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第4章仕事の加速度を上げる人間関係のつくり方

言葉よりも「プロトタイプ」でやりとりせよコミュニケーションは、コストにもメリットにもなります。

第1章のメールのところでも紹介したように、ムダなコミュニケーションは何も生み出しませんが、プラスに働けば、一足飛びに大きな結果を生み出すこともあります。

本章では、そうしたコミュニケーションや人間関係に目を向けてお話しします。

まずは、目の前のコストから解決していきましょう。

第1章で、日程調整ならカレンダーアプリ、議事録ならその場でみんなで作成するなど、メールではなく現物でやりとりをして仕事を速く進める方法を紹介しました。

こうした、言葉ではなく「試作品」でやりとりする方法を「プロトタイプシンキング」と言います。

プログラマーの世界では、「ここにこういう機能をつけて……」と説明するよりも、実際にそのプログラムをつくってしまうほうが速いことが結構あるのです。

なぜなら、プログラムを発注した側は、プログラマーから「こんなプログラムですよ」と言われたところで、実際に見てみないと具体的なイメージがわかりません。

プログラムが完成したところで「これじゃなかった」ということでは困るので、先に簡単なプロトタイプ(試作品)をつくって、それを見てもらうわけです。

こうすると、それぞれの認識の違いがなくなるので、やり直しもなく、仕事がスムーズにいきます。

このやり方は他の仕事でも応用できます。

たとえば、仕事の依頼があった場合、こちらから何点か質問をした後、「つまり、こういう感じではないですか?」というドラフトを描いて、見せてしまうのです。

そこで、「これは違う」とか、「そうそうそんな感じ」という感触をつかんでおけば、その後、やり直しを命じられたり、ムダな仕事をすることもなく、最短で仕事が進められます。

モティファイという会社を僕と共同設立したグスタボー・ドリーは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科出身のデザイナーなのですが、彼は打ち合わせ中でも、すぐにA4の紙を持ってきて、「こういうことなんじゃない?」と自分なりの図を描き始めます。

すると打ち合わせが終わったときには、もうほとんどイメージができあがっているのです。

もちろん、スライドに書き込んで、みんなで共有してもよいでしょう。

すると、次のアウトプットも、お互いが期待したものに近いものができあがります。

以前、ある会社の方から、「プロジェクトについて打ち合わせをしたい」と言われ、「打ち合わせで何を話すのか?」と尋ねたことがあるのですが、「例のプロジェクトについてです」と曖昧な返事しか返ってきません。

