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終章自分の仕事を壊せる人が、次の時代をつくる

AIに仕事をとられないために最後に、これからの時代を生きていくみなさんが、時代のスピードを超える仕事をするために必要なヒントを紹介したいと思います。

これからの時代、競争は加速していく一方です。

僕は今、独立して仕事をしていますから、決断が遅れてグズグズしていると、自分の居場所が奪われてしまう、別の誰かが自分の仕事を代わりに持っていってしまうかもしれないという危機感を持っています。

どんな仕事も競争が激しくなる一方ですから、じっくり悠長に構えている暇はないのです。

ライバルは人間だけではありません。

人工知能(AI)やロボットが人間の仕事をリプレイスしようと、ものすごい勢いで進歩し続けています。

オックスフォード大学でAIの研究をしているマイケル・A・オズボーン准教授によると、AIを含めたテクノロジーの進歩で、あと10年で世の中の半分の職業はなくなるそうです。

AI研究で博士課程まで進学して、指導教官と一緒に特許を取得した非常に優秀な友達がいるのですが、自分で各国のAI関係の特許の状況を調べながらも、自分が行なっているその作業が近い将来AIによって自動化されることが見えているだけに、悩んでいると言っていました。

これを聞いて「近い将来、AIに自分の仕事がとられてしまうのではないか」と危機感を持たれる方もいるかもしれません。

僕が考えるに、「AIに仕事をとられないために、今すぐできること」はひとつです。

それは自ら自分の仕事をなくしてしまうこと。

僕も自分が行なっている、組織のパフォーマンスを高めるという業務を、自らAIによってなくすために、AIで仕事の改善提案を行なうモティファイというベンチャーにかかわっているのです。

つまり、自らの仕事を、テクノロジーに置き換えて、もっと速くできないかと考えることです。

ウーバーは、テクノロジーを使って、誰もが空いた時間にタクシー業務ができるようにして、従来のタクシーよりも安価なサービスを提供して一気にブレイクしましたが、そのおかげでアメリカのタクシー運転手の仕事が奪われつつあります。

2015年の末には、サンフランシスコ最大のタクシー会社であったイエローキャブ(YellowCab)社が株主に対して破産宣告を行なっています。

同じようなことは、どんな業界でも起こり得ます。

すべての仕事をIT化、自動化しようとする波は、今後とどまることはないでしょう。

であれば、その業界のその仕事をよく知っている自分自身が、その仕事をIT化して、新たな事業を考えてはどうでしょうか。

そこまでいかなくても、IT化して自分の仕事を減らすことで、もっと違う、新しい仕事を考えてはどうでしょうか。

そんなふうに、僕は考えているのです。

僕は以前グーグルの中で大きな改善提案をしたことがあります。

しかし、そのおかげで僕の仕事はなくなってしまいました(上司には、それでもいいのか、と問われました)。

最初は迷いましたが、結果的には、同じ場所にしがみついて、いずれムダになる仕事をしているより、自分でその仕事をなくして新たな業務についたのは、決して間違いではなかったと思っています。

ずっと同じ会社の中にいて、無風状態のまま、自分の地位が侵される心配もなくきてしまった人もいるかもしれません。

でも、今の会社や仕事はいつまでも安泰とは限りません。

それならば、いっそのこと、積極的に自分の仕事をなくしていくような考え方をすると、まったく違う結果になると思うのです。

手をこまねいて見ている側に立つか、イノベーションを起こす側になるか。

それによって、その後の展開が大きく変わります。

むしろいつまでも過去のやり方に固執して、1年前と同じことをしていると、本当に仕事がなくなってしまうかもしれません。

たとえば、営業部にいるのであれば、自分が営業をやるのではなくて、営業の仕事のどこを自動化できるかを考えて、その部分で新たな事業を始めるとか、AIに見込み客を探させるとか、色々とできることがあると思います。

