絞りの基本的な役割を理解する
光の量やピントの合う範囲をコントロールするのが「絞り」。
絞りの基本的な役割を理解して、撮影に活かせるようになろう。
光の量をコントロール
カメラのレンズには、光の量を制御するための機
構である絞りがついている。この絞りを開閉し光の
量をコントロールすることで、写真の明るさを変えるこ
とができる。また、レンズには、明るさを示すF値と
呼ばれる数値がある。例えば、Fl.4やF4といった
数値のことだ。ほとんどのレンズには、開放F値が
印字してある。開放F値の数値が小さいほど、絞り
を開くことができ、より多くの光を集めることができる。
そのためF値の大きいレンズに比べ、暗い場所での
撮影が有利になる。一般的に、F値の小さいレンズ
を明るいレンズと呼ぶことが多い。
カメラは絞りを開閉することで光の量を調節している。
レンズには開放F値が印字してある。数値が小さいほど、多くの光を集められる。
絞り羽根の枚数と円形絞りによる表現の違い
レンズカタログなどを見ていると、絞り羽根の枚数が
違うことに気づくはずだ。絞り羽根枚数9枚や7枚、5
枚などレンズによって絞りを制御する絞り羽根の枚数
は違う。絞り羽根の枚数が違うと丸ボケの形が変わる。
丸ボケとは点光源がぼけた時にボケが丸くなる現象
のこと。この形は、絞り羽根枚数が多い方がきれいな
円になりやすい。特に、「円形絞り」を採用しているレ
ンズは丸ボケが真円に近くなる。また、点光源を絞り
込んで撮影すると、「光条」といって点光源が筋状に
なる。この光条は絞り羽根枚数が影響しており、奇数
枚であれば絞り枚数の2倍の光の筋が発生する。そ
して、絞り羽根枚数が多いほど線が細くなる。細かな
部分にこだわりたい場合は、絞り羽根の枚数や円形
絞りを採用しているか気にしてみると面白い。
ピントの合う範囲をコントロール
また、絞りにはもう1つの大きな役割がある。それは、
ピントの合う範囲のコントロールだ。ピントの合う範囲
のことを被写界深度といい、絞りを調節することで被
写界深度をコントロールすることができる。絞りを開
けると被写界深度は浅くなり、ピントの合う範囲が狭
くなる。絞りを閉める(絞る)と被写界深度が深くなり、
より広範囲にピントが合うようになる
ピントは点でなく面で合う
ピントというと、被写体のある一部のみに焦点が
合っている印象を受けるかもしれないが、実はカメラ
の撮像面(フィルムやイメージセンサーの面)に対し
て面で合っている。そのため、被写体と同じ距離に
ある物すべてにピントが合うということを覚えておこう。
下の作例を見てみると、瓶に対してカメラが平行な
場合は、絞り開放で浅い被写界深度で撮影しても、
ビント位置と同じ距離の被写体全体にピントが合っ
ている。一方、瓶を斜めから撮影すると、一部の瓶
にしかピントが合わず、ピント位置の前と後はピンボ
ケしていることが分かる。同じ距離にある被写体す
べてにピントを合わせたい場合は、並んでいる被写
体に対して平行に撮影し、ぼかしたい場合は被写
体に対して斜めから撮影すると、簡単にボケを得る
ことができる。
ピントは被写体に対し面で 合う。決して点で合うので はない。
被写体に対して正面から撮影すると、一列す べてにピントが合っている。
被写体に対して斜めから撮影すると、一部に ビントが合い、ビント位置の前後がぼけている
ボケの4要素を理解する
デジタルー眼の醍醐味といえば、やはリボケだろう。 では、ボケを得るためにはどうすればいいか考えてみよう。
ボケを生み出す4要素
写真表現に欠かせない要素の1つがボケだ。被
写体の背景や前景をぼかすことで、被写体を際立
たせることができる。
ボケを得るには、「F値」「焦点距離」「被写体と
の距離」「被写体と背景との距離」の4つの要素が
重要になる。これらの要素を、シーンに応じて上手く
組み合わせることで、イメージに合ったボケが得られ
る。もちろん、ボケを得るのにすべての要素を必要と
はしないが、できるだけ多くの要素が入っている方
がボケを得やすい。もし、どれか1つの条件でぼか
そうとしてもぼけない時は、ほかの要素がぼけにくい
条件になっていることがあるので注意しよう。
例えば、一般的にF値の小さいレンズを開放で使
えばぼけるといわれているが、被写体と背景との距
離が近いとボケを得ることはできない。
マクロレンズや広角レンズ