「今後、どんなふうに進めるの?」と聞いても、「それは全体のミーティングで話したほうがいいんじゃないか」と言います。

相手の方には申し訳ないのですが、これでは時間のムダになるのが目に見えています。

完璧でなくていいので、「こんなふうにやりたい」というものをA4の紙1枚ででもまとめてあれば、相手もその中で意見を出せるので、次のステップまで速く進めるでしょう。

「①こういう理由で、②いつまでに、③何をやりたいのか」を簡単にまとめただけでもかまわないので、現物を示す何かがあるのとないのとでは、その後の進み具合が違います。

みなさんも、ぜひ「プロトタイプ」のやりとりを心がけてください。

やりとりのムダをなくす方法上司がコスト!残念ながら、上司が障害になって仕事が進まないことがあります。

英語で、ManageyourManager.(マネジャーをマネジメントする)と言うのですが、自分の上司をうまく使いこなすことは、とても大事です。

自分の上司の足りないところに気づいたら、いかに上司にそれを気づいてもらうか。

気づいてもらえないなら、行動で示す必要があるかもしれません。

自分の仕事を適切に進めたいなら、それも大事な視点です。

たとえば、上司が打ち合わせの準備をしてこない人なら、「今度の打ち合わせのアジェンダは私がつくります。

もしプラスアルファの追加の部分があれば、後からアジェンダに追加してください」と先回りして動きます。

このようなことを繰り返すと、マネジャーも、自分がやるべきことに気づいてくれるかもしれません。

部下との打ち合わせは、週1回きっちりとればいいプレイングマネジャーで、自分の仕事が忙しく、部下指導ができない。

ちょくちょく部下が相談しにくるので、自分の仕事がまったく進まない。

日本の管理職の方から時折聞く話です。

グーグルではプレイングマネジャーがほとんどですが、それでもチームのマネジメントと自分の仕事をしっかり回していました。

ここでは、僕が行なっていた方法をお話ししたいと思います。

僕は、原則としてメンバーひとりにつき、1週間に1時間ずつ時間をとってミーティングをしていました。

それだけの時間でも、うまく対話をすれば、その中で解決できることはたくさんあるものです。

たとえば、進行中の仕事の相談に乗るのはもちろん、顧客に提出する資料をつくりたいというときは、プロトタイプを持ってきてもらって具体的に指導することもありました。

また、人間関係に問題があったときは改善に向けて話を聞きますし、その1時間の中でコーチングのセッションもできるし、キャリアの話もできます。

話すことがなければ時間を短くしたり、そのミーティング自体をなくすこともありましたが、それはあくまで相手から希望があった場合だけ。

僕のほうからなくしたり短くすることはなく、どうしても自分が忙しいときは、日程を変えてもらっていました。

1週間に1回、時間をとるだけで、大抵の問題は解決できますから、突発的な問題も起きにくくなり、そのフォローに時間をとられることもあまりありませんでした。

メンバーの進捗管理もそのミーティングで行ないます。

ミーティングに先立って、「今週はこうしたい」「これからこうしたい」というメモを書いてもらい、それを見ながら話し合います。

もしできていなかったら、「なぜ、できていないのですか?」「今、何が起きているのですか?」と質問することができます。

また、こちらからは、「次はチームミーティングでこういうプレゼンをすれば、みんなが喜ぶよ」とか、「Aさんはあなたに話を聞いてもらいたがっているみたいだよ」などという提案もします。

メンバーと信頼関係ができると、チームの誰が誰をどう思っているといったことまで話してくれるので、メンバー同士の関係構築も手伝えるし、チームミーティングでその人がうまく立ち回れるように導くこともできます。

1対1のミーティングが行なわれていない場合は、自分のほうから上司に依頼するといいかもしれません。

たとえば、上司に、「課長はいろんな経験を持っていらっしゃるので、毎週1回、お時間をいただいて、その週の仕事の進め方について、相談させていただくことはできますか?」「アジェンダをつくって持ってきますので、プロジェクトの〝ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)〟を含め、仕事についてディスカッションさせていただけたらと思っています。

課長は、どんな進め方が望ましいですか?」などと聞けば、きっとあなたのために時間をとってくれるはずです。

メンバーの話しやすいスタイルでこのミーティングの一番の目的は関係構築でしたから、相手が話しやすいスタイルで行なっていました。

たとえば、小川さんとはワインバーで2週間に1回、1時間半とってアイデア出しをしていました。

マイケルさんは常に自分のアジェンダを用意してくるので、しっかりした打ち合わせをします。

長谷川さんからは「今日はちょっとクレープを食べに行きましょう」と外に誘われ、悩み相談をされたりしました。

相手が話しやすい場づくりを意識して、相手のコミュニケーションスタイルに合わせていました。

その理由は、相手が「上司が自分のために時間をとってくれている」と思うか、「自分が上司のために時間をとっている」と思うかによって、その1対1の時間の意味がかなり違ってくるからです。

僕は、「1オン1はあなたの時間。

いかにピョートルを使いこなすかということを考えてきてください」と伝えていました。

だから、今後の踏み込んだ話もできるし、時々すごくパーソナルな話も出てきます。

その結果、家族の病気など、プライベートに問題があったときも、事前にわかって、サポートがしやすくなったのです。

そうやって信頼関係を構築したメンバーの何人かとは、今でも連絡をとっていて、彼らの次のキャリアや独立の相談に乗ったり、お互いが独立した後は、僕の仕事の手伝いをしてもらったりしています。

「上司の使い方」を提示する僕は個人的に「Howtouseme」、つまり「ピョートルの使い方」というファイルを共有ドキュメントに入れておきました。

そこに、たとえば、・自分で決められることは自分で決めておいてください・問題ではなくて解決策を持ってきてください・解決できない場合は、何が必要なのか、何をしてほしいのかを伝えてください(たとえば、アドバイスがほしいとか、決定がほしいとか、社内政治的なところで動いてほしいとか)などといくつか書いておきました。

自分のスタイルを押しつけると、押しつけられたほうは引いてしまいますが、「ピョートルの使い方」という形で文書化することで、意識してもらっていたのです。

なぜ、ピョートル神社が僕の机の上に建てられたのか以前、グーグルで行なわれた研究では、チームで仕事をしていくときに、職場の「心理的安全性(サイコロジカル・セーフティ)」が高くないと、個々のメンバーがうまく力を発揮できないということがわかっています。

「心理的安全性」は、「CanItrustyou?(あなたを信頼できますか?)」と「CanIrespectyou?(あなたを尊重できますか?)」という2つの質問に「イエス」と答えられるかどうかで決まります。