時代をどう読むかこんな時代に、より大きな視点で、ビジネスを先読みするにはどうしたらいいでしょうか。

グーグルには、レイ・カーツワイル(RayKurzweil)という人がいます。

彼はAIが人間を超える「シンギュラリティー」(技術的特異点)の本を書いたことでも有名なフューチャリストです。

彼は、グーグルでAIなどに関するプロジェクトの仕事をしていますが、グーグルのような未来志向の会社は、今起きていることよりも、1年後、5年後、10年後に何が起きるのかに注目して将来のビジネスアイデアを練っています。

日本のビジネス系の雑誌を見ると、AIやロボット、自動運転、フィンテック、IoT(物のインターネット)、バイオテックなど、テクノロジーの最新事情を特集した記事が増えています。

新しいビジネスを志向する限りシリコンバレーの動向は無視できないし、アカデミズムとビジネスの距離もどんどん縮まってきているようです。

少し前までは、マーケティング的にどういうふうに市場をとっていくのか、また、どんなビジネスモデルでどういうふうに儲けるのか、という点が中心でしたが、今後は、過去の成功例よりも、「これから何があり得るのか」という情報を見ることが大事だということでしょう。

実際それだけ環境の変化は激しいのです。

マーケティング的に優れていても、ビジネスモデルが優れていても、テクノロジーのほうで遅れていると、すぐ、淘汰されてしまう。

だからこそ、環境の変化を促す「テクノロジー」ありきなのです。

金融の面でいえば、AIでトレーディングをするロボ・アドバイザーというものが活用されています。

「お金のデザイン」という会社では、AIがおもに途上国の銘柄について取引を行なっているのですが、なかなか賢くてうまくリスクヘッジをして利益をあげています。

こういうことがもっと普及してくると、たとえばコンビニで働いている大学生でも、プロ並みの投資ができるようになってきます。

すると、ファイナンシャルアドバイザーの仕事も、なくなってしまうかもしれません。

であれば、ファイナンシャルアドバイザーの方は、機械によって自動化できないものは何か、ということを真剣に考えなければいけないでしょう。

流れに敏感でないと、取り残されてしまう。

逆にいえば、その仕事が変わっていく中で、いくらでもチャンスは出てきます。

流れの中で、自分の役割をいかに変えれば儲けにつながるかという考え方を持っておかないと、ただ流されるだけになってしまいます。

ある意味、社内起業家、イントラプレナーの考え方が必須になってきたといえるでしょう。

テクノロジーと親しくなるために今後行なっていただきたいのは、まず技術的なトレンドの知識などを得ること。

特に自分のいる業界のITトレンド事情は、ウォッチしておくとよいでしょう。

今は本でもネットでも、根本的な知識を簡単に得ることができます。

僕は、テクノロジー関連のニュースは、グーグルアラートでキーワードを登録したり、スマートニュースやニューズピックスのようなニュースアプリを使って、効率的に集めます。

たとえば、フィンテックの話題をチェックするなら、グーグルアラートに「ブロックチェーン」「ビットコイン」「仮想通貨」といったキーワードを登録しておいて、毎朝の通勤時間にざっとチェックするだけでも、ずいぶん違うはずです。

