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STEP2睡眠の「質」を上げ、脳と体を劇的に回復させる

目次

入眠3時間の「ぐっすり」が、朝の「すっきり」につながる

ノンレム睡眠で「脳」の疲れをとり、「体」の細胞を修復するSTEP2では、短時間でも脳と体を満足させる睡眠の「質」の上げ方を紹介する。

その前に、まず、そもそも「睡眠」とは何かを、ざっと押さえておきたい。難しく感じるかもしれないが、睡眠の質を理解するうえでとても大切なメカニズムだ。

まず眠りには、脳の休息時間である「ノンレム睡眠」と、体の休息時間である「レム睡眠」の2種類がある。

ノンレム睡眠は「脳の睡眠」とも呼ばれている。ノンレム睡眠の主な目的は、ストレスの除去やホルモンの分泌だ。

脳が休んでいるうちに、体のほうでは新陳代謝が促進され、免疫機能が高まり、細胞のメンテナンスが行われる。

ノンレム睡眠のときに起こされると、脳も体も眠気が強く、寝足りない気分になる。

これは「脳が休んでいて、体もメンテナンス中」という、起きる準備がまったくできていない状態で睡眠をカットされるからだ。

一方のレム睡眠は「体の睡眠」とも呼ばれている。体は休んでいるが、脳は活動している状態。記憶の固定化と筋肉の疲労回復が主な目的だ。

脳が活発に動いているのは、記憶の「整理」と「再構築」をするため。

起きていた時間にストックした情報の中から、自分に必要なものだけを抜き出して、再処理している。パソコンの「最適化」のような機能を果たしているのだ。

体は緊張が抜けて休息状態であるものの、脳は働き、眠りが浅くなっている時間帯なので、このときに目覚めると、すっきりと起きることができる。

ノンレム睡眠の質を高め「より深く」眠る

眠りの深さには「浅いノンレム睡眠」「深いノンレム睡眠」「レム睡眠」の3段階があり、次の図のように、人間は入眠からどんどん眠りを深めていった後、折り返して浅い眠りへ向かう。

そして最も浅い眠りのときにレム睡眠に切り替わり、脳が起きている状態が10〜20分ほど続いた後、またノンレム睡眠に入り、眠りを深めていく。

人間はこの3つの睡眠を繰り返しながら、脳と体を回復させていく。

このノンレム睡眠とレム睡眠をバランスよくとるのは、高度な脳を持つ人間特有の活動といってよい。というのも、人間のような高度な脳を持たない動物は、脳を休めるノンレム睡眠をとる必要がないからだ。

ほとんどの動物が、体を完全に休めるレム睡眠のみをとっている。

つまり人間が人間らしく活動するためには、脳の疲れをとるノンレム睡眠のほうが大事だといえる。

もちろんレム睡眠も「記憶を整理する」という大切な役割を担うが、それにはまず、ノンレム睡眠で完全に脳が休まっていることが大前提だ。

つまり、人間にとって最適な睡眠とは、ノンレム睡眠とレム睡眠をバランスよくとりながら、とくにノンレム睡眠の質を高め、より深く眠ることなのである。

あなたの疲れがとれない理由そして、睡眠の質を最大限に高めるためにまず重要なのは、寝ついてから180分で、どのような睡眠を得るかということである。

人間の睡眠は、(人によってバラつきはあるが)約90分周期で「脳の眠り(ノンレム睡眠)」と「体の眠り(レム睡眠)」を繰り返す。

この繰り返し2回分、つまり眠りについてから180分の睡眠がとても重要になる。

この時間に細胞の傷んだ部分を修復する「成長ホルモン」が多く分泌され、筋肉や骨、脳の細胞を増やしていくからだ。

成長ホルモンは、筋肉や骨の成長を促すだけでなく、体の疲れを回復したり、傷んだ組織を修復したりする。

さらに脂肪を燃焼させたり、昼間に受けた紫外線による皮膚のダメージを回復したり、新陳代謝を促したりと、美容やアンチエイジングにも大きくかかわる働き者のホルモンだ。

成長ホルモンは、「22〜2時の180分に多く分泌される」という説がある。

しかし、実際には時間を問わず、入眠してから180分の間に深いノンレム睡眠に入ると、シャワーのように大量に成長ホルモンが分泌される。

つまり、「筋肉や骨の成長を促す」「体の疲れを回復する」「体内の傷んだ組織を修復する」「脂肪を燃焼させる」「皮膚のダメージを回復する」「新陳代謝を促す」といった成長ホルモンの効能を最大限に獲得するには、ふとんに入ってから180分に睡眠の「ピーク」を持ってくればよいということになる。