人は誰でも、信頼されている、尊重されているという実感があれば、相手と深くつながることができます。

自分は信頼されている、必要とされているというのは、安心感につながります。

この人は、自分のことを気にかけてくれている、自分のことを見ていてくれると思うと、人はその相手を信頼します。

私の話に耳を傾けてくれる。

私のよさに気づいてくれている。

私の仕事のアウトプット(成果物)だけで評価するのではなく、私そのものを見てくれる。

私の努力をわかってくれる。

そう信じられる人が自分の上司だったり、自分のチームにいたりすると、気持ちが楽になって、今まで以上に成果を出せるようになります。

また、信頼関係があると、友人にも近いメンタリティになります。

すると、お互いに意見が言いやすくなり、場も活発になります。

部活で職場の「心理的安全性」を高めるグーグルでこうした関係を醸成するもののひとつに「部活」があります。

部活は趣味の集まりです。

趣味から始まっているので、何か聞きたいときに気軽に質問することができます。

たとえば、経理で知りたいことが出たとき、部活に経理の人がいたから、その人に聞いてみようとか。

こうした部活は活発で、社内イベントでもよく活動しています。

グーグルの東京オフィスで一番流行っている部活はダンスクラブです。

運営している人はニューヨークでプロダンサーをやっていた方で、本当にかっこいいのです。

こうした部活がグーグルのお客さん向けの大きなイベントに出演することもあります。

参加したお客さんも「この人たちも社員なの!」とビックリしていたので、PR効果にもなったのではないかと思います。

リクルートの常務執行役員の北村吉弘氏も、「Stayyoung(若い考え方を持ちましょう)」と社内で呼びかけ、今、部活の活性化に力を入れているそうです。

信頼しているからこそ、いたずらできるまた、グーグルでよくあったのは、悪意のないいたずらです。

グーグルに勤めていたとき、大の日本びいきの僕は、チームのみんなを「初詣でに行こうよ」と誘いました。

しかしみんなの返事は「お正月だからのんびりしたい」「行くならピョートルさん、自分で行けばいいじゃないですか」などと、つれないもの。

少しガッカリして、ひとりで初詣でに行ったのですが、その後、出社してビックリ!自分のデスクに「ピョートル神社」と名づけられた神社のディスプレイがあったのです。

なんでも、僕があまりに寂しそうにしていたので、みんなで気を遣って置いてくれたそうで、それを聞いた僕はうれしくなりました。

いたずらは、相手との関係を大事にしていたり、信頼しているからできることです。

仕事の顔以外のあなたの顔も認めていますよ、というメッセージでもあるのです。

ほかにも、先に紹介した小川高子さんは、携帯のアドレス情報を変えて「God」から電話がきているかのように見せかけたり、同僚のパソコンを隠して、代わりにパソコンにそっくりなA4サイズのノートをデスクに置いておいたり、「チームのモットーを書いたバナー(垂れ幕)を飾りたい」という話をしたら、翌週モットーを書いた巨大なロケットをダンボールでつくったりしていました。

こんなふうに相手が嫌がらない範囲の遊びが結構あるのです。

そういうちょっとしたいたずらが、チームの雰囲気をやわらかくし、職場の心理的安全性を高めてくれるのです。

他にも、グーグルでは、メッセンジャーやオンラインチャットなどでのやりとりも活発ですが、社内の交流会・勉強会もたくさんありますし、カフェテリアなど、実際に会って交流する場も意図的につくり出しています。

このように、「自分は尊重されている」「大事にされている」という実感が得られると、心のバリアを解き放つことができます。

「この人は自分のためになるものを提供してくれる」「自分のために何かをしてくれる」と思うと、人はその人のことを尊重します。

その気持ちは相手にも伝わり、「自分は大事にされている」と実感することができます。

すると、自分もその相手のことを大事にしよう、その人のために何かしたいと考えるようになります。

そのことが、チーム全体のパフォーマンスを向上させるのです。

いかに心理的安全性をつくるかお互いに信頼し合い、メンバー同士がリスペクトし合うような「心理的安全性」の高い職場のほうが、意思疎通がスムーズになります。

余計な腹の探り合いがない分、誤解も生じにくいため、間違いなくコミュニケーションコストは下がります。

ところが、お互いに疑心暗鬼で、誰を信じていいかわからない状態で話をすると、心のバリアを解くだけで時間がかかるため、チームとして結果を出すためのハードルはグンと跳ね上がります。

