はじめに
貿易取引は、売買契約締結に至るまでの「契約」の段階と、実際に商品を動かして代金決済を行う「実行」の段階に大きく分けることができます。
本書は、『改訂版はじめての人の貿易入門塾』『改訂版これならわかる貿易書類入門塾』(いずれも小社刊)のレベルアップ版という位置付けです。
すでに貿易実務のプロとして働かれている人、あるいはこれから働き始める人の助けになるよう、「実務の流れ」と「必要な書類の作り方」が一目でわかるようになっています。
Chapter1とChapter2で貿易取引の枠組みや売買契約に至るまでの流れを説明しています。
とくに、貿易取引を行う際に正しく理解しておくべき規則であるインコタームズについては、規則の説明にとどまらず、具体的な使用方法や実務上の留意点も解説しました。
Chapter3からChapter6では、実行段階における各種業務を、輸送、通関、代金決済、保険の切り口に分け、各業務で作成される書類計53点を付して業務の内容と流れを説明しました。
業務の流れをより正確に理解できるように、インボイス、パッキングリスト、税関輸出入許可証、船荷証券、信用状、為替手形、保険証券などの主要書類のデータをリンクさせています。
貿易取引を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、貿易実務の各手続きも進化を続けています。
私自身まだまだ勉強中の身ですが、私の現在までの実務経験と知識を取りまとめた本書が、新入社員から実務経験者のすべての方々の机上の1冊としてお役に立てることを心より願っております。
2021年9月黒岩章
Contents貿易実務完全バイブル
はじめに
Chapter1貿易取引のしくみ
0101貿易取引の主な関係者と業務0102貿易取引の形式0103貿易取引の当事者0104貿易取引書類の役割0105貿易の枠組み①WTO0106貿易の枠組み②FTAとEPA0107貿易に関わる条約や国際的レジーム0108ウィーン売買条約(CISG)0109日本の貿易管理の法体系0110日本の輸出貿易管理0111リスト規制とキャッチオール規制0112日本の輸入貿易管理
Chapter1貿易取引のしくみ
0101Trading貿易取引の主な関係者と業務貿易取引は、輸出者と輸入者との売買契約から始まり、契約の完結までにさまざまな関係者との業務が発生します。
輸出者と輸入者はさまざまな関係者と折衝を行う貿易取引は、商品の売手である輸出者と買手である輸入者が売買契約を結ぶことで始まり、お互いに契約上の義務を果たすことで完結します。
輸出者の義務は契約通りに商品を輸入者に引き渡すことであり、輸入者の義務は商品の引取りと代金を支払うことです。
貿易実務はこの輸出者と輸入者の義務を果たすために必要な各種業務であり、モノとカネと情報の流れを効率よく進めるために作り上げられてきたしくみといえます。
輸出者と輸入者の業務輸出者が義務を果たすためには、商品を製造あるいは仕入れて準備するほか、梱包や船積港までの国内輸送・輸出通関手続きを代行する海貨・通関業者、輸出許可審査を行う税関、仕向港までの貨物輸送をする船会社や航空会社などの輸送業者、代金決済業務を引受ける銀行、輸出規制の対象となっている商品であれば許認可を審査する関係省庁など、さまざまな関係者との業務が発生します。
同じく、輸入者が義務を果たすためには、代金決済業務を引受ける銀行、輸入通関手続きや貨物を引取る手続きを代行する海貨・通関業者、輸入審査や関税の徴収を行う税関、貨物保険を引受ける保険会社など多くの関係者との業務が発生します。
これら一連の業務が輸出者と輸入者にとっての貿易実務であり、商品、輸送手段、輸送ルート、契約内容などによりさまざまな内容となります。
0102Trading貿易取引の形式貿易取引には、本書で取扱う商品の売買取引のほかに、モノの動きを伴わないサービス貿易や投資なども含まれます。
モノの貿易モノの貿易は、契約当事者や契約形態により分類されています。
直接貿易と間接貿易直接貿易は、製造者(売手)や需要家(買手)が自ら輸出者または輸入者となって海外取引先と直接貿易取引を行う形態です。
間接貿易は、貿易商社を介して行う貿易形態です。
直接貿易は中間マージンを削減できたり、海外取引先の情報をより接近してつかめるメリットがありますが、貿易取引に係る与信リスク、契約リスク、輸送リスク、為替リスクなど多くのビジネスリスクを負います。
間接貿易は貿易商社の広い海外ネットワークを利用して仕入先や販売先情報を取得でき、リスクの多くを貿易商社にヘッジすることができますが、相応の中間マージンの支払いが発生します。
仲介貿易海外A国からB国へ輸出取引を行う貿易取引を日本企業が仲介する形態で、三国間貿易とも呼ばれます。