この180分をぐっすり眠ることができればできるほど、脳と体の疲れがとれ、翌日にすっきりと目覚めることができるのだ。

成長ホルモンは、成長期に最も多く分泌される。寝る子は育つといわれるのは、これが理由だ。分泌のピークは18〜20歳で、30歳からは急激に減少する。そして40歳では、20歳のころの約40%まで激減する。

「たくさん寝ているはずなのに疲れがとれない」という感覚を抱くのは、この分泌される成長ホルモンの減少が大きく影響していると考えられる。

そのためにも、入眠から180分の睡眠の「質」をいかに高めるかが勝負だ。それでは、具体的な策を紹介していこう。

睡眠の質を上げる技術①面倒くさがりでもうまくいく「魔法のサプリメント」

人間の5分の1はアミノ酸でできている睡眠の質を最大化するといっても、そのための策を講じるのはいろいろと面倒なものだ。

そこでまずは、手っ取り早く睡眠の質を上げる「魔法のサプリメント」を紹介したい。面倒くさがりの人は、まずこの項目から試してほしい。

寝る前にあるサプリメントを飲む、もしくは、その要素をとれるよういつもの食事に一工夫を加える。それだけで、睡眠の質はグッと高まる。

さて、人間の体の20%はアミノ酸でできている。

人間が生きていくために必要な物質として、アミノ酸は大きなウエイトを占めているのだ。もちろん、睡眠にも大きく影響する。

ここでは、人間を心地よい眠りへと誘い、睡眠の質を高める「3つのアミノ酸」を紹介しよう。

たった3グラムで、「朝に弱い」がなくなるまずは、「グリシン」というアミノ酸を紹介したい。

グリシンは、地球上で最も古くから存在するアミノ酸だ。古いだけあって、アミノ酸の中で分子量は最も小さく、構造も単純。体のさまざまな部位に存在している。

たとえば、皮膚にあるコラーゲンをつくっているアミノ酸。その3分の1はグリシンが占めている。

そのほかにも、赤血球中のヘモグロビンや肝臓の酵素も、グリシンがつくっている。こうした我々の体をつくるうえで欠かせないグリシンは、睡眠についても重要な働きを担っている。

まず、入眠をサポートする働きがある。入眠の際、体は内部の温度を下げる。グリシンは、血管を拡張し、それを促すことがわかっている。また、睡眠の質も高める。グリシンを摂取すると、ノンレム睡眠の時間が増加することがわかっているのだ。

ノンレム睡眠の時間が増加すれば、体の休息はいつも以上に進む。

さらに、グリシンを摂取することで、ノンレム睡眠の中でも、とくに睡眠が深くなる「徐波睡眠」と呼ばれる状態に、より早く到達することもわかっている。

これにより、成長ホルモンが出やすくなる。このグリシンの睡眠効果を証明する実験がある。

睡眠に問題を抱えた被験者に、ふとんに入る30分前に3グラムのグリシンをとってもらい、翌朝と日中の状態を調べた研究がある。

すると、毎日いくら寝ても「まだ眠い」「頭がすっきりしない」「疲れがとれない」「やる気が出ない」という症状を訴えていた被験者が、グリシンをとった翌朝にはシャキッと起きることができ、日中のパフォーマンスも上がったのである。

睡眠中の脳波を調べても、グリシンをとると、寝ついてからすぐに深い睡眠に入り、睡眠のリズムも自然なものになったという。

これは、グリシンが脳の体内時計に働きかけ、睡眠のリズムがうまくとれるように作用したからだと考えられている。

グリシンは、サプリメントとして売られているので、ネットショップなどで気軽に手にすることができる。

もちろん、食事からもとることができる。主に、魚介類(エビやホタテ、カニ、イカなど)に含まれる。眠りが不調なときには、夕食にこれらの食材をとってみるのもよい。

眠りのホルモンをつくり出すアミノ酸とは?もうひとつのオススメは「トリプトファン」だ。トリプトファンは「必須アミノ酸」のひとつ。

必須アミノ酸とは、人間の体内で自然には生成されないアミノ酸のことをいう。

食物などで外部からとるしか、必須アミノ酸を体内に保持する方法はない。

その必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンの重要な役割は、睡眠ホルモン・メラトニンをつくる材料のセロトニンを生み出すことである。

つまりトリプトファンを十分にとり、セロトニンが多く生み出されている状態をつくることによって、睡眠ホルモン・メラトニンが多く分泌されやすくなるのだ。すると、ぐっすり眠りやすくなる。

