるレベルまで分解する

・気になることとしてリスト化したものの、実行する必要がないと判断したものはゴミ箱に入れます。

また、「いつかやりたい、そのうちやりたい」と言うレベルのものはSomedayリストとして登録します

「レビュー・実行」・これらのリストは自分の使いやすいツール(信頼できるシステム)で管理し、定期的にレビューをおこないながら作業を実行する『ストレスフリーの整理術』で書かれている内容を多少端折っていますが、要するに頭のなかの気になることを客観視できるよう目に見える形でリスト化し、GTDのフローを通すことで言葉のとおり「整理」し、具体的な行動に移すと判断したものの状態を、頭で記憶しないで良い状態にすること。

それを通して脳の認知リソースを解放することが、モヤモヤをなくしストレスフリーをもたらすのです。

GTDをベースとしたタスク管理関連の書籍は多数出版されていますが、『マンガでわかる!幼稚園児でもできた!!タスク管理超入門』(岡野純著インプレスコミュニケーションズ2013年)は、GTDの基本的な考え方を極めて分かりやすく説明している書籍としてお勧めです。

2―2図解で示すタスク管理の必要性

前項で、GTDと言う情報整理術について紹介しました。

今では頭にこのフローが染み付いているので収集~実行までの一連のステップをおこなうことは全く苦になりません。

逆に、もしやらなかったとしたら、頭のなかに気になること(ノイズ)が溜まっていく一方なので気持ちが悪くてしょうがないでしょう。

この感覚は実際にやってみて体感しないと、そのメリットを感じられないのが難点です。

それに、実際にやること自体は前節で説明したとおり、頭のなかの気になることを書き出して、整理をするだけ。

普通に仕事をしているビジネスパーソンであれば、仕事の基本とも捉えられることなので、職場でも大きな声で、「タスク管理をやりましょう」とはなかなか言えないのです。

ここでは、そのタスク管理の必要性を模式図で、もう少し分かりやすく説明したいと思います。

2―2―1今日の見通しを立てる

仕事の場面でタスク管理をおこなう一番の理由がこれです。

手持ち業務が幾つかあり、それぞれの業務に複数の検討項目、作業項目があります。

そして、その検討や作業を終わらせるのに、たくさんのステップ(タスク処理)が必要である。

そのたくさんあるタスクのなかで、今日やるべきことを適切に選択し、重要度を判断し、そしてそれらすべてが終わるのが何時になるのかを明らかにする。

これを頭のなかでやるのは到底不可能です。

手帳などのアナログツールでもできないことはないですが、予定の組み替え、編集、再利用などをおこなうには、やはりデジタルツールの方が有利です。

タスク管理で大切なのは、それをおこなうことで作業効率を高め、1日で実行できるタスクの数を増やすことではありません。

大切なのは、すべてのタスクを洗い出すことで、今日そしてこの先1週間程度の仕事のつまり具合、締切り、他の人に作業依頼するタイミングなど、自分の仕事の流れを見極め、重要なマイルストーンを見逃さないことです。

これはカヌーに乗って川を下るとき、自分の視線がどれ位先を見通せているかに似ています。

遠くまで見通せていれば波間に顔を出す岩を避けるのも簡単ですが、目の前しか見ていないと、視界に急に飛び込んでくる障害物に対応するのもままなりません。

運が悪いと転覆してしまいます。

2―2―2見通しを立てることを図解で示す

それでは、今日1日の仕事が見通せるようになるとは、具体的にどのようなことかを説明したいと思います。

(1)タスクの収集

次の画像ですが、これは実行しなければならないタスクの集まりです。

色々なプロジェクトのタスクが頭のなかにバラバラで混在している状態と考えてください。

 

この頭のなかでごった煮状態になっているタスク(気になること)を整理するには、最初に、それらを紙やタスク管理ツールなどに書き出し、頭のなかを空っぽにすることが重要です。

