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第5章 把握する ″ 気になること ″ のすべてを把握する

第2章では、「把握する」のステップにおけるごく基本的なやり方を説明した。

この章では「気になること」のすべてを一つの場所(インボックス)で把握していく方法をより具体的に見ていこう。

「把握する」作業は、「水のような心」に至るための最初のステップであり、GTDにおいてはとりわけ重要な部分だ。

やるべきことが少々明らかになっただけでもかなり気分が違ってくるが、これを100%に至るまでやってしまおう。

そうすれば、仕事全体をより高いレベルから見渡せるようになり、驚くような解放感を得ることができるだろう。

私がクライアントを指導する場合、この作業にかかる時間は通常1時間から6時間程度である(過去に1人だけ、20時間かかったケースがある。さすがにきつかったので「だいたいやり方はわかったでしょう」と言って切り上げてもらうことにした)。

仕事とプライベートのあらゆる分野でこのステップを完全にやろうとすると、思っていた以上に時間がかかることも少なくない。

しまいこんであるものすべてをチェックし、自宅やガレージなど、あらゆる場所に関してこの作業角鶴¶【伽郵があるからだ。

ただ、最低でも2時間くらいかければ、めぼしいものはほとんど把握することができるはずだ。そこまでやってしまえば、あとはメモ程度のリストを作っておいて別の機会にやることもできる。

メモには「ボート置き場を総点検する」「廊下にあるクローゼットをチェックする」などと書いておけばいい。

実際には、完全にすべてを把握できている状態を常に保つのはまず不可能である。たいていの人はさまざまなことに携わっているので、どうしても取りこぼしが出てきてしまうからだ。

ただ、仕事やプライベートで気になっているあらゆることを「大掃除」する習慣をつけたかったら、100%やるつもりでいたほうがいい。

目次

心の準備はできただろうか

次の「見極める」ステップの前に、この「把握する」作業を必ず行なわなくてはいけない。

それは次のような理由による。

  1. 取り組まなければならないことの全体量を把握することができる。
  2. 何をどこまでやれば終わり、ということがわかる。
  3. まだどこかに気になることがあるかもしれないという意識があると、次に行う「見極める」作業と「整理する」作業に集中できなくなる。

注意が必要なものがすべて1カ所にあるとわかっていれば、安心してそれらの作業に集中できる。整理できていないことを一気に1カ所に集めるのは大変だと思う人もいるだろう。

ほとんどのことは「それほど重要ではないこと」なのに、把握する意味があるのだろうかと疑間に感じる人もいるかもしれない。

しかし、そのような意識があるからこそ、それらは放置されてきたのである。

最初に気づいたときに緊急性がないと感じ、今でも大きな問題が生じていないせいで、まだ片付けていないわけだ。

いつか必要になるかもしれないと財布の中に入れてある名刺、部品が足りなくて引き出しの底に眠っているデジタル機器、置き場所が悪くて使いにくいプリンター。

これらは「気になること」のリストから外すかどうかさえ決められていないものだ。

こうしたものがあると「もしかしたら重要なものなのかもしれない……」という潜在意識に東縛され、エネルギーを無駄に消費してしまうことになる。

これらについてどうするかを明確にしない限り、永遠にこうした不安から逃れることはできない。では、さっそく「把握する」ステップをはじめよう。紙の東を用意し、書類受けの位置を確認しておこう。

「把握する」ステップの実行

物理的に集めて把握する

最初にやるのは、実体のある身の回りのもので、あるべき場所やあるべき状態にないものを探し、インボックスに入れることである。

これらは未完成のものだったり、何をすべきかを判断しなければならないものだったりする。これらをすべてインボックスに放り込み、のちの「見極める」作業に回せるようにしておく。

場所や状態を変える必要のないもの

インボックスに入れるかどうかを判断するためのいちばん確実な方法は、入れる必要がないものを知ることだ。通常、場所や状態を変える必要のないものは、以下の4種類である。

  • 備品
  • 資料
  • 装飾品
  • 設備

備品

日常的に使うので常に用意しておかないといけないものだ。文房具、名刺、切手、ホチキス、付箋紙、メモ帳、ペーパークリップ、ボールペンの替え芯、電池、ときどき記入する必要がある専用の用紙、輪ゴムなどがこれにあたる。

職場の引き出しの一つにデンタルフロスやティッシュ、ミントなどの「個人的備品」を入れている人もいる。

資料

必要な情報として手元に置いておきたいものである。ソフトウェアのマニュアルや外食店の出前のメニュー、子どものサッカーのスケジュールなどがある。

また、社内の内線番号のリスト、電話番号や住所、プロジェクトやあるトピックに関連した情報、辞書や事典、会社の記録をまとめたバインダー、とつておきたい書籍や雑誌なども含まれる。