商品はA国からB国へ直送されますが、代金決済は日本の企業が仕入先、販売先とそれぞれ行います。
委託加工貿易海外から原材料を輸入して、国内で加工後に製品として輸出する貿易形態を順委託加工貿易といいます。
反対に、海外に原材料を輸出し、加工された製品を輸入する形態を逆委託加工貿易といいます。
個人輸入個人が自己の消費のために海外から小口輸入を行う形態です。
サービスの貿易サービス貿易の特徴は、モノの移動を伴わないこと、生産と消費が同時に起こるということにあります。
WTO協定の一部であるサービスの貿易に関する一般協定(GATS*)では、サービス貿易を4つの取引形態に分類しています。
第1モード国境を超える取引提供者が自国からサービスを提供する形態で、テレフォンセンターの海外へのアウトソーシングなどがあげられます。
第2モード海外における消費消費者が提供国に移動してサービスを受ける形態で、海外旅行による消費などがあげられます。
第3モード業務上の拠点を通じてのサービス提供者が消費国に設けた拠点を通じてサービスを提供する形態で、銀行の海外支店による金融サービスなどがあげられます。
第4モード自然人の移動によるサービス提供提供者が消費国に移動してサービスを提供する形態で、外国人演奏家によるコンサートなどがあげられます。
0103Trading貿易取引の当事者貿易取引で発生する危険や損益は本人(Principal)に帰属します。
貿易取引の当事者モノの貿易取引の当事者は、売買契約を結ぶ輸出者(売手)と輸入者(買手)であり、取引に係る危険や損益は当事者本人(Principal)に帰属します。
一般的に輸出者や輸入者は海外の代理店(Agent)と契約したり、販売店(Distributor)を設けてマーケティングや営業活動を行います。
代理店と販売店代理店は、輸出者や輸入者との代理店契約に基づいて各種活動を行いますが、販売活動に係るリスクや損益はあくまでも本人である売手や買手に帰属します。
代理店は、業務の対価として代理店手数料(AgentCommission)を受領します。
ある一定の地域を独占して代理店業務を引受ける場合は、総代理店(SoleAgent)または独占代理店(ExclusiveAgent)と呼ばれます。
一方、販売店は、販売活動に係るリスクや損益を販売店が負担する契約形態で、売手との販売店契約に基づいて商品を購入して第三者に販売します。
販売店は販売価格の設定を自ら行い、その結果生じる損益は販売店に帰属します。
大手企業の海外現地法人の多くは、販売店として機能しています。
ある一定の地域を独占して販売店業務を引受ける場合は、総販売店(SoleDistributor)または独占販売店(ExclusiveDistributor)と呼ばれます。
0104Trading貿易取引書類の役割貿易取引では書類がモノとカネの流れを仲介します。
船積書類(ShippingDocuments)貿易取引では業務を行った証としていろいろな書類が作成されます。
輸出者が船積みを行った証拠として輸入者に送り、代金決済の証拠となる書類は船積書類と呼ばれます。
船積書類を「モノの代役」として流通させることにより、モノの流れとカネの流れを仲介する役割を果たしています。
主な船積書類にはインボイス、パッキングリスト、原産地証明書、保険証券などがあげられます。
各業務の書類船積書類のほかにも、貿易手続きを行う過程では申請書、許可証、証明書、指示書、保証状、報告書などさまざまな書類が作成され、それぞれの役割を果たしています。
輸送業務の書類一般的な書類(重量容積証明書、機器受領書、海上運送状、輸入貨物引取保証状、到着案内)、コンテナ船関係(コンテナロードプラン、ドックレシート、デリバリーオーダー、デバンニングレポート)、在来型貨物船関係(用船契約書、船積指図書、メーツレシート、リマーク消し保証状、荷渡指図書、ボートノート)、航空輸送関係(航空運送状、リリースオーダー)など。
通関業務の書類船積依頼書、輸出入許可通知書(税関)、輸出入承認許可申請書(官公庁)など。
決済業務の書類船積書類、外国送金依頼書、為替手形、信用状など。
保険業務の書類貨物海上保険申込書、クレーム通知書、サーベイレポート、貿易一般保険申込書、賠償責任保険証書など。
0105Trading貿易の枠組み①WTOWTOはGATTの多角的貿易体制を受け継いだうえで、さまざまな国際通商ルールを話し合う機関として機能しています。
WTOは貿易管理体制の基盤保護主義的な経済ブロック化が第2次世界大戦の一因になったとの反省を踏まえて、1948年、貿易の自由化を目指すGATT*1(関税及び貿易に関する一般協定)体制が敷かれました。
日本は1955年にGATTに加入しました。
GATTは国際機関ではなく暫定組織として運営されていました。