チームリーダーの立場からすると、心理的安全性の高い職場をつくるには、まずリーダー自身の態度を見直すことが重要です。

自分だけが一方的に話したり、上意下達で指示を与えるだけでなく、相手の話に耳を傾ける。

部下が失敗したからといって、むやみに叱りつけるのではなく、どこに問題があったか、どうすればよかったか、よりよい方法を一緒に考えるのです。

心理的安全性の高い職場では、人間関係はフラットで、双方向のコミュニケーションが活発になります。

一方通行のやりとりでは、チームの信頼を勝ちとることはできません。

数値目標やプランをつくっても、誰もついてきてくれないでしょう。

マネジャーとしては失格です。

ここでは、心理的安全性を高めるためのヒントを紹介していきます。

「フィードバック・ループ」をつくる組織全体で信頼感を高めるには、それぞれの意見を伝え合うフィードバックループがしっかりしているほうがよいと思います。

グーグルは風通しがよい組織なので、フィードバックの仕組みがしっかりあります。

たとえば、何度か登場したTGIFという金曜日の夕方に行なわれる全社的なミーティングが有名です。

本社では、その場で社長や幹部がプレゼンをして、参加者は手を挙げて質問できます。

各会場の後ろにはお酒と食べ物があって、社員同士の交流もできます。

ビデオ会議を使って世界中のオフィスがつながっているので、たとえば東京で手を挙げて社長に質問をしても、その場で答えてくれるわけです。

たまに「社長の意見は間違っていると思うのですが、どうでしょうか?」のように、はじめて見た人がビックリするような質問も出ますが、それでも社長は丁寧に答えてくれます。

もちろん、後で上司から「お前、TGIFで失礼な質問してたな」と言われることもありません。

さらに、TGIFについては、プレゼンの写真を撮って、コメントをつけてサーバーにアップする人たちもいます。

そのコメントを読むと、同意しているものもあれば、皮肉っぽいものもあって、読むだけでも楽しめます。

匿名で質問ができる制度もあります。

掲示板のようなシステムに、匿名で質問を書き出し、他の人は「この質問にはぜひ答えてもらいたい」という質問に投票します。

そして1時間程度のミーティングの中で、投票数が多い質問から幹部が答えていくのです。

こんなふうにすると、会議の参加意識も高くなります。

こうしてフィードバックが確実にでき、風通しのよい社内になるような仕組みができると、お互いを信頼でき、集中して仕事ができます。

相手の意見の全否定は絶対にダメ信頼関係をつくり、相手の意見を引き出したければ、まずは相手の話に耳を傾けることが大切です。

2人で対話するときは、身体を斜めに向けたまま話をすると、話半分で聞いているように見えます。

真正面から向き合い、相手の目を見て、全身全霊で相手の話を聞く。

といっても、あまり堅苦しく考えず、相手にちゃんと興味を持てばいいのです。

その人のことをもっと知りたいと思えば、自然と聞く耳を持ち、聞く姿勢になります。

そうした態度が伝われば、相手もリラックスして話をすることができます。

お互いに聞く姿勢ができると、「自分が」「自分が」とアピール合戦をしていたときよりも、よほど建設的な意見交換ができます。

逆に、絶対にやってはいけないのは、せっかく聞き出した相手の意見を頭から否定すること。

「全然ダメ」「そんなこと、できっこないよ」という一言は、相手の心に壁をつくります。

その人は、「言ってもムダなんだ」「自分の意見なんか求められていないんだ」と思い込んで、もう二度と前向きな意見を言わなくなるでしょう。

「心理的安全性」が崩れた状態です。

ハーバード大学のエイミー・エドモントン教授は、問題を、「解決すべき問題」ではなく、「学ぶべき問題」として検討すると、わからない部分が見えてきて、チーム全体で知恵を絞ろうという姿勢をつくりやすくなると話しています。

これも、メンバーの見方を広げるにあたり、大事なことだと思います。

日本企業がもともと持っていたものグーグルが無料でランチを提供したり、福利厚生の制度を充実させていることについて、他社から見ると、バカげたことをやっているように見えるかもしれません。

しかし実際には、風通しのよい職場をつくるため、優秀な人材を集めるために必要なことなのです。

これは、グーグルだけができるわけではありません。

実は、日本企業は昔から、これに近い社風があったように思うのです。

みんなで運動会をやったり、飲みにいったり、泊まりにいったりして、人間関係をつくっていました。

僕が個人的に日本企業でおもしろいと思ったのは、一番大事なことが決まるのは、アフター6の飲み会においてだったということです。

ところが、効率化やコンプライアンス、またコストの問題などが出てきたために、飲み会も夜の会合もなくなって、きちんとした意思決定ができなくなったのではないかと思うのです。

本来なら、社員のキャリアや成長にかかわるような根本的な会話は、就業時間中に行なわれるのが望ましいのですが、「飲みニケーション」を通じて部下のガス抜きが行なわれていた日本企業では、飲み会がなくなった後、上司と部下との距離感が微妙に遠くなってしまったのではないかと感じています。

