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第九章 輸出オファー価格の算定方法とオファーシート・価格表

目次

第九章 輸出オファー価格の算定方法とオファーシート・価格表

  • 1.輸出オファー価格の算定方法
  • (1)商品の製造・販売原価
  • (2)表示ラベルの費用を算定する
  • (3)輸出梱包コスト
  • (4)各種許可証・証明書等取得費用
  • (5)原産地証明書
  • (6)引渡場所までの運送費(EXW・FCA・FAS・FOBの場合)
  • (7)検査費用・輸出通関費用・船積諸掛りおよび仕向地までの運送費(CPT・CIP・DAP・DPU・DDP・CFR・CIFの場合)
  • (8)銀行決済諸掛り
  • (9)貿易保険料
  • (10)PL保険料
  • (11)損害保険料
  • (12)仕入れに関わる還付消費税
  • (13)費用発生から代金回収までの金利
  • (14)利益
  • (15)米ドル建て価格
  • 2.オファーシートと価格表
  • (1)オファーシート
  • (2)価格表

第九章 輸出オファー価格の算定方法とオファーシート・価格表

貿易知識のない企業が、海外バイヤーと商談して、バイヤー側から「この商品の値段はいくらですか?」と聞かれると、「工場出し値で○○円です」とか、「国内での卸値は○○円です」と、答えているケースを数多く見てきました。

しかし、これで成果があがるのは、ごく稀なケースでしかありません。

「貿易の基本」を知らずして、取引先候補と商談しても、会社経費の無駄使いに終わるだけです。

海外バイヤーと商談したり、具体的な取引を期待して、海外展示会に出展したりするのであれば、インコタームズの定型取引条件を使った価格を提示できなければ、商談になりません。

この章では、コンテナ貨物の輸出価格を算定する方法とオファーシート・価格表について学びます。

1.輸出オファー価格の算定方法輸出オファー価格の算定は、重要な貿易の実務です。

輸出商品に関わるコストは、売買契約が成立して契約が履行されれば、最終的には買主が全部負担することになります。

しかし、輸出オファー価格に、コスト算入漏れがあれば、その部分のコストは売主が自腹を切ることになります。

輸出オファー価格の算定は、遺漏のないように、すべてのコストが、織り込まれるようにしなければなりません。

(1)商品の製造・販売原価輸出する商品が自社製造品の場合は、「製造原価」に「販売費」と「一般管理費」を加算して「製造・販売原価」を算出します。

外部から購入した商品を輸出する場合は、仕入原価に販売費と一般管理費を加算した金額が、「仕入・販売原価」となります。

「販売費」と「一般管理費」のコスト算入を見落としていると、輸出すればするほど、赤字になってしまうこともあり得るので、これらは、必ずコストとして算入するようにしましょう。

(2)表示ラベルの費用を算定する商品によっては、輸出先国(地域)の法令によって、決められた項目を、その国(地域)の言語で、包装上に表示することが義務付けられています。

このような商品では、輸出商品の包装を新たに作るための費用がかかります。

これも工場出荷前にかかるコストとして、パッケージやラベルの印刷業者に見積もってもらい、工場出し値(EXW価格)の中に算入するようにします。

(3)輸出梱包コスト輸出梱包は、長距離の輸送に堪えることができる、丈夫な梱包でなければなりません。

強度が弱い梱包をして輸出し、輸送途上で荷崩れなどが起きても、保険会社は、荷崩れとなった原因は、輸送が開始する前からあったもので、輸送に起因するものではないとして、保険による賠償を認めてくれません。

ですから、国内販売で使っている梱包よりも、強度の高い梱包が必要です。

梱包資材の供給業者に、見積もってもらいます。

上記(1)~(3)(下記「輸出価格の算定」の表では①~③)の合計金額が、EXW(工場渡し)価格となります。

(輸出価格の算定)

(4)各種許可証・証明書等取得費用日本から輸出するために、日本の関連法令で、証明書や許可証を取得しなければならないものがあります。

例えば、経済産業省が行っている、安全保障貿易管理に抵触する恐れのある貨物を輸出するには、経済産業大臣の許可が必要です。

詳しくは「第十一章 貿易における22種類のリスク」で解説します。

その他、文化財保護法、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚醒剤取締法、狂犬病予防法、家畜伝染病予防法、植物防疫法、道路運送車両法などの法令が定める規制品目の貿易には、それぞれ関係官庁の認可が必要です。

これらの関連法令を、「その他法令」と総称しています。

「その他法令」が定める証明書等の中には、フォワーダーが手配してくれるものもありますが、基本的に税関への輸出申告をする前に、売主が取り揃えてフォワーダーに渡します。

