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第4章残業沼から抜け出す「ちょいスイッチABC」

95%社員と5%社員は何が違うのか?ビジネスパーソン約2万人を対象にした調査とAIによるデータ分析で「行動と成果の〝違い〟」を生み出す原因を究明しました。

そこで、まじめに仕事に向き合っているけれど評価されない95%社員は、3つのパターンに分かれることがわかりました。

①「スロースタート」パターン・取りかかりが遅く、ギリギリになって間に合わないことを自覚・困って初めて周囲に助けを求めるため、相手に迷惑をかけてしまう・周囲の力を借りて期限には間に合うが、ヘトヘトになって次の仕事へのスタートが遅れる②「慎重さが負の連鎖につながる」パターン・物事を進めるときは、納得いくまで丁寧に調べる。

気になったら途中でまた調べる・確認と修正を何度も繰り返して前へ進まない・その後も悩みながら仕事をすることになり、処理スピードが落ちる・期限に間に合わせるために、最後の詰めが甘くなり、品質にムラがある③「スタートダッシュで息切れ」パターン・モチベーションが高いときは、スタートダッシュをきることに成功・作業を進めるとさらに士気が高まり休むことなく続けられる・しかし途中で体力と精神力が尽きて休み、回復に時間がかかって進捗が遅れる・そのペースで作業を続け、気づいたら期限が過ぎている一方、各社の5%社員には、複数の共通点がありました。

5%社員に共通し、かつ95%社員にはない特異点は、次の6点です。

①仕事を受けてから初動までが早い②相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる③ゴールから逆算して、必要最低限のプロセスを決める④プロセスにおける作業を小分け(細分化)⑤長時間作業をせず、こまめに休憩する⑥期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早いまた、この6つの行動を誘発するトリガー(きっかけ)を追求したところ、トリガーとなる「3つのスイッチ」を発見しました(後述)。

ではまずは、それぞれの特異点について、具体的にみていきます。

トップ5%社員の6つの特異点特異点①~④は、「仕事の事前準備」にまつわることです。

①仕事を受けてから初動までが早い5%社員の決定的な特異点は、初動が圧倒的に早いことです。

仕事を受けてから間髪入れずにすぐスタートします。

②相手(上司や顧客など)とアウトプットのイメージを合わせる初動が早い5%社員ですが、いきなり手を動かして作業するのではなく、アウトプットのイメージを明確にします。

5%社員は、アウトプットの品質に齟齬があると修正に時間がかかり、評価されないと考えているからです。

たとえば設計図面であれば、提出先に質問をして完成イメージを合わせてから実作業に入ります。

③ゴールから逆算して、必要最低限のプロセスを決める納品先の相手とイメージが合ったら、期限から逆算して必要最低限のプロセスを組みます。

「あと何日で〇〇を終えておく」、といった手順をつくっていたのです。

④プロセスにおける作業を小分け(細分化)プロセスが明確になったら、作業を小分けにして(細分化)、隙間時間や移動時間でも処理できるようにしていました。

5%社員は、このようにして仕事の準備を整えています。

そして特異点⑤~⑥は、「作業中」に関連することです。

⑤長時間連続作業をせず、こまめに休憩するゴールとプロセスがクリアになったら、集中力を維持して作業をします。

ゾーンに入るような感覚で神経を研ぎ澄まし、質の高い仕事を短時間でこなしていきます。

そして、集中力を維持するために、それを邪魔する要素を断ちます。

イライラせず、また深く悩まず集中した時間を継続させていました。

また集中した時間を何度も持てるように、95%社員よりも頻度多く休憩を入れていました。

⑥期限より少し早く完了させて、次の仕事の初動も早い5%社員は、仕事を期限ギリギリで終わらせるのではなく、時間に少し余裕を持たせて完了させます。

期限ギリギリで仕上げようとすると、チェック時間を十分に設けることができず、作業ミスを見逃してしまうからです。

また、期限直前で体力と集中力を使い切ってしまうと、次の仕事に取りかかるのが遅れてしまうからです。

5%社員は、複数のタスクを抱えていますが、同時に進めるのではなく、それらを一つずつこなしていきます。

一見非効率に思える進め方ですが、一つの仕事を完了させてから次の仕事に移るときの切り替えスピードが非常に早いため、効率よく仕事が進んでいきます。

この切り替えスピードを落とさないために、5%社員は期限に余裕を持って仕事を終えるようにしているのです。

トップ5%社員の時間術を「ちょいスイッチABC」で再現する前項で「5%社員に共通し、95%社員にはない6つの特異点」を紹介しました。

では、こうした「5%社員の6つの違い」を95%社員に再現するためには、どのようなトリガー(きっかけ)があればいいでしょうか。

それを解明すべく、AIと人間による膨大なデータ分析と行動実験を繰り返しました。

すると、ある3つのアクションをとれば5%社員でなくても作業時短を実現できることが明らかになったのです。

それは、作業を開始する前の2アクション(図中A・B)、作業中の1アクション(図中C)に分けられ、思った以上にすぐできるアクションでした。

このちょっとした3つのアクションは、それぞれの頭文字をとって「ちょいスイッチABC」と名づけました。

また、2万1659名の95%社員に小さなスイッチを押す感覚で、この3つのアクションを実践してもらったところ、89%の人から「時短効果を実感」との声を得られました。