これはGTDの収集のステップに相当するもので、これをおこなわない限り、いつまでも頭のなかのモヤモヤ感は拭えませんし、見通しなんて絶対に立ちません。

(2)タスクの整理

次に必要なのはタスクの整理です。

この画像は、紙に書き出したタスクを関連するプロジェクトごとに整理した状態です。

また、収集のステップを通じ、これまでは気づかなかったタスクが追加され、また、各プロジェクトにおいて重要度の高いものが明らかになりました。

 

(3)実行日の割り振り

この状態でかなりすっきりしましたが、見通しが立ったかと言うと、まだまだです。

何故なら、このすべてのタスクを今日1日で終わらせることができないので、プロジェクトのスケジュールを踏まえ、実行する日付を割り振る必要があります。

ここでは、今日、明日、明後日の3日間にそれぞれのタスクを割り振ります。

 

(4)クローズドタスクの作成

割り振ったタスクのなかで、今日やるべきものだけ抜き出します。

これがいわゆるクローズドタスクと呼ばれるもので、よほど緊急かつ重要な割り込みでない限り、新しいタスクが追加されることのないリストです。

クローズドタスクについては次の書籍で詳しく紹介されています。

『マニャーナの法則』(マーク・フォースター著ディスカヴァー・トゥエンティワン2007年)

(5)作業時間を見積もる

今日はこれらのタスクを終わらせれば帰れますが、では終わらせるのにどれ位の時間がかかるのでしょうか。その時間がはっきりしてはじめて、1日の見通しが立ったと言えます。

その見通しを立てるため、それぞれのタスクを終わらせるのに必要な時間を見積もってみましょう。

次の画像では、必要時間の長さによってタスクの大きさを変えてみました。

 

(6)重要度によるタスクの並べ替え

時間の見積もりができたら、それを1日の時間軸のなかで並べます。すると、今日の仕事は20時までかかることが分かりました。

実際に仕事にとりかかる際には、重要度の高いタスクを先に終わらせるように順番を並べ替えます。

ここで言う重要度の高いタスクとは、仕事の段取りや他の人への作業指示など、それが終わらないと他の人が動けないようなものです。

翌日が締切りの仕事の段取りと依頼を終業前の夕方にやるようでは手遅れですし、頼まれた方も困ってしまいます。

(7)タスクの移譲

もしチームメンバーで手が空いている人がいれば、定時以降にやる予定のタスクをお願いすることもできるでしょう。

これも、やるべきタスクのすべてを洗い出し、それをすぐに実行可能な粒度まで分割しておいてはじめて可能となるのです。

これで、やっと1日の見通しが立てられました。

後は、時間軸に並べられたタスクを一つ一つ着実に実行していくだけです。

これは分かりやすく今日1日と言う、短期レベルの簡単なモデルに置き換えましたが、同じことは1週間、1ヶ月と言う中期、長期レベルでも検討できます。

そうすることで、そのスパンの仕事についての見通しを立てるのです。

2―2―3見通しを立てることの目的

では最初の状態に戻ってみましょう。

次の図は、気になること、やるべきことを頭のなかだけで管理しようとしている状態です。

このなかから、今日やるべきことを抽出し、重要度を判断し、自分だけでは終わらせられないものを他の人にお願いし、そしてすべてが終わるのが何時になるのかを見極める。

タスク管理をおこなわないと、それがどれだけ困難なことかが分かりますよね。

実際には、それで仕事を回せている人もいると思いますが、そのやりくりを自分の頭のなかでおこなうことによる認知リソースの消費と、1つでも忘れられないと言うストレスは如何ほどでしょうか。

この1日の見通しを立てること、そして「今やるべきものは何か?」と言う思考を自分の頭から切り離すこと。

それを通してストレスフリーに近づくためにタスク管理をおこなっているのです。

2―2―4タスク管理と散らかった机

余談ですが、GTDをベースとしたタスク管理が身に付いてから、自分の身の周り、特に仕事場の机周りがすっきり片付くようになりました。

「机の周りが散らかっている人は頭のなかも整理されていない」と良く聞きますが、それはあくまで結果であり、問題は他の所にあります。

机の周りに堆く積まれた文献や資料の山。それらのなかにはすぐに使うもの、当分使わないもの、本来であればゴミ箱いきの資料などが無造作に積まれ、半年以上も触られることのない資料が厚い地層をつくる。