また、国(地域)により、あるいは輸出アイテムにより、動物検疫合格証明書や植物検疫合格証明書、放射線物質検査証明書、衛生証明書などを必要とする場合もあります。

(5)原産地証明書原産地証明書については、「第二章 国際物流の基礎知識」→「4.物流に関わる重要な書類」→「(2)船積書類」→「④原産地証明書」で説明しましたとおり、「一般原産地証明書」、「特定原産地証明書」(第一種と第二種)および「特定原産品申告書」の3種類があります。

必要により、売主が手配します。

なお、EPA協定に基づく原産地証明書の発給は、手続きの煩雑さ等の要因で、利用可能なケースの約半分程度しか利用されていないようです。

買主側の仕入コストを低減して、商品の販売競争力を直接的に高めることができる重要な書類ですから、世界のコンペティタ-との競争力を最大限に発揮するためにも、EPA協定に基づく原産地証明書が活用できる時は、是非活用するようにしましょう。

(6)引渡場所までの運送費(EXW・FCA・FAS・FOBの場合)EXWまたはFCA契約の場合で、自社工場か自社倉庫でバンニングするのであれば、「引渡場所までの運送費」は発生しませんが、その場合であっても、FCA契約であれば、売主に積込費用が発生します。

積込費用も輸出コストの一部です。

EXW契約の場合は、買主が輸送車両に積み込みますから、売主に積込費用の発生はありません。

EXW契約やFCA契約で、貨物の「引渡場所」が、CFSやCY等の外部の場所であれば、そこまでの運送費は売主の負担です。

自社の運送手段で輸送するのであっても、そのコストは自社で計算します。

外部の運送会社に輸送を委託するのであれば、運送会社に輸送費用の見積もりを依頼します。

国内運送業もかねているフォワーダーであれば、フォワーダーに見積りを依頼します。

FAS契約の場合は、売主が、「引渡地点」である本船船側に貨物を置くまでの運送費用を負担します。

FOB契約であれば、貨物の引渡時点は、本船船上に貨物が置かれた時ですから、それまでの運送費用と船積費用は、売主の負担です。

フォワーダーが指定する港湾内の場所まで、自社の運送手段で輸送するのであれば、そのコストは自社で算出します。

外部の運送会社に輸送を委託するのであれば、運送会社にその費用の見積りを依頼します。

国内運送業をかねているフォワーダーであれば、フォワーダーの手配で、貨物を引き取りに来てもらうことも可能です。

この場合、フォワーダーに見積もってもらいます。

(7)検査費用・輸出通関費用・船積諸掛りおよび仕向地までの運送費(CPT・CIP・DAP・DPU・DDP・CFR・CIFの場合)EXW以外の定型取引条件で契約する場合、売主は、輸出通関手続きをして、輸出許可を取得する義務を負います。

売主は、通常、これらの業務をフォワーダーに委任します。

EXW契約の場合、売主は国内取引となりますから、フォワーダーからの見積もり取得は不要ですが、EXW以外の定型取引条件では、売主はフォワーダーに、輸出のための数量・重量などの「検査費用」、「輸出通関諸費用」、「船積諸掛り」の見積もりを依頼します。

更に、CPT・CIP・DAP・DPU・DDP・CFR・CIF契約の場合、売主は仕向地までの運送費を負担しますから、フォワーダーに書面で見積もってもらいます。

税関に支払う「輸出申告費」などは定額ですから、どのフォワーダーの見積もりでも同じ料金ですが、運送費用やフォワーダーの手数料などは、フォワーダーによって同一料金とは限りません。

複数のフォワーダーから、見積書を取って、比較検討することをお勧めします。

CPTまたはCIP契約であれば、「指定仕向地までの運送費」を、フォワーダーに見積もってもらいます。

(8)銀行決済諸掛り決済のための費用は、銀行から見積書か料金表を取り寄せます。

決済方法によって、費用が大きく違いますから、決済方法を決めて相談するようにします。

契約書の銀行諸掛りの条項で、「すべての銀行費用は売主が負担する」となっていれば、買主が開設するL/Cの開設費用やアメンド費用まで、売主が負担することになります。

後述する契約書の記載内容にも注意が必要です。

(9)貿易保険料NEXIに貿易保険料を問い合わせます。

取引している金融機関が、NEXIと提携関係にある場合、その金融機関を通じて、NEXIに「中小企業・農林水産業輸出代金保険」を申し込めば、保険料が10%割引になります。

(10)PL保険料製造物責任(ProductLability:PL)保険をかける必要がある場合、各地にある商工会議所に加盟している中小企業であれば、商工会議所の「中小企業海外PL保険制度」を利用できます。