トリプトファンは、牛乳や乳製品、豆類、バナナ、アボカド、肉類などに多く含まれる。

また、「GABA」というアミノ酸もよい。

GABAとは、脳や脊髄に多く存在している、神経伝達物質として重要な役割を担う「γ‐アミノ酪酸」のこと。

このGABAには、興奮を抑え、気持ちを鎮めるリラックス効果がある。睡眠薬は、このGABAの働きを増強しているものだ。医学的にも睡眠への効果が信頼されているアミノ酸なのである。

睡眠以外でも、自律神経の不調からくる不安やいら立ちの緩和、アルツハイマー型認知症の予防や改善、軽症高血圧患者での血圧低下、腎臓や肝臓の機能改善、肥満の防止など、ありとあらゆる効果が報告されている。

GABAは、サプリメントとして手軽に手に入れることができる。

もちろん、食事からも摂取でき、GABAが多く含まれるのは、玄米や胚芽米、アワ、ヒエ、大麦といった雑穀など。

ぐっすり眠るためには、夕飯の主食を白米から玄米に替えてみてもいいだろう。

睡眠の質を上げる技術②副交感神経が優位になる3つの「自律訓練法」

「公式」を唱えるだけで強いストレスが消え去る睡眠薬を使わずに不眠症を治す治療法として確立されているのが、「自律訓練法」である。

これは、決められた言葉(=公式)を心の中で何度も唱えることによって、自分を軽い催眠状態にして、筋肉を緩め、気持ちを落ち着かせる方法だ。

ストレスで活発になっている交感神経の活動を鎮め、副交感神経を優位にし、眠りやすくする効果がある。――こういうと、なんだか「洗脳」のようで怪しく聞こえるが、決して怖いものではない。

マスターすることで、短時間で体も心もリラックスさせることができる。自律訓練法は寝る前に行う。

不眠症だけでなく、毎日忙しくて筋肉や気持ちの緊張がとれない人や、強いストレスやいら立ちを感じている人にも効果的な「セルフ治療法」だ。

正式な自律訓練法は、基礎の「標準練習」と「時間感覚練習」などの上級編の2段階のプログラムから成り立っている。

ただ、これをすべてマスターするには、専門的な知識が多くいる。しかし、睡眠の改善に役立てる程度の自律訓練法は、基礎の「標準練習」の中の一部をマスターするだけでよい。

この本では簡易版として、その標準練習の一部を紹介する。あなたの心を穏やかにする3つの公式自律訓練法の「標準練習」は、次のステップから構成されている。

安静練習:背景公式「気持ちが(とても)落ち着いている」

四肢重感練習:第1公式「両腕、両脚が(とても)重たい」

四肢温感練習:第2公式「両腕、両脚が温かい」

心臓調整練習:第3公式「心臓が(自然に)静かに規則正しく打っている」

呼吸調整練習:第4公式「(自然に)楽に呼吸している」

腹部温感練習:第5公式「お腹が温かい」

額部涼感練習:第6公式「額が心地よく涼しい」

「公式」とは、心身ともにリラックスした状態で、心の中で繰り返し唱える言葉のこと。催眠状態になりやすいよう、短く端的な言葉でできている。

睡眠の質を高めるには、この7つのステップのうち「安静練習」から「四肢温感練習」までの3つの公式だけをマスターすれば大丈夫だ。

安静練習「気持ちが(とても)落ち着いている」まずは「安静練習」から行う。これは自律訓練法のすべての段階の基礎となるものだ。

体に負荷がかからない楽な姿勢で、ゆっくりと呼吸をしながら、公式の「気持ちが落ち着いている」という言葉を、心の中で何度も唱える。

姿勢を整え、この安静練習を始めた段階で、心はすでに落ち着き始めている。その落ち着きを認め、しっかり感じ取ることが大切だ。

初めのうちは、「気持ちが落ち着いている」と唱えながらも集中し切れず、雑念が生まれてしまうことがあるかもしれない。

しかし、気にすることはない。生まれた雑念は放置し、ひたすら「気持ちが落ち着いている」と唱え続けよう。

四肢重感練習「両腕、両脚が(とても)重たい」

続いて、両腕両脚の重さを感じ取る「四肢重感練習」に入る。

四肢重感練習は利き腕から始める。ほかの腕や脚と比べて、微妙な変化も敏感に感じ取れるからだ。

まずは利き腕全体にぼんやりと意識を向けながら、「利き腕が重たい」という公式を心の中で唱え続ける。右利きの人の場合、公式は「右腕が重たい」となり、左利きの人の場合は「左腕が重たい」となる。