英語が読める人は、海外の最新ニュースを読む習慣を身につけておけば、周囲の人より一歩先をいけるはずです。

普段からそういうニュースに触れていれば、レポートをまとめるのも簡単です。

最新の知見をふんだんに取り入れたレポートを作成してシェアすれば、あなたの評価も上がるでしょう。

特に年齢が高い人ほどそうした情報に飢えているので、定期的にレクチャーしてあげると、社内のテクノロジーアレルギーも解消されるかもしれません。

話題のアプリはとりあえず試してみる個人レベルでも、意識して最新のテクノロジーに触れていないと、すぐに時代遅れになってしまいます。

たとえば、スマホのアプリの初期費用は大抵無料なので、新しいアプリが出たら、どんどん使ってみることです。

経理や会計の仕事をしている人であれば、フリー(freee)などのクラウドベースの会計ソフトに触ったことがないというのは考えものです。

使わずに「あれはダメだ」と言っているだけでは、本当に時代遅れになってしまいます。

会社名義のクレジットカードで支払い関係をまとめておけば、すべての取引記録は自動でアップされ、銀行口座と連動させて、入出金管理もクラウド上ですべてできます。

税理士・会計士の人からすると、自分たちの仕事を奪うライバルに見えるかもしれませんが、実は、そうとは限りません。

今まで、クライアントの領収書を全部手入力する作業に時間がかかっていたのが、その部分はテクノロジーでどんどん自動化されます。

その一方、資産運用アドバイザー的な役割は増えていくでしょう。

それをチャンスととらえる方も多いはずです。

クラウド会計ソフトは、税理士・会計士業界を破壊しているというよりも、その役割を再定義しているというほうが現実に近いと思います。

税理士・会計士はエクセルに数字を入れて「はい、どうぞ」という仕事ではなく、もっと戦略的なアドバイザーになれるのです。

細かな技術はわからなくても、波に乗れるこんなふうに勉強をしても、自分は技術者ではないから何もできない、と思われる方もいるかもしれません。

でも、自分なりに勉強し、周りに何が起きているかを把握して、その後、「この作業は自動化できるのではないか」と思いついたら、それを自分でやるのではなくて、エンジニアやプログラマに頼んでしまえばいいのです。

だから、技術的なことはわからなくても、色々なことが実現できます。

また、こうした情報を知っていると、取引先への仕事の提案もしやすくなります。

僕はフィンテックのプロではないですが、クライアントの業界のテクノロジーに関する最新情報をニュースアプリであらかじめ調べておき、そのトレンドを書き出して、5~7ページのレポートにまとめたことがあります。

こういうトレンドがあって、このくらいのマーケットがあるなど、様々なデータを並べてお持ちしました。

当初お会いした人事の方には難しいと言われましたが、開発部の方から「おもしろい」と言われ、新たなプロジェクトに携わることになったのです。

パソコンの父と言われるアラン・ケイは、「未来は予測できないが、未来を発明することはできる」と言いました。

実際そのとおりで、未来を予測できる人は誰もいません。

次の図は、80年代にマッキンゼーが行なった携帯電話市場の成長予測と実際の普及の状況を示したものですが、あのマッキンゼーでさえも大きく間違っています。

しかも、マッキンゼーは、アメリカのAT&Tから、「2000年までに、世界の携帯電話はどれぐらい需要が伸びるか」とリサーチを依頼されたとき、「需要がないのでやめたほうがいい」と言ったという話があります。

予測はどんな人にとっても難しいもの。

それよりも、動いたほうが早いのです。

変化を恐れるな今、普通の人は1日に88回ぐらいスマートフォンを見ると言われています。

といっても、1回で見るのは3分以内。

メールを見たり、LINEやメッセンジャーをチェックしたり、フェイスブックのコメントを書き込んだり、フェイスタイムやスカイプで会話したり、ツイッターで話題のニュースをチェックしたり……。

