すべての時間を結果に結びつけて考える❖結果重視か、プロセス重視か
ビジネスでは、常に「結果」が求められます。成果や結果を出せるか否かで、評価は大きく分かれます。
結果重視もプロセス重視も、どちらも大切な考え方ですが、ビジネスの世界では、どれほど頑張っても、結果が出なければ評価外です。
「頑張る」は主観的なので、相対的な人事評価の対象にはなりません。仕事で評価されるのは、あくまでも「結果を出すこと」です。
「いつか結果が出ればいいかな」と願望程度で結果が得られるほど、仕事も世の中も甘くはありません。
- 結果…………最終的に手に入れたい価値や利益。
- プロセス……結果を手に入れるためのやり方、段取り。
私は、「結果」にこだわっています。結果にフォーカスして「0か100か」で考えています。結果が出なければ、どれほど頑張っても「0点」です。
❖結果を重視すると、必然的にプロセスも重視しはじめる
私が結果にこだわる理由は、次の5つです。
【結果にフォーカスしたほうがいい5つの理由】
- ①結果にこだわるほうが、行動の質が上がるから
- ②集中力が増すから
- ③未来志向になるから
- ④手を差し伸べてくれる協力者があらわれるから
- ⑤結果を重視すると、必然的にプロセスを重視することになるから
①結果にこだわるほうが、行動の質が上がるから
どれほど努力をしても、どれほど能力があっても、どれほど頑張っても、結果がともなわないことがあります。
残念ながら「努力=結果」ではないため、100の努力をしても、100の結果が得られるとはかぎりません。反対に、70の努力しかしていないのに、100の結果が出てしまうことがあります。
出るときもあれば、出ないときもあるのが「結果」です。だからといって、最初から「出なくてもしかたがない」と考えていると、質の高い行動にはつながりません。
結果を「出そう」と思って一所懸命頑張るから、その行動が実を結ぶのです。
②集中力が増すから
「いつまでに、こういう結果を出す」と目標(目的)が明確になっていると、「すべきこと」の優先順位と、「しなくていいこと」がはっきりするため、余計なことが気にならなくなります。
③未来志向になるから
フロイトやユングとも並び称される心理学の巨人、アルフレッド・アドラーは、「人は未来への『目的』により行動を自分で決めている」と考え、次の言葉を残しています。
「人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は『解説』にはなっても『解決』にはならないだろう」結果は未来にあります。
結果(未来)にフォーカスして行動すると、過去や現在の状況に振り回されなくなるため、前に進む推進力を得ることができます。
(参照:『アルフレッド・アドラー「一瞬で自分が変わる100の言葉」』(小倉広・著/ダイヤモンド社)
④手を差し伸べてくれる協力者があらわれるから
結果に向かって邁進している姿は、まわりの人の心を動かします。
2014年11月29日に、沖縄コンベンションセンターで講演会を開催したことがありました。
沖縄にいる友人に「今度沖縄で、1000名規模の講演会に登壇することになった」と伝えると、彼は驚きながらこう言いました。
「沖縄で1000名集めるのは、大変だと思うよ。東京でいうと、武道館をいっぱいにするのと同じくらい難しい。それに11月29日は沖縄知事選の日と重なっているから、条件が悪すぎる。人が集まらないかもしれないよ」結果的に講演会は、大成功でした。
講演会を企画してくださった方々をはじめ、多くの協力者が集客に手を貸してくださったからです。
私が、「1000名の講演会を成功させる」という結果にフォーカスした結果、周囲の人たちも結果を達成するように動きはじめたのです。
⑤結果を重視すると、必然的にプロセスを重視することになるから
結果重視とは、「プロセスは無視していい」ということではありません。
「どういう結果がほしいのか」「いつまでに結果がほしいのか」というゴールが明確になっているからこそ、「どうやってそれを実現するのか」「誰と協力してそれを実現するのか」というプロセスが決まります。
結果を重視することは、その結果を成し得るためのプロセスを重視することでもあるのです。
早くて正確な仕事をするには、プロセスを管理する❖真のプロフェッショナルとは、どのような人物か?
