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第6章「信頼性」を磨くことこそが究極の時間術

私が提供している営業プロフェッショナルプログラム(目標達成研修)の中では、仕事ができる人が持つ目標達成力を3つの要素に分解し、次のように公式化しています。

目標達成力=「継続性」×「戦略性」×「信頼性」さらに、この目標達成の3要素それぞれを2つずつの要素に分解し、次のように公式化しています。

  • 「継続性」=「情熱」×「使命感」
  • 「戦略性」=「計画力」×「実行力」
  • 「信頼性」=「人格」×「能力」

実は本書では、第1章で「継続性」を高める方法を、第2章〜第5章で「戦略性」を高める方法を解説してきました。しかし、この3要素の中で仕事の結果に及ぼす影響度が一番高いのは、「信頼性」です。

つまり「信頼性」を磨くことこそが、究極の『仕事ができる人の最高の時間術』と言えます。

『7つの習慣』の著者であるコヴィー博士の長男、スティーブン・M・R・コヴィー氏の著書『スピード・オブ・トラスト』(キングベアー出版)には、『「信頼」がスピードを上げ、コストを下げ、組織の影響力を最大化する』というサブタイトルがつけられています。

実際、あなたが、顧客やビジネスパートナーや上司や同僚や部下などから「信頼性」の高い人だという評価を獲得することができれば、社内外の協力を得やすくなり、「ROT(仕事生産性)」は飛躍的に高められることでしょう。

私は営業マン時代にクライアントから、私が所属する部署だけでは解決できない課題について相談を受けたことが何度かありました。

そんなときは、課題を社内に持ち帰り、他部署の責任者に相談していましたが、断られたり、非協力的な対応をされたりすることは一度もありませんでした。

一方、同じような顧客課題を別の営業担当が持ち帰って相談しても、前向きな対応をしてもらえないことも数々目にしてきました。

なぜこのような違いが起こるかというと、私の場合、「あいつなら大きな商談にして受注してきてくれる」「あいつなら何かあっても責任を擦りつけたりしない」という営業担当としての「信頼性」があったからに他なりません。

『スピード・オブ・トラスト』では、その「信頼性」を高めるために必要な要素として「信頼性の4つの核」という概念を紹介しています。

「信頼性の4つの核」とは、「自分を信頼し、他者に信頼される人間になるための基本要素」です。

  1. 第1の核……「誠実さ」
  2. 第2の核……「意図」
  3. 第3の核……「力量」
  4. 第4の核……「結果」

「誠実さ」と「意図」が「人格」に関わる要素で、「力量」と「結果」が「能力」に関わる要素と言えます。それではそれぞれの「核」を説明します。

第1の核の「誠実さ」は、「言行一致」という意味です。「誠実」という漢字は、「言偏」に「成す」「実らせる」と書くように、「言ったことを成す人、実現する人=言行一致」というのが本来の意味です。

逆に「言行不一致」だと、「不誠実」な人という評価を受け、「信頼性」を獲得することができません。

ここ数年で多くの政治家や芸能人が自らの「信頼」を失墜させましたが、それらはすべて「言行不一致」な言動が問題視されたためだったように思います。「信頼性」の高い人には、この「誠実さ」が土台にあります。

私自身は、人に対して「お世辞を言う」ことや「媚びを売る」ことは一切しません。また、本書でも、自分自身が実践していないことは一切書いていません。

例えば、「朝5時に早起きして仕事をする」などは、やったほうが良いことではありますが、自分にはできないことなので、「言行不一致」になるため書いていません(苦笑)。

まず、自分自身に対して誠実でなければ、人から「信頼性」を認めてもらうことなどできないと考えています。

第2の核の「意図」は、「WinWinの意図(健全な動機)」のことだと私は解釈しています。

「WinWin」とは、「相手をWinさせて、自分もWinする」という考え方で、まずは相手のことを理解し、尊重する姿勢が大切です。

「相手の実現したいことや解決したいことが何なのか」を常に把握しようとする姿勢を持ち、自分が何を与えられるかを考えることができれば、あなたの「信頼性」は高まるでしょう。