ひとつのアプリにかける時間はごくわずかで、これだけたくさん使いこなすということは、その分たくさんのことをしていると言えるでしょう。

つまり、自分自身のスピード感もすごく上がっているんだなと実感します。

10年前の自分と今の自分を比べると、その差にビックリするはずです。

10年前は、こんなに多くのタスクを次々とこなす生活は送っていませんでした。

テクノロジーの進化によって、ライフスタイルが大きく変化したのです。

しかも、そのスマホに、あらゆる産業が飲み込まれています。

今やカーナビや心拍計まで、スマホ1台で可能です。

限られた時間を奪い合うという意味では、映画もマンガもゲームもディズニーランドも、みんなスマホのライバルです。

仕事柄、スマホを無視できる人はほとんどいないはずです。

スマホを使ったことのない人が、ユーザーに支持されるスマホアプリやオンラインサービスを生み出すなんて考えられません。

最新のテクノロジーを無視して、時代から取り残されるのは自分です。

ところが、今はなくてはならないスマホですら、10年後にはどうなっているかわかりません。

スマホのアプリは小さな画面上で操作するのが基本ですが、iPhoneのSiriがもっと進化して、音声中心のやりとりが普通になるかもしれません。

あるいは、メガネやヘッドフォン、腕時計、指輪のように身につけて使うウェアラブルデバイスが主流になると、歩きスマホのような危ない習慣はなくなるでしょう。

最も身近で、頻繁に使っている携帯端末さえ、どんどん姿を変えているのに、自分は変わらないというのは、とてもリスキーです。

今、僕はコンサルティングの仕事と併行して、人事系のビッグデータ関連のベンチャーの立ち上げもやっています。

グーグル時代の同僚や、フェイスブックのエンジニアも議論に参加しています。

はじめたばかりのベンチャーですから、決まった「型」はありません。

ゼロからなんでもつくらなければいけないのですが、それが楽しくてしょうがない。

毎日が変化の連続です。

色々試してみて、うまくいかないときはすぐに方向転換をはかります。

最初の思惑どおりに進むことはほとんどなくて、何度もピボット(方向転換)するのですが、そういうスピード感が自分にすごく合っていると気づきました。

海の上の橋を走っているのに、前の道はまだできていなくて、後ろを振り返ると、通ってきたはずの道はもうなくなっている。

どっちの方向に行くか、少し先のこともわからないけれども、自分で道をつくり続けなければ、海に落っこちてしまう。

そんなイメージです。

僕は変化に富んだ毎日を楽しんでいます。

次に何が起きるかわからないから恐いのではなく、わからないからこそワクワクする。

自分の道を自分で切り拓いていくのはこんなにも気持ちいいことなんだと、今さらながらに実感しています。

習慣の奴隷になっていないか僕が見る限り、変われない人というのは、目の前の仕事をこなすことに慣れてしまって、別のやり方があることに気づいていない人がほとんどです。

日々の行動がパターン化されて、何のためにその仕事をしているのか、どうすればもっとうまくやれるのか、いちいち考えない。

考えないから、気づけない。

それで変わるはずはありません。

そういう人は、仕事で何かイレギュラーなことが発生すると、大抵混乱し、場合によっては拒否反応を示して、うまく対処できません。

変化を受け止め、そこに自分を合わせるのに、時間がかかってしまいます。

毎日同じことの繰り返しに見えても、実は、いくらでも改善の余地があります。

ルーティーンワークをルーティーンだと思い込んでいるのは、あなた自身なのです。

毎日、毎週、毎月同じ作業が発生しているとしたら、どうすれば自分でやらずに済むかを考えるのが、本来の仕事のあり方です。

ITで自動化する。

別の人の手を借りる。

小さいタスクに分けて分担する。

外部リソースを活用する。

もっと突き詰めて考えていけば、実は、その作業はなくても誰も困らないかもしれません。

だったら、思い切ってやめてしまってもいいはずです。

会社を出たときの自分の値段を知る個人のレベルでは、今までやってきたことが、これからもずっと続くというのは期待できません。

買収や提携によって、上司が米国人になったり、中国人やインド人と机を並べて仕事をしたりする機会は確実に増えるでしょう。

また、スーツ着用が当たり前だった人たちが、ジーンズにTシャツ姿のエンジニアたちと共存したり、長期雇用で従来の給与体系の人たちが、高い年俸で会社を渡り歩く人たちと、同じ組織に属することもあるはずです。

仕事の中身だけではなく、職場環境も大きく変わっていくときに、自分だけが変わらずにいられるはずはありません。

終身雇用で、一生その会社にいるのが当たり前だった時代の社員のメンタリティのままでは、変化の時代を乗り切るのは難しいのです。

たとえば、40歳までずっと同じ会社にいた人は、外に出て、転職したり独立したりしたときに、今の給料を維持できるか、それとももっと高く、あるいは安く評価されるのか、ということは知っておいたほうがいいと思います。

