「いつも通り」を維持する習慣引力の法則を知る
まず、早起きに挫折してしまうメカニズムを理解しておきましょう。
私は拙著『30日で人生が変わる「続ける」習慣』(日本実業出版社)の中で、習慣引力という言葉を使って、続かない、やめられない習慣の原則を解説しました。
すでにお読みいただいた方にはおさらいになりますが、大切なポイントなのでご紹介します。
人間の脳には、一定のリズムをいつも通りに保とうとするメカニズムがあります。私は、これを習慣引力と呼んでいます。変化することは脅威なのです。
そこで脳は、安定・安全を維持するために、無意識的に変化を排除して「いつも通り」を維持するのです。よい習慣を始めようと思っても、それは脳や身体にとっては変化であり脅威。
そこで、安定・安全を維持するメカニズムが働き、三日坊主に終わってしまうのです。
あなたが悪いわけではなく、とても自然な挫折といえます。
一方、悪い習慣がやめられないのも、いつも通りを維持する機能から考えれば、やめられない理由がよくわかります。いずれにしても、習慣化は脳がいつも通りの行動だと認識するまで続けることが鉄則です。

1日は25時間?体内時計の仕組み
起きるリズムは、体内時計に影響を受けて現状維持されています。私たちの脳には、1日周期でリズムを刻む「体内時計」があり、基本的なスケジュールを管理しています。つまり、意識しなくても日中は身体と心が活動モードになり、夜は休息モードに切り替わるのです。
簡単にいうと「起きろ」「そろそろ寝ろ」と呼びかけてくるのです。
体温が高いときには、起きて活発に動くようになっていて、逆に体温が低いときには体を休め、眠くなるようになっています。
早起きするには、この体内時計をいかに朝型に習慣づけるかがポイントになります。
つまり、体内時計が「いつも通り」の根源になっているのです。早起きの習慣をつくるということは、体内時計を変えることを意味します。
早起きは身体習慣であり、私は習慣化定着には3ヶ月かかるとお伝えしています。この体内時計を変えていく上で、2つ理解しておくことがあります。
1つ目は、体内時計は25時間のリズムで動いているので、1時間夜更かししやすいようにできています。これをリセットするには朝に日光を浴びることです。
2つ目は、体内時計により、寝て起きるリズムは、体温や臓器の活動・血圧・自律神経・ホルモンの変動で引き起こされているので、いきなり2時間早く寝る、2時間早く起きるというのは無理があるということです。
徐々に変化することがポイントです。いずれにしても、この体内時計に、起きる時間と寝る時間をセットすれば習慣化するのです。体内時計をどのように朝型に変えていくのかについては、第3章で詳しく述べていきましょう。
早起きは習慣化の中でも最も難易度が高い
あらゆる習慣の中で、早起きはとても難易度が高いものの1つです。なぜならば、起きる時間と寝る時間は、複雑な習慣が繋がった結果決まるものだからです。
ここが、学習の習慣や片づけの習慣などと違うところです。
仕事の習慣、人間関係の習慣、家族との時間、平日と土日のリズムの違いなどは、必ずしも自分ですべてコントロールできません。
たとえば、突発的に上司に仕事を頼まれて、残業をして帰ったら24時を過ぎていたということがあるでしょう。
あるいは、会社の歓迎会など絶対に参加しなければならないイベントも、1人だけ途中で帰るわけにはいきません。
家族との土日の予定も、遠方に旅行に出かけ、帰りに予想外の渋滞につかまれば、寝る時間は遅くなっていきます。
このように、色々な習慣が複雑に絡み合って、今のあなたの体内時計に一定のリズムがセットされているのです。
この体内時計をリセットするには、ほかの習慣との整合性が重要になってきます。早起きは単体ではなく、生活習慣全体で考える必要があるのです。
早起きが失敗する8つの原因
それでは、早起きが失敗する8つの原因を押さえておきましょう。
私が早起きをテーマに扱ったコンサルティングの中で、クライアントが陥るケースの多い問題を1つずつ見ていきましょう。