「もらえるから与える」という「Give&Take」とは違って、「相手に先に与える」ことを考えるところがポイントです。

第3の核の「力量」には、「才能、知識、スキル、資格」などが含まれます。当然ながら、これらは「希少性」の高いもののほうが「信頼性」も高まります。

ただし、1つの「力量」だけで希少性を高めることは難易度も高いので、私は「掛け算」で希少性を高めることを戦略的に行ってきました。

私は、フランクリン・コヴィー・ジャパン社の認定コンサルタント(講師)ですが、この資格のある人は、日本に十数名しかいません。

他にも、米国パッションテスト認定ファシリテーター、原田メソッド認定パートナーなどの講師資格や脳科学・心理学の資格を複数保有しており、これらを「掛け算」すれば、自ずと私は日本でオンリーワンの存在になります。

ナンバーワンになる難易度は非常に高いですが、オンリーワンとしての「希少性」であれば、誰にでも実現可能です。

あなたがどの「掛け算」でオンリーワンの存在を獲得したいのか、改めてその「戦略」「戦術」を見直してみてください。

第4の核の「結果」とは、あなたの「実績」そのもののことです。

この「実績」については、できる限り「数値化する」ことをおススメします。

私の場合は、営業のプロフェッショナルであることを端的に伝える必要がありましたので、これまでは「リクルートグループで会社記録となる7半期連続営業表彰記録を樹立したこと」などを伝えてきました。

また、あなたの「実績」をどのように伝えるかという「マーケティング戦術」についても同時に考えておく必要があります。

あなたがどれだけ素晴らしい「結果」を出してきた人であっても、それが周囲に伝わらなければ、「信頼性」を高める上では意味がないからです。

クライアントや上司が変わったときは特に、「力量」と「結果」を意識して伝える必要があります。私の場合、名刺の裏面に、「力量」と「結果」が分かる自己紹介を掲載しています。

また、「人格」あってこその「能力」であることも、つけ加えておきます。「能力」がいかに高くても、「人格」レベルがゼロであれば、「信頼性」もゼロです。

最後に改めて、「信頼性」を高めるために必要なことを公式化しておきます。

  • 「信頼」=「人格」×「能力」(「人格」>「能力」)
  • 「人格」=「誠実さ」×「意図」
  • 「能力」=「力量」×「結果」

このように書くと、簡単そうに思うかもしれませんが、一朝一夕に高めることができないところが「信頼性」の難しいところです。

信頼を失うことは一瞬でできるにもかかわらず、構築することには相当な時間の「投資」が必要になります。

「心技体」を磨き続けることを「習慣化」する以外に、その近道はないと私は信じています。

目次

コラム信頼される「質問力」

私は、これまで、コンサルタントとして、数多くのトップセールスとお会いする機会に恵まれました。その過程の中で分かったことがあります。

それは、ハイパフォーマーとローパフォーマーの違いは、「提案力」ではなく「質問力」にあるということです。

営業に限らず、「仕事ができる」と言われる人は皆、「質問力」を武器にしています。「仕事ができる」というのは、「良質なアウトプットができる」ことと意味合いは同じです。

「良質なアウトプット」というのは、「上司や顧客から依頼された仕事に対して、その期待を超えるアウトプットを行うこと」です。

そして、この「良質なアウトプットができる」ためには、「良質なインプットができる」ことが前提条件になります。

「質問力」が低く、上司や顧客のことを深く正しく理解できてない状態では、「良質なアウトプット」は難しく、「仕事ができる人」だという評価も得られません。

そこで、ここでは、上司や顧客から仕事に関する相談や依頼をされたときに発揮すべき「質問力」のポイントをお話しします。まず、「質問力」は、「傾聴力」があってこそのスキルだということを理解する必要があります。

「傾聴力」とは、「こちらの聞きたいこと」を「聞く(Hear)」のではなく、「相手の言いたいこと、伝えたいこと、願っていること」を「聴く(Listen)」力のことです。

会話においては、自分が20%、相手が80%の割合で話すことが大切です。そうすることで、会話の主役として相手を引き立てつつ、自分が主導権を握って会話を進めることができます。

「傾聴力」があれば、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう導くことができ、結果的に信頼を獲得しやすくなります。

この「傾聴力」については、カウンセリングの父と呼ばれる米国の心理学者カール・ロジャース博士が提唱した「クライアント中心療法」の「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」の方法が大いに参考になります。

彼は、クライアントの悩みごとに対して、カウンセラーがクライアントに指示して解決に向かわせる「カウンセラー中心療法」から、クライアントの話を「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」することで解決に向かわせる「クライアント中心療法」にカウンセリングの中心をシフトさせました。