装飾品

家族の写真、工芸品、ボードにとめておく小物など。プレートや記念品、植木なども含まれる。

設備

電話、パソコン、プリンター、スキャナー、ゴミ箱、オフィス家具、時計、充電器など。

 

上記の4種類に分類されるものはあなたのまわりにもたくさんあるはずだ。基本的には、それらについて行動を起こす必要はない。こういったもの以外はすべてインボックス行きだ。

ただ、この4つに分類すべきかどうか迷うものもあるだろう。

そんなときは、現在望ましい状態にないものでら力C衛ヨを通一」I)たいと田0っているかどうか」で判断するといい『側がしらの行動を起こしたいものは、すべてインボックスに入れてしまおう。

たとえば、ほとんどの人は引き出しや棚、パソコンのフアイルなどに、古くて役に立たない資料や情報、別の場所に保管すべき資料などを放置している。これらはインボックスに入れるべきだ。

備品の引き出しが満杯になっていたら、もう使えないものや整理しないといけないものがあるか確認してみよう。

飾っている子どもの写真は古すぎないだろうか。見飽きたポスター、とっておかなくてもいい記念品はないだろうか。

適切な場所に設置されていないオフィス家具、セットアップがいまいちなパソコン、しなびた植木などもあるかもしれない。

それがなんであれ、あるべき場所やあるべき状態にないものはすべてインボックスに入れていく必要がある。

把握するステップで起こりがちな問題

気になることを把握する作業を行なっていると、次のような事態に直面することがある。インボックスの受け皿である書類受けに入りきらない。処分や整理を始めてしまい、把握する作業が進まない。

すでに何らかのかたちで「把握する」と「整理する」が済んでいるものが出てくる。目の前に置いておきたい重要なもので、インボックスに入れたくない。

大きすぎて書類受けに入らなかったら

書類受けに入れるのが物理的に不可能なものは、A4の紙にメモを書いて入れておくといい。

たとえば、それがオフィスのドアに貼ちてあるポスターなら、「ドアのポスター」と書いて入れておけばいい。

このとき、必ず日付も書いておくようにしよう。こうしておけば、いつのものかすぐわかるからだ。

アシスタントに渡す付箋紙や、留守電メッセージや電話の内容を書いたメモなど、自分が書いたものには日付を書く癖をつけておくと、何かと役に立つはずだ。

デジタルツールの場合、日付を記録できる機能があればそれを利用するとよいだろう。

厚みのある書類は?

書類受けを占拠してしまいそうな分厚い書類が出てくることも多いだろう。そのようなものは書類受けのまわりに積んでおこう。床に置いてもかまわない。

これらもすべて、「見極める」ステップと「整理する」ステップで適切に処理されていく。ただし、これらがインボックスの中身であるとわかるように、何か目印を付けておくこと。

ゴミは?

見つかったものがゴミならもちろんすぐに捨てることだ。私のクライアントの中には、引き出しの中のものを捨てたのは初めて、という人もいた。

捨てるかとっておくか迷ったときには、とりあえずインボックスに入れておいて「見極める」作業のときに判断すればいい。

いちばんまずいのは判断に迷って「把握する」作業が滞ってしまうことだ。

インボックスに入れておけば、あとで必ずチェックするわけだし、この種の判断は「見極める」ステップで行なうほうがスムーズにできる。

「把握する」ステップの目的は、すべてをすみやかにインボックスに集め、「臨戦態勢」を整えることにある。

整理したくなったら?

職場や家のさまざまな場所をチェックしていると、整理したいという衝動が湧いてくることも多い。十分な時間があるならそれでもかまわないが、そうなると最低でも1週間は必要だろう。

整理したい衝動が湧いてきたら、その場で整理せずにちょっとしたメモとしてインボックスに入れるようにしよう。

たとえば、「キャビネットの四つの引き出しを総点検する」「オフィスのクローゼットを片付ける」といった具合だ。

細かい部分にとらわれてしまうと、作業はいつまでたっても終わらない。この作業はあなたが想像している以上に時間がかかるので、なるべくすみやかに行ない、次のステップに移れるようにしよう。

すでにリストがあって、整理が済んでいているものはどうする?

自分で独自の整理システムを構築し、すでに整理されたリストを保管し地得る人もいるだろう。

しかし、そのワークフロー管理が完全に自分のものになっているのでなければ、それらのリストも見極める必要があるものとしてインボックスに入れることをおすすめする。システムは1つに絞り、全てを同じ基準で判断していくことが重要だ。

重要なものが出てきたときは?