手術は、「絶対に」失敗があってはなりません。私は、やり直しが認められない厳しい環境で仕事をしています。どれほど難易度の高い手術でも、100%の結果を求められています。
私が失敗しないのは、「結果を出す(手術を成功させる)」ことを前提に、プロセスを管理しているからです。
プロセスとは、無数の工程の連なりです。そして、工程のひとつひとつに順番と役割が決まっています。プロセス管理とは、工程を管理して、最短距離で最高の結果を目指すことです。
手術は「成功しか許されない」ので、スタートから終わりまでのプロセスが明確でなければなりません。
「想定しうるすべての可能性を考え抜いて、あらゆるリスクに対応する人」、そして「成し遂げるべき目的のために、あらゆる手段を尽くせる人」のことを「プロフェッショナル」と呼びます。
完璧にプロセスを管理できなければ、プロフェッショナルにはなれません。
【ゴールから逆算してプロセスを考える】
・ゴールを明確にする。
↓
・ゴールから逆算して、最短ルートを考える。
↓
・ルート上にどのような障害物があるかわからないので、すべてのリスクに備える。
↓
・完璧な準備をする。
↓
・プロセス(手順)をひとつずつ、確実に、自動的にこなしていく(すべてのリスクに備えているので、突発的な事態に見舞われても判断ミスはない)。
↓
・ゴールに到着する(最高の結果を得る)。
理想は、高いほうがいい。「これまで以上の努力をしなければ、達成できないレベル」に設定します。今の自分のレベルでも達成できる理想は、低すぎます。
ゴールを設定したら、「いつまでに、どのように、どれくらい努力すればいいのか」を逆算して考えていきます。
これまでの延長線上で考えていては、ゴールには到達できません。したがって、制限なしに思考の枠組みを広げて、自由に考えていきます。
プロセスが決まったら、あとはそれをひとつひとつ着実に実行していくだけです。
❖プロセスを「フローチャート化」すると、成功率が上がる
私はかつて、2日で23名の患者様にインプラント治療を行ったことがあります。口内のデリケートな部分を扱うため、簡単な手術はひとつもありませんでした。
多くの歯科医師が、「1日2名、せいぜい3名」までしかインプラントの手術をしないのは、過度な緊張を強いられると同時に、高い集中力を求められるからです。
私が「2日で23名」の手術をわずかなミスもなく完遂できたのは、手術の手順をフローチャート化し、あらゆる事態に備えたからです。
「この状況が起きたら、こういう処置をする」「次にこうなったら、この対処法で切り抜ける」起こりうるすべての状況を想定し、リスクを洗い出し、解決策を用意しておく。
そうすれば判断に迷うことも、緊張することも、集中力が途切れることもありません。仕事に取り組む前に、「想定される状況、リスク、その場合の対応策」を書き出しておく。それだけでも仕事の成功率は格段に上がります。
プロセスは緻密に、簡素化してつくる❖「プロセスを守れば、必ずゴールに結びつく」という確信を持つ
プロセスを明確にしたら、「プロセス通りに進めば、必ずゴールに結びつく」と確信を持つことが重要です。
たとえば、ダイエットをはじめるにあたって、「3ヵ月で体重を8㎏落とし、体脂肪率を12%にする」ことが目標だとします。
この目標を達成するためのプロセス(1日の摂取カロリーや消費カロリーを計算し、どのように運動し、どのように食事をするのか)を明確にしたら、あとはデータで管理をしながら、ひとつひとつ実行していくだけです。
プロセスが明確になっていれば、「チートデイ」(脂肪が落ちにくくなる停滞期)が訪れても、焦ることはありません。
プロセスが曖昧だと、人は「このまま続けてもいいのか」「どうしてこれをやらなければならないのか」と不安を抱きます。
ですが、私の場合、「プロセス通りに進めば、必ずゴールに結びつく」という確信を得ているので、途中で停滞しても焦ることなく、行動し続けることができます。
❖プロセスを組み立てる2つのポイント
プロセスを組み立てるポイントは、次の2つです。
- ①プロセスを緻密にする
- ②プロセスを簡素化する
①プロセスを緻密にする
ゴールに早く着きたいあまり、「ひとつくらい工程を飛ばしてもかまわない」と油断すると、早く着くことはできても、質が低下して望む結果は得られません。
プロセスは緻密に、細分化して組み立てる。
そして、ひとつも省くことなく、間を飛ばすことなく、手順を守ることが大切です(緻密な行動をするために必要なのは、専門的な学習、もしくはその結果を出している人から情報収集すること)。やるべきことがたくさんあったとしても、できることは一度にひとつだけです。
効率やスピードを考えて、2つ3つ同時進行したり、「ひとつ飛ばし」で行うことはありません。行動はひとつひとつ、緻密に積み上げていくことが肝要です。
②プロセスを簡素化する
「簡素化する」とは、「間を省く」「工程数を減らす」という意味ではありません。誰がやっても最高の結果が得られるように、プロセスを見直すことです。
結果を得るために「A、B、C、D、E」の5つのプロセスが必要だとします。「A→B→C→D→E」の順番で試してみた結果、思ったほどの成果が得られなければ、順番を変えてみる。
仮説と検証を繰り返して(PDCAサイクルを回して)、「C→D→E→A→B」の順番で進めたほうが生産性は上がることがわかったら、「C→D→E→A→B」をプロセスにします。
プロセスが簡素化されると、いつ誰がやってもスムーズに動けて、いつ誰がやっても最大限の効果が得られるようになります。
現実の枠の中で思考しても、イノベーションは起こらない❖理想の自分から逆算する発想を持つ