それが、いざというときの自分の保険にもなるからです。

グーグルのようなフラットな組織では、20代のうちからどんどん手を挙げて、好きなことに取り組んでいきます。

若いから体力もあるし、やる気もある。

ハイレベルのアウトプットが次々に出てきます。

40代、50代の社員は、そういう若手と競争することになります。

そのため、かつてハイレベルな仕事をしていたベテランが、若手社員との競争に敗れて居場所を失うというケースが出てきます。

そうなる前に、自分の価値を確かめておく必要があるのです。

「昨日と同じ」では、仕事をしたことにならない僕は、人間というのはプロセスだと思っています。

人間の細胞の多くは、数か月から数年単位で入れ替わります。

遺伝子が制御しているから、入れ替わっても同じに見えますが、物理的な意味では、去年の自分と今年の自分、先月の自分と今月の自分はまったく同じではありません。

肉体は常に移り変わっていくのが自然の姿なのです。

だとしたら、心理学的にも、人間は常に移り変わっていく存在なのではないでしょうか?変化を恐がり、時に拒んでしまうのはなぜか。

なぜ過去の自分にそこまでこだわるのか。

周囲の環境がどんどん変わっているのに、あなた自身が変わらなければ、現状維持すらできません。

「変わらない=ずっと同じ」ではなく、「変わらない=停滞」であり、もっというと「変わらない=ゆるやかな死」です。

僕自身は、常に変わることで今まで生き抜いてきました。

ポーランドの民主化がもたらした爪痕僕は1975年にポーランドで生まれました。

当時のポーランドは社会主義国で、鉄のカーテンの向こう側にありました。

民主化運動を推し進めた「連帯」のレフ・ヴァウェンサ(当時の日本では「ワレサ議長」と呼ばれていました)を覚えている人もいるのではないでしょうか。

僕もご本人にお会いして、日本で通訳をやったことがあります。

ポーランド国民の9割以上はカトリック教徒ですが、共産党政権下ではカトリックは弾圧の対象です。

旧ソ連の圧力によって、カトリック教会が潰されそうになったことがきっかけで、民主化運動が盛り上がり、それを潰そうと1981年の12月から戒厳令が布

かれ、軍隊が国を支配しました。

経済封鎖で食料が配給制になり、国全体がすごく貧しくなりました。

スーパーにはパンと酢しか置いておらず、わずかな肉を求めて長蛇の列ができました。

その後色々あって、最終的にレフ・ヴァウェンサたちの活動により鉄のカーテンが消滅したのは1989年です。

そのとき僕は14歳。

日本風にいうと、中学二年生でした。

僕が住んでいたのは田舎の小さな村で、みんな職業学校で手に職をつけて、どこかの工場や農家で働くのが当たり前。

高校に行く人もほとんどいませんでした。

なぜかというと、大学を出ても共産主義で平等なので、腕のいい職人のほうがむしろ給料がたくさんもらえたからです。

でも、僕は高校に行って勉強したかった。

世の中が大きく変わると思っていたからです。

高校に進学したのはクラスで僕ひとりだけだったので、ずいぶんバカにされました。

「高校に行ってどうするの?職人になる技術を学べないじゃん」というわけです。

民主化が実現し、資本主義の世の中になって、みんな豊かになれると信じていました。

ところが、現実は甘くなかった。

地元の雇用を支えていた国有工場の多くは、民間にタダ同然で払い下げられ、隣のドイツから入ってきた企業の手に渡りました。

外資系の工場なら給料も上がるに違いないと思って喜んでいた従業員たちの期待は、やがて見事に裏切られます。

なんと、ドイツ企業は手に入れたポーランドの工場を次々と閉鎖し、そのうえで、ドイツで生産したものを持ってきて売りさばいたのです。

僕の村でも失業率がいきなり100%近くまで跳ね上がりました。

年の離れた僕の2人の兄たちも突然仕事を失いました。

上の兄はその後ずっと仕事がなくてアルコール中毒になり、酔っ払って自動車事故にあい、亡くなります。

ウォッカ好きのポーランド人はお酒で解決しようという人が多く、周りにも似たような話がたくさんあります。

18歳になった僕は、お金がないから勉強をあきらめ、高校をやめてドイツに出稼ぎに行きました。

そこで僕はたった1日の労働で父親の給料の2~3か月分のお金を手にします。

それは、今までの生活を根底から否定されるくらいの衝撃でした。