申込窓口は、損害保険会社となっていますから、所属している商工会議所に確認したうえで、その保険会社に見積もってもらうようにします。

(11)損害保険料「第五章 物流リスク」の「3.損害保険の種類」、「(4)売主・買主がかけるべき保険」にあるように、物流リスクをヘッジするための損害保険は、売主も買主も必ずかけます。

CIP・CIFとDで始まる定型取引条件(到着ベースの定型取引条件)を使って契約する場合は、売主が外航貨物海上保険をかけ、買主は(必要であれば)国内運送保険をかけて、貨物が国際間を移動している間は、必ず保険がかかっている状態にします。

FCA、CPT、FAS、FOB、CFRの場合は、売主が国内保険を付保し、買主が外航貨物海上保険をかけます。

但し、FCAまたはCPTでの契約で、売主の工場や倉庫でバンニングしたり、トラックに積んだりする場合、買主が工場・倉庫を起点とする外航貨物海上保険をかければ、バンニングする際に、貨物がフォークリフト等から落下して破損しても、買主が付保する外航貨物海上保険でカバーされます。

そのため、売主は「無保険」で構わないのですが、FCA・CPT契約では、買主は売主に対して、保険をかける義務は負っていないため、買主が保険をかけていなければ、売主も救済されないことになります。

損保会社に、荷渡場所(指定地)までの損害保険料の見積もりを依頼するか、あるいは、フォワーダーが損保会社の代理店をやっていれば、フォワーダーに見積もりをお願いすることもできます。

(12)仕入れに関わる還付消費税消費税課税業者は、輸出売上や国際輸送料に対する消費税が免除されます。

輸出免税を受けるためには、輸出許可書などの書類が輸出取引の証明として必要です。

輸出商品には、商品や原材料を仕入れる段階で、消費税と地方消費税が含まれています。

そのため、輸出した場合、消費税申告の際に、仕入税額の控除を起こすことによって、輸出商品のコストが減額となります。

(13)費用発生から代金回収までの金利輸出商品を製造あるいは調達した時から、輸出した商品の代金が入金するまでの期間の金利計算をします。

計算対象の期間は概算で構いません。

銀行から借り入れを起こしていなくても、仮想金利としてコスト算入します。

(14)利益以上(1)~(13)の合計額に、利益を加算すると、日本円建ての輸出オファー価格になります。

(15)米ドル建て価格想定レートを設定したうえで、米ドル価格を算出します。

①想定レートの設定円建ての価格が出たら、安全を見て、現状のドル/円の為替レートから3~5円程度円高の為替レートを想定レートとして設定します。

②米ドル価格算出上記(14)で算出した円建て価格を上記想定レートで割れば、米ドル建てのオファー価格が出ます。

商談中、実勢レートの方が、想定レートより円安で推移していれば、この想定レートで算出した米ドル建ての価格を維持しながら、商談を進めます。

2.オファーシートと価格表輸出オファー価格を算出したら、商談時に使う「オファーシート」(サブコン条件付き)を作成します。

単品の商売であれば、「オファーシート」の様式が便利ですが、商品が複数あったり、同じ商品でも梱包ごとに入り数が異なったりする場合、商品ごとあるいは梱包ごとの価格を算出して、一覧性のある価格表(Estimate)を作ると良いでしょう。

(1)オファーシート単品の場合、オファー価格が算出できたら、レターヘッドを使ってオファーシート(サブコン)を作ります。

レターヘッドとは、用紙のヘッダー(またはフッター)に社名、住所などを入れた用紙のことです。

(オファーシートの例)

(2)価格表商品が複数あったり、同じ商品でも梱包ごとに入り数が異なったりする場合は、商品ごとあるいは梱包ごとの価格を算出して、一覧性のある価格表(Estimate)を作成します。

やはり、レターヘッドを使います。

(価格表の様式例)

①MOQ(最少発注可能数量:MinimumOrderQuantity)売主には、モノにより「最少出荷数量」があるでしょうし、フォワーダー側でも、モノにより「最少輸送引受数量」を設けているでしょう。

ですから、少なくともフォワーダーの「最少輸送引受数量」を確認したうえで、自社としてこれ以下の数量の注文はお受けできませんというMOQ(MinimumOrderQuantity:。

②梱包(Packing)コンテナ輸送では、コンテナへの積載可能数量を算出するため、外包装(OuterCarton)のサイズと風袋込みの重量(GrossWeightperCarton)を明示すると便利です。

③サブコンオファー価格はサブコンであることを明記(Abovepricesaresubjecttoourfinalconfirmation)しています。

支払い条件と船積時期は、一つの例として記載してあります。

 

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