挫折原因❶一気に5時起きにシフトする
習慣化で最も多く挫折するパターンは、ロケットスタートをして、1週間以内に失速することです。
「明日から5時起きするぞ!」と気合いいっぱいに朝型生活に挑むのはいいのですが、7時起きのところを一気に5時起きにすると、体内時計がびっくりします。
やる気はわかりますが、一気に変化しようとすると、それだけ習慣引力の抵抗も大きくなります。
挫折原因❷起きる時間だけを目標にしている
早起きといえば、起きる時間だけに焦点がいきがちです。当然、「5時に起きる!」とか、「いつもより1時間早く起きるぞ!」と目標を立てるでしょう。
しかし、起きる時間だけを早めてもすぐに挫折します。なぜなら、多くの人は寝る時間を変えていないため、寝不足になるからです。
挫折原因❸睡眠時間を削る
寝不足による睡魔との闘いは、まさに地獄。意志と根性にも限界があります。また、充分な睡眠時間を取らなければ、集中力の低下を招きます。
さらに寝不足は、長期的には、肥満・がん・認知症など、多くの病気の引き金にもなると言われています。いずれにしろ、早起きの観点から、睡眠時間を削るのは避けることが重要です。
挫折原因❹生活習慣の全体を一気によくしようとする
先ほど述べた通り、早起き習慣は生活習慣そのものです。
だからといって、仕事の時間や飲み会、土日のリズムなど、すべての習慣を一気によくしようとしても、扱う量が多すぎて大変です。
このように、生活習慣全体を好循環にしたい場合は、あれこれ手をつけず、まずは最も効果のある部分だけをターゲットにすることが秘訣です。
挫折原因❺突発的・イレギュラーの予定に振り回される
早起きが難しいのは、突発的・イレギュラーな予定が発生することが大きな要因です。
たとえば、出張や急な残業、つき合いの飲み会、土日の家族との予定などがあります。一定のリズムで生活を送るわけではありません。
最初はうまく早起きできていても、途中から寝る時間が遅くなり、起きられなくなる。こうして、いつも通りの生活に逆戻りしてしまうのです。
大切なのは、生活をコントロールする「規律」と、イレギュラーに対応する「柔軟性」の両方を兼ね備えることです。
挫折原因❻早起きへの明確なシフトの理由がない
「早起きしたい!」とセミナーに来られる方の中でも、明確な理由がないケースは結構多いものです。「何となく健康的だと思うから……」など曖昧な理由もよく聞きます。
習慣化の道のりは、どんなに技術を使っても、やはりモチベーションが必要です。その続けるモチベーションは「骨太の理由」から来るのです。
なぜ、早起きをするのか?どのようなメリットがあるから、朝型生活にするのか?骨太の理由が、挫折に導く誘惑からあなたを救ってくれるのです。
挫折原因❼手放すものが確定していない
寝る時間と起きる時間を決めて、充分な睡眠時間を確保すると決意したとします。しかし多くの場合、予定よりも寝る時間は遅くなりがちです。
なぜなら、やることを色々詰め込んでいるから。
今までの生活でやっていたことを変えずに、あれもこれもやろうとすると、時間が足りなくなります。それを夜になって気づいて結局、眠れなくなります。
第3章で扱いますが、一度、生活習慣を「見える化」して、増やすもの・減らすものの整理が必要になってきます。本当に大切なことだけに集中する。それ以外は減らす、なくすことが重要です。
挫折原因❽早起き+αを同時にやろうとする
多くの人は、「早起きして勉強する!」「早起きしてジョギングする!」などと習慣目標を決めますが、実は2つの習慣を同時に始めようとしていることに気づきません。
習慣化は1つだけでも大変です。欲張って色々と始めようとすると失敗する原因になります。
さて、ここまで8つの挫折要因を紹介してきました。
あなたにも当てはまるものがあれば、それを解消することで早起きの成功へ大きく前進します。次の章では、これらを上手に解消するための「早起き習慣メソッド」をご紹介していきましょう。
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