これはもったいないというのが僕の意見です。

ただ、日本のみなさんに誤解してほしくないのは、日本企業イコール「悪い」とか「古い」と言いたいわけではないということです。

グーグルもアップルもアマゾンも、社風も、働き方も、何に目を向けているのかも全然違います。

日本企業も、自分たちなりのやり方をもう一度見直してほしいと思います。

飲みニケーションや社員運動会が必ずしも正解ではないかもしれませんが、それでチームが一体感を持てるなら、再び取り組んでみる価値はあるのではないでしょうか。

僕は色々な会社にお邪魔してきて、この会社はすごい、おもしろいと感じることがたくさんありますが、本人たちが気づいていなかったり、自信を持っていなかったりすることが多いです。

そこはもったいないと思います。

仕事のレベルを上げるのは作業ではなく「人」である次に、コミュニケーションのプラスの部分について、お話ししていきましょう。

ところで、何のために速く仕事をするのでしょうか。

それは間違いなく、早く結果を出すためです。

そのために大事なのは、実は「人」との関係です。

なぜなら、社内でひとりで考えているだけでは解決できなかったことも、社外や他部署の人に相談すれば解決できるかもしれないし、もしかしたら、より広い仕事のチャンスをもらえるかもしれないからです。

アインシュタインの言葉に、「いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない」というものがあります。

会社にいると、どうしてもその会社の枠の中でしかものが見られないようになりがちですが、枠を超えて、たくさんの人に会って解決のアイデアやチャンスをもらうほうが、長い目で見て、その人の成長や仕事の速さや質が高まると思うのです。

僕は人と会うのが好きなので、たくさん友達がいます。

でも、いつも同じ友達と、同じような会話ばかりしていると、だんだん刺激がほしくなってきます。

海外在住の友達が東京に来て、一緒にピッチコンテスト(事業アイデアをプレゼンするコンテスト)を見にいったときのことです。

スタートアップの人たちが様々なアイデアを売り込んでいましたが、その友達はすごく退屈そうでした。

新しいことに興味がないのです。

僕はいくつかプレゼンを見て、これとこれを組み合わせれば、こんなことができそうだと刺激を受けたのですが、友達はただそれをぼんやり眺めていただけ。

たぶん仕事でもそんな感じなのではないかな、と考えてしまいました。

何年かぶりに会ったので、昔の話をしたい気持ちはわかります。

でも、10年前と同じような話しかしないのであれば、僕は別の人と話したい。

もっとおもしろい人、会っておきたい大事な人がたくさんいます。

極端なことをいえば、僕にはそういう友達と会っている時間がもったいない。

それくらい、僕は自分自身も変わっているし、付き合う人の顔ぶれもどんどん変わってきています。

特にグーグルを辞めて独立してから、人脈が一気に広がりました。

毎週のように新しい人たちと出会い、刺激を受けています。

僕自身も、この人とこの人をつなげると、おもしろいことが起きるはずだと思って、色々な場をセッティングしています。

こっちのアイデアとあっちのアイデアをつなげると、まったく新しいモノができます。

あの人とこの人をくっつければ、きっとすごいことが起きるに違いない。

自分のこれまでの知識や経験を、これまでとは別のジャンルに持ち込めば、何かおもしろいことができそうだ。

自分の直感に従って、次から次へと、おもしろそうな組み合わせを探していけば、いつのまにか自分のレベルが上がっています。

不思議の国に迷い込んだアリスのように、好奇心の赴くままに、おもしろいと思うことを追求していけば、それが自分のキャリアパスになるのです。

会う人のレベルも、知識の水準も、経験も、あらゆる事態に対応する能力も、気がついたらいつのまにかワンランク上になっているというのが理想です。

成功している人たちに共通するのは、子どものような好奇心を持っていて、関心領域がすごく広いということです。

なんにでも興味を持ち、本を書いたり、自分でバンドを持っていたりしながら、本業でも活躍しています。

そういう人たちと一緒にいると、自分も視野が開けるし、人のつながりもどんどん広がる。

そしてそのつながりから仕事も生まれる。

いいことばかりです。

たとえば、グーグルで一緒に働いていた尾原和啓さんは、『ITビジネスの原理』や『ザ・プラットフォーム』(いずれもNHK出版)のようなベストセラーを執筆していますが、独立後の僕にニューズピックスの佐々木紀彦編集長を紹介してくれて、ニューズピックスと共同企画を立てることになりました。

また、「happy」というドキュメンタリーをプロデュースした清水ハン栄治さんも紹介してくれて、新たなプロジェクトにかかわることもできました。

誰と一緒にいるかで人生が変わる誰と一緒にいるかというのは、仕事のうえでも、人生でも、すごく大きな意味を持ちます。

いつも同じで、昔から全然変わらない人は、数年に1回会えば十分です。

僕はよく若い人から相談を受けます。

メンターになってほしいと頼まれることもあります。

僕は人が好きだから、頼まれれば話を聞きます。

でも、1回会って話を聞いて、次回までに何も成長がなければ、「まだ会わなくてもいいんじゃない?半年たって成果が出たら、またそのとき声をかけてください」と言うのです。