このままではダメだ、自分自身が変わらなければ、と強く思いました。

その後、ポーランドに戻った僕は高校を卒業し、必死に働いて学費を稼ぎながら、大学も卒業します。

3つの大学院に進学し、外国の大学にも行きました。

日本に来たのも、千葉大学で日本人の消費行動を研究するためです。

でも、僕にはコンプレックスがありました。

グーグルでも、その前に働いていたモルガン・スタンレーでも、同僚はみなお金持ちばかり。

スタンフォード大学やコロンビア大学を優秀な成績で卒業した超エリート集団です。

だから、話はまったく通じません。

お金がなくて高校に行けない人なんていないし、家族旅行で南の島にヨットで行ってきたという話をされても、別世界の出来事です。

自分の生まれ育った環境について普通に話せるようになったのは、つい最近のことです。

今の世界は決して当たり前じゃない僕が言いたいのは、自分が今当たり前だと思っている世界は、全然当たり前ではないということです。

家族が離れ離れになってしまうかもしれないし、会社がずっと安泰とは限らないし、国や地域社会が崩壊してしまうことだってあるのです。

変化は突然やってきます。

僕たちはそうした変化を止めることも、避けることもできません。

だからこそ、変化を受け入れ、変化を乗りこなし、変化を楽しむ必要があるのです。

変わること。

変わり続けること。

そのためには、常に次の可能性に備えておくことです。

変わる前提で動いている人は、何か想定外のことが起きたときも柔軟に対応できます。

変化することにはリスクが伴います。

でも、変わらないこともリスクなのです。

今の環境が永遠に続くというのは幻想でしかありません。

だからこそ、みなさん自身が変わる準備をしておく必要があるのです。

さて、長い話ですみませんでした。

本の中で紹介したどれかひとつでもよいので、何か行動をしていただけたら幸いです。

そこで学んだことを、ぜひ、僕のフェイスブックのページにお寄せください。

みなさんの仕事が、効率的になり、そしてさらに生産性が上がるものへと進化することを心から願っています。

最後に、この本の執筆にご協力いただいた藤川希さん、熊倉由美さん、金田史歩さん、門馬愛佳さん、渡邊貴紀さんに、感謝申し上げます。

まとめ□自分の仕事をITに置き換えることを考える□イノベーションの側に立つか、手をこまねく側に立つか□細かな技術はわからなくても、波には乗れる□「昨日と同じ」では、仕事をしたことにならない

ピョートル・フェリークス・グジバチポーランド生まれ。

ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、2000年に来日。

2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて、アジアパシフィックでのピープルディベロップメント、さらに2014年からは、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。

現在は、独立して2社を経営。

プロノイア社では、国内外の様々な企業の戦略、イノベーション、管理職育成、組織開発のコンサルティングを行なう。

2社目のモティファイは新しい働き方といい会社づくりを支援する人事ソフトベンチャー。

多国籍のメンバーやパートナーとともに、グローバルにサービスを展開している。

日本在住16年。

合気道や禅にも詳しい。

世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか2017年2月1日初版第1版発行2017年2月15日電子第1版発行著者:ピョートル・フェリークス・グジバチ発行者:小川淳発行所:SBクリエイティブ株式会社〒1060032東京都港区六本木245電話:0355491201(営業部)編集協力:田中幸宏装丁・本文デザイン:小口翔平+上坊菜々子(tobufune)DTP:株式会社キャップス編集担当:多根由希絵印刷・製本:中央精版印刷株式会社本書の内容に関するご質問等は、小社学芸書籍編集部まで必ず書面にてご連絡いただきますようお願いいたします。

©PiotrFeliksGrzywacz2017ISBN9784797388381

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