この背景には、「世の中の悩みごとの60%は、話を聴いてあげるだけで解決する」という研究結果がありました。

【アクティブ・リスニング(積極的傾聴)】

  1. ①繰り返す
  2. ②まとめる
  3. ③気持ちをくむ

「質問力」を発揮する上で必要不可欠なのが「事前準備」です。

事前に相手のことを調べ、質問や仮説を持っておくことは、時間をいただいている以上、最低限の礼儀とも言えます。また、「事前準備」をしたほうが、効率良く効果的な質問ができることは言うまでもありません。

最後に、私がコンサルタントとして活用している2つの効果的な質問を紹介します。私自身、この2つの「質問力」だけで、トップコンサルタントの地位を獲得したと言っても過言ではありません。

【効果的な2つの質問】

①相手の「目的」を明確にする質問

  • 「そもそもこの目的は?」
  • 「このことによって、どのようなことを解決したいのですか?」
  • 「このことによって、どのようなことを実現したいのですか?」

②相手の「動機」を明確にする質問

  • 「どうしてそれを始めようと思ったんですか?」
  • 「なぜそう思ったんですか?」
  • 「どうしてそんなにそれが好きなのですか?」

また、「事実」と「感情」を分けて確認することの重要性も改めてつけ加えておきます。

「事実」については、客観的事実を押さえ、相手がその「事実」をどう捉えているかという「感情」とは切り離して理解するように心掛けましょう。

おわりに

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

最後に、本書の内容をそのまま実践したことによって起こった、私の奇跡を紹介して終わりたいと思います。

2016年12月14日、私は、横浜商科大学の尾野裕美先生が担当する『人的資源管理論』の中で、特別講義をする機会をいただきました。

特別講義のタイトルは、『しくじり先生~使命を蔑ろにして、厄年にほぼすべてを失っちゃった先生~』。……私は39歳のときに、全財産を失うという人生最大のしくじりをしました。

当時、個人事業主としては早々に成功していた私は、なんとなく現状に満足し、「目標」を見失い本業を疎かにし始めていました。

自分のビジネスと並行して、数年前に脳梗塞で倒れた父から急遽引き継いだ会社も経営していましたが、その会社は業績不振にあえぎ、リストラを開始。途中からは、自分の給料もカットするようになりました。

そこで私は自分の給料を補填するために、もともと自信のあったネットトレードにさらにのめりこむようになりました。まさに、時間の大半を「消費」する毎日でした。

そんな中、取引先の倒産、投資詐欺、社員の裏切りなどが立て続けに起こり、半年間で約1億円のキャッシュを失うことに。それが当時の私の全財産でした。

自分の給料をカットし、愛車を売却してまで社員の給料を支払っていたので、社員の裏切り行為には特に心を痛めました。また、その間、身内やお世話になった上司の死なども重なり、心身ともにボロボロになりました。当時、私には2歳の息子がいました。

私は、1日500円で過ごさなければならない生活に転落し、毎朝、牛丼チェーン店の朝定食でお腹を満たしていました。

その定食についている味つけのりだけは食べずに残して、味つけのりが好きな息子のためにこっそり持って帰るような惨めな日々を送りました。ただ、ある日、ふと妻が、私を責めるでもなく、このように言ってくれました。

「正直、投資で一喜一憂していたパパはカッコ悪かったよ」バカなことに時間を「消費」していた自分、自分のやりたくないことで失敗し、窮地に陥った自分、そして、たった1回の大失敗でくじけそうになっている自分を恥ずかしく思いました。

そして心を新たにした私は、「ミッション・ステートメント」にこう書き、絶対に再起することを心に誓ったのです。

「私の使命は、家族から最高にカッコ良いパパだと思われることである」「私の使命は、人は何歳からでも変われる、成長できることを自ら体現することである」……奇しくも、横浜商科大学での特別講義を終えた夜に、初めて『パッションテスト』を体験する機会に恵まれました。

そのときに描いた5つのパッションは、本書で紹介した通りです。そして、たった1年でそのほとんどを実現することができました。

あの日から1年足らずで、自分の本が書店に並ぶことになるなんて、私ですら信じがたい気持ちになります。私が本書を仕上げるために「投資」した時間は、約3ヶ月間(約200時間)です。