もちろん、若い人から教えられることもたくさんあります。

だから、半年に1回くらいのペースで会って話をします。

その一方で、僕自身は新しい人に会うことにはすごく積極的で、交流会にも参加するし、知らない人に声をかけることも平気です。

バーやレストランでも、隣になった人にどんどん話しかけます。

こちらがオープンな姿勢でいると、相手も大抵心を開いてくれます。

そうして出会った新しい人の中には、強烈なエネルギーを発している人がいます。

どんな話題でもおもしろそうに話をして、まったく新しい切り口や見方を提供してくれる人。

頭の回転が速く、次から次へとネタを繰り出して、相手をまったく飽きさせない話題豊富な人。

落ち着いた話しぶりなのに、一言一言に重みがあって、思わず聞き入ってしまう人。

そういう人と会っていると、自分も刺激を受けて、どんどん成長できます。

すごい人の集まりにはすごい人ばかり集まるから、そんな話は自分には関係ないと感じてしまう方もいるかもしれません。

でも、ほんのささいなことからでも、つながりは生まれます。

たとえば、僕はある交流会でソニーのリーガルカウンセラーの方にお会いし、近いうちにお茶をしようということになりました。

彼は、AI関係の買収などにかかわっていて、最先端の仕事をしている方です。

後日、あらためてお会いしたときに、僕が今かかわっているスタートアップの話をしたら、「では、紹介したい人がいるから」と、その場で、日本のベンチャー企業では有名な方にメールをして、僕と引き合わせてくれたのです。

3人で話をしているうちに、さらに「だったらこの人にも会うといいよ」と言われ、今度は別の、成功した起業家の方を呼んでくださいました。

いかにいい人たちと出会い、人間関係を構築することができるか。

友達になったり、メンターになってもらったりすれば、人生が豊かになり、仕事も自分の世界も大きく広がります。

キーパーソンに会って何を話すか自分を一足飛びに成長させ、仕事のフィールドを上げてしまうには、キーパーソンと会うことです。

機会があれば、積極的に会いに行きましょう。

ただ、そういう偉い人が相手だと、ビビッてしまってうまく話せない人がいます。

あの人は有名人だから、お金持ちだからと気後れして、結局、何も話さないまま帰ってきてしまう。

それではチャンスはつかめません。

僕は初対面の人でもまったく気にせず話をすることができます。

相手の肩書や地位でビビることはありません。

恐怖心がないのは、結局同じ人間だと思っているからです。

相手をリスペクトすることと、相手を畏れ敬うことは違います。

むしろ、こちらがオープンでフラットな態度で接すれば、相手も気持ちよく話してくれるものです。

偉い人たちは忙しいから、自分のためにわざわざ時間をとってもらうのは申し訳ないと遠慮してしまう人がいるかもしれません。

超多忙なのは間違いありませんが、その人たちが会ってくれるのは、間に入って紹介した人を信用しているからです。

つまり、あの人の紹介だから、あなたと会う価値がある。

それがわかったうえで会ってくれるから、「自分と会うことが相手の時間をムダにするのではないか」と心配する必要はないのです。

だから、自己紹介などの前置きはほどほどにして、いきなり本題を切り出すくらいでちょうどいいと思います。

むしろ、そこでこちらが遠慮して、相手に価値を提供できなければ、次はないことを肝に銘じておきましょう。

僕がよくやるのは、「相手の課題」を想定して、それに質問を投げかける、という方法です。

以前、勤めていたときに、800人くらいの部下がいる部長に会う機会ができました。

部署の戦略を考えるようなポジションにいる人です。

そのとき僕は、「あまり時間がないのですが、知りたいことがあるのです。

あなたの部署の戦略を教えてください」と聞きました。

彼は当初「は?」という顔をしましたが、「自分の部下は誰もこのことについて聞いてこない」と言いながら、今の課題を説明してくれました。

そしてその後、ヘッドが集まるミーティングに僕も呼ばれることになったのです。

会議の冒頭でその部長は、「ピョートルからこんな質問をされたのだけど、そのことについて話し合いをしましょう」と話し始めました。

キーパーソンやポジションの高い人と話をするときは、表面的なことに終わらず、今現在この人はこういう課題を持っているのではないか、今この人はこんなことが大事で、こんなことに興味を持っているのではないか、という部分について質問を投げかけるのがよいと思います。