筋肉や気持ちが緊張し続けている状態では、筋肉のコリやハリからくる不快感、痛みを感じとることができても、その部位そのものが持つ重さは感じにくい。

気持ちと体をリラックスさせ、力が抜けることで、腕と脚そのものの重さを自覚することができるのだ。

利き腕の重さを感じられるようになったら、次は反対の腕に意識を向ける。そして「左腕(または右腕)が重たい」と公式を繰り返す。その後、両脚にも同じく意識を向け、公式を唱え続ける。

四肢温感練習「両腕、両脚が温かい」

四肢重感練習を終えたら、「四肢温感練習」に移る。睡眠の質を高めるための簡易版では、これが最後のステップとなる。四肢温感練習も、「利き腕→逆の腕→両脚」の順番で意識を向けて進めていく。

公式でいえば「利き腕(右腕または左腕)が温かい」→「左腕(または右腕)が温かい」→「両脚が温かい」の順番となる。

では、なぜ温かさを感じるのだろうか。実は、筋肉の周りには多くの血管がある。筋肉が緊張して収縮すると、血管の中の血液が押し出される。反対に、筋肉が緩むと、血管が広がって、血液が流れ込んでくる。

血液はこのときに、酸素とともに熱を運んでくる。自律訓練法によって気持ちと体がリラックスすると、筋肉が緩んで血管が広がり、手足が温かくなってくるのだ。

手足が温かく感じるのは、緊張がほぐれ、体の隅々まで血液が行き渡った証拠なのである。初めは、温かさや重たさを感じられるようになるのに各ステップ5分ほどの時間がかかるだろう。

しかし慣れてくれば、3ステップ全体を5分ほどで終えられるようになる。最初は難しく感じるかもしれないが、時間をかけてじっくり取り組んでみよう。

睡眠の質を上げる技術③なぜ睡眠直前の食事は、睡眠の質を極端に落とすのか?

腹いっぱいで寝てはいけないお腹がいっぱいになると眠くなるのなら、それを利用して寝る前に食事をとれば、すぐに眠りにつけると考える人もいるかもしれない。

たしかに、お腹いっぱいになると眠くなるのは事実だが、それは質のよい睡眠とはいえない。空腹状態に比べると、格段に質が悪くなる。

満腹状態になると、「満腹ホルモン」と呼ばれるレプチンが分泌される。レプチンには催眠効果があり、お腹がいっぱいになると眠くなるのはこの作用によるものだ。

しかし、レプチンの主な仕事は、睡眠に誘導することではない。レプチンの「本業」は、食べたものを消化するために胃腸を忙しく働かせること。その状態では脳や体は休まることはなく、睡眠に入っても浅い眠りにしかならない。だから、眠る前に食事をとってはいけないのだ。

帰りが遅い人は夕食を2回食べる

食事をとってから、胃腸の働きがひと段落するまで、約3時間はかかる。そのため夕食は、遅くとも就寝3時間前に済ませておくのがベストだ。

また、脂肪分の多い食事は、消化に時間がかかってしまう。夕食では、脂肪分の多い肉類や揚げ物は控えたほうが好ましい。

どうしても小腹がすいてしまい、我慢ができない場合は、消化のいい食べ物をとるとよい。また、残業などで夜が遅く、夕飯を就寝3時間前以降にしかとれない人は、間食をうまく使おう。

一度にドカ食いするのではなく、19時頃に一度、間食をはさみ、夜はスープなどの消化のよい軽めの食事をとるとよい。

睡眠の質を上げる技術④快眠は、枕とマットレスで決まる

寝返りを制する者が睡眠を制す

昨今の寝具の進歩は目覚ましい。ふとんだけでなく、枕やマットレスなど、快適な眠りを助けるさまざまな製品が開発されている。

CMやテレビショッピングでヒット商品が紹介されていると、つい手を出したくなってしまうが、ちょっと待ってほしい。

寝具はおいそれと買い替えるわけにはいかない大切なもの。自身の体格や骨格に合った寝具を、直接お店で試しながら、じっくりと考えて購入したい。

自分に合った寝具を見つけるために、最も重視したいポイントは、「寝返りの打ちやすさ」だ。

寝返りには、熱や湿気を放出して体温を調整することで心地よく眠れるようにしたり、血液や体液の循環をよくすることで体の回復に備えたり、一定部位だけに圧力がかかり、腰痛や肩こりが起きないようにしたりする効果がある。

寝返りを制する者が睡眠を制すといっても過言ではないくらい、睡眠にとって寝返りは重要なのだ。まずは、マットレスと枕を見直しなさい寝返りがしやすいかどうかの最重要項目は、「マットレス」と「枕」だ。