この3ヶ月間、私は、2つの新規事業も立ち上げています。

また、プライベートでは、長年の夢だった「M−1グランプリ」の予選への出場も果たし、プロの芸人さんと同じ舞台で漫才をさせていただく贅沢な経験を味わいました。

さらに、実家の両親やタイに住む妹と一緒に、9日間のハワイ旅行に出掛け、久しぶりに家族全員での旅行を満喫することもできました。

これらを実現できたのもすべて、本書にある時間術のおかげです。ここ数年のさまざまなピンチがあったからこそ、私は本書を書くチャンスと権利を得たのだと思います。

もし、あなたが今、3年前の私と同じ境遇にあるのであれば、本書があなたの勇気になることを心から願います。

尚、本書のメソッドは、『7つの習慣』『パッションテスト』『原田メソッド』の3つがベースになっています。

私は、それぞれの認定資格を持っていますので、これらを体系化して、1冊の本にすることができるのは、世界で私だけだと自負しています。

ただ、それぞれが素晴らしいメソッドなので、ぜひ個別にも深く学習されることをおススメします。

最後に、この本があなたの元に届けられるまでに関わってくださったすべての方に感謝申し上げます。

まず、日本に数多く存在する営業コンサルタントのひとりでしかなかった私に可能性を見出し、本書の企画・編集を担当してくださった明日香出版社の久松圭祐さんに心から感謝いたします。

さらに、久松さんとの出会いの機会を提供してくださった出版プロデューサーの吉田浩さんとジャイアン出版塾の皆様にも御礼申し上げます。

尚、本書の校正については、私の大切なビジネスパートナーに「任せる」ことにしました。

「社長の右腕代行」の久保田亮一代表、コラボオフィスメンバーでもある「未来型TOEICアカデミー」の鈴木真理子代表にご協力いただきました。

いつも本当にありがとうございます。

また、上場企業の経営者でありながら、いつも気さくに接してくださり、私自身が生き方のお手本とさせていただいている株式会社エスクリの岩本博会長、3年前、失意のどん底にいた私の絶望を希望に変えてくださった情熱経済人交流会パッションリーダーズの代表理事でもある株式会社ネクシィーズグループの近藤太香巳社長にも御礼申し上げます。

そして、リクルートグループに転職した当初、ただの未熟な営業マンだった私に、「売れる」魔法をかけてくださった当時の上司で、現在はソフトバンクグループ常務執行役員の青野史寛さん、私の退職後も定期的にいつも的確なアドバイスをくださるリクルートワークス研究所副所長の中尾隆一郎さんにも御礼申し上げます。

尚、株式会社マイナビ取締役の山本智美さんには、本書のメソッドのベースになっている社員教育プログラム「営業プロフェッショナルプログラム」を先行導入いただくなど、多大なるご支援をいただきました。

本当にありがとうございます。

他にも、私という人間の育成に関わってくださったすべての上司・先輩・お客様に、この場を借りて御礼申し上げます。

ありがとうございました。

皆様からいただいたものは必ず、これからの社会のために使わせていただきます。

妻と息子には、本当に精神的に支えてもらいました。

存在そのものに感謝しています。

執筆期間は少し我慢してもらったものの、遊びたい盛りの息子との時間をしっかりつくることができているのも、本書の時間術によるところが大きいです。

また、それには、安心して「任せる」ことができる妻の存在が大きかったことは言うまでもありません。

いつもありがとう。

また、自分が子育てをするようになり、親がどれほど多くの時間を子供に「投資」しているのかに気づくことができました。

その愛の偉大さに改めて感謝の気持ちが湧いています。

お父さん、お母さん、本当にありがとう。

そして、最後まで貴重な時間を「投資」して、本書を読んでいただいたあなたに、改めて心から感謝申し上げます。

ありがとうございました。

私たちの人生において、起きている時間の約3分の2は仕事の時間です。仕事の時間に「投資」しているのか、それとも「消費」されているのか。

この2つは、大きな違いを生み出します。

仕事の「時間の使い方」を変えることは、あなたの「生き方」そのものを変えることです。あなたの人生がより良い方向に向かうことを心から願い、そして信じています。一度きりの人生を贅沢に生きるための最高の時間術。あとは、あなたが、やるかやらないかだけです。

2017年12月田路カズヤ

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