その後、GATTのウルグアイ・ラウンド交渉(1986年~1993年)で、貿易管理体制の確固たる基盤の必要性が求められ、マラケシュ協定により常設の国際機関としてWTO*2(世界貿易機関)の設立が合意されました。
WTOはGATTの多角的貿易体制を継承しつつ、さらにアンチダンピングやセーフガードなどの貿易ルールの拡充、サービス貿易・知的所有権・投資措置など新しい分野の協定、紛争解決手続の強化など、物品貿易だけではなく包括的な国際通商ルールを協議する機関として機能しています。
WTOに加盟するには、物品やサービスの市場アクセス自由化やWTO協定を順守する国内体制の整備が求められます。
閣僚会議が最高意思決定機関WTOの最高意思決定機関は閣僚会議で、WTO協定では少なくとも2年に1回は開催することとなっています。
0106Trading貿易の枠組み②FTAとEPAFTAやEPAのしくみは企業のグローバル化を推進しています。
自由貿易協定と経済連携協定貿易の自由化推進はWTOの枠組みによる全体交渉のほかに、特定国間で結ぶ自由貿易協定FTA*1や経済連携協定EPA*2が行われています。
FTAは、「特定の国や地域の間で物品の関税やサービス貿易の障壁削減・撤廃することを目的とする協定」で、EPAは「貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、さまざまな分野での協力の要素を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定」です。
WTO協定ではすべての加盟国に対して等しく関税をかける最恵国待遇(MostFavoredNationTreatment)の原則がありますが、FTAやEPAは実質上すべての関税撤廃などの一定条件のもとでこの原則の適用を除外し、貿易自由化をさらに推進するためのしくみです。
日本は、経済、外交、政治を含めた広い範囲でのメリットが期待できるEPAの締結を指向しており、日・シンガポールEPA(2002年発効)をはじめ各国とのEPA締結および交渉を行っています。
EPAは主として2国間の協定ですが、複数国間と協定することもでき、世界各地で交渉が行われています。
日本が初めて結んだ複数国間のEPAは「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP*3)協定」(2008年発効)で、その後もTPP11(2018年発効)、日EU・EPA(2019年発効)と拡大しています。
複数国間で結ぶFTAやEPAは、調達先の自由度を高める効果がありますので、企業のグローバル調達・製造を支えるしくみとなっています。
0107Trading貿易に関わる条約や国際的レジーム地球規模の環境保護や武器の拡散防止の観点から、さまざまな条約や協定が設けられています。
国際条約と規制貿易の自由化はWTO協定のもとで推進されています。
しかし一方で、環境や動植物の保護、あるいは武器の拡散防止や安全保障など、世界規模で管理が必要な事柄については、条約や規制が設けられています。
ワシントン条約*1絶滅の危機に瀕する動植物の保護を目的として1975年に発効した条約で、野生動植物の種の絶滅のおそれの程度に応じて附属I、Ⅱ、Ⅲを作成して国際取引の規制を行っています。
動植物本体に加えて毛皮、ベルト、漢方薬など加工品も、規制の対象となっています。
旅行者による帰国時持込みも当然ながら規制の対象で、空港の出国カウンター近くに注意を促すショーケースが見受けられます。
バーゼル条約*2有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分を規制する条約(1992年発効)で、日本は1992年に国内法として「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」(通称バーゼル法)を制定し、1993年に加盟しました。
インボイスに無害な品目を記載したにもかかわらず、実際は有害廃棄物を架空の輸入者宛に輸出するという国際的な不法投棄事件の発生を契機として本条約は制定されました。
税関では、このような不正輸出を阻止するため、コンテナ全体をX線検査する装置も導入しています。
モントリオール議定書*3オゾン層の保護のためのウィーン条約に基づいて、オゾン層を破壊するおそれのある物質を指定して製造、消費、貿易を規制する国際的な環境保護目的の取決めで、1987年に採択されました。
地球の成層圏にあるオゾン層は、地表の動植物にとって有害な波長の太陽紫外線を吸収し生態系の保護に役立っています。
このため、電子部品の洗浄剤や消火剤等に使用されていたオゾン層を破壊するおそれのある物質(特定フロン、ハロン、四塩化炭素など)の大気中への排出を抑制するために貿易も規制されているものです。