そのような状態に1日でなることはなく、毎日少しずつ資料が積み重なり、長い期間をかけ少しずつ厚くなるのです。

その原因は、その資料が机の周りに置かれる際に、GTDのステップで言う処理・整理ができていないため「もう一度使うのか」、「いつ使うのか」、「保管場所はどこか」などが決められていないことです。

すぐに使う資料であれば机の脇に置き、使う日付が決まっていれば43Foldersのファイルに綴じ、必要ではあるが当分使わないものはスキャンしてEvernoteに保存する。

必要のなくなった資料はゴミ箱に捨てる。

43Folders‥『未来の自分にメモを送るタイムマシン、TicklerFileの応用』http://lifehacking.jp/2007/11/making-use-of-tickler-files/――Lifehacking.jpより

机の周りが散らかっている人は、このような、身の周りに現れる「気になること」を適切に捌く情報整理の思考ステップが曖昧になっていると言えます。

目に見える資料さえ適切に処理・整理できないのであれば、目に見えない気になること、具体的に書き出していない頭のなかのタスクを適切に捌くためのフローがあるはずもありません。

「机の周りが散らかっている人は頭のなかも整理されていない」と言うのは、机の上が散らかっているのが原因で頭のなかが整理されないのではなく、頭のなかの気になることを適切に処理・整理するフローが定まっていないため、その結果として机の周りが散らかるのです。

2―3GTDでストレスフリーになる

前節ではタスク管理を頭のなかだけでおこなうことがどれほど困難かについて図解しました。

タスク管理をおこなえば、仕事の総量や長時間の残業がなくなるとは言えませんが、それに向き合う自分自身のストレスが大幅に少なくなることは体験的にも断言できます。

今ではよほどの窮地に陥らない限り、仕事のことで憂鬱になる、またタイトなスケジュールで不安に押しつぶされるようなことはありません。

おそらく、これが『ストレスフリーの整理術』に何度も出てくる「水のように澄んだ心」の境地なのだと思います。

GTDをベースとしたタスク管理の実践を通し、頭のなかのモヤモヤをなくすことについては前節で説明したとおりですが、そのすっきり感が何から得られるのかについて深く考えることはありませんでした。

考えたとしても「そりゃあ、気になることを全部書き出して整理すればすっきりするよね」程度の認識です。

ここでは、この部分を少し掘り下げ、そのすっきり感が何によって得られるのかを考えたいと思います。

2―3―1コンテキストの使い方

GTDにはコンテキストと言う考え方があります。

コンテキストとはたくさんあるタスクのなかから、具体的に今・ここでできることを絞り込むフィルターの役割を果たします。

簡単な使用例として次のようなものが挙げられます。

(1)場所によるコンテキスト

  • 自宅
  • 会社
  • 外出先

など主にタスクを実行する場所として設定しておきます。

自宅で実行するタスク、会社で実行するするタスクを絞り込みたいときには、各タスクにこのようなコンテキストを付加します。

(2)時間をベースとしたコンテキスト

仕事と仕事の合間にちょっとした時間があるとき、そこで何かのタスクを実行できないか?そんなタスクを絞り込むには、時間をベースとしたコンテキスト。

例えば【隙間時間】のようなコンテキストをつくっておきます。

隙間時間ができたら、このコンテキストで絞り込みをおこない、その時間に実行できるタスクを表示させます。時間をベースとしたコンテキストのもう1つの考え方として。

それを実行する時間帯を指定するのも有効です。

例えば・出社後・午前中・昼休み後・帰宅前などですね。

このような決まった時間に実行するタスクは、ほぼ毎日実行するルーチンタスクが多いので、コンテキストの付加と併せ、繰り返し設定をしておくと良いでしょう。

(3)自分の状態をベースとしたコンテキスト

今1つ調子が上がらず頭が働かない……残業が遅い時間にまで達するなど、体調が悪いとこのような状態になります。

そのようなときにでも実行できる単純作業のタスクがあれば、このようなコンテキストを付加しておくと良いでしょう。

・頭が働かないとき

・疲れているとき

2―3―2ここでできないことを除外する

コンテキストの基本的な使用方法は最初に説明したとおり、複数のタスクのなかから今実行できることを絞り込むフィルターとしての役割をもちますが、もう1つの役割として、「今・ここでできないことを除外する」と言う捉え方もできます。