先日、セミナーの懇親会で、ある男性(Aさんとします)から、「どうして出る杭は打たれるのですか?」と質問をいただきました。私はこう答えました。
「それはAさんが、打たれるようなことをしているからではないですか?才能や手腕が抜きん出ている人でも、打たれていない人はいますよね。
たくさんの人の協力を得ながら、もっともっと杭を伸ばしている人もいます。Aさんは、『出る杭は打たれる』という前提で物事を考えているのではないでしょうか。
打たれたほうがいいのか、打たれないほうがいいのかを考えたら、打たれないほうがいいに決まっています。
だとすれば、打たれたことを嘆くのではなく、『打たれない杭になるにはどうすればいいか』という発想を持つことが必要です」
Aさんにかぎらず、多くの人が、「世論の声」や「他人がつくった文化」を重視するあまり、「理想の自分から逆算する」という発想を持っていません。私は違います。
はじめに「理想の姿は何か」を思い描き、次に「その理想を実現するには、どのようなプロセスを踏めばいいか」を考えます。
理想から逆算して考えないかぎり、そして、自分の思考の枠を広げないかぎり、イノベーションは起きません。
今の自分の能力と、今の自分のやり方と、今の時間の使い方から「何ができるか」を考えているうちは、自分を変えることなど不可能です。
「できない」「無理だ」という評価は、「過去」が検証してきた「無理」であって、「未来」には当てはまらないものです。
「今までは無理だった」からといって、これからも無理だと考えるのは、合理的ではありません。現実を変えるのは、思考の力です。無理だと思っている以上は、何の進展も進化もありません。
❖残業をしなくてもいい「新しい方法」を生み出す
たとえば、「今日の夜7時から、セミナーに参加する予定」があったします。ところが、上司から声がかかって、「今日中に、この資料をまとめてもらいたい」と急な仕事を頼まれました。
資料をまとめるには、残業をするしかありません。けれど残業をすれば、セミナーには出席できなくなります。このとき、考えられる選択肢は3つあります。
①セミナーをあきらめて、残業をする。
②「どうしても今日中にやらなければいけないのか」を再確認し、明日でも可能であれば、明日の朝に持ち越す。
③残業をしなくても仕事を終わらせる方法を考える。
私なら「③」を選択します。
資料をまとめるのに3時間かかるとしたら「2時間で終わらせる方法はないか」を検討します。
自分の力量を超える仕事を任されたとき、今までと同じ仕事のやり方、今までと同じ考え方では、生産性を上げることはできません。
「夜7時からのセミナーに間に合わせるためにはどうしたらいいか」を必死に考えて工夫をするからこそ、イノベーションが起きるのです。
時間のPDCAサイクルを回すと、ムダなく仕事ができる❖仮説を立てて検証し、自分の時間の使い方の傾向を分析する
「時間のPDCAサイクル」を回すと、自分に合ったスタイルで、ムダなく仕事ができるようになります。
【時間のPDCAサイクル】
(P)前日の夜、あるいは当日の朝に、「明日(今日)やること」の重要度と「やり方」を考える。
どの順番で、どのようにやればもっとも結果が得られるか、仮説を立てる。仕事の重要度と「仕事の順番」は、必ずしもイコールではありません。「重要な仕事を最初にやる」のが正解とはかぎりません。
人にはそれぞれ「タイプ」があって、実力を発揮するまでの時間が違います。
スタートダッシュ派であれば、最初から全力を出すことができるので、優先度の高い仕事を最初に持ってきたほうがいい。
反対にスロースターター派であれば、徐々に調子を上げていくので、重要な仕事は後半に回したほうがいい。
ただし、「スタートダッシュ派は、後半にスタミナ切れ起こす」「スロースターター派は、すべての仕事が終わらない」というリスクがあるため、どの順番で仕事をすればもっとも実力を発揮できるか、仮説を立てて、検証します。
今日やる仕事が5つあるとしたら、どの仕事も「早く、正確に」遂行するのが基本ですが、自分のタイプに合った進め方をしたほうが、「早く、正確に」仕事ができます。
自分のタイプをしっかり見極めることができると、やるべきことの順番がすっきりと決まります。
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(D)やることが5つあり、「ABCDE」の順番でやると決めたら、その順番にしたがって仕事を進める。
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(C)1日の終わりに、「予定どおり、すべての仕事を終えることができたか」「時間オーバーや時間のロスはなかったか」「質の高い仕事はできたか」を振り返る。
「こうすれば、もっと時間が短縮できる」「こうすれば、同じ時間でもさらに質の高い仕事ができる」「順番を変えたほうが、集中できる」という改善策が見つかったら、翌日以降の仕事に反映します。
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(A)改善策にしたがって時間の使い方を変えてみる。時間のPDCAサイクルを意識した仕事をすると、「行き当たりばったり」の仕事をすることがなくなります。
毎日(最低でも週に1回)、時間のPDCAサイクルを回して「あの行動は正しかったか」「もっとできることはなかったか」「どのようにすれば、もっとうまくできただろうか」と時間の使い方を検証すると、軌道修正しやすくなります。
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