日本の場合は、オゾン層破壊物質の輸出入には経済産業大臣の承認が必要です。
ワッセナーアレンジメント*4武器や大量破壊兵器転用物の拡散防止を目的とした規制(1996年)で、日本は外為法(輸出貿易管理令)に落とし込んでリスト規制とキャッチオール規制を行っています。
0108Tradingウィーン売買条約(CISG)CISG加盟国との貿易取引には、ウィーン売買条約が適用されます。
ウィーン売買条約とはウィーン売買条約(CISG*)は国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が制定した国際物品売買契約に関する条約で、1988年に発効しました。
日本は2008年8月に加盟、2009年8月1日より本条約が発効しています。
本条約は、前文と本文101条からなる4部構成となっており、貿易取引における売買契約成立の有無と売主・買主の権利義務について定めています。
それ以外の事項、たとえば所有権の移転時期などについては売買契約の準拠法に規律されます。
この条約は企業間の物品の売買契約に適用されますので、貿易取引相手国が本条約の加盟国であれば条約が適用されます。
一方で、この条約は強制法規ではなく任意法規ですので、契約当事者が合意すれば、本条約の適用を排斥あるいは変更することができます。
すなわち、契約当事者がインコタームズの適用を契約書で合意すれば、インコタームズ規定が本条約に優先して適用されます。
ただし、本条約が規定している範囲はインコタームズよりも広いので、契約成立の要件や契約違反に関わる事項などインコタームズの規定外の事項は本条約が適用されます。
インコタームズ採用の表現例貿易条件として表示する例:CIPContainerTerminal,PortofShanghai,INCOTERMS2020採用合意条項を契約書に入れる例:ThetradetermsusedinthiscontractshallbeconstruedandgovernedbyINCOTERMSlatestversionCISGと日本の国内法との関係本条約の規定には日本の民法や商法と異なる点があります。
たとえば、契約成立の時期は、日本の民法では承諾の意思表示が発信されたときですが、本条約では承諾の意思表示が申込者に到達したときと規定されています。
そのほか、瑕疵担保や契約解除などの規定にも違いがあります。
これらの相違点は契約で排除しない限り、本条約の規定が適用されます。
*CISG:UnitedNationsConventiononContractsfortheInternationalSalesofGoods
0109Trading日本の貿易管理の法体系外為法が基本となり、各種法律により詳細が規定されています。
外為法と関税関係法令3法日本の貿易管理は、「外国為替及び外国貿易法」(通称外為法)が基本法となり、外為法下の政令である「輸出貿易管理令」「輸入貿易管理令」および「外国為替令」にて具体的な輸出入貿易の規制が定められています。
また、外為法のほかにも食品衛生法などの輸出入関連法が定められています。
輸出入通関に関する諸手続きや関税については、関税関係法令3法(「関税法」「関税定率法」「関税暫定措置法」)が定められています。
関税法では、関税関係法令以外の輸出入に関する許可・承認を定める法令(外為法も含む)は他法令と呼んでおり、他法令で規制を受ける商品を輸出入しようとする場合は、税関手続きを行う前に、その法律を管轄する省庁より許認可を受けておく必要があります。
0110Trading日本の輸出貿易管理日本からの輸出は、輸出貿易管理令と外国為替令を中心に管理されています。
外為法の輸出貿易管理令による貨物輸出の管理外為法の輸出貿易管理令では、輸出に際し許可あるいは承認を必要とする品目を規定しており、別表1と別表2としてリストアップしています。
別表1は大量破壊兵器や通常兵器の輸出を規制する内容で、輸出に際しては経済産業大臣の許可を取得する必要があります。
別表1の第1項から第15項にはリスト規制品が記載され第16項にキャッチオール規制が規定されています。
別表2にはワシントン条約やバーゼル条約など国際的に管理されている品目や日本の産業保護を目的とした品目などが規定されており、輸出に際しては経済産業大臣の承認を取得する必要があります。
外為法の外国為替令による技術提供の管理外国為替令は、外国において技術を提供する行為や、国内において非居住者に技術を提供する行為に対して、許可あるいは承認を必要とする技術(プログラムの概念も含む)を規定しています。
規制される技術は、外国為替令別表の第1項から第15項にリスト規制技術が記載され、第16項にキャッチオール規制が規定されています。