ちょいスイッチABCで時短効果を得られる主な理由は、そもそも5%社員が「成果につながる仕事を見極めている」ということにあり、これは「成果につながらない仕事がわかる」という意味でもあります。

成果につながるかどうかは、やってみないとわからないタスクが多いのも事実です。

しかし5%社員は、「思考停止して惰性で仕事をすることによって、無駄な仕事が無駄でないように思えてしまうことが一番のリスクだ」と発言していました。

つまり、ちょいスイッチABCには、「仕事の無駄」をなくすコツが凝縮されていて、それが時短効果につながるのです。

ちょいスイッチAON/OFF過去の浪費を受け入れる「ちょいスイッチA」では過去をしっかり受け入れて、問題点を改善。

そして、今の自分を肯定します。

たとえば、5%社員のうち62%が過去に長時間労働を経験していました。

40代以上の5%社員の78%は努力と忍耐力で徹夜仕事をした経験があります。

その働き方は、「慣習に流され、成果を上げることを忘れた労働」とも言えます。

現代でそんな働き方を続けていては成果を上げることはできません。

しかし5%社員は、そんな過去を受け入れて学びとし、現在の働き方に活かしていました。

そのポイントは2つです。

①よかれと思って続けてきた浪費行動を否定せずに受け入れる②過去の浪費行動から改善ポイントを探す一見簡単そうに思えることですが、よかれと思って続けていた行動と向き合い、それを浪費行動として受け入れることは案外つらいものです。

また、向き合えたとしても過去を否定してしまうと自己嫌悪に陥り、仕事に手がつかず初動が遅れてしまいます。

自信がないと作業中に何度も修正作業を行い、処理スピードが落ちてしまうなど、どんどん悪循環にはまっていきます。

そうならないためにおすすめなのが「週に1回15分の内省」です。

5%社員は内省を習慣にしていて、過去のよかった点・悪かった点を元に、必要なタスクを見極めていました。

たとえば、よかれと思って作成した凝った資料が成果につながらなかった経験があれば、凝った資料の作成をやめます。

また、期限内に終わらせられないタスクは、相手を不快にさせないようにうまく断っていました。

このように過去の経験から、仕事の見極めをしているのです。

日々の業務に追われていると、「受け入れる」ための時間や心の余裕を確保することがなかなかできません。

内省を定例化して、過去を受け入れ問題点を改善、そして今の自分を肯定するようにしてみてください。

ちょいスイッチBON/OFF行動を早め、継続する仕組みをつくるちょいスイッチAが押せたら、そこでわかった問題を解決するための仕組みづくりをします。

ちょいスイッチBでは、初動を早めるルーティーンを確立する仕組みをつくります。

5%社員はやる気をあてにしていないので、体調に関係なく安定したパフォーマンスを発揮するための工夫を欠かしません。

たとえば、やる気を高める脳内ホルモンのドーパミンを分泌させる工夫や、体調管理のための定期的な運動などです。

しかし、そこまでしても彼らは臆病で、やる気がなくても体調が多少悪くても、仕事を始められる、しかも簡単にできる仕組みを確立していました。

それが仕事前のルーティーンです。

5%社員は、仕事を始める前にルーティーンとして、ワンステップもしくはツーステップの「儀式的な行動」をしていました。

「その儀式的な行動をすれば仕事をすぐに始められる」という自己暗示をかけているようです。

たとえば、5%社員へのヒアリングや行動を記録した動画から、次のルーティーンが確認できました。

・家庭菜園の花に水をあげてから仕事を開始する、在宅勤務の5%社員・豆のいい香りを嗅ぎながらコーヒーを淹れてから仕事する、在宅勤務の5%社員・会社近くの喫茶店で一杯の紅茶を飲んでから出社する5%社員・出社したら、まず机の上を片づけてからパソコンの電源を入れる5%社員・苦手な仕事を前にしたとき「何とかなるさ」とつぶやいてから取りかかる5%社員5%社員のルーティーンは、元メジャーリーガーのイチロー選手に似ていると感じました。