まず、自宅のベッドで左のように基本姿勢をとり、左右に寝返りの動作をしてほしい。

このとき、上半身と下半身が一体となって動く場合、あなたは適切なマットレスと枕を使っているといえる。

しかし、上半身と下半身それぞれがバラバラに動く場合は、どちらか片方が体に合っていない可能性が高い。

マットレスが合わない場合は、大きく2つの原因が考えられる。まず、低反発マットレスを使用しているケースだ。

低反発マットレスは、横になったときの姿勢が安定する半面、体をホールドしすぎてしまい、寝返りしにくくなってしまう。

個人的には高反発マットレスのほうをオススメしたい。

もうひとつは、同じマットレスをずっと使っていて、マットレスが凹んでいる場合だ。マットレスの形にゆがみがでてしまっている。

これを予防するために、半年に1回は裏表をひっくり返したり、頭とお尻を逆にしたり、部分的な凹みができないようにしたい。

凹んできたら、タオルなどで高さを補うのも効果的だ。それでもやはり、5〜10年に一度は買い替えるようにしたい。

自宅でつくれる高機能枕また、枕も同様で、高すぎたり、低すぎたり、または固さによっても、寝返りの打ちやすさが変わってくる。

実際にお店に足を運び、展示されてあるマットレスコーナーで、先ほどの方法を試し、上半身と下半身が同時に動くものを探したい。

また、枕の場合、横になったときに首が傾いていないかも重要だ。横向きになったときに額、鼻、あご、胸のラインが一直線になっているかを確認したい。

素材面では、夏は通気性のよいビーズやそば殻、冬は保温性の高いウレタンが合う。季節によって枕を変えることで、移り変わる四季に睡眠をフィットさせることができる。

もし自分に合う枕をなかなか見つけられない場合は、16号整形外科の山田朱織院長が提唱する「玄関マット枕」をつくることをオススメしたい。つくり方は次のとおりだ。

硬めの玄関マットとタオルケットを折るだけで、寝返りが打ちやすく、自身の体形、体格に合った枕をつくることができる。

睡眠の質を上げる技術⑤もっとぐっすり眠れる寝具の選び方・使い方

毛布は、上ではなく下に敷く

枕とマットレスが整えば、次は、掛けぶとんだ。掛けぶとんは軽いものがよい。重い掛けぶとんでは、寝返りが打ちづらくなってしまうからだ。

素材は、軽くて、保湿性と吸湿性をあわせ持ったものが望ましい。ベストは羽毛ぶとん。吸湿性・放散性・保温性に優れている。

ただ最近は、化学繊維のモコモコとした掛けぶとんもいいものが出てきている。店員と相談してみよう。

また、寒い冬には毛布を掛けると思うが、毛布は「ふとんと体の間」に掛けるより、「ふとんの上」から掛けるほうが保温効果は高まる。

そのほうが、寝返りも打ちやすい。さらに、あまり知られていないのが「毛布の上に寝る」という方法。

寝ている間は、体の熱が下のほうに逃げやすいので、毛布は「掛ける」より「敷く」ほうが、保温効果は高まるのだ。

毛布を敷く場合、毛足の長いモコモコとした毛布では、寝返りが打ちづらくなってしまう。安物の毛足の短い毛布でよい。

色を変えるだけで、睡眠の質は変わる夏場は涼感タイプのシーツや枕カバーが気持ちいい。ジェルの入っているものもある。

寝ている間は体温が下がるのだが、夏の熱帯夜は体温が下がらないから、寝苦しくなるのだ。涼感タイプの寝具を使って体をひんやりさせ、ちょっとでも放熱させたほうがいい。

また、夏場はシーツの代わりにゴザを使うのもオススメだ。ひやっとして冷たいし、天然素材で体に優しい。いい香りもする。寝返りも抵抗がない。

目に見える部分であるシーツやカバーは、色にもこだわりたい。色には、人間の気持ちをコントロールする力がある。政治家が、スピーチの内容や場所に合わせてネクタイの色を替えているのは有名な話だ。

ぐっすり眠るのに一番適しているのは「緑」。緑は副交感神経に作用し、気持ちを鎮め、興奮を抑えるように働きかける。

とくに、繊細でイライラしやすい人や、不安を抱えやすい人の気持ちを和らげることに抜群の効果を発揮する。

また、高血圧気味の人の睡眠改善にも実績がある。

また、「黄色」もよい。

イメージだけでは、かえって目が冴えてしまいそうな気がするが、黄色も高い睡眠効果を発揮する。黄色には睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を促進させ、深い睡眠を体にもたらす効果があるのだ。