そのためには、ある程度相手のことを調べておかないといけません。

そのうえで質問を投げかけると「お、よくわかっているね」と相手に思われるわけです。

反対に、その人自身に興味がなく、偉い人だから当たり障りのない質問をしておこうという姿勢だと、たぶん相手もつまらないでしょう。

時間をムダにされたと思われることもあるので、注意したいところです。

パワーを持っている人を見抜く力社内でもポジションの高い人と関係を構築しておくことは大事です。

たとえば、外資系企業など、本社から高いポジションの人が来て、スピーチをすることがあります。

そのときに、鋭い質問をして、会議が終わった後に、すぐ話しかけて、答えてくれたことへの御礼と簡単な自己紹介をしておく。

そして後からメールを送って自分を印象づけるのです。

結局こうした関係は、社内においては自分だけでなく、自分の周囲の役に立つことが多いので、積極的に行なったほうがよいと思います。

「誰がその場でパワーを持っているか」を見極める力も、早く結果を出すためには必要なことです。

僕の仕事を手伝ってくれているグーグルの小川さんは、その能力に長けていて、一番力のある人とすぐに関係が構築できます。

今、グーグルの本社(マウンテンビュー)で勤めていますが、様々なつながりを持ってスピード感のある仕事をしています。

人間関係の優先順位を変える僕自身、モルガン・スタンレー、グーグル、そして独立と、だんだんと仕事のレベルが上がってきたように思います。

その理由は、自分自身の優先順位を変えたからです。

人間関係についていえば、「今知っている人」よりも「新しい人」、「新しい人でも代わり映えのしない人」よりも「新しい人で、どんどん自分自身を変化させていそうな人」を優先させることで、人付き合いのレベルが変わってきたようにも思います。

人付き合いも「常識」を破らないと、ライバルに勝てません。

たとえば、現在の僕は、人事関係のコンサルティングをしていますが、人事担当者の来る交流会に行って、そこで名刺交換をして、次にアポをとり営業して、という流れが普通です。

でも、それではライバルがやっていることと同じです。

それよりもポジションの高い人や、大きな仕事をしている人と会えるのであれば、僕はそちらをとります。

たとえば、同業者の交流会と同じタイミングで、アメリカにいる有力ベンチャー企業の創業者と会わせてくれる、と言われたら、飛行機代がかかっても、後者をとります。

そのほうが、今までになかった可能性が生まれますし、今までとまったく違うレベルまでいけるのであれば、それが最終的には、いち早く飛び抜けた結果を生むことにつながるからです。

狙った人とつながるこの章の最後に、上手にキーパーソンと人脈をつくる方法を紹介してみます。

会社の外に飛び出して人と会うのはいいことです。

ただし、社外の交流会や勉強会に参加したとき、名刺交換だけしておしまいでは、人脈は広がりません。

名刺をもらったら、できるだけフォローします。

経験上、名刺を渡して後からメールやメッセージをくれる人は1%くらいしかいません。

ただし、全員にフォローすると決めてしまうと、それ自体が目的になってしまって、いい人脈は広がらないので、優先順位を決めます。

「Take」ではなく「Give」まず、名刺をもらったら、名刺管理アプリを使って、全部スマホでスキャンして、情報をデジタル化しておきます。

僕が使っているのは、CamCardとEvernoteScannable。

名刺やレシートなどをスキャンしてPDF形式で保存できるほか、連絡先をデータベース化することもできます。

その後、最近聞いた話や会った人と関係がありそうな人に、連絡を入れます。

お礼のメールもいいですが、お礼だけで終わってしまうと、相手の印象に残りません。

必ず相手に何か情報を提供します。

たとえば、その人と関係が深そうな人の名前を挙げて「◯◯さんをご存知ですか?もし興味があれば、ご紹介しますよ」とメールをする。

業界の最新ネタの英文記事のリンクを張って、「こんな記事を見つけたんですが、ご存知でしたか?」と情報提供する。

こちらから相手がほしそうな情報をギブすれば、反応が違います。

せっかく機会に恵まれて会ったのだから、その人に何かをギブしたい。

相手のためを考えて何か行動を起こせば、それがホスピタリティにつながります。

こちらが相手を尊重して接していれば、必ず相手も返してくれる。

そうやって人間関係を深めていけば、いざというときに役に立ちます。

こうして、まずは覚えてもらうことに全力を傾けます。

自分にとって必要な人でも、相手にとって自分がそうだとは限りません。

自分とつながっておくと、こんないいことがありますよ、という印象を持ってもらうことが当面の目標になります。

キーパーソンと近づく方法会社の外で人脈をつくろうと思っても、特に若い人たちは、名刺交換する相手が担当者どまりで、なかなかキーパーソンにたどり着かないという問題があります。