その他の輸出入関連法による管理外為法のほかに、不公正な輸出取引の防止を目的として相手国の工業所有権や著作権を侵害する貨物や虚偽の原産地を表示した貨物など不正な輸出取引を禁止する輸出入取引法(経済産業省)や、文化財保護法(文化庁)、植物防疫法(農林水産省)など各種法律が制定されています。
▶貨物の輸出貨物が日本から外国に出ていくこと。
送出す「形態」「理由」「価格」は問いません。
●貨物輸出の例・商取引でコンテナ船で輸送(典型的な輸出)・サンプル品を無償で海外に郵送した。
・輸入した商品を返品するために返送した。
・海外子会社の工場へ修理部品を送付した。
・個人旅行で手荷物を持出した。
●貨物輸出の時点・船舶への船積み、航空機への搭載の時点。
▶技術の提供①技術を外国で提供すること。
相手は居住者、非居住者を問わず、誰でも対象。
②技術を日本国内で、非居住者に提供すること。
●技術提供の例・海外オフィスで日本人出向者に設計図を渡した。
・オンラインストレージに保管した技術を海外でダウンロードさせた。
・海外駐在員の一時帰国時に技術情報を渡した。
●居住者、非居住者の判定
0111Tradingリスト規制とキャッチオール規制日本の輸出安全保障貿易は、リスト規制と、それを補完するキャッチオール規制の2段構えで管理されています。
輸出安全保障貿易管理体制日本の輸出安全保障貿易管理は、貨物の輸出については輸出貿易管理令にて、技術の提供については外国為替令にて規制されています。
リスト規制(ListControl)輸出しようとする貨物や提供しようとする技術の仕様をリスト化して規制する制度で、貨物が輸出貿易管理令別表1の第1~15項に該当する場合、および技術が外国為替令別表の第1~15項に該当する場合には、経済産業大臣の許可を必要とする制度です。
本規制は世界全地域向けを対象としており、輸出先が自社の海外工場や日系企業であっても規制対象となります。
キャッチオール規制(CatchallControl/EnduseControl)キャッチオール規制はリスト規制を補完するしくみで、リスト規制対象外のすべての貨物と技術を対象として、大量破壊兵器や通常兵器の開発等に用いられる可能性のある需要者および国や地域向けの輸出を規制しています。
この規制に該当する要件には次の2通りがあります。
1インフォーム要件(経済産業省の判断)経済産業省から許可を取得するよう通知を受けた場合に適用されます。
2客観要件(輸出者の判断)①用途要件:輸入先において大量破壊兵器や通常兵器の開発等*に用いられるおそれがあると輸出者が判断した場合に許可を取得します。
②需要者要件:輸入者や需要者が大量破壊兵器や通常兵器の開発等を行う(行っていた)と輸出者が判断した場合に許可を取得します。
なお、明らかに大量破壊兵器や通常兵器の開発には用いられない食料品や木材等はキャッチオール規制の対象外となっています。
0112Trading日本の輸入貿易管理日本への輸入は、輸入貿易管理令で管理されています。
外為法、輸入貿易管理令による管理輸入貿易管理令では、輸入に際し承認あるいは確認を必要とする品目を規定しており、輸入公表第一号、第二号、第三号としてリストアップしています。
輸入公表第一号(輸入割当制度IQ*品目)輸入量の制限を行う非自由化品目として輸入割当品目を規定しており、輸入に際しては経済産業大臣の割当・承認を取得する必要があります。
たらこ、のりなどの水産物や国際協定であるモントリオール議定書附属書に定められている規制物質などがリストされています。
輸入公表第二号(原産地・船積規制制度)特定の原産地または船積地域からの特定貨物を規定する「2号承認」と原産地や船積地域にかかわらず特定の貨物を規定する「2の2号承認」があり、いずれも輸入に際しては経済産業大臣の承認を取得する必要があります。
前者には中国、北朝鮮および台湾を原産地または船積地域とするさけ、ます、並びにこれらの調製品など、後者にはワシントン条約附属書Ⅰに掲げる動植物などがリストされています。
輸入公表第三号(事前確認・通関時確認制度)輸入前に所轄大臣の確認が必要な事前確認品目と、輸入通関時に税関で確認を受ける通関時確認品目を規定しています。
前者には文化財(文化庁)、後者には農薬などがリストされています。
関税関連法による管理関税法では、覚せい剤、けん銃、有価証券の偽造品、特許権や実用新案権などの知的財産権を侵害する物品などの輸入が禁止されています。
その他の輸出入関連法による管理上記法令のほかにも、薬事法、植物防疫法など多くの法律においても輸入が禁止あるいは検疫や許可・登録が必要なものがあります。
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