さらに黄色には、判断力や思考力を高める効果もある。

漠然とした不安や悩みごとが頭の中をめぐって眠れないということも、黄色い寝具によって解消するだろう。

そのほかでは、「青」も気持ちを鎮める定番の色。体温を下げる作用もあるので、夏に使うとより効果的だ。

睡眠の質を上げる技術⑥寝酒・寝たばこがもたらす睡眠への悪影響

お酒は寝つきをよくしても、質を悪くする私の患者さんで、「眠れないときにお酒に頼ってしまう」人がいた。

お酒を飲んだ日はすぐに眠れるのに、飲まないと朝方まで眠れないのだという。毎日寝酒をするのは体に悪いとわかっているから、週に1日は休肝日をつくろうとする。

しかし休肝日は、ふとんに入っても眠くならず、目が冴えてしまってなかなか眠れない。だから結局、毎日、寝酒に頼ってしまう。

ここまで重症ではないにしても、「お酒を飲んだ日は寝つきがよい」と感じている人は多い。アルコールに入眠効果があるのは間違いない。しかし一方で、睡眠の質を落とすデメリットもある。

アルコールが睡眠を妨げるメカニズムアルコールが体内で分解されると、アセトアルデヒドという物質ができる。このアセトアルデヒドは、睡眠の邪魔をして、眠りを浅くする作用がある。

お酒を飲んだ次の日の朝、いつまでも眠かったり、昨日の疲れがとれていない感じがするのはこのためである。

しっかりと眠りに入っているように見えて、実際にはその眠りは浅いのだ。また、お酒を飲むと夜中にトイレに起きてしまう人も多いだろう。

これは、睡眠中にバソプレッシンという抗利尿ホルモンが働かないからだ。

私たちは、このホルモンのおかげで、睡眠中にトイレに行かなくてもすんでいる。しかしアルコールには、このバソプレッシンの分泌を抑えてしまう作用がある。

そのため、夜中にトイレに行かざるを得なくなり、睡眠が妨げられてしまう。

アセトアルデヒドの生成と、バソプレッシンの抑制。この両面から、アルコールは人間の睡眠を妨げる作用があるのだ。

お酒好きの人は、就寝3時間前までには飲み終えるようにしたい。

0時に就寝するとしたら、21時がタイムリミット。

付き合いもあってなかなか難しいかもしれないが、3時間の猶予があれば、睡眠への悪影響をかなり小さくできる。

寝たばこは、入眠までの時間を5分延ばす

また、寝酒とともに、寝たばこの習慣も根強い。「就寝前の一服は、気持ちが落ち着いて寝つきがよくなる」ように思えるが、これも誤解である。

確かに、たばこに含まれるニコチンには、覚醒作用と鎮静作用の両方がある。

この鎮静作用が強く働けば、深い睡眠の助けになりそうなものだが、残念ながら強く働くのは覚醒作用のほうだ。ニコチンの体内での半減期は20〜30分。

こちらも寝酒と同じく、何となく気持ちが落ち着いて眠りやすいような気分になっても、就寝30分前からは、たばこを吸わないほうが、実際にはよく眠れる。

最近の実験では、非喫煙者に比べて喫煙者は、ふとんに入ってから寝つくまでの時間が平均5分長く、浅い睡眠の割合が24%増え、深い睡眠の割合は14%減るということもわかっている。寝たばこも厳禁だ。

睡眠の質を上げる技術⑦エアコンはつけっぱなし?それともタイマーでオフにする?

エアコンの夏冬ベスト設定

暑さや寒さが気になって、眠れない人も多いだろう。真夏の熱帯夜。真冬の底冷えする夜。どちらも質の高い睡眠の強敵となる。

夏の寝室のエアコン設定温度は26℃がベスト。この温度が、パジャマを着たときに快適に眠れる上限だ。

できれば、エアコンはつけっぱなしで、朝までこの温度を保ちたい。もし一晩中エアコンを使うのが気になる場合は、タイマーを3時間でセットしよう。

これは、本章の冒頭で触れた、睡眠の質を高めるために重要な「入眠から180分」の質を高めるためだ。

冷房は、直接、体に風が当たることのないように風向きを調整しよう。

一方の冬は、16〜19℃の範囲がベスト。

これ以上室温が低いと、呼吸によって肺が冷やされる。

結果、体温が下がりすぎて、睡眠の質が悪くなる。寝室と居間が別の人は、その気温差にも注意したい。暖かい居間から急に寒い寝室に入ると、交感神経が刺激されて目が覚めてしまう。結果、寝つきが悪くなる。