営業に行けば、窓口の担当者とは会えても、決定権を持つ人にはなかなか会えません。

担当者を介して話をしている限り、「持ち帰って検討します」「後日お返事さしあげます」という返事ばかりで、成果が出るまでどうしても時間がかかります。

その壁をどうやって越えたらいいのでしょうか。

通常ルートから攻めているだけでは、どうしてもキーパーソンに会えないというときは、そのキーパーソンの動向を徹底的に調べます。

たとえば、どこかのセミナーで講師として登壇する予定がないか、どこかの交流会や勉強会に参加していないか、自分と共通の知り合いはいないか、知り合いがいた場合は紹介してもらえないか、その人に興味を持って調べていけば、どこかに接点はあるものです。

接点を見つけたら、そこを突破口にして近づきます。

ただ、そういうキーパーソンは大抵人気者で、セミナーや交流会など、大勢の人が集まる場にいても、色々な人から話しかけられるので、話すタイミングが難しいということもあるでしょう。

セミナー後に登壇者に話しかけたとしても、みんなと同じ行列に並んで名刺交換して終わり、ということもあるはずです。

大勢が参加するパーティーで印象に残るには僕なら、そういうときこそ周囲の人たちとは真逆の作戦をとります。

勉強会後の懇親会でも、立食パーティーでも、人気者は大勢の人に囲まれて、気が休まる時間もありません。

でも、ふとした瞬間、人垣がなくなるときがあります。

そのタイミングで、ビールを片手に「1杯どうぞ」と言って近づけば、「ああ、ありがとうございます。

ちょうど喉が渇いていたんです」と受けとってもらえるでしょう。

「ずっとしゃべっていて大変ですよね」とねぎらいの言葉のひとつもかければ、大勢の輪の中で話しかけるよりも印象に残りやすいものです。

最初から狙いをつけたターゲットがいないパーティーでは、一番盛り上がっているところに行くのが鉄則です。

「みなさん、何の話をしているんですか?」と聞けば、誰か親切な人がすぐに説明してくれます。

壁沿いに立っていて、ひとりでお酒を飲んでいても何も起きないので、輪の中に入って自分も一緒に楽しんでしまうという姿勢が大事です。

そうやって会話に参加すれば、誰がキーパーソンで誰が取り巻きなのか、会話の方向を決めているのは誰か、みんなは誰と話したくてここに集まっているのかが、手にとるようにわかります。

そして、いつのまにか自分が輪の中心にいる。

これが一番いいやり方です。

フェイスブックでつかず離れずの距離を維持するせっかくの出会いを一度限りで終わらせないためには、どうすればいいでしょうか。

自分の周りに、いつでも話を聞きにいけるプロのネットワークをつくっておくことが大事です。

インターネットである程度のことは調べることができますが、専門家に直接質問できれば、表面的な説明にとどまらない、より深い、リアルな話が聞けるし、何より自分の問題意識や関心事にダイレクトに返事をもらえるので、役に立つ度合いがまるで違います。

もちろん、相手から一方的に情報をもらうだけの関係では長続きしないのは言うまでもありません。

相手から何かをギブしてもらうためには、こちらからも何かをギブすること。

専門知識を教えてもらう代わりに、こちらからも業界のトレンドやそのジャンルに対するニーズなどの情報をシェアして、自分と付き合っておくと得だということを、印象づけることが大切です。

様々なジャンルのプロフェッショナルとの接点は大事ですが、そういう人たちと常に仕事上で接点があるとは限りません。

普段なかなか会うチャンスがない人たちと、どうやって関係を維持したらいいのでしょうか。

そういうときこそ役に立つのが、フェイスブックです。

フェイスブックには誕生日を表示する機能がついているので、「誕生日おめでとう。

最近、何をやっているんですか?」と一言メッセージを送るだけで、自分の存在を思い出してもらうことができます。

「今はこんなことをしています」という返事が来て、もしそれが自分の関心領域と重なる部分があったら、話を聞きにいけばいいのです。

何かの機会にせっかく知り合いになっても、そのまま放置しておけば、自分のことを覚えていてくれる可能性はあまりありません。

大勢の人が参加するセミナーや交流会で、名刺交換しただけの関係ならなおさらです。

だから、まずはフェイスブックなどのSNSでつながっておいて、ことあるごとにメッセージを交換して関係を維持しておく必要があるのです。

ただし、やりすぎると迷惑がられるかもしれないので、節度を保って、たまに自分の存在を思い出してもらうくらいの距離感が、お互いに気持ちいいのではないかと思います。

まとめ□「プロトタイプ」でやりとりをすれば、仕事は速く回る□不要な会議は定例のものでもやめる□部下との打ち合わせは週1回でいい□仕事外でも付き合える関係は、仕事の効率をよくする□「新しい人」「変化する人」「レベルの高い人」と優先して付き合う

 

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