この考え方を理解し、普段から意識すると、今考える必要のないことについて何度も何度も繰り返し考える、思考の堂々巡りをなくせます。

例えば「昨日の打ち合わせのとき、うっかり口から出た失言でお客さんを怒らせてしまい、その件について明日、会社で顛末の報告をする」、そんな場面を想像してください。

おそらく、夜寝る前の布団のなかでは、「あぁ、なんであんなことを言ってしまったのだろう、あの一言は余計だった……もう少し別の言い方はできなかっただろうか……」と振り返り、「明日はどんなことを言われるのだろう」、「こう言われたらなんと答えよう?」など、色々なことを頭のなかで繰り返し繰り返し考えます。

既に終わったこと、明日にならないと対処できないことで思い悩み、不安をつのらせ、その結果として睡眠の時間や質を落とすのは全くもって無意味です。

翌日のパフォーマンスを落とすことにもつながりますので、まさに悪循環です。

この例はネガティブな場合ですが、逆にワクワクするようなこと、例えば布団のなかで何か良いアイデアを思いつき、それについて胸を躍らせながら考えを膨らますようなことも、本来ならば避けるべきことです。

何故なら、夜、布団に入ってするべきことは睡眠を取り、身体と脳を休めることだからです。この布団のなかでの逡巡。

既に終わった過去のことや、今・ここで対処できない未来のことについて考えることは、GTDのコンテキストと言う切り口で考えると無駄であり、真っ先に頭のなかから除外すべき雑念なのです。

2―3―3今考えないことを訓練する

とは言っても「何かについて考える」のと違い「何かについて考えない」ことはとても難しく、やれと言われて簡単にできることではありません。

ではどうすればその考えないことを考えずに済むのでしょうか。それを訓練するのが瞑想です。

瞑想については始めたばかりなので、その目的や効果についての説明は表面的なものになると思いますが、瞑想の目的は自我を客観視し、湧き上がる思考(雑念)を自分から切り離すことで、それをコントロールできるように訓練することと言えます。

頭のなかでグルグルと回り自分を悩ますさまざまな思考(雑念)に囚われず、手放す技術を修得することと言えます。

『始めよう。瞑想―15分でできるココロとアタマのストレッチ』(宝彩有菜著光文社知恵の森文庫2007年)この書籍では、瞑想の達成度を「実践瞑想」と「境地瞑想」の2段階に分けて説明しています。

境地瞑想とは瞑想の状態が深くなり、頭のなかがし~んと静かになる深い瞑想の状態。

実践瞑想は境地瞑想に入る準備として、頭のなかに浮かんでくるさまざまな雑念を「今考えることではない」、「後で考えよう」と積極的に棚上げする訓練です。

その思考の棚上げをどんどん続けていくことで、脳がこれ以上考えることがないとなったとき、深い境地瞑想に入ることができると説明されています。

その実践瞑想でおこなう「今は考えないで後で考えよう」と言う練習を繰り返しおこなうことで、前に説明したGTDのコンテキストで除外された「今考えるべきでない」思考を考えないようにできると言うことです。

GTDでは最初に頭のなかにある、気になることをすべて書き出しますが、この書き出してリスト化する作業は、まさしく思考を目に見える形にして客観視する作業です。

そのステップを踏むだけでも頭のなかは格段にクリアになります。

ストレスフリーに近づくための次のステップとして、一度書き出した気になることを必要のないときに忘れられる方法として、瞑想と言う手法も組み合わせてみては如何でしょうか。

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