マクロ撮影の場合は、被写体との距離が極端に
近いため、F値をF16まで絞っても大きなボケを得る
ことができる。広角レンズを使用した場合も被写体
に近づくことでボケを得ることができる。
ボケを得られる条件をしっかりと理解して、一眼な
らではのボケ表現を堪能しよう。
逆にF値の大きいズームレンズなどでも、望遠端 で被写体に近づき、被写体と背景を離すことでボケ を得ることができる。
被写体との距離が近いマクロレンズの場合、F値が大きくて
もポケを得やすい。上の写真撮影時のF値はF13。
F値を小さくすると被写界深度が浅
くなり、ピント位置の前後がぼけやす
くなる。一方、F値を大きくすると被
写界深度が深くなリピントの合う範
囲が広くなる。
ボケを得るには、できるだけ焦点距離の長いレンズを使うとよい。例えば、24-7ommの標準ズームレンズの場合、24mmよ
りも50mmの方がぼけやすい。さらに、200mmなどの望遠レンズにすれば同じF値でもボケは大きくなる。
ボケを得たい場合は、できるだけ被
写体とカメラの距離を縮めるとよい。
被写体に近づけば近づくほと、被写
界深度が浅くなり、ボケが大きくなる。
一方、被写体から離れれば離れるほ
ど、被写界深度が深くなり、ボケが
′Jヽさくなる。
ボケの大きさは、被写体と背景との
距離でも大きく変化する。被写体と
背景が近いと、被写界深度内に被
写体と背景が入ってしまうことがある
ので、ぼけにくくなる。一方、被写体
と背景を離せば離すほどボケは大き
くなるので、ボケを得たい場合は被
写体と背景との距離を意識しよう。
01 遠景のデイテールを しっかり描写する
画面隅々のディテールまで描写したい時はF8付近で撮る
□ 回折現象を防ぐため絞りすぎは避ける
遠景を撮影する場合、手前から奥までしっかリピントを合わせる必要がある「
―‐
般的に考えると、F値を大きく設定し、被写界深度を深くするのが妥当だ、,しかし、
絞り込みすぎると回折現象により描写力がFがり、シヤープさが失われてしまう[レン
ズのシャープネスが高くなるのは絞り開放から約2段だ=絞りすぎに注意しよう.
F8で十分な被写界深度を得られない場合、ズームレンズなら焦点距離を広角側
に設定してみよう.広角にすることで被写界深度は深くなる 単焦′中iレンズでも、被
写体から離れることで被写界深度を深くできるので、足で撮影距離を1洲幣してみよう。
絞りに頼らなくても、被写界深度の法則を理解していれば、風景のディテールまでしっ
かり描写できる(また、被写界深度はカメラのセンサーサイズ(P145参照)が小さく
なるほど、深くなる ここに挙げた|1安は、フルサイズやAPS― Cのセンサーサイズの
カメラを使用した場合のII安[マイクロフォーサーズを搭載したカメラでは、F5.6付
近がフルサイズなどのF8伺近に相当する
「
値となる(、
F8では細部までシャープに描写できているが、F22まで絞った方
は全体的にふんわりとした印象で、シャープさが感じられない。
絞り:F8 シャッター速度:1/125秒 露出補正:± 0
150:100 レンズ:24m m WB:太陽光
インドの寺院をF8に設定して撮影。ズームレンズの広角側で、
被写体から距離をとつて撮影することで建物の細部までしつ
かり描写されている。
ロシャープネスを強めて描写カアップ
被写体のディテールまでシャープに表現したい場合、仕上がり設定の詳
細設定で、シャープネス(輪郭強調)を少し強めに設定する。ただし、強
すぎると被写体のエッジ部分が強調されすぎて、不自然な印象になるの
で注意しよう。
02 光の筋をくっきりシャープに写す
絞りをF5.6~ F8に設定し、光の筋をシャープに写す
アンダー気味に露出補正をかけて光の筋を強調
早朝、富士山の上から光書を見ることができた。地上は霧だったため、雲の隙間を通り抜けた光が光きになっている。
光ととは雲の切れ間などから降り注ぐ太陽光線 が筋になって見える現象だ_厚みのある雲の切れ 間から太陽光が降り注ぐ時、霧や雨上がり、海の上 など、雲の下にある程度の水分があると光線が水滴に散乱し、光の筋ができる。こういったシーンでは、 F5.6~ F8くらいまで絞ると、光の筋をシャープに写 せる 露出を少し暗めにすると光の筋を強調でき、 神秘的になる
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