イチロー選手が打率を高めるためにバッターボックスで行う一連の動作です。

5%社員は、社長表彰などとなる結果を残していますが、最も評価されているのは「環境が変わっても成果を出し続ける」という点です。

そのためには、3~4割の成功確率でも行動量を増やす工夫をして、結果的に目標値を110%、120%にしています。

限られた時間で行動量を増やすには、「考えている時間」よりも「体を動かす時間」が多くなければいけません。

そこで5%社員は仕事に取りかかるまでの時間をできる限り短縮して、行動量を増やすルーティーンの仕組みをつくっていたのです。

仕事前のルーティーンは、ほかの95%社員にも効果があるとわかりました。

3871人に、仕事を始める前のルーティーンを決めてもらい、そのルーティーンをしてから仕事に取りかかるよう、4週にわたり行動実験を行いました。

すると68%の参加者が「以前よりも初動が早くなった」と答えました。

行動を起こすことを仕組み化して習慣にすると、仕事を始めるスイッチが入りやすくなることが判明したのです。

ちょいスイッチCON/OFF集中して継続する5%社員は当たり前のことを確実に実行します。

「目標達成には継続が必須だ」と考え、集中力を維持して重要なタスクをこなしていました。

しかし、時間・集中力・エネルギーは有限です。

5%社員は、限られた時間・集中力・エネルギーの中で、集中して作業を継続するために「感情コントロール」「作業ショートカットの実践」を徹底しました。

この2つが、ちょいスイッチCのポイントです。

①感情コントロール②作業ショートカットの活用(ITツールを使いこなす)ちょいスイッチAで重要な仕事が見えるようになり、ちょいスイッチBであれこれ悩まずにすぐに仕事を開始できるようになったら、やるべき重要なタスクの作業処理時間を短くして、制限内で仕事を完了させるだけです。

ちょいスイッチCは、ちょいスイッチAとBの仕組みをよりスムーズに動かす潤滑油のような役割を果たします。

ではさっそく、具体的な内容をみていきましょう。

①感情コントロール仕事は、「続けること」が重要です。

そのため、その邪魔となるイライラや精神的な苦痛はできる限り取り除きたいところです。

イライラしたり、不安を募らせたりすることは、感情エネルギーを浪費させます。

5%社員は、感情エネルギーの消費が「重要な仕事の邪魔」だと心得ています。

たしかに、常にモチベーション高く保って仕事することはできないので、イライラなど、不快な感情をコントロールして、仕事を継続させることが大切です。

②作業ショートカットの活用業務遂行能力を高めるために作業ショートカットは非常に有効です。

ここでポイントになってくるのは、「ITツール」の使いこなしです。

まず考えたいのが、「自動化」です。

パソコンやスマホで何度も繰り返している作業があるならば、それをITツールで自動化しましょう。

「ITツールで自動化」といっても、RPAやAIといった難しいことではありません。

パソコンのある作業をボタン一つで完了させたり、ITツールに元々備わっている便利な機能を使いこなしたりするだけです。

ZoomやSlack(スラック)といったITツールを導入する企業が増えていますが、それを思い通りに使いこなしている企業は限定的です。

485社にITツールの活用について調査したところ、「十分に使いこなしている」と答えたビジネスパーソンは、たった21%しかいませんでした。

すべての機能を使いこなしたり、覚えたりする必要はありませんが、自分の作業を短縮できる機能は確実に覚えて実践すべきです。

「文系だからITアレルギーがあって…」と避けたくなる人もいるかもしれませんが、それではもったいない。

水が飲みたいときにわざわざダムへ行かずに蛇口をひねるのと同じで、ITツールの習得は、蛇口のひねり方さえ学べばすぐに水が飲める程度の難しさで済むからです。

5%社員の中にもITアレルギーを持っている人がいましたが、目標達成を第一に考える彼らは、業務を完了させるためにひたむきにその実現手段を探していました。

闇雲にIT関連の書籍を読むのではなく、改善点をインターネットで調べたり知人から教えてもらったりして、「まず試してみる」を繰り返していました。

5%社員は、そういった行動を積み重ねることについて「たくさん覚えてたくさん実践しようとすると、精神的なハードルが高くなり行動しなくなるリスクが高まる」と言っていました。

そこで、「ちょっとしたコツを覚える」→「実践」→「効果を得て満足度を上げる」を繰り返します。

行動して満足感を得られれば、新たな効率化ツールを探すための原動力が湧いてくるのです。

この繰り返しがITツールを「知ること」ではなく「使いこなすこと」へと導いてくれます。

以上が「ちょいスイッチABC」の概要です。

次章では実践編として、さまざまな課題に即して「ちょいスイッチABC」の具体的なアクションを解説します。

 

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