冬は、寝る1時間くらい前から、寝室の温度を16〜19℃に整えておきたい。

100円ショップで「湿度計」を買いなさい

温度と合わせて気をつけたいのが「湿度」である。人間が最も快適に眠れる湿度は、50%前後。

梅雨や夏の湿度が高い時期は、80%を超えることも珍しくない。一方の乾燥する秋〜冬にかけては、湿度が30%ほどに低下してしまうこともある。

湿度計を買って、部屋の湿度を50%前後にキープできるようチェックしよう。

湿度計は、100円ショップなどで売っている小さくて簡易なもので十分だ。湿度が高い場合は、寝る前にエアコンの除湿機能を使って湿度を下げる。

湿度が低いときは、室内に洗濯物や濡れタオルを干したり、加湿器を使ったりして、湿度を上げる。

観葉植物を置いておくと、植物が部屋の湿度を調整してくれるという実験結果もあるので、模様替えがてら、観葉植物を置いてみるのもよいだろう。

睡眠の質を上げる技術⑧部屋着で寝てはいけない

部屋着がNGの理由

あなたは、普段どのような服を着て、寝ているだろうか。Tシャツやジャージ、スウェットという人が多いのではないか。しかし、そのような「部屋着」で寝てはいけない。

睡眠の質が落ちる可能性があるからだ。

質の高い睡眠を得るためには、リラックスできる服装であることが重要だ。そのためにはまず、体を締め付けないほうがよい。

この点、部屋着は首元や袖口などを締め付けていることが意外と多い。

また、冷える時期に着る部屋着は、ふとんを掛けて寝るには厚手のものが多く、眠ってから体が熱を持ちすぎたり、ごわごわとした感覚を得て目覚めてしまうことも少なくない。

パジャマを着るだけで、夜中に目覚めないパジャマと部屋着での睡眠効率の差について、興味深いデータがある。

ワコールとオムロンヘルスケアが共同で行った実験によると、スウェットやジャージなどの部屋着で寝た期間、夜中に目覚めた回数の平均は3・54回だった。

一方、パジャマを着用して寝た期間の回数は、平均3・01回となった。

パジャマ着用の有無で、夜中に目覚める回数が約15%も変わったのだ。

また、部屋着でふとんに入ったときの入眠までの時間が平均47分だったのに対し、パジャマ着用でふとんに入ったときの入眠までの時間は平均38分。

約9分の時間が短縮されたこともわかっている。

睡眠の質を上げる

パジャマの選び方では、どのようなパジャマを選べばよいのか。素材を選ぶうえで一番重要なのは「着心地」だ。

肌に着けても心地よい素材を選びたい。また、寝汗は夏だけでなく、冬もかく。汗をかくと蒸れるので、通気性がよく、汗を吸いとり、保温性にすぐれた素材がよい。

コットンやシルク素材のパジャマはこれらの条件をクリアしており、オススメできる。多少、値は張るかもしれないが、毎日使い、直接肌に触れるもの。

どうせならいいものを使いたい。また、パジャマはこまめに洗濯しよう。

いいパジャマを買っても、寝汗や皮脂がついたまま、衛生的ではない状態で着用していては意味がない。汚れてくると、吸湿性・吸水性が落ちる。

すると、体から出る熱や汗がうまく放散されず、眠っている間にうまく体温が下がらない。結果的に睡眠の質が落ちてしまうのだ。冬でも2〜3日に一度は洗うようにしたい。

睡眠の質を上げる技術⑨絶対に眠ってはいけない〝魔の時間帯〟

20時過ぎの居眠りは絶対NG!

一日のうちで、人間が眠るのに最も不向きとされている時間帯がある。

それが「睡眠の2〜4時間前」だ。0時に寝る人ならば、20〜22時の2時間である。この時間帯は、帰りの電車の中でウトウト……という人も多いのではないだろうか。しかし、絶対に寝てはいけない。

肝心の夜に眠れなくなったり、夜の睡眠の質を大きく落としてしまうおそれがあるからだ。人間の体は体温が高くなると活動的になり、低くなると動きが鈍くなるという性質がある。

つまり、体温が下がっている時間帯に眠るのが一番自然なのだ。しかし「睡眠の2〜4時間前」は、一日のうちで最も体温が高い時間帯。

仕事の疲れや電車の揺れの心地よさにまかせて眠ってしまうと、体内時計のリズムに狂いが生じてしまう。

結果として、入眠してから180分の間に目覚めてしまうことが多くなるなど、睡眠の質の低下を招いてしまう。

そもそも、体温が高く眠りづらいはずのこの時間に眠くなるのは、日ごろからの睡眠不足が原因。睡眠の質を高め、睡眠不足を解消したい。

睡眠2〜4時間前にすべきこともしもこの時間帯に眠気に襲われてしまったら、ぐっと我慢して、スマートフォンでメールをチェックしたり、ニュースをチェックしたりして、眠気を吹き飛ばそう。