「把握する」作業をしていると、「あ、忘れていた。今すぐやらないと―」という書類やメモが出てくることが多い。

2日前にかけるはずだった電話のメモや、とっくにやっておかないといけないはずのものが出てきたりする。

そうしたものは、ほかのものといっしょにしてインボックスに入れることに抵抗があるだろう。また忘れてしまうかもしれないからだ。

そうしたときにはまず、本当にこの作業が終わるまで待てないかを考えてみよう。もし待てないのなら、その場でやってしまって頭から追い出してしまうといい。

この作業が終わってからでもかまわないものはインボックスに入れてしまおう。

インボックスの中身は「把握する」ステップが終わりしだい見極めていくので、また埋もれてしまうという心配はない。

すぐにはできないが、どうしてもリマインダーが目に入るようにしておきたいものは、手近なところに「最優先コーナー」を作って積んでおいてもいい。ベストなやり方とは言えないが、とりあえずはこれでいいだろう。

「把握する」作業の中で気になることに向き合うと、必ず何らかの不安材料が出てくるものだ。うまく対応していけるようにしよう。

まずはデスクの上から

準備ができた人は、デスクに載っているものを眺め、先に挙げた四つの種類に当てはまらないものをどんどんインボックスに入れていこう。

インボックス行きのものはたくさんあるはずだ。デスクの上そのものをインボックスにしてしまっている人は多いが、そこに書類が積まれていたら仕事にならない。

まずはそこから始めて、残らず片付けていこう。

おそらく次のようなものが出てくるはずだ―郵便物、走り書きしたメモ、報告書、雑誌、付箋紙、名刺、レシピ、会議のメモ……。

「これはここに積んだままにしておこう」という心の声に耳を貸してはいけない。

その声に従った結果が今の状態だ。全部インボックスに放り込もう。

私の経験からすると、デスクの上の見慣れたものをインボックスに入れてみて、気分爽快にならなかったという人は1人もいなかった。

デスクの上を片付けていて文房具やツール類が目に入ったら、そのまま使うべきかどうか考えてみよう。

モバイル機器や電話、パソコンは今のものでいいだろうか。デスク自体はどうだろう。新調したいものがあれば、メモに書いてインボックスに入れていこう。

デスクの引き出し

次は引き出しだ。一つずつ片付けていこう。注意や行動が必要なもの、そこに入れておくべきではないものはあるだろうか。

その場でこの作業ができればそれに越したことはないが、もし時間がなかったり、あまりに多くのものがそこにあったりする場合は、単に「引き出しを片付ける」とメモに書いてインボックスに入れておこう。

サイドデスクなどの上

サイドデスクやカウンター、キャビネットの上に片付いていないものが載っている人は、それらもインボックスに入れていこう。

雑誌や郵便物、報告書、雑多なファイル、今携わっている作業に関する参考資料などがあるはずだ。

もう用が済んで単に放置しているだけの資料があれば、フアイルのキャビネットや本棚に戻してあげよう。

この作業は数秒で終わる。ただし、それらに関してするべき作業が残っていないかを考えること。そういうものがあればインボックスに入れて、のちの「見極める」作業に回していこう。

キャビネットの中

お次はキャビネットの中身だ。キャビネットは、大きな備品や資料、使用頻度の低いものを入れておくのにこの上なく便利である。壊れた備品や、古い書類・資料が見つかるかもしれない。

私のクライアントの場合はたいてい、記念品としての意味しかなくなったものがごろごろ出てくる。

保険会社のある部長は、長年溜まった表彰状の類が、ちょっとしたゴミ箱がいっぱいになるほど出てきた。ここでも今は手に負えないものが出てきたら、例によってメモしてインボックスに入れておこうc

床、壁、棚

壁のボードに貼ってあるもので行動を起こしたいものはあるだろうか。逆に、壁に貼っておく必要がなくなったものはないだろうか。

写真や工芸品、記念プレート、装飾品はどうだろう。書棚もチェックしよう。読まない本や寄贈したほうがいい本はないか。

カタログ、マニュアル、バインダーで用済みのもの、もしくは何かしらの行動が必要なものはないだろうか。床に積んであるものがあれば、インボックスの横に移動させるといいだろう。

設備、家具、取り付け品

職場の設備やオフィス家具、あるいは空間そのものに関して、変えたいところはあるだろうか。すべてがうまく機能しているか考えてみよう。照明は今のままでいいだろうか。

行動を起こす必要があるものを見つけたら、どうすればいいかはもうおわかりだろう。メモしてインボックスに入れてしまおう。

その他の場所

どこまで範囲を広げるかにもよるが、ほかにも「把握する」作業をしたい場所がある人もいるだろう。頭を完全にすっきりさせたいのなら、あらゆる場所について作業を行なっていこう。