また、体温と睡眠の関係を考えれば、睡眠の2〜4時間前にしっかりと体温を上げておけば、肝心の夜に眠りやすくなる。

体をしっかりと温めれば、眠気が覚めるとともに、本来眠るべき時間に向けて、体温はスムーズに低下する。

一石二鳥だ。オススメは、ウォーキングや入浴。運動や入浴をすると、血行がよくなる。

手足の血行がよくなるということは、脳や内臓の血液が手足にしっかり流れ、そこから熱が放散され、深部体温(体の内部の温度)が下がるということだ。

とくに、健康のためにもこの時間に運動することはオススメできる。体温が高いときは覚醒度が高く、体の運動能力も高まっているからだ。ケガもしにくい。

オリンピックの決勝が夜に多いのは、このような理由もある。きっちりとこの時間帯に体温を上げることで、夜は眠りやすくなる。

それでも改善しないときに疑いたい睡眠の病気とは?

生活習慣がつくりだした「時差ボケ」

ここまで述べてきた「睡眠の質を上げる技術」を使っても、寝つきがよくなかったり、熟睡感を得られなかったり、日中に頭がボーッとしてやる気が起きなかったりする場合には、睡眠の病気も疑われる。

代表的な病気をいくつか挙げるので、気になる症状があるならチェックしてみよう。長期休暇明けなどに多く現れるのが「睡眠相後退症候群」だ。

これは、睡眠時間が日常生活を送るのに適した時間帯よりも、遅い時間帯で固定されてしまっている状態のこと。

夜更かしを続けていたために、体内時計の「睡眠」のプログラムが遅い時刻に設定されてしまったのだ。いわば「セルフ時差ボケ」のような状態である。

自覚症状としては、休み明けに学校や会社へ行くために早い時刻に起きると「頭痛や頭の重さを感じる」「食欲がなくなる」「なんとなく体がだるい」「集中できない」「眠気がとれない」などだ。

早めに対処をしないと、症状が数か月〜数年も続いてしまうことがある。

また、体調不良が慢性的に続くことで、自信がなくなったり気持ちが落ち込んだりして、抑うつ症状につながってしまうこともある。

対応策としては、起床時刻をしっかり定め、夜は思い切って「眠くなるまで、何時になろうとふとんには入らない」という時間療法が有効だ。

「朝6時に起きる」ということだけ定め、深夜2時になっても3時になっても、眠くならないうちはふとんには入らない。

すると、たとえその日の睡眠時間が1時間半ほどしかとれなくても、睡眠時間が足りないために、翌日の夜にはしっかり眠くなる。

眠くなったら早めに寝て、また朝6時に起きる。

起床時刻を定めたまま1週間ほどたったころには、体内時計は元のリズムに戻っているはずだ。

睡眠の質が極端に落ちる「睡眠時無呼吸症候群」

「いびきがひどい」「夜中に何度も目が覚める」「日中に極度の眠気がたびたび襲う」などの症状がある場合は、「睡眠時無呼吸症候群」の疑いがある。

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸の回数が減少する「低呼吸」のために、睡眠障害が起こってしまう病気である。

無呼吸の何が悪いかといえば、睡眠時に無呼吸になると、その瞬間に覚醒状態に切り替わってしまうこと。これにより睡眠の質が下がり、慢性的な睡眠不足に陥る。時間的には長く眠っているので、患者の多くは睡眠不足の自覚はない。

しかし、日中、極度の眠気が襲い、居眠りをしてしまうのが特徴だ。しっかりと睡眠時間を確保しているのに日中の眠気がひどい場合は、早めに医療機関を受診しよう。

軽症のうちは、マウスピースや市販の「いびき解消グッズ」の使用で症状が軽減されることが多い。

日本人の200万人が悩む2つの睡眠障害そのほか、聞きなれない病気ながら多くの人を苦しめているものに「むずむず脚症候群」と「周期性四肢運動障害」がある。

むずむず脚症候群の症状は、脚を虫が這っているような、むずむずとした違和感だ。ふとんの中でも、脚にむずむずとした感触を覚え続け、じっと横になっていることがつらくなり、脚を動かしたり手で掻いたりしてしまう。

寝つきが悪くなってしまうことはもちろん、夜中に起きて再び眠りにつけないという害を引き起こす。

周期性四肢運動障害は、眠っている間に、30秒前後の周期で数秒間、意図せずに足首を動かしてしまう病気だ。こちらも眠りを妨げる。

むずむず脚症候群と周期性

四肢運動障害は、80%以上の人が併発しており、日本では潜在的に200万人以上が苦しんでいるという報告がある。

脚がむずむずして眠れない自覚がある場合は、早めに医療機関を受診しよう。

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