私が経営者を指導するときに、彼らの自宅や会社以外の仕事場まで出向いて「把握する」作業を手伝うこともある。その効果は素晴らしいもので、彼らは非常に喜んでいた。

「それほど重要ではないだろう」と放置していたせいでストレスになっていたものをたくさん発見できたからだ。

把握する作業は不用品大処分ではないことに注意

「必要最低限のもの以外は何もかも捨てる」ことを「把握する」作業であると勘違いしてしまう人が非常に多いのだが、そうではない。逆に、捨てることに抵抗があるのならば、なるべく取っておくべきだ。

そうではないと、「捨ててしまったものが実は必要なものだったかもしれない・・・」とという考えに支配されてしまうからだ。

こうした雑念にとらわれないように、何を捨てて何をとっておくべきかを適切に判断し、システマチックに整理していくべきである。私自身は、デジタル写真などはとっておくほうだ。

要は、保管スペースが十分にあり、関連するプロジェクトやとるべき行動の足を引っ張らないように適切な分類ができてさえいれば、何をとっておいてもよいのだ。

あなたは、溜まりに溜まった雑誌のバックナンバーや大学時代の授業ノートなどをとつておきたいタイプだろうか?ちょっとしたおもちゃや工芸品、小道具をオフィスに置いておいて創造力を掻き立てたいタイプだろうか?もし、そうなら自由にするといいだろう。

それが適切なかたちで配置されており、それについてすることは何もないという、整理された状態になっていれば何の問題もない。

頭の中での「把握する」作業――意識の大掃除

物理的なものを「把握する」作業が終わったら、頭の中に残っている「気になること」も把握したくなるはずだ。今、インボックスに入っていないもので、気になっていることはあるだろうか。

ここで大量に用意しておいたメモ用紙の出番である。

私がお勧めするやり方は、心にひっかかっている考えやアイデア、懸案事項を、1枚の紙に1件ずつ書き出していく方法だ。

1枚の紙に長々とリストを書くのも悪くはないが、そのあとの「見極める」作業を考えると、個別に書いていったほうが効率がいい。

頭の中にある「気になること」のすべてを集めて把握して紙に書き出していくには、20分から1時間くらいかかるだろう。

おそらく、小さなことや大きなこと、プライベートなことや仕事に関することがランダムに浮かんでくるに違いない。

ここで大事なのは、量に重点を置くことだ。取りこぼすくらいなら、やりすぎたほうがいい。不要なものはあとで捨てられる。

最初に「オゾン層を守るために何かできないか」という考えが浮かんできて、次に「キャットフードが切れそうだ」という考えが浮かんでくるかもしれない。

それらをすべて記録しておこう。分厚い紙の束がインボックスに載るかもしれないが、気にすることはない。

トリガーリスト

頭の中をすっきりさせるには、「気になること」を思い出すきっかけ(トリガー)があると便利だ。以下のリストを用いて、忘れていることがないかチェックするといい。

意識の奥に眠っていることも、ちょっとしたきっかけで掘り起こされることがある。何か思い浮かんだら、紙に書いてインボックスに入れていこう。

気になることを思い出すためのトリガーリスト

 

 

 

インボックスにあるもの

仕事とプライベートで気になっているあらゆることを頭から追い出していくと、インボックスにはありとあらゆるものがうず高く積まれていくはずだ。

これらに加え、留守電のメッセージ、受信箱にあるメール、システム手帳やデジタルの管理ツールにあるタスクリストも同様にインボックスに入れるものとして扱うべきだ。

留守番メッセージの内容は紙に書き写し、インボックスに入れることをおすすめする。最近見直してないシステムシステム手帳があれば、それも入れてしまおう。

ToDoリストがあれば、それも印刷してインボックスに入れるといいだろう。ただし、メールだけはソフトウェアに残しておいたほうがいい。量や機能性を考えると、そのほうが効率的だ。

インボックスは一時的な保管場所

全てを把握することができたら、次のステップに進もう。インボックスに入ったものがそこに残り続けていれば、それが片付いていないという意識が生じて頭の中に逆戻りしかねない。

多くの人が「把握する」作業に抵抗を感じる最大の理由の一つは、次に説明する「見極める」ステップと「整理する」ステップの優れたノウハウをもっていないことにある。次章では、そうしたノウハウを伝授していこう。

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